JP2001088149A - 無端状ベルトの製造方法 - Google Patents

無端状ベルトの製造方法

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JP2001088149A
JP2001088149A JP27094399A JP27094399A JP2001088149A JP 2001088149 A JP2001088149 A JP 2001088149A JP 27094399 A JP27094399 A JP 27094399A JP 27094399 A JP27094399 A JP 27094399A JP 2001088149 A JP2001088149 A JP 2001088149A
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endless belt
film
mold
producing
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JP27094399A
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Minoru Matsuo
稔 松尾
Akiko Tanaka
亜希子 田中
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布型の内周面に、ベルト表面に転移して摩
擦係数を低下させる作用を発揮する転移層を形成し、虫
喰い画像の予防のために画像形成の度に潤滑剤塗布を行
い続ける必要のない無端状ベルトの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 遠心成形に用いる塗布型1の内周面全面
をタフラム処理し、タフラム皮膜層2を形成する。次
に、タフラム皮膜の表面のうち、回転軸方向両端部近傍
を除く内部領域に、エタノール中へステアリン酸亜鉛の
微粒子を撹拌分散させた分散液の膜を遠心成形で形成
し、この溶媒を乾燥して転移層4を形成する。この塗布
型に、転移層よりも回転軸方向両端部にはみ出して塗布
液を塗布し、塗布膜3を遠心成形する。この塗布膜を先
ず80℃で乾燥し、次に100℃で完全に乾燥固化した
後、300℃で硬化させることによって無端状ベルト3
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ等における中間転写ベルト等として使
用される無端状ベルトを、遠心成形法により成形する無
端状ベルトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、無端状ベルトを複写機、プリン
タ、ファクシミリ等における中間転写ベルトなどの像担
持体として使用する場合に共通の問題があった。それ
は、画像の文字や細線の交差する部分にトナーが付着せ
ず白抜けとなってしまういわゆる虫喰い画像という異常
画像の発生である。これは、例えば中間転写ベルトの場
合、感光体から中間転写体に一次転写するときや、中間
転写体から転写紙に二次転写するときなどに画像が虫喰
い状態となることによって発生するものである。そし
て、この虫喰い画像の原因として現在では、感光体や転
写紙、中間転写体等の摩擦係数が関与しているらしいこ
とが判ってきている。
【0003】そこで、上記不具合を改善する方法とし
て、感光体や中間転写体などの表面に、ある種の潤滑剤
を塗布する方法が採られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにある種の潤滑剤を塗布する方法においては、画像
を形成している間中、絶えず潤滑剤の塗布を行い続けな
ければならないという煩わしさがあった。また、潤滑剤
塗布のための塗布装置を設ける必要が生じるため複写機
等の装置内にレイアウト上の余裕が少なくなってしまう
という不具合もあった。これらの理由から、画像形成時
に潤滑剤を塗布しなくても虫喰い画像のない良好な画像
が得られるようにすることが強く望まれる。
【0005】ところで、従来、回転する筒状の型(以
下、塗布型という)の内周面に、無端状ベルトを形成す
るための基剤としての溶液(以下、塗布液という)をス
プレー塗布等で流し込み、高速回転しながらその遠心力
で塗布液を軸方向に広げて均一の膜を形成し、この膜
(以下、塗布膜という)を乾燥固化あるいは必要に応じ
てさらに硬化させた後、塗布型から剥離して取り出す遠
心成形法による無端状ベルトの製造方法が考えられてい
る。
【0006】このような無端状ベルトの製造方法は、以
下のような種々の利点がある。 1.ベルトの膜厚の調整が塗布液の量によって任意に調
整できる。 2.塗布した塗布液が全て無端状ベルトとなるため、材
料に無駄がなく材料効率が良い。 3.塗布型内部は閉空間となっているため、塗布液等の
溶剤除去の際には排気経路に溶剤トラップを設けること
で外部に排出される溶剤を効率よく回収できる。 このように、遠心成形法による無端状ベルトの製造方法
は優れた方法である。
【0007】本発明は以上の問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的とするところは、遠心成形法による無
端状ベルトの製造方法において、虫喰い画像の予防のた
めに、画像形成を行う度に潤滑剤の塗布を行い続ける必
要のない無端状ベルトを製造することができる無端状ベ
ルトの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、回転する筒状の塗布型の内周面
に無端状ベルトを形成するための基剤としての塗布液を
付与し、該塗布型の回転による遠心力で該内周面に均一
な塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥固化し更に硬化状態
にした後、該塗布型から脱型することにより無端状ベル
トを得る無端状ベルトの製造方法において、上記塗布液
の付与に先だって、上記塗布型の内周面における該塗布
液の付与予定部に、上記無端状ベルトの該塗布型からの
脱型に際して該無端状ベルト表面に転移し、かつ該無端
状ベルト表面の摩擦係数を低下させる潤滑剤的作用を発
揮する転移層を形成することを特徴とするものである。
【0009】請求項1の無端状ベルトの製造方法におい
ては、遠心成形によって塗布型内に完全硬化した無端状
ベルトを形成した後、この無端状ベルトを塗布型から脱
型することによって、転移層が無端状ベルト表面に転移
する。この転移層は、無端状ベルト表面に付着して、該
表面の摩擦係数を低下させる潤滑剤的作用を発揮する。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の無端状ベル
トの製造方法において、前記塗布型の内周面における前
記塗布液の付与予定部の該塗布型回転軸方向両端部を除
く内部領域に、前記転移層を形成することを特徴とする
ものである。
【0011】請求項2の無端状ベルトの製造方法におい
ては、転移層を塗布型の内周面における塗布液の付与予
定部で、塗布型回転軸方向両端部を除く内部領域に形成
することによって、塗布型から脱型した無端状ベルトの
表面のうち、上記両端部を除く内部領域のみに転移層が
付着する。無端状ベルトの両端部は通常、画像形成には
利用されないため、この部分に潤滑剤を付着させておく
必要はない。よって、転移層は、無端状ベルト表面への
転移後無端状ベルト表面で無駄なく有効に活用されるこ
ととなる。
【0012】ここで、遠心成形法による無端状ベルトの
製造方法には次のような問題もあった。塗布型内で硬化
した無端状ベルトを塗布型から取り出す方法において
は、この塗布膜が、塗布型からの脱型時には容易に剥離
できなければならないのに対して、その前段階の塗布液
の乾燥固化段階及び硬化に至る段階では塗布型に貼り付
いていなければならない。即ち、無端状ベルトの塗布型
に対する離型性の面での要求が、膜の形成段階によって
異なるどころか相反するものとなってしまうのである。
しかしながら、従来この要求を充分に満足する材質や工
法が得られていなかった。
【0013】このため、硬化する前の乾燥固化状態のま
ま塗布型から塗布膜を取り出し、その取り出した円筒状
の塗布膜の中空部に軸方向から円筒形の離型型を挿入し
て該膜を加熱硬化し、硬化した膜を離型型から剥離して
無端状ベルトを製造する方法も考えられている。しか
し、この方法は、塗布膜を塗布型から剥離する第1剥離
工程と、塗布膜を離型型から剥離する第2剥離工程との
2段階の剥離工程が必要であり、工程が複雑になってし
まうという煩わしさがあると共に、無端状ベルトの量産
性の面でも問題があった。この問題に加え、離型型と塗
布膜との間に予期せぬ空気が入ると、その空気が抜け出
せないまま塗布膜が硬化収縮し、膜に凸状の浮きが生じ
てしまうことがあった。また、塗布膜を離型型に挿入し
やすくするためにクリアランスを大きくすると離型型と
塗布膜との間に間隙(ムラ)が生じてしまうこともあ
り、このような場合に硬化のための加熱温度にムラがあ
ると、塗布膜は均一に硬化収縮せずに部分的な皺が発生
することもあった。
【0014】以上のような種々の問題を考慮すると、遠
心成形に用いた塗布型内で硬化状態まで膜を完成させて
から剥離脱型することが望ましいと考えられる。そし
て、塗布型内で硬化状態まで膜を完成させてから剥離脱
型するものとして、例えば、特開昭48−91159号
公報においては、塗布型の内周面に塗布或いは被覆によ
って離型性のある膜(以下、離型膜という)を設け、こ
の離型膜に塗布した塗布膜を加熱硬化した後、離型膜を
その融点温度以上にして塗布型から流出させることによ
り、塗布膜を剥離するものが開示されている。この公報
によれば、塗布膜は硬化反応前の指触乾燥段階までは離
型膜に付着しており皺発生等の問題はない。しかしなが
ら、上記公報の構成においては指触乾燥段階までは皺発
生等の問題はないものの、硬化反応段階の加熱によって
該塗布膜が塗布型から浮き始め、甚だしい場合には塗布
膜全体が塗布型から浮いてしまうことがある。そして、
この浮いた部分が不均一に収縮して所望の径のベルトが
得られなくなったり、表面が平滑にならなかったりする
という問題があることが判明した。また、本発明者は、
先に、表面に微細な凹凸のある離型膜を設け、塗布膜が
硬化反応段階の加熱によって離型膜から剥離しないよう
することを提案し、上記浮き収縮による不具合が解消で
きるようにした。しかしながら、離型膜の凹凸が無端状
ベルトにレプリカされ、ベルト表面にも微細な凹凸が形
成されてしまう恐れがあり、このベルトを用いて画像を
形成すると、虫喰い画像が生じる恐れがあることもわか
った。
【0015】よって、塗布型内で硬化状態まで膜を完成
させてから該膜を塗布型から剥離脱型する無端状ベルト
の製造方法において、ベルト表面に浮き収縮がなく、か
つ、このベルトを用いて画像を形成するときに虫喰い画
像が生じないような無端状ベルトを得ることが望まれる
ことである。
【0016】請求項3の発明は、請求項2の無端状ベル
トの製造方法において、前記塗布液の付与に先だって、
前記塗布型の内周面における該塗布液の付与予定部の塗
布型回転軸方向両端部に、前記塗布膜が硬化状態となる
まで該塗布膜が該塗布型から剥離しないような低離型性
を発揮する低離型性層を形成することを特徴とするもの
である。
【0017】請求項3の無端状ベルトの製造方法におい
ては、塗布型内周面における該塗布液の付与予定部の塗
布型回転軸方向両端部に低離型性層を形成し、その上に
形成された塗布膜が硬化状態となるまで該塗布膜が該塗
布型から剥離しないようにする。これにより、塗布膜の
乾燥固化及び硬化のための加熱で塗布膜の浮きが生じや
すい上記両端部の剥離性を低下させ、塗布膜が完全に硬
化するまで塗布型から浮くことがないようにする。
【0018】請求項4の発明は、請求項3の無端状ベル
トの製造方法において、前記塗布型がアルミニウム金属
から成るものであって、前記低離型性層を、該塗布型内
周面に硬質アルマイト処理による多孔質層を形成し該多
孔質層上にフッ素系樹脂膜を設けることにより形成した
ことを特徴とするものである。
【0019】請求項4の無端状ベルトの製造方法におい
ては、塗布型としてのアルミニウム金属製塗布型を硬質
アルマイト処理することによって、高温による処理を行
うことなく容易に表面に多孔質層を形成する。この硬質
アルマイトの多孔質層表面にフッ素系樹脂膜を形成する
と、フッ素系樹脂膜が塗布型に密着すると共に表面の摩
擦係数が高まりその表面上に設けられる塗布液を一様に
密着させることができるようになる。このようにして得
られたフッ素系樹脂膜を低離型性層とすることによっ
て、塗布膜が乾燥固化又は硬化のために加熱されても、
この塗布膜が低離型性層から浮き上がることがなく、ま
た、低離型性層も塗布型から浮き上がることがない。更
に、、完全硬化した無端状ベルトは低離型性層から容易
に剥離することができる。
【0020】また、請求項5の発明は、請求項1、2、
3、又は4の無端状ベルトの製造方法において、前記転
移層を、潤滑剤的作用を発揮する粉体を溶液中に分散さ
せた潤滑性溶液を前記塗布型に塗布して遠心成形するこ
とにより形成したことを特徴とするものである。
【0021】請求項5の無端状ベルトの製造方法におい
ては、潤滑剤的作用を発揮する粉体を分散させた溶液を
塗布型に塗布し遠心成形することによって、均一で薄層
の転移層を形成しやすくする。ここで、上記溶液として
は上記粉体に対して溶解性であっても、非溶解性であっ
ても、どちらでもよい。また、溶液が蒸発することによ
って、上記粉体は塗布型内周面に均一な薄膜状に付着し
た状態となる。
【0022】また、請求項6の発明は、請求項1、2、
3、4、又は5の無端状ベルトの製造方法において、前
記塗布膜の硬化を加熱によって行うものであって、前記
転移層の融点が、該塗布膜の乾燥固化温度より高く、か
つ、該塗布膜の硬化温度以下であることを特徴とするも
のである。
【0023】ここで、塗布膜の乾燥固化温度が転移層の
融点以上であると、塗布膜の乾燥によって転移層が融け
出して凝集し、塗布膜が塗布型から浮き上がってしま
い、その後の硬化によって予期せぬ収縮などを起こす恐
れがあるため、所望の形状の無端状ベルトが形成されな
いという恐れがある。一方、一旦乾燥固化した無端状ベ
ルトは、塗布型から浮き上がってもベルトの形状を維持
することが可能であることが分かっている。
【0024】請求項6の無端状ベルトの製造方法におい
ては、塗布膜の乾燥固化を転移層の融点より低い温度で
行うことにより、乾燥固化段階では転移層が溶解しない
ようにする。これによって、乾燥固化段階までは塗布膜
に皺等が生じないようにする。そして、乾燥固化した塗
布膜を硬化させるときには、塗布膜を転移層の融点以上
の温度に加熱し、塗布膜に接している転移層が融点以上
に加熱されるようにする。これによって、塗布膜を硬化
させると共に、転移層を溶解して無端状ベルト側に転移
させる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る無端状ベルト
3の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態
に係る無端状ベルト3の製造方法は、回転する塗布型1
の内面にスプレー塗布などで無端状ベルト基材としての
塗布液を流し込んで高速回転し、その遠心力で塗布液を
拡げて均一の塗布膜3を形成し、その塗布膜3を乾燥固
化した後、硬化させて無端状ベルト3を形成し、得られ
た無端状ベルト3を塗布型1から取り出す遠心成形法を
用いたものである。
【0026】図1は、本実施形態にかかる無端状ベルト
の製造方法に用いる筒状の塗布型1の縦断面図である。
この塗布型1の内周面には、タフラム皮膜層2と、この
タフラム皮膜層2の両端部を除く内部領域の表面に転移
層4とが形成され、その表面に塗布膜3が形成されてい
る。図中の一点鎖線は遠心成形の工程における塗布型1
の回転軸5を示している。上記塗布型1は、例えばアル
ミ等などの金属からなるものである。また、上記タフラ
ム皮膜層2は、タフラム処理によって形成している。
【0027】ここで、タフラム処理について説明する。
先ず、アルミニウム金属面(又はアルミニウム合金面)
を硫酸等の酸溶液中で陽極酸化反応(電解)させてその
表面に硬質の酸化アルミニウム被膜(Al )か
らなる多孔質層を形成する。これにより、形成される多
孔質層の半分以上が母材のアルミニウム金属面に食い込
んで形成され、母材とー体化されて密着性の高い多孔質
層となっているものである。そして、この硬質アルマイ
トの多孔質層上に、フッ素系樹脂としてのテフロン樹脂
を含浸・被覆させたものがタフラム(商標名)皮膜とし
て、一般的に使用されているものであり、本実施形態に
おけるタフラム皮膜層2となっている。このタフラム皮
膜層2表面には凹凸があり、低離型性を有するものとな
っている。
【0028】上記転移層4は、完全に硬化した無端状ベ
ルトを塗布型1から脱型することにより無端状ベルト表
面に転移し、かつ無端状ベルト表面の摩擦係数を低下さ
せる潤滑剤的作用を発揮するものである。
【0029】上記のようにして得られた塗布型1の内周
面は、塗布液の付与予定部の両端部がタフラム皮膜層2
の表面が露出した低離型性層となり、この両端部を除く
内部領域の表面が転移層4となっている。
【0030】次に、上記のように表面の処理が行われた
塗布型1に塗布膜3を形成する。上記塗布膜3はポリイ
ミド前駆体としてのポリアミド酸が遠心成形法により型
面1a上に成形されたものであり、このポリアミド酸は
イミド閉環することによりポリイミドに変化する性質を
有する。即ち、本実施形態においては、無端状ベルト3
を形成するための基剤としてポリアミド酸(polyamic ac
id)を主成分とする溶液を塗布液として用い、ポリイミ
ドを基本素材とする無端状ベルト3を形成する。
【0031】ポリアミド酸は、特定の有機溶剤に溶解
し、且つ熱又は触媒によってイミド閉環する。ポリイミ
ド形成用のポリアミド酸溶液は、周知の如く、有機ジア
ミンと有機テトラカルボン酸二無水物との当モル量が、
有機溶媒中で反応することにより得られる。本実施形態
においては、ポリアミド酸として市販のポリイミド前駆
体溶液(東レ製:トレニース#3000)と導電剤とし
てのカーボンブラックを、有機溶剤であるN−Nジメチ
ルアセトアミド(以下、DMACと称する)によって1
0/3倍に希釈してポリアミド酸溶液を調整した。
【0032】そして、塗布型1を遠心回転用の装置に取
付け、周知の遠心成形法の技術により、塗布膜3を塗布
型1の内周面に成形する。具体的には、塗布液を塗布し
た後、図1の回転軸5を中心に塗布型1を高速回転させ
て流延成形し、ポリアミド酸の塗布膜3を得る。
【0033】塗布膜3を形成後、塗布膜3の溶媒である
DMACを加熱によって蒸発させて乾燥固化し、更に加
熱によってポリアミド酸膜のイミド閉環を行うことで硬
化させ、無端状ベルト3が形成される。
【0034】ここで、上記塗布液としての溶剤中の基剤
濃度は特に限定されるものではない。但し、優れた表面
性や厚み精度を得るためには、基剤濃度の調整により基
剤溶液の粘度を調整することが望ましい。
【0035】上記のように内周面が処理された塗布型1
を用いて形成した無端状ベルトを塗布型1から脱型する
と、得られた無端状ベルトは、その両端部を除く内部領
域に転移層を形成する物質が転移していた。
【0036】ところで、上記遠心成形法を用いて無端状
ベルト3を製造する場合、塗布膜3を塗布型1に密着さ
せたまま加熱により硬化させると、該硬化膜と塗布型1
内周面との接着力が増大し、該硬化膜の脱型(型からの
剥離)が困難になる。そのため、塗布液を付与する塗布
型1の内周面を無端状ベルト3の脱型が容易となるよう
な離型性にすることが考えられる。しかしながら、塗布
型1内周面を離型性にすると、塗布膜3の加熱によって
膜が塗布型1の型面から浮いてくることがあり、この浮
きは、必ず遠心回転軸方向端部から生じるものであっ
た。しかも、本発明者らの観察により、塗布膜3の加熱
による硬化の過程において、該塗布膜3は加熱保温時に
は膨張し、冷却時には収縮するという状態変化を起こし
ていることがわかった。
【0037】そして、上記塗布膜端部の浮き防止のため
の第1の対策として、塗布液の遠心回転軸方向両端部へ
の流動を防止するために設ける堰止め部材を、上記浮き
防止に用いることが考えられる。しかしながら、堰止め
部材が完全に塗布液の流動を遮断していないと、堰止め
部材と塗布型1との隙間に塗布液が入り込み、その部分
での溶剤の乾燥が不充分となって乾燥ムラが生じ、かえ
って浮きが発生しやすくなってしまうことが判った。さ
らに溶剤乾燥が不十分であると、塗布膜3はぼろぼろの
凝集膜となりきれいに成膜しないことも分かってきた。
また、堰止め部材が熱による非可逆的な収縮をすること
があり、そのような場合、堰止め部材の収縮で塗布膜3
もつられて収縮して浮いてしまう事も判った。
【0038】そして、上記塗布膜端部の浮き防止のため
の第2の対策として、塗布型1の内周面を本実施形態で
も行っているタフラム処理することも考えられる。この
タフラム処理をすれば、塗布膜3は硬化段階まで浮きが
なく、完全硬化した無端状ベルト3の塗布型1からの脱
型も確実に出来ることが判った。しかしながらタフラム
被膜表面には微細なクラックがあるため、無端状ベルト
3表面にも微細な凹凸が形成されしまうことがあり、こ
の凹凸が甚だしい場合はこの無端状ベルト3を用いて形
成した画像にボソツキと呼ばれる微妙な斑点白抜けが生
じてしまう。
【0039】本実施形態においては、タフラム被膜表面
を塗布型1内周面における塗布液の付与予定部の塗布型
1回転軸方向両端部のみで露出させ、内部領域は転移層
で被覆している。これによって、塗布膜3の乾燥固化及
び硬化のための加熱によって塗布膜3が端部から浮き始
めることがなく、かつ、得られた無端状ベルト表面の上
記内部領域にあたる部分の表面は平滑となる。
【0040】そして、本実施形態によれば、塗布型1の
無端状ベルトが形成される部分の塗布型回転軸方向両端
部が低離型性層を有しているので、その上に形成された
無端状ベルトは、硬化状態となるまで剥離せず端部から
の浮きが生じなかった。よって、ベルト表面に浮き収縮
がなく膜表面が平滑な無端状ベルトを得ることができ
た。
【0041】また、本実施形態によって得られた無端状
ベルトを、複写機に搭載し、中間転写ベルト30として
用いたときに形成された画像の評価を行ったところ、潤
滑剤の塗布を行わなくても虫喰い画像がなく、また、ボ
ソツキもない良好な画像を形成することができた。
【0042】
【実施例】以下に、本発明に係る無端ベルト3の製造方
法のより具体的な実施例を、比較例とともに説明する。 (実施例1)塗布型1の内周面全面をタフラム処理し、
タフラム皮膜層2を形成した。この塗布型1のタフラム
皮膜層2の表面に、予め離型性粉体としてのステアリン
酸亜鉛の微粒子(堺化学製)を溶液としてのエタノール
中へ撹拌分散した離型性溶液としての分散液を遠心成形
で塗布した。このとき、塗布型1内周面の両端部を除く
内部領域のみに上記分散液の皮膜が形成されるよう、分
散液の流動を阻止する堰止めのマスク(図示を省略)を
して遠心成形をおこなった。その後、分散液の皮膜は7
0℃で乾燥し、転移層4を形成した。これによって、塗
布型1の内周面は、転移層4の塗布型回転軸方向両端部
に隣接して、タフラム被膜層2による低離型性層が形成
された状態となる。次に、転移層4よりも回転軸方向両
端部にはみ出して塗布液が塗布出来るように堰止めを両
端側に移動し、前述の塗布液を軸方向両側がタフラム皮
膜層2からなる低離型性層にかかるように塗布した後、
塗布型1を高速回転しながら該塗布液を均一な膜状にし
て塗布膜3を形成した。
【0043】次に、塗布膜3を80℃で加熱し、その溶
剤成分を乾燥除去した。その後塗布型1の回転を止めて
遠心回転用の装置から塗布型1を取り出し、堰止めを取
り外して恒温槽に移し、まず100℃で加熱して塗布液
中の溶剤の完全除去を行った。次に、加熱温度を300
℃に上げ、塗布膜3の完全な硬化を行った。塗布膜3が
完全に硬化した後、冷却して塗布型1を恒温槽から取り
出した。無端状ベルト3の塗布型1からの浮きはなく、
型内に良好にベルト3の硬化膜が形成されていた。そし
て、無端状ベルト3膜の両端部縁をナイフエッジで塗布
型1から僅かに浮かし、手で端部より剥離したが、剥離
はスムーズで剥離跡も残らなかった。またベルトの遠心
回転軸方向内部領域は、型内面に接していた表面も光沢
を持ち、極めて平滑であった。また、転移層4としての
ステアリン酸亜鉛微粒子の膜は、無端状ベルト3の表面
に融着していた。
【0044】(実施例2)実施例1と同様、塗布型1の
内周面全面をタフラム処理し、タフラム皮膜層2を形成
した。この塗布型1の内周面の回転軸方向両端部の所定
領域表面をマスキングし、真空装置の中で塗布型1の内
面にステアリン酸亜鉛の微粒子(堺化学製)を蒸着し、
転移層4を形成した。これによって、塗布型1の内周面
は、転移層4の塗布型回転軸方向両端部に隣接して、タ
フラム被膜層2による低離型性層が形成された状態とな
る。次に、転移層4よりも回転軸方向両端部にはみ出し
て塗布液が塗布出来るように堰止めを設け、塗布液を軸
方向両側がタフラム皮膜層2からなる低離型性層にかか
るようににかかるように塗布した後、塗布型1を高速回
転しながら塗布液を均一な膜状にして塗布膜3を形成し
た。次に、塗布膜3を70℃で加熱し、溶剤を乾燥除去
した。その後塗布型1の回転を止めて塗布型1を遠心回
転用の装置から取り出し、堰止めを取り外して恒温槽に
移し、まず100℃で加熱して塗布液中の溶剤の完全除
去をおこなった。次に、加熱温度を300℃に上げ、塗
布膜3の完全な硬化を行った。塗布膜3が完全に硬化し
た後、冷却して塗布型1を恒温槽から取り出した。無端
状ベルト3の塗布型1からの浮きはなく、型内に良好に
ベルトの硬化膜が形成されていた。また、無端状ベルト
3膜の塗布型1からの剥離、及び膜表面の状態も、実施
例1と同様であった。
【0045】(実施例3)実施例1及び2と同様、塗布
型1の内周面全面をタフラム処理し、タフラム皮膜層2
を形成した。この塗布型1のタフラム皮膜層2の表面
に、離型性粉体としてのステアリン酸カルシウムを溶液
としてのトルエンに分散させた離型性溶液としてのステ
アリン酸カルシウム溶液を約1μmの層厚に塗布した。
このときも、実施例1と同様に、塗布型1内周面の両端
部を除く内部領域のみに上記分散液の皮膜が形成される
よう、分散液の流動を阻止する堰止めのマスクをしてお
いた。その後、150℃で加熱乾燥を行い、転移層4を
形成した。これによって、塗布型1の内周面は、転移層
4の塗布型回転軸方向両端部に隣接して、タフラム被膜
層2による低離型性層が形成された状態となる。次に、
堰止めを両端側に移動し、前述の塗布液を、軸方向両側
がタフラム皮膜層2からなる低離型性層ににかかるよう
に塗布した後、塗布型1を高速回転しながら塗布液を均
一な膜状にして塗布膜3を形成した。次に、塗布膜3を
80℃で加熱し、溶剤を乾燥除去した。その後塗布型1
の回転を止めて塗布型1を遠心回転用の装置から取り出
し、堰止めを取り外して恒温槽に移し、まず100℃で
加熱して塗布液中の溶剤の完全除去をおこなった。次
に、加熱温度を300℃に上げ、塗布膜3の完全な硬化
を行った。塗布膜3が完全に硬化した後、冷却して塗布
型1を恒温槽から取り出した。無端状ベルト3の塗布型
1からの浮きはなく、型内に良好にベルトの硬化膜が形
成されていた。また、無端状ベルト3膜の塗布型1から
の剥離、及び膜表面の状態も、実施例1及び2と同様で
あった。
【0046】(比較例1)実施例1と同様、塗布型1の
内周面全面をタフラム処理し、タフラム皮膜層2を形成
した。この塗布型1のタフラム皮膜層2の表面のうち、
両端部を除く内部領域のみにステアリン酸亜鉛の微粒子
(堺化学製)を注ぎ込んで高速回転し、粉体膜を形成し
た。ここで、塗布型1の回転を停止すると、微粒子は落
下し、転移層4は得られなかった。このため、上記同様
にステアリン酸亜鉛の微粒子を注ぎ込んだ後、塗布型1
を回転させ続け、かつ、塗布型1を130℃に加熱して
微粒子を溶融させた。これにより、ステアリン酸亜鉛の
微粒子のうち型表面に直接接しているものはすぐに融け
て透明な膜を形成した。しかしながら、幾層にも積層し
ているところの微粒子はなかなか溶融せずに白い粉のま
まであり、均一な転移層4はなかなか形成されなかっ
た。さらに時間をかけて加熱し続けると、微粒子全体が
溶融したため冷却し、これによって転移層4が得られ
た。これによって、塗布型1の内周面は、転移層4の塗
布型回転軸方向両端部に隣接して、タフラム被膜層2に
よる低離型性層が形成された状態となる。次に、転移層
4よりも回転軸方向両端部にはみ出して塗布液が塗布出
来るように堰止めを設け、それ以後は実施例1と同様の
ステップで塗布型1内周面に無端状ベルト3を形成し
た。このようにして形成した無端状ベルト3は、ベルト
の塗布型1からの浮きがなく、型内に良好にベルトの硬
化膜が形成されていた。また、無端状ベルト3膜の塗布
型1からの剥離、及び膜表面の状態も、実施例1乃至3
と同様であった。
【0047】比較例1のように、転移層4を形成すると
きに、ステアリン酸亜鉛の微粒子(堺化学製)をそのま
ま注ぎ込むと、部分的に微粒子が重なりあって層厚にな
ってしまい、層厚の均一な薄膜状にするまでに時間がか
かってしまった。同じようにステアリン酸亜鉛の微粒子
をそのまま用いる場合であっても、実施例2のように真
空蒸着を行えば、均一な層厚の薄膜が短時間で形成でき
るということが分かった。また、実施例1及び3のよう
に、ステアリン酸亜鉛の微粒子を溶液に分散させて塗布
することも、転移層4を短時間で容易に形成するため
に、有用であることも分かった。
【0048】(比較例2)塗布型1の内周面全面をタフ
ラム処理し、タフラム皮膜層2を形成した。そして、転
移層4は設けず、このタフラム処理のみを行った塗布型
1の内周面に、塗布型1の高速回転によって塗布膜3を
形成し、それ以後は実施例1と同様のステップで塗布型
1内周面に無端状ベルト3を形成した。このようにして
形成した無端状ベルト3は、塗布型1からの浮きがな
く、型内に良好にベルトの硬化膜が形成されていた。ベ
ルト表面の状態については、表面の状態が滑らかなもの
と、触ってざらざらのものとがあった。
【0049】(比較例3)塗布型1の内周面全面をタフ
ラム処理し、タフラム皮膜層2を形成した。この塗布型
1のタフラム被膜のうち、回転軸方向両端部を除く内部
の領域のみをバフ研磨し、表面を平滑にした。これによ
って、塗布型1の内周面は、塗布液の付与予定部の塗布
型回転軸方向両端部のみが低離型性層で、その内部領域
が表面の平滑な離型性層となる。次に、上記バフ研磨し
た表面よりも回転軸方向両端部にはみ出して塗布液が塗
布出来るように堰止めを設け、塗布液を軸方向両側がバ
フ研磨した領域より両端部にはみ出してタフラム皮膜層
2上に収まるように塗布した後、塗布型1を高速回転し
ながら塗布液を均一な膜状にして塗布膜3を形成した。
それ以後は、実施例1と同様のステップで塗布型1内周
面に無端状ベルト3を形成した。このようにして形成し
た無端状ベルト3は、塗布型1からの浮きがなく、型内
に良好にベルトの硬化膜が形成されていた。ベルト表面
の状態は滑らかであった。
【0050】このようにして形成した無端状ベルト3を
複写機である(株)リコー製フルカラー複写機プリテー
ルに搭載し、中間転写ベルト30として用いたときに形
成された画像の評価を行った。
【0051】図2は、本実施例の無端状ベルト3を使用
できる複写機の要部概略構成図である。該複写機につい
てカラー画像が完成するまでの過程を簡単に説明する。
図2において、公知の工程で感光体29に静電潜像が形
成された後、現像ユニット24、25、26、および2
7により各色の現像が繰り返され、感光体29上に各々
の色画像(トナー像)が順次形成される。各色トナー像
は、それぞれ単色毎に中間転写ベルト30上の同じ位置
に順次重なって転写される。この転写は、転写バイアス
ローラ31に印加された所定のバイアス電圧によって生
じる。中間転写ベルト30上に転写された後、紙転写バ
イアスローラー33aにより、紙等の転写材に一括転写
される。転写完了後、該転写材は、定着装置38に送ら
れてトナー像が定着され、フルカラー画像となって現れ
る。
【0052】そして、上記実施例1乃至3及び比較例1
乃至3を合わせた計6種類の無端状ベルト3について、
中間転写ベルト30として複写機に設置するに適した幅
に該ベルト3の両端部を切断し、上記装置内に取り付け
た。そして、該装置を駆動し、画像形成を行いながら形
成された画像状態を評価した。
【0053】その結果、実施例1乃至3と、比較例1の
無端状ベルト3を用いて形成した画像はいずれも、ボソ
ツキ、虫喰い画像の共になく、良好な画像が形成でき
た。一方、比較例2の無端状ベルト3は、表面の状態が
滑らかなものと触ってざらざらのもののうち、表面がな
めらかな場合は形成した画像が良好であったが、ざらざ
らの場合は画像にボソツキが発生してしまった。又、虫
喰い画像も発生した。また、比較例3の無端状ベルト3
は、形成した画像にはボソツキはなく良好であったが、
潤滑剤を塗布しないで画像形成を行うと文字細線の中抜
けといういわゆる虫喰い画像が発生してしまった。この
無端状ベルト3表面に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を
塗布すると、虫喰い画像も発生しなくなった。
【0054】以上の結果より、本発明の製造方法によっ
て形成した無端状ベルト3は、虫喰い画像のない良好な
画像を形成できることが分かった。これは、ベルトの遠
心成形によってベルト表面にステアリン酸亜鉛又はステ
アリン酸カルシウムを転移させることができ、かつ、こ
れらがベルトを中間転写ベルト30として使用したとき
の表面の摩擦係数を低下させる潤滑剤の役割を果たすた
めである。従って、遠心成形により製造した無端状ベル
ト3に、潤滑剤を塗布する必要がなくなり、このように
して製造した無端状ベルト3は、画像形成装置に用いる
場合、有用であることが分かった。又、上記実施例のよ
うにして無端状ベルト3を製造することによって、この
ように有用なベルト3を容易に製造でき、製造工程を簡
略化することからも本発明の無端状ベルト3の製造方法
が有用であることが分かる。
【0055】また、上記実施例1及び2においては、転
移層4を形成する基材として、脂肪酸金属塩としてのス
テアリン酸亜鉛を用いている。このステアリン酸亜鉛微
粒子は、融点が120℃であり、塗布膜3の乾燥温度6
0〜100℃より高く、硬化温度300℃よりも低いの
で、塗布膜3を乾燥固化させる間は溶解することなく、
また、塗布膜3を硬化させる段階で溶解して塗布膜3に
浸透し、確実に無端状ベルト3側に転移させることがで
きる。又、本実施例においては、塗布膜3の硬化温度を
300℃としているが、200℃でも硬化は可能であ
る。この場合においても、ステアリン酸亜鉛は融点温度
が200℃よりも低いので、上記同様の効果を得ること
ができる。更に、ステアリン酸亜鉛微粒子は一般的に感
光体や中間転写ベルト30に塗布されて摩擦係数を調整
する潤滑剤として使用されているものであり、潤滑剤と
して有効である。更に、ステアリン酸亜鉛は蒸着が容易
であり、薄膜形成には有利である。
【0056】尚、転移層4を形成する材料として上記の
ような効果を有するものは、ステアリン酸亜鉛に限定さ
れるものではなく、他の脂肪酸金属塩でも同様の効果が
ある。
【0057】また、本実施例のように、ステアリン酸亜
鉛又はステアリン酸カルシウムを溶媒中に分散させた分
散液の状態で塗布型1に塗布することにより、転移層4
を容易に薄膜状に形成することができる。また、溶媒と
して、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムな
どが溶解しない非溶解性のものを用いても、溶媒の乾燥
後もステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムなど
は、塗布型1に良好に付着し続けている。そして、その
表面に塗布液を塗布した場合でも、均一な塗布膜3が良
好に形成できるものである。
【0058】
【発明の効果】請求項1乃至6の無端状ベルトの製造方
法によれば、ベルト表面に転移した転移層が無端状ベル
ト表面の摩擦係数を低下させる潤滑剤的作用を発揮する
ので、この無端状ベルトを用いて画像形成を行えば、虫
喰い画像の予防のために画像形成を行う度に該ベルト表
面に潤滑剤塗布を行い続ける必要がなくなる。よって、
遠心成形法による無端状ベルトの製造方法において、虫
喰い画像の予防のために画像形成を行う度に潤滑剤塗布
を行い続ける必要のない無端状ベルトを遠心成形法によ
って得ることができるという優れた効果がある。
【0059】特に、請求項2乃至6の無端状ベルトの製
造方法によれば、潤滑剤的作用を発揮する転移層が無端
状ベルト表面で無駄なく有効に活用されるので、転移層
を形成するための材料が有効に活用されると共に、転移
層の形成作業にも無駄がないという優れた効果がある。
【0060】特に、請求項3乃至6の無端状ベルトの製
造方法によれば、塗布膜の乾燥固化及び硬化のための加
熱によって塗布膜が端部から浮き始めることがないの
で、ベルト表面に浮き収縮がなく膜表面が平滑な無端状
ベルトを確実に得るとができるという優れた効果があ
る。
【0061】特に、請求項4乃至6の無端状ベルトの製
造方法によれば、無端状ベルトの形成途中において、塗
布膜端部が低離型性層から浮き上がることがないと共
に、低離型性層が塗布型から浮き上がることもないの
で、これら2つの原因によるベルト厚のバラツキを防止
することができるという優れた効果がある。また、硬質
アルマイト処理は、高温による処理が不必要で、低離型
性層の形成時にも熱が加わらないので、加熱による低離
型性層の歪み(アニール変形)等が生じにくくなり、そ
の上に形成される無端状ベルト表面に予期せぬ歪みがレ
プリカされることもない。また、完成した無端状ベルト
は、低離型性層から容易に剥離することができるので、
無端状ベルトの塗布型からの離型性が良好であるという
優れた効果もある。
【0062】特に、請求項5及び6の無端状ベルトの製
造方法によれば、転移層を均一にまた薄層状に塗布型内
周面に形成することが容易となるという優れた効果があ
る。
【0063】特に、請求項6の無端状ベルトの製造方法
によれば、塗布膜の乾燥固化段階までは塗布膜に皺等が
生じないので、良好な形状の無端状ベルトが形成できる
と共に、転移層を無端状ベルト表面に確実に転移させる
ことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる筒状の塗布型の縦断面図。
【図2】本実施例の無端状ベルトを使用できる複写機の
要部概略構成図。
【符号の説明】
1 塗布型 2 タフラム皮膜層 3 塗布膜(無端状ベルト) 4 転移層 5 回転軸 24、25、26、27 現像ユニット 30 中間転写ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29C 41/40 B29C 41/40 B29D 29/00 B29D 29/00 G03G 7/00 G03G 7/00 M 15/16 15/16 // B29L 23:00 B29L 23:00 Fターム(参考) 2H032 BA09 BA18 DA13 4D075 AC00 AC64 AC65 BB24Z BB26Z CA06 DA03 DC16 EA05 EC01 4F202 AA40 AC05 AG16 AJ02 AJ03 AJ10 AJ11 AR06 CA04 CB01 CC07 CD22 CK13 CM26 CM47 CN01 4F205 AA40 AC05 AG16 AJ02 AJ03 AJ10 AJ11 AR06 GA02 GB01 GC04 GE02 GE21 GF01 GF06 GF23 GN01 GN13 GN17 GN21 GN24 GN29 4F213 AA40 AC05 AG16 AJ02 AJ03 AJ10 AJ11 AR06 WA03 WA52 WA73 WA87 WA90 WB01 WC03 WE02 WE21 WF01 WF23 WK03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転する筒状の塗布型の内周面に無端状ベ
    ルトを形成するための基剤としての塗布液を付与し、該
    塗布型の回転による遠心力で該内周面に均一な塗布膜を
    形成し、該塗布膜を乾燥固化し更に硬化状態にした後、
    該塗布型から脱型することにより無端状ベルトを得る無
    端状ベルトの製造方法において、 上記塗布液の付与に先だって、上記塗布型の内周面にお
    ける該塗布液の付与予定部に、上記無端状ベルトの該塗
    布型からの脱型に際して該無端状ベルト表面に転移し、
    かつ該無端状ベルト表面の摩擦係数を低下させる潤滑剤
    的作用を発揮する転移層を形成することを特徴とする無
    端状ベルトの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1の無端状ベルトの製造方法におい
    て、 前記塗布型の内周面における前記塗布液の付与予定部の
    該塗布型回転軸方向両端部を除く内部領域に、前記転移
    層を形成することを特徴とする無端状ベルトの製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項2の無端状ベルトの製造方法におい
    て、 前記塗布液の付与に先だって、前記塗布型の内周面にお
    ける該塗布液の付与予定部の塗布型回転軸方向両端部
    に、前記塗布膜が硬化状態となるまで該塗布膜が該塗布
    型から剥離しないような低離型性を発揮する低離型性層
    を形成することを特徴とする無端状ベルトの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項3の無端状ベルトの製造方法におい
    て、 前記塗布型がアルミニウム金属から成るものであって、
    前記低離型性層を、該塗布型内周面に硬質アルマイト処
    理による多孔質層を形成し該多孔質層上にフッ素系樹脂
    膜を設けることにより形成したことを特徴とする無端状
    ベルトの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3、又は4の無端状ベルト
    の製造方法において、 前記転移層を、潤滑剤的作用を発揮する粉体を溶液中に
    分散させた潤滑性溶液を前記塗布型に塗布して遠心成形
    することにより形成したことを特徴とする無端状ベルト
    の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4、又は5の無端状ベ
    ルトの製造方法において、 前記塗布膜の硬化を加熱によって行うものであって、前
    記転移層の融点が、該塗布膜の乾燥固化温度より高く、
    かつ、該塗布膜の硬化温度以下であることを特徴とする
    無端状ベルトの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7058345B2 (en) * 2001-11-12 2006-06-06 Seiko Epson Corporation Transfer belt unit and image forming apparatus using the same
JP2006330242A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Ricoh Co Ltd 無端ベルトおよびその製造方法、ならびに画像形成装置
JP2011248013A (ja) * 2010-05-25 2011-12-08 Ricoh Co Ltd 中間転写ベルト及びそれを用いた電子写真装置
JP2016122048A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 株式会社リコー 中間転写装置及びこれを用いる画像形成装置

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