JP2005144698A - 凹凸状シートの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性が高く、かつ、転写精度が良好な凹凸状シートを製造するのに好適な凹凸状シートの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】シート状体Wの表面に、エンボスロール14表面の凹凸を転写形成するエンボスシートの製造方法に関する。シート状体Wとこのシート状体の下面に配される帯状可撓性の支持体Bとの積層体を連続走行させて、回転するエンボスロール14とニップロール16とで押圧しながらシート状体Wのロール成形加工を行う。この際、エンボスロール14の押圧箇所の上流部分において、シート状体Wを加熱する。この予備加熱手段26として、集光ヒータが好ましく採用できる。
【選択図】 図1
【解決手段】シート状体Wの表面に、エンボスロール14表面の凹凸を転写形成するエンボスシートの製造方法に関する。シート状体Wとこのシート状体の下面に配される帯状可撓性の支持体Bとの積層体を連続走行させて、回転するエンボスロール14とニップロール16とで押圧しながらシート状体Wのロール成形加工を行う。この際、エンボスロール14の押圧箇所の上流部分において、シート状体Wを加熱する。この予備加熱手段26として、集光ヒータが好ましく採用できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、凹凸状シートの製造方法及び製造装置に係り、特に、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された反射防止効果等を有するエンボスシート等のシート状物を高い製造速度で製造するのに好適な凹凸状シートの製造方法及び製造装置に関する。
近年、液晶等の電子ディスプレイの用途に、反射防止効果を有するエンボスシートが採用されている。また、レンチキュラーレンズやフライアイレンズ等の平板状レンズ、光拡散シート、輝度向上シート、光導波路シート等のエンボスシートが使用されている。このようなエンボスシートとしては、従来より、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成されたものが公知である。
このような規則的な微細凹凸パターンを形成する手法としては、従来より各種の方法が知られており、たとえば、加熱されたエンボスローラとニップローラとでシート状体を挟み、エンボスローラに形成された微細凹凸パターンをシート状体表面に転写する提案がなされている(特許文献1等参照)。
特表平11−513333号公報
しかしながら、上記のような従来の技術(特許文献1等)において、生産速度が低いという問題点があった。すなわち、エンボスローラに形成された微細凹凸パターンをシート状体表面に転写する際に、微細凹凸パターンの転写精度を良好とするには、エンボスローラの加熱温度を高くするか、エンボスローラとニップローラとでシート状体を挟んでいる時間を長くする必要がある。
ところが、エンボスローラの加熱温度を高くすると、シート状体をエンボスローラから剥離するのが困難となりやすい。一方、エンボスローラの加熱温度を必要な範囲で抑え、シート状体を挟んでいる時間を長くするのでは生産性が悪い。また、エンボスローラの加熱温度を低くして転写を行った場合、転写の直後では転写精度が良好でも、シート状体中に残留応力が発生し、これにより以後の熱処理等により転写精度が低下してしまう問題点もあった。
このような問題点に対処すべく、シート状体をエンボスローラに供給する直前に予備加熱する方法があるが、この予備加熱の温度が高過ぎると、エンボスローラの凹凸パターンをシート状体表面に転写する前に、シート状体が変形し(下に垂れ)転写が行えないこととなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シート状の表面に微細凹凸パターンを形成する凹凸状シートの製造方法及び製造装置であって、生産性が高く、かつ、転写精度が良好なエンボスシートを製造するのに好適な凹凸状シートの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、シート状体の表面に、凹凸ローラ表面の凹凸を転写形成する凹凸状シートの製造方法において、前記シート状体と該シート状体の下面に配される帯状可撓性の支持体との積層体を連続走行させて、回転する前記凹凸ローラとニップローラとで押圧しながら前記シート状体のローラ成形加工する方法であって、前記凹凸ローラの前記押圧箇所の上流部分において、前記シート状体を加熱することを特徴とする凹凸状シートの製造方法を提供する。
また、このために、本発明は、シート状体を送り出すシート状体供給手段と、帯状可撓性の支持体を送り出す支持体供給手段と、前記シート状体と該シート状体の下面に配される前記支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながら前記シート状体をローラ成形加工する成形手段と、前記成形手段の前記押圧箇所の上流部分において、前記シート状体を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする凹凸状シートの製造装置を提供する。
本発明によれば、シート状体を凹凸ローラに供給する際に、シート状体とこのシート状体の下面に配される帯状可撓性の支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながらローラ成形加工する。また、成形手段の押圧箇所の上流部分において、シート状体を加熱(予備加熱)する。このように、シート状体を予備加熱するので、転写精度が良好な凹凸状シートを製造できる。また、シート状体の下面に帯状可撓性の支持体を配した積層体として連続走行させるので、予備加熱の温度が高くても、シート状体が変形し(下に垂れ)転写が行えない不具合は解消できる。したがって、生産性が高い凹凸状シートの製造方法及び製造装置が提供できる。
但し、帯状可撓性の支持体としては、シート状体より耐熱温度の高い材料を使用することが好ましい。さもないと、支持体も同様に予備加熱により変形し、支持体としての機能が果たせないからである。
なお、本明細書において「凹凸ローラ」とは、円柱状のローラの表面に凹凸パターン(エンボス形状)が形成されたエンボスローラのみならず、エンドレスベルト等のベルト状体の表面に凹凸パターン(エンボス形状)が形成されたものをも含むものとする。このようなベルト状体であっても、円柱状のエンボスローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
また、予備加熱の加熱手段としては、赤外線ヒータ、ハロゲンヒータ、熱風発生手段等の各種の加熱手段が採用できる。
本発明において、前記積層体を前記凹凸ローラから剥離する剥離手段と、剥離後の前記支持体を収納する支持体収納手段と、剥離後の前記シート状体を収納するシート状体収納手段と、を備えたことが好ましい。このような各種の手段を備えることにより、シート状体等の収納が効率的に行える。
また、本発明において、前記加熱が集光ヒータによることが好ましい。予備加熱手段としては、上記の各種の加熱手段が採用できるが、予備加熱手段が集光ヒータであれば、シート状体の加熱が効率よく行える。
また、本発明において、前記転写形成によるシート状体表面の凹凸高さを、前記凹凸ローラ表面の凹凸高さの90%以上とすることが好ましい。このような転写率とするには、シート状体の物性に応じた加熱温度の設定、転写後から剥離までの処理(温度管理、加圧状態の管理等)、等を最適化することにより達成できる。
また、本発明は、シート状体を送り出すシート状体供給手段と、エンドレスベルトである帯状可撓性の支持体を循環移送する支持体移送手段と、前記シート状体と該シート状体の下面に配される前記支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながら前記シート状体をローラ成形加工する成形手段と、前記積層体を前記凹凸ローラから剥離する剥離手段と、前記成形手段の前記押圧箇所の上流部分において、前記シート状体を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする凹凸状シートの製造装置を提供する。
本発明によれば、支持体として循環移送されるエンドレスベルトを採用するので、装置構成が容易となる。また、シート状体の裏面を平滑に加工する場合、支持体の表面を鏡面状態とする必要があるが、この場合であっても支持体をエンドレスベルトとすれば、この支持体を最低限の長さとできる。一方、支持体供給手段より支持体を送り出し、支持体収納手段へ支持体を収納する構成では、表面を鏡面状態とした支持体の必要長さが多大となり、大幅なコストアップとなる。
以上説明したように、本発明によれば、シート状体を凹凸ローラに供給する際に、シート状体とこのシート状体の下面に配される帯状可撓性の支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながらローラ成形加工する。また、成形手段の押圧箇所の上流部分において、シート状体を加熱(予備加熱)する。このように、シート状体を予備加熱するので、転写精度が良好な凹凸状シートを製造できる。また、シート状体の下面に帯状可撓性の支持体を配した積層体として連続走行させるので、予備加熱の温度が高くても、シート状体が変形し(下に垂れ)転写が行えない不具合は解消できる。したがって、生産性が高い凹凸状シートの製造方法及び製造装置が提供できる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施態様について説明する。図1は、本発明に適用されるエンボスシートの製造装置10の構成を示す説明図である。このエンボスシートの製造装置10は、シート供給手段12と、支持体供給手段13と、凹凸ローラであるエンボスローラ14とニップローラ16からなる成形手段18と、エンボスローラ14と剥離ローラ20からなる剥離手段22と、支持体収納手段23と、シート収納手段24と、集光ヒータ等よりなる加熱手段である予備加熱手段26、等とより構成される。
シート供給手段12は、シート状体であるシートWを送り出すもので、シートWが巻回された送り出しロール等より構成される。支持体供給手段13は、帯状可撓性の支持体Bを送り出すもので、支持体Bが巻回された送り出しロール等より構成される。
成形手段18は、連続走行する、シートWと、このシートWの下面に配される支持体Bとの積層体を、回転するエンボスローラ14とニップローラ16とで押圧しながらローラ成形加工する手段であり、エンボスローラ14とニップローラ16との間に押圧力を付与する図示しない加圧手段も有する。また、エンボスローラ14とニップローラ16とを図示の矢印方向に回転駆動する図示しない駆動手段も有する。ローラ成形加工は、6時の位置のエンボスローラ14と12時の位置のニップローラ16とでなされる。
シート供給手段12は、ニップローラ16の左方に配されており、支持体供給手段13は、ニップローラ16の右方に配されている。支持体供給手段13より送り出される支持体Bは、ニップローラ16の略4時半の位置でニップローラ16に巻き掛けられて、ニップローラ16により成形手段18へと搬送される。シート供給手段12より送り出されるシートWは、ニップローラ16の略10時半の位置で支持体Bを介してニップローラ16に巻き掛けられて、支持体Bとの積層体としてニップローラ16により成形手段18へと搬送される。
剥離手段22は、エンボスローラ14の周面上に巻き掛けられたシートWと支持体Bとの積層体を、回転するエンボスローラ14と剥離ローラ20とで挟みながら、エンボスローラ14から剥離させて剥離ローラ20に巻き掛ける手段である。シートWと支持体Bとの積層体のエンボスローラ14からの剥離は、12時の位置のエンボスローラ14と6時の位置の剥離ローラ20とでなされる。
支持体収納手段23は、剥離後の支持体Bを収納するもので、支持体Bを巻き取る巻き取りロール等より構成される。支持体収納手段23の下流側に設けられるシート収納手段24は、剥離後のシートWを収納するもので、シートWを巻き取る巻き取りロール等より構成される。
予備加熱手段26は、ニップローラ16の押圧箇所(12時の位置)の上流部分(略11時の位置)においてシートWを予備的に加熱するもので、エンボスローラ14の左方に設けられた集光ヒータよりなる。
支持体収納手段23とシート収納手段24との間には、シートWの搬送路を形成するガイドローラ30が設けられている。その他、必要に応じてシートW等の搬送中の弛みを吸収すべく、テンションローラ等を設けることもできる。
本発明に適用されるシートWとしては、加熱による転写形成がなされることより、熱可塑性樹脂が採用される。熱可塑性樹脂としては、公知の各種プラスチック、たとえば、炭化水素系プラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が、極性ビニル系プラスチックとして、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂等が、線状構造プラスチックとして、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート等が、セルロース系プラスチックとして、酢酸セルロース、セルロイドセロファン等が挙げられる。
シートWとして1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。たとえば、ベース材として、成形手段18において変形の少ない材質(たとえば、PET)を使用し、このベース材の表面に加熱による転写形成性のよいポリメチルメタクリレート等を形成した2層構成のものが採用できる。その他、3層以上の構成のものも採用できる。
但し、本発明においては、上記のような2層構成の場合、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgがベース材のガラス転移温度Tgよりも低いことが好ましい。さもないと、熱可塑性樹脂を加熱する際に、ベース材が変形してしまい、良好な製品が得られないからである。
シートWの幅としては、0. 1〜3mが、シートWの長さとしては、1000〜100000mが、シートWの厚さとしては、0. 5〜1000μmのものがそれぞれ一般的に採用される。但し、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
シートWとして、2層以上の構成を採用する場合、ベース材には、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。ベース材の表面粗さRaはカットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmが好ましい。また、ベース材には、あらかじめ接着層等の下地層を設け乾燥硬化させたもの、裏面に他の機能層があらかじめ形成されたもの、等を用いてもよい。
本発明に適用される支持体Bは、シートWの下面に配され、積層体として連続走行する際にシートWを支持する帯状可撓性のシートである。また、支持体Bは、シートWが予備加熱される際に、予備加熱の温度が高く、シート状体が変形(下に垂れ)しやすい状態となっても、シートWの変形を防止すべく設けられる。したがって、支持体Bには、所定の硬さ、耐熱性等を有することが求められる。支持体Bの硬さとしての縦弾性係数(ヤング率)は、小さ過ぎると、支持体Bの変形により、シートWのローラ成形加工が不十分となり、大き過ぎるとゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点を生じやすいことより、適宜の値とすることが好ましい。
このような支持体Bとしては、所定厚さのアルミニウム製のシート、ステンレス製のシート等のような金属製のシート、シートWよりも耐熱性のあるPETフィルム等のような樹脂シート等が使用できる。
支持体収納手段23において、支持体Bを巻き取る際に、支持体BとシートWとが剥離しやすいように、支持体Bの表面に離型処理を施すこともできる。このような離型処理としては、公知の各種方法、たとえば、フッ素樹脂によるコーティング処理が採用できる。
エンボスローラ14としては、シートWの表面に、ローラ表面の凹凸を転写形成できる、凹凸パターンの精度、機械的強度、耐熱性、真円度等を有することが求められる。このようなエンボスローラ14としては、金属製のローラが好ましい。
エンボスローラ14の外周面には、規則的な微細凹凸パターンが形成されている。このような規則的な微細凹凸パターンは、製品としての凹凸状シート(エンボスシート)表面の微細凹凸パターンを反転した形状であることが求められる。
製品としての凹凸状シート(エンボスシート)としては、微細凹凸パターンが二次元配列された、たとえばレンチキュラーレンズや、微細凹凸パターンが三次元配列された、たとえばフライアイレンズ、円錐、角錐等の微細な錐体をXY方向に敷きつめた平板レンズ等が対象となり、エンボスローラ14の外周面の規則的な微細凹凸パターンは、これに対応させる。
なお、エンボスローラ14の外周面の凹凸パターンは、所望の性能が得られるものであれば、規則的でないパターンとするものであってもよい。
エンボスローラ14の外周面の規則的な微細凹凸パターンの形成方法としては、エンボスローラ14の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で直接凹凸を形成する方法が採用でき、また、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で凹凸を形成し、この板状体をローラの周囲に巻き付け固定し、エンボスローラ14とする方法が採用できる。その他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を作成し、この板状体をローラの周囲に巻き付け固定し、エンボスローラ14とする方法も採用できる。特に反転型を電鋳等により形成する場合には、1つの原盤(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られるという特長がある。
エンボスローラ14の内部には、エンボスローラ14全体の温度を所定の温度に維持できるような加熱手段を組み込むことが好ましい。このような加熱手段を組み込むことにより、シートWの表面に、エンボスローラ14の表面の凹凸を精度良く転写形成できる。
加熱手段としては、エンボスローラ14の内部に空洞部を設け、この空洞部に熱媒を流す構成が採用できる。たとえば、エンボスローラ14の軸の両端にロータリージョイントを設け、一方のロータリージョイントより空洞部に熱媒を供給し、他方のロータリージョイントより空洞部からの熱媒を排出する構成が採用できる。また、エンボスローラ14の内部にシースヒータを埋め込み、このシースヒータにスリップリング等を介して給電を行う構成も採用できる。
エンボスローラ14の内部には、上記の加熱手段以外に、剥離手段22におけるエンボスローラ14の温度を積極的に下げるべく、冷却手段を設けることもできる。具体的には、エンボスローラ14内部に空洞部を設け、この空洞部に冷却水等を流す構成等が採用できる。
エンボスローラ14の表面には、離型処理を施すことが好ましい。このように、エンボスローラ14の表面に離型処理を施すことにより、微細凹凸パターンの形状が良好に維持できる。離型処理としては、公知の各種方法、たとえば、フッ素樹脂によるコーティング処理が採用できる。
ニップローラ16は、エンボスローラ14と対になってシートWを押圧しながらローラ成形加工するもので、所定の機械的強度、耐熱性、真円度等を有することが求められる。ニップローラ16表面の縦弾性係数(ヤング率)は、小さ過ぎるとローラ成形加工が不十分となり、大き過ぎるとゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点を生じやすいことより、適宜の値とすることが好ましい。
また、ローラ成形加工する際の、エンボスローラ14によるシートWの加熱を補助すべく、ニップローラ16内部に加熱手段を設ける態様も採用できる。更に、剥離手段22におけるエンボスローラ14の温度を、所定温度以下に維持できるように、エンボスローラ14の全体温度をローラ成形可能温度より低く設定し、ニップローラ16の温度をこれよりも高く設定し、エンボスローラ14の加熱温度とニップローラ16の加熱温度とを併せてローラ成形加工する態様も採用できる。
ニップローラ16の加熱手段としては、エンボスローラ14の加熱手段と同様に、ニップローラ16の内部に空洞部を設け、この空洞部に熱媒を流す構成が採用できる。たとえば、ニップローラ16の軸の両端にロータリージョイントを設け、一方のロータリージョイントより空洞部に熱媒を供給し、他方のロータリージョイントより空洞部からの熱媒を排出する構成が採用できる。また、ニップローラ16の内部にシースヒータを埋め込み、このシースヒータにスリップリング等を介して給電を行う構成も採用できる。
集光ヒータよりなる予備加熱手段26は、光照射によりシートWの加熱を行うもので、シートWの全幅にわたって均一に加熱できることが好ましい。このような集光ヒータの構成として、たとえば、エンボスローラ14と平行に配される棒状の赤外線ランプと、この赤外線ランプの背面に配される反射板よりなるものが採用できる。
予備加熱手段26によるシートWの予備加熱温度は、エンボスローラ14及びニップローラ16の設定温度、製造速度(エンボスローラ14の周速度)、シートWの材質、エンボスシート表面の凹凸パターン等に応じて適宜の値が採用できる。
剥離ローラ20は、エンボスローラ14と対になってエンボスローラ14からシートWと支持体Bとの積層体を剥離させるもので、所定の機械的強度、耐熱性、真円度等を有することが求められる。剥離手段22において、エンボスローラ14の周面上に巻き掛けられた積層体を回転するエンボスローラ14と剥離ローラ20とで挟みながら、積層体をエンボスローラ14から剥離させて剥離ローラ20に巻き掛ける。この動作を確実にすべく、剥離ローラ20には駆動手段が設けられていることが好ましい。
なお、剥離時にシートWを冷却させて剥離を確実にすべく、剥離ローラ20に冷却手段を設ける構成も採用できる。
なお、図示は省略したが、エンボスローラ14の押圧箇所(6時の位置)から剥離箇所(12時の位置)までの間に複数のバックアップローラを対向して設け、この複数のバックアップローラとエンボスローラ14とでシートWを押圧しながら熱処理を行う構成も採用できる。この場合、前半部分においては、バックアップローラに加熱手段を設けてシートWを転写時の温度に近く維持し、転写精度の向上を図り、後半部分においては、バックアップローラに冷却手段を設けてシートWを剥離時の温度に近く維持し、剥離性の向上を図ることができる。
同様に、図示は省略したが、エンボスローラ14の押圧箇所(6時の位置)から剥離箇所(12時の位置)までの間におけるシートW及びエンボスローラ14を冷却すべく、エアブロー等による冷却手段を設ける構成も採用できる。このような冷却手段を設けることにより、剥離手段22におけるシートWの剥離が良好に行える。
次に、エンボスシートの製造装置10の作用について説明する。
支持体供給手段13より、一定速度で支持体Bを送り出す。また、シート供給手段12より、一定速度でシートWを送り出す。支持体Bの上面にシートWが積層された積層体は、エンボスローラ14とニップローラ16からなる成形手段18へ送り込まれる。
ニップローラ16の押圧箇所(12時の位置)の上流部分(略11時の位置)におけるシートWは、集光ヒータよりなる予備加熱手段26により局所的に加熱される。そして、成形手段18において、連続走行する、シートWと支持体Bとの積層体を、回転するエンボスローラ14とニップローラ16とで押圧しながらローラ成形加工がなされる。このように、ローラ成形加工の直前に、集光ヒータにより予備加熱が行われるので、ロスが少なく成形加工が行える。
この際、エンボスローラ14の加熱温度を高くし過ぎると、シートWをエンボスローラ14から剥離するのが困難となりやすい。一方、エンボスローラ14の加熱温度を低くして転写を行った場合、転写の直後では転写精度が良好でも、シート状体中に残留応力が発生し、これにより以後の熱処理等により転写精度が低下してしまう問題点もある。
したがって、シートWの材質、送り速度等に応じた適切な転写形成温度を選択する必要がある。この際、横軸にシートWの材料の温度を、縦軸にシートWの材料の応力緩和時間をとり、シートWの材料を評価した測定値をプロットした応力緩和曲線を求めて、適切な転写形成温度を選択することが好ましい。
成形手段18を通過した積層体は、エンボスローラ14に巻き掛けられながら反時計方向に搬送され、剥離手段22に送られる。この際、シートWの表面温度は、図示しない冷却手段の作用、放冷等により転写形成温度より低下していく。剥離手段22において、エンボスローラ14と剥離ローラ20とで積層体を挟みながら、エンボスローラ14から積層体を剥離させて、剥離ローラ20に巻き掛ける。
剥離された積層体は、支持体収納手段23に搬送され、積層体の下側の支持体Bが支持体収納手段23の巻き取りロールにより巻き取られ、収納される。
そして、支持体Bから分離されたシートWは、シート収納手段24に搬送され、シート収納手段24の巻き取りロールにより巻き取られ、収納される。
なお、既述したように、エンボスローラ14の押圧箇所(成形手段18)から剥離箇所(剥離手段22)までの間に複数のバックアップローラを対向して設け、この複数のバックアップローラとエンボスローラ14とでシートWを押圧しながら熱処理を行うこともできる。
次に、本発明の他の実施態様について説明する。図2は、本発明に適用されるエンボスシートの製造装置の他の構成を示す説明図である。このエンボスシートの製造装置100において、図1の構成と同一、類似の部材については、同一の番号等を附し、その説明を省略する。
このエンボスシートの製造装置100においては、図1の構成のエンボスシートの製造装置10の、支持体供給手段13より支持体Bを送り出し、支持体収納手段23へ支持体Bを収納する構成に代えて、エンドレスベルトB’を循環移送する支持体移送手段33が採用されている。エンドレスベルトB’としては、支持体Bと同様の、所定厚さのアルミニウム製のシート、ステンレス製のシート等のような金属製のシート、シートWよりも耐熱性のあるPETフィルム等のような樹脂シート等が使用できる。なお、シート等をつないでエンドレスベルトB’とする場合には、継ぎ目部分に段差を生じないようにすることが好ましい。
エンボスシートの製造装置100において、エンドレスベルトB’は、ニップローラ16と、剥離ローラ20と、ガイドローラ32に内面が巻き掛けられて、矢印で示される反時計方向に搬送される。また、エンドレスベルトB’は6時の位置から12時の位置までにおいて、シートWと積層された状態で、エンボスローラ14に巻き掛けられている。
エンドレスベルトB’は、剥離手段22において、シートWと積層された状態で剥離ローラ20に巻き掛けられ、矢印で示される方向に搬送され、ガイドローラ32と第2剥離ローラ34とが対向する位置において、シートWと分離される。すなわち、エンドレスベルトB’は、ガイドローラ32に巻き掛けられ、循環移送され、シートWは、第2剥離ローラ34に巻き掛けられ、シート収納手段24へ向けて搬送される。
以上、本発明に係る凹凸状シートの製造方法及び製造装置の各実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態では、ローラ状のエンボスローラ14を使用する態様を採用したが、エンドレスベルト等のベルト状体の表面に凹凸パターン(エンボス形状)が形成されたものを使用する態様も採用できる。このようなベルト状体であっても、円柱状のローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
また、予備加熱手段26として、集光ヒータを採用したが、これ以外に、赤外線ヒータ、ハロゲンヒータ、熱風発生手段等の各種の加熱手段が採用できる。
更に、本実施形態の例においては、シートWを、回転するエンボスローラ14とニップローラ16とで押圧しながらローラ成形加工する例について説明したが、この技術を押し出し成形法、溶融製膜法、押し出しラミネート法等に採用することもできる。
次に、本発明の実施例を、比較例と対比して説明する。本発明の実施例として、図1に示される構成のエンボスシートの製造装置10を使用してエンボスシートの製造を行った。比較例として、図3に示される構成のエンボスシートの製造装置10’を使用してエンボスシートの製造を行った。
比較例で使用したエンボスシートの製造装置10’は、支持体Bを使用せず、また、予備加熱手段26が設けられていない点で、実施例のエンボスシートの製造装置10と相違する。すなわち、エンボスシートの製造装置10’は、シートWを送り出すシート供給手段12と、連続走行するシートWを、回転するエンボスローラ14とニップローラ16とで押圧しながらローラ成形加工する成形手段18と、シートWをエンボスローラ14から剥離する剥離手段22と、剥離後のシートWを収納するシート収納手段24と、を備える装置である。なお、図1の装置と同一、類似の部材には同一の符号を附し、その説明を省略する。
支持体Bとして、厚さ200μmのアルミニウムのシートを使用した。この支持体BのシートWと接する表面には、予め離型剤をコートしてある。
シートWとして、厚さ200μmのアクリル(ポリメチルメタクリレート)のフィルムを使用した。
エンボスローラ14として、直径が200mmのS45C製のローラを使用した。ローラの表面の略全面に、ローラ軸方向のピッチが50μmの溝を形成した。溝の断面形状は、頂角が90度の三角形状で、溝の底部も平坦部分のない90度の三角形状である。すなわち、溝幅は50μmであり、溝深さは約35μmである。この溝は、ローラの周方向に継ぎ目がないエンドレスとなるので、このエンボスローラ14により、シートWに断面が三角形のレンチキュラーレンズが形成できる。ローラの表面には、溝加工後にニッケルメッキを施した。
以下、実施例について説明する。
エンボスローラ14の温度は、6時の位置においてローラ表面が140°Cになるように制御した。
予備加熱手段26により、成形手段18の10mm上流部分のシートWを加熱した。これにより、シートWの搬送速度(エンボスローラ14の周速度)が1.5m/分の条件で、シートWが220°Cに加熱された。
ニップローラ16として、直径が200mmで、表面にゴム硬度が90のシリコンゴムの層を形成したローラを使用した。エンボスローラ14とニップローラ16とでシートWを押圧するニップ圧(実効のニップ圧)は、1.47×107 Pa(150kg/cm2 )とした。
シートWの送り速度(エンボスローラ14の回転数)を変化させて、エンボスシートの製造を行った。このエンボスシートの評価を行い、エンボス形状の転写率が略100%であり、かつ剥離が良好に行えるシートWの送り速度を見たところ、最大で1.5m/分であった。
なお、エンボス形状の転写率の評価は、凹凸パターンが形成されたシートWを切断し、凹凸パターンの複数箇所における断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)により測定することにより行った。
このエンボスシートをオーブンに入れ、100°Cで10時間の熱処理を施した。そして、再度エンボス形状の転写率の評価したところ、転写率は80%であった。
次に、比較例について説明する。
エンボスローラ14の全体の温度は、ローラ表面が140°Cになるように制御した。ニップローラ16の構成は、実施例と同一であり、ニップ圧(実効のニップ圧)も、実施例と同一の1.47×107 Pa(150kg/cm2 )とした。
シートWの送り速度(エンボスローラ14の回転数)を変化させて、エンボスシートの製造を行った。このエンボスシートの評価を行い、エンボス形状の転写率が略100%であり、かつ剥離が良好に行えるシートWの送り速度を見たところ、最大で0.5m/分であった。
なお、エンボス形状の転写率の評価も実施例と同一とした。
このエンボスシートをオーブンに入れ、100°Cで10時間の熱処理を施した。そして、再度エンボス形状の転写率の評価したところ、転写率は50%であった。すなわち、比較例では、残留応力により、熱処理を経て、転写率が低下した。
以上の結果より、本発明の効果が確認できた。
10…エンボスシートの製造装置(実施例)、10’…エンボスシートの製造装置(比較例)、12…シート供給手段、13…支持体供給手段、14…エンボスローラ、16…ニップローラ、18…成形手段、20…剥離ローラ、22…剥離手段、23…支持体収納手段、24…シート収納手段、26…予備加熱手段、B…支持体、W…シート
Claims (7)
- シート状体と該シート状体の下面に配される帯状可撓性の支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながら前記凹凸ローラ表面の凹凸を前記シート状体の表面に転写形成する凹凸状シートの製造方法において、
前記凹凸ローラの前記押圧箇所の上流部分において、前記シート状体を加熱することを特徴とする凹凸状シートの製造方法。 - 前記加熱が集光ヒータによる請求項1に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記転写形成によるシート状体表面の凹凸高さを、前記凹凸ローラ表面の凹凸高さの90%以上とする請求項1又は2に記載の凹凸状シートの製造方法。
- シート状体を送り出すシート状体供給手段と、
帯状可撓性の支持体を送り出す支持体供給手段と、
前記シート状体と該シート状体の下面に配される前記支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながら前記シート状体をローラ成形加工する成形手段と、
前記成形手段の前記押圧箇所の上流部分において、前記シート状体を加熱する加熱手段と、
を備えたことを特徴とする凹凸状シートの製造装置。 - 前記積層体を前記凹凸ローラから剥離する剥離手段と、
剥離後の前記支持体を収納する支持体収納手段と、
剥離後の前記シート状体を収納するシート状体収納手段と、
を備えた請求項4に記載の凹凸状シートの製造装置。 - シート状体を送り出すシート状体供給手段と、
エンドレスベルトである帯状可撓性の支持体を循環移送する支持体移送手段と、
前記シート状体と該シート状体の下面に配される前記支持体との積層体を連続走行させて、回転する凹凸ローラとニップローラとで押圧しながら前記シート状体をローラ成形加工する成形手段と、
前記積層体を前記凹凸ローラから剥離する剥離手段と、
前記成形手段の前記押圧箇所の上流部分において、前記シート状体を加熱する加熱手段と、
を備えたことを特徴とする凹凸状シートの製造装置。 - 前記加熱手段が、前記成形手段の近傍に設けられた集光ヒータである請求項4〜6のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造装置。
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