JP4057708B2 - 塗布型および無端状ベルトの製造方法 - Google Patents
塗布型および無端状ベルトの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンタ等の電子写真プロセスにおける中間トナー担持体として利用される無端状ベルトの遠心成形技術に関し、詳しくは、無端状ベルトを遠心成形するための塗布型(塗布離型用型)と、この塗布型を用いる無端状ベルトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心成形による無端状ベルトの製造は、比較的低速で回転する塗布型の内面にスプレー塗布等で原料溶液(原料を溶剤に溶解したもの)を流し込んでから、塗布型を高速回転に切り替え、その遠心力で塗布液を塗布型の軸方向に拡げて均一厚の塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥固化した後、剥離して取り出すものが一般的である。
【0003】
また、カラー複写機における中間転写体としてのベルトに用いられるポリマーには難燃性・強度・電気安定性が要求され、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されている。ポリイミド樹脂は、強度や摩擦帯電性の点で特に期待されている材料である。したがって、ポリイミド製の無端状ベルトを簡便に遠心成形できる技術が要望されている。
【0004】
ポリイミド製の無端状ベルトの遠心成形では、その前駆体としてポリアミック酸が用いられる。このポリアミック酸は特定の溶剤に溶解する性質と、熱または触媒によってイミド閉環(イミド転化)してポリイミドに変化する性質とを有する。また、ポリイミド製の無端状ベルトを作製する方法としては、回転する円筒型内にポリアミック酸を注入した後、これをイミド転化させる遠心成形法が知られている。
【0005】
ところが、上記塗布膜からの溶剤の乾燥除去が不充分であると、膜が柔らかいため、これを塗布型から剥離するときに破れてしまう。逆に乾燥しすぎたり、固化しすぎたりすると、膜が塗布型に密着しすぎて剥離が難しくなり、無理に剥離すると破れてしまうという問題があった。
【0006】
このような不具合をなくすため従来は、塗布膜の溶剤乾燥状態を適度なものとするとともに、細心の注意を払いながら膜を剥した後、この剥離膜を硬化させるための型をこの剥離膜の中に挿入してから、膜を加熱硬化させて最終的に無端状ベルトを作製していた。
【0007】
しかしながら、この方法では以下の問題があった。
(1)乾燥温度条件を一定にしているつもりでも、環境条件によっては膜がうまく剥離できない場合があるため、剥離膜を安定して得るのが難しい。
(2)塗布型の直径等が変更されると適正乾燥条件が全く変わってしまい、最初から条件出しをする必要がある。
(3)上記剥離膜を硬化させるための硬化型をこの剥離膜の中に挿入し、加熱により剥離膜を硬化させるときに加熱温度分布(加熱ムラ)等があると、膜が均一に硬化収縮せず、膜に部分的に皺が発生する。
(4)上記のように塗布型から塗布膜を剥離し、これに硬化型を挿入して硬化させた後、硬化型から硬化膜を剥離するため工程が煩雑である。
【0008】
上記問題の解決策としては、塗布型の型内面に塗布膜に対する適度の離型性を付与することが有効である。そのための具体例として、あらかじめ型内面に塗布あるいは被覆により離型膜を形成しておき、塗布膜の加熱硬化後に離型膜をその融点以上の温度に加熱して流出させることで硬化膜を剥離するものが、特開昭48−91159号公報に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の方法では硬化膜の剥離性は良好であるものの、形成した離型膜を流出させてしまうため、離型膜を繰返し使用することができない。さらに、塗布膜材質の硬化温度を考慮して、好適な融点の離型膜材料を選択しなければならないので、離型膜材料の種類などがかなり限られてしまうという問題がある。また、硬化膜としてポリイミド膜を成形する場合には、融点が300℃程度の離型膜材料が必要になる。
【0010】
また、無端状ベルト成形用の塗布型の内面に形成する離型性皮膜として、従来から離型性材料として良く知られているフッ素系樹脂を使用することが考えられる。フッ素系樹脂は良好な離型性材料であるとともに、融点が300℃前後と高いため、シリコーン樹脂と同様に定着ローラにも使用されている材料である。
【0011】
しかし、フッ素系樹脂を離型層として用いる場合、(1)塗布型の内面に直接、かつ一様に塗布膜を形成したときに、この離型層の温度が融点以上になると、これが凝集を起こしやすくなる、(2)耐熱性芯材として使用する場合、フッ素系樹脂はポリイミド樹脂より耐熱性が劣ると、特許第2680894号公報に記載されていることから明らかなように、一旦剥離した塗布膜の硬化用芯材としてフッ素系樹脂を使用した場合、高温状態においてフッ素系樹脂が、上記塗布膜との対向間隙にある空気に接触して劣化する恐れがある。
【0012】
本発明は、従来技術の上記問題点を解決しようとするもので、その目的は、簡便な工程により高品質の無端状ベルトを遠心成形することができる塗布型、および、この塗布型によるポリイミド製無端状ベルトの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の塗布型は、遠心成形法により無端状ベルトを作製するための塗布型において、型内面からの成形品の剥離を容易にする離型性の膜(離型層)として非晶質シリコン皮膜を型内面に形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の無端状ベルトの製造方法は、ポリイミドからなる無端状ベルトの製造方法において、請求項1に記載の塗布型の型内面にポリアミック酸の溶剤溶液を塗布・乾燥後、ポリアミック酸を加熱してイミド化し、イミド化終了後のポリイミド膜を型内面から剥離することを特徴とする。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
アルミニウム製の円筒型を真空成形槽に入れて温度300℃に加熱保持しながら一旦排気した後、円筒型の内部にシランガスを徐々に流して型内面にシリコン皮膜を形成し、塗布型とした。
【0019】
実施例2
石英製の円筒型を真空成形槽に入れて温度300℃に加熱保持しながら一旦排気した後、シリコンのターゲットをスパッターして円筒型の内面にシリコン皮膜を形成し、塗布型とした。
【0020】
実施例3
ポリイミド前駆体であるポリアミック酸(東レ製 トレニース#3000)を溶媒DMACに濃度30%に希釈した溶液を、実施例1,2の塗布型の型内面に塗布し、塗布型を高速回転しながら上記塗布膜を均一にした。塗布膜から溶剤を乾燥除去した後、温度300℃に加熱した。塗布膜が充分硬化した後、冷却し、硬化膜の端部にナイフエッジを当てることでこれを塗布型から剥離した。
【0021】
その結果、硬化膜剥離時にシリコン皮膜(離型膜)に傷がつくこともなく容易に剥離することができたうえ、シリコン皮膜は型内面に強固に付着したままであった。また、これらの塗布型を500回以上繰り返し使用したが、形態が良好な無端状ベルトを再現性良く作製することができた。図1は実施例3において塗布膜が充分硬化した後の塗布型を示す断面図であり、1は塗布型、2は離型性の膜、3は無端状ベルトを示している。
【0022】
比較例1
シリコン皮膜に代えてポリイミドの離型膜を設けた塗布型を使用し、実施例3と同様にして無端状ベルトを作製した。使用初期は良好な無端状ベルトが成形された。しかし、ベルト作製の繰返し回数が増大するに従って、塗布膜端部に近い離型膜部分で傷が目立ち始め、ついには塗布膜に離型膜の傷が転写されて無端状ベルトの外観形状に異常が発生し始めた。このため、ポリイミド離型膜の繰返し回数は100回程度にとどまった。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の効果が得られる。
(1)請求項1
遠心成形法による無端状ベルト作製用の塗布型において、型内面に離型膜として剥離離型性・耐熱性・機械的強度に極めて優れた感光性を持つ非晶質の無機シリコン皮膜を形成したので、この塗布型で遠心成形した後、そのまま塗布型内で塗布膜の硬化処理を行うことができるうえ、硬化後の無端状ベルト(硬化膜)を容易に剥離することができる。また、無端状ベルトを剥離するために離型膜端部にナイフエッジを当てることがあっても、これに傷がつくことはないので、無端状ベルトに離型膜の傷が転写されることもない。このように、この塗布型によれば簡便な工程で高品質の無端状ベルトを安定して製造することができ、しかも離型膜が耐久性に優れているので無端状ベルトの製造に多数回、繰返し使用することが可能になる。
【0024】
また、型内面の離型膜として、感光性を持つ非晶質の無機シリコン皮膜を形成したので、この皮膜と硬化膜との間に静電気による付着が生じた場合には、離型膜に光を硬化膜を介して照射すれば静電気がアースされるため、硬化膜の剥離が容易になる。
【0027】
(2)請求項2
ポリイミドの無端状ベルトを作製するには、イミド化前のポリアミック酸の状態で塗布し、これをイミド化して硬化させるが、この無端状ベルト製造方法では、剥離離型性・耐熱性・機械的強度に極めて優れた無機シリコン皮膜の離型膜を形成した塗布型を使用するので、高品質のポリイミド製無端状ベルトを簡便な工程で安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗布型の型内面に無端状ベルトが成形された状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 塗布型
2 離型性の膜(離型膜)
3 無端状ベルト(成形品)
Claims (2)
- 遠心成形法により無端状ベルトを作製するための塗布型において、型内面からの成形品の剥離を容易にする離型性の膜として非晶質シリコン皮膜を型内面に形成したことを特徴とする塗布型。
- ポリイミドからなる無端状ベルトの製造方法において、請求項1に記載の塗布型の型内面にポリアミック酸の溶剤溶液を塗布・乾燥後、ポリアミック酸を加熱してイミド化し、イミド化終了後のポリイミド膜を型内面から剥離することを特徴とする無端状ベルトの製造方法。
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