JPH08209322A - 水中構造物の耐食コーティング法 - Google Patents
水中構造物の耐食コーティング法Info
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- JPH08209322A JPH08209322A JP7016657A JP1665795A JPH08209322A JP H08209322 A JPH08209322 A JP H08209322A JP 7016657 A JP7016657 A JP 7016657A JP 1665795 A JP1665795 A JP 1665795A JP H08209322 A JPH08209322 A JP H08209322A
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Landscapes
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】水中で表面層を形成する方法において、水を表
面層形成物質で汚染しないような機構を有する水中加工
装置及び方法を提供する。 【構成】表面層形成のための微細粒子を集める機構を有
する水中プラズマ溶射装置。 【効果】水が表面層形成のための微細粒子により汚染さ
れない。特に原子炉炉内構造物の補修方法に適用した場
合は、コバルトの濃度が重量で10ppm 以下とすること
ができる。
面層形成物質で汚染しないような機構を有する水中加工
装置及び方法を提供する。 【構成】表面層形成のための微細粒子を集める機構を有
する水中プラズマ溶射装置。 【効果】水が表面層形成のための微細粒子により汚染さ
れない。特に原子炉炉内構造物の補修方法に適用した場
合は、コバルトの濃度が重量で10ppm 以下とすること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水中のステンレス合金等
の金属からなる構造物の表面に耐食性の優れた溶射層を
形成する装置及び方法に係り、特に原子力発電用のプラ
ント部材などの高温水環境などで耐食性が要求される部
位の表面に溶射層を形成する装置及び方法に関するもの
である。
の金属からなる構造物の表面に耐食性の優れた溶射層を
形成する装置及び方法に係り、特に原子力発電用のプラ
ント部材などの高温水環境などで耐食性が要求される部
位の表面に溶射層を形成する装置及び方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、軽水炉の炉心構造物や機器のため
の構造部材にはJIS規格の304や316ステンレス
鋼が用いられており、これらには使用環境中での耐食性
や耐粒界割れ感受性向上のための施策がなされている。
例えば、高温水中で使用される鋼中の粒界腐食や粒界型
応力腐食割れ(以下まとめて粒界腐食と呼ぶ)に起因す
る粒界割れを軽減または防止する方法として、特公平1
−18143号,特開昭62−23855 号に開示されているよう
にステンレス鋼中に含まれる炭素量を低減するなど、構
造部材の材料の改良に努めてきた。
の構造部材にはJIS規格の304や316ステンレス
鋼が用いられており、これらには使用環境中での耐食性
や耐粒界割れ感受性向上のための施策がなされている。
例えば、高温水中で使用される鋼中の粒界腐食や粒界型
応力腐食割れ(以下まとめて粒界腐食と呼ぶ)に起因す
る粒界割れを軽減または防止する方法として、特公平1
−18143号,特開昭62−23855 号に開示されているよう
にステンレス鋼中に含まれる炭素量を低減するなど、構
造部材の材料の改良に努めてきた。
【0003】上記により、粒界腐食の発生はかなりのレ
ベルまで低減できる。しかし軽水炉内の構造物の一つで
ある炉心シュラウドなどの大型構造物では、一枚の鋼板
だけを加工しただけでは作製できず、必ず鋼板同士を何
組も溶接により接合し、全体の構造物を組み上げること
になる。この場合、溶接部の近傍には必ず、溶接熱影響
部(以下HAZとよぶ)が生じ、熱の影響により、炭素
が局所的に濃化したいわゆる鋭敏化領域が生まれ、粒界
腐食の発生頻度が高くなる。特に、軽水炉の稼働後は、
炉心シュラウドなどは、高温水中で中性子照射がなされ
る環境で使用されることになる。この場合、鋭敏化領域
では粒界腐食の発生頻度がかなり高くなるため、何らか
の予防保全対策により、軽水炉の安全性を常に維持する
ことが必要となっている。このような予防保全策とし
て、特開平5−148674 号に開示されている貴金属のコー
ティング法や、特開平5−255832 号に開示されている耐
食合金のクラッディング法などが効果的である。
ベルまで低減できる。しかし軽水炉内の構造物の一つで
ある炉心シュラウドなどの大型構造物では、一枚の鋼板
だけを加工しただけでは作製できず、必ず鋼板同士を何
組も溶接により接合し、全体の構造物を組み上げること
になる。この場合、溶接部の近傍には必ず、溶接熱影響
部(以下HAZとよぶ)が生じ、熱の影響により、炭素
が局所的に濃化したいわゆる鋭敏化領域が生まれ、粒界
腐食の発生頻度が高くなる。特に、軽水炉の稼働後は、
炉心シュラウドなどは、高温水中で中性子照射がなされ
る環境で使用されることになる。この場合、鋭敏化領域
では粒界腐食の発生頻度がかなり高くなるため、何らか
の予防保全対策により、軽水炉の安全性を常に維持する
ことが必要となっている。このような予防保全策とし
て、特開平5−148674 号に開示されている貴金属のコー
ティング法や、特開平5−255832 号に開示されている耐
食合金のクラッディング法などが効果的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの方法
でも、放射線の漏洩を防止する作業の安全性の観点か
ら、軽水炉の定期点検時に炉水を満たした状態で作業を
行うのが望ましい。この場合、コーティング作業時に発
生する非コーティング物が炉水内に浮遊したり、沈降す
ることにより炉水が汚染されることが問題となる。
でも、放射線の漏洩を防止する作業の安全性の観点か
ら、軽水炉の定期点検時に炉水を満たした状態で作業を
行うのが望ましい。この場合、コーティング作業時に発
生する非コーティング物が炉水内に浮遊したり、沈降す
ることにより炉水が汚染されることが問題となる。
【0005】特に、コーティング用の微細粒子が金属粉
体である溶射法を用いる場合、粉体中にコバルトが含有
している可能性があり、これがコーティングされずに炉
水中に浸入した場合、軽水炉の稼働状態で放射化され、
種々の問題を生じる。したがって、いずれのコーティン
グ法を用いる場合でも、コーティング作業時に発生する
非コーティング物などの不純物を炉水から回収するシス
テムが必要となり、作業後の炉水中のコバルト濃度を管
理することにより、炉水の電気伝導度を常に一定に保つ
ことが必要である。また回収時に不純物とともに混入す
る水成分は放射化された状態であるため、軽水炉外に取
り出すことはできない。
体である溶射法を用いる場合、粉体中にコバルトが含有
している可能性があり、これがコーティングされずに炉
水中に浸入した場合、軽水炉の稼働状態で放射化され、
種々の問題を生じる。したがって、いずれのコーティン
グ法を用いる場合でも、コーティング作業時に発生する
非コーティング物などの不純物を炉水から回収するシス
テムが必要となり、作業後の炉水中のコバルト濃度を管
理することにより、炉水の電気伝導度を常に一定に保つ
ことが必要である。また回収時に不純物とともに混入す
る水成分は放射化された状態であるため、軽水炉外に取
り出すことはできない。
【0006】本発明の目的は、水中で表面層を形成する
際に、水がコーティング用の微細粒子で汚染されないよ
うな水中加工装置及びその方法を提供することにある。
際に、水がコーティング用の微細粒子で汚染されないよ
うな水中加工装置及びその方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、水中の構造物に対して、プラズマ
中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突させて表面
層を形成する施工を行う水中プラズマ溶射装置におい
て、水中に浮遊する微細粒子を集める機構を備える水中
プラズマ溶射装置が提供される。
め、本発明によれば、水中の構造物に対して、プラズマ
中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突させて表面
層を形成する施工を行う水中プラズマ溶射装置におい
て、水中に浮遊する微細粒子を集める機構を備える水中
プラズマ溶射装置が提供される。
【0008】また、上記水中構造物は、原子炉炉内構造
物であってもよい。
物であってもよい。
【0009】また、上記水中に浮遊する微細粒子を集め
る機構が、気圧差を利用したポンプによる吸引力を用い
た機構であることが好ましい。
る機構が、気圧差を利用したポンプによる吸引力を用い
た機構であることが好ましい。
【0010】また、上記水中に浮遊する微細粒子を集め
る機構が、磁力を用いた機構であることが好ましい。
る機構が、磁力を用いた機構であることが好ましい。
【0011】また、上記水中プラズマ溶射装置におい
て、前記プラズマ溶射を空気中で行うための、水を遮断
するチャンバーを有することが好ましい。
て、前記プラズマ溶射を空気中で行うための、水を遮断
するチャンバーを有することが好ましい。
【0012】また、本発明によれば、プラズマ中で溶融
した微細粒子を被加工物表面に衝突させて表面層を形成
する水中プラズマ溶射方法において、水中に浮遊する微
細粒子を集めることにより、水中のコバルト濃度を一定
以下に制御することにより、炉水の電気伝導度を一定に
てきる水中プラズマ溶射方法が提供される。
した微細粒子を被加工物表面に衝突させて表面層を形成
する水中プラズマ溶射方法において、水中に浮遊する微
細粒子を集めることにより、水中のコバルト濃度を一定
以下に制御することにより、炉水の電気伝導度を一定に
てきる水中プラズマ溶射方法が提供される。
【0013】すなわち、中性子照射下で使用され、かつ
閉鎖容器内に収納されている水中構造物の部材表面に、
防食を目的とするコーティングを水中で行う方法におい
て、前記コーティング作業中に前記水中に浮遊もしくは
沈降する非コーティング物を水中から回収することによ
り、水を高純度化した後、リサイクルする機構が、前記
容器内に設けられている水中構造物の耐食コーティング
装置および方法が提供される。
閉鎖容器内に収納されている水中構造物の部材表面に、
防食を目的とするコーティングを水中で行う方法におい
て、前記コーティング作業中に前記水中に浮遊もしくは
沈降する非コーティング物を水中から回収することによ
り、水を高純度化した後、リサイクルする機構が、前記
容器内に設けられている水中構造物の耐食コーティング
装置および方法が提供される。
【0014】
【作用】中性子照射が考えられる原子力発電用の軽水炉
プラントの炉内構造物、例えばシュラウド等の水中構造
物の部材表面に、防食を目的とするコーティングを水中
で行う方法において、水環境を汚染しないことが重要で
ある。
プラントの炉内構造物、例えばシュラウド等の水中構造
物の部材表面に、防食を目的とするコーティングを水中
で行う方法において、水環境を汚染しないことが重要で
ある。
【0015】コーティング作業中に水中に浮遊もしくは
沈降する非コーティング物である不純物を水中から回収
することにより、水を高純度化した後、リサイクルする
機構が機能することにより、不純物で最も軽水炉環境で
有害である、水中のコバルト濃度を制御することによ
り、炉水の電気伝導度を一定にできる。またこれらのリ
サイクル機構を用いた耐食コーティングを軽水炉内で行
うことを可能にすることにより、放射線の被爆からも作
業者を保護できる。
沈降する非コーティング物である不純物を水中から回収
することにより、水を高純度化した後、リサイクルする
機構が機能することにより、不純物で最も軽水炉環境で
有害である、水中のコバルト濃度を制御することによ
り、炉水の電気伝導度を一定にできる。またこれらのリ
サイクル機構を用いた耐食コーティングを軽水炉内で行
うことを可能にすることにより、放射線の被爆からも作
業者を保護できる。
【0016】軽水炉のような水中の構造物に対して、プ
ラズマ中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突させ
て表面層を形成する施工を行う水中プラズマ溶射装置に
おいて、例えば溶射法により、コーティングを行った場
合、未溶融の溶射パウダーが水中に浮遊することにな
る。これらの微細粒子を集める機構を備えることによ
り、炉水不純物を回収でき、常に炉水中の電気伝導度が
一定化される。
ラズマ中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突させ
て表面層を形成する施工を行う水中プラズマ溶射装置に
おいて、例えば溶射法により、コーティングを行った場
合、未溶融の溶射パウダーが水中に浮遊することにな
る。これらの微細粒子を集める機構を備えることによ
り、炉水不純物を回収でき、常に炉水中の電気伝導度が
一定化される。
【0017】炉水の環境、特に水圧は約3気圧は変動す
るが、気圧差を利用したポンプにより、吸引力を用いた
機構を溶射ガンの周囲に設置することにより、炉水不純
物を回収でき、常に炉水中の電気伝導度が一定化され
る。また、微細粒子はコバルトや鉄などの強磁性体が主
であるため、磁力を用いて回収することもできる。
るが、気圧差を利用したポンプにより、吸引力を用いた
機構を溶射ガンの周囲に設置することにより、炉水不純
物を回収でき、常に炉水中の電気伝導度が一定化され
る。また、微細粒子はコバルトや鉄などの強磁性体が主
であるため、磁力を用いて回収することもできる。
【0018】特にコバルトは、炉水中に存在すると放射
化して、放射能汚染の問題が生じるが、一方コバルトは
強磁性体であるため磁力を用いた集塵方法が有効であ
る。具体的には、電磁石を用いた集塵装置とすることに
より磁力のON,OFFができるため便利である。ま
た、集塵効率を向上するため傘形状のネットを設けるな
どの補助的な装置を適用することができる。
化して、放射能汚染の問題が生じるが、一方コバルトは
強磁性体であるため磁力を用いた集塵方法が有効であ
る。具体的には、電磁石を用いた集塵装置とすることに
より磁力のON,OFFができるため便利である。ま
た、集塵効率を向上するため傘形状のネットを設けるな
どの補助的な装置を適用することができる。
【0019】
(実施例1)本発明の水中構造物の耐食コーティング法に
ついて、図1を用いて説明する。本方法は軽水炉の環境
を模擬した実験プラントである高圧の水槽を作製し、水
中での溶射作業によるコーティング作業を行う場合の水
環境の品質維持を可能とするシステムの実証を行った。
本実験に用いたプラズマ溶射装置は圧力ガス1のアルゴ
ンと圧力ガス2のヘリウムを2種のガスを用いている。
溶射装置は制御系3,冷却水の供給系4,電源5,溶射
時のモニタリング機構6から成っている。
ついて、図1を用いて説明する。本方法は軽水炉の環境
を模擬した実験プラントである高圧の水槽を作製し、水
中での溶射作業によるコーティング作業を行う場合の水
環境の品質維持を可能とするシステムの実証を行った。
本実験に用いたプラズマ溶射装置は圧力ガス1のアルゴ
ンと圧力ガス2のヘリウムを2種のガスを用いている。
溶射装置は制御系3,冷却水の供給系4,電源5,溶射
時のモニタリング機構6から成っている。
【0020】実際の軽水炉を想定するため、高圧水槽7
に水8を満たした。安全点検時の水中作業を想定し、溶
射ガン9を水中に浸して、ステンレス鋼から成る試料1
0の表面にコーティング11を行った。溶射作業中のプ
ラズマの安定化を観察するため、プラズマ監視窓12を
設けた。高圧水槽の外部に設置された溶射パウダー供給
系13から溶射ガンへとパウダーは供給される。この場
合、プラズマジェット流に乗れず、実際にコーティング
に寄与しない未溶融のパウダーが必ず発生する。これを
水槽中に浮遊させないため、未溶融パウダー回収機構1
4により、未溶融のパウダー15を吸引機構16を経
て、1次17,2次18の二段階のフィルタによりコバ
ルト等の不純物を回収した後、リサイクルシステム19
により水を清浄化した。この清浄化された水の不純物の
中で、コバルト濃度を測定した結果、3ppm であること
を確認した。
に水8を満たした。安全点検時の水中作業を想定し、溶
射ガン9を水中に浸して、ステンレス鋼から成る試料1
0の表面にコーティング11を行った。溶射作業中のプ
ラズマの安定化を観察するため、プラズマ監視窓12を
設けた。高圧水槽の外部に設置された溶射パウダー供給
系13から溶射ガンへとパウダーは供給される。この場
合、プラズマジェット流に乗れず、実際にコーティング
に寄与しない未溶融のパウダーが必ず発生する。これを
水槽中に浮遊させないため、未溶融パウダー回収機構1
4により、未溶融のパウダー15を吸引機構16を経
て、1次17,2次18の二段階のフィルタによりコバ
ルト等の不純物を回収した後、リサイクルシステム19
により水を清浄化した。この清浄化された水の不純物の
中で、コバルト濃度を測定した結果、3ppm であること
を確認した。
【0021】図2は図1のプラズマ溶射ガンの詳細を示
している。この溶射ガン20は従来のガンと異なり、特
別に溶射時の水遮断及び、未溶融のパウダーの回収機構
を有している。このガンでは、圧力ガスが入口21から
ガン内に導入されたガスジェット流22は、ガンから放
出後、加熱されプラズマジェット23となり、溶射パウ
ダーの供給機構24からプラズマ内に導入されたパウダ
ーを溶融する。この際、プラズマジェットに乗り切れな
い未溶融のパウダー25は吸引機構26によって、外部
に除外し、水分を含有しないコーティング膜27を得
た。この後、図1に示したフィルタリング機構及び、水
回収・リサイクルシステムにより、コバルト等の不純物
は吸収され、水は清浄化された後、水槽内に戻された。
また本発明の溶射ガンには、ガスカーテン噴射口28よ
り、高圧の不活性ガスがプラズマジェット流の周りを包
囲するメカニズムとなっており、水槽内の水の巻き込み
防止、水による過冷却がもたらすプラズマの収縮を抑制
し、溶射効率の向上を図っている。また溶射作業の安定
化を図るため、プラズマ監視機構29により、常にプラ
ズマ長さのモニタリングを行った。
している。この溶射ガン20は従来のガンと異なり、特
別に溶射時の水遮断及び、未溶融のパウダーの回収機構
を有している。このガンでは、圧力ガスが入口21から
ガン内に導入されたガスジェット流22は、ガンから放
出後、加熱されプラズマジェット23となり、溶射パウ
ダーの供給機構24からプラズマ内に導入されたパウダ
ーを溶融する。この際、プラズマジェットに乗り切れな
い未溶融のパウダー25は吸引機構26によって、外部
に除外し、水分を含有しないコーティング膜27を得
た。この後、図1に示したフィルタリング機構及び、水
回収・リサイクルシステムにより、コバルト等の不純物
は吸収され、水は清浄化された後、水槽内に戻された。
また本発明の溶射ガンには、ガスカーテン噴射口28よ
り、高圧の不活性ガスがプラズマジェット流の周りを包
囲するメカニズムとなっており、水槽内の水の巻き込み
防止、水による過冷却がもたらすプラズマの収縮を抑制
し、溶射効率の向上を図っている。また溶射作業の安定
化を図るため、プラズマ監視機構29により、常にプラ
ズマ長さのモニタリングを行った。
【0022】図3は本発明のコーティング方法を経年使
用された原子炉(軽水炉)用構造物の炉内水中構造物表
面への予防保全の目的での施工に適用した事例を示す図
である。軽水炉の炉内構造物の一つである上部格子板3
0と炉心支持板31を支えているシュラウド32の部材
の溶接部33に耐食性の向上を目的としたコーティング
を溶射法を用いて行う事例を示している。経年使用され
た原子炉プラントでは、酸素濃度の高い高温,高圧水に
曝された影響により、シュラウド部材の溶接部に割れ3
4が発生がみられた。この割れは典型的な応力腐食割れ
のモードであったため、シュラウド部材をさらに永年使
用するために、割れの進展を防止する目的の耐食コーテ
ィングをプラズマ溶射ガン35を用いて行った。このコ
ーティングは原子炉の炉水中で行うため、放射線被曝を
防止するため、プラズマ溶射ガンに遠隔操作機構部36
を設けた。この遠隔操作によりシュラウド部材の溶接部
の割れ発生箇所に耐食コーティング37を施した。さら
に溶射ガンの前方にコーティング時に発生する未溶融の
パウダーの回収機構38を設け、吸引機構39によっ
て、外部に除外し、フィルタリング機構40を経て、清
浄化された水をまた炉水に戻し、コーティング前後で炉
水の電気伝導度が変化しないコーティング装置を得た。
用された原子炉(軽水炉)用構造物の炉内水中構造物表
面への予防保全の目的での施工に適用した事例を示す図
である。軽水炉の炉内構造物の一つである上部格子板3
0と炉心支持板31を支えているシュラウド32の部材
の溶接部33に耐食性の向上を目的としたコーティング
を溶射法を用いて行う事例を示している。経年使用され
た原子炉プラントでは、酸素濃度の高い高温,高圧水に
曝された影響により、シュラウド部材の溶接部に割れ3
4が発生がみられた。この割れは典型的な応力腐食割れ
のモードであったため、シュラウド部材をさらに永年使
用するために、割れの進展を防止する目的の耐食コーテ
ィングをプラズマ溶射ガン35を用いて行った。このコ
ーティングは原子炉の炉水中で行うため、放射線被曝を
防止するため、プラズマ溶射ガンに遠隔操作機構部36
を設けた。この遠隔操作によりシュラウド部材の溶接部
の割れ発生箇所に耐食コーティング37を施した。さら
に溶射ガンの前方にコーティング時に発生する未溶融の
パウダーの回収機構38を設け、吸引機構39によっ
て、外部に除外し、フィルタリング機構40を経て、清
浄化された水をまた炉水に戻し、コーティング前後で炉
水の電気伝導度が変化しないコーティング装置を得た。
【0023】(実施例2)図4は本発明の「磁力を利用し
たコーティング方法」を経年使用された原子炉(軽水
炉)用構造物の炉内水中構造物表面への予防保全の目的
での施工に適用した事例を示す図である。軽水炉の炉内
構造物の一つである上部格子板41と炉心支持板42を
支えているシュラウド43の部材の溶接部44に耐食性
の向上を目的としたコーティングを溶射法を用いて行う
事例を示している。経年使用された原子炉プラントで
は、酸素濃度の高い高温,高圧水に曝された影響によ
り、シュラウド部材の溶接部に割れ45の発生がみられ
た。この割れは典型的な応力腐食割れのモードであった
ため、シュラウド部材をさらに永年使用するために、割
れの進展を防止する目的の耐食コーティングをプラズマ
溶射ガン46を用いて行った。このコーティングは原子
炉の炉水中で行うため、放射線被曝を防止するため、プ
ラズマ溶射ガンに遠隔操作機構部47を設けた。この遠
隔操作によりシュラウド部材の溶接部の割れ発生箇所に
耐食コーティング48を施した。この場合、プラズマ溶
射法では必ず溶射中に未溶融のパウダーが発生するが、
飛散パウダーを電動マグネット49の働きにより磁力で
吸引し、回収した。このマグネットにも遠隔操作部50
を設け、上部格子板上部からのアクセスを可能にした。
回収されたパウダーを組成分析した結果、99.9% ま
でニッケルとコバルトの強磁性体のパウダーであった。
たコーティング方法」を経年使用された原子炉(軽水
炉)用構造物の炉内水中構造物表面への予防保全の目的
での施工に適用した事例を示す図である。軽水炉の炉内
構造物の一つである上部格子板41と炉心支持板42を
支えているシュラウド43の部材の溶接部44に耐食性
の向上を目的としたコーティングを溶射法を用いて行う
事例を示している。経年使用された原子炉プラントで
は、酸素濃度の高い高温,高圧水に曝された影響によ
り、シュラウド部材の溶接部に割れ45の発生がみられ
た。この割れは典型的な応力腐食割れのモードであった
ため、シュラウド部材をさらに永年使用するために、割
れの進展を防止する目的の耐食コーティングをプラズマ
溶射ガン46を用いて行った。このコーティングは原子
炉の炉水中で行うため、放射線被曝を防止するため、プ
ラズマ溶射ガンに遠隔操作機構部47を設けた。この遠
隔操作によりシュラウド部材の溶接部の割れ発生箇所に
耐食コーティング48を施した。この場合、プラズマ溶
射法では必ず溶射中に未溶融のパウダーが発生するが、
飛散パウダーを電動マグネット49の働きにより磁力で
吸引し、回収した。このマグネットにも遠隔操作部50
を設け、上部格子板上部からのアクセスを可能にした。
回収されたパウダーを組成分析した結果、99.9% ま
でニッケルとコバルトの強磁性体のパウダーであった。
【0024】図5は軽水炉の炉水中でコーティングする
場合に発生する未溶融の飛散パウダーを磁力により吸引
し、回収する方法を示している。遠隔操作機構51によ
り炉水中に沈められたマグネット52は同じく遠隔操作
53を用いて投入されたプラズマ溶射ガン54の前方に
置かれた。このコーティング中作業時、電動マグネット
を使用しない場合、炉水中には未溶融のパウダー55が
飛散していた。次にマグネットを作動させると、リング
状のマグネットの内壁に飛散パウダーは集結し、最後に
マグネット56に全て吸引された。
場合に発生する未溶融の飛散パウダーを磁力により吸引
し、回収する方法を示している。遠隔操作機構51によ
り炉水中に沈められたマグネット52は同じく遠隔操作
53を用いて投入されたプラズマ溶射ガン54の前方に
置かれた。このコーティング中作業時、電動マグネット
を使用しない場合、炉水中には未溶融のパウダー55が
飛散していた。次にマグネットを作動させると、リング
状のマグネットの内壁に飛散パウダーは集結し、最後に
マグネット56に全て吸引された。
【0025】
【発明の効果】現在稼働中の原子力プラントに本発明の
予防保全技術を適用することにより、原子炉の安全運行
が期待でき、かつ原子炉寿命の長期化も同時に図ること
ができる。
予防保全技術を適用することにより、原子炉の安全運行
が期待でき、かつ原子炉寿命の長期化も同時に図ること
ができる。
【図1】本発明の水中構造物の耐食コーティング法を示
す図。
す図。
【図2】本発明の水中構造物の耐食コーティング法に溶
射法を用いる場合の溶射装置を示す図。
射法を用いる場合の溶射装置を示す図。
【図3】本発明のコーティング方法を原子炉用構造物の
炉内水中構造物表面への施工に適用した事例を示す図。
炉内水中構造物表面への施工に適用した事例を示す図。
【図4】本発明の「磁力を利用したコーティング方法」
を原子炉用構造物の炉内水中構造物表面への施工に適用
した事例を示す図。
を原子炉用構造物の炉内水中構造物表面への施工に適用
した事例を示す図。
【図5】本発明の「磁力を利用したコーティング方法」
の一例である溶射法において、未溶融パウダーを回収す
る原理について説明した図。
の一例である溶射法において、未溶融パウダーを回収す
る原理について説明した図。
1…圧力ガス(Ar)、2…圧力ガス(He)、3…プ
ラズマ溶射の制御系、4…プラズマ溶射の冷却水供給
系、5…プラズマ溶射の電源、6…プラズマ溶射のモニ
タリングシステム、7…高圧水槽、8…水、9…溶射ガ
ン、10…試料、11…コーティング、12…プラズマ
監視窓、13…溶射パウダー供給系、14…未溶融パウ
ダー回収機構、15…未溶融パウダー、16…吸引機
構、17…1次フィルタ、18…2次フィルタ、19…
水回収・リサイクルシステム、20…プラズマ溶射ガ
ン、21…圧力ガス入口、22…ガスジェット流、23
…プラズマジェット、24…溶射パウダー供給機構、2
5…未溶融パウダー、26…未溶融パウダー吸引機構、
27…コーティング膜、28…ガスカーテン噴射口、2
9…プラズマ監視機構、30…軽水炉の炉内構造物の上
部格子板、31…軽水炉の炉内構造物の炉心支持板、3
2…シュラウド、33…溶接部、34…シュラウド部材
の溶接部の割れ、35…プラズマ溶射ガン、36…プラ
ズマ溶射ガンの遠隔操作部、37…シュラウド部材の溶
接部の割れ発生箇所に施した耐食コーティング、38…
未溶融のパウダーの回収機構、39…未溶融のパウダー
の吸引機構、40…フィルタリング機構。
ラズマ溶射の制御系、4…プラズマ溶射の冷却水供給
系、5…プラズマ溶射の電源、6…プラズマ溶射のモニ
タリングシステム、7…高圧水槽、8…水、9…溶射ガ
ン、10…試料、11…コーティング、12…プラズマ
監視窓、13…溶射パウダー供給系、14…未溶融パウ
ダー回収機構、15…未溶融パウダー、16…吸引機
構、17…1次フィルタ、18…2次フィルタ、19…
水回収・リサイクルシステム、20…プラズマ溶射ガ
ン、21…圧力ガス入口、22…ガスジェット流、23
…プラズマジェット、24…溶射パウダー供給機構、2
5…未溶融パウダー、26…未溶融パウダー吸引機構、
27…コーティング膜、28…ガスカーテン噴射口、2
9…プラズマ監視機構、30…軽水炉の炉内構造物の上
部格子板、31…軽水炉の炉内構造物の炉心支持板、3
2…シュラウド、33…溶接部、34…シュラウド部材
の溶接部の割れ、35…プラズマ溶射ガン、36…プラ
ズマ溶射ガンの遠隔操作部、37…シュラウド部材の溶
接部の割れ発生箇所に施した耐食コーティング、38…
未溶融のパウダーの回収機構、39…未溶融のパウダー
の吸引機構、40…フィルタリング機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大中 紀之 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内
Claims (6)
- 【請求項1】水中の構造物に対して、 プラズマ中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突さ
せて表面層を形成する施工を行う水中プラズマ溶射装置
において、 水中に浮遊する微細粒子を集める機構を備えることを特
徴とする水中プラズマ溶射装置。 - 【請求項2】水中の原子炉炉内構造物に対して、 プラズマ中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突さ
せて表面層を形成する施工を行う水中プラズマ溶射装置
において、 水中に浮遊する微細粒子を集める機構を備えることを特
徴とする水中プラズマ溶射装置。 - 【請求項3】請求項1または2の記載において、 水中に浮遊する微細粒子を集める機構が、気圧差を利用
したポンプによる吸引力を用いた機構であることを特徴
とする水中プラズマ溶射装置。 - 【請求項4】請求項1または2の記載において、 水中に浮遊する微細粒子を集める機構が、磁力を用いた
機構であることを特徴とする水中プラズマ溶射装置。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の水中プラ
ズマ溶射装置において、 前記プラズマ溶射を空気中で行うための、水を遮断する
チャンバーを有することを特徴とする水中プラズマ溶射
装置。 - 【請求項6】水中の原子炉炉内構造物に対して、 プラズマ中で溶融した微細粒子を被加工物表面に衝突さ
せて表面層を形成する水中プラズマ溶射方法において、 水中に浮遊する微細粒子を集めることにより、水の電気
伝導度を一定に保つことを特徴とする水中プラズマ溶射
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7016657A JPH08209322A (ja) | 1995-02-03 | 1995-02-03 | 水中構造物の耐食コーティング法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7016657A JPH08209322A (ja) | 1995-02-03 | 1995-02-03 | 水中構造物の耐食コーティング法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08209322A true JPH08209322A (ja) | 1996-08-13 |
Family
ID=11922423
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7016657A Pending JPH08209322A (ja) | 1995-02-03 | 1995-02-03 | 水中構造物の耐食コーティング法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08209322A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1013791A1 (de) * | 1998-12-24 | 2000-06-28 | Sulzer Metco AG | Anordnung für eine Plasmaspritzanlage |
CN102990985A (zh) * | 2012-12-13 | 2013-03-27 | 大庆汇达兴业机械制造有限公司 | 不锈钢丝电弧喷涂防腐工艺及防腐碳钢罐 |
CN108940649A (zh) * | 2018-08-08 | 2018-12-07 | 西安交通大学 | 一种用于水下维修的喷涂系统与方法 |
CN109174488A (zh) * | 2018-08-08 | 2019-01-11 | 西安交通大学 | 一种水下喷涂装置 |
-
1995
- 1995-02-03 JP JP7016657A patent/JPH08209322A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1013791A1 (de) * | 1998-12-24 | 2000-06-28 | Sulzer Metco AG | Anordnung für eine Plasmaspritzanlage |
US6357386B1 (en) | 1998-12-24 | 2002-03-19 | Sulzer Metco Ag | Assembly for controlling the gas flow in a plasma spraying apparatus |
CN102990985A (zh) * | 2012-12-13 | 2013-03-27 | 大庆汇达兴业机械制造有限公司 | 不锈钢丝电弧喷涂防腐工艺及防腐碳钢罐 |
CN108940649A (zh) * | 2018-08-08 | 2018-12-07 | 西安交通大学 | 一种用于水下维修的喷涂系统与方法 |
CN109174488A (zh) * | 2018-08-08 | 2019-01-11 | 西安交通大学 | 一种水下喷涂装置 |
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