JPH10111611A - 管状フィルムの製造方法 - Google Patents

管状フィルムの製造方法

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JPH10111611A
JPH10111611A JP26401696A JP26401696A JPH10111611A JP H10111611 A JPH10111611 A JP H10111611A JP 26401696 A JP26401696 A JP 26401696A JP 26401696 A JP26401696 A JP 26401696A JP H10111611 A JPH10111611 A JP H10111611A
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film
tubular
tubular body
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JP26401696A
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Hideo Ukuta
秀雄 宇久田
Kazutaka Takeuchi
一貴 竹内
Shoichi Shimura
正一 志村
Yasuhiro Tanaka
康裕 田中
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Original Assignee
Canon Inc
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

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  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成装置の画像を担持する紙などの像担
持体を搬送して画像定着作用や、転写作用を行なう際
の、定着装置、転写装置用の無端ベルトなどに適用する
管状フィルムを、低コスト、高品質、高精度に得るため
の製造方法を提供する。 【解決手段】 シート状の熱可塑性フィルムを、その端
部を互いに重ね合わせた状態にて、円柱状の外表面を有
するフィルム支持部材に巻き付け、前記巻き付けたフィ
ルムの外側に管状型部材をはめ込み、その状態で、前記
フィルムを加熱して、前記フィルムの重ね合わせ部を融
着・接合して、前記フィルムを管状体に形成する方法に
おいて、前記管状体の形成後に、それと前記フィルム支
持部材の外表面との間に気体を注入し、前記フィルム支
持部材の外表面から前記管状体を離間させることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、画像形
成装置の機能部品として用いる管状フィルムの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の管状フィルムは、熱可塑性樹脂
で構成され、例えば、精密部品を所定位置に、高精度の
位置精度を保証して、搬送するのに用いる搬送用ベルト
や、物品を包装、収納する収納用密閉包体などに用いら
れるもので、所謂、環状、管状、筒状、リング状、ある
いは、ベルト状の形態を成しており、特に、画像形成装
置においては、トナー担持体の搬送〜画像定着用ベルト
に採用されている。
【0003】そして、このような用途に適応する管状フ
ィルムの製造方法としては、従来から次のような方法が
知られている。 1)インフレーション法に代表される押出熱溶融成形法 2)樹脂もしくはその前駆体を溶融状態にし、管状型部
材の内面あるいは外面上に対して、所定量、塗布し、そ
の後、脱溶媒処理(必要により、熱処理も)を経て、剥
離するキャスト法
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記押
出熱溶融成形方法においては、インフレーション法によ
り製造した管状フィルムを、図10に示すように、画像
形成装置の定着装置用フィルムとして使用した場合に、
フィルムの巻き取り時に、管状フィルムが潰されるとい
う不都合が生じる。また、前記キャスト法においては、
均一厚みのフィルムを得るために、溶液の濃度管理、乾
燥雰囲気の調整、乾燥工程での溶媒処理などが面倒であ
り、また、コストの面でも不利であるなどの問題があ
る。
【0005】そこで、本出願人は、先に、以下のような
管状フィルムの製造法(特願平6ー273615号)を
提唱した。ここでは、シート状の熱可塑性フィルムを、
その巻き始めと終わりを重ね合わせるようにして、円柱
状の外表面を有するフィルム支持部材に巻き付け、この
状態で、前記フィルムの外側に管状型部材を嵌め込み、
その後、全体を加熱して、前記フィルムの重ね合わせ部
を融着・接合して、前記フィルムを管状体に形成するの
である。
【0006】その時、前記フィルム支持部材の熱膨張係
数を、管状型部材の熱膨張係数より大きくしておくこと
により、加熱時に、両者の隙間を短縮し、少なくとも、
フィルムの重ね合わせた部分の段差を消去でき、更に
は、フィルム全周にわたって、膜厚の均一化を図ること
ができ、その隙間を制御することにより、全体の膜厚を
任意に制御することも可能である。
【0007】しかしながら、加熱時の熱膨張で、前記フ
ィルム支持部材と管状型部材との間隙が狭まることによ
り、重なり部分の段差を潰す際に、前記フィルムに対し
て、その厚さ方向に大きな圧力がかかるために、前記フ
ィルム支持部材の外表面と、形成された管状体の内表面
とが互いに密着して、離型が困難になる。
【0008】また、熱可塑性フィルムとして、結晶性の
樹脂を用いた場合、その冷却条件により、得られる管状
体の物性が大きく左右され、その品質の均一性を確保す
るための制御が困難であった。例えば、成形温度から一
気に常温付近まで冷却した場合、樹脂の結晶は十分に成
長せず、比較的、柔らかい状態の管状体になってしま
う。このため、前記管状体を、仮に、図10に示すよう
な画像形成装置の定着フィルムとして用いた場合、トナ
ーを定着するための熱により、前記管状体が徐々に結晶
化して、定着フィルムが、初期の形状から変化してしま
う。
【0009】逆に、成形温度から徐々に常温に戻した場
合(自然冷却)、その樹脂は、結晶が成長し過ぎ、脆い
フィルムとなり、あるいは、熱分解により、樹脂が熱劣
化してしまうこともある。このため、形成された管状体
を、図10に示すような画像形成装置の定着フィルムと
して用いた場合、その回転力やその端部に係る圧力によ
って、それ自体あるいはその端部が破壊してしまう恐れ
がある。
【0010】本発明は、上記事情に基づいてなされたも
ので、管状フィルムの製造に際しての上述の問題点を解
消し、または、品質の上で改善された管状フィルムを提
供できるようにするのである。
【0011】即ち、本発明においては、例えば、画像形
成装置の画像を担持する紙などの像担持体を搬送して画
像定着作用や、転写作用を行なう際の、定着装置、転写
装置用の無端ベルトなどに適用する管状フィルムを、低
コスト、高品質、高精度に得ることを、その第1の目的
とする。
【0012】また、本発明においては、膜の厚さの均一
性が高い管状フィルムを得ることを、更には、フィルム
膜厚の寸法を任意に設定して、所望の強度の管状フィル
ムを得ることを、その第2の目的とする。
【0013】更に、本発明においては、低コストで、高
精度の管状フィルムを、高い生産性において製造する方
法、特に、離型性に優れた管状フィルムの製造法を提供
することを、その第3の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
シート状の熱可塑性フィルムを、その端部を互いに重ね
合わせた状態にて、円柱状の外表面を有するフィルム支
持部材に巻き付け、前記巻き付けたフィルムの外側に管
状型部材をはめ込み、その状態で、前記フィルムを加熱
して、前記フィルムの重ね合わせ部を融着・接合して、
前記フィルムを管状体に形成する方法において、前記管
状体の形成後に、それと前記フィルム支持部材の外表面
との間に気体を注入し、前記フィルム支持部材の外表面
から前記管状体を離間させることを特徴とする。
【0015】この場合、前記フィルム支持部材の外表面
上に、気体注入孔を設けて、該気体注入孔から前記管状
体と前記フィルム支持部材の外表面との間に気体を注入
する手法を採用するとよい。
【0016】また、本発明では、シート状の熱可塑性フ
ィルムを、その端部を互いに重ね合わせた状態にて、円
柱状の外表面を有するフィルム支持部材に巻き付け、前
記巻き付けたフィルムの外側に管状型部材をはめ込み、
その状態で、前記フィルムを加熱して、前記フィルムの
重ね合わせ部を融着・接合して、前記フィルムを管状体
に形成する方法において、前記管状体の形成後に行われ
る冷却工程では、管状型部材からの前記管状体の離脱に
先立って、前記管状型部材、フィルム支持部材および管
状体を、少なくとも、1種の冷媒(冷却媒体)に浸漬
し、管状体の結晶化を制御することを特徴とする。
【0017】この場合、前記冷却工程に用いる冷媒の温
度が、前記熱可塑性フィルムの樹脂材料のガラス転移点
(Tg点)に対して±20℃の範囲に調整されているこ
と、前記冷却工程を、漸次、低い設定温度において、最
初から最後までの複数段階に分けて行うこと、更には、
前記冷却工程の最後の段階で用いる冷媒の温度を、25
℃未満にしてあること、また、前記冷媒に浸漬する時間
が5分未満であることが、その実施の形態において有効
である。
【0018】なお、各々異なる材質からなるn層の熱可
塑性フィルムから管状体を製造する場合に、その冷却工
程が、(n+1)回に分けられて行われることも、その
実施の形態において、有用である。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、本発明の管状フィルムの製造
方法について、図1〜9を参照して、具体的に説明す
る。ここで、符号1は、シート状の熱可塑性フィルム4
を巻く心棒としての、円柱状の外表面を有するフィルム
支持部材であり、この実施の形態では、中実の棒状部材
を採用している。また、符号2は、管状(または、中空
円筒状)の型部材であり、前記フィルム支持部材1を挿
通するのに十分な余裕の内径を持っている。なお、前記
フィルム支持部材としては、アルミニウムを使用し、ま
た、管状型部材としては、ステンレス鋼を使用する。
【0020】しかして、本発明の方法では、フィルム4
を、その端部を互いに重ね合わせた状態にて、フィルム
支持部材1に巻き付け、その巻き付けたフィルム4の外
側に管状型部材2をはめ込み、その状態で、フィルム支
持部材1および管状型部材2と共に、フィルム4を加熱
して、フィルム4の重ね合わせ部を融着・接合して、フ
ィルム4を管状体に形成する。特に、本発明では、この
管状体の形成後に、それとフィルム支持部材1の外表面
1aとの間に気体を注入し、フィルム支持部材1の外表
面から管状体を離間させるのである。
【0021】この場合、フィルム支持部材1の外表面1
a上に、例えば、周方向に等間隔で数個(具体的には、
3個以上が好ましい)の気体注入孔1bを設けて、気体
注入孔1bから前記管状体とフィルム支持部材1の外表
面1aとの間に気体を注入する手法を採用する。
【0022】なお、フィルム支持部材1の熱膨張係数
が、管状型部材2の熱膨張係数より大であり、フィルム
4の加熱に際して、フィルム支持部材1と管状型部材2
との間隙を短縮し、少なくとも、フィルム4の重ね合わ
せ部4a、4bを、その厚み方向に圧縮することがで
き、例えば、図8に示すように、段差のない接合状態を
得ることができる。 (第2の実施形態)また、本発明の別の実施形態では、
フィルム4を、その端部を互いに重ね合わせた状態に
て、フィルム支持部材1に巻き付け、その巻き付けたフ
ィルム4の外側に管状型部材2をはめ込み、その状態
で、前述の実施の形態のように、フィルム4を加熱し
て、フィルムの重ね合わせ部4a、4bを融着・接合し
て、フィルム4を管状体に形成する場合において、管状
体の形成後に行われる冷却工程では、管状型部材2から
の前記管状体の離脱に先立って、管状型部材2、フィル
ム支持部材1および管状体を、少なくとも、1種の冷媒
(冷却媒体)に浸漬し、管状体の結晶化を制御すること
になる。なお、冷媒は、水系溶媒、アルコール系溶媒、
フッ素系溶媒、シリコン系溶媒のいずれかである。
【0023】この場合、以後に述べる実施例で具体的に
明らかにされるように、前記冷却工程に用いる冷媒の温
度が、フィルム4の樹脂材料のガラス転移点(Tg点)
に対して±20℃の範囲に調整されていること、前記冷
却工程を、漸次、低い設定温度において、最初から最後
までの複数段階に分けて行うこと、更には、前記冷却工
程の最後の段階で用いる冷媒の温度を、25℃未満にし
てあること、また、前記冷媒に浸漬する時間が5分未満
であることが、有効となる。
【0024】なお、フィルム4自体が、図18ないし図
20に示すように、各々異なる材質からなるn層の熱可
塑性フィルムから構成され、この複合で、管状体を製造
する場合に、その冷却工程が、(n+1)回に分けられ
て行われることも、その実施の形態において、有用であ
る。
【0025】
【実施例】
(第1の実施例)次に、本発明の管状フィルムの製造方
法を具体的に説明する。先ず、製造する管状体の内径に
応じて、フィルム4の寸法を選定し、また、それに応じ
て、フィルム支持部材1、管状型部材2の大きさを選定
する。ここでは、フィルム4として、熱可塑性材料、例
えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を、そ
の縦、横の寸法が79.0mm×300mmである大き
さのシートに切断したものを用意する。なお、フィルム
4の膜厚は50μmとした。
【0026】また、フィルム支持部材1には、その熱膨
張係数が2.4×10-5(/℃)のアルミニウムを、管
状型部材2には、その熱膨張係数が1.2×10-5(/
℃)のステンレス鋼を、それぞれ使用した。
【0027】なお、フィルム支持部材の寸法は、直径:
24.00mm、長さ:330mmとし、その端部より
165mmの所に、直径:1mmの円形の気体注入孔1
bを周方向に関して、等間隔に、3個設けている。ま
た、管状型部材の寸法は、内径:24.20mm、外
径:30.0mm、長さ:330mmである。前記フィ
ルム支持部材1と管状型部材2との寸法関係は、後述す
る加熱工程での加熱の際して、温度:370℃で、フィ
ルム支持部材1の外径と管状型部材2の内径の寸法差が
100μmになるように、予め設計する。
【0028】しかして、まず、図1に示すように、前記
フィルム支持部材1の外周面1aにシート状のフィルム
4を、その両端部(A)が、図2のように、重なり合う
状態で巻き付ける。次に、フィルム支持部材1とこれに
巻いたフィルム4とを、図4のように、管状型部材2の
中空部に挿入する。そして、フィルム支持部材1、フィ
ルム4、管状型部材2を、図5に示すような加熱炉3内
に挿入、設置して、加熱する。なお、加熱炉3の詳細構
造は図15に示す。
【0029】図15において、加熱炉3は、ベース(図
示せず)上に支持台68を固定し、支持台68上にヒー
タ67を配置し、ヒータ67の内側に、前述の被加熱物
(フィルム支持部材、フィルム、管状型部材)を配置す
るスペース64aを、予め確保している。また、加熱に
際しては、ヒータ67が温度制御手段(図示せず)によ
り、所要の温度制御を受ける。なお、加熱炉3内での加
熱条件は、加熱温度:370±5℃で、加熱時間:30
±1分である。この加熱時間は、フィルム材料の溶融温
度と、フィルムの熱劣化を考慮して決定する。
【0030】加熱炉3内での加熱工程において、フィル
ム支持部材1、管状型部材2、フィルム4は、図6〜8
に示すように、変化する。なお、加熱炉3内に置かれた
フィルム4は、心棒のフィルム支持部材1と管状型部材
2との隙間に巻かれており、両端部4a、4bが重ね合
わせされているが、この際のフィルム支持部材1と管状
型部材2との外径と内径の差(寸法ギャップ)は200
μmである。
【0031】この状態から、フィルム支持部材1、フィ
ルム4、管状型部材2は、全体的に加熱されて、それぞ
れ、温度が上昇し、フィルム支持部材1と管状型部材2
とは、それぞれの熱膨張係数に応じて、膨張し始め、ま
た、フィルム4は温度上昇につれて軟化し始める(図6
を参照)。この場合、フィルム支持部材1(アルミニウ
ム材料)の熱膨張係数が、管状型部材2(ステンレス
鋼)の熱膨張係数より大きいので、両者の外径と内径と
の差(寸法ギャップ)は、初期の低温状態よりも短縮さ
れる(図7を参照)。
【0032】この過程で、軟化したフィルム4は、その
両端4a、4bの重ね合わせ部は、フィルム4の厚さ方
向に圧縮され、溶着して、相互に接合状態になる。即
ち、フィルム支持部材と管状型部材とのギャップは、最
終的に所望のフィルム厚と同じになり、フィルム4の膜
厚が、その全周に亘って均一化される(図8を参照)。
そして、この30分の加熱時間の経過後に、加熱を止
め、次の冷却工程に移行するのである(図9を参照)。
【0033】なお、この実施例では、前記冷却工程での
冷却は、加熱工程の加熱の停止後に自然冷却状態にし
て、フィルム支持部材1、フィルム4、管状型部材2を
冷却させてもよいが、その冷却時間の短縮のために、急
冷してもよい。ここでは、前記加熱の後、液槽内の冷却
水に漬けて、350℃/分の冷却速度で冷却し、全体が
室温になったところで、取り出して、管状体(フィル
ム)の離型工程に入る。
【0034】ここで、得られた管状体(管状フィルム)
を離型する工程の詳細、および、離型する際に要する離
型力の測定方法について、以下に説明する。離型工程の
第1は、一体であるフィルム支持部材1と管状型部材2
とを、互いに離脱することである。その時に要する離型
力15を、離型力Aとする(図15は、フィルム支持部
材1に管状体が付随して出てくる状態を示す)。
【0035】更に、離型工程の第2として、フィルム支
持部材1の外表面1aまたは管状型部材2の内表面に付
着している管状体を離型する(図16は、フィルム支持
部材1から管状体4を離型する状態を示す)。この時に
要する離型力16を離型力Bとする。なお、符号17
は、管状体を離型する際に、これを補助する支柱であ
る。
【0036】上述の離型工程において、離型力Aと離型
力Bの関係が、A>Bの場合には、第1の離型工程で、
管状体が、図15のように、フィルム支持部材1に付随
して出てくるが、A<Bの場合、管状体は、管状型部材
2に付随したまま、残り、フィルム支持部材1のみが取
り出される。
【0037】上記方法で、本実施例における離型力A、
Bを測定すると、気体注入孔1bより、フィルム4とフ
ィルム支持部材1との間に、気体(乾燥空気)を6×1
4kg/m2 注入した場合は、A=0.8kg、B=
9.5kgであり、気体注入孔1bより気体を注入しな
い場合は、A=0.8kg、B=20.0kgであっ
た。このように、フィルム支持部材1と管状型部材2と
の間の、管状体を取り出す離型工程において、気体注入
の処置は管状体の離型を容易にする効果がある。なお、
取り出された管状体は、その最初のシート状のフィルム
4の重ね合わせ部(両端4a、4b)の箇所も段差な
く、奇麗に接合されていた。
【0038】このようにして、製造した本発明に係わる
管状フィルムは、以下のような用途において、活用され
る。例えば、本実施例により得られた管状体の最外層
に、フッ素樹脂でコーティングを施して、これを、図1
0に示すように、画像形成装置(LBP、レーザービー
ムプリンタ)の定着器の定着フィルム4’として使用す
ることができる。
【0039】なお、図において、符号6Aは、定着フィ
ルム4’の加熱用ヒータであり、このヒータ6Aはヒー
タホルダ6Bに保持されている。また、符号6Cはステ
ー部材であり、略U字形状に形成されている。定着フィ
ルム4’は、ステー部材6Cおよびヒータホルダー6B
で構成される筒状の構造体の外周面に嵌め込むように、
組み込まれている。また、符号6Dは、ゴムなどの弾性
層を有する加圧ローラであり、駆動手段(図示せず)に
より、回転駆動される。
【0040】前記定着器は、図示のように、定着フィル
ム4’と加圧ローラ6Dとの間に画像を形成するトナー
を担持した紙などの担持体6Eを搬送挿通させて、ヒー
タから受けた定着フィルムの熱をトナーの伝達するとと
もに、トナーを紙の上に加圧することで、定着させるわ
けであるが、本発明による定着フィルム4’は、その膜
厚の均一性が非常に高い(高精度)こと、シート状フィ
ルム4の重ね合わせ部分の膜厚寸法も、他と同等であ
り、従って、定着フィルム4’からトナーへの熱伝達が
均一で、非常に高画質を得ることができる。
【0041】次に、本発明で使用できるフィルム材料に
ついて述べる。これは、熱可塑性樹脂あるいはエラスト
マー材料であれば、どのような材料でも使用に好適であ
り、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフ
ェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリ
エーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド系材料、ポリエ
ーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマ
ー、ポリアミド酸などが有効である。
【0042】また、上記樹脂材料に、耐熱補強、導電
性、熱伝導性を付与するなどの目的で、有機、無機の微
粉末の、少なくとも1種を配合したものが使用でき、あ
るいは、これらを、あらゆる倍率で延伸、強化して、フ
ィルムを構成しても良い。ここで、有機の微粉末とし
て、例えば、縮合型ポリイミド粉末など、無機の微粉末
としては、カーボンブラック粉末、酸化マグネシウム粉
末、フッ化マグネシウム粉末、酸化珪素粉末、酸化アル
ミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉
末、酸化チタン粉末等の無機球状微粒子、炭素繊維、ガ
ラス繊維等の繊維状粒子、6チタン酸カリウム、8チタ
ン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素などのウィスカー状
粉末などあらゆる形状、大きさの微粉末が好適である。
なお、これら微粉末の配合量としては、ベース樹脂に対
して、総合量の5〜70wt%にすることが好ましい。
【0043】また、前記フィルム材料については、上述
したように、フィルム4は、フィルム支持部材と管状型
部材との間に挿入して、加熱軟化、圧縮作用により管状
体を得る場合に、その肉厚の均一性の確保のために、ま
た、管状型部材との離型を容易にするために、成形収縮
率を0.6〜2.0%の範囲内にした材料を使用するの
がよい。 (比較例1)図11には、本発明の管状フィルムの製造
方法(第1の実施例)に対比される比較例1を表す。こ
の比較例での諸元は、本発明の第1の実施例と同様であ
る。ここで、符号5はフィルム支持部材、5aは、その
外周面、5bは気体注入孔である。ただし、フィルム支
持部材5の外表面5aの気体注入孔5bは、周方向に等
間隔で、2箇所のみ、設けている。そして、第1の実施
例と同様の工程条件で、加熱、冷却を行った後、管状体
を離型する際に、第1の実施例と同じ離型力の測定を行
ったところ、離型力A=0.8kg、離型力B=15.
2kgであった。即ち、第1の実施例に示す系よりも、
フィルムの離型力Bは大きくなった。
【0044】この負荷は、樹脂フィルムの引っ張り強度
以上(フィルムの引っ張り強度を5kg/mm2 とする
と、第1の実施例およびこの比較例1の各系では、フィ
ルム4の断面積3.6mm2 であるから、離型力は5×
3.6=20kgとなる。)ではないが、その離型の際
のフィルムの破壊(破断)が発生する原因とはなる。よ
って、フィルム4の離型の際にかかる離型力は、10k
g未満であることが望ましい。 (比較例2)図12には、第1の実施例に対比される比
較例2を表す。ここで、管状型部材2、フィルム4の材
質および形状は、第1の実施例と同様である。ただし、
フィルム支持部材6は、その外表面6aに気体注入孔6
bを、第1の実施例と同数、備えるが、その相当径は
1.2mmとした。そして、第1の実施例と同様の工程
条件で、加熱を行ったところ、加熱により軟化した樹脂
が、気体注入孔6bに流れ込み、固化した後の管状体
は、その表面に樹脂の突起が発生し、使用目的の上で、
不良であった。これは、相当径を1mm以上とすると顕
著に現れ、逆に、1mm未満とすると、その現象は見ら
れなかった。 (第2の実施例)次に、本発明の第2の実施例を図13
を参照して具体的に説明する。本実施例の特徴は、フィ
ルム支持部材7の気体注入孔7bの位置を、図13に示
すように、シート状フィルム9の端部から10mm以内
の場所に設置している点で、そのことにより、得られる
管状体を、例えば、画像形成装置の定着フィルムとして
使用した場合に、フィルムの実使用部(中央部)の膜厚
の均質性が向上し、より高品質の画像が得られることに
なる。
【0045】なお、図13において、フィルム支持部材
7は、アルミニウム材料から作られており、その寸法
は、直径:24.00mm、長さ:330mmとし、そ
の外表面7aの端部より25mmの所に、直径:1mm
の円形の気体注入孔7bを、周方向に等間隔で3個設け
ている。これは、シート状フィルム9について言えば、
その端部から10mmの位置に相当する。
【0046】なお、図中、符号8は管状型部材であり、
インバー材を使用する。また、フィルム支持部材7の熱
膨張係数は、2.4×10-5(/℃)であり、管状型部
材8の熱膨張係数は、5.0×10-6(/℃)である。
なお、両部材7および8の外径と内径の寸法設定は、両
者を300℃に加熱した時の径方向の隙間が100μm
になるように設定するのである。また、シート状フィル
ム9は、厚さ:50μmのPES(ポリエーテルサルホ
ン)を、所定の寸法で、シート状に切断したものを用い
る。
【0047】図13に示すように、シート状フィルム9
を、巻き始めと終わりが重なり合うように、フィルム支
持部材7の外周面7aに巻き付け、それらを管状型部材
8の中に嵌挿し、その後、加熱炉17(図17を参照)
内に設置し、300℃で30分程度、加熱する。この加
熱工程において、フィルム支持部材7と管状型部材8
は、共に加熱され、両者の材料の熱膨張係数の差による
間隔の縮小で、軟化状態のフィルムの両端部分が互いに
溶着、接合され、管状体を形成する。
【0048】加熱工程の後、管状体は、フィルム支持部
材、管状型部材共々、加熱炉から取り出されて、次に、
前述の実施例のように、冷却工程を経て、冷却される。
冷却後に、管状体をフィルム支持部材7と管状型部材9
から抜き出したところ、管状体の肉厚が、全体的に50
±5μmの寸法となり、画像形成装置などに適用するの
に相応しい、所望の精度の管状フィルムが得られた。
【0049】得られた管状フィルム(管状体)の離型力
を、第1の実施例で述べた方法により、測定すると、A
=0.5kg、B=10.0kgであった。そして、上
述のように、管状フィルムを画像形成装置の定着フィル
ムとして用いた結果は、画像に影響を及ぼすような、フ
ィルムの中央部分に、気体注入孔7bによる微妙な凹凸
もなく、非常に均質な膜が得られ、これにより、得られ
る画像には歪みが殆どなかった。 (比較例3)これに対して、次に、図14を参照して、
比較例を説明する。この比較例に使用する管状型部材
8、フィルム9の材質および形状は、第2の実施例と同
様である。ここでも、フィルム支持部材10には、その
円周方向に等間隔で3個の円形の気体注入孔10bが直
径:1mmで形成されるが、それらの位置は、フィルム
の支持部材10の端部より30mmの所である。これ
は、丁度、フィルム9の端部から15mmの位置に相当
する。
【0050】しかして、これらを、第2の実施例と同様
の工程条件で加熱、冷却を行い、同条件で、離型を行っ
たところ、得られた管状体は、その端部から15mmの
所に微妙な凹凸が見られ、その凸部の最大値は58μm
であった。そして、これを第2の実施例におけると同様
に、画像形成装置の定着フィルムとして用いた場合、微
妙なその凹凸が影響を受けて、得られた画像の端部に微
妙なすじが見られ、高品質な画像が得られなかった。 (第3の実施例)次に、本発明の管状フィルムの製造方
法を、第3の実施例について具体的に説明する。先ず、
図1〜図9において、製造する管状体の内径に応じて、
フィルム4の寸法を選定し、また、それに応じて、フィ
ルム支持部材1(なお、この実施例では、気体注入口1
bは装備しない)、管状型部材2の大きさを選定する。
ここでは、フィルム4として、熱可塑性材料、例えば、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を、その縦、
横の寸法が、79.0mm×300mmである大きさの
シートに切断したものを用意する。なお、フィルム4の
膜厚は50μmとした。
【0051】また、フィルム支持部材1には、その熱膨
張係数が1.5×10-5(/℃)のステンレス鋼を、管
状型部材2には、その熱膨張係数が1.2×10-5(/
℃)のステンレス鋼を、それぞれ使用した。
【0052】なお、フィルム支持部材の寸法は、直径:
24.00mm、長さ:330mmとする。また、管状
型部材の寸法は、内径:24.20mm、外径:30.
0mm、長さ:330mmである。前記フィルム支持部
材1と管状型部材2との寸法関係は、後述する加熱工程
での加熱の際して、温度:370℃で、フィルム支持部
材1の外径と管状型部材2の内径の寸法差が100μm
になるように、予め設計する。
【0053】しかして、まず、図1に示すように、前記
フィルム支持部材1の外周面1aにシート状のフィルム
4を、その両端部(A)が、図2のように、重なり合う
状態で巻き付ける。次に、フィルム支持部材1とこれに
巻いたフィルム4とを、図4のように、管状型部材2の
中空部に挿入する。そして、フィルム支持部材1、フィ
ルム4、管状型部材2を、図5に示すような加熱炉3内
に挿入、設置して、加熱する。なお、加熱炉3の詳細構
造は、前述の第1の実施例と同様に、図15に示す通り
である。
【0054】また、加熱炉3内での加熱工程において、
フィルム支持部材1、管状型部材2、フィルム4は、既
に前述の第1の実施例で述べたように、図6〜8に示す
順序で変化する。この状態から、フィルム支持部材1、
フィルム4、管状型部材2は、全体的に加熱されて、そ
れぞれ、温度が上昇し、フィルム支持部材1と管状型部
材2とは、それぞれの熱膨張係数に応じて、膨張し始
め、また、フィルム4は温度上昇につれて軟化し始める
(図6を参照)。この場合、フィルム支持部材1(ステ
ンレス材料)の熱膨張係数が、管状型部材2(インバー
材)の熱膨張係数より大きいので、両者の外径と内径と
の差(寸法ギャップ)は、初期の低温状態よりも短縮さ
れる(図7を参照)。
【0055】この過程で、軟化したフィルム4は、その
両端4a、4bの重ね合わせ部は、フィルム4の厚さ方
向に圧縮され、溶着して、相互に接合状態になる。即
ち、フィルム支持部材と管状型部材とのギャップは、最
終的に所望のフィルム厚と同じになり、フィルム4の膜
厚が、その全周に亘って均一化される(図8を参照)。
そして、この30分の加熱時間の経過後に、加熱を止
め、次の冷却工程に移行するのである(図9を参照)。
【0056】なお、この実施例では、第1の冷却工程で
の冷却は、PEEKの結晶化温度が143℃であるため
に、150℃に保温したフッ素系溶剤(フロリナートF
Cー17:住友スリーエム株式会社製:沸点=253
℃)を用いた。また、加熱工程の加熱の停止後には、フ
ィルム支持部材1、フィルム4、管状型部材2を100
℃/分の冷却速度で、2分間、冷媒中に浸漬し、それら
が150℃になるまで、冷却した。そして、その後、そ
れらを取り出して、室温中に10分間、放置し、自然放
冷で、室温まで冷却した後、フィルム4をフィルム支持
部材1と管状型部材2から取り外した。
【0057】なお、取り出された管状体は、その最初の
シート状のフィルム4の重ね合わせ部(両端4a、4
b)の箇所も段差なく、奇麗に接合されていた。また、
冷却温度を150℃とし、2分間、浸漬したことによ
り、PEEK樹脂は、良好な状態で結晶化が進み、熱物
性が非常に安定した。
【0058】このようにして、製造した本発明に係わる
管状フィルムは、以下のような用途において、活用され
る。例えば、本実施例により得られた管状体の最外層
に、フッ素樹脂でコーティングを施して、これを、第一
の実施例と同様に、図10に示す画像形成装置(LB
P、レーザービームプリンタ)における定着器の定着フ
ィルム4’として使用することができる。
【0059】前記定着器は、図示のように、定着フィル
ム4’と加圧ローラ6Dとの間に画像を形成するトナー
を担持した紙などの担持体6Eを搬送挿通させて、ヒー
タから受けた定着フィルムの熱をトナーの伝達するとと
もに、トナーを紙の上に加圧することで、定着させるわ
けであるが、本発明による定着フィルム4’は、その膜
厚の均一性が非常に高い(高精度)こと、シート状フィ
ルム4の重ね合わせ部分の膜厚寸法も、他と同等であ
り、かつ、高温時での樹脂特性(引っ張り強度など)
も、前述の冷却方法によって、非常に安定するために、
定着フィルム4’からトナーへの熱伝足すの不均一を生
じることなく、非常に高画質を得ることができる。な
お、本発明で使用できるフィルム材料は、前述の第一の
実施例と同等である。 (比較例4)この比較例は、第3の実施例に対応して、
成されたものであり、冷却工程前までは、第3の実施例
と同様である。そして、この比較例では、冷却工程にお
いて、冷媒に温度:20℃の水を採用しており、フィル
ム支持部材1、フィルム4、管状型部材2を、それぞ
れ、纏めて、350℃/分の冷却速度で、前記冷媒中に
2分間、浸漬し、常温付近まで冷却した。
【0060】このようにして、冷却した後、フィルム支
持部材1と管状型部材2との間のフィルム4を取り出し
たところ、管状体(管状フィルム)は、上述の急冷によ
り、PEEK樹脂の結晶化があまり進行しないので、比
較的柔らかなものとなっていた。従って、第3の実施例
のように、管状体の最外層にフッ素樹脂をコーティング
した状態で、画像形成装置の定着器の定着フィルムとし
て使用した場合には、同じ温度条件(加熱用ヒータ6A
で180℃〜200℃に設定)としても、冷却工程で上
述の急冷をしたために、樹脂の結晶化が不十分で、樹脂
物性が安定せず、第3の実施例のようには、具合よく定
着できず、フィルム側面にシワなどが発生した。 (第4の実施例)次に、図18を参照して、第4の実施
例について説明する。この実施例では、フィルム4は、
フィルム支持体1に対して複数巻き(例えば、3巻き)
されており、ここでの特徴は、その冷却を2工程とし
て、連続的に温度を下げ、管状体(管状フィルム)4の
恒温での物性を安定した状態で製造し、しかも、素早く
常温付近まで冷却することができ、フィルム製造の工程
時間を短縮し、生産性を向上する点である。
【0061】ここでは、フィルム4として、例えば、ガ
ラス転移点が500℃であるナイロンを、所定の縦、横
の寸法に切断したものを用意する。なお、フィルム4の
膜厚は50μmである。
【0062】また、フィルム支持部材1には、結晶性樹
脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用
いられ、その熱膨張係数が1.0×10-4(/℃)であ
り、また、管状型部材2には、その熱膨張係数が1.5
×10-5(/℃)のステンレス鋼が使用された。
【0063】なお、フィルム支持部材の寸法は、直径:
147.21mm、長さ:400mmとする。また、管
状型部材の寸法は、内径:150.00mm、外径:1
60.00mm、長さ:400mmである。前記フィル
ム支持部材1と管状型部材2との寸法関係は、後述する
加熱工程での加熱の際して、温度:250℃で、フィル
ム支持部材1の外径と管状型部材2の内径の寸法差が3
00μmになるように、予め設計する。
【0064】しかして、まず、フィルム支持部材1の外
周面にシート状のフィルム4を、3周巻回し、その両端
部4a、4bが、同じ箇所で重なり合う状態とする。次
に、フィルム支持部材1とこれに巻いたフィルム4と
に、管状型部材2を被嵌する。そして、フィルム支持部
材1、フィルム4、管状型部材2を、前述の実施例のよ
うに、加熱炉内に挿入、設置する。
【0065】そして、加熱炉内では、250℃で90
分、加熱する。この加熱作用により、フィルム支持部材
1、管状型部材2は熱膨張し、また、フィルム4は、軟
化するが、この場合、フィルム支持部材1の熱膨張係数
が、管状型部材2の熱膨張係数より大きいので、両者の
外径と内径との差(寸法ギャップ)は、初期の低温状態
よりも短縮される。
【0066】この過程で、軟化したフィルム4は、その
両端4a、4bの重ね合わせ部は勿論のこと、全体とし
て、その厚さ方向に圧縮され、溶着して、各層について
相互に接合状態になる。即ち、フィルム支持部材と管状
型部材とのギャップは、最終的に所望のフィルム厚と同
じになり、フィルム4の膜厚が、その全周に亘って均一
化される。そして、所要の加熱時間の経過後に、加熱を
止め、次の冷却工程に移行するのである。
【0067】なお、この実施例では、第1の冷却工程で
の冷却には、60℃に保温した水を用い、これに2分間
浸漬する。その後、第2の冷却工程として、20℃の水
中に3分間浸漬したところ、フィルム支持部材1、フィ
ルム4、管状型部材2は常温付近まで温度降下した。
【0068】これにより、得られる管状フィルムは前記
管状型部材及び前記円柱部材から容易に離型でき、フィ
ルム端部の重合箇所でも、段差なく、奇麗に接合できる
ようになり、また、冷却工程を2段階にしたので、結晶
化を妨げることなく、しかも、より早く常温まで冷却で
き、その生産性も格段に向上した。 (第5の実施例)次に、図19および図20を参照し
て、第5の実施例について説明する。この実施例では、
フィルム4は、n層(ここでは、2層)の異なる物性の
樹脂フィルムを重ねてフィルム支持部材1に対して巻き
つけており、ここでの特徴は、その冷却を(n+1)工
程として、連続的に温度を下げ、管状体(管状フィル
ム)の恒温での物性を安定した状態で製造し、しかも、
素早く常温付近まで冷却することができ、フィルム製造
の工程時間を短縮し、生産性を向上する点である。
【0069】ここでは、フィルム4として、例えば、P
EEKを、また、フィルム20として、テトラフルオロ
エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体(PFA)樹脂のシートを所定の縦、横の寸法、例え
ば、80.0mm×300mmに切断したものを用意す
る。なお、フィルム4の膜厚は50μm、フィルム20
の膜厚は20μmであり、一方の面には接着剤層21が
設けてある。
【0070】また、フィルム支持部材1には、アルミニ
ウム材料が用いられ、その熱膨張係数が2.4×10-5
(/℃)であり、また、管状型部材2には、その熱膨張
係数が1.5×10-5(/℃)のステンレス鋼が使用さ
れた。
【0071】しかして、まず、フィルム支持部材1の外
周面にシート状のフィルム4を巻回し、その上にフィル
ム20を重ねて巻回する。次に、フィルム支持部材1と
これに巻いたフィルム4、20とに、管状型部材2を被
嵌する。そして、フィルム支持部材1、フィルム4、2
0、管状型部材2を、前述の実施例のように、加熱炉内
に挿入、設置する。
【0072】そして、加熱炉内では、370℃で30
分、加熱する。この加熱作用により、フィルム支持部材
1、管状型部材2は熱膨張し、また、フィルム4、20
は、軟化するが、この場合、フィルム支持部材1の熱膨
張係数が、管状型部材2の熱膨張係数より大きいので、
両者の外径と内径との差(寸法ギャップ)は、初期の低
温状態よりも短縮される。
【0073】この過程で、軟化したフィルム4、20
は、全体として、その厚さ方向に加わる圧縮作用と、そ
の接着剤層21の接着作用とで、互いに接合状態にな
る。即ち、フィルム支持部材と管状型部材とのギャップ
は、最終的に所望のフィルム厚と同じになり、フィルム
4、20の膜厚が、その全周に亘って均一化される。そ
して、所要の加熱時間の経過後に、加熱を止め、次の冷
却工程に移行するのである。
【0074】なお、この実施例では、第1の冷却工程で
の冷却には、フロリナートを200℃に保温して用い、
これに2分間浸漬する。その後、第2の冷却工程とし
て、150℃に保温したフロリナートの中に3分間浸漬
し、更に、20℃の水中に3分間浸漬したところ、フィ
ルム支持部材1、フィルム4、20、管状型部材2は常
温付近まで温度降下した。
【0075】これにより、得られる管状フィルムは、管
状型部材及びフィルム支持部材から容易に離型でき、フ
ィルム端部の重合箇所でも、段差なく、奇麗に接合でき
るようになり、また、冷却工程を多段階にしたので、結
晶化を妨げることなく、しかも、より早く常温まで冷却
でき、その生産性も格段に向上した。
【0076】なお、本発明の技術的範囲は、その管状フ
ィルムの製造方法のみならず、これによって製造された
管状フィルム(管状体)、および、その用途において適
応する具体的な構成、即ち、画像形成装置の搬送用ベル
トや、高画質を得ることができる定着器の定着フィルム
などに及ぶものである。
【0077】
【発明の効果】本発明は、以上詳述したように、シート
状の熱可塑性フィルムを、その端部を互いに重ね合わせ
た状態にて、円柱状の外表面を有するフィルム支持部材
に巻き付け、前記巻き付けたフィルムの外側に管状型部
材をはめ込み、その状態で、前記フィルムを加熱して、
前記フィルムの重ね合わせ部を融着・接合して、前記フ
ィルムを管状体に形成する方法において、前記管状体の
形成後に、それと前記フィルム支持部材の外表面との間
に気体を注入し、前記フィルム支持部材の外表面から前
記管状体を離間させることを特徴とする。
【0078】従って、管状体(管状フィルム)とフィル
ム支持部材や管状型部材との離型性が向上し、管状体の
製造における生産性も格段に向上し、良品率も増す。
【0079】この場合、前記フィルム支持部材の熱膨張
係数が、前記管状型部材の熱膨張係数より大であり、前
記フィルムの加熱に際して、前記フィルム支持部材と管
状型部材との間隙を短縮し、少なくとも、前記フィルム
の重ね合わせ部を、その厚み方向に圧縮することができ
るので、得られた管状体の膜厚を均一にできる。これ
は、肉厚の均一精度の高いフィルムを必要とする画像形
成装置の定着フィルムに適応するのに有効である。
【0080】また、本発明では、シート状の熱可塑性フ
ィルムを、その端部を互いに重ね合わせた状態にて、円
柱状の外表面を有するフィルム支持部材に巻き付け、前
記巻き付けたフィルムの外側に管状型部材をはめ込み、
その状態で、前記フィルムを加熱して、前記フィルムの
重ね合わせ部を融着・接合して、前記フィルムを管状体
に形成する方法において、前記管状体の形成後に行われ
る冷却工程では、管状型部材からの前記管状体の離脱に
先立って、前記管状型部材、フィルム支持部材および管
状体を、少なくとも、1種の冷媒(冷却媒体)に浸漬
し、管状体の結晶化を制御することを特徴とする。
【0081】従って、フィルム材料(樹脂材料)の結晶
化を促進でき、得られる管状体(管状フィルム)の物性
が安定する効果が得られる。なお、この場合、前記冷却
工程に用いる冷媒の温度が、前記熱可塑性フィルムの樹
脂材料のガラス転移点(Tg点)に対して±20℃の範
囲に調整されていることが好ましい。
【0082】また、前記冷却工程を、漸次、低い設定温
度において、最初から最後までの複数段階に分けて行う
ことにより、また、各々異なる材質からなるn層の熱可
塑性フィルムから管状体を製造する場合に、その冷却工
程が、(n+1)回に分けられて行われることにより、
得られる管状体(管状フィルム)について、安定した物
性を維持しながら、しかも、冷却工程を迅速にして、生
産性を向上することができ、また、シート状フィルムを
複数層、重ねた形で、管状体(管状フィルム)を構成す
ることも可能となり、例えば、画像処理装置の搬送用ベ
ルトなどへの適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管状フィルムの製造法における使用態
様を示す説明図である。
【図2】同じく、シート状フィルムをフィルム支持部材
に巻き付けた状態での重なりを示す説明図である。
【図3】同じく、管状型部材の使用態様を示す説明図で
ある。
【図4】同じく、フィルム支持部材にシート状フィルム
を巻き付け、その上に管状型部材を被せた状態の説明図
である。
【図5】本発明で使用する、加熱工程での加熱炉の説明
図である。
【図6】同じく、加熱炉内での、シート状フィルムの重
なり部分の、室温状態の説明図である。
【図7】同じく、昇温過程を示す、フィルムの重なり部
分の説明図である。
【図8】同じく、圧縮を受けた状態を示すシート状フィ
ルムの重なり部分の説明図である。
【図9】本発明の冷却工程において適用される冷却槽の
構成図である。
【図10】本発明の管状体(管状フィルム)を使用した
画像形成装置の定着器の構成を示す断面図である。
【図11】本発明のメリットを説明するために示された
比較例1の構成図である。
【図12】同じく、比較例2の説明のための構成図であ
る。
【図13】本発明の別の実施態様を示す説明図である。
【図14】同じく、比較例3の説明説明のための構成図
である。
【図15】管状フィルムの離型力Aの説明図である。
【図16】同じく、離型力Bの説明図である。
【図17】本発明に係わる加熱炉の詳細説明図である。
【図18】本発明の別の実施の形態、特に、冷却工程で
特異性を発揮する多重フィルムの構成を示す横断面図で
ある。
【図19】同じく、別の構成の多重フィルムの場合の横
断面図である。
【図20】図19の要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1,5,6,7,10,12 フィルム支持部材 2,8,13,17 管状型部材 3 加熱炉 4,9 シート状フィルム 4’,14 管状体(管状フィルム) 17 補助支柱 20 フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 康裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状の熱可塑性フィルムを、その端
    部を互いに重ね合わせた状態にて、円柱状の外表面を有
    するフィルム支持部材に巻き付け、前記巻き付けたフィ
    ルムの外側に管状型部材をはめ込み、その状態で、前記
    フィルムを加熱して、前記フィルムの重ね合わせ部を融
    着・接合して、前記フィルムを管状体に形成する方法に
    おいて、前記管状体の形成後に、それと前記フィルム支
    持部材の外表面との間に気体を注入し、前記フィルム支
    持部材の外表面から前記管状体を離間させることを特徴
    とする管状フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記フィルム支持部材の熱膨張係数が、
    前記管状型部材の熱膨張係数より大であり、前記フィル
    ムの加熱に際して、前記フィルム支持部材と管状型部材
    との間隙を短縮し、少なくとも、前記フィルムの重ね合
    わせ部を、その厚み方向に圧縮することを特徴とする請
    求項1に記載の管状フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記フィルム支持部材の外表面上に、気
    体注入孔を設けて、該気体注入孔から前記管状体と前記
    フィルム支持部材の外表面との間に気体を注入すること
    を特徴とする請求項1あるいは2に記載の管状フィルム
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 シート状の熱可塑性フィルムを、その端
    部を互いに重ね合わせた状態にて、円柱状の外表面を有
    するフィルム支持部材に巻き付け、前記巻き付けたフィ
    ルムの外側に管状型部材をはめ込み、その状態で、前記
    フィルムを加熱して、前記フィルムの重ね合わせ部を融
    着・接合して、前記フィルムを管状体に形成する方法に
    おいて、前記管状体の形成後に行われる冷却工程では、
    管状型部材からの前記管状体の離脱に先立って、前記管
    状型部材、フィルム支持部材および管状体を、少なくと
    も、1種の冷媒(冷却媒体)に浸漬し、管状体の結晶化
    を制御することを特徴とする管状フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記冷却工程に用いる冷媒の温度が、前
    記熱可塑性フィルムの樹脂材料のガラス転移点(Tg
    点)に対して±20℃の範囲に調整されていることを特
    徴とした請求項4に記載の管状フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記冷却工程を、漸次、低い設定温度に
    おいて、最初から最後までの複数段階に分けて行うこと
    を特徴とする請求項4に記載の管状フィルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記冷却工程の最後の段階で用いる冷媒
    の温度を、25℃未満にしてあることを特徴とする請求
    項6に記載の管状フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記冷媒に浸漬する時間が5分未満であ
    ることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の管
    状フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 各々異なる材質からなるn層の熱可塑性
    フィルムから管状体を製造する場合に、その冷却工程
    が、(n+1)回に分けられて行われることを特徴とす
    る請求項4〜8のいずれかに記載の管状フィルムの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記冷媒が、水系溶媒、アルコール系
    溶媒、フッ素系溶媒、シリコン系溶媒のいずれかである
    ことを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の管状
    フィルムの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015049270A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 キヤノン株式会社 定着ベルト及びそれを備えた定着装置
US10042298B2 (en) 2013-08-30 2018-08-07 Canon Kabushiki Kaisha Film and image heating device using film
JP2018124580A (ja) * 2018-04-27 2018-08-09 キヤノン株式会社 定着装置

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