JP2001081665A - ポリフェニレンサルファイド短繊維 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド短繊維

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JP2001081665A
JP2001081665A JP25446599A JP25446599A JP2001081665A JP 2001081665 A JP2001081665 A JP 2001081665A JP 25446599 A JP25446599 A JP 25446599A JP 25446599 A JP25446599 A JP 25446599A JP 2001081665 A JP2001081665 A JP 2001081665A
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禎夫 細原
Yasuo Adachi
保夫 安達
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輝彦 笠原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品質で良好な紡績性を有するポリフェニレン
サルファイド短繊維を提供すること。 【解決手段】(a)平均炭素数が16〜22の飽和脂肪
族炭化水素基を有する燐酸エステルカリウム塩50〜7
0重量%、(b)パラフィンワックス10〜20重量
%、(c)カチオン系界面活性剤および/またはアニオ
ン系界面活性剤10〜15重量%、(d)一般式[I]
および/または[II]に示される成分4〜15重量%か
ら成る油剤が繊維に付与されてなることを特徴とするポ
リフェニレンサルファイド短繊維。 【化1】 ただし、R1は炭素数10〜14の脂肪族炭化水素基、
l, mはオキシエチレン基の付加モル数をそれぞれ示
し、l+m=5〜15である。 【化2】 ただし、R2は炭素数8〜10の脂肪族炭化水素基、n
はオキシエチレン基の付加モル数をそれぞれ示し、n=
5〜10である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高品質で良好な紡
績性を有するポリフェニレンサルファイド(以下、PP
Sという)短繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】PPS短繊維は耐薬品性、特に耐酸性お
よび耐熱性に優れているため、主にフェルトとして使用
されている。しかしながら、PPS短繊維は繊維間摩擦
が小さいため、滑り易く紡績し難いという欠点を有して
いる。そのため特開平4−202819号公報では、ラ
ウリルホスフェートカリウムなどの低級アルキル燐酸エ
ステル塩を付与して、繊維間および繊維金属間動摩擦係
数をある程度高くすることにより、紡績性を改善したP
PS短繊維が提案されている。
【0003】しかし、上記油剤では繊維間および繊維金
属間動摩擦係数を高くするには限界があり、また長期操
業時には紡績の各工程で金属部分やローラー部分に上記
油剤の粘着性付着物(以下、スカムという)が堆積し、
イレギュラードラフトなどによるスライバーのコイリン
グ不良、ローラー巻き付きや糸切れが発生し、操業性や
品質が著しく悪化するという問題があった。つまり、ア
ルキル燐酸エステル塩のアルキル基を低級にすれば、摩
擦係数は高くなるがスカムが大量に発生することにより
紡績性が著しく悪くなるという問題があった。逆に、ア
ルキル基を高級にすればスカムの発生を抑えられるが摩
擦係数の低下により紡績性が著しく悪くなるという問題
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した欠点を解消し、高品質で操業性よく紡績することの
できるPPS短繊維を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明のPPS短繊維は、(a)平均炭素数が16〜2
2の飽和脂肪族炭化水素基を有する燐酸エステルカリウ
ム塩50〜70重量%、(b)パラフィンワックス10
〜20重量%、(c)カチオン系界面活性剤および/ま
たはアニオン系界面活性剤10〜15重量%、(d)一
般式[I]および/または[II]に示される成分4〜1
5重量%から成る油剤が繊維に付与されてなることを特
徴とするPPS短繊維である。
【0006】
【化3】
【0007】ただし、R1は炭素数10〜14の脂肪族
炭化水素基、l, mはオキシエチレン基の付加モル数を
それぞれ示し、l+m=5〜15である。
【0008】
【化4】
【0009】ただし、R2は炭素数8〜10の脂肪族炭
化水素基、nはオキシエチレン基の付加モル数をそれぞ
れ示し、n=5〜10である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる油剤
は、(a)〜(d)の成分を特定の割合で配合したもの
であり、さらに必要に応じて、抗菌剤、消臭剤、難燃剤
などを配合し、低粘度鉱物油などで希釈したストレート
型(非水油系)あるいは水溶性エマルジョン型のもので
ある。以下、(a)〜(d)の成分について詳細に説明
する。
【0011】(a)成分は、炭素数が16〜22の飽和
脂肪族炭化水素基を有する燐酸エステルカリウムであっ
て、主に短繊維の平滑性を高める作用を有するものであ
り、特に、ステアリルホスフェートカリウム(C18)、
セチルホスフェートカリウム(C16)が好ましい。飽和
脂肪族炭化水素基の炭素数が16より小さいと、この成
分の脱落が起こり易くなりローラー巻き付きが起こるの
で好ましくない。一方、炭素数が22を越えると、制電
性が悪化するので好ましくない。また、この成分の全油
剤に占める配合比率は50〜70重量%であり、50重
量%未満であると平滑性および制電性が損なわれ、逆に
70重量%を越えると糸やスライバーの集束性が不足
し、スライバーのコイリング不良やローラー巻き付きが
起こり、スカムの堆積が多くなるので好ましくない。
【0012】(b)成分は、好ましくは融点が40〜8
0℃のパラフィンワックスであり、スカムを少なくし、
(a)成分の作用をさらに助長するものである。また、
この成分の全油剤に占める配合比率は10〜20重量%
であり、10重量%未満であるとスカム防止効果が不十
分となり、逆に20重量%を越えるとワックスの離型効
果が増大し、繊維絡合性が不十分となりローラー巻き付
きが起こるので好ましくない。
【0013】(c)成分は、主に(a)成分と(b)成
分の併用による制電性不足を補う作用を有し、帯電防止
能を有するカチオン界面活性剤および/またはアニオン
界面活性剤であり、特に、カチオン界面活性剤としては
第4級アンモニウム塩型、アミド型、スルホニウム型
が、またアニオン界面活性剤としてはポリオキシエチレ
ン燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンサルフェート塩
がそれぞれ好ましい。この成分の全油剤に占める配合比
率は10〜15重量%であり、10重量%未満であると
十分な静電気抑制効果が得られず、逆に15重量%を越
えると(a)および(b)成分の割合が相対的に少なく
なり、平滑性やスカム防止効果が低下するので好ましく
ない。
【0014】(d)成分は、(c)成分の作用をさらに
助長するものであり、一般式[I]、[II]で示され、
特にポリエチレンオキサイドアミノエーテル、ポリエチ
レンオキサイドノニルフェノールエーテルを用いるのが
好ましい。この成分の全油剤に占める配合比率は4〜1
5重量%であり、4重量%未満であると低湿時の制電性
に欠け、逆に15重量%を越えると(a)〜(c)成分
の割合が相対的に少なくなり、平滑性、制電性やスカム
防止効果が低下するので好ましくない。
【0015】本発明にかかる上述した油剤のPPS短繊
維への付着量は、繊維重量対比0.01〜10重量%が
好ましく、0.1〜1重量%がより好ましい。
【0016】本発明におけるポリフェニレンサルファイ
ドとは、ポリマの繰り返し単位の90%以上が一般式
[III]で構成されたポリマであるが、10%未満の一
般式[IV]で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】本発明のPPS短繊維は、上述したポリマ
を用いて溶融紡糸を行い、得られた未延伸糸を所望の太
さに収縮し、延伸工程、捲縮付与工程を経て、所望の長
さにカットすることにより製造される。単繊維繊度およ
びカット長については特に限られているわけではない
が、単繊維繊度0.1〜100デニール、カット長1〜
1000mmの短繊維が好ましく、単繊維繊度0.5〜
30デニール、カット長10〜100mmの紡績糸用に
良好に用いられ得るものがさらに好ましい。
【0020】本発明における油剤はこれらの工程の任意
の段階で付与できるが、延伸終了後の捲縮付与を行う前
あるいは捲縮付与後にカットする前の段階で付与するの
が好ましい。
【0021】また、本発明の油剤を用いたPPS短繊維
において、さらに十分な繊維絡合性や糸およびスライバ
ーの集束性を得るために、本発明におけるPPS短繊維
の捲縮度は10〜23%が好ましく、13〜20%がよ
り好ましい。10%未満であると繊維絡合性が不十分と
なってローラー巻き付きが起こり、逆に23%を越える
とネップが発生し品質悪化を招くので好ましくない。
【0022】また、本発明におけるPPS短繊維の捲縮
数は6〜18山/25mmが好ましく、9〜15山/25mm
がより好ましい。6山/25mm未満であると繊維絡合性
が不十分となってローラー巻き付きが起こり、逆に18
山/25mmを越えるとネップが発生し品質悪化を招くの
で好ましくない。なお、本発明にかかる上述した油剤を
PPS短繊維に付与することにより、上述した捲縮度お
よび捲縮数を容易にかつ安定的に得ることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、本例中における測定法は以下の通りであ
る。 (1)捲縮数および捲縮度 試料を縮分しチップ状部分からランダムに短繊維を抜き
取り、この短繊維の片側の山数を拡大鏡を用いて10回
読み取り、その平均値を短繊維1本当たりの片側の山数
とする。次にこの短繊維の一端を固定し、他端に2mg/d
および300mg/dの荷重をかけ、そのときの繊維長をそ
れぞれ測定し、次式により捲縮数および捲縮度を算出す
る。 捲縮数[山/25mm]=25a/A 捲縮度[%]=100(B−A)/B ただし、a、A、Bについては、以下に示すものとす
る。 a:短繊維1本当たりの片側山数 A:2mg/dの荷重をかけたときの繊維長[mm] B:300mg/dの荷重をかけたときの繊維長[mm] (2)繊維金属間および繊維間動摩擦係数 試料をハンドカードでよく開繊して2デニールの均等な
スライバーにする。次に該試料から所望の1本の繊維を
採取し、その両端に適当な初荷重を取り付けたものをレ
ーダー式摩擦係数試験機の金属製円筒(外径8mm)の中
央にかけ、その一端をトーションバランスのフックに接
続する。繊維金属間動摩擦係数(以下、FMμdという)
の測定には、この金属製円筒を周速度90cm/分で回転
させ、トーションバランスにより繊維両端のバランスが
とれる荷重を求め、次式により摩擦係数を算出する。繊
維間動摩擦係数(以下、FFμdという)の測定には、繊
維が金属製円筒の軸方向と平行になるように巻き付けた
円筒を用いてFMμdと同様に行う。なお、測定は温度2
0℃、相対湿度65%の条件下において行う。 動摩擦係数(FMμdまたはFFμd)=0.733log
[W/(W−m)] ただし、W、mについては、以下に示すものとする。 W:繊維の両端にかけた初荷重[mgfまたはN] m:トーショントラバースの読み[mgfまたはN] (3)制電性 温度30℃、相対湿度40%の条件下でのカード工程に
おいて、ウェブ上10cmの帯電電位[mV]を測定
し、帯電し難い順に以下の3段階で評価した。 1.良好:-500mV以上0mV以下 2.やや不良:-1000mV以上-500mV未満 3.不良:-1000mV未満 (4)ネップの有無 温度30℃、相対湿度40%の条件下でのカード工程に
おいて、ウェブ中の繊維のもつれ合った小塊(ネップ)
の有無を目視により測定し、小塊の少ない順に以下の4
段階で評価した。 1.極めて良好 2.良好 3.やや不良 4.不良 (5)スカムの付着状態 温度25℃、相対湿度65%の条件下での練条工程にお
いて、紡出300ゲレン/6ヤードのカードスライバー
を80kg通し、ゴムローラーへの脱落物を集めて測定
し、その重量[mg]の少ない順に以下の4段階で評価
した。 1.極めて良好:100mg未満 2.良好:100mg以上200mg未満 3.やや不良:200mg以上300mg未満 4.不良:300mg以上 (6)ケンス収容量 温度25℃、相対湿度65%の条件下での練条工程にお
いて、紡出300ゲレン/6ヤードのカードスライバー
を練条機に通したときにケンスに収容した練条スライバ
ー長[yard]を測定し、その長さの多い順に以下の4段
階で評価した。 1.極めて良好:1200yard以上 2.良好:1100yard以上1200yard未満 3.やや不良:1000yard以上1100yard未満 4.不良:1000yard未満 (7)巻き上がり綿量 温度25℃、相対湿度65%の条件下での練条工程にお
いて、紡出300ゲレン/6ヤードのカードスライバー
10kgを練条機に通したときにドラフトローラー上部
に巻き上がった綿量[mg]を測定し、その量の少ない
順に4段階で評価した。 1.極めて良好:100mg未満 2.良好:100mg以上200mg未満 3.やや不良:200mg以上300mg未満 4.不良:300mg以上 (8)ローラー巻き付き 温度25℃、相対湿度65%の条件下での粗紡工程(6
0錘)において、練条スライバー1.5トンを粗紡機に
通したときにゴムローラーに巻き付いた回数[回/1.5ト
ン]を測定し、その回数の少ない順に以下の4段階で評
価した。 1.極めて良好:1回未満 2.良好:1回以上3回未満 3.やや不良:3回以上10回未満 4.不良:10回以上 実施例1〜5、比較例1〜6 PPSトウ(単繊維繊度:2デニール)に表1に示す捲
縮度および捲縮数を付与した後、表1に示す油剤をスプ
レー方式により繊維に対して0.2重量%付与し、51
mmにカットしてPPS短繊維を得た。このPPS短繊維
を混打綿、カード、練条の各工程に通し、捲縮数および
捲縮度、繊維金属間および繊維間動摩擦係数、制電性、
ネップの有無、スカムの付着状態、ローラー巻き付き、
ケンス収容量および巻き上がり綿量を測定した。その結
果を表2に示す。
【0024】その結果、本発明のPPS短繊維はいずれ
もローラー巻き付き、スカムおよびネップの発生、スラ
イバーコイリング不良などを起こすことなく良好な紡績
性をを有していたが、比較例のPPS短繊維は紡績性の
悪いものであった。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】本発明により、高品質で良好な紡績性を
有するPPS短繊維を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 13/463 D06M 13/463 Fターム(参考) 4L033 AA06 AB01 AC09 AC15 BA01 BA86 4L035 BB60 DD19 DD20 EE20 MF02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)平均炭素数が16〜22の飽和脂肪
    族炭化水素基を有する燐酸エステルカリウム塩50〜7
    0重量%、(b)パラフィンワックス10〜20重量
    %、(c)カチオン系界面活性剤および/またはアニオ
    ン系界面活性剤10〜15重量%、(d)一般式[I]
    および/または[II]に示される成分4〜15重量%か
    ら成る油剤が繊維に付与されるてなることを特徴とする
    ポリフェニレンサルファイド短繊維。 【化1】 ただし、R1は炭素数10〜14の脂肪族炭化水素基、
    l, mはオキシエチレン基の付加モル数をそれぞれ示
    し、l+m=5〜15である。 【化2】 ただし、R2は炭素数8〜10の脂肪族炭化水素基、n
    はオキシエチレン基の付加モル数をそれぞれ示し、n=
    5〜10である。
  2. 【請求項2】繊維の捲縮度が10〜23%、かつ捲縮数
    が6〜18山/25mmであることを特徴とする請求項1
    記載のポリフェニレンサルファイド短繊維。
  3. 【請求項3】油剤の繊維への付着量が繊維重量対比0.
    01〜10重量%であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のポリフェニレンサルファイド短繊維。
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