JP2003171870A - ポリケトン繊維 - Google Patents

ポリケトン繊維

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JP2003171870A JP2001374575A JP2001374575A JP2003171870A JP 2003171870 A JP2003171870 A JP 2003171870A JP 2001374575 A JP2001374575 A JP 2001374575A JP 2001374575 A JP2001374575 A JP 2001374575A JP 2003171870 A JP2003171870 A JP 2003171870A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 1−オキソトリメチレンを主成分とし、下記
(a)〜(d)の少なくとも1種のイオン性化合物が、
ポリケトン繊維に対して0.05〜5質量%付着してい
るポリケトン繊維。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) 式中、X1〜X5は水素、アルカリ金属等、R1〜R5は炭
素数が3〜30の有機基である。 【効果】 本発明の繊維は、制電性、集束性、耐摩耗性
等に優れ、延伸時や後加工時の工程通過性等に優れる。
この繊維は、タイヤコード、ロープ、ベルト等の産業資
材、紡績糸として衣料に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制電性及び集束性
に優れ、さらに品位、工程通過性及び加工性にも優れた
ポリケトン繊維、ポリケトン繊維を含む紡績糸及び撚糸
コード、並びにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、一酸化炭素と、エチレン、プロピレ
ンといったオレフィンとをパラジウム等を触媒として用
いて重合させることにより、一酸化炭素とオレフィンが
完全交互共重合したポリケトンが得られることが知られ
ている。ポリケトンからなる繊維は、高強度、高弾性
率、高耐熱性、高接着性及び高耐クリープ特性を有し、
タイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品、セメント、樹
脂、光ファイバー等の補強材料用途、ロープ、漁網、釣
り糸等のレジャー及び漁業用途、土木用ネット、防水
布、断熱布等の土木・建築資材用途、防護服、耐切創手
袋等の衣料用途等の幅広い分野への展開が期待されてい
る。
【0003】高強度で高弾性率を有するポリケトン繊維
及びその製造方法に関しては、これまで多数の文献があ
り(例えば、特開平4−228613号公報、特表平4
−505344号公報、特表平7−508317号公
報、特表平8−507328号公報、国際公開99/1
8143号パンフレット、国際公開00/09611号
パンフレット等)、1−オキソトリメチレンを主たる繰
り返し単位とする高融点のポリケトン繊維は、ポリケト
ンを有機溶剤や無機溶剤に溶解して繊維化する湿式紡糸
方法によって製造されることが知られている。
【0004】これらの文献には、高強度で高弾性率を有
するポリケトン繊維を製造するためには、湿式紡糸によ
り得たポリケトン繊維を融点近傍の高温で加熱して高倍
率の熱延伸を行う必要があることが開示されている。高
倍率の熱延伸により製造されるポリケトン繊維は、延伸
時の繊維−繊維間、繊維−製造装置間の摩擦によって静
電気を帯電し、糸の集束性が低下する。この傾向は、延
伸に用いるポリケトン繊維の単糸数が多いほど、また、
延伸速度が速いほど顕著になる。熱延伸時の糸の制電性
及び集束性が悪い場合には、得られる繊維の品位やパッ
ケージフォームが悪くなるだけではなく、繊維−繊維間
や繊維−装置間の接触抵抗が増大し、単糸切れや繊維表
面のフィブリル化が起こったり、ロールやガイドに単糸
や毛羽が巻き付いて断糸の原因となる等、生産性の観点
から極めて大きな問題となる。
【0005】産業資材繊維用途では、高強度で、フィラ
メント数の多い繊維が必要となるが、ポリケトン繊維の
場合、上記の制電性及び集束性の問題から、マルチフィ
ラメントの繊維を高速で延伸することは極めて困難であ
った。一般に、繊維の静電気を抑制し、集束性を向上す
るためには、繊維に油剤を付与することが効果的であ
る。本発明者らは、ポリケトン繊維に油剤を付与する技
術について、特開2001−207384号公報におい
て、油剤を付与したポリケトン繊維に関する技術を提案
している。しかしながら、この発明で用いられる油剤
は、鉱物油、ポリエーテル、エステル化合物等の平滑剤
を主成分とするものであり、繊維の耐摩擦特性は改善さ
れるものの、上記の延伸時の制電性及び集束性について
は、なお改善の余地があった。
【0006】例えば、鉱物油を主成分とする油剤は、制
電性及び集束性に改良の余地があり、ポリエーテルやエ
ステル化合物を主成分とする油剤では、組成によっては
制電性及び集束性が向上するものの、繊維の製造時の熱
による油剤の劣化が生じやすい。また、ポリケトン繊維
の短繊維を紡績糸とする場合、ポリエーテルやエステル
化合物を主体とする油剤は、ポリケトン繊維に制電性を
付与するためには多量の油剤を付与する必要があり、そ
のため紡績工程においてカードや牽切機に油分が蓄積し
やすい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記のポリケトン繊維の制電性、集束性、
及び工程通過性の問題を解決し、(1)延伸油剤を付与
することで、静電気が発生せず繊維の集束性を高め、繊
維の摩擦抵抗を低減し、毛羽やたるみのない均質で取り
扱い性のよく、かつ、強度が高く、撚糸強力利用率、紡
績性に優れるポリケトン繊維を提供すること、(2)多
数のフィラメントから構成されたポリケトン繊維を高速
で生産性よく延伸可能な製造方法を提供すること、であ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために種々の検討を重ねた結果、油剤とし
て特定の構造を有する化合物を付与することにより、ポ
リケトン繊維に制電性、集束性及び摩擦抵抗低減の効果
を与え、かつ、油剤の劣化による工程通過性の悪化や、
ポリケトン繊維の強度低下や強力利用率低下、紡績時の
工程通過性低下の問題が解決されることを見いだし、更
に検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、以下の通りである。 (1)繰り返し単位の95〜100質量%が1−オキソ
トリメチレンからなるポリケトン繊維であって、下記
(a)〜(d)からなる群より選ばれた少なくとも1種
のイオン性化合物が、ポリケトン繊維に対して0.05
〜5質量%付着していることを特徴とするポリケトン繊
維。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は、水素、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも
1種、R1〜R5は、炭素数が3〜30の有機基である)
【0010】(2)繰り返し単位の95〜100質量%
が1−オキソトリメチレンであるポリケトンからなり、
平均繊維長が10〜200mm、かつ、捲縮度が5〜5
0%であるポリケトン繊維を50質量%以上含有する紡
績糸であって、下記(a)〜(d)からなる群より選ば
れた少なくとも1種のイオン性化合物が紡績糸に対して
0.05〜1質量%付着していることを特徴とする紡績
糸。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は、水素、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、及び、及びNH4からなる群より選ばれた少な
くとも1種、R1〜R5は、炭素数が3〜30の有機基で
ある)
【0011】(3)繰り返し単位の95〜100質量%
が1−オキソトリメチレンであるポリケトン繊維からな
り、下記式で表される撚り係数(K)が1000〜30
000の範囲で撚糸されている撚糸コードであって、下
記(a)〜(d)からなる群より選ばれた少なくとも1
種のイオン性化合物が撚糸コードに対して0.05〜5
質量%付着していることを特徴とする撚糸コード。 K=Y×D0.5 (式中、Yは1mあたりの撚り数(T/m)、Dは撚糸
に用いたポリケトン繊維の総繊度(dtex)である) (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は、水素、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも
1種、R1〜R5は、炭素数が3〜30の有機基である)
【0012】(4)繰り返し単位の95〜100質量%
が1−オキソトリメチレンからなるポリケトンを紡糸す
る工程及び紡糸されたポリケトン繊維に熱を加えて延伸
を行う工程を含むポリケトン繊維の製造方法において、
延伸前及び/又は延伸途中に下記(a)〜(d)からな
る群より選ばれた少なくとも1種のイオン性化合物を、
ポリケトン繊維に対して0.05〜5質量%付与する工
程を含むことを特徴とするポリケトン繊維の製造方法。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は水素、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも1
種、R1〜R5は炭素数が3〜30の有機基である)
【0013】(5)繰り返し単位の95〜100質量%
が1−オキソトリメチレンであり、下記(a)〜(d)
からなる群より選ばれた少なくとも1種のイオン性化合
物が、繊維に対して0.05〜1質量%付着したポリケ
トン繊維を、平均繊維長5〜300mmに切断し、ポリ
ケトン繊維の割合が50〜100質量%のスライバーを
製造し、引き続き紡績を行うことを特徴とする紡績糸の
製造方法。 (a)R1−P(=O)(OX1) (OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は水素、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも1
種、R1〜R5は炭素数が3〜30の有機基である)本発
明で用いるポリケトンは、繰り返し単位の95〜100
質量%が式(1)で示す1−オキソトリメチレンを含
む。
【0014】
【化1】
【0015】ポリケトン中の1−オキソトリメチレンの
割合が95質量%未満では、結晶性が大きく低下し、高
強度で高融点を有するポリケトン繊維を得ることができ
ない。1−オキソトリメチレンの割合が高いほど、ポリ
ケトン繊維の強度、弾性率及び融点が高くなる。ポリケ
トン中の1−オキソトリメチレンの好ましい割合は97
質量%以上、より好ましくは100質量%である。ポリ
ケトンの極限粘度は、低くなるにつれて高強度の物性が
得られにくくなり、高くなるにつれて溶剤への溶解性、
曳糸性及び生産性が低下することから、ポリケトンの極
限粘度は、好ましくは1〜20、より好ましくは3〜1
0、最も好ましくは4〜8である。
【0016】本発明のポリケトン繊維には、下記の
(a)〜(d)からなる群より選ばれた少なくとも1種
のイオン性化合物が、ポリケトン繊維に対して0.05
〜5質量%付着していることが極めて重要である。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) 式中、X1〜X5は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも1
種、R1〜R5は炭素数が3〜30の有機基である。
【0017】本発明のポリケトン繊維に付着している化
合物は、イオン性化合物(リン酸化合物、亜リン酸化合
物、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物)である。イ
オン性官能基を有さず、エーテル、エステル、ケトン等
のノニオン性基のみを有するノニオン性化合物は、十分
な制電性が発現しないばかりか、熱延伸時の熱劣化によ
る装置の汚れや強度低下の原因となる。イオン性化合物
の官能基(リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、カル
ボン酸基)と結合する基(X1〜X5)は、水素、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、及びNH4からなる群より
選ばれた少なくとも1種であることが必要である。この
結合基が炭化水素基等の場合には、制電性及び集束性に
優れたポリケトン繊維を製造することが困難となる。こ
の結合基は、ポリケトン繊維の制電性、集束性及び繊維
物性の観点からアルカリ金属が好ましく、カリウム及び
ナトリウムがより好ましい。この結合基は複数種の基が
混合して存在していてもよい。
【0018】本発明におけるイオン性化合物は、炭素数
3〜30、好ましくは4〜18の有機基(R1〜R5)を
有することが必要である。有機基が存在しない場合、又
は有機基の炭素数が2以下の場合には、イオン性化合物
のポリケトン繊維に対する親和性が低くなり、繊維表面
に均一に分散することが困難となる、イオン性化合物の
油膜強度が低下する、ポリケトン繊維の耐摩耗性や耐衝
撃性が低下する、延伸時、撚糸時、紡績時等に単糸切れ
や繊維表面のフィブリル化が起こる、といった問題が生
じる。炭素数が30を越える場合には、制電性が不十分
となる、フィラメントの集束性が低下する、摩擦抵抗が
増大する、延伸時や撚糸時に毛羽やフィブリル化が発生
しやすくなる、パッケージからの解舒性やパッケージの
巻き取り形態が不均一になる、といった問題が生じる。
【0019】有機基の構造には制限はなく、例えば、飽
和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、又はこれらが
混合した炭化水素基であってもよく、炭化水素基の一部
又は全部がエーテル基、エステル基、ケトン基、水酸
基、アミド基、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基
等の基で置換されていてもよい。イオン性化合物の耐熱
性の観点からは飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。有機
基は直鎖状であっても分岐を有するものであってもよ
い。また、有機基は構造の異なる複数種類の基が混合し
ていてもよく、装置にイオン性化合物の結晶が析出しに
くいという観点から、混合物であることが好ましい。
【0020】上記の特性を有するイオン性化合物として
は、例えば、下記の化合物が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。化合物(a)及び(b)の例と
しては、アルキルリン酸エステル(オクチルホスフェー
トカリウム塩、セチルホスフェートカリウム塩、ステア
リルホスフェートカリウム塩、ラウリルホスフェートカ
リウム塩、パルミチルホスフェートカリウム塩、イソプ
ロピルホスフェートカリウム塩、イソセチルホスフェー
トカリウム塩、セチルホスフェートナトリウム塩、セチ
ルホスフェートアンモニウム塩等)、アルキルエーテル
ホスフェート(ポリオキシエチレンセチルエーテルホス
フェートカリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエー
テルホスフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンス
テアリルエーテルホスフェートアンモニウム塩等)、ア
ルキルアリルエーテルホスフェート(ノニルフェニルエ
ーテルホスフェートカリウム塩等)等が挙げられる。
【0021】化合物(c)の例としては、アルキルアリ
ルスルホネート(ドデシルベンゼンスルホネートナトリ
ウム塩等)、アルキルスルホネート(オクチルスルホネ
ートカリウム塩等)、アルキルナフタレンスルホネート
(ジブチルナフタレンスルホネートナトリウム塩、トリ
イソプロピルナフタレンスルホネートナトリウム塩
等)、アルキルスルホサクシネート(ジオクチルスルホ
サクシネートナトリウム塩等)、アルキルサルフェート
(オクチルサルフェートナトリウム塩等)、アルキルエ
ーテルサルフェート(ラウリルエーテルサルフェートナ
トリウム塩等)、アルキルアリルエーテルサルフェート
(ノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩
等)等が挙げられる。
【0022】化合物(d)の例としては、脂肪酸石鹸
(ステアリン酸ナトリウム塩)、多価カルボン酸石鹸
(ヒマシ油ナトリウム石鹸等)等が挙げられる。化合物
(a)〜(d)は、これらを混合して用いてもよい。本
発明において、イオン性化合物は、ポリケトン繊維に対
して0.05〜5質量%付着していることが重要であ
り、好ましくは0.1〜1質量%である。付着率が0.
05質量%未満では、制電性及び集束性が不十分で、品
位及び工程通過性に問題が生じる。一方、5質量%を越
える場合、延伸時や加工時に油剤が装置に付着して装置
の汚れが激しくなり、場合によっては結晶が析出して断
糸の原因となる。
【0023】本発明のポリケトン繊維には、上記のイオ
ン性化合物の他に、必要に応じて、ラジカル抑制剤、他
のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加
剤を含んでいてもよい。本発明のポリケトン繊維には、
制電性、集束性、繊維物性を損なわず、工程通過性に悪
影響を及ばさない範囲であれば、上記のイオン性化合物
以外の油剤成分、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、防錆剤
等が付与されていてもよい。使用可能な油剤成分には制
限はなく、平滑性向上、集束性補足、制電性補足等、目
的に応じて適宜選定することが可能である。
【0024】このような化合物としては、例えば、ステ
アリン酸オクチル、オレイン酸ラウリル等のエステル化
合物、パラフィン系、ナフテン系の鉱物油、ポリオレフ
ィンオキシド等のポリエーテル、ポリオキシエチレンス
テアリルエーテル等のノニオン性界面活性剤、ステアリ
ルアミンメチルスルホン酸塩、オクチルアミンジメチル
リン酸塩等のカチオン性化合物等が挙げられる。これら
油剤成分の付着量は、多すぎると制電性が損なわれた
り、熱延伸時の油剤の熱劣化による繊維物性低下、工程
通過性の悪化、撚糸強力利用率の低下等の問題の原因と
なるため、上記の(a)〜(d)のイオン性化合物の総
付着量に対して、好ましくは0〜100質量%、好まし
くは0〜50質量%、最も好ましくは0〜30質量%で
ある。
【0025】本発明のポリケトン繊維は、汎用的に用い
られるためには力学物性及び熱特性に優れていることが
望まれ、そのためには、発達した結晶構造を有すること
が求められる。具体的には、本発明のポリケトン繊維の
結晶化度は60%以上、かつ、結晶配向度は90%以上
であることが好ましい。結晶化度は高ければ高いほど、
強度、弾性率及び融点が向上するため、より好ましくは
70%以上、最も好ましくは80%以上である。結晶配
向度は高いほど弾性率が高く、力学的寸法安定性に優れ
るため、より好ましくは95%以上、最も好ましくは9
7%以上である。
【0026】本発明のポリケトン繊維は、力学特性とし
て、強度及び弾性率に優れることが望ましく、強度は1
2cN/dtex以上であることが好ましく、より好ま
しくは15cN/dtex以上、最も好ましくは17c
N/dtex以上である。弾性率は250cN/dte
x以上であることが好ましく、より好ましくは300c
N/dtex以上、最も好ましくは350cN/dte
x以上である。本発明のポリケトン繊維の断面形状はど
のような形態であってもよく、目的に応じて、円型、三
角型、アルファベットの文字の型等、任意の形状を選定
できる。摩擦が小さく、フィブリル化しにくく、単糸膠
着が起こりにくい、という点から円型断面が好ましい。
【0027】ポリケトン繊維の形態には制限はなく、長
繊維及び短繊維のいずれであってもよい。長繊維の場合
には、モノフィラメント及びマルチフィラメントのいず
れであってもよい。マルチフィラメントの場合のフィラ
メント数は、好ましくは100本以上、より好ましくは
200本以上、最も好ましくは300本以上である。本
発明のポリケトン繊維の単糸繊度には制限はないが、細
すぎると紡糸時や延伸時、加工時、使用時等に断糸が起
こりやすく、太すぎると紡糸速度を速くすることが困難
となるため、好ましくは0.1〜10dtex、より好
ましくは0.5〜5dtex、最も好ましくは0.8〜
2dtexである。
【0028】総繊度は、用途、目的に応じて適宜選定す
ればよく、例えば、産業資材用途では300〜7000
dtex、衣料用途では50〜1000dtexが好ま
しい。本発明のポリケトン繊維は、制電性及び集束性に
優れ、特にマルチフィラメントでの工程通過性、取り扱
い性及び後加工性に優れており、極めて多数本の繊維状
とすることが可能である。特に、トウとして取り扱うこ
とが容易であり、短繊維の製造に極めて適する。トウと
は、フィラメントが引き揃えられた、総繊度が1000
dtex以上の繊維束のことである。短繊維の製造に用
いるトウの場合、総繊度は1000〜1000000d
texが好ましく、生産性及び取り扱い性の観点から3
000〜300000dtexがより好ましい。
【0029】本発明のポリケトン繊維は、太繊度のトウ
として製造、加工することが容易であり、トウを切断し
て短繊維として使用するのに適する。短繊維とする場合
には、工程通過性及び取り扱い性の観点から平均繊維長
は5〜300mmが好ましい。本発明のポリケトン繊維
を短繊維として用いる場合の好適な用途の一つとして紡
績糸が挙げられる。紡績糸に加工するには、カードや牽
切ロール等、繊維に摩擦や絞りを加える工程を経るた
め、繊維の摩擦や摩耗による毛羽やフィブリル状物の発
生や、余剰の油剤による装置汚れの問題が起こる。しか
し、本発明のポリケトン繊維は、繊維に極く少量の、前
記のイオン性化合物を付着せしめることで、制電性及び
耐摩耗性が向上するため、このような問題を引き起こす
ことなく紡績糸に加工することができる。
【0030】紡績糸を製造する場合には、紡績糸に付与
する上記のイオン性化合物(a)〜(d)の割合は0.
05〜1質量%であることが必要であり、好ましくは
0.1〜0.3質量%である。付与される割合が0.0
5質量%未満では制電性及び耐摩耗性が不十分となり、
カードで静電気による繊維の交絡やフィブリル状物の発
生等の問題が生じる。一方、1質量%を越えるとカード
や牽切ロールへの余剰の油剤の付着が起こり、装置が汚
れ、長期の連続運転が困難となる。
【0031】紡績糸を構成するポリケトン繊維の平均繊
維長は、10〜200mm、好ましくは20〜150m
m、より好ましくは30〜100mmである。平均繊維
長が10mm未満の場合、短繊維間の交絡や摩擦が少な
くなり、高強度の紡績糸を得ることが困難となる。一
方、平均繊維長が200mmを越える場合、紡績時、製
織時、製編時等における工程通過性が悪くなるばかり
か、風合い及び品位のよい紡績糸や織編物を得ることが
困難となる。
【0032】紡績糸を構成するポリケトン繊維の捲縮度
は5〜50%であることが必要であり、好ましくは10
〜30%である。捲縮度が小さい場合、ポリケトン繊維
間の交絡や摩擦が少なくなって、繊維の引き抜けが起こ
りやすくなり、結果として高強度の紡績糸を得ることが
困難となる。一方、捲縮度が大きすぎると、繊維のたる
みやもつれが起こり、紡績時や製織時、製編時の工程通
過性が悪くなり、得られる紡績糸や織編物の品位も低い
ものとなる。
【0033】ポリケトン紡績糸は、下記式で示す撚り係
数(K)が3000〜30000であることが好まし
く、7500〜15000であることがより好ましい。 K=Y×D0.5(T/m・dtex0.5) 式中、Yは1mあたりの撚糸数(T/m)、Dは紡績糸
の繊度(dtex)である。撚り係数(K)が低すぎる
と引っ張り方向に対する短繊維間の摩擦抵抗が不十分と
なり、紡績糸の強度、伸度が不十分となる。また、撚り
係数(K)が高すぎるとポリケトン繊維の撚糸強力利用
率が大きく低下し十分な強度の紡績糸を得ることが困難
となる。
【0034】本発明のポリケトン繊維からなる紡績糸
は、紡績糸を構成する繊維の50質量%以上、紡績糸の
強度及びコストの観点から、好ましくは70質量%以上
がポリケトン繊維であれば、ポリケトン繊維以外の繊維
を用いた混紡糸であってもよい。混紡する繊維の平均繊
維長、捲縮度、イオン性化合物の付着量は、上記の紡績
に用いるポリケトン繊維に必要な値の範囲内であること
が必要である。ポリケトン繊維と混紡可能な繊維には制
限はなく、ビスコースレーヨン、ポリエチレンテレフタ
レート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ナ
イロン66繊維、ナイロン6繊維、アクリル繊維、アラ
ミド繊維、ポリビニルアルコール繊維等の合成繊維、
綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維を使用することができ
る。
【0035】本発明のポリケトン繊維は、フィラメント
のまま撚糸して撚糸コードとして用いることができる。
この場合、撚糸コードに対する上述のイオン性化合物の
付着率は0.05〜5質量%であることが必要であり、
好ましくは0.1〜1質量%である。イオン性化合物の
付着率が0.05質量%未満の場合には、撚糸コードを
構成する繊維の制電性が不十分で、単糸のほつれやたる
みが生じる。一方、5質量%を越える場合には、過剰の
イオン性化合物がガイドやロールに析出し、糸の汚れや
単糸切れを起こし易くなる。
【0036】撚糸を行う場合の、下記式で表す撚り係数
(K)は1000〜30000でり、好ましくは550
0〜15000である。 K=Y×D0.5(T/m・dtex0.5) 式中、Yは1mあたりの撚り数(T/m)、Dは撚糸に
用いたポリケトン繊維の総繊度(dtex)である。撚
り係数(K)が1000未満になると、撚糸コードの伸
度、タフネスが不十分で、曲げや圧縮に対する耐疲労性
が不十分となる。また、撚り係数(K)が30000を
越えると、撚糸強力利用率が大幅に低下し、十分な強度
の撚糸コードを得ることが困難となる。この撚糸コード
に、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)等
の樹脂を付着させた処理コードは、ゴムとの接着性が高
く、タイヤ、ベルト、ホース等のゴム補強材料として有
用である。
【0037】次に、本発明のポリケトン繊維の製造方法
について説明する。本発明のポリケトン繊維は、公知の
湿式紡糸法(ポリケトンを溶剤に溶解した後に凝固浴中
で凝固する)により繊維状とし、脱溶剤、乾燥を経て熱
延伸を行うことによって製造する方法が好ましく用いら
れる。高強度のポリケトン繊維を、生産性よく、工業的
に製造するには、金属塩溶液を溶剤とする湿式紡糸法が
より好ましい。
【0038】以下、金属塩溶液を溶剤とする湿式紡糸法
を例に説明する。ポリケトンをハロゲン化亜鉛、ハロゲ
ン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、チオ
シアン酸アルカリ金属、チオシアン酸アルカリ土類金属
等を含有する溶液(例えば、塩化亜鉛/塩化カルシウム
水溶液、塩化亜鉛/塩化カルシウム/チオシアン酸カル
シウム水溶液)に溶解する。溶解した溶液を、紡糸口金
より水等の液体中に吐出して糸条とした後、塩酸等の酸
水溶液により金属塩を洗浄除去する。次いで、100〜
250℃で乾燥を行い、繊維中に残存する水等の液体を
ポリケトン繊維に対して10質量%以下、好ましくは1
質量%以下まで除去する。
【0039】乾燥は、(乾燥後の糸長/乾燥前の糸長)
の比で表される乾燥倍率を0.7〜3倍とすることが好
ましく、0.8〜1.5倍がより好ましい。乾燥された
糸(以下、乾燥糸、という)を、引き続き、熱を加えて
延伸する。熱延伸倍率は、高いほど高強度で高弾性率の
ポリケトン繊維が得られることから、好ましくは5倍以
上、より好ましくは10倍以上、最も好ましくは15倍
以上である。延伸段数は1段であってもよいが、10倍
以上の高倍率の延伸を行う場合には2段以上の多段延伸
が好ましい。延伸温度は150〜280℃が好ましく、
より好ましくは220〜275℃である。多段延伸を行
う場合には、延伸段数が進むにつれて延伸温度を徐々に
高くする、昇温型の熱延伸を行うことが好ましい。必要
に応じて、熱延伸終了後のポリケトン繊維を100〜2
80℃に加熱し、張力0.001〜1cN/dtexで
熱処理を行い、ポリケトン繊維の熱収縮を抑制すること
が好ましい。
【0040】上記(a)〜(d)のイオン性化合物は、
乾燥、熱延伸及び熱処理工程のいずれかの段階で付与す
ることが好ましく、特に、熱延伸前のいずれかの工程で
イオン性化合物の付与を行い、熱延伸時のポリケトン繊
維の制電性及び集束性を向上させることが好ましい。イ
オン性化合物の付与は多段階で行ってもよく、例えば、
多段延伸において、まず熱延伸前、次に、熱延伸途中の
2段階で付与してもよい。ポリケトン繊維に対するイオ
ン性化合物の付着率は、0.05〜5質量%であること
が必要であり、好ましくは0.1〜1質量%である。付
着率が0.05質量%未満では、延伸時の制電性及び集
束性が不十分で、毛羽やフィブリル化が起こりやすくな
り、工程通過性及び製品品位に悪影響を及ぼす。一方、
付着率が5質量%を越える場合、装置汚れ、特に、ガイ
ドやロールの汚れが激しくなり、長期連続運転が困難と
なる。
【0041】イオン性化合物はどのような形態で付与し
てもよく、ストレート、水溶液、水分散液等、任意の形
態で使用することができる。イオン性化合物を付与する
方法としては、スプレー法、ローラー給油法、計量ポン
プを用いたガイド給油法等、公知の方法をそのまま用い
ることができる。このように得られたポリケトン延伸糸
に、必要に応じて仕上げ剤を付与する。仕上げ剤の組成
は用途、目的に応じて随時選定し、ポリケトン繊維に耐
撚糸性、ゴム、樹脂、セメント等との接着性を向上さ
せ、耐熱性を付与することができる。
【0042】本発明のポリケトン繊維を紡績糸として用
いる場合には、ポリケトン繊維に捲縮を付与し、短繊維
に切断する。紡糸から紡績までのいずれかの工程でポリ
ケトン繊維に捲縮を付与することができるが、延伸性や
得られる繊維物性の点から延伸終了後に捲縮を付与する
ことが好ましい。捲縮を付与する方法には制限はなく、
スタフィンボックス等を用いて加熱下で加圧屈曲させる
方法や、延伸終了後の歪みを有するフィラメントを切断
後無緊張下で熱処理する方法等の機械的、熱的、化学的
な処理を施すことができる。安定した捲縮を付与するた
めに、好ましくは110〜270℃、より好ましくは1
50〜250℃の加熱下で処理する。
【0043】ポリケトンフィラメントを短繊維に切断
し、紡績する方法としては、直紡、パーロック法、コン
バータ法、ステープラ法等の公知に方法を適用すること
ができる。切断の方式は、カッターで定長に切断する方
法でも、牽切により短繊維長が分布を有するようにして
切断してもよい。また、フィラメントを加熱して熱延伸
を行い、引き続き、短繊維に牽切する方法でもよい。牽
切法により切断する際には、平均繊維長が5〜300m
mとなるよう、ドラフト比及び牽切張力を設定すること
が重要である。
【0044】牽切により得られたポリケトンスライバー
を、粗紡、精紡工程を通して紡績糸とする。紡績時の加
撚の方法については制限はなく、用途、目的に応じて、
双糸、3子糸等の公知の撚り糸とすることができる。必
要に応じて、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、セル
ロース繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポ
リビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリエチレン
繊維、ポリプロピレン繊維等のポリケトン繊維以外の繊
維と混紡して用いてもよい。混紡比率については制限は
ないが、紡績糸の強度及びコストの観点から、紡績糸中
のポリケトン繊維の割合が、好ましくは50〜100質
量%、より好ましくは70〜100質量%である。撚糸
数にも制限はないが、撚糸数が多すぎると撚りに伴なう
強力低下が起こり、撚糸数が少ないと引き抜けによる強
力低下が起こるため、撚糸は上記の撚り係数(K)が1
00〜3000の範囲で行うことが好ましく、より好ま
しくは300〜1000である。得られる紡績糸の品
位、工程通過性の観点から、撚糸張力は0.01〜0.
1cN/dtexが好ましく、より好ましくは0.03
〜0.07cN/dtexである。
【0045】本発明のポリケトン繊維を撚糸コードとし
て使用する場合、撚糸の種類、方法、合撚本数について
は制限はなく、片撚り糸、もろ撚り糸、ピッコもろ撚り
糸、強撚糸など任意の方法が採用され、撚糸に用いる繊
維の本数も1本撚り、2本撚り等、特に制限はなく、3
本以上であってもよい。撚糸数も用途、使用環境に応じ
て任意に撚糸数を選定すればよいが、撚り係数(K)が
1000〜30000の範囲が好ましく、より好ましく
は5500〜15000である。この際、得られる撚糸
コードの品位、取り扱い性の観点から、撚糸張力を、下
撚り/上撚り共に0.01〜0.2cN/dtexとす
ることが好ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明を実施例等により具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。本発明に用いられる各測定値の測定方法は、次の
通りである。 (1)極限粘度 極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求める。 [η]=lim(T−t)/(t・C) 単位:dl/g C→0 定義式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサフルオ
ロイソプロパノール及びヘキサフルオロイソプロパノー
ルに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管
の流過時間である。Cは上記100ml中のグラム単位
による溶質重量値である。
【0047】(2)繊維の強度、弾性率 繊維の強伸度は、JIS−L−1013に準じて測定す
る。 (3)イオン性化合物及び油剤の付着量 繊維を105℃で5時間乾燥し、重量(W)を秤量す
る。繊維を40℃の温水で洗浄後、25℃のエチルエー
テルで洗浄し、繊維表面に付着したイオン性化合物を除
去する。エチルエーテルを留去した後に、繊維を105
℃で5時間乾燥し、重量(W0)を秤量し、以下の式か
ら付着率を求める。 イオン性化合物付着率=[(W−W0)/W0]×100
(%) 油剤についても同様の手法で求める。
【0048】(4)結晶化度 パーキンエルマー(株)製の示差熱測定装置Pyris
1(商標)を用いて、下記条件で測定を行う。サンプル
は糸長を5mmにカットした繊維を用いる。 サンプル質量: 1mg 測定温度 : 30℃→300℃ 昇温速度 : 20℃/分 雰囲気 : 窒素、流量=200mL/分 得られる吸発熱曲線において、200〜300℃の範囲
に観測される最大の吸熱ピークの面積から計算される熱
量ΔH(J/g)より、下記式から結晶化度を算出す
る。 結晶化度 = (ΔH/225) × 100 (%)
【0049】(5)結晶配向度 (株)リガク製イメージングプレートX線回折装置RI
NT2000(商標)を用いて下記の条件で繊維の回折
像を取り込む。 X線源 : CuKα線 出力 : 40KV 152mA カメラ長 : 94.5mm 測定時間 : 3分 得られた画像の2θ=21°付近に観察される(11
0)面を円周方向にスキャンして得られる強度分布の半
値幅Hから、下記式により結晶配向度を算出する。 結晶配向度=[(180−H)/180]×100 (%)
【0050】(6)平均繊維長 JIS−L−1015−7.4.1(A法)に基づいて
測定する。 (7)捲縮度 JIS−L−1015−7.12.2に基づいて測定す
る。 (8)延伸性 5時間の延伸時間内で、断糸や延伸ロールやガイドへの
単糸巻き付きの回数を計測し、以下の基準で延伸性を評
価する。 ○:断糸、単糸巻き付きが1度も発生しない △:断糸はないが、単糸巻き付きが発生する ×:断糸する
【0051】(9)毛羽 巻き取ったパッケージの表面を外観検査し、毛羽の個数
を計測する。 ○:毛羽が観察されない △:1〜5ヶの毛羽が観察される ×:毛羽が6ヶ以上観察される (10)集束性 パッケージから糸を1m/分の速度で引き出し、引き出
されたフィラメントの集束状態を以下の基準で判定す
る。 ○:単糸のばらけがない(1本のフィラメント束であ
る) △:静電気によりフィラメントが2〜5本の糸に分かれ
る ×:静電気によりフィラメントが6本以上の糸に分かれ
る (11)ゴム接着力 天然ゴム70質量%、SBR15質量%、カーボンブラ
ック15質量%配合の未加硫ゴムを用い、これにポリケ
トンコードを1cm埋め込み、155℃、3.5MP
a、30分の条件で加硫後、T引き抜き強力(N)を、
クロスヘッド速度300mm/分で測定する。
【0052】
【実施例1】常法により調製したエチレンと一酸化炭素
が完全交互共重合した、極限粘度6.0のポリケトン
を、塩化カルシウム30質量%/塩化亜鉛22質量%/
塩化リチウム10質量%を含有する水溶液に溶解して、
ポリケトン濃度6.5質量%のドープを得た。得られた
ドープを80℃に加温し、紡口径0.15mmφ、ホー
ル数250の紡口より10mmのエアーギャップを通し
た後に、2質量%の塩化カルシウム、1.1質量%の塩
化亜鉛及び0.1質量%の塩酸を含有する−2℃の水か
らなる凝固浴中に押し出した。
【0053】引き続き、糸条を塩酸水溶液、水で順次洗
浄した後に、IRGANOX(登録商標)1098(C
iba Specialty Chemicals社
製)、IRGANOX(登録商標)1076(Ciba
Specialty Chemicals社製)をそ
れぞれ0.05質量%づつ(対ポリケトン)配合した後
に、225℃にて定長乾燥した。乾燥した繊維に、セチ
ルホスフェートカリウム塩(モノセチルホスフェートカ
リウム塩/ジセチルホスフェートカリウム塩=60質量
%/40質量%)の10質量%水分散液を浸漬法により
付与し、引き続き、225℃/240℃/250℃/2
57℃でそれぞれ6.5倍/1.5倍/1.3倍/1.
2倍の、トータル15.2倍の4段延伸を行い、総繊度
252dtexのポリケトン繊維を得た。
【0054】延伸性は極めて良好で、延伸時に単糸巻き
付きや断糸等のトラブルは発生しなかった。得られたポ
リケトン繊維は、高強度で、毛羽やフィブリル状物は観
察されず、集束性に優れた極めて高性能、かつ、高品位
のものであった。本発明の実施例1〜8及び比較例1〜
7で作製したポリケトン繊維の構造及び特性を、それぞ
れ表1及び2にまとめて示す。また、実施例9〜11の
撚糸コード、紡績糸に用いた4段延伸終了後のポリケト
ン繊維の構造及び特性も表1に併せて示す。
【0055】
【実施例2】実施例1において、乾燥後のポリケトン繊
維に付与するイオン性化合物を、ステアリルホスフェー
トカリウム塩(モノステアリルホスフェートカリウム塩
/ジステアリルホスフェートカリウム塩=50質量%/
50質量%)の10質量%水分散液とする以外は同様に
して紡糸、延伸を行った。延伸性は良好で、得られたポ
リケトン繊維も高性能、かつ、高品位であった。
【0056】
【実施例3】実施例1において、乾燥後のポリケトン繊
維に付与するイオン性化合物を、オクチルホスフェート
カリウム塩(モノオクチルホスフェートカリウム塩/ジ
オクチルホスフェートカリウム塩=45質量%/55質
量%)の10質量%水分散液とする以外は同様にして紡
糸、延伸を行った。延伸性は良好で得られたポリケトン
繊維も高性能、高品位であった。
【0057】
【実施例4】実施例1において、乾燥後のポリケトン繊
維に付与するイオン性化合物を、アルキルスルホネート
ナトリウム塩(アルキルはC10〜C15の直鎖飽和炭
化水素の混合物)の10質量%水分散液とする以外は同
様にして紡糸、延伸を行った。延伸性は良好で得られた
ポリケトン繊維も高性能、かつ、高品位であった。
【0058】
【実施例5】実施例1において、乾燥後のポリケトン繊
維に付与するイオン性化合物を、ジポリオキシエチレン
ラウリルエーテルホスフェートカリウム塩(エチレンオ
キサイド2モル付加物)の10質量%水分散液とする以
外は同様にして紡糸、延伸を行った。延伸性は良好で得
られたポリケトン繊維も高性能、かつ、高品位であっ
た。
【0059】
【実施例6】実施例1において、乾燥後のポリケトン繊
維に付与するイオン性化合物を、モノイソセチルホスフ
ェートカリウム塩/モノラウリン酸ナトリウム(=60
質量%/40質量%)混合物の10質量%水分散液とす
る以外は同様にして紡糸、延伸を行った。延伸性は良好
で得られたポリケトン繊維も高性能、高品位であった。
【0060】
【実施例7】実施例1において、イオン性化合物の濃度
を20質量%の水分散液として、乾燥後及び1段延伸後
の2段階で付与する以外は同様にして紡糸、延伸を行っ
た。延伸性は良好で得られたポリケトン繊維も高性能、
かつ、高品位であった。
【0061】
【実施例8】実施例1において、イオン性化合物の濃度
を2質量%の水分散液とする以外は同様にして紡糸、延
伸を行った。延伸性は良好で得られたポリケトン繊維も
高性能、かつ、高品位であった。
【0062】
【実施例9】実施例1において、得られた乾燥糸6本を
合糸する以外は同様にしてイオン性化合物を付与、4段
延伸を行い、繊度1655dtex/1500fのマル
チフィラメントを得た。工程通過性は極めて良好で、延
伸時に毛羽や断糸は全く発生せず、強度も優れていた。
得られたポリケトン繊維をZ方向に390回/mで下撚
り(下撚り張力0.05cN/dtex)し、これを2
本双糸し、S方向に390回/m上撚り(上撚り張力
0.05cN/dtex)してコードを製造した。撚糸
時の工程通過性は良好であり、毛羽やガイド上への糸の
巻き付きは発生せず、得られたコードも毛羽やフィブリ
ル状物のほとんどない品位の優れたものであった。撚糸
物の強度は13.3cN/dtexと高く、撚糸協力利
用率(撚糸後のコードの協力を撚糸前の繊維の強力で除
した100分率)は75.1%と非常に優れたものであ
った。
【0063】
【実施例10】実施例9において、4段延伸終了時にポ
リケトン繊維にローラー法で仕上げ剤を付与して巻き取
る以外は同様にして紡糸、合糸、延伸、撚糸を行った。
仕上げ剤は下記の組成のものを用いた。オレイン酸ラウ
リルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポ
リエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=
35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシ
ド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシ
ド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン
酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/3
0/10/5/23/1/1(質量%比)。
【0064】仕上げ剤の付着率は1.8質量%(対ポリ
ケトン繊維)であった。撚糸性は良好で、撚糸時に毛羽
や単糸の巻き付き等のトラブルは発生しなかった。得ら
れたコードを、下記の液組成のRFL(レゾルシン−ホ
ルマリン−ラテックス)液に浸漬した後に、乾燥ゾーン
(張力3Nで160℃で120秒の熱処理)、ヒートセ
ットゾーン(張力4.2Nで220℃で60秒の熱処
理)、ノルマライジングゾーン(張力2.8Nで220
℃、60秒の熱処理)を通してRFL処理コードを得
た。 (RFL液組成) レゾルシン 22.0部 ホルマリン(30質量%) 30.0部 水酸化ナトリウム(10質量%) 14.0部 水 570.0部 ビニルピリジンラテックス(41質量%) 364.0部 得られたRFL樹脂付着ポリケトンコードは撚糸強力利
用率が73.5%と高く、ゴムとの接着力も165N/
cm/cordと非常に高いものであった。
【0065】
【実施例11】実施例1において、乾燥糸12本を合糸
した後にイオン性化合物を付与する以外は同様にして紡
糸、延伸を行い総繊度3150detxのポリケトン繊
維を得た。得られたポリケトン繊維を押し込み型捲縮機
で捲縮を付与し、次いで220℃で熱固定を行い、引き
続きロータリーカッターにて短繊維に切断し、単糸繊度
0.9dtex、平均繊維長71mmのポリケトン短繊
維を得た。このポリケトン短繊維をスライバ状にして、
750T/mの片撚り(Z撚り)を加えて、繊度120
dtexの紡績糸を製造した。紡績時の工程通過性は良
好で、カードへの糸屑や油の付着による汚れや単糸の絡
みつき等の問題はなく、また、得られた紡績糸は、引っ
張り強度が7.5cN/dtexと高強度のものであっ
た。
【0066】
【比較例1】実施例1において、イオン性化合物を付与
しない以外は同様にして延伸を行った。1段延伸直後か
らロール上やガイド上で静電気による糸束の拡がりが観
察され、3段延伸のフィードロール上では隣接するフィ
ラメントの単糸どうしが重なり合い、単糸切れが発生し
た。得られた繊維は、強度は高いものの、静電気による
反発によって糸の解舒性が悪く、毛羽やフィブリル状物
の多い品位の劣るものであった。
【0067】
【比較例2】実施例1において、イオン性化合物の代わ
りに鉱物油(レッドウッド粘度100秒のパラフィンワ
ックス)を付与した。1段延伸時及び2段延伸時に糸束
からの発煙が観察された。延伸性は不良で、静電気によ
る糸束の拡がり、ロール上での単糸重なりによる単糸切
れが発生した。得られた繊維は強度は高かったものの、
毛羽が多く品位の劣るものであった。
【0068】
【比較例3】実施例1において、イオン性化合物の代わ
りにポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20モ
ル付加物)を付与した。延伸性は不良で、多段延伸の2
段目で断糸が起こり高倍率の延伸を行うことができなか
った。
【0069】
【比較例4】実施例1において、イオン性化合物の代わ
りにソルビタンモノステアレート/ポリオキシエチレン
ステアリルエーテル(EO20モル付加物)/ポリオキ
シエチレンオレイルエーテル(EO3モル付加物)=
(37.5/25/37.5質量%)を付与した。延伸
性は不良で、多段延伸の3段目で断糸が起こり高倍率の
延伸を行うことができなかった。
【0070】
【比較例5】実施例1において、イオン性化合物の代わ
りに下記の組成の油剤を付与したオレイン酸ラウリルエ
ステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエー
テル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/
65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10
モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10
モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナト
リウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/1
0/5/23/1/1(質量%比)。延伸時に断糸はな
かったものの、ガイドへの単糸巻き付きが発生した。ま
た、4段延伸後の繊維は茶褐色に着色し、単糸どうしが
膠着していた。得られた繊維の強度は実施例1に比べて
10%以上も低下していた。
【0071】
【比較例6】実施例1において、イオン性化合物の代わ
りにオレイルアミン酢酸塩を付与した。延伸性は不良
で、多段延伸の2段目で断糸が起こり高倍率の延伸を行
うことができなかった。
【0072】
【比較例7】実施例1において、付与するイオン性化合
物を濃度40質量%の水分散液として、2段階で付与す
る以外は同様にして紡糸、延伸を行った。得られた延伸
糸は茶色に着色し、ガイド及びロール上に白色状物の析
出が観察された。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】本発明のポリケトン繊維は、制電性、集
束性、耐摩耗性に優れる。また、製造に際して、延伸時
の工程通過性、さらには、強度、品位、取り扱い性、後
加工における工程通過性に優れる。本発明のポリケトン
繊維は、フィラメント数の多い産業資材用途であっても
優れた性能、品位を有し、タイヤコード、ロープ、ベル
ト、耐震補強材、セメント補強材、樹脂補強材等の複合
材料や紡績糸等の衣料材料に特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 101:16 D06M 101:16 Fターム(参考) 4L033 AB03 AC12 BA28 BA39 4L035 BB04 BB07 BB16 BB59 BB81 DD19 EE08 FF01 4L036 MA04 MA24 MA33 MA35 PA21 PA31 RA04 UA07 UA21

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の95〜100質量%が1
    −オキソトリメチレンからなるポリケトン繊維であっ
    て、下記(a)〜(d)からなる群より選ばれた少なく
    とも1種のイオン性化合物が、ポリケトン繊維に対して
    0.05〜5質量%付着していることを特徴とするポリ
    ケトン繊維。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は、水素、アルカリ金属、アルカリ土
    類金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも
    1種、R1〜R5は、炭素数が3〜30の有機基である)
  2. 【請求項2】 イオン性化合物(a)〜(d)を構成す
    るX1〜X5は、カリウム又はナトリウムであり、R1
    5は、炭素数が4〜18の炭化水素基であることを特
    徴とする請求項1記載のポリケトン繊維。
  3. 【請求項3】 イオン性化合物が、ポリケトン繊維に対
    して0.1〜1質量%付着していることを特徴とする請
    求項1又は2記載のポリケトン繊維。
  4. 【請求項4】 繰り返し単位の97〜100質量%が1
    −オキソトリメチレンであるポリケトンからなり、結晶
    化度が60%以上、かつ、結晶配向度が90%以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    のポリケトン繊維。
  5. 【請求項5】 ポリケトン繊維は、単糸数が100本以
    上のマルチフィラメントであって、強度が12cN/d
    tex以上、かつ、弾性率が250cN/dtex以上
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載のポリケトン繊維。
  6. 【請求項6】 ポリケトン繊維は、平均繊維長が5〜3
    00mmの短繊維であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載のポリケトン繊維。
  7. 【請求項7】 繰り返し単位の95〜100質量%が1
    −オキソトリメチレンであるポリケトンからなり、平均
    繊維長が10〜200mm、かつ、捲縮度が5〜50%
    であるポリケトン繊維を50質量%以上含有する紡績糸
    であって、下記(a)〜(d)からなる群より選ばれた
    少なくとも1種のイオン性化合物が紡績糸に対して0.
    05〜1質量%付着していることを特徴とする紡績糸。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は、水素、アルカリ金属、アルカリ土
    類金属、及び、及びNH4からなる群より選ばれた少な
    くとも1種、R1〜R5は、炭素数が3〜30の有機基で
    ある)
  8. 【請求項8】 繰り返し単位の95〜100質量%が1
    −オキソトリメチレンであるポリケトン繊維からなり、
    下記式で表される撚り係数(K)が1000〜3000
    0の範囲で撚糸されている撚糸コードであって、下記
    (a)〜(d)からなる群より選ばれた少なくとも1種
    のイオン性化合物が撚糸コードに対して0.05〜5質
    量%付着していることを特徴とする撚糸コード。 K=Y×D0.5 (式中、Yは1mあたりの撚り数(T/m)、Dは撚糸
    に用いたポリケトン繊維の総繊度(dtex)である) (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は、水素、アルカリ金属、アルカリ土
    類金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも
    1種、R1〜R5は、炭素数が3〜30の有機基である)
  9. 【請求項9】 繰り返し単位の95〜100質量%が1
    −オキソトリメチレンからなるポリケトンを紡糸する工
    程及び紡糸されたポリケトン繊維に熱を加えて延伸を行
    う工程を含むポリケトン繊維の製造方法において、延伸
    前及び/又は延伸途中に下記(a)〜(d)からなる群
    より選ばれた少なくとも1種のイオン性化合物を、ポリ
    ケトン繊維に対して0.05〜5質量%付与する工程を
    含むことを特徴とするポリケトン繊維の製造方法。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は水素、アルカリ金属、アルカリ土類
    金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも1
    種、R1〜R5は炭素数が3〜30の有機基である)
  10. 【請求項10】 繰り返し単位の95〜100質量%が
    1−オキソトリメチレンであり、下記(a)〜(d)か
    らなる群より選ばれた少なくとも1種のイオン性化合物
    が、繊維に対して0.05〜1質量%付着したポリケト
    ン繊維を、平均繊維長5〜300mmに切断し、ポリケ
    トン繊維の割合が50〜100質量%のスライバーを製
    造し、引き続き紡績を行うことを特徴とする紡績糸の製
    造方法。 (a)R1−P(=O)(OX1)(OX2) (b)R2−P(=O)(O−R3)(OX3) (c)R4−S(=O)(OX4) (d)R5−C(=O)(OX5) (式中、X1〜X5は水素、アルカリ金属、アルカリ土類
    金属、及びNH4からなる群より選ばれた少なくとも1
    種、R1〜R5は炭素数が3〜30の有機基である)
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