JP2008069476A

JP2008069476A - 手袋

Info

Publication number: JP2008069476A
Application number: JP2006248844A
Authority: JP
Inventors: Takashi Yanai; 谷内　　孝; Shinichi Okajima; 真一岡嶋; Kiyoshi Miyaji; 清宮地
Original assignee: Asahi Kasei Fibers Corp
Current assignee: Asahi Kasei Corp
Priority date: 2006-09-14
Filing date: 2006-09-14
Publication date: 2008-03-27

Abstract

【課題】本発明は、着用快適性に優れた手袋を提供するものである。
【解決手段】捲縮糸で構成された手袋であって、該捲縮糸が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維で構成されていることを特徴とする手袋
−ＣＨ_２−ＣＨ_２−Ｃ− （１）
‖
Ｏ
【選択図】なし

Description

本発明は手袋に関し、さらに詳しくはソフト風合かつ伸縮性に優れ、着用時の作業性等、着用快適性に優れた手袋に関する。

切創防止に優れた手袋として、例えば特許文献１には、パラ系アラミド繊維の捲縮糸（加撚−解撚法による加工糸やニットデニット加工糸等）を用いた手袋は、パラ系アラミド繊維の原糸や紡績糸で構成された手袋と比べて、伸縮性に優れ、着用時の作業性に優れると記載されているが、伸縮性やソフト風合面で着用快適性が十分であるとはいえないものであった。
特開２００４−１３７６２７号公報

本発明の課題は、ソフト風合かつ伸縮性に優れ、着用時の作業性等着用快適性に優れた手袋を提供することにある。

本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は下記の通りである。

（Ｉ）捲縮糸で構成された手袋であって、該捲縮糸が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維（以下ポリケトン繊維という）で構成されていることを特徴とする手袋。

−ＣＨ_２−ＣＨ_２−Ｃ− （１）
‖
Ｏ
（ＩＩ）捲縮糸が、仮撚加工糸又はニットデニット加工糸であることを特徴とする上記（Ｉ）記載の手袋。

本発明によれば、ソフト風合かつ伸縮性に優れ、着用時の作業性等、着用快適性に優れた手袋が提供される。

本発明について以下に具体的に説明する。
本発明のポリケトン繊維を構成するポリケトンは、繰り返し単位の９５モル％以上、好ましくは９８モル％以上、特に９９．６モル％以上が、上記式（１）で示されるものである。上記ポリケトンには、５モル％未満の範囲で、上記式（１）以外の繰り返し単位、例えば、下記式（２）に示すもの等を含有していても良い。

−Ｒ−Ｃ− （２）
‖
Ｏ
但し、Ｒは、エチレン以外の炭素数１〜３０の有機基であり、例えば、プロピレン、ブチレン、１−フェニルエチレン等であり、Ｒの水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Ｒは二種以上であってもよく、例えば、プロピレンと１−フェニルエチレンが混在していてもよい。

ポリケトンの固有粘度［η］は、好ましくは１ｄｌ／ｇ以上、より好ましくは２ｄｌ／ｇ以上、特に好ましくは４ｄｌ／ｇ以上、２０ｄｌ／ｇ以下、１５ｄｌ／ｇ以下、１０ｄｌ／ｇ以下が好ましい。
尚、固有粘度［η］は次の定義式に基づいて求められる値である。

［η］＝ｌｉｍ（Ｔ−ｔ）／（ｔ・Ｃ）
Ｃ→０
式中のｔ及びＴは、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール（セントラル硝子（株）社製）及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の２５℃での粘度管の流過時間である。Ｃは、上記希釈溶液の濃度であり、ヘキサフルオロイソプロパノール１００ｍｌ中のポリケトンの質量（ｇ）である。
ポリケトンには必要に応じて、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含んでいてもよい。

次に、ポリケトン繊維の好ましい特性としては、引張強度は５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは１０ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは１５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、３０ｃＮ／ｄｔｅｘ以下であり、引張伸度は３％以上、より好ましくは３．５％以上、特に好ましくは４％以上、８％以下、より好ましくは７％以下、特に好ましくは６％以下であり、引張弾性率は１００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは２００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは３００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、１０００ｃＮ／ｄｔｅｘ以下である。

ポリケトン繊維は、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸並びに紡績糸が包含されるが、本発明の目的達成の上では、マルチフィラメント糸が好ましい。
ポリケトン繊維の好ましい単糸繊度や総繊度は、捲縮糸の種類によって好適な範囲があり、例えば仮撚加工糸や流体噴射加工糸では、好ましい単糸繊度は、０．０１〜１０ｄｔｅｘ、より好ましくは０．１〜３ｄｔｅｘ、特に好ましくは０．５〜３ｄｔｅｘ、又、好ましい総繊度は１０〜３０００ｄｔｅｘ、より好ましくは３０〜２５００ｄｔｅｘである。

又、押し込み加工糸やニットデニット加工糸では、好ましい単糸繊度は、０．０１〜１０ｄｔｅｘ、より好ましくは０．１〜３ｄｔｅｘ、特に好ましくは０．５〜３ｄｔｅｘ、又、好ましい総繊度は１０〜１０００００ｄｔｅｘ、より好ましくは３０〜５００００ｄｔｅｘである。

本発明の特徴は、かかるポリケトン繊維の捲縮糸で手袋を構成したことである。
ここで、捲縮糸としては、仮撚加工糸、流体噴射加工、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等、従来公知の各種捲縮糸を包含するものであるが、本発明の目的達成上、特に、仮撚加工糸、ニットデニット加工糸が好ましい。
以下、好ましい仮撚加工糸、ニットデニット加工糸について詳述する。

ポリケトン繊維の仮撚加工糸の好ましい特性としては、伸縮伸長率が１０％以上、好ましくは２０％以上、より好ましくは３０％以上、特に３５％以上、１５０％以下、１００％以下、より好ましくは９０％以下、特に８０％以下であり、伸縮弾性率は３０％以上、好ましくは４０％以上、より好ましくは５０％以上、特に好ましくは６０％以上、さらには６５％以上、１００％以下、より好ましくは９５％以下、特に好ましくは９０％以下である。

この範囲内の伸縮伸長率並びに伸縮弾性率を有する仮撚加工糸を用いた手袋は、優れた伸縮性を有し、着用快適性に優れたものとなる。
かかる特性を有する仮撚加工糸を得るには、下記式において、仮撚係数（Ｋ１）を１８５００〜３７０００の範囲内で選定すればよく、好ましくは仮撚係数（Ｋ１）が２００００〜２８０００、好ましくは２２０００以上、２７０００以下で仮撚加工するのがよい。

Ｔ１＝Ｋ１／Ｄ^１／２
Ｔ１＝仮撚数(Ｔ／ｍ)、Ｄ＝仮撚加工に供給する糸条の繊度（ｄｔｅｘ）
仮撚加工糸は、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エア加撚タイプ等、いかなる方法によるものでもよいがピンタイプが好ましく、又、１ヒーター仮撚、２ヒーター仮撚のいずれであってもよい（ヒーターは接触でも非接触でもよい）。

仮撚ヒーター温度は、第１ヒーターの出口直後の糸条温度が好ましくは１５０℃以上、より好ましくは１６０℃以上、さらに好ましくは１８０℃以上、２３０℃以下、より好ましくは２２０℃以下の範囲になるように、ヒーター温度を設定することが好ましい。第１ヒーター内のオーバーフィード率（第１オーバーフィード率）は−１％〜＋５％とするのが好ましい。

また必要に応じて、２ヒーター仮撚糸としてもよく、第２ヒーターの出口直後の糸条温度は、８０〜２００℃が好ましく、第１ヒーターの出口直後の糸条温度に対して−７０℃〜＋０℃の範囲とするのが好ましい。第２ヒーター内のオーバーフィード率（第２オーバーフィード率）は＋３％以上＋３０％以下とするのが好ましい。
仮撚加工糸は、希望に応じて、先撚（仮撚方向と同方向又は逆方向）した糸条を用いて仮撚した先撚仮撚糸としてもよく、又、得られた仮撚糸に追撚（仮撚方向と同方向又は逆方向）してもよい。

次に、ニットデニット加工糸とは、ポリケトン繊維で編地を作成し（ニット）、熱セット後に、解編する（デニット）方法で得られる加工糸である。
編地を作成する編機としてはシングル編機が好ましく、好ましいゲージは５〜３８ゲージ、より好ましくは１０〜２８ゲージである。
また、好ましい編機の釜径としては直径５．０５〜２０．３２ｃｍ（２〜８インチ）、より好ましくは７．６２〜１２．７ｃｍ（３〜５インチ）である。

尚、編み立て時の度目については特に限定されるものではなく、目的とする伸縮伸長率並びにデニットでの解舒が可能な範囲で任意に調整すればよい。通常、編下ろしした編地のコース／ウエールの値が０．６〜１．８の範囲内となるようにすればよい。尚、コース、ウエールはＪＩＳＬ−１０１８の密度の測定に準拠して測定した値である。

次いで、熱セットは、乾熱セット、スチーム等の湿熱セット、熱水中の液セットのいかなる方法、更には、これらを組み合わせた方法を採用してもよく、ニットループの形状を固定できれば良い。処理温度は、乾熱の場合８０〜２１０℃、湿熱の場合６０〜１５０℃、液セットの場合６０〜１４０℃で行えば良く、処理時間も５秒〜１２０分の範囲から適宜選定すればよい。

デニット時の解舒性を向上するために、編地形態で一般に市販されているオイリング油剤等を付与してもよい。
デニット後のコーン巻き等については常法に従って行えばよいが、ワインダーにはクイックトラバース方式のものを用いればよく、その際の巻硬度は４０〜６０度が好ましく、織編物に用いる場合の解舒が良好になるので好ましい。

尚、デニット時の解舒性を向上するために、１０〜３００Ｔ／ｍ程度の甘撚を行った糸条を用いてニットデニットしてもよい。撚糸装置としては特に限定されるものではなく、イタリー撚糸機、リング撚糸機、ダブルツイスター等を使用することができ、撚り止めセットを常法に従って行っても構わないし、撚り止めセットをせずに用いても何ら問題ない。

このようにして得られたニットデニット加工糸の好ましい特性として、伸縮伸長率は１０〜１００％、より好ましくは２０％〜１００％、特に好ましくは３０％〜１００％である。１０〜１００％の範囲であると、伸縮性や膨らみ感が優れた着用快適性に優れた手袋となる。

又、残留トルク数は０〜２０個／ｍ、より好ましくは１０個／ｍ以下、更に好ましくは５個／ｍ以下である。この範囲であると、織編物等に用いても織編物の斜行が殆ど発生しないものを得ることが出来る。

本発明では、かかる捲縮糸１００％で手袋を構成しても良いが、好ましくは３０質量％以下の範囲で、ポリケトン繊維以外の繊維例えば、綿、羊毛等の天然繊維、レーヨン繊維、ライオセル繊維等のセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維（パラ系、メタ系）、ポリビニルアルコール繊維、ポリ（ｐ−フェニレンベンゾビスオキサゾール）繊維、超高分子量ポリオレフィン繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、金属繊維等公知の各種繊維と混用して用いても良い。混用手段も交撚（双糸、三子等）、混繊、カバリング（シングル又はダブル）、交編織等公知の混用手段を採用すればよい。尚、上記の各種繊維は、原糸、紡績糸、捲縮糸（本発明で定義した各種加工糸を含む）等の糸条形態のものを用いることができる。

尚、例えば屋外で強い紫外線を受けることによってポリケトン繊維の引張強度等の低下を抑制する目的で、繊維又は捲縮糸や織編物等の形態で紫外線吸収材（例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の一種又は二種以上の組み合わせがある。）及び／又は紫外線遮蔽剤を含有させることが好ましい。紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム等の微粒子があり、平均粒径は０．０１〜０．６μｍが好ましい。含有させる方法としては、例えば、繊維又は捲縮糸や織編物等に紫外線吸収材及び／又は紫外線遮蔽剤を含有した樹脂やフィルムを付与又は被覆する方法がある。紫外線吸収材及び／又は紫外線遮蔽剤の含有量は、樹脂やフィルムの質量に対して０．００１〜１０質量％が好ましい。

本発明において、手袋とは、編物、織物、不織布並びにこれらを組み合わせた布帛形態で構成されているものを包含するが、本発明の目的達成上、編物を主体にしたものが好ましく、例えば、島精機製作所製等市販のコンピューター手袋編機を用いて製編したものがあげられる。

尚、手袋はそのまま用いても良いが、従来公知の各種処理例えば、防滑性等付与を目的に手袋の一部又は全部に、手のひら側の外面や外面全面に塩化ビニル樹脂やラテックス、天然ゴム、合成ゴム等のエラストマーを公知の手段によってコーティングやラミネートしてもよい。又、蒸れ防止等からガス透過性かつ液体不透過性のエラストマー、例えば多孔質や無孔質ポリウレタン、多孔質ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）をコーティングまたはラミネートしてもよい。この手袋の上にさらにゴム等のエラストマー手袋を加工しても良い。

具体的に手袋の用途例としては、製鉄用、溶接用、塗装用、消防用、カーレースのレーシング用があるが、特に本発明では、優れた着用快適性から、精密機械産業用、航空機産業、情報機器産業、医療手術又は衛生分野のように繊細な作業が要求される分野に好適である。

さらには、本発明の手袋は、優れた着用快適性に加えてソフト風合でかつ薄手にできることから、手術等の医療行為において、メスや注射針等から医師等の医療従事者を保護するために、ゴム等のエラストマー手袋の内側に用いる、いわゆるインナー手袋として最適である。

本発明を実施例に基づいて説明する。
本発明における測定方法及び評価方法は以下の通りである。

（１）引張強度、引張伸度、引張弾性率
ＪＩＳ−Ｌ−１０１３に準じて測定する。
サンプル長：２０ｃｍ、引張速度：２０ｃｍ／分で測定し、２０回測定した時の平均値を求める。

（２）伸縮伸長率、伸縮弾性率
ＪＩＳ−Ｌ−１０９０伸縮性試験方法（Ａ法）に準じて伸縮伸長率（％）、伸縮弾性率（％）の測定を行い、５回の平均値を算出する。試料の前処理方法としては、２．６×１０^−４ｃＮ／ｄｔｅｘの荷重下で乾熱９０℃×１５分処理を行い、一昼夜放置する。

（３）手袋のソフト風合
繊維の研究に従事する５人の検査員によって手触りによる官能検査を行い、下記のランク付けを行った。
＜ソフト風合＞
○：ソフトと感じる。
△：ややソフトと感じる。
×：硬いと感じる。

（４）手袋の斜行度合
ＪＩＳＬ−１０１８の編目曲がりに準拠してコース曲がり及びウエール曲がり測定を行った。下記の基準に従いランク付けを行った。尚、コース及びウエール曲がりが５％未満であれば実質的に布帛の斜行は無いと判断できるレベルである。
○：コース、ウエール曲がり共に５％未満。
△：コース、ウエール曲がり共に５％以上、７％未満。
×：コース、ウエール曲がり共に７％以上、１０％未満。

（５）手袋の着用快適性
繊維の研究に従事する５人の検査員によって着用による官能検査を行い、下記のランク付けを行った。
＜着用快適性＞
○：着用快適性に優れている。
△：着用快適性やや優れている。
×：着用快適性に劣っている。

（６）耐切傷性
ＪＩＳ−Ｔ−８０５２に準ずる。

［実施例１］
１６７０ｄｔｅｘ／１２５０ｆのポリケトン繊維（旭化成せんい（株）社製；商標サイバロン；引張強度１８ｃＮ／ｄｔｅｘ、引張伸度５％、引張弾性率３５０ｃＮ／ｄｔｅｘ）を下記の如く筒編機で編成し、この編地を熱セット後、解編して、ニットデニット加工糸を得た。得られた加工糸の伸縮伸長率は３３％、残留トルク数０個／ｍであった。

＜編成並びに熱セット条件＞
筒編機；１０ゲージ、釜径３．５インチ
編下ろし後の編地コース／ウエール比；１．２
熱セット条件；１１５℃×３０分
この加工糸を２本合糸したものを用いて、７ゲージの手袋編機で手袋を作製して評価した結果、編地のソフト風合（○）、編地の斜行度合（○）、着用快適性（○〜△）と着用快適性に優れたものであった。尚、耐切傷性は９Ｎと優れたものであった。

［比較例１］
ポリケトン繊維に代えてパラ系アラミド繊維１６７０ｄｔｅｘ／９６４ｆを用いて、実施例１同様にしてニットデニット加工糸を得た。得られた加工糸の伸縮伸長率は３０％、残留トルク数０個／ｍであった。この加工糸を用いて実施例１同様に手袋を作製して評価した結果、編地のソフト風合（△〜×）、編地の斜行度合（○）、着用快適性（△〜×）と実施例１対比着用快適性に劣ったものであった。尚、耐切傷性は８Ｎであった。

［実施例２］
８４０ｄｔｅｘ／６２５ｆのポリケトン繊維（旭化成せんい（株）社製；商標サイバロン；引張強度１８ｃＮ／ｄｔｅｘ、引張伸度５％、引張弾性率３５０ｃＮ／ｄｔｅｘ）を下記条件で仮撚加工してＳ撚並びにＺ撚の１ヒーター仮撚糸を得た。得られた仮撚糸の伸縮伸長率は４９％、伸縮弾性率は７９％であった。

＜仮撚加工条件＞
仮撚機；ＬＳ−２（三菱重工社製；ピン仮撚機）
仮撚数Ｔ１；８８０Ｔ／ｍ（仮撚係数Ｋ１；２５５０５）
仮撚温度；２２０℃
フィード率；＋１％
仮撚速度；１００ｍ／分
これらＳ撚並びにＺ撚の仮撚糸を各々４本合糸したものを用いて、実施例１同様に手袋を作製して評価した結果、編地のソフト風合（○〜△）、編地の斜行度合（△）、編地の着用快適性（○）と着用快適性に優れたものであった。尚、耐切傷性は９Ｎと優れたものであった。

本発明は、着用快適性に優れた手袋を提供するものである。

Claims

捲縮糸で構成された手袋であって、該捲縮糸が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維で構成されていることを特徴とする手袋。
−ＣＨ_２−ＣＨ_２−Ｃ− （１）
‖
Ｏ
捲縮糸が、仮撚加工糸又はニットデニット加工糸であることを特徴とする請求項１記載の手袋。