JP3904343B2 - 無端ベルトの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心成形法を用いる無端ベルト形成方法に係り、詳しくは、遠心成形法により成形された無端ベルトにおける厚みの均一性向上と、無端ベルト用成形膜における塗布型からの脱型の容易化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置の感光体ベルトや中間転写ベルトなど、各種装置に無端ベルトが用いられている。この無端ベルトは、ベルトの厚みにバラツキがあると厚み方向における抵抗値に面方向でのバラツキが生じ、これによって種々の不具合を発生させてしまう。例えば、厚みのバラツキがある感光体ベルトや中間転写ベルトを用いて画像を形成すると、均一な画像が得られなかったり、転写抜けが発生したりすることがある。また、この厚みのバラツキが大きい場合には、装置内部で回転させ続けるうちにベルトが回転軸線方向の一端に片寄ってしまい、ベルト自体に皺が発生したり、ベルト面が破断したりしてしまうことがある。
このため、無端ベルトの厚みを均一にすることが望まれるところである。
【0003】
従来、無端ベルトを製造する方法としては、遠心成形法(遠心成形法と記される場合もある)が広く用いられてきた。この遠心成形法とは周知の如く、無端ベルトを形成するための基剤としての塗布液をスプレーなどの注入手段によって、塗布型としての回転する筒状型の内周面に遠心注型し、該筒状型の遠心力によって無端ベルトとしての無端膜を該塗布型内周面に成形する方法である。
そして、ベルトの厚みは塗布型の内周面に付着した塗布液の液厚によって決定される。
【0004】
上記遠心成形法において、塗布型の内周面に塗布され遠心力によって無端膜化した塗布液は、塗布型の回転が停止されると垂れてくる。このため、塗布液によって形成した膜の厚みが不均一になるのはもちろん、膜の形態を維持できなくなってしてしまうこともある。従って、塗布型の内周面に形成された無端膜を塗布型の回転停止前に液垂れが生じない乾燥状態になるまで乾燥させておくことが必要になってくる。
【0005】
しかしながら、塗布型の内周面に塗布された塗布液をそのまま乾燥固化させると、無端膜は塗布型の内周面に密着した状態で固定されてしまうため、型から剥離させることが困難になる。これについては、塗布型の内周面で乾燥させた無端膜を型面から剥離しやすいようにするための方法も種々提案されている。例えば、塗布型の内周面の表面粗度を低くし、該内周面と無端膜との付着力を低くする方法や、塗布型の内周面に離型性のある膜(以下、離型膜という)を貼り付け、その内周面に無端膜を形成して、無端膜を塗布型から剥がしやすいようにする方法などが提案されている。
【0006】
しかし、このうち、塗布型の内周面の面精度を上げる方法は、ベルト幅の大きいものやベルト周長が小さいものを形成するための塗布型においてはその機械的な加工が非常に難しくなってしまう。
また、塗布型の内部に離型膜を貼り付ける方法は、離型膜の厚みが均一でなくうねり等があると、そのうねりが無端膜にそのまま影響してしまい均一な厚みの無端膜を形成することが難しい。
【0007】
尚、塗布液を塗布型の内周面に遠心注型し、遠心力によって無端膜を塗布型内周面に成形する遠心成形法は、塗布型としての筒の内周面に付着した塗布液の表面が遠心力によって等加速度面に沿って形成されるものであるが、塗布型の内周面の円筒形状が回転軸芯に対して誤差を生じていたり、塗布型の回転にフレが生じていたりすると、形成される無端膜の膜厚にもばらつきが生じてしまう。
【0008】
尚、上記塗布型内周面形状の誤差や塗布型の回転におけるフレによって発生する無端膜の膜厚ばらつきを防止して、均一な厚みの無端ベルトを製造するための方法として、本出願人は先に、塗布型の内周面に予め離型性の液体を均一に塗布して離型性の液体膜を形成し、その上に塗布液を塗布して無端状膜を形成する方法を提案した(特願平10−353830号参照)。この提案は、遠心成形によって形成された離型層の真円表面上に無端状膜を遠心成形することにより、無端状膜の内と外に同軸上の真円表面をもたせ、無端状膜の膜厚を均一にするものである。この方法は、硬化した無端膜と塗布型との間に離型性の液体を介在させているので、無端状膜が塗布型から脱型させやすくなるというメリットもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、硬化した無端膜と塗布型との間に離型性の液体を介在させる方法においては、塗布型の回転を停止させると液体が流下してしまうため、無端膜を脱型させると液体も塗布型から離脱してしまいやすい。このため、塗布型を再使用するごとに離型性の液体を塗布し直して均一にかつ所定の膜厚に再度形成しなおす必要があり煩わしかった。
また、離型性の液体の粘性が低い場合は、液が塗布型の回転軸方向にも流動してしまい軸方向での液厚が不均一になって、その上に形成される無端膜の膜厚が軸方向で不均一になってしまうという不具合もある。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、厚みの均一な無端ベルトを得ることができるとともに、塗布型から容易に脱型できる無端ベルトの形成方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、遠心成形法を用いて無端ベルトを形成する無端ベルトの形成方法において、遠心成形に用いる塗布型の内周面に、遠心成形する無端ベルト用成形膜を該内周面から剥離しやすくするための剥離補助層を設け、該剥離補助層の内周面に該無端ベルト用成形膜を形成するための基剤としての塗布液を付与して遠心成形し、該遠心成形した該塗布液を加熱処理により、該塗布液の溶媒が蒸発した乾燥固化状態又は該乾燥固化状態を過ぎ徐々に硬化する段階のうち所望の硬化状態にし、乾燥固化状態又は所望の硬化状態の無端ベルト用成形膜を該塗布型から脱型する無端ベルトの形成方法であって、上記剥離補助層を、該剥離補助層を形成するための基剤としての液体又は蒸気状態の剥離補助層形成物質を上記塗布型の内周面に真空蒸着させることにより付与した後、該塗布型を遠心回転した状態で該剥離補助層形成物質の融点Th以上に加熱し、該塗布型の回転による遠心力で該剥離補助層形成物質を押し広げた状態で凝固させることにより形成し、該剥離補助層形成物質として、次に示す数1の条件を満たすものを用い、上記無端ベルト用成形膜を該塗布型内周面から剥離するために該剥離補助層を加熱により溶融することを特徴とするものである。
〔数1〕
Tk<Th<Tm
Tk:塗布液の加熱処理温度。
Th:剥離補助層の融点。
Tm:加熱処理後の無端ベルト用成形膜の融点。
ここで、「無端ベルト用成形膜」とは、遠心成形法により成形された無端膜で、且つ脱型前のものを示す概念であり、遠心成形された直後の無端膜の他、該無端膜が乾燥固化した固化膜及び更にイミド化して硬化した硬化膜なども含む概念とする。
請求項1の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質を塗布型の回転による遠心力で押し広げた状態で塗布型内周面に凝固させる。この該剥離補助層の内周面は、塗布型の回転による遠心力の等加速度面の形状になっている。更に、この剥離補助層の内周面に無端ベルト用成形膜を遠心成形する。この無端ベルト用成形膜の内周面は塗布型の回転による遠心力の等加速度面の形状になっている。即ち、無端ベルト用成形膜の外周面と内周面は同軸の等加速度面の真円形状になっている。次に、この無端ベルト用成形膜を乾燥固化状態又は更に加熱されてイミド化した硬化状態になるまで加熱処理する。これにより、無端ベルト用成形膜は、塗布型から剥離してもベルトとしての形状を維持できる状態になっている。そして、凝固状態の剥離補助層を加熱により溶融し、無端ベルト用成形膜を塗布型から剥離する。
上記剥離補助層形成物質には、塗布液を乾燥固化又は硬化させるための加熱処理温度より高い融点を有するものを用いているため、無端ベルト用成形膜の加熱処理によって溶融することはない。また、加熱処理後の無端ベルト用成形膜の融点は剥離補助層の融点より高いため、加熱によって無端ベルト用成形膜を溶融することなく、剥離補助層のみを溶かすことができる。
また、請求項1の無端ベルトの形成方法においては、液体又は蒸気状態の剥離補助層形成物質は、塗布型の回転による遠心力で容易に押し広がり遠心力の等加速度面の形状に正確に剥離補助層の膜を形成する。
また、請求項1の無端ベルトの形成方法においては、真空蒸着により形成した剥離補助層を塗布型を遠心回転させた状態で更に剥離補助層の融点Th以上に加熱溶融し、剥離補助層の内周面を滑らかに再形成する。
請求項2の発明は、請求項1の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質に、前記塗布液及びその溶剤に溶解しない物質を用いることを特徴とするものである。
請求項2の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質が塗布液及びその溶剤に溶解しないようにし、無端ベルト用成形膜が剥離補助層に溶解することによって生じる厚みの不均一化を防止する。
請求項3の発明は、請求項1又は2の無端ベルトの形成方法において、前記無端ベルト用成形膜を、完全に硬化状態となる前に前記塗布型から脱型することを特徴とするものである。
請求項3の無端ベルトの形成方法においては、無端ベルト用成形膜が完全に硬化する前に塗布型から脱型し、脱型後に硬化させる。これにより、脱型後の無端ベルト用成形膜を例えば型にはめて硬化させるなど、ベルト寸法の微調整を可能とする。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、前記塗布液としてポリイミド前駆体を、該塗布液の溶媒としてN−Nジメチルアセトアミド(DMAC)を用いることを特徴とするものである。
請求項4の無端ベルトの形成方法においては、ポリイミド前駆体をDMACで希釈したものを用いて無端ベルト用成形膜を形成する。ポリイミド前駆体をDMACで希釈したものを用いて形成した無端ベルト用成形膜は、感光体ベルトや中間転写ベルトとして良好な品質をもつ。
また、ポリイミド前駆体は、加熱処理によって乾燥固化した後、更に加熱するとイミド閉環してポリイミドに変化する性質を有している。加熱処理を行うときの加熱温度又は加熱時間と、ポリイミド前駆体のイミド閉環する割合とは正の相関関係があり、イミド閉環の割合をイミド化度とすることができる。このような塗布液を用いて無端ベルト用成形膜を加熱処理することによって、加熱処理の温度又は加熱時間及びその両者の設定により、塗布型から脱型するときの無端ベルト用成形膜を、乾燥固化状態にするかイミド化した硬化状態にするかだけでなく、イミド化度がどの程度の状態にするかまでも所望にすることが可能となる。
請求項5の発明は、請求項4の無端ベルトの形成方法において、前記塗布液を加熱により指触乾燥状態とした後、前記塗布型から脱型することを特徴とするものである。
請求項5の無端ベルトの形成方法においては、ポリイミド前駆体をDMACで希釈したものを用いて形成した無端ベルト用成形膜が、指触乾燥状態でちぎれたりせずに被膜として良好に剥離できるものである。
請求項6の発明は、請求項5の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてパラフィンを用いることを特徴とするものである。
請求項6の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として金属ではないパラフィンを用いているので、剥離補助層形成物質に金属類の材質のものを用いた場合のように加熱溶融によって凝集して丸まる恐れがない。従って、凝集する剥離補助層によって無端ベルト用成形膜が押し上げられ、膜に凹凸などの変形が生じることを未然に防止できる。
請求項7の発明は、請求項5の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてビスフェノールA誘導体を用いることを特徴とするものである。
請求項7の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるビスフェノールA誘導体が、無端ベルト用成形膜を形成するポリイミドとの密着性が良く、かつ溶融が容易で、溶融状態においてポリイミド膜を良好に剥離できるものである。
請求項8の発明は、請求項5の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質として脂肪酸又は脂肪酸塩を用いることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項8の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてステアリン酸亜鉛を用いることを特徴とするものである。
請求項8及び9の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いる脂肪酸又は脂肪酸塩が、44℃から200℃までの広い融点温度範囲から選択可能であるため、無端ベルト用成形膜の加熱処理温度の設定に応じた選択がしやすい。また、溶融が容易で、溶融状態においてポリイミド膜を良好に剥離できるものである。
請求項10の発明は、請求項5の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いることを特徴とするものである。
請求項10の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるポリフッ化ビニリデン(PVdF)が、融点が160℃であり、蒸着による剥離補助層の形成 が容易である。
請求項11の発明は、請求項5の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてポリプロピレン(PP)を用いることを特徴とするものである。
請求項11の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるポリプロピレン(PP)が、融点が150℃前後であり、蒸着による剥離補助層の形成が容易である。
請求項12の発明は、請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、前記塗布液としてポリイミド前駆体を用い、該ポリイミド前駆体をイミド化度50%に加熱処理した後、前記塗布型から脱型することを特徴とするものである。
請求項13の発明は、請求項12の無端ベルトの形成方法において、前記ポリイミド前駆体を、200℃で30分加熱処理することを特徴とするものである。
請求項12及び13の無端ベルトの形成方法においては、ポリイミド前駆体がイミド化度50%の状態になるまで加熱処理する。ポリイミド前駆体は、加熱するとイミド化の閉環反応が進行し、形成される膜の強度が増して破けにくくなるものである。そして、イミド化度が50%より低いと膜の強度が不十分で破ける恐れがあり、イミド化度が50%より高いと膜が強固になるが、強固になり過ぎて塗布型から脱型しにくくなることが判明した。よって、イミド化度が50%の状態で塗布型から脱型し、塗布型からの脱型が容易な状態でかつ膜強度も十分である無端ベルト用成形膜を得る。そして、脱型した無端ベルト用成形膜を例えば型にはめて硬化させるなどすれば、ベルト寸法の微調整が可能となる。
請求項13の無端ベルトの形成方法においては、ポリイミド前駆体を、200℃で30分加熱処理することにより、ポリイミド前駆体をイミド化度50%の状態にする。
請求項14の発明は、請求項12又は13の無端ベルトの形成方法において、前記加熱処理後の無端ベルト用成形膜の内周に該内周の径以下の外径を有する抜き型を挿入した状態で、前記剥離補助層を前記剥離補助層形成物質の融点以上の温度に加熱することを特徴とするものである。
請求項14の無端ベルトの形成方法においては、イミド化度が50%である無端ベルト用成形膜の内周に抜き型を挿入し、剥離補助層を加熱溶融することにより、無端ベルト用成形膜を塗布型から脱型する。
請求項15の発明は、請求項12、13又は14の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることを特徴とするものである。
請求項15の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるPETが、ポリイミドとの剥離性も良く、また融点230℃であり、イミド化50%の無端ベルト用成形膜の脱型のための加熱溶融温度として適している。
請求項16の発明は、請求項12、13又は14の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を用いることを特徴とするものである。
請求項16の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるETFEが、ポリイミドとの剥離性も良く、また融点220℃であり、イミド化50%の無端ベルト用成形膜の脱型のための加熱溶融温度として適している。
請求項17の発明は、請求項12、13又は14の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を用いることを特徴とするものである。
請求項17の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるFEPが、ポリイミドとの剥離性も良く、また融点が250℃付近であり、イミド化50%の無端ベルト用成形膜の脱型のための加熱溶融温度として適している。
請求項18の発明は、請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、前記塗布液としてポリイミド前駆体を用い、該ポリイミド前駆体をイミド化度90%以上に加熱処理した後、前記塗布型から脱型することを特徴とするものである。
請求項18の無端ベルトの形成方法においては、ポリイミド前駆体がイミド化度90% 以上の状態になるまで加熱処理する。ポリイミド前駆体は、イミド化が完全に進行しきってしまうと、膜が強固にはなるが強固になり過ぎて塗布型から剥離しにくくなる。しかし、本発明においては、剥離補助層を加熱溶融して無端ベルト用成形膜を剥離するので、イミド化度が90%以上の状態に硬化した膜でも塗布型から十分脱型できるのに加え、膜が十分硬化しているため、内部に抜き型を挿入するなど脱型のための新たな機構を用いることなく脱型できる。更に、脱型した無端ベルト用成形膜をさらに加熱処理して硬化させる必要もない。
請求項19の発明は、請求項18の無端ベルトの形成方法において、前記ポリイミド前駆体を、280℃で60分以上加熱処理することを特徴とするものである。
請求項19の無端ベルトの形成方法においては、ポリイミド前駆体を、280℃で60分以上加熱処理することにより、ポリイミド前駆体をイミド化度90%以上の状態にする。
請求項20の発明は、請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質として、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)を用いることを特徴とするものである。
請求項20の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるEPEが、ポリイミドとの剥離性も良く、また融点290℃でありイミド化90%以上の無端ベルト用成形膜の脱型のための加熱溶融温度として適している。
請求項21の発明は、請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いることを特徴とするものである。
請求項21の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるPFAが、ポリイミドとの剥離性も良く、また融点300℃でありイミド化90%以上の無端ベルト用成形膜の脱型のための加熱溶融温度として適している。
請求項22の発明は、請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることを特徴とするものである。
請求項22の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いるPTFEが、ポリイミドとの剥離性も良く、また融点310℃でありイミド化90%以上の無端ベルト用成形膜の脱型のための加熱溶融温度として適している。
請求項23の発明は、請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、前記剥離補助層形成物質として無水ピロメリット酸を用いることを特徴とするものである。
請求項23の無端ベルトの形成方法においては、剥離補助層形成物質として用いる無水ピロメリット酸が、蒸着による剥離補助層の形成が容易である。また、無端ベルト用成形膜を形成するポリイミドとの密着性が良いが、融点286℃でありイミド化90%以上の無端ベルト用成形膜の剥離のための加熱溶融温度として適しているため、溶融状態においてポリイミド膜を良好に脱型できるものである。
請求項24の発明は、請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、前記加熱処理後の無端ベルト用成形膜の内周に該内周の径以下の外径を有する抜き型を挿入し、前記剥離補助層を前記剥離補助層形成物質の融点以上の温度に加熱した状態において、前記塗布型及び該抜き型を回転させつつ該抜き型を該塗布型から引き抜くことを特徴とするものである。
請求項24の無端ベルトの形成方法においては、加熱処理後の無端ベルト用成形膜の内周に抜き型を挿入し、剥離補助層を加熱溶融した状態で、塗布型及び抜き型を回転させつつ抜き型を塗布型から引き抜くことにより、抜き型とともに無端ベルト用成形膜を脱型する。これによって、剥離補助層の加熱に伴い無端ベルト用成形膜に熱収縮が生じるような場合でも、抜き型がその収縮をある程度規制する。また、加熱溶融された剥離補助層は、塗布型の回転により塗布型内周面に均一な真円形状で付着しているので、そのまま次の無端ベルト用成形膜の形成に再利用可能となる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る無端ベルト形成方法について説明する。
【0065】
まず、本実施形態の無端ベルト形成方法に係る遠心成形法について説明する。
図1は、遠心成形法に使用される塗布型1と、該塗布型1の内周面に設けられた剥離補助層2と、該剥離補助層2の内周面に成形された無端ベルト用成形膜としての無端膜3を示す断面図である。図中の一点鎖線は遠心成形の工程における塗布型1の回転軸4を示している。
上記塗布型1は、例えばアルミ等などの金属からなり、型面1aが高精度に鏡面仕上げ加工されている。上記剥離補助層2は、本実施形態の特徴部に関するものなので、後に詳述する。上記無端膜3はポリイミド前駆体としてのポリアミック酸が遠心成形法により型面1a上に成形されたものであり、このポリアミック酸はイミド閉環することによりポリイミドに変化する性質を有する。即ち、本実施形態においては、無端ベルトを形成するための基剤としてポリアミック酸を用い、ポリイミドを基本素材とする無端ベルトを形成する。
【0066】
ポリアミック酸は、特定の有機溶剤に溶解し、且つ熱又は触媒によってイミド閉環する性質を有する。ポリイミド形成用のポリアミック酸溶液は、周知の如く、有機ジアミンと有機テトラカルボン酸二無水物との当モル量が、有機溶媒中で反応することにより得られる。本実施形態においては、ポリアミック酸として市販のポリイミド前駆体溶液(東レ製:トレニース#3000)を用い、この溶液を有機溶剤であるN−Nジメチルアセトアミド(以下、DMACと称する)によって10/3倍に希釈してポリアミック酸溶液を調整した。
【0067】
ここで、上記溶剤中の基剤濃度は特に限定されるものではない。但し、優れた表面性や厚み精度を得るためには、基剤濃度の調整により基剤溶液の粘度を調整することが望ましい。
【0068】
次に本実施形態に係る無端膜3の成形法について説明する。
まず、塗布型1の内周面に剥離補助層2を形成する。これは、剥離補助層2を形成する基剤としての剥離補助層形成物質に液体状の剥離補助層形成液を用い、この剥離補助層形成液を塗布型1内周面に塗布する。そして、塗布型1を高速回転させ、塗布型1内周面に均一な剥離補助層2を形成する。高速回転する塗布型1の内周面では、剥離補助層形成液に回転角速度ωに対して遠心力rω2が懸かり、剥離補助層形成液が均一に押し広げられて、塗布型1内周面に回転軸から等距離の内周面を有する剥離補助層2となる。この剥離補助層形成液は、冷却する事によって固化し塗布型1内周面に固化される。
【0069】
次に、上記のようにして剥離補助層2が設けられた塗布型1に無端膜3を形成する。周知の遠心成形法の技術により、DMACを含有するポリアミック酸の無端膜3を塗布型1の剥離補助層内周面に成形する。具体的には、上述のポリアミック酸溶液を、剥離補助層内周面に塗布した後、図1の回転軸線4を中心に塗布型1を高速回転させて剥離補助層内周面に流延成形し、ポリアミック酸の無端膜3を得た。
【0070】
ここで、遠心成形により剥離補助層2を形成する方法としては、塗布液との相溶性のない液体を剥離補助層形成液として用い、かつ、剥離補助層形成液の密度を塗布液の密度よりも大きくする方法が知られている。これによれば、高速回転する塗布型1の内部で、遠心流体に浮力が及び、密度の大きい剥離補助層形成液が密度の小さい塗布液よりも外側に押しやられるようにして2層に分離し、塗布型1の内周面には液体の剥離補助層2が形成できるものである。更に、液体の粘性が低い場合は、液体が塗布型1の軸方向に流動してしまわぬよう、塗布型1の内周に液体の深さ分の窪みを設けることも考えられている。
【0071】
しかしながら、上記方法においては、遠心分離によって剥離補助層形成液を塗布液の外周に位置づけるために、両者の密度の関係に制約があり、使用できる剥離補助層形成液が限られてしまう。更に、剥離補助層2を液体の膜で構成するため、加熱によって蒸発しやすく、無端膜3の加熱処理温度にも制約が生じてしまう。
【0072】
本実施形態の無端ベルトの形成方法においては、塗布液の塗布時には剥離補助層2を固化させているので、上述のような不具合は生じない。
【0073】
そして、剥離補助層内周面にポリアミック酸の無端膜3を形成後、ポリアミック酸の無端膜3の溶媒であるDMACを蒸発させて乾燥固化し、更にポリアミド酸膜のイミド閉環を行うことで硬化させ、無端ベルトが形成される。
【0074】
上記イミド閉環は、遠心成形で得た無端膜3を最終的に硬化した無端ベルトに仕上げるために行う行程で、無端膜3中のポリアミック酸のイミド閉環を誘発させて無端膜3を硬化させるものである。即ち、この無端膜3をポリイミドを基本素材とする硬化膜に変化させる。ポリアミック酸のイミド閉環を誘発させる方法としては、触媒を用いる方法とポリアミック酸を加熱する方法とがあり、本発明に係る無端ベルト形成方法においては、少なくとも塗布型1から脱型する前段階に行う場合は加熱による方法を用いている。具体的には、図示を省略した加熱手段により、無端膜3を加熱して昇温させ、無端膜3中のポリアミック酸のイミド閉環を誘発して、無端膜3を硬化膜に変化させる。
【0075】
ところで、ポリアミック酸のイミド化は段階的に進行し、その進行状況によってイミド化度が異なる。例えば、イミド化度が50%とはポリアミック酸は完全にイミド閉環せず半硬化状態となっていることである。以下に、イミド化度を求める方法について触れておく。
【0076】
ポリイミド前駆体のイミド化度は、IR(赤外分光)分析による加熱処理後のベンゼン環由来の吸収ピーク1014カイザーとポリイミド由来の吸収ピーク600カイザーとの比率(以下、IR吸収比率という)を求め、これをイミド化度とする方法がある。イミド化度の求め方は、この方法に限るものではなく、別の方法として、イミド化した膜の粘弾性を測定する方法も考えられるが、本実施形態においては、前記IR吸収比率によりイミド化度を測定し、予め無端膜3の加熱処理温度と時間ごとにIR吸収比率を求め、実際のベルト作成に用いた。
【0077】
そして、本実施形態においては、無端膜3を塗布型1の内面で乾燥固化状態、イミド化50%状態、又はイミド化90%以上の状態にし、塗布型1から脱型するようにしている。
【0078】
そのため、本実施形態に用いる剥離補助層形成液としては、固化した剥離補助層2の融点温度Thが、次の数1の関係を満たすようにしている。
【数3】
Tk<Th<Tm
Tk:塗布液の加熱処理温度。
Th:剥離補助層2の融点。
Tm:加熱処理後の無端膜3の融点。
【0079】
そして、無端膜3を塗布型1から脱型するとき、剥離補助層2を加熱溶融して脱型する。また、脱型後の無端膜3が、イミド化が完全でない場合は、脱型後にイミド化を行い、無端ベルトを完成させた。
【0080】
無端ベルトを脱型した後の塗布型1は、内周面に溶融した剥離補助層形成液が付着している。この状態で、塗布型1を冷却し剥離補助層形成液を冷却固化させると、以下に示す実施例8以外の全ての実施例で再び良好な剥離補助層2を形成することができ、その剥離補助層2を用いて形成する無端ベルトも厚みが均一で、塗布型1からの脱型性の良いものが得られた。尚、実施例8においても、塗布型1の下部に剥離補助層形成液の僅かな流下がみられる程度であった。従って、塗布型1を再使用するごとに剥離補助層形成液を塗布し直さなければならないという煩わしさがない。
【0081】
このようにして形成した無端ベルトの両端に、ベルト周長全域に渡って寄り止めのテープを貼り付け、電子写真複写機(リコー製フルカラー複写機プリテール)の中間転写ベルトとして使用した。この装置で画像を形成しながら無端ベルトの耐久性を評価したところ、40万枚の画像形成のいずれも良好な画像が得られた。
【0082】
以下に、各剥離補助層形成液ごとに無端ベルトを製造する具体的な実施例を説明する。先ず実施例1乃至5に、無端膜3が指触乾燥した状態のときに塗布型1からの脱型を行う方法に関する実施例を示す。
【0083】
[実施例1]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのパラフィンを投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してパラフィンを蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を70℃に加熱昇温して3時間保持した。これにより、液体状の無端膜3は乾燥固化して滑らかな皮膜となった。
ここで、乾燥固化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力を掛けすぎると膜が破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥固化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているパラフィンの融点温度80℃以上である90℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
【0084】
[実施例2]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのステアリン酸亜鉛を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を60℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してステアリン酸亜鉛を蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を60℃に加熱昇温して2時間保持した。これにより、液体状の無端膜3は乾燥固化して滑らかな皮膜となった。
ここで、乾燥固化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力を掛けすぎると膜が破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥固化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているステアリン酸亜鉛の融点温度120℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
【0085】
[実施例3]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を100℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してPVdFを蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を100℃に加熱昇温して1時間保持した。これにより、液体状の無端膜3は乾燥固化して滑らかな皮膜となった。
ここで、乾燥固化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力を掛けすぎると膜が破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥固化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているPVdFの融点温度160℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
[実施例4]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのポリプロピレン(PP)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を100℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してPPを蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を100℃に加熱昇温して1時間保持した。これにより、液体状の無端膜3は乾燥固化して滑らかな皮膜となった。
ここで、乾燥固化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力を掛けすぎると膜が破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥固化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているPPの融点温度150℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
【0086】
[実施例5]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのビスフェノールA誘導体を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してビスフェノールA誘導体を真空蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を100℃に加熱昇温して1時間保持した。これにより、液体状の無端膜3は乾燥固化して滑らかな皮膜となった。
ここで、乾燥固化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力を掛けすぎると膜が破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥固化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているビスフェノールA誘導体の融点温度155℃以上の160℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
【0087】
次に、実施例6乃至8に、無端膜3がイミド化50%の状態のときに塗布型1からの脱型を行う方法に関する実施例を示す。
【0088】
[実施例6]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してETFEを蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を90℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて200℃に加熱昇温して30分保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3は。イミド化50%の半硬化状態となっている。
ここで、乾燥半硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥半硬化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているETFEの融点温度220℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
【0089】
[実施例7]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのポリエチレンテレフタレート(PET)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してPETを蒸着した。この塗布型1を冷却すると、塗布型1内周面には光沢のある平滑な剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を90℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて200℃に加熱昇温して30分保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3は。イミド化50%の半硬化状態となっている。
ここで、乾燥半硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
他方、乾燥半硬化した無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているPETの融点温度230℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、皮膜は塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。
【0090】
[実施例8]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してFEPを蒸着した。この塗布型1を冷却した後、大気圧中で塗布型1を回転させながら再び270℃に加熱昇温し、剥離補助層2を溶融した後冷却した。これによって、FEPのフッ素樹脂が塗布型1内周面で溶融し、その後冷却固化して表面の滑らかな剥離補助層2となった。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を90℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて200℃に加熱昇温して30分保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3は。イミド化50%の半硬化状態となっている。
ここで、乾燥半硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
そこで、本実施例においては、無端膜3を脱型するために、抜き型5を用いた。図2は、乾燥半硬化した無端膜3に抜き型5を挿入している状態を示す断面図である。この抜き型5は、無端膜3の内周の径より小さい径の筒部5aと、この筒部5aの軸方向一端に設けられ塗布型1の内径より大きい径の円盤部5bとから成っている。そして、図2に示すように、乾燥半硬化した無端膜3の内側に、筒部5aを挿入し、塗布型1を徐々に加熱して剥離補助層2を形成しているFEPの融点温度250℃まで昇温させた後、抜き型5を円盤部5b側にゆっくり引く。すると、皮膜は抜き型5とともに塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。また、取り出した皮膜には収縮によるシワなどなく、滑らかな状態であった。
[比較例]
上記実施例8と同様に半硬化した無端膜3を形成後、抜き型5を用いずに、無端膜3が形成されている塗布型1を徐々に加熱し、剥離補助層2を形成しているFEPの融点温度250℃まで昇温させた後、無端膜3をゆっくり引いたところ、取り出した皮膜には収縮によるシワが発生していた。
【0091】
以下に示す実施例9乃至12は、無端膜3がイミド化90%以上となった状態で塗布型1からの脱型を行うものである。
【0092】
[実施例9]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してEPEを蒸着した。この塗布型1を冷却した後、大気圧中で塗布型1を回転させながら再び320℃に加熱昇温し、剥離補助層2を溶融した後冷却した。その後冷却すると、塗布型1内周面には滑らかな剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を150℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて280℃に加熱昇温して2時間保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3はイミド化90%以上の硬化状態となっている。
ここで、硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
そこで、本実施例においては、無端膜3の脱型のために、筒状の抜き型6を用いる。図3(a)〜(d)は、硬化した無端膜3に抜き型6を挿入して脱型する方法を示す断面図である。また、この抜き型6は、無端膜3の内周の径より僅かに小さい径の筒形状である。まず、図3(a)に示すように、硬化した無端膜3の内側に、抜き型6を図中矢印A方向に挿入する。次に、図3(b)に示すように、塗布型1と抜き型6とを等速で同軸回転しながら塗布型1を徐々に加熱して剥離補助層2を形成しているFEPの融点温度290℃以上である300℃まで昇温させる。しばらくすると、図3(c)に示すように、剥離補助層2が溶融すると共に、無端膜3が抜き型6に密着する。そして、図3(d)に示すように、抜き型6を図中矢印B方向にゆっくり引いたところ、皮膜は抜き型6に転写されて抜き型6とともに塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。また、取り出した皮膜には収縮によるシワなどなく、滑らかな状態であった。
【0093】
[実施例10]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してPFAを蒸着した。この塗布型1を冷却した後、大気圧中で塗布型1を回転させながら再び320℃に加熱昇温し、剥離補助層2を溶融した後冷却した。その後冷却すると、塗布型1内周面には滑らかな剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を150℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて280℃に加熱昇温して2時間保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3はイミド化90%以上の硬化状態となっている。
ここで、硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
そこで、本実施例においては、無端膜3の脱型のために、筒状の抜き型6を用い、実施例9と同様の方法で無端膜3の塗布型1からの脱型を行った。また、本施例においても、塗布型1と抜き型6とを等速で同軸回転するときの加熱温度は、PFAの融点温度以上である300℃とした。この方法によって、皮膜は抜き型6に転写されて抜き型6とともに塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。また、取り出した皮膜には収縮によるシワなどなく、滑らかな状態であった。
【0094】
[実施例11]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱してPTFEを蒸着した。この塗布型1を冷却した後、大気圧中で塗布型1を回転させながら再び320℃に加熱昇温し、剥離補助層2を溶融した後冷却した。その後冷却すると、塗布型1内周面には滑らかな剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を150℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて280℃に加熱昇温して2時間保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3はイミド化90%以上の硬化状態となっている。
ここで、硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
そこで、本実施例においては、無端膜3の脱型のために、筒状の抜き型6を用い、実施例9と同様の方法で無端膜3の塗布型1からの脱型を行った。また、本施例においても、塗布型1と抜き型6とを等速で同軸回転するときの加熱温度は、PTFEの融点温度以上である300℃とした。この方法によって、皮膜は抜き型6に転写されて抜き型6とともに塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。また、取り出した皮膜には収縮によるシワなどなく、滑らかな状態であった。
【0095】
[実施例12]
真空蒸着装置の中で塗布型1の中に剥離補助層形成物質としての無水ピロメリット酸を投入した蒸発源を備え、塗布型1の温度を200℃に保持して回転しながら蒸発源に通電加熱して無水ピロメリット酸を蒸着した。この塗布型1を冷却した後、大気圧中で塗布型1を回転させながら再び300℃に加熱昇温し、剥離補助層2を溶融した後冷却した。その後冷却すると、塗布型1内周面には滑らかな剥離補助層2の膜が形成できた。
次に、この塗布型1の回転軸を水平にして常温でゆっくり回転させながら上述のポリアミック酸溶液を塗布型1内周面にスプレーで塗布し、塗布後回転速度を500rpmまで上げた。これにより、剥離補助層2の内周面に均一な液体状の無端膜3が形成された。その後、無端膜3を150℃に加熱昇温して、液体状の無端膜3を乾燥固化し、続いて280℃に加熱昇温して2時間保持し、滑らかな皮膜を形成した。この状態においては、無端膜3はイミド化90%以上の硬化状態となっている。
ここで、硬化した無端膜3をそのまま塗布型1から引き剥がし、脱型すると、力をかけすぎると膜が剥離補助層2の膜と断片的に接着した状態で破れてしまい、膜を破らずに脱型しようとするとゆっくり作業を進めなければならず完全に脱型が終了するまでに長時間を要してしまった。
そこで、本実施例においては、無端膜3の脱型のために、筒状の抜き型6を用い、実施例9と同様の方法で無端膜3の塗布型1からの脱型を行った。ただし、本施例においては、塗布型1と抜き型6とを等速で同軸回転するときの加熱温度は、無水ピロメリット酸の融点温度である286℃とした。この方法によって、皮膜は抜き型6に転写されて抜き型6とともに塗布型1から滑るように抜け出し、容易に脱型できた。また、取り出した皮膜には収縮によるシワなどなく、滑らかな状態であった。
【0096】
尚、剥離補助層2を形成するための物質としては、従来、低融点合金のようなものを用いる方法も提案されている(例えば、特開昭48−91159号公報参照)。この方法は、無端膜3の硬化成形完了後に、塗布型1内周面に形成した離型材層としての金型が溶融する温度以上に塗布型1全体を加熱して離型材層を溶融流出させることにより無端膜3を脱型させるものであり、本発明においても適用可能である。しかしながら、低融点の物質で離型材層を形成する方法においては、離型性物質としての金属類は溶融時に凝集して丸まる性質があることから、離型材層そのものが得にくく、さらにその上層に形成される無端膜3表面の外周面も離型材層に接触しているために平滑性が得にくい場合がある。実施例1乃至12は、いずれも剥離補助層形成液として低融点の合金のようなものを用いていないので、剥離補助層表面を平滑に形成でき、無端膜3の外周面を平滑にすることができる。
【0097】
また、剥離補助層形成液としてワックスを使用するとワックスは融点が変化するためその温度変化を考慮する必要が生じ、煩わしい。本実施例2乃至12においては、剥離層形成液にワックスを使用していないため、そのような煩わしさもない。
【0098】
また、抜き型6を用いて塗布型1から無端膜3を脱型する実施例においては、脱経時の加熱によって無端膜3が収縮するような場合でも、皺が残らず滑らかな無端膜3を得ることができた。
【0099】
【発明の効果】
請求項1乃至24の無端ベルトの形成方法によれば、無端ベルト用成形膜の外周面と内周面を共に塗布型の回転による遠心力の等加速度面の真円に形成するので、塗布型が偏心回転しても、無端ベルト用成形膜の膜厚が周方向で不均一になることはない。
また、無端ベルト用成形膜を塗布型から剥離するときに、塗布型と無端ベルト用成形膜との間の剥離補助層のみを溶かすことができるので、無端ベルト用成形膜を塗布型から容易に剥離できる。
また、凝固した剥離補助層の上に無端ベルト用成形膜を形成するので、無端ベルトの厚みが軸方向で不均一になることもない。
以上のことから、厚みの均一な無端ベルトを得ることができるとともに、塗布型から容易に脱型できるという優れた効果がある。
また、無端ベルト用成形膜を剥離した後、塗布型を更に回転させながら剥離補助層を凝固させれば、再び剥離補助層として再使用でき、離型性の液体を塗布し直して液体膜を再度形成しなおす煩わしさがない。
特に、請求項1の無端ベルトの形成方法によれば、遠心力の等加速度面の形状に正確に剥離補助層の膜を形成できるので、無端ベルト用成形膜の膜厚をより均一に形成できるという優れた効果がある。
また、請求項1の無端ベルトの形成方法によれば、真空蒸着を行うことにより、溶液を直接塗布する場合に比して、蒸気状態の剥離補助層形成物質を用いて容易に膜厚の均一な剥離補助層を形成できるという優れた効果がある。
また、請求項1の無端ベルトの形成方法によれば、剥離補助層の内周面を滑らかに再形成するので、この剥離補助層の内周面に形成する無端ベルト用成形膜の表面をより平滑に形成することができるという優れた効果がある。
また、請求項2の無端ベルトの形成方法によれば、無端ベルト用成形膜が剥離補助層に溶解することによって生じる膜厚の不均一化を防止できるので、無端ベルト用成形膜の膜厚をより均一に形成できるという優れた効果がある。
また、請求項3の無端ベルトの形成方法によれば、無端ベルト用成形膜を硬化させるときにベルト寸法の微調整が可能となるので、無端ベルトの寸法精度を上げることができるという優れた効果がある。
また、請求項4の無端ベルトの形成方法によれば、ポリイミド前駆体をDMACで希釈したものを用いて無端ベルト用成形膜を形成することにより、品質の良好な無端ベルトを得ることができると共に、無端ベルト用成形膜を脱型するときの状態を選択することが可能となるため、剥離補助層形成物質の選択範囲も広がるという優れた効果がある。
また、請求項5の無端ベルトの形成方法によれば、無端ベルト用成形膜がちぎれることなく塗布型から容易に脱型できるという優れた効果がある。
また、請求項6の無端ベルトの形成方法によれば、剥離補助層形成物質に金属類の材質のものを用いるのに比して、凹凸のない平滑な無端ベルト用成形膜を得ることができるという優れた効果がある。
また、請求項7の無端ベルトの形成方法によれば、ポリイミド膜を良好に脱型できるという優れた効果がある。
また、請求項8及び9の無端ベルトの形成方法によれば、剥離補助層形成物質の選択が容易となるという優れた効果がある。
また、請求項10及び11の無端ベルトの形成方法によれば、剥離補助層の形成が容易であるという優れた効果がある。
また、請求項12の無端ベルトの形成方法によれば、塗布型からの脱型が容易な状態でかつ膜強度も十分である無端ベルト用成形膜を得ることができるという優れた効果がある。また、完全に硬化する前の無端ベルト用成形膜を塗布型から脱型できるので、硬化させるときにベルト寸法の微調整が可能となり、無端ベルトの寸法精度を上げることができるという優れた効果もある。
また、請求項13の無端ベルトの形成方法によれば、ポリイミド前駆体をイミド化度50%の状態にする方法を提供することができるという優れた効果がある。
また、請求項14乃至17の無端ベルトの形成方法によれば、イミド化度が50%である無端ベルト用成形膜を塗布型から容易に脱型できるという優れた効果がある。
また、請求項18の無端ベルトの形成方法によれば、塗布液の加熱硬化処理を一行程で行うことができるとともに、膜の脱型のための機構が容易となるという優れた効果がある。
また、請求項19の無端ベルトの形成方法によれば、ポリイミド前駆体をイミド化度90%以上の状態にする方法を提供することができるという優れた効果がある。
また、請求項20乃至23の無端ベルトの形成方法によれば、イミド化度が90%である無端ベルト用成形膜を塗布型から容易に脱型できるという優れた効果がある。
特に、請求項23の無端ベルトの形成方法によれば、剥離補助層としての膜が容易に形成できるという優れた効果がある。
また、請求項24の無端ベルトの形成方法によれば、剥離補助層の加熱による収縮をある程度防止できるという優れた効果がある。また、剥離補助層をそのまま再利用できるので、無端ベルト用成形膜の形成のための効率が上昇するという優れた効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布型の内周面に剥離補助層と無端膜が設けられた状態を示す断面図。
【図2】乾燥半硬化した無端膜に抜き型を挿入している状態を示す断面図。
【図3】(a)〜(d)は、硬化した無端膜を抜き型を用いて脱型する方法を示す断面図。
【符号の説明】
1 塗布型
2 剥離補助層
3 無端膜
4 回転軸線
5、6 抜き型
Claims (24)
- 遠心成形法を用いて無端ベルトを形成する無端ベルトの形成方法において、
遠心成形に用いる塗布型の内周面に、遠心成形する無端ベルト用成形膜を該内周面から剥離しやすくするための剥離補助層を設け、該剥離補助層の内周面に該無端ベルト用成形膜を形成するための基剤としての塗布液を付与して遠心成形し、該遠心成形した該塗布液を加熱処理により、該塗布液の溶媒が蒸発した乾燥固化状態又は該乾燥固化状態を過ぎ徐々に硬化する段階のうち所望の硬化状態にし、乾燥固化状態又は所望の硬化状態の無端ベルト用成形膜を該塗布型から脱型する無端ベルトの形成方法であって、
上記剥離補助層を、該剥離補助層を形成するための基剤としての液体又は蒸気状態の剥離補助層形成物質を上記塗布型の内周面に真空蒸着させることにより付与した後、該塗布型を遠心回転した状態で該剥離補助層形成物質の融点Th以上に加熱し、該塗布型の回転による遠心力で該剥離補助層形成物質を押し広げた状態で凝固させることにより形成し、
該剥離補助層形成物質として、次に示す数1の条件を満たすものを用い、上記無端ベルト用成形膜を該塗布型内周面から剥離するために該剥離補助層を加熱により溶融することを特徴とする無端ベルトの形成方法。
〔数1〕
Tk<Th<Tm
Tk:塗布液の加熱処理温度。
Th:剥離補助層の融点。
Tm:加熱処理後の無端ベルト用成形膜の融点。 - 請求項1の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質に、前記塗布液及びその溶剤に溶解しない物質を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項1又は2の無端ベルトの形成方法において、
前記無端ベルト用成形膜を、完全に硬化状態となる前に前記塗布型から脱型することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、
前記塗布液としてポリイミド前駆体を、該塗布液の溶媒としてN−Nジメチルアセトアミド(DMAC)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項4の無端ベルトの形成方法において、
前記塗布液を加熱により指触乾燥状態とした後、前記塗布型から脱型することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項5の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてパラフィンを用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項5の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてビスフェノールA誘導体を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項5の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質として脂肪酸又は脂肪酸塩を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項8の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてステアリン酸亜鉛を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項5の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項5の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてポリプロピレン(PP)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、
前記塗布液としてポリイミド前駆体を用い、該ポリイミド前駆体をイミド化度50%に加熱処理した後、前記塗布型から脱型することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項12の無端ベルトの形成方法において、
前記ポリイミド前駆体を、200℃で30分加熱処理することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項12又は13の無端ベルトの形成方法において、
前記加熱処理後の無端ベルト用成形膜の内周に該内周の径以下の外径を有する抜き型を挿入した状態で、前記剥離補助層を前記剥離補助層形成物質の融点以上の温度に加熱することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項12、13又は14の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項12、13又は14の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項12、13又は14の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、
前記塗布液としてポリイミド前駆体を用い、該ポリイミド前駆体をイミド化度90%以上に加熱処理した後、前記塗布型から脱型することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項18の無端ベルトの形成方法において、
前記ポリイミド前駆体を、280℃で60分以上加熱処理することを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質として、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項18又は19の無端ベルトの形成方法において、
前記剥離補助層形成物質として無水ピロメリット酸を用いることを特徴とする無端ベルトの形成方法。 - 請求項1、2又は3の無端ベルトの形成方法において、
前記加熱処理後の無端ベルト用成形膜の内周に該内周の径以下の外径を有する抜き型を挿入し、前記剥離補助層を前記剥離補助層形成物質の融点以上の温度に加熱した状態において、前記塗布型及び該抜き型を回転させつつ該抜き型を該塗布型から引き抜くことを特徴とする無端ベルトの形成方法。
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