JP2001158023A - 遠心成形用塗布型、遠心成形方法及び無端状ベルトの製造方法 - Google Patents

遠心成形用塗布型、遠心成形方法及び無端状ベルトの製造方法

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JP2001158023A JP36927399A JP36927399A JP2001158023A JP 2001158023 A JP2001158023 A JP 2001158023A JP 36927399 A JP36927399 A JP 36927399A JP 36927399 A JP36927399 A JP 36927399A JP 2001158023 A JP2001158023 A JP 2001158023A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遠心成形される無端状ベルト膜の膜形成時に
おける塗布型からの剥離を防止して、膜厚の均一な無端
状ベルトを確実に製造できる遠心成形用塗布型、遠心成
形方法及び無端状ベルトの製造方法を提供する。 【解決手段】 塗布型2の内周面又は内外周面の多数の
凹凸を有する上面にフッ素系樹脂被膜からなる離型膜1
5を設け、円筒の軸を中心として回転する外筒管1内に
挿入し、この外筒管に従連動させて上記塗布型を回転さ
せ、該塗布型内周面に塗布液を注入して無端状の塗布膜
3を形成し、乾燥固化及び硬化を行うことによって無端
状ベルトを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ等における中間転写ベルト等として使
用される無端状ベルトを、遠心成形により成形する遠心
成形用塗布型、遠心成形方法及び無端状ベルトの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、遠心成形法による無端状ベルトの
製造方法は、回転する筒状の型(以下、塗布型という)
の内周面に、無端状ベルトを形成するための基材として
の溶液(以下、塗布液という)をスプレー塗布等で流し
込み、高速回転しながらその遠心力で塗布液を軸方向に
広げて均一の膜を形成し、この均一な膜(以下、塗布膜
という)を乾燥固化あるいは必要に応じてさらに硬化さ
せた後、塗布型から剥離して取り出す方法が知られてい
る。ここで以下、塗布膜とは、塗布型に塗布液が膜状に
広がった状態や乾燥固化した状態など完全硬化する前の
状態の膜をいい、無端状ベルトとは、塗布型内で完全硬
化した状態、及び塗布型から剥離して最終的に得られた
状態のベルトをいうものとする。
【0003】図13は、従来知られていた塗布型内周面
に塗布膜を形成した状態を示している。このような無端
状ベルトの製造方法は、以下のような種々の利点があ
る。 1.ベルト厚が塗布液の量によって任意に調整できる。 2.塗布した塗布液が全て無端状ベルトとなるため、材
料に無駄がなく材料効率が良い。 3.塗布型内部は閉空間となっているため、塗布液等の
溶剤除去の際には排気経路に溶剤トラップを設けること
で外部に排出される溶剤を効率よく回収できる。
【0004】このように、上記無端状ベルトの製造方法
は優れた方法ではあるが、次のような問題もあった。塗
布型内で乾燥固化状態を過ぎて硬化状態まで達した後に
無端状ベルトを塗布型から剥離して取り出す方法におい
ては、塗布型からの脱型時には容易に剥離できなければ
ならない。これに対して、脱型前の段階である塗布液の
乾燥固化時や硬化時には、塗布膜が塗布型から剥離して
しまうことなく貼り付いていなければならない。つま
り、無端状ベルトの塗布型に対する離型性についての要
求が、膜の形成段階によって相反するものとなってしま
う。しかし、従来はこの要求を充分に満足する材質や工
法が得られていなかった。
【0005】そこで、乾燥固化状態のまま塗布型から塗
布膜を剥離し、その剥離した円筒状の塗布膜の内部に円
筒形の離型型を挿入して該膜を加熱硬化し、硬化した膜
を離型型から剥離して無端状ベルトを製造するといった
方法が考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法で
は、遠心成形された塗布膜は、乾燥が不充分であると柔
らかくて塗布型から剥離するときに破れやすく、また、
乾燥固化しすぎると塗布型に密着しすぎて剥離しにくく
なってしまう。このため、塗布膜の剥離時には、その膜
の乾燥状態の判断を的確に行う必要がある。また、細心
の注意を払って剥離を行う必要もある。更に、例えば膜
の乾燥温度条件を一定にしているつもりでも、環境条件
の微妙な変化で塗布膜がうまく剥離できないなど、難し
い面もある。
【0007】また、型径等が変更になると乾燥条件が変
わってしまい、最初から条件出しをしなければならなく
なることがある。更に、塗布膜を離型型に挿入しやすく
するためにクリアランスを大きくすると離型型と塗布膜
との間に隙間が生じてしまう場合もある。そして、この
ような場合に硬化のための加熱温度にムラがあると、塗
布膜は均一に硬化収縮せずに部分的な皺が発生すること
がある。更に、離型型と塗布膜との間に予期せぬ空気が
入ると、その空気が抜け出せないまま塗布膜が硬化収縮
するため膜に凸状の浮きが生じてしまうこともある。更
には、塗布膜を塗布型から剥離する第1剥離工程と、無
端状ベルトを離型型から剥離する第2剥離工程といった
2段階の剥離工程が必要であり、工程が複雑になって、
無端状ベルトの量産性の面でも問題がある。
【0008】これらの問題を考慮すると、塗布、乾燥、
硬化、剥離脱型といった一連の工程を一つの型で一貫し
て処理(製造)する前述の方法が望ましい。
【0009】尚、上記の一連の工程を一貫して処理する
ものとして、特開昭48−91159号公報において、
塗布型の内周面に離型膜の基材を塗布或いは被覆するこ
とで該離型膜を設け、この離型膜上にベルトの基材とし
ての塗布液を塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を加熱硬
化した後、離型膜をその融点温度以上にして塗布型から
流出させることにより、塗布膜を剥離する技術が開示さ
れている。
【0010】しかしながら、上記技術は、塗布膜の剥離
の度に逐一離型膜の流出と形成を繰り返さなければなら
ならないものであった。離型膜を形成するための基材
に、無端状ベルトの基材である塗布液の硬化温度よりも
高い融点のものを使用する必要がある。このため、例え
ば、塗布液としてポリイミド酸を用いた場合、離型膜が
略300℃の融点を有する必要があり、離型膜基材の選
択上の問題もあった。これらの理由から、無端状ベルト
の量産に適しているとは言い難かった。
【0011】ところで、無端状ベルトを一つの型で製造
し且つこの型に量産性を持たすために、離型膜の材質に
フッ素系樹脂を使用することが考えられる。フッ素系樹
脂は、その融点が略300℃前後と高く耐熱性があるの
で、転写材に転写されたトナー像を加熱により定着する
定着ローラにも使用される。よって、離型膜として繰り
返し使用することが可能であり、また、無端状ベルトの
基材の選択範囲も広くなる。更に、フッ素系樹脂は、低
摩擦係数を有していることから、無端状ベルトを剥離し
やすく、良好な離型性材質である。
【0012】しかしながら、フッ素系樹脂を離型膜とし
て用いても下記のような不具合が生じる恐れがあること
が判った。1つには、フッ素系樹脂は塗布型に対して密
着しにくく、塗布型の遠心回転によって離型膜が塗布型
から浮き上がる場合がある。そして、浮き上がりの生じ
た離型膜表面の回転軌跡が遠心回転軸に対してフレを起
こしてしまう。このため、離型膜上に形成される無端状
ベルトの厚みが、離型膜の浮き上がり部分とそうでない
部分との間でばらき、均一にならないことがある。もう
1つには、フッ素系樹脂の離型膜は高撥水性であるた
め、離型膜上に塗布する塗布液が一様に密着しにくい。
このため、塗布膜の乾燥固化又は硬化等の加熱時に、塗
布膜が離型膜から浮き上がり、浮いた部分が不均一に収
縮してベルトの厚みが均一にならないこともある。これ
らのことから、厚みの均一な無端状ベルトを得ることが
困難であるという不具合があった。そして、本発明者ら
は、塗布型からの離型膜の浮き上がりによるベルト厚の
バラツキや、離型膜からの塗布膜の浮き上がりによるベ
ルト厚のバラツキを防止したいと考えた。
【0013】本発明は以上の問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的とするところは、塗布工程から剥離脱
型工程までの一連の工程を一つの型で一貫して処理(製
造)できると共に、塗布型からの離型膜の浮き上がりに
よるベルト厚のバラツキ、又は離型膜からの塗布膜の浮
き上がりによるベルト厚のバラツキを防止して、厚みの
均一な無端状ベルトを製造できる遠心成形用塗布型、遠
心成形方法及び無端状ベルトの製造方法を提供すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の遠心成形用塗布型は、遠心成形により無
端状ベルトを形成する遠心成形用塗布型において、上記
遠心成形用塗布型の内周面又は内外周面に多数の凹部を
有し、該凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離
型膜を設けたことを特徴とするものである。
【0015】請求項1の遠心成形用塗布型においては、
多数の凹部が形成されている塗布型の面上に略300℃
の高融点を有するフッ素系樹脂の離型膜を形成する。こ
れによって、塗布膜の乾燥固化、及び硬化のための加熱
に耐えうる離型膜を得ることができる。また、図1に示
す如く、離型膜を塗布型表面の凹部に侵入させて離型膜
と塗布型表面との接触面積を広くし、離型膜と塗布型と
の密着性を向上させる。これによって、遠心成形用塗布
型の回転時に、離型膜が塗布型から浮き上がりにくくな
り、浮き上がりによって生じる離型膜の遠心回転軸に対
する回転のフレが生じなくなる。このため、塗布型から
の離型膜の浮き上がりによる離型膜上の塗布膜の厚みの
バラツキが生じなくなる。また、離型膜が塗布型に密着
しているので、塗布型と離型膜との熱膨張率に差がある
場合でも、塗布膜の加熱時における離型膜の塗布型に対
する形状変化が生じにくくなり、離型膜の皺発生も防止
できる。よって、離型膜上に形成される無端状ベルトに
離型膜の皺がレプリカされることもない。また、離型膜
が塗布型に密着しているので、高温下における繰り返し
使用に対する耐久性も良い。
【0016】請求項2の遠心成形用塗布型は、遠心成形
により無端状ベルトを形成する遠心成形用塗布型におい
て、上記遠心成形用塗布型の上記無端状ベルトが形成さ
れるベルト形成領域のうち、遠心回転軸方向両端部近傍
が、該ベルトの形成途中において該遠心成形用塗布型か
らの浮きが抑制される程度の低離型性を有し、かつ、上
記ベルト形成領域のうち上記両端部近傍領域を除く内部
領域が、形成された無端状ベルトを容易に剥離できる程
度の高離型性を有することを特徴とするものである。
【0017】ここで、塗布膜の乾燥固化及び硬化段階で
の浮きは、遠心回転軸方向端部から発生することが本発
明者らの鋭意研究によって判明した。従って、少なくと
も塗布膜端部からの浮きを防ぐことが無端状ベルト形成
段階での塗布膜の塗布型からの浮きを防ぐのに有効であ
る。
【0018】請求項2の遠心成形用塗布型においては、
この塗布型を用いてその内周面に無端状ベルトを遠心成
形するとき、無端状ベルトが形成されつつある途中段階
では塗布膜の少なくとも遠心回転軸方向両端部近傍が塗
布型から浮きにくくなる。これにより、塗布膜が無端状
ベルトとなるまで、塗布型に密着させておくことができ
る。そして、完成した無端状ベルトは、上記両端部近傍
領域を強制的に塗布型から剥離すれば、上記両端部近傍
領域を除く内部領域は高離型性であるので容易に剥離す
ることができる。従って、塗布膜の形成段階での塗布型
からの浮きによる厚みの不均一化を防止しつつ、完成し
た無端状ベルトを塗布型から容易に剥離することができ
る。
【0019】また、請求項3の遠心成形用塗布型は、請
求項1又は2の遠心成形用塗布型において、上記遠心成
形用塗布型が、アルミニウム金属から成るものであっ
て、該遠心成形用塗布型の内周面又は内外周面に硬質ア
ルマイト処理で形成された多孔質層の多数の凹部を有
し、該凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型
膜を設けたことを特徴とするものである。
【0020】請求項3の遠心成形用塗布型においては、
塗布型としてのアルミニウム金属製塗布型を硬質アルマ
イト処理することによって、高温による処理を行うこと
なく容易に表面の凹部を形成することができる。この硬
質アルマイトの凹部表面にフッ素系樹脂膜からなる離型
膜を形成すると、離型膜が塗布型に密着する。ここで、
アルミ等の金属製の塗布型表面に直接無端状ベルトが形
成された場合における無端状ベルトの塗布型表面に対す
る離型性は低く、これに比して本発明の離型膜に対する
離型性は高いものである。しかし、通常のフッ素系樹脂
膜に比して本発明の離型膜表面は摩擦係数が高く、離型
性も通常のフッ素系樹脂膜よりは低いものになってい
る。従って、本発明の離型膜表面上に設けられる塗布液
が離型膜に一様に密着し、塗布膜が乾燥固化又は硬化の
ために加熱されても、この塗布膜が離型膜から浮き上が
ることがなく、また、離型膜も塗布型から浮き上がるこ
とがない。更に、本発明の離型膜からは、完全硬化した
無端状ベルトの剥離が容易である。
【0021】ところで、上記アルミニウム金属の塗布型
を硬質アルマイト処理し、その多孔質層の多数の凹部を
有する上面にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を設けた場
合は、塗布膜を塗布乾燥及び硬化させるときには塗布膜
が離型膜を介して塗布型に密着して塗布型からの剥離が
防止でき、かつ、硬化した無端状ベルトを塗布型から剥
離するときにはベルトを確実に剥離脱型することができ
る。しかしながら、この離型膜の表面には微細な凹凸
(クラック)があるため、その上に形成した無端状ベル
トにもクラックがレプリカされてしまうことがわかっ
た。そして、無端状ベルト表面のクラックが甚だしい場
合は、このベルトを用いて画像を形成すると、形成され
た画像にボソツキと呼ばれる微妙な点白抜が生じてしま
うことも判った。このことをふまえると、塗布型から剥
離脱型した無端状ベルトが、その表面の少なくとも画像
形成領域において、凹凸がなく平滑であることが望まし
い。
【0022】以上のことから、請求項4の遠心成形用塗
布型は、請求項2の遠心成形用塗布型において、上記遠
心成形用塗布型がアルミニウム金属から成るものであっ
て、前記ベルト形成領域の遠心回転軸方向両端部近傍
に、硬質アルマイト処理で形成された多孔質層の多数の
凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を設
け、その両端部近傍領域を除く内部領域には該構成の離
型膜を設けていないことを特徴とするものである。
【0023】請求項4の遠心成形用塗布型においては、
硬質アルマイト処理によって凹部を形成した塗布型表面
にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を、アルミニウム金属
製塗布型内周面のベルト形成領域における遠心回転軸方
向両端部近傍(以下、ベルト形成領域の両端部近傍とい
う)に設け、該両端部近傍領域を除く内部領域(以下、
ベルト形成領域の内部領域という)には設けない。この
型を用いて無端状ベルトの遠心形成を行うと、塗布膜の
乾燥固化及び硬化段階での端部からの浮きが防止できる
と共に、塗布型からのベルトの剥離脱型も容易にでき
る。更に、ベルト形成領域の内部領域表面を平滑にして
おけば、形成される無端状ベルトの上記内部領域に対応
する領域表面には凹凸がレプリカされることがないのそ
の領域の表面を平滑にすることも可能である。
【0024】また、請求項5の遠心成形用塗布型は、請
求項2の遠心成形用塗布型において、上記遠心成形用塗
布型が、前記ベルト形成領域の全域に前記高離型性を有
する材質からなる表面が形成された後、該高離型性を有
する表面のうち該ベルト形成領域における遠心回転軸方
向両端部近傍領域のみが粗面化処理により前記低離型性
を有するよう形成されてなることを特徴とするものであ
る。
【0025】請求項5の遠心成形用塗布型においては、
該塗布型のベルト形成領域において、前記高離型性を有
する領域と前記低離型性を有する領域とを一括して高離
型性を有する材質のもので形成し、その後、高離型性を
有する材質からなる表面のうち、遠心回転軸方向両端部
近傍領域のみを粗面化処理する。これによって、低離型
性を有する領域と高離型性を有する領域とを異なる材質
のもので形成することなく同一の材質のもので一気に形
成できるようにする。
【0026】請求項6の遠心成形方法は、円筒状の塗布
型の内周面に無端状ベルトを形成するための基材として
の塗布液を塗布し、該塗布型を円筒の軸を中心として回
転させることによりその遠心力で該型内周面に無端状ベ
ルトを形成する遠心成形方法において、上記塗布型が、
その内周面又は内外周面に多数の凹部を有し、該凹部を
有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜が設けら
れ、かつ、回転する円筒状の外筒管内に挿入されて該外
筒管に従連動されるようにしたことを特徴とするもので
ある。
【0027】請求項6の遠心成形方法においては、多数
の凹部が形成されている塗布型の面上に略300℃の高
融点を有するフッ素系樹脂の離型膜を形成する。これに
よって、塗布膜の乾燥固化、及び硬化のための加熱に耐
えうる離型膜を得ることができる。また、図1に示す如
く、離型膜を塗布型表面の凹部に侵入させて離型膜と塗
布型表面との接触面積を広くし、離型膜と塗布型との密
着性を向上させる。よって、塗布型の回転時に、離型膜
が塗布型から浮き上がりにくくなり、浮き上がりによっ
て生じる離型膜の遠心回転軸に対する回転のフレが生じ
なくなる。このため、塗布型からの離型膜の浮き上がり
による離型膜上の塗布膜の厚みのバラツキが生じなくな
る。また、離型膜が塗布型に密着しているので、塗布型
と離型膜との熱膨張率に差がある場合でも、塗布膜の加
熱時における離型膜の塗布型に対する形状変化が生じに
くくなり、離型膜の皺発生も防止できる。よって、離型
膜上に形成される無端状ベルトに離型膜の皺がレプリカ
されることもない。また、離型膜が塗布型に密着してい
るので、高温下における繰り返し使用に対する耐久性も
良い。
【0028】ここで、従来からの遠心成形方法では、通
常、円筒状の塗布型自体を外部駆動手段で回転させる方
法(例えば、回転架台)が採られている。このような方
法で回転手段当たりの生産性を上げようとすると、例え
ば、多数個の塗布型を縦方向に一列に乗せるだけの回転
架台を設置することが必要となるため、設置スペース上
の制約が生じ、量産性に対応できる方法ではなかった。
これに加え、同時に異なる種類の製品を製造する場合
は、外径の異なる種々の塗布型を用いるこことになる。
このため、回転架台に塗布型を固定するための固定具も
塗布型のサイズに応じて各種必要となり、しかも、塗布
型や固定具の切り替え作業が煩雑になってしまう。ま
た、ベルトの径に応じた塗布液の吐出等に係わる調整・
設定も必要になってしまう。以上のことから、従来は、
同時に同じ製品を量産したり同時に異なる種類の製品を
製造したりする生産性の向上が著しく困難であった。
【0029】請求項6の遠心成形方法においては、図8
(a)(b)に示すように、円筒の軸を中心に回転する
円筒状の外筒管1内に塗布型2を挿入し、この塗布型2
を外筒管1に従連動させることによって、同じく円筒の
軸を中心として遠心回転させることができる。挿入され
た塗布型2の外周面は、円筒の軸を中心として回転駆動
している外筒管1の内周面と接触していることから、こ
の塗布型2は、外筒管1の回転に従連動して、遠心回転
される。この外筒管1内に、複数の塗布型2を装着(挿
入)すれば、外筒管1の回転駆動によって、内部の塗布
型2全てを回転駆動することができる。
【0030】また、請求項7の遠心成形方法は、請求項
6の遠心成形方法において、前記塗布型がその外周面に
フッ素系樹脂膜を有するものであって、かつ、前記外筒
管の内周面にフッ素系樹脂膜を設けたことを特徴とする
ものである。
【0031】特に、請求項7の遠心成形方法において
は、回転する外筒管の内周面に、挿入される塗布型外周
面に被覆されているものと同一のフッ素系樹脂からなる
膜を設けることにより、外筒管と塗布型との接触面にお
ける回転擦り合わせによる磨耗を防止する。
【0032】ところで、遠心成形によって樹脂ベルト等
を製造するにあたっては、その原料樹脂液から溶剤蒸気
が発生するため、作業環境保全の立場からも、これらの
溶剤蒸気等の排気処理が望まれるところである。
【0033】また、請求項8の遠心成形方法は、請求項
6又は7の遠心成形方法において、前記外筒管の一方の
側端部位には装着・脱着が可能な押し当てジグが設けら
れ、前記ジグには、前記外筒管の回転を阻止しない摺動
部材及び、該外筒管内と管外との連通孔を有し、且つ前
記連通孔を介して該外筒管内を吸引可能に構成したこと
を特徴とするものである。
【0034】請求項8の遠心成形方法においては、押し
当てジグを装着した状態において、外筒管の内と外とを
連通する連通孔を介して、塗布膜の乾燥固化及び硬化の
際に発生する樹脂液等の溶剤を吸引する。塗布型を外筒
管に対して出し入れするときには、押し当てジグを外筒
管から外し、外筒管を回転するときには、押し当てジグ
を装着する。
【0035】また、請求項9の遠心成形方法は、請求項
6、7又は8の遠心成形方法において、前記外筒管の側
端部位から、温風を前記塗布型内に向けて吹き込むか又
はヒーターを該塗布型内に挿入させるかすることによっ
て、該塗布型内周面を加熱することを特徴とするもので
ある。
【0036】請求項9の遠心成形方法においては、塗布
型内に向けて外筒管の側端部から温風を吹き込むか又は
ヒーターを前記塗布型内に挿入させるかすることによっ
て、塗布型内の加熱及び乾燥を行い、塗布液からなる塗
布膜を乾燥固化及び硬化させる。
【0037】また、請求項10の遠心成形方法は、請求
項6、7、8又は9の遠心成形方法において、前記塗布
型が、前記外筒管内に少なくとも二個以上入れられてい
ることを特徴とするものである。
【0038】請求項10の遠心成形方法においては、外
筒管内に、塗布型を二個以上入れて無端状ベルトを成形
することにより、回転駆動手段あたりの生産性を向上さ
せる。
【0039】請求項11の遠心成形方法は、請求項10
の遠心成形方法において、前記塗布型が、前記外筒管内
に縦列及び/又は並列に入れられていることを特徴とす
るものである。
【0040】請求項11の遠心成形方法においては、外
筒管内に、塗布型を二個以上縦列及び/又は並列に入れ
て遠心成形することにより、回転手段あたりの生産性を
向上させる。
【0041】請求項12の遠心成形方法は、請求項6の
遠心成形方法において、前記塗布型が、アルミニウム金
属であって、該塗布型の内周面又は内外周面には、硬質
アルマイト処理で形成された多孔質層上にフッ素系樹脂
膜からなる離型膜を有することを特徴とするものであ
る。
【0042】請求項12の遠心成形方法においては、ア
ルミニウム金属製塗布型の硬質アルマイトの凹部表面に
フッ素系樹脂膜からなる離型膜を形成しているので、離
型膜が塗布型に密着すると共に、その離型膜表面も摩擦
係数が高まり、その表面上に設けられる塗布液が離型膜
に一様に密着する。よって、塗布膜が硬化処理によって
無端状ベルトとなるまで塗布型に密着し続ける。これに
よって、塗布膜が乾燥固化又は硬化のために加熱されて
も塗布膜からの浮きが抑制される。更に、上記構成の離
型膜は、完全硬化した無端状ベルトの剥離が容易であ
る。
【0043】請求項13の無端状ベルトの製造方法は、
円筒状の塗布型の内周面に無端状ベルトを形成するため
の基材としての塗布液を塗布する塗布工程と、該塗布型
を円筒の軸を中心に回転させることによりその遠心力で
該型内周面に塗布膜を形成する遠心成形工程と、該塗布
膜を乾燥させることにより乾燥固化状態を経て硬化状態
にする硬化工程とを有し、該無端状ベルトを該塗布型か
ら脱型する無端状ベルトの製造方法において、上記無端
状ベルトの形成途中においては、上記塗布膜の少なくと
も遠心回転軸方向両端部近傍領域が、上記塗布型から浮
かない程度に上記塗布型に密着していることを特徴とす
るものである。
【0044】請求項13の無端状ベルトの製造方法にお
いては、該塗布型の内周面のうちベルト形成領域の少な
くとも両端部近傍が該ベルトの形成を行っている間は塗
布型から浮かない程度に上記塗布型に密着しているの
で、塗布型の内周面に形成された塗布膜が乾燥固化及び
硬化する間は、該膜の両端部近傍が塗布型内周面から浮
き上がらない。これにより、塗布膜の乾燥固化及び硬化
反応段階での塗布型からの浮きに起因する無端状ベルト
の不均一な収縮が生じない。
【0045】また、請求項14の無端状ベルトの製造方
法は、請求項13の無端状ベルトの製造方法において、
前記塗布型が、その内外周面に多数の凹部を有し、該凹
部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を有
し、かつ、回転する外筒管内に挿入されて該外筒管に従
連動するされるようにしたものであって、該外筒管の内
周面にフッ素系樹脂膜を設けたことを特徴とするもので
ある。
【0046】また、請求項14の無端状ベルトの製造方
法においては多数の凹部が形成されている塗布型の面上
に、略300℃の高融点を有するフッ素系樹脂の離型膜
を形成する。これによって、塗布膜の乾燥固化、及び硬
化のための加熱に耐えうる離型膜を得ることができる。
また、図1に示す如く、離型膜を塗布型表面の凹部に侵
入させて離型膜と塗布型表面との接触面積を広くし、離
型膜と塗布型との密着性を向上させる。よって、無端状
ベルトの遠心成形中に、離型膜が塗布型から浮き上がり
にくくなり、浮き上がりによって生じる離型膜の遠心回
転軸に対する回転のフレが生じなくなる。このため、塗
布型からの離型膜の浮き上がりによる離型膜上の塗布膜
の厚みのバラツキが生じなくなる。また、離型膜が塗布
型に密着しているので、塗布型と離型膜との熱膨張率に
差がある場合でも、塗布膜の加熱時における離型膜の塗
布型に対する形状変化が生じにくくなり、離型膜の皺発
生も防止できる。よって、離型膜上に形成される無端状
ベルトに離型膜の皺がレプリカされることもない。ま
た、高温下における繰り返し使用に対する耐久性も良
い。更に、本発明の無端状ベルトの製造方法において
は、無端状ベルトを成形するための塗布型を、円筒の軸
を中心に回転する円筒状の外筒管内に挿入し、外筒管に
従連動させることによって、遠心回転させることができ
る。また、塗布型の内周面だけではなく外周面にもフッ
素樹脂膜を設けているので、外筒管の内周面に形成され
ているフッ素系樹脂膜との硬度が等しくなるために、外
筒管の内周面と接触回転するときにどちらか一方が磨耗
することを防止できる。この外筒管内に、複数の塗布型
を装着(挿入)すれば、外筒管の回転駆動によって、内
部の塗布型全てを回転駆動することができる。
【0047】また、請求項15の無端状ベルトの製造方
法は、請求項13又は14の無端状ベルトの製造方法に
おいて、前記塗布工程では、前記塗布型内周面に、前記
塗布液を遠心回転軸方向に連続した糸引き状に注入する
ことを特徴とするものである。
【0048】請求項15の無端状ベルトの製造方法にお
いては、塗布液を離型膜上に連続した糸引き状に注入す
ることにより、離型膜表面の撥水性が高くても、塗布液
が表面張力によってスポット状に凝集しないようにす
る。これによって、塗布型の内周面に一様な塗布膜が形
成できる。
【0049】請求項16の無端状ベルトの製造方法は、
請求項14の無端状ベルトの製造方法において、前記外
筒管内に、少なくとも、二個以上の前記塗布型が縦列及
び/又は並列に挿入されていることを特徴とするもので
ある。
【0050】請求項16の無端状ベルトの製造方法にお
いては、外筒管内に、塗布型を二個以上縦列及び/又は
並列に入れて無端状ベルトを製造することにより、回転
駆動手段あたりの無端状ベルトの生産性を向上させる。
【0051】請求項17の無端状ベルトの製造方法は、
請求項13、14、15、又は16の無端状ベルトの製
造方法において、前記塗布型が、アルミニウム金属から
成り、該塗布型の内周面又は内外周面が硬質アルマイト
処理で形成された多孔質層による凹部を有し、該凹部を
有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を有するこ
とを特徴とするものである。
【0052】請求項17の無端状ベルトの製造方法は、
アルミニウム金属製塗布型の硬質アルマイトの凹部表面
にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を形成しているので、
離型膜が塗布型に密着すると共に、その離型膜表面も摩
擦係数が高まり、その表面上に設けられる塗布液が離型
膜に一様に密着する。よって、塗布膜が硬化処理によっ
て無端状ベルトとなるまで塗布型に密着し続ける。これ
によって、塗布膜が乾燥固化又は硬化のために加熱され
ても塗布膜からの浮きが抑制される。更に、上記構成の
離型膜は、完全硬化した無端状ベルトの剥離が容易であ
る。
【0053】また、請求項18の無端状ベルトの製造方
法は、請求項13、14、15、16、又は17の無端
状ベルトの製造方法において、前記塗布液がポリアミド
酸(polyamic acid)を主成分とすることを特徴とするも
のである。
【0054】ここで、ポリアミド酸を主成分とする樹脂
液を用いて形成した硬化膜は、耐溶剤性、耐薬品性或い
は耐熱性に優れている。
【0055】請求項18の無端状ベルトの製造方法にお
いては、無端状ベルトの基材としての塗布液にポリアミ
ド酸(polyamic acid)を主成分とする樹脂液を用いる
ことにより、耐溶剤性、耐薬品性或いは耐熱性に優れた
無端状ベルトを製造する。
【0056】特に、請求項19の無端状ベルトの製造方
法は、請求項17の無端状ベルトの製造方法において、
前記離型膜が、前記塗布型内周面のうち少なくとも前記
無端状ベルトが形成されるベルト形成領域に設けられ、
且つ、該ベルト形成領域における遠心回転軸方向両端部
近傍を除く内部領域の該離型膜表面が平滑処理されてい
ることを特徴とするものである。
【0057】ここで、上記平滑処理の方法の一例として
は、バフ研磨が考えられるが、この方法に限定するもの
ではない。
【0058】請求項19の無端状ベルトの製造方法にお
いては、塗布型内周面のベルト形成領域の遠心回転軸方
向両端部近傍を除くその挟まれた内領域(以下、内領域
という)の離型膜表面を平滑処理し、その領域に形成さ
れる無端状ベルトに離型膜の微細な凹凸がレプリカされ
ることがないようにすると共に、両端部領域の離型膜は
元の摩擦係数が高いままにしておき、無端状ベルトが硬
化するまでその端部から浮きが生じてしまうことを防止
する。
【0059】請求項20の無端状ベルトの製造方法は、
請求項13の無端状ベルトの製造方法において、前記塗
布型がアルミニウム金属であって、且つ、該塗布型内周
面の前記無端状ベルトが形成される形成領域における遠
心回転軸方向両端部近傍を除くその内部領域がフッ素系
樹脂でコーティングされた後、該両端部近傍領域が硬質
アルマイト処理により多孔質層が形成され該多孔質層上
にフッ素系樹脂膜が設けられていることを特徴とするも
のである。
【0060】請求項20の無端状ベルトの製造方法にお
いては、塗布型内周面のベルト形成領域のうち、前記内
領域をフッ素系樹脂でコーティングした後この塗布型を
硬質アルマイト処理することによって、フッ素系樹脂の
コーティングに、硬質アルマイト処理による凹部処理の
マスキングの役割をもたせると共に、表面の平滑な離型
膜の役割をもたせる。このようにした塗布型を、硬質ア
ルマイト処理によって凹部処理し、その多孔質層上にフ
ッ素系樹脂膜を設ける。これによって、最終的に仕上が
った塗布型の離型膜は、内領域が表面の平滑なフッ素系
樹脂膜で、両端部領域が凹部処理面上にフッ素系樹脂膜
が設けられ表面に微細な凹凸のある膜となる。上記内領
域は、無端状ベルトの離型性の良い平滑な面となり、両
端部領域は、塗布膜の乾燥固化及び硬化の段階において
は塗布膜が剥離しない程度の低離型性となる。
【0061】また、請求項21の無端状ベルトの製造方
法は、請求項13の無端状ベルトの製造方法において、
前記塗布型がアルミニウム金属であって、且つ、該塗布
型内周面の前記無端状ベルトが形成されるベルト形成領
域における遠心回転軸方向両端部近傍を除く内部領域が
ガラスによりコーティングされた後、該両端部近傍領域
が硬質アルマイト処理により多孔質層が形成され該多孔
質層上にフッ素系樹脂膜が設けられていることを特徴と
するものである。
【0062】請求項21の無端状ベルトの製造方法にお
いては、塗布型内周面のベルト形成領域のうち、前記内
領域をガラスによりコーティングすることによって、表
面の平滑な離型膜としての役割をもつ膜を形成すると共
に、この離型膜がその後に行う硬質アルマイト処理によ
る凹部処理のマスキングの役割も果たす。従って、ガラ
スコーティング領域に隣接する両端部領域のみに凹部処
理面上にフッ素系樹脂膜が設けられ表面に微細な凹凸の
ある離型膜が形成される。これによって、上記内領域
は、無端状ベルトの離型性の良い平滑な面となり、両端
部領域は、塗布膜の乾燥固化及び硬化の段階においては
塗布膜が剥離しない程度の低離型性となる。
【0063】また、請求項22の無端状ベルトの製造方
法は、請求項13の無端状ベルトの製造方法において、
前記塗布型が、該塗布型内周面の前記無端状ベルトが形
成されるベルト形成領域全面がガラスによりコーティン
グされた後、該ベルト形成領域における遠心回転軸方向
両端部近傍領域のみが粗面化処理されていることを特徴
とするものである。
【0064】ここで、上記ガラスによるコーティング面
の粗面化処理としては、エッチング等が考えられるが、
これに限定されるものではない。
【0065】請求項22の無端状ベルトの製造方法にお
いては、塗布型内周面のベルト形成領域をガラスにより
コーティングすることにより、塗布型内周面のベルト形
成領域を平滑にし、その後、ガラス表面の遠心回転軸方
向両端部領域を粗面化処理する。これによって、ガラス
コーティングが離型膜の役割をもつと共に、上記内領域
は、離型性の良い平滑な面となり、両端部領域は、無端
状膜の乾燥固化及び硬化の段階には低離型性となる。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、本発明の遠心成形用塗布
型、遠心成形方法及び無端状ベルトの製造方法が適用で
きる実施形態について説明する。
【0067】〔実施形態1〕先ず、図1〜図10を参照
しながら、実施形態1厚みの均一な無端状ベルトを確実
に製造できる実施形態について説明する。
【0068】本実施形態における円筒状塗布型は、その
本体が金属であって、銅、真鍮、鉄、ステンレス、アル
ミニウム、アルミニウム合金等の金属を挙げることがで
きるが、軽量、工作性、耐蝕性、低廉等から、本発明で
は、好ましくは、アルミニウム金属又はアルミニウム合
金が好適に使用される。さらに、円筒状塗布型(以下、
金型という)として使用するに際して、既に上述するよ
うにこの内周面又は内外周面を樹脂被覆させておくこと
が好適である。
【0069】また、本実施形態においては、金型2を回
転する外筒管1内に挿入させて、外筒管1に金型2を従
連動するようにして回転させることから、金型2の内周
面だけではなく内外周面を樹脂被覆させておくことが好
適である。しかも、その外周面は、外筒管1内周面と常
に回転接触することから、その樹脂膜は、耐磨耗性であ
り、また、その内周面の樹脂膜は、耐熱性で、耐磨耗性
で、特に、好ましくは成形した無端状ベルトの離型性に
優れるものであることが好適である。これらを満たす樹
脂膜として、通常、従来から公知であるフッ素系樹脂膜
を好適に使用することができる。
【0070】通常、従来から、この樹脂を金属面、例え
ば、アルミニウム金属面に被覆するに当たっては、その
密着性の観点から、金属面を粗面化処理を施して、多数
の凹凸を有するように前処理をする。しかしながら、例
えば、本発明の例のような無端状ベルト等のように、比
較的に薄膜状で、しかも、厚さが均斎であるものを成形
するに当たっては、この面が粗面であって、且つこの円
筒状の金型2の回転軸方向に平行面を有していることが
重要である。しかしながら、一般的なヤスリ研摩、バラ
スト研摩等では、図2に示すように粗面化処理後の平行
性に欠ける傾向にあるため、このような粗面でも、被覆
樹脂膜15の高密着性が得られるが、前述する理由から
本発明においては好ましいものではない。
【0071】図1は、本実施形態にかかる遠心成形用金
型内周面の拡大概念断面図である。本発明においては、
金型2のアルミニウム金属面に硬質アルマイト処理を施
すことにより、その表面に、図1に拡大表示されるよう
な多数の凹部としての細孔14を有する多孔質層が形成
されたものを好適に使用する。この多孔質層に、従来か
ら公知の方法で、フッ素系樹脂膜15を被覆させること
により、本発明による離型膜15が形成されている。
【0072】また、本発明においては、金型2外周面も
好ましくは、樹脂被覆を施す必要があるが、好ましく
は、外周面も同様の理由から平行面であることが重要で
ある。このことから、本発明においては、内周面と同様
にして、この外周面にも、硬質アルマイト処理を施した
後に、フッ素系樹脂膜等を形成させることが好適であ
る。
【0073】ここで、上記の硬質アルマイト処理とは、
アルミニウム金属面(又はアルミニウム合金面)を硫酸
等の酸溶液中で陽極酸化反応(電解)させてその表面に
硬質の酸化アルミニウム被膜(Al)からなる多
孔質層を形成することである。これにより、形成される
多孔質層の半分以上が母材のアルミニウム金属面に食い
込んで形成され、母材と一体化されて密着性の高い多孔
質層となっているものである。この硬質アルマイトの多
孔質層上に、フッ素系樹脂としてのテフロン樹脂を含浸
・被覆させたものがタフラム(商標名)皮膜として、一
般的に使用されているものであり、本実施形態における
離型膜15となっている。
【0074】また、通常、このタフラム被膜の厚さは、
25〜50μmが好適であり、また、通常、このように
テフロン樹脂を被覆させると、多孔質層の多数の孔の約
10〜13μmの深さにテフロン樹脂が浸透していて、
樹脂と多孔質層とは強固に密着されている。これによ
り、硬質アルマイト処理面にフッ素系樹脂膜(タフラム
被膜)を形成させてなる離型膜を有する金型2は、離型
膜15としてのフッ素系樹脂膜が金型2から剥離しにく
くなる。また、離型膜15表面は耐磨耗性で、かつその
表面に形成される無端状ベルトの剥離性も良い。
【0075】また、回転する外筒管1の内周面には、挿
入される金型2外周面との回転擦り合わせによる磨耗の
観点から、好ましくは、前述する金型2の外周面に被覆
されている同一の樹脂、例えば、フッ素系樹脂膜を形成
させておくことが好適である。
【0076】このように、外筒管1と金型2との接触す
る面の硬度が同程度であると、硬度の弱い側がすり減る
ということがないので、耐久性を向上させることができ
る。
【0077】図7(a)〜(f)は、本発明による金型
2を用い、無端状ベルト3を作製する製造工程及びその
製造方法の説明図である。この図に示すように、外筒管
1は、好ましくは、その一方の側端部が開放又は開放可
能になっている。これにより、図7(b)に表示するよ
うに外筒管1内に、金型2を押し当て治具5によって、
容易に出し入れすることができる。
【0078】次に、上述した金型2及び外筒管1を用い
た無端状ベルト3の製造方法について説明する。本発明
の無端状ベルト3の製造方法は、塗布工程、遠心成形工
程、溶剤除去工程、冷却工程、及び、固化工程を経て、
無端状ベルト3を製造するものである。無端状ベルト3
を製造するときは、先ず、金型2の一端部を、例えばチ
ャック等に取り付けて、回転駆動手段により、金型2を
その円筒の軸を中心として緩やかに回転させ、この状態
から上述した各工程を行うものである。
【0079】塗布工程においては、緩やかに回転する金
型2の内周面に塗布液18を注入する。以下に、金型2
内周面に、塗布液18を注入させる方法について説明す
る。
【0080】図3は、金型2内周面への塗布液の塗布方
法の説明図である。ここに示すように、塗布ノズルは、
基部17と、ノズル部16とで構成されており、金型内
部に設けられている離型膜15の内周面に向けて塗布液
18を注入する。ノズル部16は、図示しない往復駆動
手段により、基部17に対して伸縮可能な構成になって
おり、金型2内において、金型2の軸線方向に往復動す
る(図3中矢印参照)。ノズル部16の先端部は、図3
において下方に傾斜しており、ノズル部16は、回転す
る金型2内を往復しながら、先端部から離型膜15に向
けて塗布液18を注入する。
【0081】図4は、金型2内に塗布液18が塗布され
た状態を示す断面図、図5は、金型2内周面への塗布液
18の注入方法の説明図である。図5に示す如く、低速
回転下の金型2の内周面に導管の基部17を介して挿入
されたノズル部16を、所定の移動速度で徐々に引きな
がら、塗布液18を、連続した糸引き状に注入させて、
その内周面に、所定のピッチ幅Xで、連続した螺旋状に
塗布することによって糸引き状付着樹脂液18を形成す
る。ここで、ノズル部16からの吐出量及びノズル部1
6の移動速度は、事前に適宜調整できるものである。こ
のような連続した糸引き状に塗布液18を形成すること
により、金型2内面に例えば、表面の平滑なフッ素系樹
脂被膜のような撥水性の高い離型膜15が設けられてい
ても、通常、起こりがちな表面張力によるスポット状に
凝集する傾向を効果的に防止させながら塗布することが
でき、さらに回転速度を高めることにより効果的に拡げ
ることができ、一様な塗布膜3を良好に形成することが
できる。
【0082】また、上述したピッチ幅を狭めて、図6に
示す如く、糸引き状付着樹脂液19が互いに重なり合う
ように、ノズル部16の引き込み速度を調節しながら塗
布液18を注入・塗布させてもよい。その結果、上述と
同様の理由から、より容易に一様に塗布液18を金型2
内面に塗布することができるものである。尚、この塗布
液18を、互いに隣り合い並列に並ぶように注入させて
も、同様の効果が得られる。
【0083】遠心成形工程は、塗布工程における塗布終
了後、塗布ノズル部16を基部17を介して引き戻し、
金型2の他端部を例えば、チャック等で固定させること
により、回転駆動手段により外筒管1に従連動させて、
金型2を高速回転させる。
【0084】本実施の形態では、遠心成形用金型2は、
外筒管1の回転数によって、通常、高速回転時には10
00rpmになるように調整している。すなわち、外筒
管1の内周半径をr1、回転速度をω1、金型2の外周
半径をr2、回転速度をω2とし、回転に滑りがないと
すると、両者間には、次の数1の関係が成立する。
【数1】rl×ω1=r2×ω2 これより、金型2の回転数(rpm)を所望の速度に設
定することができる。そして、この高速回転による遠心
力により、既に上述する如く、金型2内周面の離型膜1
5上の塗布膜3は、図4に示すように万遍なく均一化さ
れる。
【0085】また、この装置で実際に塗布液18をノズ
ル部16から金型2内面に注入させて遠心成形する工程
において、乾燥固化・硬化時に塗布液18中の溶剤が発
生する場合がある。この溶剤を効率よく排出処理する観
点から、上記押し当て治具5は、外筒管1の端部側面を
開放又は開放可能に取り付けられている。具体的には、
摺動部材(又は突き当て部材)6が、図7(c)に表示
するように摺動面として外筒管1の回転を阻止しない程
度に外筒管1の端部側面に密着させられており、これに
よって、外筒管1の側端部位が、この押し当て治具5に
よって、常に開放又は開放可能となっているのである。
【0086】液除去工程は、遠心成形工程において均一
化した塗布膜3を加熱しながら膜中の溶剤を除去し、乾
燥固化状態にするものであり、固化工程ともいう。本実
施形態においては、図7(d)に示すように、前記外筒
管1の他方の側端部から上述する塗布液18を金型2に
注入後、ノズル部16を取り出して、この側端部から、
好ましくは、塗布膜3に向けて温風を吹き込むか又はヒ
ーター8を挿入させている。これによって、溶剤を除去
しながら徐々に加熱を増し、金型2内の塗布膜3を乾燥
・固化させるように、前記金型2内周面を適宜加熱させ
ることができる。また、本発明におけるこの装置は、こ
の乾燥・固化に伴って発生する溶媒蒸気を、この押し当
て治具5の連通孔に接続する排気管9を介して、常時吸
引排出できるものである。
【0087】これにより、このような原料塗布液18か
ら発生する溶剤蒸気を飛散させずに集中させて排出又は
回収処理されるので、作業環境保全及び大気汚染防止等
に効果的に対処することが可能である。
【0088】なお、遠心成形工程において、均一な膜を
形成させるためには急速な加熱を避けながら徐々に加熱
・溶剤除去させて指触乾燥レベル(乾燥固化レベル)ま
で固化させるのが一般的である。加熱温度と時間は、塗
布膜3を形成する樹脂にもよるが、通常、80〜120
℃の温度で10〜30分の乾燥と共に、溶剤の蒸発が起
きるものである。本実施形態においては、100℃で2
0分加熱して溶剤除去を行った。
【0089】図9(a)は、金型2を外筒管1内に縦列
させることにより同時に多数個の無端状ベルト3を形成
した状態を表した遠心回転軸方向における断面図、図9
(b)は、同周方向断面図である。この図に示すよう
に、外筒管1内に、少なくとも二個以上の遠心成形用金
型2を外筒管1の回転軸方向に縦列させて挿入し、外筒
管1を回転駆動して金型2を従連動させ、これによって
金型の円筒軸を中心として回転させて金型2内に無端状
ベルト3を形成させることもできる。この方法によれ
ば、例えば、ポリアミド酸(polyamic acid)を主成分と
する塗布液18を用いて、同時に多数個の同一の無端状
ベルト3を効率よく作製することができる。また、複数
の縦列している遠心成形用金型2の最端部に位置する金
型2の開口部から一気に塗布液18を吐出して、複数の
遠心成形用金型2内に同時に塗布液18を塗布すること
もでき、ベルトの基材としての塗布液18の塗布効率上
げることもできる。
【0090】図10(a)は、金型2を並列させること
により同時に多数個の無端状ベルト3を形成した状態の
該金型2の遠心回転軸方向における断面図、図10
(b)は同、周方向断面図である。この図に示すよう
に、外筒管1内に、少なくとも二個以上の遠心成形用金
型2を外筒管1の回転軸方向に並列させて挿入し、外筒
管1を回転駆動して金型2を従連動させることによっ
て、金型2内に無端状ベルト3を形成させることもでき
る。この方法によれば、異なる金型2を同時に並列させ
て無端状ベルト3を遠心成形できるので、特別な装置を
用いることなく、長さ・径又は基材となる樹脂成分等の
異なる無端状ベルト3を同時に多数個作製することがで
きる。また、外筒管1内に挿入する金型2を交換するだ
けで、作成する無端状ベルト3の長さ・径等を自由に選
んで同時に多数個作成することができる。
【0091】尚、無端状ベルト3の基材としての塗布液
18には、各種の硬化型樹脂を用いることが可能である
が、本実施形態においては、ポリアミド酸(polyamic a
cid)を主成分とする塗布液18を使用している。これ
により、耐溶剤性、耐薬品性或いは耐熱性に優れたポリ
イミドの無端状ベルト3を製造することができる。
【0092】冷却工程では、塗布膜3を加熱によって乾
燥固化状態にした後、熱風又はヒーターを止めてそのま
ま自然放冷させ、塗布膜3を常温付近まで冷却(放冷)
すればよい。塗布膜3を一旦冷却するのは、溶剤除去し
た後にそのまま膜を加熱した場合、乾燥した膜が、加熱
による硬化により端部から浮いて、更に膜の収縮が起き
やすく、径が変化することにより均一な無端状ベルト3
を得にくくなる恐れがあるからである。指触乾燥又は半
硬化状態の膜を一旦冷却することにより、膜が離型膜5
から浮きにくくなり、均一な無端状ベルト3をより確実
に製造することができる。
【0093】具体的には、膜を常温付近にまで冷却した
後、金型2の回転を止めて、例えば、別に用意する高温
槽等に金型2ごと入れて、200〜350℃の温度で再
加熱をし、膜を完全硬化させた後に、無端状ベルト3を
金型2から剥離するのである。このとき、上記再加熱温
度は膜を形成する塗布液18に用いる樹脂の種類によっ
て異なるものである。
【0094】ここで、冷却方法として、自然放冷させる
のに変えて、積極的に適宜冷却させる方法も考えられ
る。このような積極的冷却方法としては、例えば、上述
した熱風に代えて、冷風を金型2内に向けて側端部から
吹き込んで急冷することができる。この急冷時には、一
方の側端部の押し当て治具5を開放してもよく、そのま
まで吸引管9を介して同時に吸引させれば、急冷効率を
向上させることができる。
【0095】このような急冷による効果としては、通
常、溶剤除去されて乾燥硬化した膜は、そのまま加温状
態が続くと端部から浮き上がったり、更に膜の収縮が起
きる傾向にあり、均一な無端状ベルト3を得にくくなる
が、このような冷却処理をすることで、上記不具合が防
止され、均一な無端状ベルト3をより確実に製造するこ
とができるということが挙げられる。
【0096】以下に、上記のような方法で無端状ベルト
3を製造する際に、種々の条件を変えて製造を行った実
施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例
にいささかも限定されるものではない。
【0097】先ず始めに、内径180mmのアルミニウ
ム製円筒状金型2の内周面を硬質アルマイト処理後、フ
ッ素樹脂被膜(タフラム被膜)を形成させて、離型膜1
5とした。この際に、円筒状金型2の両端部位まで被覆
させたもの(前者)と、保持固定するチャックに接する
両端部位を被覆させないもの(後者)を作製した。次い
で、この外周面に黒体塗料を塗布させて、外部から遠赤
外線ヒーターで加熱をして、金型2内の回転軸方向の温
度分布を測定したところ、前者ではほぼ温度分布が見ら
れず、一方、後者においては、両端部位部がかなり温度
低下することが判明した。
【0098】以下に、実施形態1にかかる実施例1〜1
0を説明する。 (実施例)以上の結果を参考にして、上記金型2を用い
て、この内周面全面にポリアミド酸(polyamic acid)
であるポリイミド前駆体溶液(東レ製トレニース♯30
00)を溶媒DMAC(N,N−ジメチルアセドアミ
ド)に溶解し、30%に希釈した樹脂液を塗布液18と
して用い、各種条件の元で無端状ベルト3を作製した。
この各種条件は、塗布工程での塗布条件、即ち塗布され
る塗布液18の形状の違い・螺旋状に塗布する塗布液1
8のピッチ幅X、溶剤除去工程での加熱温度、冷却工程
での冷却条件であり、それぞれを種々変化させたものを
実施例1〜10として表1中に示した。なお、実施例1
〜10全てにおいて、塗布後の遠心回転条件を1000
rpmの同一高速回転とし、硬化工程における再加熱条
件を300℃で30分とした。このようにして無端状ベ
ルト3を作製し、成形中、成形後の乾燥固化・硬化の工
程を通じて金型2内周面からの膜の浮きや変形、また、
離型の容易さ等を評価して、その結果を表1に示した。
【0099】
【表1】
【0100】表1の実施形態1における実施例1乃至7
の結果から明らかなように、塗布液18のピッチ幅が約
3mm以下では、冷却工程において、常温まで放冷して
も、常温まで急冷させても、冷却手段に影響されること
なく、塗布膜3の浮きの発生が見られず、また、成形後
のこの内周面の離型膜15からの無端状ベルト3の剥離
も良好であった。
【0101】特に、実施例7の結果から明らかなよう
に、塗布液18のピッチ幅を約2mmとし、乾燥温度を
150℃で半硬化状態(溶剤除去)にさせた後、冷却工
程において放冷すると、同様に膜浮き上がりなく剥離性
も良好であった。
【0102】また、実施例8の結果から明らかなよう
に、塗布液18のピッチ幅を約2mmとし、乾燥温度を
150℃で半硬化状態(溶剤除去)にさせた後、冷却工
程において常温まで急冷させても、上記実施例同様に膜
の浮き上がりなく、剥離性も良好であった。
【0103】また、実施例9及び10の結果から明らか
なように、ピッチ幅が約2mmで、乾燥温度を100℃
又は150℃でそれぞれ、半硬化状態(溶剤除去)にさ
せた後、冷却工程において50℃付近まで急冷させる
と、何れも同様に膜浮き上がりなく、剥離性も良好であ
った。
【0104】さらには、上記実施例1乃至10の各条件
下で、同一の無端状ベルト3を繰り返し成形(製造)し
たが、500回以上の繰り返しに対しても、均一な無端
状ベルト3が確実に得られ、この金型2内周面に施され
た離型膜15が、極めて耐久性に優れていること判り、
しかも、無端状ベルト3を確実に量産できものである。
【0105】また、本発明の効果を明確にするために、
塗布液18の塗布を連続する糸引き状から、スポット状
(非連続の液滴状)に変えたり、そのピッチ幅を約4m
mにしたり、又、100℃又は150℃での半硬化乾燥
後、冷却を省いた場合について実施形態1における比較
例1〜7で比較評価して、その結果を表2に示した。
【0106】
【表2】
【0107】比較例1は、金型2内周面が平滑で、その
面にフッ素系樹脂PFA(四フッ化エチレンーバーフロ
ロアルコキシエチレン共重合樹脂)の微粉末(粒径1〜
20μm)を静電塗装させ、380℃で硬化させて被覆
層を形成させた内周面に、塗布液18を液滴状にピッチ
幅を約2mmで注入した以外は、実施例1と同様に乾燥
温度・時間を同一に、常温まで放冷した。比較例2は、
比較例1において常温まで急冷したものである。何れ
も、塗布膜3の均一化に要す時間が長く、その結果、塗
布膜3の周軸方向共にうねりが生じて、均一な厚さの塗
布膜3にはならなかった(結果1)。
【0108】また、比較例3は、塗布液18を糸引き状
でピッチ幅を約4mmにした以外は、比較例1と同様に
したものである。また、比較例4は、比較例3の乾燥温
度100℃を150℃にしたものである。比較例3及び
4は、塗布膜3を均一にするために要す時間が長く、塗
布膜3の軸方向にうねりが生じて、均一な厚さの塗布膜
3にはならなかった(結果2)。これにより、塗布液1
8の塗布形状が、連続した糸引き状であって、その塗布
ピッチ幅をできるだけ、狭めることが、確実に均一な塗
布膜3の形成を可能にさせるためには重要であることが
判る。
【0109】比較例5は、塗布液18を糸引き状でピッ
チ幅を約2mmにし、冷却工程を省いて塗布膜3を連続
加熱したものである。この比較例5から明らかである
が、塗布液18の塗布を糸引き状でピッチ幅を2mmに
しても、冷却をせずに連続加熱してしまうと、硬化工程
中の加熱過程で端部からの浮きが発生し、更に、膜収縮
による径変化をも発生させてしまうことが判った(結果
3)。
【0110】比較例6は、乾燥温度を150℃にしたこ
と以外は、上記比較例5と同じ条件にしたものである。
この比較例6においても、硬化工程中の加熱過程で端部
からの浮きが発生し、更に、膜収縮による径変化をも発
生させてしまうことが判った(結果3)。
【0111】比較例7は、乾燥温度を300℃にして塗
布膜3を50分乾燥させて一気に連続加熱したこと以外
は、比較例5と同じ条件にした。この比較例7において
は、加熱温度が200℃前後になると、膜が端部から浮
いてしまい、更に膜収縮によって径変化が生じてしまっ
た(結果4)。
【0112】また、内周面が平滑な金型2に、既に上述
したフッ素系樹脂PFA、スプレー塗布型フッ素系樹脂
PTFE(四フッ化工チレン樹脂)を塗布することによ
り離型膜15を形成するものでは、繰り返し使用した場
合、100回の繰返し使用で離型膜15に浮きが発生
し、150回程度で使用することができなくなる。
【0113】以上から、実施例で使用した金型2は、そ
の離型膜15が強固に密着され、しかも、硬質アルマイ
ト処理層が、多数の凹部を有する多孔質であるが、回転
軸方向に平行面が維持されている。よって、この上に形
成される離型膜15は、金型表面との密着性がよく、ま
た、その離型膜15表面は、回転軸方向に平行面が維持
されていると共に、微細な凹凸が残っているため塗布膜
3との密着性がよい。これによって、塗布膜3が乾燥固
化及び硬化のために加熱されても、金型2から離型膜1
5が浮き上がったり、塗布膜3が離型膜15から浮き上
がったりすることがない。これと共に、この離型膜15
はからは、硬化した無端状ベルト3を容易に剥離するこ
とができる。よって、塗布膜3の膜形成段階での金型2
への密着性と完成した無端状ベルト3の金型2からの脱
型性との両方の要求を満たすことができ、均一な厚みの
無端状ベル3を確実に製造することができる。また、離
型膜15が金型2から剥離しにくいので、離型膜15を
繰り返し使用することができ、離型膜15を毎回形成し
直すのに比して無端状ベルト3の生産性を向上させるこ
ともできる。
【0114】なお、表1中の放冷とは、常温付近まで放
冷することを示し、急冷とは、常温付近まで急冷するこ
とを示し、50℃とは、50℃迄急冷することを示そも
のである。また、成膜性有無の評価とは、膜の浮き上が
りの有無を示すものである。
【0115】また、表2中の連熱1とは、冷却なしで連
続加熱を示し、連熱2とは、冷却せずに一気に連続加熱
を示すものである。
【0116】また、この金型2及びこの遠心成形方法に
おいて、回転する金型2内周面に塗布する塗布液18を
連続した糸引き状に且つピッチ幅を狭めて、しかも、乾
燥・硬化後に、常温までの急冷を施すことにより、例え
ば、塗布膜3の膜厚が均一で、浮きあがり、捩れ、収縮
等を発生させることなく、品質の安定した製品を量産す
ることが出来るものである。
【0117】〔実施形態2〕ところで、金型2又は離型
膜15表面の塗布膜3を形成する領域を高離型性にして
おくと、塗布膜3をこの面に付着させたままの状態で硬
化膜に変化させる際に加熱によって塗布膜3がこの面か
ら浮いてしまう恐れがある。ここで、本発明者らの観察
によれば、この浮きは、軸方向端部から生じるというこ
とが判明した。しかも、塗布膜3の加熱による硬化の過
程において、形成された膜3は加熱保温されているとき
には膨張し、冷却時に収縮するという状態変化を起こし
ていることがわかった。
【0118】ここで、従来塗布液18が遠心回転軸方向
の両端部に向かって流動する事を防止するために、塗布
膜3の軸方向端部に堰止め部材を設けるものが提案され
ている。上記塗布膜3端部の浮き防止のための第1の対
策として、この堰止め部材をそのまま用いることが考え
られる。しかしながら、堰止め部材が金型2又は離型膜
15と密着することにより完全に塗布液18を遮断して
いる状態にないと、堰止め部材と金型2との隙間に塗布
液18が入り込み、蒸発が抑制されて乾燥が不充分とな
って乾燥ムラが生じ、却って浮きが発生しやすくなって
しまうことが判った。さらに溶剤乾燥が不十分である
と、塗布膜3はぼろぼろの凝集膜となりきれいに成膜し
ないことも分かった。
【0119】また、堰止め部材が熱による非可逆性収縮
をすることがあり、その場合、堰止め部材の収縮で塗布
膜3もつられて収縮して型から浮く事も判った。
【0120】そこで、上記実施形態1においては、金型
2の内周面にタフラム処理による離型膜15を設け、塗
布液18を乾燥固化及び硬化している間は金型2から浮
かず、かつ、硬化した無端状ベルト3の剥離は良好に行
うことができるようにした。しかしながら離型膜15と
してタフラム皮膜を設けた金型2を用いて形成した無端
状ベルト3には、ベルト表面にタフラム被膜表面の微細
な凹凸がレプリカされており、この凹凸が甚だしい場合
はこの無端状ベルト3を用いて形成した画像にボソツキ
と呼ばれる微妙な斑点白抜けが生じてしまう。これはタ
フラム皮膜表面に微細なクラックがあり、このクラック
が形成ベルト3の表面にレプリカされるためであると考
えられる。
【0121】以上のことを踏まえて、以下の(1)〜
(3)を同時に満足することが望まれるところである。 (1)塗布膜3は、その乾燥固化及び硬化時には確実に
金型2に密着している。 (2)硬化した塗布膜3の金型2からの剥離脱型は確実
に出来るようにする。 (3)脱型して得られた無端状ベルト3の表面のうち少
なくとも画像形成に用いられる領域には凹凸の起伏がな
いようにする。そして、本発明者らは、離型膜15にお
ける塗布膜3端部に密着する領域(以下、端部領域とい
う)の表面が低離型性であれば、離型膜15の無端状ベ
ルト3の画像形成部に密着する領域(以下、内領域とい
う)の表面は低離型性でなくても塗布膜3の浮きが発生
しないことを発見した。そして、このことを応用すれ
ば、上記内領域の離型膜15表面を平滑にしても構わな
いと考えられ、上記(1)〜(3)を同時に満足するこ
とができる。
【0122】実施形態2においては、金型2の内周面に
設ける離型膜15を種々工夫し、(1)〜(3)を満足
するようにしているものである。図11は、実施形態2
に係る金型2に、無端状ベルト3を形成した状態の遠心
回転軸方向断面図である。この図に示すように、金型2
の内周面に設けている離型膜15は、本実施形態におい
ては、上記端部領域と上記内領域とで異なる構造からな
っている。
【0123】具体的には、離型膜15の内領域は、無端
状ベルト3の金型2からの脱型のときに該膜に対して該
金型2が離型性を有する高離型性層20で、離型膜15
の端部領域は、膜の形成を行っている間は該膜の浮きが
抑制されるような低離型性層21であるというように2
層構造となっている。そして、塗布膜3の軸方向端部が
離型膜15の低離型性層21にかかるよう塗布膜3の塗
布工程及び遠心成形工程を行う。
【0124】また、塗布液18としては、ポリアミド酸
であるポリイミド前駆体溶液(東レ製トレニース♯30
00)と導電剤としてカーボンブラックを溶媒DMAC
(N,N−ジメチルアセドアミド)に溶解し、30%に
希釈したポリイミド酸溶液を用いる。
【0125】先ず、塗布工程において、金型2の内周面
に塗布膜3を形成する際に、回転軸方向両端部が上記低
離型層21にかかるよう塗布液18を塗布し、その後高
速回転しながら塗布膜3を均一に広げる。尚、本実施形
態においては、金型2内周面に塗布する塗布液18が予
期せずに軸方向に流れることを防止するために、金型2
内周面のベルト形成領域の軸方向端部に堰止め部材(図
示を省略)を設けている。
【0126】液除去工程においては、実施例によって異
なるがそれぞれ後述の温度で塗布液18の溶剤を乾燥
し、その後回転を止めて金型2を取り出し、堰止めを取
り外して高温漕に移し、先ず100℃で加熱して溶剤の
完全除去を行う。その後、更に300℃に加熱して完全
な硬化を行い、塗布膜3が十分硬化した後、冷却して無
端状ベルト3を金型2内の離型膜15から剥離して取り
出す。以上の構成以外の無端状ベルト3の製造方法につ
いては、前記実施形態1と同様なので、説明を省略す
る。
【0127】以下に、本実施形態2の具体的な実施例1
〜6を説明する。 (実施例1)円筒形のアルミの金型2の内周面の回転軸
方向における中央所定巾(内領域)をハードクロム処理
によりハードクロムの皮膜を形成し、その後フッ素樹脂
被覆処理によりフッ素系樹脂膜を形成した。これによっ
て、内領域に上記高離型性層20を得た。これは、いわ
ゆるテフロック(オテック社の商標)処理と言われてい
るものである。このテフロック処理を行うに際して、金
型2の回転軸方向両端側は予めマスクし、アルミ無垢の
ままにしておいた。処理後、金型2の軸方向端部の無垢
アルミの部分(端部領域)を硬質アルマイト処理した多
孔質層にフッ素樹脂被膜を形成するタフラム処理を行
い、上記低離型性層21を得た。このようにして得られ
た金型2を用いて無端状ベルト3を製造した。但し、本
実施例における溶剤の乾燥温度は、80℃とした。これ
によって、形成された膜には浮きはなく、良好に硬化膜
が形成されており、この結果、厚みの均一な無端状ベル
ト3が得られていた。そして、ベルト3の両端部縁をナ
イフエッジで僅かに浮かして手で端部より剥離したが、
剥離はスムーズで剥離跡も残らなかった。またベルト3
表面の両端部を除く内領域は光沢を持ち、極めて平滑な
面が得られた。
【0128】(実施例2)円筒形のアルミの金型2の内
周面の内領域に相当する中央所定巾にガラスコーティン
グによってガラス被膜を形成し、上記高離型性層20を
得た。このガラスコーティングを行うに際して、金型2
の回転軸方向両端側は予めマスクし、アルミ無垢のまま
にしておいた。その後、端部領域の無垢アルミの部分を
タフラム処理して上記低離型性層21を得た。このよう
にして作製した金型2を用いて無端状ベルト3を製造し
た。但し、本実施例における溶剤の乾燥温度は、90℃
とした。これによって形成された無端状ベルト3表面の
状態、剥離の状態は実施例1と全く同様であった。
【0129】(実施例3)円筒形のアルミの金型2の内
周面全面をタフラム処理した後、そのタフラム被膜の内
領域に相当する中央所定巾を平滑処理としてのバフ研磨
して表面をツルツルの面に仕上げた。これによって、上
記高離型性層20を得た。また、バフ研磨しない端部領
域のタフラム被膜部分が上記低離型性層21である。こ
のようにして作製した金型2を用いて実施例2と同様の
方法で無端状ベルト3を製造した。この結果、形成され
た無端状ベルト3表面の状態、剥離の状態は実施例1及
び2と全く同様であった。
【0130】(実施例4)円筒形のアルミの金型2の内
周面全面にガラスコーティングによってガラス被膜を形
成し、そのガラス被膜の上記端部領域に相当する領域を
粗面化処理としてのエッチングにより磨りガラス状にし
た。これによって、内領域を平滑なガラス皮膜の高離型
性層20、磨りガラス状の端部領域を上記低離型性層2
1とした。また、実施例4の変形例として、円筒形のア
ルミの金型2の内周面全面のガラスコーティングをポリ
シラザン(東燃株式会社製品)を用いて酸化シリコンの
皮膜を形成するというゾルゲル法の一種の方法によって
得た。この皮膜の上記端部領域に相当する領域をサンド
ブラスト処理によってRz1.0μmの粗さに表面処理
した。これによって、端部領域に低離型性層21を、残
りの中央部に高離型性層20を得た。以上のようにして
作製したそれぞれの金型2を用いて実施例2と同様の方
法で無端状ベルト3を製造した。この結果、形成された
無端状ベルト3表面の状態、剥離の状態は、実施例4及
び実施例4の変形例共に実施例1、2及び3と全く同様
であった。
【0131】(実施例5)円筒形のアルミの金型2の内
周面全面をハードクロム処理とフッ素樹脂被覆処理によ
るテフロック(オテック社の商標)処理した後、内領域
に相当する中央所定巾を残して上記端部領域に相当する
領域をサンドブラスト処理によってRz10μmの粗さ
に表面処理した。これによって、端部領域に低離型性層
21を、残りの中央部に高離型性層20を得た。このよ
うにして作製した金型2を用いて実施例1と同様の方法
で無端状ベルト3を製造した。この結果、形成された無
端状ベルト表面の状態、剥離の状態は実施例1乃至4と
全く同様であった。
【0132】(実施例6)円筒形のアルミの金型2の内
周面全面をPFAフッ素樹脂で被覆処理した後、内領域
に相当する中央所定巾を残して上記端部領域に相当する
領域をサンドブラスト処理によってRz5.0μmの粗
さに表面処理した。これによって、端部領域に低離型性
層21を、残りの中央部に高離型性層20を得た。この
ようにして作製した金型2を用いて実施例2と同様の方
法で無端状ベルト3を製造した。この結果、形成された
無端状ベルト表面の状態、剥離の状態は実施例1乃至5
と全く同様であった。
【0133】以下、比較例について触れておく。 (比較例1)実施例1と同様に、円筒形のアルミの金型
2内周面全域をテフロック処理して離型膜15を形成し
た。この金型2を用いて実施例1と同様の塗布膜3の塗
布乾燥硬化処理をし、無端状ベルト3を製造した。その
結果、塗布膜3の硬化加熱時に、200℃を越えた頃か
ら端部が浮き始め、硬化終了時にはベルト3の半分が収
縮してしまった。
【0134】(比較例2)実施例3と同様に、円筒形の
アルミの金型2の内周面全域にガラスコーティングによ
ってガラス被膜を形成し離型膜15を形成した。但し、
端部領域の粗面化処理は行わなかった。この金型2を用
いて実施例2と同様の塗布膜3の塗布乾燥硬化処理を
し、無端状ベルト3を製造した。その結果、塗布膜3の
硬化加熱時に、180℃を越えた頃から端部が浮き始
め、硬化終了時にはベルト3の半分以上が収縮してしま
った。
【0135】(比較例3)円筒形のアルミの金型2内周
面全域をタフラム処理して離型膜15を形成した。この
金型2を用いて実施例1と同様の塗布膜3の塗布乾燥硬
化処理をし、無端状ベルト3を製造した。この結果、形
成された膜には浮きはなく、良好に硬化した無端状ベル
ト3が形成されていた。そして、ベルト3の両端部縁を
ナイフエッジで僅かに浮かして手で端部より剥離した
が、剥離はスムーズであった。
【0136】(比較例4)円筒形のアルミの金型2の内
周面全域を実施例6と同様のPFAフッ素樹脂で被覆処
理した後、上記端部領域に相当する領域のみフッ素樹脂
皮膜を研削して削り取り、その後、該両端部をタフラム
処理した。このようにして作製した金型2を用いて実施
例2と同様の方法で無端状ベルト3を製造した。この結
果、形成された無端状ベルト表面の状態、剥離の状態は
実施例1乃至6と全く同様であった。
【0137】以上本実施形態2における実施例1乃至6
と実施例4の変形例の無端状ベルトと、比較例のうち膜
の収縮が生じなかった比較例3、4の計9種類の無端状
ベルト3を、(株)リコー製フルカラー複写機プリテー
ルに搭載して画像を評価した。図12は、本実施形態に
係る複写機の要部概略構成図である。該複写機について
カラー画像が完成するまでの過程を簡単に説明する。図
12において、公知の工程で感光体29に静電潜像が形
成された後、現像ユニット24、25、26、および2
7により各色の現像が繰り返され、感光体29上に各々
の色画像(トナー像)が順次形成される。各色トナー像
は、それぞれ単色毎に中間転写ベルト30上の同じ位置
に順次重なって転写される。この転写は、転写バイアス
ローラ31に印加された所定のバイアス電圧によって生
じる。中間転写ベルト30上に転写された後、紙転写バ
イアスローラ33aにより、紙等の転写材に一括転写さ
れる。転写完了後、該転写材は、定着装置38に送られ
てトナー像が定着され、フルカラー画像となって現れ
る。
【0138】上記9種類の無端状ベルト3について、中
間転写ベルト30として複写機に設置するに適した幅に
該ベルト3の端部領域を切断し、上記装置内に取り付け
た。該装置を駆動し、画像形成を行いながら、形成され
た画像状態を評価した。
【0139】その結果、実施例1乃至6と実施例4の変
形例、比較例4の無端状ベルト3を用いて形成した画像
は、いずれもボソツキがなく画像が良好であった。一
方、比較例3の無端状ベルト3は、もともと表面の状態
が滑らかなものと、触ってざらざらしたものとがあり、
表面がなめらかな場合は画像が良好であったが、ざらざ
らの場合は画像にボソツキが発生してしまった。また、
比較例4においては、金型内周面に形成したフッ素樹脂
皮膜の端部領域を完全に削り取る工程及び端部領域のタ
フラム処理を行う工程が必要であるため、例えば実施例
6などに比して費用及び時間がかなりかかってしまい、
あまり好ましいものではなかった。
【0140】以上の結果から、離型膜15の離型性の性
質を回転軸方向の内領域と端部領域とで本実施形態のよ
うに分けることによって、得られる無端状ベルト3表面
の内領域を平滑な面にすることができ、例えば、画像形
成装置における中間転写ベルトや現像ベルト等として用
いても、画像の転写画像や現像像などにボソツキなどが
生じないということが判った。また、無端状ベルト3の
製造段階での端部からの浮きによる皺の発生などがな
く、均一な厚みの無端状ベルト3を製造することが出来
るということも判った。
【0141】また、上記実施例2、4及び実施例4の変
形例のように、金型2の内周面にガラスの膜を形成する
ことによって、塗布型自体がもともとガラス質である場
合に生じやすい取付け段階での圧力による割れという不
具合の恐れがなく、無端状ベルト3の製造に塗布型2と
して安定して使用することができる。また、ガラスの離
型膜15は、表面が平滑でかつその上に形成したベルト
の脱型が容易である。
【0142】ここで、上記低離型性層21と高離型性層
20とを異なる材質のもので形成すると、2つの領域間
に予期せぬ段差が生じたり、一方の領域形成のために他
方の領域をマスキングする工程や、領域形成のための工
程等が必要である。上記実施例3乃至6及び実施例4の
変形例においては、上記2つの領域を同一の材質で一気
に形成した後、内領域を平滑にしたり端部領域を粗面化
処理したりすることによって高離型性層20と低離型性
層21とを形成することができるので、高離型性層20
と低離型性層21とをそれぞれ異なる工程によって異な
る材質のもので形成するのに比して離型膜15の製造工
程が単純になり、時間やコストを低減することができ
る。また、高離型性層20と低離型性層21との膜厚が
異なることによって境界での段差が生じることも考えら
れるが、この段差も生じにくいので、この段差がその表
面に形成される無端状ベルト表面にレプリカされること
に起因するベルト厚のバラツキを確実に防止できるよう
になる。さらに、これらの金型2においては、実施例1
及び2で行っているような高離型性層20を形成する際
の端部領域のマスキングの必要がないので、マスキング
用テープの溶剤が残留して金型内面を汚す恐れもない。
【0143】また、上記実施例4の変形例及び実施例
5,6においては、低離型性層21をサンドブラストに
よって形成している。この方法によれば、吹き付ける砂
の粒径と吐出圧力とを調整することによって面粗度を所
望の粗度に容易に調整することができる。
【0144】また特に、上記実施例4の変形例において
は、離型膜15をゾルゲル法による酸化シリコン皮膜に
よってガラス質の皮膜を得ている。この方法によれば、
比較的低温でガラス質の高離型性皮膜を形成することが
できるので、離型膜15の形成に有用である。
【0145】また特に、上記実施例5及び6のように、
離型膜15をフッ素樹脂を用いて形成することによっ
て、表面を粗面化処理しない領域は高離型性で且つ平滑
な高離型性層20とすることができ、無端状ベルト3の
剥離脱型が容易な金型2を容易に得ることができる。
【0146】尚、本実施形態においても、上記実施形態
1と同様に、回転駆動される外筒管1内に金型2を挿入
して金型内に無端状ベルト3を形成するようにした生産
性の良い製造方法を採用しているが、この製造方法に限
定されるものではない。外筒管1を設けず、金型2を個
々に回転駆動する従来提案されていた方法で無端状ベル
ト3を製造しても良い。
【0147】尚、ここでは、複写機、プリンター等の静
電複写プロセスの中間トナー担持体として使用される中
間転写ベルト30を例に挙げたが、これに限るものでは
ない。本発明の遠心成形用金型、遠心成形方法及び無端
状ベルトの製造方法は、遠心形成法が用いられる樹脂あ
るいはゴム等の成形品を製造する様々な工業分野におい
て活用できるものである。
【0148】
【発明の効果】請求項1の遠心成形用塗布型によれば、
離型膜が塗布膜の乾燥固化、及び硬化のための加熱に耐
えうるので、塗布工程から剥離脱型工程までの一連の工
程を1つの型で一貫して処理することができるという優
れた効果がある。これに加えて、この塗布型を用いて無
端状ベルトを成形した場合に、塗布型からの離型膜の浮
き上がりによるベルト厚のバラツキを防止できるので、
厚みの均一な無端状ベルトを製造することができるとい
う優れた効果もある。また、無端状ベルトに離型膜の皺
がレプリカされることがないので、皺のない無端状ベル
トを得ることができるという優れた効果もある。また、
離型膜の繰り返し使用に対する耐久性に優れているの
で、無端状ベルトの量産性にも寄与するという優れた効
果がある。特に、この遠心成形用塗布型が、外周面に多
数の凹部を有し、その面上にフッ素系樹脂膜が形成され
ている場合は、この塗布型を別の部材の内部に挿入し
て、該別の部材(以下、外側の部材という)を駆動する
ことにより塗布型を従動させて回転させることができ
る。この場合、外側の部材の塗布型に接触する領域にも
フッ素系樹脂膜を形成しておくことによって、塗布型と
外側の部材との接触部がそれぞれ磨耗することを防止す
ることができるという優れた効果もある。
【0149】特に、請求項2及び5の遠心成形用塗布型
によれば、離型膜表面に形成される塗布膜が硬化処理に
よって無端状ベルトとなるまで、塗布膜端部から浮き上
がることなく塗布型に密着させ続けることができる。よ
って、塗布工程から剥離脱型工程までの一連の工程を1
つの型で一貫して処理することができるという優れた効
果がある。また、塗布型から塗布膜が浮き上がる事が防
止できるので、膜の形成段階で塗布型から塗布膜が剥離
することによって生じるベルト厚のバラツキを防止でき
るので、厚みの均一な無端状ベルトを製造することがで
きるという優れた効果もある。
【0150】請求項3及び4の遠心成形用塗布型によれ
ば、無端状ベルトの形成途中において、塗布膜が離型膜
から浮き上がることがないと共に、離型膜が塗布型から
浮き上がることもないので、これら2つの原因によるベ
ルト厚のバラツキを防止することができるという優れた
効果がある。また、硬質アルマイト処理は、高温による
処理が不必要で、離型膜の形成時にも熱が加わらないの
で、加熱による離型膜の歪み(アニール変形)等が生じ
にくくなり、その上に形成される無端状ベルト表面に予
期せぬ歪みがレプリカされることもない。また、完成し
た無端状ベルトは、離型膜から容易に剥離することがで
きるので、無端状ベルトの塗布型からの離型性が良好で
あるという優れた効果もある。
【0151】特に、請求項4の遠心成形用塗布型におい
て、ベルト形成領域の内部領域表面を平滑にしておけ
ば、この塗布型を用いて無端状ベルトを製造することに
より、無端状ベルトの遠心回転軸方向における内部領域
を平滑な面にすることができるという優れた効果があ
る。そして、この無端状ベルトを画像形成装置における
中間転写ベルト等として用いた場合、上記内領域に画像
が担持されて良好な画像を形成することができるという
効果もある。
【0152】特に、請求項5の遠心成形用塗布型によれ
ば、低離型性を有する領域と高離型性を有する領域とを
同一の材質のもので一気に形成できるので、両領域を互
いに異なる材質のもので形成する場合に必要となる非処
理領域のマスキングや複数回に渡る異なる製造工程を減
らすことができ、工程及び材料のコストを抑えることが
できるという優れた効果がある。また、高離型性の材質
表面のうち必要な部分のみを粗面化処理することにより
アンカー(投錨)効果で低離型性の領域も容易に得るこ
とができる。また、高離型性と低離型性の両領域間が連
続的な面であるので、その領域間に切れ目や隙間、余分
な凸部などがある場合の予期せぬ無端状ベルトの剥離浮
き上がり等の発生の恐れもない。
【0153】請求項6乃至12の遠心成形方法によれ
ば、離型膜が塗布膜の乾燥固化、及び硬化のための加熱
に耐えうるので、塗布工程から剥離脱型工程までの一連
の工程を1つの型で一貫して処理することができるとい
う優れた効果がある。これに加えて、この遠心成形方法
によれば、塗布型からの離型膜の浮き上がりによるベル
ト厚のバラツキを防止できるので、厚みの均一な無端状
ベルトを製造することができるという優れた効果もあ
る。また、無端状ベルトに離型膜の皺がレプリカされる
ことがないので、皺のない無端状ベルトを得ることがで
きるという優れた効果もある。また、離型膜の繰り返し
使用に対する耐久性に優れているので、無端状ベルトの
量産性にも寄与するという優れた効果がある。また、多
数個の塗布型を外筒管内に装着(挿入)して外筒管を駆
動すれば、回転手段当たりの生産性を上げることがで
き、遠心成形の作業効率と量産性を向上させることがで
きるという優れた効果もある。
【0154】特に、請求項7の遠心成形方法によれば、
この方法を用いて無端状ベルトを製造する事によって、
塗布型と外筒管との接触部がそれぞれ磨耗することを防
止することができ、塗布型と外筒管とを多回使用できる
という優れた効果がある。また、塗布型と外筒管との接
触部の摩擦を低減できるので、塗布型の回転がスムーズ
になるという優れた効果もある。
【0155】特に、請求項8の遠心成形方法によれば、
この方法を用いて無端状ベルトを製造する事によって、
無端状ベルトの製造によって生じる溶剤蒸気等の排気処
理が容易となるという優れた効果がある。
【0156】特に、請求項9の遠心成形方法によれば、
塗布膜の乾燥固化及び硬化のための塗布型内の加熱が容
易になるので、無端状ベルトの製造が容易にできるとい
う優れた効果がある。
【0157】特に、請求項10及び11の遠心成形方法
によれば、同時に複数個の同一製品を製造する、又は異
なる種類の製品を製造するに際して、それぞれ、従来の
ように別個に安定に回転する塗布型を設ける必要がなく
同一の外筒管を回転駆動すればよいので、塗布型ごとに
回転駆動手段を切り替える必要がなくなる。よって、回
転駆動手段の切り替え作業に関わる調整・設定が必要な
くなり、この方法を用いて無端状ベルトを製造する事に
よって、従来の方法に比べて量産性及び生産性を著しく
向上させることができるという優れた効果がある。ま
た、例えば、複数の同径の塗布型を外筒管内に縦列に入
れ、その最端部に位置する塗布型開口部から一気に塗布
液を吐出して、並んでいる複数の塗布型内に同時に塗布
液を塗布することもでき、ベルトの基材としての塗布液
の塗布を効率良くできるという優れた効果もある。
【0158】特に、請求項12の遠心成形方法によれ
ば、この方法を用いて無端状ベルトを製造する事によっ
て、無端状ベルトの形成段階でのベルトの塗布膜からの
剥離が生じないので厚みの均一な無端状ベルトを製造す
ることができると共に、形成された無端状ベルトを塗布
型から容易に剥離することができるという優れた効果が
ある。
【0159】請求項13乃至22の無端状ベルトの製造
方法によれば、離型膜が塗布膜の乾燥固化、及び硬化反
応段階で塗布型から浮き上がらないので、塗布工程から
剥離脱型工程までの一連の工程を1つの型で一貫して処
理することができるという優れた効果がある。また、塗
布膜の硬化反応段階での塗布型からの浮きに起因するベ
ルトの不均一な収縮が生じないので、厚みの均一な無端
状ベルトを製造することができるという優れた効果もあ
る。
【0160】特に、請求項14乃至18の無端状ベルト
の製造方法によれば、離型膜が塗布膜の乾燥固化、及び
硬化のための加熱に耐えうるので、塗布工程から剥離脱
型工程までの一連の工程を1つの型で一貫して処理する
ことができるという優れた効果がある。これに加えて、
この遠心成形方法によれば、塗布型からの離型膜の浮き
上がりによるベルト厚のバラツキを防止できるので、厚
みの均一な無端状ベルトを製造することができるという
優れた効果もある。また、無端状ベルトに離型膜の皺が
レプリカされることがないので、皺のない無端状ベルト
を得ることができるという優れた効果もある。また、離
型膜の繰り返し使用に対する耐久性に優れているので、
無端状ベルトの量産性にも寄与するという優れた効果が
ある。また、塗布型の外周面と外筒管の内周面との硬度
が等しくなるために、回転すり合わせによる塗布型及び
外筒管の磨耗が防止でき、塗布型のスムーズな回転を実
現できるという優れた効果もある。また、多数個の塗布
型を外筒管内に装着(挿入)して外筒管を駆動すれば、
回転手段当たりの生産性を上げることができ、遠心成形
の作業効率と量産性を向上させることができるという優
れた効果もある。
【0161】特に、請求項15の無端状ベルトの製造方
法によれば、塗布型の内周面に塗布液の膜を均一に形成
することができ、より確実に厚みの均一な無端状ベルト
を得ることができるという優れた効果がある。
【0162】特に、請求項16の無端状ベルトの製造方
法によれば、同時に複数個の同一製品を製造する、又は
異なる種類の製品を製造するに際して、それぞれ、従来
のように別個に安定に回転する塗布型を設ける必要もな
くなる。このため、これらに係わる調整・設定に要する
準備や、また、例えば、ベルト原料の樹脂液の吐出等に
係わる調整・設定に要する準備等の作業管理の煩雑さが
著しく簡略される。従って、無端状ベルトの量産性及び
生産性を著しく向上させることができるという優れた効
果がある。
【0163】特に、請求項17の無端状ベルトの製造方
法によれば、無端状ベルトの形成段階でのベルトの塗布
膜からの剥離が生じないので厚みの均一な無端状ベルト
を製造することができると共に、形成された無端状ベル
トを塗布型から容易に剥離することができるという優れ
た効果がある。
【0164】特に、請求項18の無端状ベルトの製造方
法によれば、耐溶剤性、耐薬品性或いは耐熱性に優れた
無端状ベルトを製造することができるという優れた効果
がある。
【0165】特に、請求項19乃至22の無端状ベルト
の製造方法によれば、無端状ベルトの形成途中における
離型膜の塗布型からの剥離を防止できると共に、形成途
中での塗布膜の端部が離型膜から離型することがないの
で、塗布膜端部からの浮きによって生じる塗布膜の不均
一な収縮を防止することができる。また、完成した無端
状ベルトは塗布型から良好に脱型することができる。更
に、無端状ベルトの遠心回転軸方向両端部近傍を除くそ
の挟まれた内領域を確実に平滑な面とすることができる
ことにより、この無端状ベルトを画像形成装置における
中間転写ベルトや現像ベルト等として用いた場合、上記
内領域に担持された画像の転写画像や、現像像などにボ
ソツキなどが生じないという優れた効果もある。
【0166】特に、請求項20乃至22の無端状ベルト
の製造方法によれば、塗布型内周面における無端状ベル
トの遠心回転軸方向両端部近傍を除くその挟まれた内領
域に表面の平滑な離型膜を形成し、かつ、ベルト形成領
域の少なくとも遠心回転軸方向両端部近傍が該膜の形成
を行っている間は該膜の浮きが抑制される程度の低離型
性とするための加工が確実にできるという優れた効果が
ある。よって、無端状ベルトが形成される途中の段階で
の、塗布膜又は無端状ベルトの端部が離型膜から浮き上
がることを確実に防止できるので、離型膜からの塗布膜
の浮き上がりによるベルト厚のバラツキを防止でき、厚
みの均一な無端状ベルトを製造できるという優れた効果
がある。
【0167】また、請求項21及び22の無端状ベルト
の製造方法によれば、離型膜にガラスを用いることによ
って、フッ素樹脂膜と同様に耐熱性の高い、繰り返し使
用が可能な塗布型を得ることができるという優れた効果
もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる遠心成形用塗布型内周面の
拡大概念断面図。
【図2】従来技術にかかる遠心成形用金型内周面の拡大
概念断面図。
【図3】金型内周面への塗布液の塗布方法の説明図。
【図4】金型内に塗布液が塗布された状態を示す断面
図。
【図5】本実施形態にかかる、金型内周面への樹脂液の
注入方法の説明図。
【図6】本実施形態にかかる、金型内周面に糸引き状付
着樹脂液が互いに重なり合うようにする注入方法を示す
概略斜視図。
【図7】(a)〜(f)は、本発明による金型を用い無
端状ベルトを作製する製造工程及びその製造方法の説明
図。
【図8】(a)は、外筒管内に金型を挿入して遠心成形
を行う場合の遠心回転軸方向断面図。(b)は、同じ
く、周方向断面図。
【図9】(a)は、金型を縦列させることにより同時に
多数個の無端状ベルトを作製した状態を表した遠心回転
軸方向における断面図。(b)は同、周方向断面図。
【図10】(a)は、金型を並列させることにより同時
に多数個の無端状ベルトを作製した状態を表した遠心回
転軸方向における断面図。(b)は同、周方向断面図。
【図11】実施形態2に係る金型内に無端状ベルトを形
成した状態の遠心回転軸方向断面図。
【図12】実施形態2の無端状ベルトを適用した電子複
写機の概略構成図。
【図13】従来の遠心成形方法の説明図。
【符号の説明】
1 外筒管 2 金型 3 塗布膜(無端状ベルト) 4 回転治具 5 押し当て治具 6 摺動部材(突き当て部材) 8 ヒーター 9 排気管 14 細孔 15 離型膜 16 ノズル 17 基部 18 塗布液 19 糸引き状付着樹脂液 20 高離型性層 21 低離型性層 24、25、26、27 現像ユニット 29 感光体 30 中間転写ベルト 38 定着装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29C 41/36 B29C 41/36 G03G 15/16 G03G 15/16 // G03G 5/00 101 G03G 5/00 101 5/05 101 5/05 101 B29L 23:00 B29L 23:00 Fターム(参考) 2H032 BA09 BA18 DA13 2H068 AA55 EA07 4D075 AG08 CA13 DC16 4F202 AA29 AC05 AG16 AJ03 AJ06 AJ09 AJ11 CA04 CB01 CD22 CD24 CK11 4F205 AA29 AC05 AG16 AJ03 AJ06 AJ09 AJ11 GA01 GA06 GB01 GC04 GF24 GN01 GW06

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遠心成形により無端状ベルトを形成する遠
    心成形用塗布型において、 上記遠心成形用塗布型の内周面又は内外周面に多数の凹
    部を有し、該凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からな
    る離型膜を設けたことを特徴とする遠心成形用塗布型。
  2. 【請求項2】遠心成形により無端状ベルトを形成する遠
    心成形用塗布型において、 上記遠心成形用塗布型の上記無端状ベルトが形成される
    ベルト形成領域のうち、遠心回転軸方向両端部近傍が、
    該ベルトの形成途中において該遠心成形用塗布型からの
    浮きが抑制される程度の低離型性を有し、かつ、上記ベ
    ルト形成領域のうち上記両端部近傍領域を除く内部領域
    が、形成された無端状ベルトを容易に剥離できる程度の
    高離型性を有することを特徴とする遠心成形用塗布型。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の遠心成形用塗布型におい
    て、 上記遠心成形用塗布型が、アルミニウム金属から成るも
    のであって、該遠心成形用塗布型の内周面又は内外周面
    に硬質アルマイト処理で形成された多孔質層の多数の凹
    部を有し、該凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からな
    る離型膜を設けたことを特徴とする遠心成形用塗布型。
  4. 【請求項4】請求項2の遠心成形用塗布型において、 上記遠心成形用塗布型がアルミニウム金属から成るもの
    であって、前記ベルト形成領域の遠心回転軸方向両端部
    近傍に、硬質アルマイト処理で形成された多孔質層の多
    数の凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜
    を設け、その両端部近傍領域を除く内部領域には該構成
    の離型膜を設けていないことを特徴とする遠心成形用塗
    布型。
  5. 【請求項5】請求項2の遠心成形用塗布型において、 上記遠心成形用塗布型が、前記ベルト形成領域の全域に
    前記高離型性を有する材質からなる表面が形成された
    後、該高離型性を有する表面のうち該ベルト形成領域に
    おける遠心回転軸方向両端部近傍領域のみが粗面化処理
    により前記低離型性を有するよう形成されてなることを
    特徴とする遠心成形用塗布型。
  6. 【請求項6】円筒状の塗布型の内周面に無端状ベルトを
    形成するための基材としての塗布液を塗布し、該塗布型
    を円筒の軸を中心として回転させることによりその遠心
    力で該型内周面に無端状ベルトを形成する遠心成形方法
    において、 上記塗布型が、その内周面又は内外周面に多数の凹部を
    有し、該凹部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離
    型膜が設けられ、かつ、回転する円筒状の外筒管内に挿
    入されて該外筒管に従連動されるようにしたことを特徴
    とする遠心成形方法。
  7. 【請求項7】請求項6の遠心成形方法において、 前記塗布型がその外周面にフッ素系樹脂膜を有するもの
    であって、かつ、前記外筒管の内周面にフッ素系樹脂膜
    を設けたことを特徴とする遠心成形方法。
  8. 【請求項8】請求項6又は7の遠心成形方法において、 前記外筒管の一方の側端部位には装着・脱着が可能な押
    し当てジグが設けられ、前記ジグには、該外筒管の回転
    を阻止しない摺動部材及び、該外筒管内と管外との連通
    孔を有し、且つ前記連通孔を介して該外筒管内を吸引可
    能に構成したことを特徴とする遠心成形方法。
  9. 【請求項9】請求項6、7又は8の遠心成形方法におい
    て、 前記外筒管の側端部位から、温風を前記塗布型内に向け
    て吹き込むか又はヒーターを該塗布型内に挿入させるか
    することによって、該塗布型内周面を加熱することを特
    徴とする遠心成形方法。
  10. 【請求項10】請求項6、7、8又は9の遠心成形方法
    において、 前記塗布型が、前記外筒管内に少なくとも二個以上入れ
    られていることを特徴とする遠心成形方法。
  11. 【請求項11】請求項10の遠心成形方法において、 前記塗布型が、前記外筒管内に縦列及び/又は並列に入
    れられていることを特徴とする遠心成形方法。
  12. 【請求項12】請求項6の遠心成形方法において、 前記塗布型が、アルミニウム金属であって、該塗布型の
    内周面又は内外周面には、硬質アルマイト処理で形成さ
    れた多孔質層上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を有す
    ることを特徴とする遠心成形方法。
  13. 【請求項13】円筒状の塗布型の内周面に無端状ベルト
    を形成するための基材としての塗布液を塗布する塗布工
    程と、該塗布型を円筒の軸を中心に回転させることによ
    りその遠心力で該型内周面に塗布膜を形成する遠心成形
    工程と、該塗布膜を乾燥させることにより乾燥固化状態
    を経て硬化状態にする硬化工程とを有し、該無端状ベル
    トを該塗布型から脱型する無端状ベルトの製造方法にお
    いて、 上記無端状ベルトの形成途中においては、上記塗布膜の
    少なくとも遠心回転軸方向両端部近傍領域が、上記塗布
    型から浮かない程度に該塗布型に密着していることを特
    徴とする無端状ベルトの製造方法。
  14. 【請求項14】請求項13の無端状ベルトの製造方法に
    おいて、 前記塗布型が、その内外周面に多数の凹部を有し、該凹
    部を有する面上にフッ素系樹脂膜からなる離型膜を有
    し、かつ、回転する外筒管内に挿入されて該外筒管に従
    連動するされるようにしたものであって、該外筒管の内
    周面にフッ素系樹脂膜を設けたことを特徴とする無端状
    ベルトの製造方法。
  15. 【請求項15】請求項13又は14の無端状ベルトの製
    造方法において、 前記塗布工程では、前記塗布型内周面に、前記塗布液を
    遠心回転軸方向に連続した糸引き状に注入することを特
    徴とする無端状ベルトの製造方法。
  16. 【請求項16】請求項14の無端状ベルトの製造方法に
    おいて、 前記外筒管内に、少なくとも、二個以上の前記塗布型が
    縦列及び/又は並列に挿入されていることを特徴とする
    無端状ベルトの製造方法。
  17. 【請求項17】請求項13、14、15又は16の無端
    状ベルトの製造方法において、 前記塗布型が、アルミニウム金属から成り、該塗布型の
    内周面又は内外周面が硬質アルマイト処理で形成された
    多孔質層による凹部を有し、該凹部を有する面上にフッ
    素系樹脂膜からなる離型膜を有することを特徴とする無
    端状ベルトの製造方法。
  18. 【請求項18】請求項13、14、15、16又は17
    の無端状ベルトの製造方法において、前記塗布液がポリ
    アミド酸(polyamic acid)を主成分とすることを特徴と
    する無端状ベルトの製造方法。
  19. 【請求項19】請求項17の無端状ベルトの製造方法に
    おいて、 前記離型膜が、前記塗布型内周面のうち少なくとも前記
    無端状ベルトが形成されるベルト形成領域に設けられ、
    且つ、該ベルト形成領域における遠心回転軸方向両端部
    近傍を除く内部領域の該離型膜表面が平滑処理されてい
    ることを特徴とする無端状ベルトの製造方法。
  20. 【請求項20】請求項13の無端状ベルトの製造方法に
    おいて、 前記塗布型がアルミニウム金属であって、且つ、該塗布
    型内周面の前記無端状ベルトが形成される形成領域にお
    ける遠心回転軸方向両端部近傍を除くその内部領域がフ
    ッ素系樹脂でコーティングされた後、該両端部近傍領域
    が硬質アルマイト処理により多孔質層が形成され該多孔
    質層上にフッ素系樹脂膜が設けられていることを特徴と
    する無端状ベルトの製造方法。
  21. 【請求項21】請求項13の無端状ベルトの製造方法に
    おいて、 前記塗布型がアルミニウム金属であって、且つ、該塗布
    型内周面の前記無端状ベルトが形成されるベルト形成領
    域における遠心回転軸方向両端部近傍を除く内部領域が
    ガラスによりコーティングされた後、該両端部近傍領域
    が硬質アルマイト処理により多孔質層が形成され該多孔
    質層上にフッ素系樹脂膜が設けられていることを特徴と
    する無端状ベルトの製造方法。
  22. 【請求項22】請求項13の無端状ベルトの製造方法に
    おいて、 前記塗布型が、該塗布型内周面の前記無端状ベルトが形
    成されるベルト形成領域全面がガラスによりコーティン
    グされた後、該ベルト形成領域における遠心回転軸方向
    両端部近傍領域のみが粗面化処理されていることを特徴
    とする無端状ベルトの製造方法。
JP36927399A 1999-01-19 1999-12-27 遠心成形用塗布型、遠心成形方法及び無端状ベルトの製造方法 Expired - Fee Related JP3965267B2 (ja)

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