JP2001086958A - 高品質のエキスの製造方法 - Google Patents

高品質のエキスの製造方法

Info

Publication number
JP2001086958A
JP2001086958A JP26934299A JP26934299A JP2001086958A JP 2001086958 A JP2001086958 A JP 2001086958A JP 26934299 A JP26934299 A JP 26934299A JP 26934299 A JP26934299 A JP 26934299A JP 2001086958 A JP2001086958 A JP 2001086958A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
raw material
superheated steam
producing
products
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26934299A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Murakami
実 村上
Noriaki Kuroda
憲彰 黒田
Yutaka Kimura
豊 木村
Masayuki Mizuno
雅之 水野
Yohei Chiba
洋平 千葉
Yoshitake Natatsu
義剛 名達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JANIFU TEKKU KK
Tokai Bussan Co Ltd
Original Assignee
JANIFU TEKKU KK
Tokai Bussan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JANIFU TEKKU KK, Tokai Bussan Co Ltd filed Critical JANIFU TEKKU KK
Priority to JP26934299A priority Critical patent/JP2001086958A/ja
Publication of JP2001086958A publication Critical patent/JP2001086958A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Seasonings (AREA)
  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品質のエキスの製造方法を提供する。 【解決手段】 エキスの抽出及び味を阻害する成分及び
/又は嫌味(原因)成分を選択的に溶出させ、高効率で
高品質のエキスを製造する方法であって、原料組織の一
部を過熱水蒸気で選択的に焼成して原料を前処理した
後、エキス化処理してエキスを調製することを特徴とす
るエキスの製造方法、過熱水蒸気が、低圧過熱水蒸気で
あるエキスの製造方法、原料が、畜産物、魚介類又は農
産物から選択される1種以上の生鮮食品であるエキスの
製造方法、エキスが、チキンエキス又は野菜エキスであ
るエキスの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然原料から高品
質のエキスを製造する方法に関するものであり、さらに
詳しくは、原料組織の一部を過熱水蒸気で選択的に焼成
して前処理した原料を用いて、高効率で高品質のエキス
を製造する方法に関するものである。本発明は、特に、
天然原料由来の高機能性、呈味性、風味性等に優れた新
しいタイプの高品質のエキスを効率よく低コストで製造
する方法、その製品及びエキス原料の新しい前処理方法
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、天然原料由来のエキスは、例え
ば、チキンエキス等に代表されるように、簡単な前処理
をした原料をそのまま過剰の熱水で抽出処理して製造す
るのが一般的である。この場合、原料の前処理として
は、例えば、原料の洗浄、解凍、カッティング、粉砕等
の処理があり、また、一部において、予備加熱、加熱調
理等の処理がある。このうち、従来の原料の前処理とし
ての予備過熱、加熱(調理)は、通常の加熱手段で食材
を空気中で加熱する、いわゆる酸化的加熱(調理)であ
り、加熱過程で不可避的に食材の有用成分の酸化劣化、
さらには酸化分解等を伴い、食材の処理方法として功罪
相半ばするところがあり、その利用は一部の食材乃至製
品に限られることが必然であった。
【0003】即ち、従来の原料の前処理としの加熱(調
理)では、例えば、特に、有害な過酸化脂質、糖質の酸
化生成物のアルデヒド類と蛋白との縮合物(メイラード
反応生成物)、焦げ由来の発ガン化物質、等々の副生、
これらに付随する悪臭の発生や装置の頑固な汚れ(非生
産的コストアップの要因となる)、有用な天然抗酸化成
分の減少等が不可避であった。このために、原料の加熱
(調理)は、独特の香味、風味、呈味等を付与すること
を目的とした特殊な製品の場合に有効であるとしても、
エキス原料の前処理としては一般性を有するものではな
かった。即ち、エキス原料の前処理として、従来の加熱
(調理)手段は、一般的には、高品質のエキスの製造を
可能とする有効な手法にはなり得なかった。
【0004】ところで、最近、食品の新しい加工手段と
して、過熱水蒸気の利用が検討されている。この過熱水
蒸気には、高圧型と低圧型があるが、本発明者らの検討
したところによれば、例えば、コスト/パフォーマンス
等の観点から、通常の加熱調理には低圧過熱水蒸気が望
ましいと考えられる。この低圧過熱水蒸気(以下、SH
Sと記載することがある)は、水蒸気(気体)を、例え
ば、ガスバーナで常圧下で400℃程度に過熱、昇温さ
せるだけで簡便に得られる理想気体の一種であり、基本
的には、空気を大気圧下でガス加熱して高温にした加熱
空気と何ら変わるところがない。しかしながら、通常の
加熱空気とSHSとの違いは、例えば、前者の加熱空気
が酸化性であるのに対して、後者のSHSは還元性であ
ることであり、その還元力は、例えば、赤錆を完全に元
の鉄にまで還元できるほどであるが、後記するように、
本発明においては、この還元性の点がSHS利用の最大
の利点でもある。
【0005】この還元性の過熱水蒸気(SHS)は、本
発明者らの検討したところによれば、例えば、; ・放射伝熱があり、通常のガス加熱と同じ焼き上げが出
来る、 ・ガス加熱とは異なり食材の表面が硬化しない、 ・酸素をほとんど含まないために被加熱物の酸化が生起
しない、 ・乾燥が早く、蒸しと乾燥が同時的に起こり、且つポー
ラスに仕上がる、 ・伝熱が早く、熱回収が容易である、 ・連続的な処理が可能である、 ・食材の表面殺菌が可能である、 等々の優れた加工及び調理特性を有するのみならず、さ
らに、後記するように、当該SHSをエキス原料の前処
理に適用することにより、従来の加熱(調理)から予測
し得ない格別の作用効果が得られることがわかった。
【0006】近年、食品業界においては、本物志向、美
味志向、経済性志向、簡便性志向、健康志向、天然物志
向へとシフトする状況が続いており、これに対応して、
天然原料由来エキスに対する消費者の要望も、天然原料
本来の高機能性を備えた高品質のものへと傾斜して来て
いる。これらの動向に関連して、求められる味について
も、例えば、美味しく嫌味のない味及び美味しく飽きの
こない味、の二つにシフトする傾向にある。このうち、
特に、後者の典型がいわゆる“後をひく”味であり、特
に、香味調味料といわれる製品、例えば、香味野菜調味
料、香辛調味料、ロースト・クッキング調味料、天然フ
レーバー重視型調味料、特徴香味調味料等へのニーズが
増加する傾向にある。
【0007】さらに具体的に云えば、香味野菜調味料で
は、例えば、オニオン、ガーリック等の香味野菜のフレ
ッシュな風味とクッキング風味が、また、香辛調味料で
は、例えば、オニオン及びローストオニオンパウダー、
ガーリック及びローストガーリックパウダー等が、ま
た、ローストクッキング調味料では、例えば、ロースト
畜肉(チキン、ビーフ、ポーク)、ロースト野菜(オニ
オン、ガーリック)のエキス等が、また、天然フレーバ
ー重視型調味料では、例えば、オニオン、ガーリック、
醤油、チャーシュー、エビ、カニ等のオイル抽出物が、
そして、特徴香味調味料では、例えば、チキン、ビー
フ、ポーク、カツオ、カニ、エビ等の抽出エキスが、各
々製品化されている。
【0008】しかしながら、このような傾向があるにも
かかわらず、従来、天然エキスの原料はいわゆる“フレ
ッシュ”な原料が主流となっているが、その理由は、エ
キス原料の前処理として、例えば、フレッシュな原料を
ローストした場合、前述のような種々の問題点があるた
めであると考えられる。原料をロースト調理した場合、
旧来の空気加熱では、折角の天然エキスの品質が不可避
的に劣悪化する可能性が高い。即ち、旧来のロースト調
理法では、例えば、天然原料由来の生理活性成分(ビタ
ミン、抗酸化成分、不飽和脂質、色素等)の酸化変性乃
至酸化分解と有害生成物の発生、焦げや表面硬化の発生
とそれによるエキスの歩留の低下、オフフレーバー(嫌
味成分)のコンタミ等の問題があり、特殊な製品の場合
を除いて、高品質のエキスを製造することはほとんど期
待できないという問題があるからである。
【0009】このように、従来のフレッシュなエキス原
料(食材)の加熱(調理)加工は、天然原料の本来の高
機能性、生理活性等を発現する各種因子、抗酸化成分、
色素、各種ビタミン、ペプチド類、糖質、脂質等が酸化
変性乃至分解によって減衰するのみならず、場合によっ
ては、生体にとって好ましくない物質を副生する結果を
招く恐れが大きいという問題があり、そのような問題を
解決し得る新しいエキス加工技術の開発が強く求められ
ていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、いわゆる
“後をひく”天然原料由来の香味成分等の生成法を開発
することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、原料
を過熱水蒸気で前処理すること、そして、当該前処理を
施した原料を用いてエキスを製造することにより、従来
製品と本質的に別異の新しいタイプの高品質のエキスを
効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに
至った。本発明は、天然原料由来の高機能性を有し、呈
味性、風味性等に優れた新しいタイプの高品質のエキス
を効率よく低コストで製造する方法、及びその製品を提
供することを目的とするものである。また、本発明は、
エキス原料の前処理として有用な過熱水蒸気による新し
い焼成方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)原料として天然食材を使用し、エキスの抽出を阻
害する成分及び/又は嫌味(原因)成分を選択的に溶出
させ、高効率で高品質のエキスを製造する方法であっ
て、原料組織の一部を過熱水蒸気で選択的に焼成して原
料を前処理した後、エキス化処理してエキスを調製する
ことを特徴とするエキスの製造方法。 (2)過熱水蒸気が、低圧過熱水蒸気である前記(1)
に記載のエキスの製造方法。 (3)原料が、畜産物、魚介類又は農産物から選択され
る1種以上の生鮮食品である前記(1)に記載のエキス
の製造方法。 (4)エキスが、チキンエキス又は野菜エキスである前
記(1)に記載のエキスの製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明は、天然原料を用いて、高機能性、
呈味性、風味性等に優れた高品質の天然エキスを生産す
ることを課題とするものであり、具体的には、SHSに
よる処理をフレッシュなエキス原料の前処理に適用する
ことにより従来製品にない新しいタイプの高品質のエキ
スを製造することを実現化するものである。本発明は、
フレッシュなエキス原料を、過熱水蒸気で前処理するこ
とによって、香味成分等を高効率で選択的に引出し、こ
れによって、いわゆる“嫌味”を伴わない新しいタイプ
の高品質の香味エキスを創出することを可能とするもの
である。
【0013】上述したように、低圧過熱水蒸気(SH
S)は、例えば、還元性加熱である点が、従来の加熱空
気による調理と本質的に異なるが、本発明者らの研究に
より、さらに、本発明においてSHS焼成工程を原料の
前処理に採用することにより、高温空気(酸素)がもた
らすエキスの劣化要因を確実に回避することが出来るこ
と、さらに、エキスのスムースな抽出を阻害する脂質等
の成分及び/又は嫌味(原因)成分(オフフレーバー及
びその原因成分)を酸化させることなく溶出させること
が出来ること、表面をポーラスに焼成させることが可能
となること、そして、表面を焦がすことなく、約200
℃〜300℃で強熱することで耐熱性芽胞菌を著減させ
ることができること、等の作用効果が得られることがわ
かった。
【0014】SHS焼成の条件は、原料組織の一部を過
熱水蒸気で選択的に焼成するように、対象原料によって
最適条件が決められる。畜肉の場合、例えば、レアー、
ミデアム及びウエルダンに分けて焼成条件を設定するこ
とが出来る。温度は、例えば、100から400℃、時
間は3分から30分が好適である。具体的には、例え
ば、鶏モモ肉(200g)では約250℃で8分で焼成
が可能である。魚介類の場合、例えば、冷凍の鰆(25
〜35g)では約260℃7分、鯖フィレーでは約20
0℃7分、真鯛では約280℃8分、で各々焼成が可能
である。野菜の場合、ホーレン草では、例えば、170
℃で約30秒で焼成が可能である。
【0015】本発明のエキスとしては、チキンエキス、
野菜エキス等の適宜の天然エキスが挙げられるが、その
他、上述した、ロースト・クッキング調味料、香味野菜
調味料、香辛調味料、天然フレーバー重視型調味料、フ
レーバー等であっても良い。天然エキス原料としては、
畜肉(チキン、ビーフ、ポーク等)、野菜(オニオン、
ガーリック、カボチャ、アスパラガス、キャベツ、ニン
ジン、ホーレンソー等)、魚介類(鮭、ホタテ、エビ、
カニ、イカ、タコ、マグロ、カツオ、ウニ、タイ、シラ
ス、ウナギ、ウルメイワシ等)、海草(コンブ、ワカ
メ、ノリ等)、香辛料(胡椒、唐辛子、ハーブ類、コー
ヒー、カカオ等)を好適な例として挙げることが出来る
が、これらに制限されるものではない。エキスの形態と
しては、ストレート、低濃縮及び高濃縮タイプとそれら
の加塩タイプ、並びに粉末タイプ等が例示される。ま
た、フレーバーには、オイルフレーバー、アルコール抽
出液、超臨界抽出タイプ、そして香辛料パウダーには乾
燥タイプ及びローストタイプ等が例示される。
【0016】本発明においては、過熱水蒸気処理装置と
しては、低圧タイプ、例えば、(株)中国メンテナンス
製のSHS蒸焼機/焼成コンベアユニットKー5000
が好適なものとして例示される。この装置では、SHS
は、100℃(通常の飽和水蒸気と同じ)から400℃
までの範囲で加熱温度を連続又は段階的に、また、加熱
時間はコンベアーの速度で、各々調節することが出来
る。原料食材は、冷凍、生、調味済み、塩干等のいずれ
でも良いが、生又は冷凍が好ましい。冷凍食材の場合、
飽和水蒸気による加熱解凍から過熱水蒸気による焼成ま
で連続的に処理することが可能である。焼成条件は、原
料食材の種類、その形状、形態等に応じて最適化する必
要がある。一般的には、例えば、野菜類は約200℃以
下で、魚介類は約200℃以上で、畜肉は約200℃以
上で、焼成条件を設定し、また、時間は、数分から数十
分まで各々好適な条件を設定すれば良い。このような焼
成条件で焼成して前処理した食材は、常法に従って、熱
水抽出、粉砕、酵素分解、濃縮等のエキス化工程に付さ
れ所望のエキスとされる。この場合、エキス化工程とし
ては、原料の種類等に応じて適宜のエキス化手段が使用
される。
【0017】このような本発明の過熱水蒸気処理及びエ
キス化処理に好適な原料食材としては、特に、畜産物と
その加工品、魚介類、海草類及びそれらの加工品、野菜
等の農産物及びそれらの加工品、香辛料、コーヒー・コ
コア等が例示され、さらに具体的には、易酸化性成分含
有食材、例えば、畜産物では鶏肉及びその加工品、魚介
類では鮭、イワシ、サンマ、ホタテ、ワカメ、コンブ、
カニ、マグロ、カツオ及びその加工品、農産物ではニン
ジン、カボチャ、ピーマン、ブロッコリー、ホーレン草
などの緑黄色野菜や含硫成分を多く含むオニオン、ガー
リック、茸類、香辛料、ハーブ類、等が好適なものとし
て挙げられる。
【0018】以下に、本発明の方法により得られる利点
を示すが、以下の事項は、従来の通常の加熱(調理)か
らは予測し得ないものである。 1)高温・迅速・低酸素下で、天然食材の皮下組織まで
選択的に焼成することが出来る。 (1)エキス抽出効率を阻害する成分、酸化分解を受け
易くその分解生成物が嫌味原因になる成分(オフフレー
バー及びその原因成分)等を選択的に溶出させる。 (2)低酸素下での選択的なロースト化により食材の皮
下組織から誘導される嫌味成分(オフフレーバー)のコ
ンタミのない香味を発現させる。 (3)特に、畜産物、魚介類原料の場合、筋肉組織細胞
の加熱破壊を殆ど完全に抑制することが可能であり、鶏
肉等の旨味成分がドリップとして流失することがなく、
総合的な香味・呈味力の保持と歩留を大幅に改善する。 2)天然食材の組織及び有用成分破壊を最小限に留めた
焼成及び超高温瞬間表面殺菌を可能とする。 3)特に、畜産物、魚介類原料の場合、天然食材の皮下
脂肪組織の選択的な焼成とその脂肪留去により、抽出時
の焼成食材の均一加熱を実現化できる。 4)低酸素下(非酸化的)短時間超高温焼成は、従来の
焼成方法の弊害である食材の表面硬化が発生せず、ポー
ラスな焼き上げを可能とするために、エキス化効率が向
上する。
【0019】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、以下の実施例は本発明の好適な例を示すもの
であり、本発明は当該実施例によって何ら限定されるも
のではない。 実施例1 (1)鶏エキスの製造 本実施例では、原料組織の一部をSHSで選択的に焼成
して原料を前処理した成鶏中抜屠体を用いてチキンエキ
スを製造した。 (1)チキンエキスの製造 1kgの成鶏中抜屠体をSHS連続処理装置((株)中
国メンテナンス製)で、260℃で3分間焼成して、皮
下脂肪組織までの焼成とその脂肪を溶出させた焼成(レ
ア)屠体0.9kgを得た。これに3.9l加水して9
8〜100℃で5時間加熱抽出し、Bx°1.8の抽出
原液を調製し、さらにこれを65℃で濃縮してBx°1
0のチキンエキス0.64kg(58%収率)を得た。
上記SHS焼成工程において、かなりの脱油が認めら
れ、抽出原液から油分0.13kgが分離された。対照
として、1.2kgの成鶏中抜屠体に3.7l加水して
同一条件で加熱抽出し、Bx°1.7の抽出原液を同一
条件で濃縮してBx°10のエキス0.57kg(48
%収率)を得た。併せて、油分が0.23kg分離され
た。 (2)品質評価 得られたエキスの品質について評価試験を行った。これ
らのエキスの物質収支、及び官能評価等の結果を表1に
示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1の結果から、SHSにより原料を前処
理することにより、従来方法では得られない高品質のチ
キンエキスを製造できることが実証された。さらに、S
HS処理の対照として、市販ロースター(赤外線)を用
いて、260℃で同程度(レアー)まで焼成した成鶏中
抜屠体から同一条件で抽出処理してエキスを製造したと
ころ、このエキスは、焼成屠体の焦げと高熱下での酸化
分解生成物等に起因する苦味・嫌味や強度の着色や濁り
の発生のため、殆ど商品価値を有しないものであること
が明らかとなった。以上の結果を総合すると、SHS焼
成により前処理した原料を用いることにより、いわゆる
「美味しく、嫌味がなく、飽きのこない味」を有する高
品質のチキン丸鶏エキスが得られることが実証された。
【0022】実施例2 SHS焼成ホウレン草のエキス化処理 ホウレン草1kgをSHSで150℃60秒間処理した
後、凍結保存した。これを解凍して水洗後、その重量の
半分量の加水をしてミキサーで粉砕、混合してスラリー
化した。ペクチナーゼのセルロシンME(阪急バイオイ
ンダストリー(株)製)を3gを加えて、45℃2時間
酵素分解し、パルパー処理後に、80℃で15分間加熱
失活させ、固形分を5%に調整して、ホウレン草エキス
1.63kgを得た。対照として、凍結したホウレン草
1kgを解凍し、85℃で10分間ブランチングし、水
洗してエキス化に供し、5 %エキス0 .9 7kgを得
た。これらのエキスの物質収支、及び官能検査等の結果
を以下に表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】以上の結果から、SHSにより原料を前処
理することにより、エキスの風味、色調(特に、ホーレ
ン草の緑色の発色促進)及び歩留を顕著に改善できるこ
と、それによって、高品質の野菜エキスを製造できるこ
とが実証された。
【0025】実施例3 (1)魚介類エキスの製造 本実施例では、原料組織の一部をSHSで選択的に焼成
して原料を前処理した秋鮭を用いて魚介類エキスを製造
した。秋鮭セミドレス(頭、内臓、ヒレ、尾及びウロコ
を除去した)3.5kgを250℃で3分間SHSで焼
成した後、細断し、5kgの加水をして、80℃で20
分間加熱した。塩酸でpH4に調整し、プロテアーゼの
オリエンターゼ20A(阪急バイオインダストリー株式
会社製)10.5g(対原料0.3%)を加えて50℃
で4時間酵素分解した。得られた生成物を85℃で30
分間加熱し、酵素を失活させた後、珪藻土で濾過した。
濾液をロータリーエバポレーターで濃縮して1.8kg
の濃縮液を得た。この濃縮液に食塩350gを加えて秋
鮭エキス2.15kgを得た。対照として、秋鮭セミド
レス2.8kgをそのまま細断し、これに4.2kgの
加水をして、同一条件で処理して、1.8kgの秋鮭エ
キスを得た。 (2)品質評価 得られたエキスの品質について評価試験を行った。これ
らの分析値、及び官能評価の結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】以上の結果から、SHSにより原料を前処
理することにより、特に、味、風味に優れた高品質の魚
介類エキスを製造できることが実証された。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、エキス
の抽出を阻害する成分及び/又は嫌味(原因)成分を選
択的に溶出させ、高効率で高品質のエキスを製造する方
法であって、原料組織の一部を過熱水蒸気で選択的に焼
成して原料を前処理した後、エキス化処理してエキスを
調製することを特徴とするエキスの製造方法に係るもの
であり、本発明により、1)エキスの抽出の阻害成分及
び/又は嫌味(原因)成分を選択的に溶出させて、高効
率で高品質のエキスを製造することができる、2)従来
製品にない新しいタイプの高品質のエキスを提供するこ
とができる、3)エキス化の効率、歩留が向上し、低コ
ストで高品質のエキスを量産することができる、4)特
に、畜産物及び魚介類エキスでは、エキスの抽出の阻害
及び品質劣化の要因となる脂質等を酸化させることなく
選択的に溶出させることができるので、高品質エキスの
高効率生産が可能となる、5)SHS焼成工程をエキス
製造の一般的技術として利用することが可能となる、
6)天然原料の高機能性及び生理活性成分を破壊させる
ことなくそれらを有効に含有する高機能性エキスを提供
することができる、等の従来方法及び製品にはない格別
の効果が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 黒田 憲彰 北海道勇払郡早来町字富岡254番 東海物 産株式会社北海道工場内 (72)発明者 木村 豊 北海道勇払郡早来町字富岡254番 東海物 産株式会社北海道工場内 (72)発明者 水野 雅之 東京都千代田区神田神保町2丁目46番 株 式会社ジャニフ・テック内 (72)発明者 千葉 洋平 東京都千代田区神田神保町2丁目46番 株 式会社ジャニフ・テック内 (72)発明者 名達 義剛 東京都千代田区神田神保町2丁目46番 株 式会社ジャニフ・テック内 Fターム(参考) 4B016 LC01 LC02 LE05 LG05 LP02 LP05 4B042 AC01 AC03 AC09 AD39 AE08 AG02 AG03 AG07 AG12 AG51 AP04 AP15 AP27 AT05 4B047 LB03 LE01 LG39 LG50 LG54 LP01 LP05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料として天然食材を使用し、エキスの
    抽出を阻害する成分及び/又は嫌味(原因)成分を選択
    的に溶出させ、高効率で高品質のエキスを製造する方法
    であって、原料組織の一部を過熱水蒸気で選択的に焼成
    して原料を前処理した後、エキス化処理してエキスを調
    製することを特徴とするエキスの製造方法。
  2. 【請求項2】 過熱水蒸気が、低圧過熱水蒸気である請
    求項1に記載のエキスの製造方法。
  3. 【請求項3】 原料が、畜産物、魚介類又は農産物から
    選択される1種以上の生鮮食品である請求項1に記載の
    エキスの製造方法。
  4. 【請求項4】 エキスが、チキンエキス又は野菜エキス
    である請求項1に記載のエキスの製造方法。
JP26934299A 1999-09-22 1999-09-22 高品質のエキスの製造方法 Pending JP2001086958A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26934299A JP2001086958A (ja) 1999-09-22 1999-09-22 高品質のエキスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26934299A JP2001086958A (ja) 1999-09-22 1999-09-22 高品質のエキスの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001086958A true JP2001086958A (ja) 2001-04-03

Family

ID=17471052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26934299A Pending JP2001086958A (ja) 1999-09-22 1999-09-22 高品質のエキスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001086958A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005348728A (ja) * 2004-05-14 2005-12-22 Kyowa Hakko Foods Kk 畜肉エキスおよびその製造方法
JP2006042613A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 San Akuteisu:Kk 有害な重金属が除去された食品素材エキスの製造方法
JP2006262827A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Shoji Sakakawa 多獲性小型魚類加工品及びその製造方法
JP2006282847A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd キノコ由来の生理活性成分の取得方法
JP2006282580A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd キノコ由来の生理活性成分の取得方法
JP2007061015A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Ikeda Shokken Kk 香辛料及びその加工方法
JPWO2005051106A1 (ja) * 2003-11-28 2007-06-14 協和発酵フーズ株式会社 豚骨エキスの製造方法
JP2012170360A (ja) * 2011-02-18 2012-09-10 Suminori Suga 多獲性小型魚類加工品及びその製造方法
KR101247069B1 (ko) * 2004-05-14 2013-03-25 교와 핫코 푸드 가부시키가이샤 축육 엑기스 및 그 제조법

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005051106A1 (ja) * 2003-11-28 2007-06-14 協和発酵フーズ株式会社 豚骨エキスの製造方法
KR101247069B1 (ko) * 2004-05-14 2013-03-25 교와 핫코 푸드 가부시키가이샤 축육 엑기스 및 그 제조법
JP4667953B2 (ja) * 2004-05-14 2011-04-13 キリン協和フーズ株式会社 畜肉エキスおよびその製造方法
JP2005348728A (ja) * 2004-05-14 2005-12-22 Kyowa Hakko Foods Kk 畜肉エキスおよびその製造方法
JP2006042613A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 San Akuteisu:Kk 有害な重金属が除去された食品素材エキスの製造方法
JP4624025B2 (ja) * 2004-07-30 2011-02-02 株式会社サンアクティス 有害な重金属が除去された食品素材エキスの製造方法
JP2006262827A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Shoji Sakakawa 多獲性小型魚類加工品及びその製造方法
WO2006112037A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-26 Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd. キノコ由来の生理活性成分の取得方法
WO2006112036A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-26 Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd. キノコ由来の生理活性成分の取得方法
JP2006282580A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd キノコ由来の生理活性成分の取得方法
JP2006282847A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd キノコ由来の生理活性成分の取得方法
JP2007061015A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Ikeda Shokken Kk 香辛料及びその加工方法
JP4528696B2 (ja) * 2005-08-31 2010-08-18 池田食研株式会社 香辛料及びその加工方法
JP2012170360A (ja) * 2011-02-18 2012-09-10 Suminori Suga 多獲性小型魚類加工品及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sampels The effects of processing technologies and preparation on the final quality of fish products
KR101150710B1 (ko) 명태통조림의 제조방법
KR101119227B1 (ko) 친환경 육우를 이용한 육포 및 그의 제조방법
KR102446977B1 (ko) 레토르트 식품용 육수 조성물 및 이를 포함하는 가공식품
KR20140016100A (ko) 비린내가 제거된 즉석취식용 갈치조림 또는 고등어조림과 그 제조방법
KR101142913B1 (ko) 어육분말, 어육 가공품 및 그의 제조방법
KR101290650B1 (ko) 해양심층수를 이용한 황태육수 김치양념 소스의 제조방법
KR102650738B1 (ko) 콜드 훈제 고기 제품 및 그 제조 방법
KR100772812B1 (ko) 육가공품에 첨가되는 천연조미료 및 이를 이용한 육가공품
JP2001086958A (ja) 高品質のエキスの製造方法
KR100557026B1 (ko) 사과를 함유하는 고기 숙성용 양념조성물 및 이 고기숙성용 양념 조성물로 숙성된 고기
CN110892981A (zh) 一种海鲜味调味酱及其制备方法
JP2018082637A (ja) 揚げ蒲鉾用組成物および揚げ蒲鉾の製造方法
CN106261981A (zh) 速食烤鱼的加工方法
JP2009297009A (ja) ミンチ及びそれを用いた食品
KR20180013223A (ko) 고추장 옥돔 제조방법
CN110477301A (zh) 蛋卷型香脆鱼皮加工工艺
CN112931848B (zh) 一种鲟鱼软骨拌饭酱料的制作方法
KR102316771B1 (ko) 장어짬뽕의 제조방법
CN101467697A (zh) 一种香芋凤翅的制作方法
KR102334201B1 (ko) 식감 향상과 벤조피렌 저감화를 위한 훈제막창의 제조방법
CN107373593A (zh) 一种川味调料包
KR101582559B1 (ko) 배즙 숙성 훈제 오리 및 이의 제조방법
CN101069566A (zh) 健康鲍鱼、鱼翅、燕窝烹制技术
KR100265297B1 (ko) 찜굴비의 제조방법