JP2016122048A - 中間転写装置及びこれを用いる画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小サイズ紙で長期通紙後に大サイズ紙で通紙した際でも縦スジ異常画像が発生しない中間転写装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像が中間転写される中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置36とを備える中間転写ユニット30において、上記中間転写ベルト31は少なくとも基層11、弾性層12、表層13を備え、表層13は、潤滑剤供給装置36が供給される潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤が熱融解されて形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写装置及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
電子写真方式のカラー画像形成装置においては、複数の色成分のトナー画像を像担持体に形成し、そのトナー画像を中間転写体上に一次転写して色重ねトナー画像を形成し、二次転写によって用紙に一括転写する中間転写方式が知られている。
上記中間転写体としては、基層、弾性層、表層の3層構成のものが各種提案されている。基層には、連続使用による伸びなどの変形が少ない、高弾性率で高耐熱性樹脂を用い、弾性層には、転写圧力を低減でき、用紙の凹凸への追従性を向上させることができる低弾性率の材料が用いられる。表層には、中間転写体の表面に耐摩耗性や表面離型性を付与する材料が用いられる。
一方、中間転写体を用いる中間転写装置においては、中間転写体の最表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が設置されているものが各種提案されている。中間転写体の最表面に潤滑剤を供給することにより、中間転写体の最表面の摩擦係数を低減させ、中間転写体の耐久性やクリーニング部材によるクリーニング能力の向上を図っている。
特許文献1には、基層と、弾性層と、樹脂微粒子からなる一様な凹凸形状を有する微粒子層に、樹脂微粒子よりも小粒径で材質の異なる微粒子とステアリン酸などの潤滑剤とを含む表層を備えた中間転写体が提案されている。表層を形成する際には、ステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を粉体状にして塗布するか、若しくは塗布した後所定の圧力と必要に応じて加温することにより成膜化する例が記載されている。また、中間転写体の表層に用いられる材料の潤滑剤と同じ材料となるステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を塗布する潤滑剤供給装置の例が記載されている。
中間転写方式では、中間転写体上のトナー画像が用紙に一括転写される二次転写部において、用紙の先端のエッジ部分が中間転写体の表面に突き当たることになる。そのため、長期に亘る通紙により、中間転写体の表面に用紙のエッジ部によって傷が付いてしまうことが避けられなかった。その結果、中間転写体の表面に傷が付いた後、この傷よりも幅の広い用紙を通紙すると(例えばA4縦サイズの用紙で連続長期通紙後に、A3サイズの用紙を通紙すると)、その傷が縦スジなどの異常画像となって現れてしまっていた。
従来の中間転写装置に設置される潤滑剤供給装置は、中間転写ベルトの最表面に用いられる材料とは異なる材料となる潤滑剤を最表面に供給するものが一般的であった。この構成では、中間転写体の表面にできた傷に潤滑剤が付着しにくく、潤滑剤の付着ムラが発生してしまい、上述したように、縦スジなどの異常画像が現れるのを抑制することが難しい。
特許文献1では、潤滑剤供給装置によって中間転写体の表層に用いられる潤滑剤の種類と同じ種類の潤滑剤が供給される例が記載されている。しかし、用紙のエッジ部によって、最表面に凹凸形状となって存在する微粒子が脱落しやすく、表層の微粒子が脱落してしまうと、微粒子がない場所に転写電流が過剰に流れてしまう。そのため、潤滑剤供給装置により供給される潤滑剤の有無に関係なく、やはり縦スジなどの異常画像が現れてしまう。なお、微粒子層上に潤滑剤が供給されることによって、最表面が平滑化されることも考えられるが、用紙エッジ部により繰り返し突かれることにより最終的に微粒子が脱落しやすくなってしまう。
上述した課題を解決するため、本発明は、像が中間転写される中間転写体と、中間転写体表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段とを備える中間転写装置において、上記中間転写体は少なくとも基層、弾性層、表層を備え、該表層は、上記潤滑剤供給手段が供給される潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤が熱融解されて形成されている。
本発明は、小サイズ紙で長期通紙後に大サイズ紙で通紙した際でも縦スジ異常画像が発生しない中間転写装置及びこれを用いた画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。
本実施形態に係る中間転写ベルトの層構成を示す断面図。 同中間転写ベルトの表層を作製する方法を説明する模式図。 本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図。 本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図。
以下、本発明を適用した中間転写体たる中間転写ベルトの一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る中間転写ベルトの層構成を示す断面図である。図1に示すように、中間転写ベルト10は、比較的屈曲性が得られる高弾性率(剛性)な材料よりなる基層11の上に、低弾性率(柔軟性)な弾性層12が積層されており、さらにその上に潤滑剤が熱融解されて形成された表層13が積層されている。
<基層>
まず、中間転写ベルト10の基層11について説明する。基層11の構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂等が好ましい。機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。本実施形態で用いるポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手し使用することができる。
上記基層11には、抵抗値が、表面抵抗率で1×10〜1×1013Ω/□、体積抵抗率で1×10〜1×1011Ω・cmとなるように電気抵抗調整材を含有させるのが好ましい。電気抵抗調整材は、機械強度の面から、膜が脆く割れやすくならない程度の添加量で上記数値を達成できるものを選択する。樹脂成分と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗率及び体積抵抗率)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
上記電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。なお、本実施形態に係る基層11に用いられる電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
上記電気抵抗調整材の含有量としては、金属酸化物の場合は、塗工液中の全固形分の1〜50質量%、好ましくは10〜30質量%である。カーボンブラックの含有量としては、塗工液中の全固形分の10〜25質量%、好ましくは15〜20質量%である。また、含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと抵抗値の均一性が得られにくくなり、任意の電位に対する抵抗値の変動が大きくなる。また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルト10の機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
また、上記基層11は、少なくとも樹脂成分を含む塗工液に必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
上記基層11の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm〜150μmが好ましく、40μm〜120μmがより好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。基層11の厚みが、30μm以上であることにより、亀裂によりベルトが裂けることがなく、150μm以下であることにより曲げによってベルトが割れることがない。一方、基層11の厚みが前記特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。
基層11の厚みを測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
<弾性層>
次に基層11上に積層する弾性層12について説明する。弾性層12の構成材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を発現するに充分な柔軟性を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのがよい。
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択する。特に、表面性状に凹凸のあるレザック紙のような転写媒体となる用紙の表面状態に追従させるためには、できるだけ柔らかいものを選択する方が好ましく、後述する表層との接着性の点から熱硬化性のゴムがさらに好ましい。
弾性層12は、上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行なって形成する。
電気特性を調整するための抵抗調整剤としては、前述した各種材料が適用できるが、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、これらの併用でも構わない。弾性層12の抵抗値としては、表面抵抗で1×10〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×10〜1×1011Ω・cmとなるように調整されることが好ましい。
弾性層12の膜厚としては、300〜600μmが好ましい。膜厚が薄いと、用紙の表面性状への追従性や転写圧力低減効果が低く好ましくない。厚すぎると、膜の重さが重くなりたわみやすくなり走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりするため好ましくない。弾性層12の硬度としてはマイクロゴム硬度60以下が好ましい。マイクロゴム硬度は高分子計器のMD−1により測定できる。
<表層>
次に弾性層12上に積層する表層13について説明する。表層13は、潤滑剤が熱融解されて形成されている。なお、ここでいう「熱融解」とは、固体の潤滑剤の融点まで加熱し液体にすることをいう。熱融解された潤滑剤により形成される表層13は、熱融解を経ずに形成された表層に比べ、耐摩耗性・耐擦傷性、接着性などの耐久性に優れ、傷ができにくい。また、熱融解により表層の最表面の平滑性が向上することから、トナー離型性(転写性・クリーニング性)に優れる。
上記潤滑剤の構成材料としては公知の種々のものを使用でき、後述するように潤滑剤供給装置に用いる潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤を用いる。具体例としては脂肪酸金属塩、フッ化ビニリデン、パラフィン、マイカ、タルク、カルナバ蝋、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミドなどが挙げられる。形態としてはオイル、ワックス、粉体などが挙げられるが、耐久性の点から粉体が好ましい。粉体の中でも比較的低温(100℃〜200℃未満)で融解する金属石鹸と呼ばれる脂肪酸金属塩がさらに好ましい。理由としては一般的に弾性層12で使用するゴムやエラストマーは200℃以上の耐熱性を持っていないため、表層13を形成(融解)させる際に200℃以上で加熱すると弾性層12が劣化してしまう。そのため、粉体の潤滑剤でも融点が高いグラファイト、二硫化モリブデン、PTFEなどの材料は使用しないほうが良い。
脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノシール酸などが挙げられ、金属としては、亜鉛、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムが挙げられる。これらの金属石鹸は固体(粉体)の潤滑剤となりやすく、基層12のゴムやエラストマーとの接着性も良い。これらの中でも特にトナー離型性に優れるステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛が最も好ましい。潤滑剤は1種類でも良いし、必要に応じて2種以上併用しても良い。
上記表層13の厚みとしては5μm以下が好ましい。表層13の厚みが5μmより厚いと、ローラ駆動時の中間転写ベルト10の屈曲などによって表層13のわれが発生してしまう。表層13の厚みは任意の点の断面カットを行い、走査型電子顕微鏡(SEM)により算出することができる。
<その他の層>
その他、表層13と弾性層12の接着性をさらに上げるため、必要に応じて中間層(接着層)としてプライマーなどを塗布しても良い。
<潤滑剤供給装置>
上記中間転写ベルトを備えた中間転写ユニットには、後述するように、中間転写ベルトの表面に、表層に用いられる潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置が設置されている。この潤滑剤供給装置によって中間転写ベルトの表層上に、表層と同じ材料からなる潤滑剤を供給することにより、中間転写ベルト表面の用紙エッジ部による傷部の有無にかかわらず、潤滑剤を均一に付着させることができ、付着ムラがおきにくい。
上記潤滑剤供給装置としては、特に制限無く、ブラシローラや、発泡体ローラを用いた従来公知の装置を使用できる。例えば、潤滑剤供給装置は、固形の潤滑剤と、中間転写ベルトに摺擦して潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ブラシと、潤滑剤を潤滑剤塗布ブラシに押圧する押圧機構とから主に構成されている装置を使用することができる。固形の潤滑剤は、押圧力付与機構からの押圧力により、潤滑剤塗布ブラシに接する。潤滑剤塗布ブラシは中間転写ベルトと線速差をもって回転して摺擦し、固形の潤滑剤を削り取るとともに、潤滑剤塗布ブラシの表面に削り取られて保持された粉体の潤滑剤を、中間転写ベルト表面に供給する。これにより、中間転写ベルトの表層上に潤滑剤が塗布される。
なお、上記潤滑剤供給装置は、中間転写ベルトの転写残トナーを除去するクリーニング装置よりもベルト移動方向上流側、下流側のいずれに設置してもよい。しかし、転写残トナーが除去された後の中間転写ベルト表面に潤滑剤を供給する方が、潤滑剤を均一に付着させることができ、後述するように、用紙のエッジ部による影響を受けにくいと考えられる。また、上記潤滑剤供給装置は、中間転写ベルトとの接離を行う接離機構を備え、通紙枚数などの各種条件に応じて、潤滑剤の供給のタイミングを制御するようにしてもよい。また、上記潤滑剤供給装置は、押圧力付与機構による圧調整や、潤滑剤塗布ブラシの回転時間、回転数により潤滑剤の供給量を調整する機構を備えていてもよい。
次に、上記中間転写ベルト10の作製方法の一例を説明する。まず、少なくとも樹脂成分を含む塗工液、例えばポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層11を製造する方法について説明する。
基層11は、円筒状支持体表面に、塗工液をノズルやディスペンサーによる螺旋塗工、広幅のダイによるダイ塗工、塗布ロールを用いたロール塗工などの既知の方法で塗工することができる。例えば、円筒状支持体として金属製の金型をゆっくりと回転させながら、塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延し、塗膜を形成する(螺旋塗工)。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移す。そして、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)を施し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行った後、充分に冷却する。
弾性層12は、射出成形、押し出し成形などにより基層11上に形成することも可能であるが、ここでは、柔軟なゴム材料を用い、基層11上に塗布形成する方法について説明する。少なくとも液状のゴム材料を含む塗布液を、基層11同様、円筒状の金型をゆっくりと回転させながら、ノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延し、塗膜を形成する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所望の時所定速度に達したら一定速度に維持し、回転を継続する。そして、十分にレベリングしたところで、所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ弾性層12を形成させる。
表層13は、基層12上に粉体の潤滑剤を付着させ、これを熱融解させて形成する。例えば、図2に示すように、基層11と弾性層12が積層された円筒状の金型14を回転させながら粉体塗布装置15から潤滑剤13aを弾性層12の表面に均一にまぶす。そして、弾性層12の表面にまぶされた潤滑剤を押し当て部材15より一定圧力(1mN/cm〜1000mN/cm)にて押し当て、弾性層12の表面に潤滑剤13aを付着させる。その後、塗布した潤滑剤の融点付近まで加熱した後、金型14から基層11ごと脱離させ、所望のシームレスベルト(中間転写ベルト10)を得る。表層13の厚みは押し当て部材の押し当て力により制御できる。
[画像形成装置]
上述した中間転写ベルト10は、像担持体上に形成される複数のトナー画像を中間転写体上に重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を転写媒体である用紙に一括して二次転写する、いわゆる中間転写方式の画像形成装置に好適に用いることができる。以下、図3及び図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。図3に示すように、この画像形成装置は、像担持体としての感光体200、書込光学ユニット、中間転写装置たる中間転写ユニット500、二次転写ユニット600、ベルト搬送装置210、定着装置270などを備えている。ドラム状の感光体200の周囲には、感光体クリーニング装置201、除電ランプ202、帯電チャージャ203、電位センサ204、リボルバ現像ユニット230、画像濃度センサ205、中間転写ユニット500などが配設されている。
上記書込光学ユニットは、スキャナなどからの画像情報に基づき、帯電チャージャ203によって一様に帯電された感光体200表面にレーザ光Lを照射して書き込みを行い、感光体200表面に静電潜像を形成する。この画像情報は、所望のフルカラー画像をブラック、シアン、マゼンタ、イエローの色情報に分解した単色の画像情報である。
上記リボルバ現像ユニット230は、ブラックトナーを用いる現像器231K、シアントナーを用いる現像器231C、マゼンタトナーを用いる現像器231M、イエロートナーを用いる現像器231Yを備えている。以下添字K、C、M、Yはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色をそれぞれ示す。また、リボルバ現像ユニット230は、所定の現像器231を感光体200に対向する現像位置に移動すべく、現像ユニット全体を回転させる現像リボルバ駆動部を備えている。
また、上記中間転写ユニット500は、中間転写体である中間転写ベルト501を備えている。この中間転写ベルト501は、一次転写ローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、二次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、一次転写ローラ507以外の各ローラは接地されている。一次転写ローラ507には、定電流又は定電圧制御された一次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流又は電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
上記中間転写ベルト501は、駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。この中間転写ベルト501は、感光体200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
二次転写ユニット600の二次転写ローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に用紙Pを挟持するように配設されており、二次転写部を形成している。二次転写ローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、接離機構によって接離可能に構成されている。二次転写対向ローラ510には、定電流制御される二次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。また、二次転写ローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。クリーニングブレード608は、二次転写ローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
また、上記中間転写ユニット500には、中間転写ベルト501をクリーニングするベルトクリーニングブレード503が設置されている。このベルトクリーニングブレード503の上記中間転写ベルト501の移動方向上流側には、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材502が設けられている。このトナーシール部材502は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード503から落下した落下トナーを受け止めて、落下トナーが上記用紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。なお、ベルトクリーニングブルエード503やトナーシール部材502は、離接機構により、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離可能に構成されている。
さらに、上記中間転写ユニット500には、ベルトクリーニングブレード503よりもベルト移動方向下流側に潤滑剤供給装置504が設置されている。この潤滑剤供給装置504は、固形潤滑剤506と、中間転写ベルト501に摺擦して固形潤滑剤506を塗布する潤滑剤塗布ブラシ505と、固形潤滑剤506を潤滑剤塗布ブラシ505に押圧する押圧機構とから主に構成されている。残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた固形潤滑剤506が粉体となって塗布される。ここで、潤滑剤供給装置504は、上述したように、中間転写ベルト501の表層に用いる潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤を用いている。上記潤滑剤供給装置504は、接離機構により、所定のタイミングで上記中間転写ベルト501のベルト外周面に対して潤滑剤塗布ブラシ505が接離されるようになっている。
また、中間転写ベルト501の外周面又は内周面には位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード503の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがある。その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている一次転写ローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
上記二次転写ユニット600の二次転写部よりも用紙Pの搬送方向上流側には、レジストローラ対610が配設されている。レジストローラ対610は、二次転写ローラ605と二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501との間の二次転写部に、所定のタイミングで用紙Pを送り込む。上記二次転写部よりも用紙Pの搬送方向下流側には、二次転写部を通過した用紙Pを搬送するベルト搬送装置210、用紙P上のトナー像を定着せしめる定着装置270が配設されている。
以上のように構成される画像形成装置においては、次のように画像形成が行われる。感光体200は、駆動モータによって矢印で示す反時計方向に回転される。感光体200上には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順にトナー像の形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、一次転写ローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順にトナー像が中間転写ベルト501上に重ね合わせて形成される。
例えば、上記ブラックトナー像形成は次のように行われる。まず、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。書込光学ユニットは、上記ベルトマーク検知信号に基づきタイミングを定め、画像情報に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、K静電潜像が形成される。この静電潜像に、現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたKトナーが接触する。これにより、感光体200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはKトナーが吸着し、静電潜像と相似なKトナー像が形成される。
このようにして感光体200上に形成されたブラックトナー像は、感光体200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に一次転写される。上記ベルト転写後の感光体200の表面は、感光体200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。この感光体200側では、ブラック画像形成工程の次にシアン画像形成工程に進み、書込光学ユニットは、画像情報に基づき、レーザ光による書き込みを行って、感光体200の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のK静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、現像器231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がシアントナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先の現像器231Kの場合と同様にリボルバ現像ユニット230の回転動作を行い、次の現像器231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれの画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のブラック、シアンの工程と同様であるので説明は省略する。
このようにして感光体200上に順次形成されたK、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像513が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、用紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ対610のニップで待機している。そして、二次転写部に上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、用紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ対610が駆動される。これにより、転写紙ガイド板601に沿って用紙Pが搬送され、用紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、用紙Pが二次転写部を通過すると、二次転写電源802によって二次転写ローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が用紙P上に一括転写(二次転写)される。この用紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、二次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる。そして、この用紙Pは、定着装置270の定着ローラ271、272のニップ部でトナー像が溶融定着された後、排出ローラで装置本体外に送り出され、コピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
一方、用紙Pにトナー像を二次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード503によってクリーニングされる。残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト501のベルト外周面に接触したベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。
ここで、リピートコピーの時は、スキャナの動作及び感光体200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(K)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面のベルトクリーニングブレード503でクリーニングされた領域に、2枚目のKトナー像が一次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像器231のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード503を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
上記実施形態では、感光体を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図4に示すように、複数の感光体を一つの中間転写ベルトに沿って直列に並設した画像形成装置にも適用できる。図4は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体21K、21M、21Y、21Cを備えた4ドラム型の画像形成装置の一構成例を示す構成図である。
この画像形成装置は、図4に示すように、画像形成ユニット20、中間転写装置たる中間転写ユニット30、紙搬送ユニット40、定着装置50などを備えている。画像形成ユニット20は、ブラック用、マゼンタ用、イエロー用、シアン用の各像坦持体であるドラム状の感光体21K、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体21としては、通常OPC感光体が用いられる。また、画像形成ユニット20には、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの各色の画像情報に基づき、レーザ光を照射して書き込みを行う画像書込部22を備えている。画像書込部22は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡などの偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系を備え、各色の画像情報に対応した4つの書込光路を有している。これにより、画像書込部22は、感光体21K、21M、21Y、21Cに各色の画像情報に応じた画像書込を行う。
また、上記画像形成ユニット20において、感光体21Kの周囲には、帯電装置22K、現像装置23K、一次転写ローラ24K、クリーニング装置25K、感光体除電装置などが配設されている。同様に、感光体21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置22M、22Y、22C、現像装置23M、23Y、23C、一次転写ローラ24M、24Y、24C、クリーニング装置25M、25Y、25C、感光体除電装置などが配設されている。なお、上記現像装置23K、23M、23Y、23Cには、二成分磁気ブラシ現像方式を用いている。
上記転写ユニット30は、複数のローラ32、33、34により張架されて図中矢印方向に回転駆動する中間転写体たる中間転写ベルト31を備えている。中間転写ユニット30は、感光体21K、21M、21C、21Yと所定の電圧が印加される一次転写ローラ24K、24M、24C、24Yとの間に中間転写ベルト31を挟み込んで一次転写部を形成する。また、中間転写ユニット30は二次転写バックアップローラ33と所定の電圧が印加される二次転写ローラ41の間に中間転写ベルト31を挟み込んで二次転写部を形成している。上記画像形成ユニット20で形成された感光体21K、21M、21Y、21C上のトナー像は、一次転写部で中間転写ベルト31に順次重ね合わされて転写される。中間転写ベルト31上に転写された4色重ね合わせトナー像は、二次転写部で用紙Pに一括転写されることになる。
さらに、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に残留する転写残トナーを除去するベルトクリーニング装置35や潤滑剤供給装置36も備えている。ベルトクリーニング装置35は、二次転写時に転写されずに中間転写ベルト31上に残った残留トナーを除去する。潤滑剤供給装置36は、固形潤滑剤37と、中間転写ベルト31に摺擦して固形潤滑剤を塗布する潤滑剤ブラシ38と、固形潤滑剤37を潤滑剤塗布ブラシ38に押圧する押圧機構とから主に構成されている。残留トナーが除去された中間転写ベルト31のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ38により削り取られた固形潤滑剤37が粉体となって塗布される。ここで、固形潤滑剤37は、上述したように、中間転写ベルト31の表層に用いられる潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤を用いている。中間転写ベルト31に供給される潤滑剤は、中間転写ベルト31のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。なお、潤滑剤塗布ブラシ38は、中間転写ベルト31に常時接触して、中間転写ベルト31に固形潤滑剤37を塗布している。
上記転写ユニット30の図中下方に配置される紙搬送ユニット40は、レジストローラ対42、二次転写ローラ41と定着装置50との間に掛け渡される無端状の紙搬送ベルト43を備えている。レジストローラ対42は、給紙部により供給された用紙Pをローラ間に挟み込み、中間転写ベルト31上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写部に送り出す。そして、紙搬送ユニット40は、二次転写部を通過してフルカラー画像が転写された用紙Pを定着装置50へと搬送する。
以上のように構成される画像形成ユニット20においては、次のように画像形成が行われる。例えばブラック用の画像形成ユニット20Kでは、帯電装置22Kにより一様に帯電された感光体21Kの表面に、画像書込部22で変調及び偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体21K上の静電潜像は、現像装置23Kで現像されてブラック色のトナー画像となる。中間転写ベルト31を挟んで一次転写ローラ24Kに対向する一次転写部では、感光体21K上のトナー像が用紙Pに転写される。トナー像が転写された後の感光体21Kの表面は、感光体クリーニング装置25Kでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
他の画像形成ユニット20M、20C、20Yについても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト31の移動に同期して実行される。一方、給紙部から給送された用紙Pは、レジストローラ対42により所定のタイミングで送出されて二次転写部に搬送される。そして、二次転写部でフルカラー画像が一括転写された用紙Pは、紙搬送ユニット40によって搬送されて定着装置50でトナー像が定着される。用紙Pの第一面だけに画像を形成する片面プリントモードの場合には、排紙ローラ対47のローラ間の排紙ニップに挟み込まれた用紙Pがそのまま機外に排出される。トナー像転写後の中間転写ベルト31は、ベルトクリーニング装置35により残留トナーが除去された後、潤滑剤供給装置36によって潤滑剤が塗布されて、画像形成ユニット20による再度の画像形成に備える。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものであってもよいことは言うまでもない。
[実施例1]
<基層の作製>
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)を用意した。これに、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して基層用塗工液Aを調製した。
次に、円筒状支持体として、外径340mm、長さ360mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金型を用意した。この金型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記基層用塗工液Aを金型の外周面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された金型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した後、十分に冷却した。
<弾性層の作製>
下記に示す各材料を混合し、2軸混練機を用いて十分に混練してゴム組成物を作製した。
・アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製ニポールAR12) 100重量部
・ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸つばき) 1重量部
・赤リン(燐化学工業株式会社製ノーバエクセル140F) 10重量部
・水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製ハイジライトH42M) 40重量部
・架橋剤(デュポンダウエラストマージャパン製 Diak.No1(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)) 0.6重量部
・架橋促進剤(Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70% 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ)) 0.6重量部
・カーボンブラック(コロンビアンカーボン社製 ConductexSC Ultra) 2重量部
上記のようにして得られたゴム組成物を下記配合にてメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶かして固形分30wt%のゴム溶液を作製した。配合は以下の比率とした。
・上記ゴム組成物 100重量部
・イオン導電剤(日本カーリット株式会社製 QAP−01) 0.3重量部
・シリコーン系界面活性剤(ビックケミー社製 BYK−066N) 0.2重量部
次に、上記ゴム溶液を、基層が形成された金型を回転させながら、基層上に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。塗布量としては弾性層の最終的な膜厚が400μmになるような液量の条件とした。その後、金型をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で90℃まで昇温して30分加熱した。続いて、昇温速度4℃/分で180℃まで昇温して60分加熱処理し、十分に冷却した。
<表層の作製>
図2に示す粉体塗布装置15を用いて、潤滑剤となるステアリン酸亜鉛(日油社製)粉体を、基層、弾性層が形成された金型を回転させながら、弾性層上にまんべんなく表面にまぶした。そして、これにポリウレタンゴムブレードからなる押し付け部材16を押し当てて固定化した。塗布量としては表層の最終的な膜厚が4μmとなるようにした。その後、金型を回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、160℃30分加熱(熱融解)して中間転写ベルトAを得た。
上記中間転写ベルトAを図3に示す画像形成装置であるimagioMPC7501(リコー)に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を入れた。
[実施例2]
中間転写ベルトの表層厚みが8μmとなるようにした以外は中間転写ベルトAと同様にして、中間転写ベルトBを得た。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトBを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を入れた。
[実施例3]
中間転写ベルトの表層材料をパルミチン酸亜鉛(三津和化学社製)に変えた以外は中間転写ベルトAと同様にして、中間転写ベルトCを得た。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトCを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるパルミチン酸亜鉛を入れた。
[実施例4]
中間転写ベルトの表層材料をフッ化ビニリデン(アルケマ社製、カイナー)に変え、加熱温度を180℃に変更した以外は中間転写ベルトAと同様にして、中間転写ベルトDを得た。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトDを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるフッ化ビニリデンを入れた。
[比較例1]
中間転写ベルトの表層を加熱処理しなかったこと以外は中間転写ベルトAと同様にして、中間転写ベルトEを得た。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトEを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を入れた。
[比較例2]
中間転写ベルトの弾性層を積層しなかったこと以外は中間転写ベルトAと同様にして、中間転写ベルトFを得た。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトCを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を入れた。
[比較例3]
中間転写ベルトの基層、弾性層は、中間転写ベルトAと同様の方法で作製した。表層は以下のように作製した。
<表層用塗工液の作製>
トリフルオロエチレン−ヒドロキシル基含有ビニルエーテルの共重合体(旭硝子社製、ルミフロンLF200)をメチルエチルケトン中に溶解させた。そして、この溶液にヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(旭化成ケミカル社製、デュラネートTPA−B80E)を入れてNCO/OH当量比が1.05、液固形分が5%となるように調整し、表層塗工液Gを作製した。
次に上記表層塗工液Gを、基層、弾性層が形成された金型を回転させながら、弾性層上にスプレー塗工で塗工した。塗布量としては最終的な表層厚みが4μmになるような液量の条件とした。その後、表層塗工液Gが塗工された金型をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で150℃まで昇温して30分加熱処理し、中間転写ベルトGを得た。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトGを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるポリフッ化ビニルエーテルを入れた。
[比較例4]
基層、弾性層は中間転写ベルトAと同様の方法で作製した。その後、シリコーン球形樹脂粒子(体積平均粒子系2μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、トスパール120)を図2の方法を用いて弾性層表面に埋め込んだ。次いで、ステアリン酸亜鉛を図2の方法で塗布して中間転写ベルトHを得た。このときのステアリン酸亜鉛の厚みは0.8μmであり、シリコーン球形微粒子が一部表面に出ている状態であった。そして、実施例1と同様にして、中間転写ベルトHを画像形成装置に搭載した。このとき、潤滑剤供給装置には、中間転写ベルトの表層に使用した材料と同じ潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を入れた。
[比較例5]
中間転写ベルトAを画像形成装置に搭載し、潤滑剤供給装置には中間転写ベルトの表層に用いた潤滑剤とは異なるフッ化ビニリデン(アルケマ社製、カイナー)を入れた。
そして、以下に示す2種類の評価を行った。その結果を表1に示す。
[凹凸紙への転写性評価]
転写紙として、表面に凹凸を施してある紙(レザック66 260kg紙)を用い、これに青色のベタ画像を出力する操作を実施した。ベタ画像観察の評価指標は、○がベタ濃度が均一で、△が凹部に濃度が薄い、×が凹部への転写が全くされていない、とした。
[用紙エッジ傷による縦スジ異常画像評価]
まず、A4用紙(TYPE6200紙)をA4縦方向でハーフトーン画像を連続5万枚出力した。その後、A3用紙(TYPE6200紙)でハーフトーン画像を10枚出力して、A4紙のエッジ傷による縦スジの異常画像がでていないかを目視で観察した。評価指標は、○が異常画像なし、△がうっすらと縦スジ画像が見えるが実使用可能レベル、×が使用不可、とした。
Figure 2016122048
表1の結果から、潤滑剤供給装置で供給される潤滑剤と同じ材料が熱溶融されて形成されている表層を備えた中間転写ベルトA、B、C、Dを用いた実施例1乃至実施例4では、凹凸が施してある用紙への転写性にも優れ、縦スジの異常画像の発生も少ない。特に、表層の構成材料が脂肪酸金属塩であるステアリン酸亜鉛やパルミチン酸亜鉛である実施例1、2、3では、フッ素樹脂を用いた実施例4に比べ、良好な結果が得られた。ただし、実施例2の凹凸転写性の結果からわかるように、表層の厚みが5μmを超えると、柔軟性が低下するため、ベルトの屈曲によって表層に微小な亀裂が生じ、凹凸が施してある紙への転写性が低下する。
これに対し、熱溶融されていない表層を備えた中間転写ベルトEを用いた比較例1では、加熱融解していないため表層と弾性層の接着性が悪く摩耗もしやすいため、用紙のエッジ部により弾性層に傷が付きやすくなってしまう。そのため潤滑剤供給装置により表層と同じ材料の潤滑剤を供給しても、弾性層の傷に由来する縦スジ画像が現れた。また、弾性層を持たない中間転写ベルトFを用いた比較例2では、用紙の表面性状への追従性や転写圧力低減効果がなく、凹凸が施してある紙への転写性が悪かった。ポリフッ化ビニルエーテルよりなる表層を備えた中間転写ベルトGを用いた比較例3では、表層のコーティングによりベルトの柔軟性が低下してしまったため、用紙の凹凸への追従性が下がってしまい、凹凸が施してある用紙への転写性が悪かった。
シリコーン球形微粒子とステアリン酸亜鉛からなる表層を備えた中間転写ベルトHを用いた比較例4では、用紙エッジ部によりシリコーン球形微粒子の脱落が見られ、縦スジ画像が現れた。また、中間転写ベルトAの表層に用いる潤滑剤と潤滑剤供給装置で用いる潤滑剤とが異なる比較例5では、用紙の凹部へのトナーの転写はされているが、供給される潤滑剤の中間転写ベルトへの付着性にムラがあった。そのため、場所により画像濃度ムラが多数見られ(表中△と記す)、用紙のエッジ部による傷が縦スジ画像となって現れた。
以上の結果からもわかるように、基層と弾性層と、潤滑剤供給装置で供給される潤滑剤と同じ材料が熱融解を経て形成されてなる表層とを備えた中間転写ベルトを用いた実施例では、用紙の種類によらず転写性に優れ、縦スジなどの異常画像を発生させない。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
像が中間転写される中間転写体10、中間転写ベルト31、501などの中間転写体と、中間転写体表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置36、504などの潤滑剤供給手段とを備える中間転写ユニット30、500などの中間転写装置において、上記中間転写体は少なくとも基層11などの基層、弾性層12などの弾性層、表層13などの表層を備え、該表層は、潤滑剤供給手段が供給される潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤が熱融解されて形成されている。
これによれば、上記実施形態で説明したように、中間転写体の表層は熱融解されて形成されているため、熱融解を経ずに形成される場合に比べ、耐摩耗性・耐擦傷性、接着性などの耐久性に優れ、傷ができにくい。ただし、長期使用によって用紙のエッジ部により傷ができることは完全に防止することは難しい。これに対し、潤滑剤供給装置は、中間転写体の表層で使用している材料と同じ潤滑剤を中間転写体の表面に塗布する。そのため、中間転写体表面に用紙のエッジ部による傷が生じたとしても、異なる材料の潤滑剤を供給する場合に比べ表層上にムラ無く潤滑剤を供給することができ、傷による影響を低減することができる。よって、小サイズ紙で長期通紙後に大サイズ紙で通紙した際でも縦スジなどの異常画像が発生することを抑制することができる。
(態様B)
(態様A)の中間転写装置において、上記潤滑剤は、脂肪酸金属塩である。
これによれば、上記実施形態で説明したように、脂肪酸金属塩は比較的低温で融解する。そのため、表層を熱融解させて形成しやすく、弾性層への影響が少なくてすむ。
(態様C)
(態様B)の中間転写装置において、上記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はパルミチン酸亜鉛である。
これによれば、上記実施形態で説明したように、ステアリン酸亜鉛やパルミチン酸亜鉛は、粉体の潤滑剤で供給しやすく、弾性層との接着性もよい。
(態様D)
(態様A)(態様B)又は(態様C)の中間転写装置において、上記中間転写体の表層の平均厚みは5μm以下である。
これによれば、上記実施形態で説明したように、中間転写体の屈曲によっても割れが生じにくく柔軟性に優れる。
(態様E)
(態様A)(態様B)(態様C)又は(態様D)の中間転写装置において、上記中間転写体は、無端ベルト状である。
これによれば、上記実施形態で説明したように、無端ベルト状の中間転写体は、比較的任意な形状に形成できる。これにより、中間転写体の周囲に配置される多色画像形成ユニットや各像担持体のレイアウトの自由度を向上させることができ、且つ、それらの設置スペースの周辺の無駄な空間をなくして装置の小型化を図ることができる。
(態様F)
感光体21、200などの像担持体と、像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像装置21、現像器231などの現像手段と、該像担持体上のトナー像を中間転写体を介して用紙Pなどの転写媒体に転写する中間転写装置とを備える画像形成装置において、上記中間転写装置として(態様A)(態様B)(態様C)(態様D)又は(態様E)の中間転写装置を用いる。
これによれば、上記実施形態で説明したように、縦スジ異常画像を永続的に発生させることなく使用することが可能となる。
(態様G)
(態様F)の画像形成装置において、互いに異なる色のトナー像が形成される複数の感光体21などの像担持体が中間転写ベルト31などの中間転写体の移動方向に沿って複数配設される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ひとつの像担持体に順次トナー像を形成して中間転写体に転写する転写方式に場合に比べ、画像形成速度が速い。
10、31、501 中間転写ベルト
11 基層
12 弾性層
13 表層
30、500 中間転写ユニット
36、504 潤滑剤供給装置
特開2011−248013号公報

Claims (7)

  1. 像が中間転写される中間転写体と、中間転写体表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段とを備える中間転写装置において、
    上記中間転写体は少なくとも基層、弾性層、表層を備え、
    該表層は、上記潤滑剤供給手段が供給される潤滑剤と同じ材料からなる潤滑剤が熱融解されて形成されていることを特徴とする中間転写装置。
  2. 請求項1の中間転写装置において、
    上記潤滑剤は、脂肪酸金属塩であることを特徴とする中間転写装置。
  3. 請求項2の中間転写装置において、
    上記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はパルミチン酸亜鉛であることを特徴とする中間転写装置。
  4. 請求項1、2又は3の中間転写装置において、
    上記中間転写体の表層の平均厚みは5μm以下であることを特徴とする中間転写装置。
  5. 請求項1、2、3又は4の中間転写装置において、
    上記中間転写体は、無端ベルト状であることを特徴とする中間転写装置。
  6. 像担持体と、像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、
    該像担持体上のトナー像を中間転写体を介して転写媒体に転写する中間転写装置とを備える画像形成装置において、
    上記中間転写装置として請求項1、2、3、4又は5の中間転写装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6の画像形成装置において、
    互いに異なる色のトナー像が形成される複数の像担持体が上記中間転写体の移動方向に沿って複数配設されることを特徴とする画像形成装置。
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