JPH0713334B2 - ポリフェニレンサルファイド繊維からなるミシン糸及びその製造法 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド繊維からなるミシン糸及びその製造法

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JPH0713334B2
JPH0713334B2 JP63100187A JP10018788A JPH0713334B2 JP H0713334 B2 JPH0713334 B2 JP H0713334B2 JP 63100187 A JP63100187 A JP 63100187A JP 10018788 A JP10018788 A JP 10018788A JP H0713334 B2 JPH0713334 B2 JP H0713334B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐熱性・耐薬品性に優れた、ポリフェニレン
サルファイド繊維からなるミシン糸及びその製造法に関
する。更に詳しくは、本発明は力学的性質及び収縮特性
が改善され、更に取り扱い性も良好なポリフェニレンサ
ルファイド繊維からなるミシン及び、糸切れ,毛羽発生
の極めて少ないポリフェニレンサルファイドミシン糸の
工業的製造法に関する。
(従来技術) 従来、ミシン糸用素材としては、綿糸,絹糸等の天然繊
維素材や、ポリエステル繊維,ナイロン繊維,ビニロン
繊維等、合成繊維素材が広く用いられている。
一方、近年、用途の多様化が進み、より耐熱性,耐薬品
性が優れたミシン糸も要望されつつある。この要望を満
たすためには、上記素材では限界があり、上記以外の素
材についても試みられている。例えば、実開昭52-87736
号公報には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維
を用いたミシン糸が記載されている。唯、このポリメタ
フェニレンイソフタルアミド繊維は、耐湿熱性、特に耐
薬品性(耐アルカリ・耐酸性)の点で、更に改良の余地
が残されている。尚、耐酸性・耐アルカリ性に優れた素
材として、フッ素ポリマーが知られているが、フッ素ポ
リマーは強度が1〜2.5g/deと低いため、ミシン糸とし
ては、更に改良の余地がある。
他方、その優れた耐熱性・耐薬品性を生かして、電気・
電子分野,自動車分野・機械分野等に急激に使用され始
めているものとしてポリフェニレンサルファイドがあ
る。その繊維化についても多くの提案がなされている
(例えば、特開昭52-30609号公報,特開昭58-204047号
公報,特開昭57-143518号公報,特開昭61-75812号公
報)。
しかしながら、従来の提案では(a)モノフィラメント
の如き極めて線径が太いものを得るに過ぎない,(b)
物性面でも不充分なものしか得られていなく、まして
(c)物性面でも優れた、マルチフィラメントからなる
ミシン糸に関しては、全く報告されていない。従って、
本発明の如く、力学的性質が優れ、寸法安定性良好なポ
リフェニレンサルファイド繊維からなるミシン糸及びそ
の工業生産技術確率が強く要望されていた。
(発明の目的) 本発明の第1の目的は、機械的性質更に寸法安定性に優
れたポリフェニレンサルファイド繊維からなるミシン糸
及びその製造法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、取り扱い性が良好なポリフェニ
レンサルファイド繊維からなるミシン糸及びその製造法
を提供することにある。
本発明の第3の目的は、工業的生産において、糸切れ,
毛羽発生が極めて少ないポリフェニレンサルファイド繊
維からなるミシン糸の製造方法を提供することにある。
(構成) 本発明者等は、前記目的を達成すべく検討を重ねた結
果、本発明に到った。
すなわち、本発明によれば、 (1) 上撚及び下撚を付与されたミシン糸において、
その構成ポリマーが実質的にポリフェニレンサルファイ
ドであり、更に下記〜の要件を同時に満足すること
を特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維からなる
ミシン糸。
ミシン糸の強度(St)が3.0g/de以上で、シルクフ
ァクター(SF)が18以上であること。
220℃における乾熱収縮率(HS)が8.0%以下である
こと。
ミシン糸を構成するポリフェニレンサルファイド繊
維の単糸デニールが2〜10であること。
ミシン糸の解撚トルク(T)が20T/m以下であるこ
と。
(2) 繰り返し単位の85%以上がフェニレンサルファ
イドからなる線状ポリフェニレンサルファイドを溶融
し、口金温度310〜330℃,紡糸速度1000m/分以下で紡糸
し、次いで延伸熱処理を行って延伸糸とし、引き続き下
記・の操作を行うことを特徴とするポリフェニレン
サルファイド繊維からなるミシン糸の製造法。
該延伸糸に、撚係数(K)が3000〜12000になるよ
うに下撚を付与し、次いで少なくとも140℃以上の温度
で撚止めセットを行う操作。
の操作で得られたマルチフィラメントを複数本合
糸し、撚係数(K)が3000〜15000になるように上撚を
付与し、次いで180℃以上、融点未満の温度で、解撚ト
ルク(T)が20T/m以下になるように撚止めセットを行
う操作。
が提供される。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明のミシン糸は、強度(St)が3.0g/de以上、シル
クファクター(SF)が18以上と、優れた力学的性質を有
する。すなわち、強度(St)が3.0g/de未満でシルクフ
ァクター(SF)が18未満の場合は、ミシン糸としての力
学的性質が貧弱であるため、ミシン糸加工時の糸切れが
多発し、更には目とびも発生しやすく縫製性そのものも
不充分であり、実用的なものとはならない。前述の如
く、ポリフェニレンサルファイド繊維からなるミシン糸
に関する詳細な報告はなく、また、従来のポリフェニレ
ンサルファイド繊維からなる糸を作成しても、上記の物
性を得られなかったが、本発明のポリフェニレンサルフ
ァイドからなるミシン糸は、「実用可能なミシン糸」と
して工業的に極めて有効なものである。
次に、本発明のミシン糸は、220℃の乾熱収縮率(HS)
が8.0%以下と寸法安定性が極めて良好である。
一般に、寸法安定性が悪い場合は、縫製品の消費過程で
パッカリング発生しやすくなり好ましくなく、特に、本
発明のミシン糸を使用した縫製品は、その布帛のセット
過程で例えば220℃以上の高温を通過することもあり、
ミシン糸自体の温度での寸法安定性が要求される。その
目安として、220℃の乾燥収縮率(HS)を採用すること
ができる。すなわち、220℃の乾熱収縮率(HS)が8.0%
を越える場合は、高温での寸法安定性が悪く、縫目外観
が“きたない”ものとなり好ましくない。
更に、本発明のミシン糸は、解撚トルク(T)が20T/m
以下と小さいため、使用段階でスナールが発生しなく、
極めて取り扱い性がよい。
また、本発明のミシン糸を構成するポリフェニレンサル
ファイド繊維の単糸デニールは2〜10デニール、好まし
くは3〜7デニールである。単糸デニールが2デニール
未満の場合は、ミシン糸を作成するまでの生産性が著し
く低下するので好ましくない。すなわち、単糸デニール
が2デニール未満の場合は、紡糸・延伸過程での断糸・
単糸切れ・毛羽が多発すること、更には、引き続き行う
撚糸・セット過程でも単糸切れ・毛羽が多発するためで
ある。ポリフェニレンサルファイド繊維は合成繊維の中
でも最も用いられるポリエチレンテレフタレート繊維に
比べてヤング率が低く、ソフトであるが、それでも単糸
デニールが10デニールを越えると、ミシン糸が硬く曲り
にくくなり、きれいな縫目ができなくなるので好ましく
ない。
上記の特性を有するミシン糸を製造するためには、以下
の製造を採用することが肝要であり、その製造法につい
て詳細に述べる。
本発明で用いるポリフェニレンサルファイドは、公知の
合成法、例えば、極性有機溶剤中で、無水硫化ナトリウ
ムと多ハロゲン置換の芳香族化合物とを反応させること
によって得ることができ、ポリマーの繰り返し単位の90
%以上が で構成されたポリマーである。勿論、他に10%未満のメ
タフェニレンサルファイド 等が含まれていてもよい。
尚、ポリマーの重合度は紡糸・延伸性、更には生産性の
観点から、温度320℃,剪断速度()1000sec-1の条件
で、溶融粘度700〜1200ポイズの相当の線状ポリフェニ
レンサルファイドが好ましい。溶融粘度が700ポイズ未
満の場合は、重合度が低いため力学的性質が充分なミシ
ン糸を得ることができない。溶融粘度が1200ポイズを越
えるときは、重合度が高過ぎるため、紡糸速度が上がら
ず、生産性面の好ましくなく、また、力学的性質も必ず
しも飛躍的に向上するわけでもなく、メリットはない。
このようなポリマーを用いて、優れた物質を有するミシ
ン糸を製造するためには、まず、ミシン糸製造に供する
原糸(延伸糸)を充分に高強度・高シルクファクターな
ものにする必要がある。このためには、紡糸の際、紡糸
口金面温度を310〜330℃に設定することが肝要である。
口金面温度が310℃未満の時は、口金属温度が低過ぎる
ため、原糸(延伸糸)の物性は不充分となり、又、紡
糸,延伸時の・単糸切れが多くなり、生産性も低下す
る。そのため、ミシン糸の製造の際も毛羽,断糸が発生
するので好ましくなく、得られるミシン糸物性も充分で
ない。
一方、口金面温度が330℃を越える場合は、温度が高過
ぎ、繊維の着色化が進み、紡糸性の低下、更には、延伸
性も低下し好ましくない。
一方、紡糸速度としては1000m/分未満、好ましくは300
〜800m/分が採用される。紡糸速度が1000m/分を越える
場合は、(i)得られる延伸糸の強度が充分でない、
(ii)延伸工程での単糸切れが多発する、(iii)毛羽
もでやすい、といった欠点がある。尚、紡糸速度が300m
/分未満の場合は、生産性が低くなる。
ここで、紡糸設備としては、紡糸温度340〜350℃程度の
高温紡糸可能な設備であれば、ポリエステルに採用して
いる既存の設備をそのまま使用できる。唯、本発明にお
いては、紡糸口金温度の適性化が、高生産性・高特性を
満足する上で重要であるので、紡糸口金面に温度検出端
を挿入し、紡糸温度・口金面周りの温度調整により口金
属面温度をコントロールすることが必要である。
次に、延伸・熱処理操作であるが、本発明においては、
延伸熱処理を一度で行なうのではなく、一度、150℃未
満の温度での延伸で配向結晶化させてから、150℃以上
の温度で熱処理する方法が好ましい。又延伸速度も必ず
しも制限されるものではなく、通常の延伸速度、例えば
100〜800m/分程度を採用すればよい。
このようにして得られた原糸(延伸糸)は、強度が4g/d
e以上でシルクファクターが20以上と、力学的性質が優
れたものとなる。
次いで、上記原糸(延伸糸)を用いて、下記の如くミシ
ン糸を作成する。
まず、撚係数(K)が3000〜12000の範囲で下撚を付与
する。この際、撚係数が3000未満の時は、ミシン糸の収
束性が不充分となり、縫製の際、ミシン糸が布地の表面
で単繊維に分離しやすくなり好ましくない。
一方、撚係数(K)が12000を越える時は、撚に繊維の
内部歪が大きくなり、強度低下が大きくなり好ましくな
い。
次に、上記撚を付与したマルチフィラメントを熱セット
して解撚トルクを止める必要がある。ポリエチレンテレ
フタレートの場合は、通常130℃以下の湿熱・乾熱中で
充分目的を達成することができるが、ポリフェニレンサ
ルファイド繊維の場合は、この程度の温度ではトルクは
減少せず、解撚トルクは極めて大きく、スナールも多く
なり、取り扱い性が極めて悪くなる。従って、より高温
でセットする必要があり、少なくとも140℃以上の温度
を必要とする。具体的には、表面温度が160℃以上に加
熱されたローラーを用いると、簡便に行なうことができ
る。
次に、上記の撚糸されたマルチフィラメントを複数本合
糸し、上撚を付与する。上撚の方向は下撚の方向と逆で
あり、通常、下撚はS撚,上撚はZ撚を付与させる。通
常のミシン糸の製造においては、上撚数は、下撚数の70
〜90%の領域を用いる。ポリフェニレンサルファイド繊
維からなるミシン糸についても、この条件を採用でき、
撚係数(K)は3000〜15000の領域が好ましい。これは
トルクを小さくするという観点から設定したもので、例
えば撚係数が3000未満(下撚:S方向,上撚:Z方向)の時
は、Z方向のトルクが大きくなり、又15000を越える時
は、S方向のトルクが大きくなるので、高温でセットし
ても解撚トルクが20T/m以上となり、ミシン糸として取
り扱い性が低下するため好ましくない。
次いで、上撚のセット温度は180℃以上が好ましい。セ
ット温度が180℃未満の時は撚止め効果が充分で、解
撚トルクが20T/m以上となること、ミシン糸としての
寸法安定性(特に高温での)が不充分で、例えば220℃
での乾熱収縮率が8.0%を越え好ましくない。
尚、上撚のセット方法は、下撚のセット方法と同様に表
面ローラー温度180℃以上、好ましくは200℃以上の加熱
ローラーを用いるのが簡単である。尚、ミシン糸の解撚
トルクは10T/m以下にすると、より好ましい。又、上撚
セット糸は、ミシン糸としての平滑性を向上させるた
め、シリコンオイルに鉱物油を加えた油剤を1〜5%
(対繊維重量)付与することが好ましい。
(作用効果) ポリフェニレンサルファイドは、耐熱性・耐薬品性に優
れたポリマーであり、その繊維化についても数多くの報
告がなされている。しかしながら、実用性のあるミシン
糸及び製造法に関しては、これまで具体的には何等報告
がなされていない。これは、通常の合成繊維、例えばポ
リエステル・ナイロンに比べて、繊維用グレードとして
のポリマーレベルが低いこと、繊維化特にマルチ繊維化
としての製糸技術も必ずしも確立されてはいないこと、
更には、ポリフェニレンサルファイド自体摩耗しやす
く、単糸切れ・毛羽が発生しやすいという問題があり、
しかも、その撚止めセット技術は何等報告されておら
ず、前述の実用性のあるミシン糸及びその製造技術が確
立されていなかったのである。その意味において、本発
明のミシンと及びその製造法は、工業的に極めて大きい
意義を有する。
すなわち、本発明により、強度3.0g/de以上、シルク
ファクター18以上という優れた力学的性質,220度に
おける乾熱収縮率が8.0%以下という優れた寸法安定性
を備え、かつ単糸デニールが2〜10デニールと細く、
解撚トルクが20T/m以下という取り扱い性に優れ、
更に耐湿熱性・耐薬品性が良好なポリフェニレンサルフ
ァイド繊維からなるミシン糸を工業的に安定して生産す
ることができる。
(実施例) 以下、本発明を実施例により、更に説明する。本実施例
において用いる物性は、下記の方法で測定したものであ
る。
(1) 強度(St),伸度(El) 通常の引張型試験機にて、室温25℃,湿度60%で試料長
20cm,引張速度200mm/分の条件で応力−伸度曲率を求
め、応力が最大となる点の伸度(Fl)を読みとった。
又、最大応力を試料の繊度で割った値を強度(St)とし
た。
(2) 220℃乾熱収縮率 マルチフィラメントの「カセ」を作り、180℃に設定し
た乾燥機内で、30分間,無荷重下で処理した時の収縮率
を以下の式より求めた。
(3) シルクファクター(SF) (1)で求めた強度(St)と伸度(El)の値を用いて、
以下の式より求めた。
(4) 断糸発生状況 下撚及び上撚を付与する工程での断糸を定性的に評価し
た。
(5) 毛羽,発生状況 ミシン糸の表面を肉眼で観察し、定性的に評価した。
(6) 解撚トルク(T/m) 輪差にした糸に1mg/de相当の荷重をかけ、荷重が静止す
るまで放置する。(荷重をつるして待つ)次に、この時
の撚数を測定する。
撚数は、浅野機械(株)検撚機を用い、試料長50cmにて
測定し、T/mに換算した。
(7) 撚係数(K) 撚数(T)と撚を付与されるマルチフィラメントのデニ
ール(D)より、以下の式で求めた。
実施例1〜3,比較例1〜10 180℃の熱風乾燥機中で4時間乾燥したポリフェニレン
サルファイド(温度320℃,剪断速度103 sec-1での溶
融粘度970ポイズ)のチップを340℃で溶融し、孔径0.35
φ,ランド長0.70mmの丸孔が100個設置された紡糸口金
より押出した。その際、表−1に示すように、口金温
度,紡糸速度,及び延伸後200de/100filになるように、
吐出量を変更して行なった。引き続き、押出されたポリ
マー流を冷却固化させ、油剤を付与させた後、捲き取っ
た。
次に、得られた未延伸糸を、表面温度が100℃及び120℃
のローラー間で延伸を行ない、次いで表面ローラー温度
が210℃のローラーで熱処理を行なった後、冷却ローラ
ーを通して、350m/分の速度で捲き取った。尚、各実験
における全延伸倍率は表−1に示す。
引き続いて、前述の延伸糸に以下の処理を施し、ミシン
糸を作成した。まず200de/100filにSの下撚をかけ、次
いで、高温ローラーで(速度100m/分)で熱処理を行な
い、冷却ローラーを通して捲き取った。次いでこれを3
本引き揃え600de/300filとし、Zの上撚をかけ、次いで
高速ローラー(速度100m/分)で熱処理を行ない、冷却
ローラーで冷却した後、シリコン系の油剤を付与し(繊
維重量対比約3wt%)捲き取り、ミシン糸とした。
尚、下撚及び上撚付与の際の撚係数及びセット温度を表
−1に記す。
得られたミシン糸の物性及びミシン糸作成過程における
糸切れ・毛羽発生状況を表−2に記す。
比較例1は口金温度が低いため、紡糸・延伸工程での断
糸,単糸切れが多く、引き続いて行なった下撚付与,上
撚付与での断糸が多発した。又、力学的性質も不充分で
あり、毛羽も多かった。
実施例1〜3は、本発明の例であり、ミシン糸として力
学的性質が優れ、寸法安定性も良好であった。又、品位
の面でも毛羽がなく、良好な外観を呈していた。更に、
製造の際の工程通過性も極めて良好であった。
比較例2は、紡糸時の口金温度が高過ぎるので、吐出さ
れた繊維の着色の程度が大きく、紡糸・延伸での工程調
子及び下撚・上撚を付与する時の断糸も改善の余地があ
り、更に品質も不充分であった。
比較例3は紡糸速度が高過ぎるため、力学的性質の優れ
たミシン糸を得ることができなかった。又、工程通過性
が極めて悪く、ミシン糸の毛羽も多く存在していた。
比較例4,5は下撚のセット温度が低く、撚止め性が極め
て悪いので、上撚の際、スナールにより、ガイドでの断
糸が多く、毛羽も多かった。
比較例6は、下撚の際の撚数が低いため、マルチフィラ
メントとしての収束性が不充分で、引き続き行なう上撚
においては、単糸割れによる断糸が多発した。又、毛羽
も多く存在していた。
比較例7は、下撚の撚が大き過ぎ、ミシン糸の強度が低
く、又、解撚トルクも多く取り扱い性が良くなかった。
比較例8は、上撚が不足し、比較例9は上撚が多過ぎ
て、S撚とZ撚とのバランスがくずれ、解撚トルクが極
めて多く、取り扱い性が極めて悪かった。
比較例10は、上撚後のセット温度が低いため、220℃の
乾熱収縮率が高く、高温下の寸法安定性が不充分であっ
た。又、撚止め性も不充分であり取り扱い性も良くはな
かった。
尚、本発明で述べている、毛羽・断糸の発生状況は、以
下の定義による。
[毛羽状況] [断糸発生] *リング撚糸機で速度20m/分 次に、実施例2のミシン糸を用いて、ポリエステル65
%,レーヨン35%の平織物(目付180g/cm2)を4枚重
ね、縫製速度2500rpmで縫製したところ、3分間にミシ
ン糸の切断は全く起こらなかった。更に、可縫性も良好
で、目飛びもほとんど発生しなかった。
続いて、実施例2のミシン糸につき、耐湿熱性・耐アル
カリ性・耐酸性のテストを行なった。尚、比較として、
ポリフェニレンイソフタルアミド繊維からなるミシン糸
(600de/300fil,下撚係数6800,上撚係数10500付与)を
用いた。
結果を、表−3に記する。尚、表中の強度保持率は(処
理後の強力/処理前の強力)×100(%)として求め
た。
このように、本発明のミシン糸は、耐アルカリ性・耐酸
性ともに優れ、更に耐湿熱性の点でも優れた特性を有し
ていた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上撚及び下撚を付与されたミシン糸におい
    て、その構成ポリマーが実質的にポリフェニレンサルフ
    ァイドであり、更に下記〜の要件を同時に満足する
    ことを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維から
    なるミシン糸。 ミシン糸の強度(St)が3.0g/de以上で、シルクフ
    ァクター(SF)が18以上であること。 220℃における乾熱収縮率(HS)が8.0%以下である
    こと。 ミシン糸を構成するポリフェニレンサルファイド繊
    維の単糸デニールが2〜10であること。 ミシン糸の解撚トルク(T)が20T/m以下であるこ
    と。
  2. 【請求項2】繰り返し単位の85%以上がフェニレンサル
    ファイドからなる線状ポリフェニレンサルファイドを溶
    融し、口金温度310〜330℃,紡糸速度1000m/分以下で紡
    糸し、次いで延伸熱処理を行って延伸糸とし、引き続き
    下記・の操作を行うことを特徴とするポリフェニレ
    ンサルファイド繊維からなるミシン糸の製造法。 該延伸糸に、撚係数(K)が3000〜12000になるよ
    うに下撚を付与し、次いで少なくとも140℃以上の温度
    で撚止めセットを行う操作。 の操作で得られたマルチフィラメントを複数本合
    糸し、撚係数(K)が3000〜15000になるように上撚を
    付与し、次いで180℃以上、融点未満の温度で、解撚ト
    ルク(T)が20T/m以下になるように撚止めセットを行
    う操作。
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