JP6855652B2 - 繊維構造物 - Google Patents

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Description

本発明はヒートセット性、耐熱性、消臭性、回復性、伸度に優れた繊維構造物に関する。
ポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物は、その優れた伸縮特性(ストレッチ機能)からレッグウエア、インナーウエア、スポーツウエアなどの伸縮性衣料用途や紙おむつやサニタリー製品などの伸縮性資材用途に幅広く使用されている。
そして、その用途の拡大とともに、ストレッチ機能をさらに向上させるため、繊維構造物中のポリウレタン弾性繊維の含有率はますます高くなっている。この様な背景から、ポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物には、より高度な特性が要求されるようになってきた。要求される代表的な特性としては、製造工程でのエネルギーを節減するためにより低温で加工可能な低温でのヒートセット性と、繰り返し後加工を付与する際の歩留まりを向上するための高温での耐熱性とを兼ね備えること、今日ほとんどのインナーアパレル製品やスポーツアパレル製品に求められる消臭性の向上、加えて、より高い、強度、伸度、回復性を有することが挙げられる。
一方で、ポリウレタン弾性繊維について、構造と特性を開示した技術(例えば、特許文献1参照)や、組成と特性を開示した技術が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献1には、ポリウレタン弾性繊維を小角X線散乱測定し、その長周期を元にした繊維構造解析の例が詳しく開示されており、この文献をはじめ、これまでポリウレタン弾性繊維に観測される小角X線散乱測定における長周期は通常7〜16nmであることが知られている。
特開平8−003815号公報 特開2005−48306号公報 国際公開2015/056763号パンフレット
しかしながら上記の技術をポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物に適用した場合、特許文献1では耐熱性と回復性に関して、特許文献2、3では消臭性に関して、より一層の向上が求められるものであった。
本発明は、これらの特性をさらに向上し、伸縮性衣料や伸縮性資材に好適な繊維構造物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の繊維構造物は、前記の目的を達成するため、以下のいずれかの手段を採用する。
[1]ポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物であって、そのポリウレタン弾性繊維が小角X線散乱測定における繊維方向の第1の長周期(J1)が20〜100nmかつ金属リン酸塩を含有する繊維構造物。
[2]ポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定における繊維方向の長周期が2種類存在し、長周期を検出する散乱強度が第1の長周期(J1)より小さい第2の長周期(J2)が存在する前記[1]に記載の繊維構造物。
[3]第2の長周期(J2)が7〜19nmである前記[1]または[2]に記載の繊維構造物。
[4]第1の長周期(J1)に対する第2の長周期(J2)の比が2±0.2、3±0.2、4±0.2または5±0.2である前記[1]〜[3]の何れかに記載の繊維構造物。
[5]ポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定における赤道線方向の長周期が10〜20nmである前記[1]〜[4]の何れかに記載のポリウレタン弾性繊維を使用してなる繊維構造物。
[6]金属リン酸塩の含有量が0.5質量%以上50.0質量%以下である前記[1]〜[5]の何れかに記載の繊維構造物。
[7]金属リン酸塩がの平均一次粒子径が3.0μm以下である前記[1]〜[6]の何れかに記載の繊維構造物。
[8]金属リン酸塩がリン酸ジルコニウム、リン酸チタンのいずれかである前記[1]〜[7]の何れかに記載の繊維構造物。
[9]ポリウレタン弾性繊維以外の合成繊維を含む前記[1]〜[8]の何れかに記載の繊維構造物。
[10]ポリウレタン弾性繊維を裸糸(ベア)で含む前記[1]〜[9]の何れかに記載の繊維構造物。
[11]JIS L 0848:2011(改訂) A−2法による洗濯堅牢度が4級以上である前記[1]〜[10]の何れか記載の繊維構造物。
本発明の繊維構造物は、ヒートセット性、耐熱性、消臭性、回復性、伸度に優れるとともに、外観に優れ、伸縮性衣料や伸縮性資材に好適なものとなる。
本発明の実施例におけるPU18の小角X線散乱像である。 比較例におけるPU3X0の小角X線散乱像である。
本発明は、ポリウレタン弾性繊維を、小角X線散乱測定により得られる像(以降、散乱像と記す場合もある)において、新規の散乱像を示すものすなわち繊維方向(子午線方向)の第1の長周期(J1)を従来より長い20〜100nmのものとし、さらに、金属リン酸塩を含有するものとしたところ、前記した課題を解決しうることを見いだしたものである。第1の長周期(J1)が20〜100nmであると、ポリウレタン弾性繊維としての消臭性、特にアンモニア消臭性がより高まるからである。かかる観点から第1の長周期(J1)は25〜70nmであるとより好ましい、かかる範囲を採ると金属リン酸塩の含有量を変化させることによる消臭性の調整幅が他の構造の繊維に比較して顕著に広くなるからである。
ポリウレタン弾性繊維を小角X線散乱測定した際に得られる、散乱像および算出した長周期から、繊維方向に対し垂直な断面に層状に結晶が配置し、層状に配置した結晶の間隙には非晶性の領域が存在することが判る。ポリウレタン弾性繊維においてはその非晶性の領域(以下、間隙部と記す場合もある)はセグメンテッドポリウレタン−ウレタン鎖またはセグメンテッドポリウレタン−ウレア鎖中のソフトセグメント鎖によって構成されると考えられる。この間隙部の容積が大きい繊維構造、すなわち、長周期が大きい繊維構造を有するポリウレタン弾性繊維には通常、消臭剤として機能する金属リン酸塩が安定して存在し得ることを見いだし本発明に至ったものである。
本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維において、小角X線散乱測定における繊維方向の長周期は複数存在してもよいが、その場合、本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定における第1の長周期とは長周期を同定するX線散乱強度(Intencity)が最大値を有する長周期のことで、小角X線散乱像において最も明るいピークに相当する。そして、本発明における長周期は繊維方向以外に赤道軸方向にも複数存在することも好ましく、高強度および弱強度の2種を有することも好ましい。そのうち、最大強度のピークから算定した繊維方向の第1の長周期をJ1、第2番目の強度ピークから算定した第2の長周期をJ2とすると、J2は7〜19nmであることが好ましく、9〜16nmであることがより好ましい 。また、これらを満たす構造を有する場合、金属リン酸塩を安定して、さらに多量に保持できる。これらによって、伸縮特性にも優れ、このポリウレタン弾性繊維を含有する布帛などの繊維構造物は良好な消臭性を示すのである。
また、J1に対するJ2の比は整数倍の近傍であることが伸縮特性の観点から好ましく、2〜5の近傍(すなわち、2、3、4または5の近傍)であることがより好ましい。さらに好ましくは、2または3の近傍である。ここで整数倍の近傍とは±0.2の範囲をいう。2以上の整数の近傍であると、伸縮特性がより向上し、布帛とした際の伸縮特性がより良好となり、5以下の整数の近傍であると永久歪みが過大とならず、繊維構造物とした時も伸縮特性がより良好なものとなる。
ポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定における赤道線方向の長周期について、これまでのポリウレタン弾性繊維に観測される長周期は15nm未満、通常5〜10nmであるのが通説であった。前記J1が20〜100nmであるポリウレタン弾性繊維では赤道線方向の長周期が10〜20nmに観測されることが好ましく、さらに良好なヒートセット性を示す繊維構造物を得ることが出来る。
本発明においてポリウレタン弾性繊維を小角X線で測定し、長周期を算出する方法は、特許文献1に記載の方法により行うことができるが、これに限定されない。
具体的には、長周期Jは、下記ブラッグ(Bragg)の式から求めることができる。
J=λ/2 sin[{tan −1(r/R)}/2]
ただし、上記式中、λはX線の波長、Rはカメラ長(測定試料と散乱強度検出器間の距離)、rは定法に従い、以下に述べる方法から算出する。
たとえば、図1にみる散乱像において、子午線方向の長周期については赤道線2から散乱強度極大ピークまでの距離をrとして、上記ブラッグの式から求めればよい。(同様に、赤道線方向の長周期については子午線から散乱強度極大ピークの散乱強度までの距離をrとして、上記ブラッグの式から求めることができる。)
そして、散乱強度検出器はカメラでもイメージングプレートでもよいが、本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維は、小角X線散乱像において、新規の散乱像を示し、20〜100nmの長周期Jを示すため、より正確に長周期Jを測定するためには放射光を光源とし、散乱強度検出はイメージングプレートを用いデジタル化することがより好ましい。特に放射光は、従来のゴニオメーターでは不可能であった数十keV〜数keVオーダーの高エネルギー光源が定常的に利用可能であり、測定時間を短くすることができるため、測定中の弾性糸の微少歪みや重力による変形や変質の時間影響を極小化できる。放射光の好適な例は、第3世代の放射光施設である我が国のSPring−8、米国のAPS、欧州のESRFが挙げられる。例えば、SPring−8では一般利用研究が可能であり、具体的には兵庫県ビームライン(BL08B2やBL24XU)などが好適である。そして、前述Braggの式における散乱角(2θと称する。)は{tan −1(r/R)}で近似されるが、前述放射光や検出器を使うと、より高精度で2θを検出できるのである。長周期算出には通常、rは子午線1や赤道線2に沿った逆空間軸(4πλ/sinθ(nm−1))を横軸、散乱強度を縦軸にした連続プロット(散乱強度プロファイル)から求めることがより好ましい。
本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維におけるポリウレタンを構成する代表的な組成について述べる。
本発明に使用されるポリウレタン系樹脂は、主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンであれば任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。なお、主構成成分とは、ポリウレタンを形成する成分の内、50質量%以上を構成する成分をいう。
すなわち、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤としてジアミノ化合物(低分子量ジアミン)からなるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤として低分子量ジオールからなるポリウレタンであってもよい。また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。なお、本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が使用されることも好ましい。
ここで、本発明で使用されるポリウレタン系樹脂を構成する代表的な構造単位について述べる。
ポリウレタン系樹脂を構成する構造単位のポリマージオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に消臭性、柔軟性、繊維とした際に高い伸度を付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
ポリエーテル系グリコールは、次の一般式(I)で表される単位を含む共重合ジオール化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006855652
(但し、a、cは1〜3の整数、bは0〜3の整数、R3、R4はHまたは炭素数1〜3のアルキル基)
このポリエーテル系グリコール化合物としては、具体的には、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフランおよび3−メチル−テトラヒドロフランの共重合体である変性PTMG、テトラヒドロフランおよび2,3−ジメチル−テトラヒドロフランの共重合体である変性PTMG、テトラヒドロフランおよびネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、テトラヒドロフランとエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が挙げられる。本発明に用いられるポリウレタン系樹脂としては、これらポリエーテル系グリコール類の1種を使用してもよいし、2種または3種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。中でもPTMGまたは変性PTMGを使用するのが好ましい。
また、ポリウレタン系樹脂における耐摩耗性や耐光性を高める観点からは、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとポリプロピレンポリオールの混合物をアジピン酸等と縮重合することにより得られる側鎖を有するポリエステルジオールなどのポリエステル系グリコールや、3,8−ジメチルデカン二酸および/または3,7−ジメチルデカン二酸からなるジカルボン酸成分とジオール成分とから誘導されるジカルボン酸エステル単位を含有するポリカーボネートジオール等が好ましく使用される。
また、これらのポリマージオールは単独で使用してもよいし、2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
次に、本発明で用いるポリウレタン系樹脂を構成する構造単位のジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートなどが好ましい。芳香族ジイソシアネートとしては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。また、脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、PICMと略す)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ−1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタンの黄変を抑制する際に有効に使用できる。中でも好ましくは、4,4’−MDIである。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に、ポリウレタン系樹脂を構成する構造単位の鎖伸長剤としては、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうち少なくとも1種または2種以上を使用するのも好ましい。なお、エタノールアミンのように、水酸基とアミノ基の両方を分子中に有するものであってもよい。
好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン(以下、EDAと略す)、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。特に好ましくはEDAである。EDAを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた樹脂を得ることができる。これらの鎖伸長剤に、架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を、効果を失わない程度に加えてもよい。
また、好ましい低分子量ジオールとしては、エチレングリコール(以下、EGと略す)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどは代表的なものである。特に好ましくはEG、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性が高く、また、ポリウレタン系繊維とした場合に強度を高くすることができる。
本発明に用いられるポリウレタンにおいて最も好適な鎖伸長剤としては低分子量ジオールである。
さらに、本発明におけるポリウレタンには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤として、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒を1種もしくは2種以上混合して使用することも好ましい。
アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
本発明に用いられるポリウレタン系樹脂となるポリウレタンの合成方法は、溶融重合法や溶液重合法など、特に限定されないものである。
溶液重合法の場合、かかるポリウレタンは、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す)、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各上記原料を投入、溶解させ、適度な温度に加熱し反応させてポリウレタンとする方法、また、ポリマージオールとジイソシアネートを、まず溶融反応させ、しかる後に、反応物を溶剤に溶解し、前述の鎖伸長剤と反応させてポリウレタンとする方法などが、特に好適な方法として採用され得る。この場合、得られるポリウレタン溶液の濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
また、溶液重合法において、ポリマージオールに対してジイソシアネートを段階的に投入するいわゆる多段重合を適用することが好ましい。具体的な工程として、第1段階目は無溶媒で行い、理論終点のプレポリマーを得た後、プレポリマーをその質量の2倍以上の溶媒に溶解して一旦十分に希釈する工程を有することがより好ましい。そして、第2段階目以降に投入するジイソシアネートの総量は、ジイソシアネートの末端イソシアネート基の前記ポリマージオールの末端水酸基に対する反応当量比(モル比)でいうと、第1段階目のモル比より小さいことがさらに好ましい。
そして低分子ジオールからなる鎖伸長剤を投入するタイミングは第2段階目投入するジイソシアネートの投入時またはその直後であることが好ましく、全ての反応は100℃以下の低温にて行うことが好ましい。
本発明の繊維構造物を構成するポリウレタン弾性繊維は、金属リン酸塩を含有するものである。ポリウレタン弾性繊維中に金属リン酸塩が含有されない場合、その繊維構造物には有用な消臭性が得られない。
従来、消臭剤を増やして、高い消臭性を得るべく、金属リン酸塩をある程度多く含有させても、効果が比較的早くに頭打ちとなり、十分な効果を得ることは困難であった。すなわち、消臭性の調整幅は狭く、またその頭打ちとなる消臭性のレベルも低かった。具体的には、ポリウレタン弾性繊維中の金属リン酸塩の含有量は3質量%程度で頭打ちとなっていた。また、ポリウレタン弾性繊維としてより良好な基本物性を得る観点からすると金属リン酸塩の含有量は多過ぎないことが好ましかった。しかし、本発明において特定される構造を有するポリウレタンに対して、金属リン酸塩を含有せしめた場合、金属リン酸塩の含有量の増減による消臭性の調整幅はより広く、またそれにより調整される消臭性の調整上限値も高くなる。更には、金属リン酸塩を多量に含有せしめてもポリウレタン弾性繊維としてより良好な基本物性を維持することが可能となり、繊維構造物として従来とは明確な伸縮特性の差を示すのである。金属リン酸塩の含有量は0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上8質量%以下の範囲がよい。なお、この含有量は、用途に応じて事前にテストし、最適値を適宜決定すればよい。
本発明における金属リン酸塩は、消臭性という観点から層状構造を有するリン酸ジルコニウムやリン酸チタン等の4価金属の酸性リン酸塩、三リン酸二水素アルミニウム二水和物等が好ましい。より好ましくは、リン酸ジルコニウムである。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を混合しても良い。
また、本発明において金属リン酸塩は、紡糸原液の紡糸口金への詰まりを抑えるという観点から、平均一次粒子径が3.0μm以下のものが好ましい。より好ましくは1.5μm以下である。また、分散性の観点から平均一次粒子径が0.05μmより小さい場合、凝集力が高まり紡糸原液中に均一に混合することが困難になるため、平均一次粒子径が0.05μm以上のものが好ましい。より好ましくは0.15μm以上である。
本発明において、ポリウレタンを含む紡糸原液にモノアミン化合物を0.01質量%以上0.5質量%以下の範囲で含有させて紡糸することも好ましい。モノアミンと金属リン酸塩は消臭性に対して相乗的に作用し、消臭性のみならず、抗菌性も発揮し、菌増殖による防臭機能を発揮できる。紡糸原液中のモノアミン含有量が0.01質量%未満ということは、紡糸されたポリウレタン弾性糸にモノアミンが十分に含まれていないということであり、その結果十分な抗菌性が得られないということになる。一方、モノアミン化合物を紡糸原液中に0.5質量%以上となるように含有させると、得られたポリウレタン弾性糸の黄化性など品質が悪化する。
分子量120以下のモノアミン化合物としては、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、N−メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、N−ブチルメチルアミン、N−メチルイソブチルアミンなどの第2級アミン化合物や、エチルアミン、N−プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−ブチルアミン、シクロヘキシルモノアミンなどの第1級アミン化合物が挙げられる。ポリウレタン紡糸原液の安定性という観点から第2級アミン化合物が好ましい。
さらに、本発明で使用されるポリウレタン系樹脂には、後述の各種添加剤類を添加することが好ましい場合がある。各種添加剤類の添加方法としては、任意の方法が採用できる。その代表的な方法としては、スタティックミキサーによる方法、攪拌による方法、ホモミキサーによる方法、2軸押し出し機を用いる方法など各種の手段が採用できる。ここで、添加される各種添加剤類は、ポリウレタンを溶液重合により合成する場合、ポリウレタンへの均一な添加を行う観点から、溶液にして添加することが好ましい。
なお、各種添加剤類のポリウレタン溶液への添加により、添加後の混合溶液の溶液粘度が添加前のポリウレタン溶液粘度に比べ予想以上に高くなる現象が発生する場合がある。この現象を防止する観点から、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどの末端封鎖剤を1種または2種以上混合して使用することも好ましい。
さらに、本発明で使用されるポリウレタン系樹脂には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種安定剤や顔料などが含有されていてもよい。例えば、安定剤として、ジビニルベンゼンとp−クレゾールとの付加重合体(デュポン社製“メタクロール(登録商標)”2390)、t−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネ−ト)の反応によって生成せしめたポリウレタン(デュポン社製“メタクロール(登録商標)”2462)、耐光剤、酸化防止剤などとして、いわゆるBHTや住友化学工業(株)製の“スミライザー(登録商標)”GA−80などをはじめとする両ヒンダードフェノール系薬剤、チバガイギー社製“チヌビン(登録商標)”等のベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業(株)製の“スミライザー(登録商標)”P−16等のリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料、フッ素系樹脂粉体またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などを添加してもよいし、またポリマーと反応させて存在させてもよい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるためには、酸化窒素捕捉剤として例えば日本ヒドラジン(株)製のHN−150や、熱酸化安定剤として例えば、住友化学工業(株)製の“スミライザー(登録商標)”GA−80等、光安定剤として例えば、住友化学工業(株)製の“スミソーブ(登録商標)”300#622などを含有させてもよい。
そして、本発明で使用されるポリウレタン系樹脂として特に好ましいのは、工程通過性も含め、実用上の問題がなく、かつ、高耐熱性に優れたものを得る観点から、ポリマージオールとジイソシアネートとを反応させて得られるものからなり、かつ低温側の融点が−20℃以上20℃以下の範囲、かつ高温側の融点が150℃以上300℃以下の範囲となるものである。ここで、低温側の融点と高温側の融点とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した際のポリウレタンまたはポリウレタンウレアのいわゆるソフトセグメント起因の融点およびハードセグメント結晶の融点が該当する。
ポリウレタンまたはポリウレタンウレアの高温側の融点を150℃以上300℃以下の範囲内とする方法としては、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートの比率をコントロールする方法が挙げられる。例えば、ポリマージオールの数平均分子量が1000以上の場合、(ジイソシアネートのモル数)/(ポリマージオールのモル数)=1.5以上の割合で、重合を進めることにより、高温側の融点が150℃以上のポリウレタンを得ることができる。
さらに、消臭性を高める観点から、本発明で使用されるポリウレタン系樹脂を構成するポリウレタンのウレタン基濃度は、好ましくは約0.2mol/kg以上3.5mol/kg以下、より好ましくは約0.4mol/kg以上1.0mol/kg以下である。ウレタン基濃度は、(ポリウレタン系樹脂に含有されるポリマージオール(mol))×2/(ポリウレタン系樹脂質量(kg))として算出される。

そして、本発明におけるポリウレタンの最も好適な組成は、数平均分子量が500以上5000以下であるポリマージオール、有機ジイソシアネート、ならびに、低分子ジオールからなる鎖伸長剤を重合してポリウレタンを得て、前記有機ジイソシアネートの末端イソシアネート基の前記高分子ジオールと前記低分子ジオールの合計末端水酸基に対する反応当量比(モル比)を2.5から4.0以下、かつ、前記低分子ジオールの前記高分子ジオールに対する質量比が1/9〜5/5の範囲内である。
前記反応等量比が4.0を超えると、得られるポリウレタン弾性繊維の破断伸度、回復性、ヒートセット性が低下し、これを使用した布帛や編み地など繊維構造物の外観品位や伸縮特性が低下する場合がある。
また、本発明におけるポリウレタンの分子量は、耐久性や強度の高い繊維を得る観点から、数平均分子量として40000以上150000以下の範囲であることが好ましい。なお、本発明において分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算した値とする。
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒が1種もしくは2種以上混合して使用されることも好ましい。
アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
こうして得られるポリウレタンの紡糸原液における濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
さらに本発明においては、ポリウレタン弾性繊維やそれを紡糸するための後述のポリウレタン紡糸原液中に、各種安定剤や顔料など、添加剤を含有せしめてもよい。例えば、耐光剤、酸化防止剤などに2,6−ジ−tブチル−pクレゾール(BHT)や住友化学工業株式会社製の“スミライザー(登録商標)”GA−80(製品名)などのヒンダードフェノール系薬剤、各種のチバガイギー社製“チヌビン(登録商標)”などのベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー(登録商標)”P−16(製品名)などのリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラックなどの各種無機顔料、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などが好ましく、またこれらとポリマとを反応させることも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、酸化窒素補足剤が使用されることも好ましい。
また、耐熱性向上や機能性向上の観点から、無機物や無機多孔質(例えば、竹炭、木炭、カーボンブラック、多孔質泥、粘土、ケイソウ土、ヤシガラ活性炭、石炭系活性炭、ゼオライト、パーライト等)を、本発明の効果を阻害しない範囲内で添加してもよい。
これらの添加剤は、上述のポリウレタン紡糸原液を調製する際に、ポリウレタン溶液に直接添加してもよいし、また、予めかかる添加剤の分散液を準備しておき、それをポリウレタン溶液に混合してもよい。これら添加剤の含有量は目的等に応じて適宜決定される。
以上のように構成した紡糸原液を、たとえば乾式紡糸、湿式紡糸、もしくは溶融紡糸し、巻き取ることで、本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維を得ることができる。中でも、細物から太物まであらゆる繊度において安定に紡糸できるという観点から、乾式紡糸が好ましい。
本発明において用いられるポリウレタン弾性繊維の繊度、単糸数、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸は1単糸で構成されるモノフィラメントでもよく、また複数単糸で構成されるマルチフィラメントでもよい。糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平であってもよい。
そして、乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、所望する特性や紡糸設備に見合った紡糸条件等を適宜選択して紡糸すればよい。
たとえば、本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維の永久歪率と応力緩和の特性は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じて適宜決定されるのが好ましい。すなわち、所望の永久歪率と応力緩和を有するポリウレタン弾性繊維を得る観点から、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.15以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましい。また、紡糸速度を高くすることによってポリウレタン弾性繊維の強度を向上させることができるので、450m/分以上の紡糸速度をとることが、実用上好適な強度水準とするために好ましい。さらに工業生産の点を考慮すると、450〜1000m/分程度が好ましい。
以上に述べたポリウレタン弾性繊維、あるいは以上に述べた製造方法により得られたポリウレタン弾性繊維を含有する本発明の繊維構造物は、消臭性、伸縮特性、ヒートセットなどの加工性に優れるため、これを使用して薄地の布帛とした場合でも、十分な伸縮特性や審美性が得られることから、高級感のある、外観に優れた衣料を得ることができる。かかる特長は、編み地の布帛において顕著に得ることができる。とりわけ、以上に述べたポリウレタン弾性繊維、あるいは以上に述べたの製造方法により得られたポリウレタン弾性繊維を使用した本発明の繊維構造物たる丸編み地は、衣料としたときそのボディフィット性を活かして審美性を追求する用途、例えば肌着やストッキング、タイツ等にも好ましく適用することができる。
次に本発明の繊維構造物における素材について好ましい例を挙げる。
また、繊維構造物とは、織編物、不織布、わたなどのことをいうがこれに限るものではない。
本発明の繊維構造物である布帛としては、以上のようなポリウレタン弾性繊維を用いて構成されたものである。かかる布帛は、例えばポリエステル糸やポリアミド糸(ナイロン糸)等を混用した混用弾性布帛においても本発明の効果を発現することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(好ましくは繰り返し単位の約90モル%以上のもの)、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(好ましくは繰り返し単位の約90モル%以上のもの)、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し成分とするもの(好ましくは繰り返し単位の約90モル%以上のもの)等からなる繊維を好ましく用いることができる。中でも、エチレンテレフタレート単位が約90モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなる繊維が好ましく、エチレンテレフタレート単位が約95モル%以上繰り返し成分とするポリエステルからなる繊維であることがより好ましい。エチレンテレフタレート単位が約100モル%繰り返し成分とするポリエステル、すなわち、ポリエチレンテレフタレートからなる繊維であることはさらに好ましい。このポリエチレンテレフタレート系繊維は、良好な風合い、光沢を有し、またしわになりにくい等のイージーケア性があり、伸縮性を有する布帛を構成する繊維素材として好適である。また、ポリエチレンテレフタレート系繊維は、本発明で好ましく用いられるポリウレタンウレア繊維との組合せで用いる場合に好適であって、良好な布帛とすることが可能である。(CDPET要件)次に本発明で使用するカチオン可染性ポリエステル繊維について述べる。
通常、カチオン可染性ポリエステル繊維は、金属スルホネート基を含有した化合物をポリエステル分子構造中に共重合して得られる。染色性の向上や風合いの改善等で金属スルホネート基を含有する化合物の種類や共重合率の異なるものが種々開発されているが、本発明で使用するカチオン可染性ポリエステル繊維は、通常のカチオン染料に対して染着性を示すものであれば特に限定されるものではない。
さらに、本発明において、ポリエステル繊維の断面形態は丸形、異形を問わない。また、吸水速乾性ポリエステル繊維糸等が好ましく用いられる。吸水速乾性のポリエステル繊維としては、中空繊維の壁面に更に小さな孔が多数設けられている繊維や、繊維表面等に多くの溝や孔等が設けられて、吸水性はこれら繊維自体の微小な孔、繊維表面の溝、繊維間、糸間の空隙に水分が吸収されるようにした異形断面形状の繊維等で、合成繊維メーカーにより、吸水速乾性繊維として各種市販されているものを用いることができる。例えば、吸水速乾性ポリエステル繊維としては、インビスタ社製“クールマックス(登録商標)”、東レ株式会社製“セオα(登録商標)”等が挙げられる。(バイメタル要件T−400)特に、ポリトリメチレンテレフタレートを使用する際には、サイドバイサイド型複合繊維断面が好ましい。その繊維断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、扁平断面、ダルマ型断面、C型断面、M型断面、H型断面、X型断面、W型断面、I型断面、+型断面を用いることができるが、捲縮発現性と風合いのバランスからは、丸断面の半円状サイドバイサイド、軽量性、保温性を狙う場合は、中空サイドバイサイド、ドライ風合いを狙う場合は、三角断面サイドバイサイドが好ましく用いられる。
吸水速乾性を付与するには、前述したようにポリエステル繊維やアクリル繊維等重合体自体として吸湿性の少ない素材を用い、中空繊維状にしてその壁面に更に小さな孔が多数設けられている繊維の形状にしたものや、繊維表面等に多くの溝や孔等が設けられて、吸水性はこれら繊維自体の微小な孔、繊維表面の溝、繊維間、糸間の空隙に水分が吸収されるようにした異形断面形状の繊維等、水分の入り込む微小な孔や空隙を設けたもの等が挙げられる。
また、必要なら帯電防止性の合成繊維として、ポリエステル導電性繊維等を用いてもよい。導電性繊維としては、導電性物質として例えばカーボンブラックを用いた複合ポリエステル繊維(例えばカネボウ合繊株式会社製“ベルトロン(登録商標)”)、白色のヨウ化銅や金属複合酸化物(例えば、TiO2・SnO2・Sb2O2)を用いた複合ポリエステル繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明でいうポリアミド系繊維とは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などからなる繊維などのことをいう。
例えば、ポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体からなる樹脂であって、かかるポリアミドとしては、機械特性に優れており、主としてポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく、染色性が良いことからポリカプロアミド(ナイロン6)がさらに好ましい。ここで言う「主として」とは、ポリカプロアミドを構成するε−カプロラクタム単位として全モノマー単位中80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上である。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミン等の単位が挙げられる。
本発明に用いられる合成繊維としては、例えば、織編物1g当たりの繊維表面積が約0.02m以上0.2m以下であるものが好ましく、約0.1m以上0.2m以下であるものがより好ましく、約0.12m以上0.2m以下であるものがさらに好ましい。また、本発明における合成繊維としては、例えば、単繊維繊度が約3デシテックス(dtex)以上300デシテックス以下であるものが好ましく、10デシテックス以上150デシテックス以下であるものがさらに好ましい。このような繊維表面積及び/又は単繊維繊度を有するものは、消臭性をより向上することができる。
さらに、本発明で用いるポリエステル繊維も前述ポリウレタン同様、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種安定剤や顔料等が含有されていてもよい。例えば、ジビニルベンゼンとp−クレゾールとの付加重合体(デュポン社製“メタクロール(登録商標)”2390)等の安定剤、耐光剤;酸化防止剤等として、いわゆるBHTや住友化学工業(株)製の“スミライザー(登録商標)”GA−80等をはじめとする両ヒンダードフェノール系薬剤;チバガイギー社製“チヌビン(登録商標)”等のベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤;住友化学工業(株)製の“スミライザー(登録商標)”P−16等のリン系薬剤;各種のヒンダードアミン系薬剤;酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料;フッ素系樹脂粉体又はシリコーン系樹脂粉体;ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;また、銀や亜鉛やこれらの化合物等を含む殺菌剤;消臭剤;シリコーン、鉱物油等の滑剤;硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系等の各種の帯電防止剤等を添加してもよいし、またポリマーと反応して存在させてもよい。そして、特に光や各種の酸化窒素等への耐久性をさらに高めるためには、酸化窒素捕捉剤、例えば日本ヒドラジン(株)製のHN−150、熱酸化安定剤、例えば、住友化学工業(株)製の“スミライザー(登録商標)”GA−80等、光安定剤、例えば、住友化学工業(株)製の“スミソーブ(登録商標)”300#622等の光安定剤等を含有させてもよい。
本発明の繊維構造物である布帛は、例えば、前記ポリウレタン系繊維及びその他の合成繊維等から常法に従って布帛を製造することにより得られるものであってもよく、特に前記ポリウレタン系繊維を含む2種以上の合成繊維を含有することがさらに好ましい。本発明の繊維構造物である布帛は、織物、編物もしくは不織布のいずれであってもよい。例えば、ポリウレタン弾性繊維に合成繊維をカバーリングしてカバーリング繊維として布帛を得てもよいし、合成繊維にポリウレタン弾性繊維を裸糸(ベア)のまま織り・編みこんで交編織編地としてもよい。
混用布帛におけるポリウレタン弾性繊維の混率は、相手糸や編組織、織組織によるが、例えば、約2質量%から40質量%の範囲であってもよい。かかる混率であれば、締め付け感、フィット感に優れ、かつ、従来に比べて薄く、軽い布帛とすることが可能である。
他の素材としては、合成繊維であるポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリ塩化ビニール系繊維、ポリウレタン系繊維もしくは半合成繊維であるアセテート系繊維もしくは再生繊維であるビスコース・レーヨン、キュプラを含むセルロース系繊維、牛乳蛋白繊維、大豆蛋白繊維を含む蛋白質系繊維、ポリ乳酸系繊維、もしくはこれらのフィラメント糸条使いや紡績糸使い、又は混紡糸使い、もしくは綿、麻を含む植物系天然繊維、もしくは羊毛、カシミヤ、絹を含む動物系天然繊維、または更にこれらの混紡糸使い等がある。
本発明の繊維構造物である布帛が織物の場合、合成繊維のみで製織されていてもよく、また、それ以外の繊維が交織されていてもよい。前記合成繊維としては、前記ポリウレタン系繊維を含む2種以上が含有されることが好ましい。ポリウレタン弾性繊維を織物の組織は、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織等の変化組織、蜂の巣織、模紗織、梨地織等の特別組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、風通織、袋織、二重ビロード等の二重織組織、ベルト織等の多層組織、たてビロード、タオル、シール、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織、絽、紗、紋紗等のからみ組織等が好ましい。
製織は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、有杼織機(フライシャットル織機等)又は無杼織機(レピア織機、グリッパー織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機等)等によって行われるのが好ましい。
また、本発明の繊維構造物である布帛が編物の場合も、合成繊維のみで製編されていてもよく、また、これら以外の繊維が交編されていてもよい。前記合成繊維としては、前記ポリウレタン系繊維を含む2種以上が含有されることが好ましい。編物の種類は、よこ(緯)編物であってもよく、また、たて(経)編物等であってもよい。編物の組織は、よこ編は、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畦編、レース編及び添毛等が好ましく、たて編は、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編及びジャカード編等が好ましい。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
製編は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、丸編機、横編機、コットン式編機のような平型編機、トリコット編機、ラッシェル編機、ミラニーズ編機等によって行われるのが好ましい。

本発明の繊維構造物は、酸性染料、カチオン染料、分散染料などを用いて染色されることも好ましい。これらの染料は、特定のものに限定されないが、染色堅牢度の高いものが好ましい。
具体的には、酸性染料としては、市販の酸性染料であればいずれでもよく、レベリング型、ハーフミリング型、ミリング型、含金属型のいずれであってもよい。例えば“ナイロサン(登録商標)”Eシリーズ、“ナイロサン(登録商標)”Nシリーズ、“ナイロサン(登録商標)”Sシリーズ、“ナイロサン(登録商標)”Fシリーズ、“ラナシン(登録商標)”Fシリーズ、“ラナシン(登録商標)”Mシリーズ(以上、アークロマ社製)、“テクチロン(登録商標)”、“エリオニル(登録商標)”、“ポーラ(登録商標)”、“ラナクロンS(登録商標)”、“イルガラン(登録商標)”、“ラナセット(登録商標)”、“ラナセット(登録商標)”PA(以上、ハンツマン社製)、“カヤノール(登録商標)”、“カヤノールミリング(登録商標)”(以上、日本化薬社製)などを挙げることができる。また、カチオン染料としては、市販のカチオン染料であればいずれでもよく、レギュラー・タイプ(通称:生カチオン)、分散タイプのいずれであってもよい。例えば“カヤクリル(登録商標)”、“カヤクリル(登録商標)”ED(以上、日本化薬社製)、“ニチロン(登録商標)”(日成化成社製)、“アストラゾン(登録商標)”(ダイスター社製)などを挙げることができる。
分散染料としては、市販の分散染料であればいずれでもよく、例えば“カヤロンポリエスターUTシリーズ(日本化薬社製)、(登録商標)”カヤロンポリエスター(登録商標)”PUTシリーズ(紀和化学社製)、“テラシル(登録商標)”Wシリーズ(ハンツマン社製)などを挙げることができる。
本発明の繊維構造物の染色処理に使用する染色機としては、特に制限はなく、浸染、捺染のどちらでもよいが、通常の液流染色機、ビーム染色機、パドル染色機などが生産性や均一染色の観点から好ましい。染色温度は90℃以上140℃以下の条件が染色堅牢度や染品位の観点から好ましい。また、本発明の繊維構造物は、寸法安定性が優れており、寸法変化率が小さく、皺の発生が少ないので、例えばプレセット、ファイナルセットなど、熱セットを低温化することが可能であり、また、熱セット温度は120℃以上200℃以下の加工条件が生地品位や寸法安定性の観点から好ましい。
そして、本発明の繊維構造物は、JIS L− 0848:2011(改訂)A−2法による洗濯堅牢度が4級以上であることが好ましい。本発明の繊維構造物が、単に、染着率、すなわち、数回の洗濯後の染料の収支を評価するだけでなく、実用的に、繰り返しや高温下における家庭洗濯、工業洗濯に相当する耐性を保持することができることを表したものである。
さらに、本発明の繊維構造物である布帛は、例えば、コート、着物、スーツ、ユニフォーム、セーター、スカート、スラックス、カーディガン、スポーツウェア、ドレスシャツ、カジュアルウェア等の外衣、タイツ、ストッキング、パンティストッキング、ソックス等の靴下類、パジャマ、ショーツ、ランジェリー、ファンデーション、ホージャリー等の下着類、シーツ、布団カバー、布団側地、毛布、枕カバー等の寝装具類、ソファーカバー、テーブルクロス等のインテリア類、及び手袋、ネクタイ、スカーフ、ショール等の小物類等に対して用いられ、香料成分の放散の点で、特に、下着類、靴下類及び寝装具類等に対して好適に用いられる。
本発明の繊維構造物である布帛としては、例えば、前記合成繊維を約2〜100質量%含有するものが好ましく、約50〜100質量%含有するものがさらに好ましく、約80〜100質量%含有するものがさらに好ましい。また、外観品位が特に優れる点から、繊維成分が合成繊維のみであるものも好ましい。また、外観品位に優れる点から、合成繊維全体に対し、ポリウレタン弾性繊維を約1〜30質量%含有するものが好ましく、約5〜20質量%含有するものがさらに好ましい。
また、本発明の繊維構造物である布帛は、消臭性が特に優れる点から、目付が80〜1000g/mであることが好ましく、100〜500g/mであることがより好ましく、100〜280g/mであることがさらに好ましい。また、伸長率がタテ方向及び/又はヨコ方向とも5%以上であることが好ましい。
また、本発明の繊維構造物である布帛は、家庭洗濯による寸法変化率がマイナス5%以下であることが好ましく、マイナス3%以下であることがさらに好ましい。
本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
[ポリウレタン弾性繊維の永久歪率、破断強度、破断伸度]
インストロン4502型引張試験機を用い、ポリウレタン弾性繊維を引張テストすることにより、永久歪率、応力緩和、破断強度、破断伸度を測定した。測定回数はn=3で測定し、それらの平均値を採用した。
試長5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返し、5回目の100、200、300%伸長時の応力を測定し、300%伸長時の応力を(G1)とした。次に試料の長さを300%伸長のまま30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に試料の伸長を回復せしめ、200、100%伸長時の応力(回復応力)を測定し、さらに応力が0になった際の試料の長さを(L2)とした。さらに6回目に試料が切断するまで伸長した。この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。以下、上記特性は下記式により算出される。
破断強力(cN)=(G3)
永久歪率(%)=100×((L2)−(L1))/(L1)
破断伸度(%)=100×((L3)−(L1))/(L1)。
[ポリウレタン弾性繊維のヒートセット性]
試料糸(長さ=L5)を100%伸長した(長さ=2×(L5))。この長さのまま160℃で1分間処理した。さらに同長さで、1日室温で放置した。次に、試料糸の伸長状態をはずし、その長さ(L6)を測定した。
ヒートセット性=100×((L5)−(L6))/(L5)
ヒートセット性は値が高いほうが良好であることを示している。
[ポリウレタン弾性繊維の耐熱性、ヒートセット後の戻り特性]
ヒートセット後の戻り特性は、前記のとおりヒートセットした後の試料糸をインストロン4502型引張試験機にて、引張テストをすることにより測定した。
これらは下記により定義される。5cm(L7)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返した。次に伸長を回復せしめ応力が0になった際の試料糸の長さを(L8)とした。さらに6回目に試料糸が切断するまで伸長した。この破断時の応力を(G4)とした。以下、前記特性は下記式により与えられる。
耐熱性 =(G4)
ヒートセット後の戻り特性=100×((L8)−(L7))/(L7)
耐熱性は値が高い方が優れていることを示しており、ヒートセット後の戻り特性は値が低い方が伸縮特性に優れていることを示している。
[ポリウレタン弾性繊維の第3級窒素含有量]
公知の手法、すなわち、繊維を溶媒に溶解し、大過剰の強酸によって第1級アミン、第2級アミンを中和後、第3級アミンを中和滴定することにより求めた。
[ポリウレタン弾性繊維の融点]
ポリウレタン糸の耐熱性の指標の一つとして高温側融点、すなわち、ハードセグメント結晶の融点を測定した。ポリウレタン糸について、ティー・イー・インスツルメント社製2920モジュレーティドDSCを用い、昇温速度3℃/分で、不可逆熱流を測定し、そのピークトップを融点とした。
[ポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定および長周期]
ポリウレタン弾性繊維を小角X線で測定し、長周期を算出する方法は、下記の方法により行った。
長周期Jは、たとえば、下記ブラッグ(Bragg)の式から求めた。
J=λ/2 sin[{tan −1(r/R)}/2]
ただし、上記式中、λはX線の波長、Rはカメラ長(測定試料と散乱強度検出器間の距離)、rは定法に従い、以下に述べる方法から算出する。
図1に示す散乱像において、子午線方向の長周期については赤道線2から散乱強度極大ピーク3までの距離をrとし、赤道線方向の長周期については子午線1から散乱強度極大ピーク4の散乱強度までの距離をrとして、上記ブラッグの式から求めた。
そして、散乱強度検出器としてイメージングプレートを用いて、20〜100nmの長周期Jをより正確に測定するために放射光を光源とした。前述Braggの式における散乱角2θは{tan −1(r/R)}で近似した。rは子午線1や赤道線2に沿った4πλ/sinθ(nm−1)を横軸、散乱強度を縦軸にした連続プロット(散乱強度プロファイル)から求めた。
試料の調製:繊維を引き揃え、たるみを取る程度のテンションを掛けた状態で4cm長の穴を空けた厚紙に繊維を50 回巻き付け両糸端を結んで測定試料とした。
装置および条件:
(1) 放射光施設 SPring−8 BL08B2
(2) 波長 0.10 nm
(3) ビーム径 縦0.3mm、横0.3mm
(4) カメラ長 2385mm
(5) 露光時間 60sec
(6) 検出器 リガク社製 R−AXIS−IV++(イメージングプレート)。
[消臭性の評価方法]
SEKマーク繊維製品認証基準(制定者:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部、改訂日:平成27年4月1日)に記載の消臭性試験に準拠し、検知管法により臭気成分の消臭性評価を行なった。臭気成分としては、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールを用いた。
臭気成分の初発濃度は、アンモニア100ppm、酢酸30ppm、イソ吉草酸38ppm、ノネナール14ppmとする。空試験として、5Lサンプルバック(フィルム製)に臭気成分のみを成分毎に充填、密封し、2時間放置後、残存ガス濃度を各成分対応のガス検知管を用いて測定し、これを空試験濃度とする。次に測定に用いる試料(10cm×10cm)をサンプルバック(フィルム製)に入れ、前記した所定の濃度の臭気成分を充填、密封し、2時間後の残存ガス濃度を各成分対応のガス検知管で測定し、これを測定濃度とする。測定は3回行い、その平均値を用いて、下記式により、残存ガス濃度の減少率を算出し、消臭率として表記する。
各消臭成分の消臭率(%)=((空試験濃度−各試料の測定濃度)/空試験濃度))×100
消臭率の評価基準は、アンモニア70%以上、酢酸70%以上、イソ吉草酸85%以上、ノネナール75%以上を目標とした。
[洗濯方法]
SEKマーク繊維製品の洗濯方法(制定者:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部、改訂日:平成26年4月1日)に記載の標準洗濯法に準拠し、JIS L 0217:1995.「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法」に記載の洗い方103に規定される家庭電気洗濯機を使用し、40℃の水30Lに対し40mLの割合でJAFET標準配合洗剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルファオレフィンスルホン酸ナトリウムを配合)を添加して洗濯液とし、浴比が1:30になるよう試料および必要に応じて負荷布を投入して、5分間洗濯、脱水、2分間すすぎ洗い、脱水、2分間すすぎ洗い、脱水の工程を1回とし、これを10回及び50回繰り返した後、吊り干しで乾燥した。
[寸法変化率]
JISL−1096:2010(改訂)G法に規定されるパルセーター形家庭用電機洗濯機法で、JISL−0217:1995(改訂)の番号103の洗濯方法に従い、液温度40℃、浴比1:30にて洗剤は“アタック”(登録商標、花王社製)をメーカー標準濃度にて用い、洗濯5分−脱水−すすぎ2分−脱水−すすぎ2分−脱水を洗濯1回として5回繰り返した。その後、試験片を平台の上で自然乾燥した。寸法変化率はたて方向(ウェール方向)及びよこ方向(コース方向)のそれぞれ3箇所の測定区間の平均値を求め、次式によりたて方向(ウェール方向)及びよこ方向(コース方向)のそれぞれの寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=100×(L2−L1)/L1
L1:洗濯前のたて方向(ウェール方向)又はよこ方向(コース方向)の測定区間の長さの平均値(mm)
L2:洗濯後のたて方向(ウェール方向)又はよこ方向(コース方向)の測定区間の長さの平均値(mm)。
[外観品位]
加工編地の裏面から光源を照射し透過光にて、表面のシワ・スジ品位を目視にて次の5段階判定に基づいて評価した。
5:シワ・スジなどの欠点がない
4:シワ・スジなどの欠点がほとんどない
3:シワ・スジなどの欠点が少しある
2:シワ・スジなどの欠点が多い
1:シワ・スジなどの欠点が非常に多い。
[実施例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU12の作成]
脱水されたテトラヒドロフラン87.5モルと脱水された3−メチル−テトラヒドロフラン12.5モルとを撹拌機付き反応器に仕込み、窒素シール下、温度10℃で、触媒(過塩素酸70質量%および無水酢酸30質量%の混合物)の存在下で8時間重合反応を行ない、反応終了液に水酸化ナトリウム水溶液で中和する共重合方法により得られた、数平均分子量2500の共重合テトラメチレンエーテルジオール(3−メチル−テトラヒドロフラン由来の構造単位(a)を12.5モル%含む)を、ポリアルキレンエーテルジオールとして用いた。
この共重合テトラメチレンエーテルジオール1モルに対し4,4’−MDIを1.7モルになるように容器に仕込み、80℃で反応せしめ、得られた反応生成物にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、十分に撹拌し、溶解させて溶液を得た。次に、前述共重合テトラメチレンエーテルジオール1モルに対し4,4’−MDIを1.1モルおよび鎖伸長剤としてエチレングリコール(EG)を含むDMAc溶液を同時に加え、十分に撹拌する。次に、末端封鎖剤としてブタノールを含むDMAc溶液を添加して、ポリマー固体分が35質量%であるポリウレタン溶液pu1を調製した。得られた溶液は40℃で約3800ポイズの粘度を有していた。重合体はDMAc中で0.5g/100mlの溶液濃度で25℃で測定すると、0.90の極限粘度であった。
その後、このポリウレタン溶液pu1に、安定剤としてジビニルベンゼンとp−クレゾールとの付加重合体(デュポン社製“メタクロール(登録商標)”2390)、金属リン酸塩として、東亞合成社リン酸ジルコニウム系消臭剤“ケスモン”(登録商標)(平均一次粒子径0.9μm)をpu1固形分対比それぞれ2質量%添加し、pu12を調整した。このポリウレタン溶液を紡糸口金から高温(350℃)の不活性ガス(窒素ガス)中に4フィラメントで吐出し、この高温ガス中の通過により乾燥し、乾燥途中の糸が撚り合わされるようにエアージェット式撚糸機を通し、2フィラメントを合着させ、600m/分のスピードで巻き取り、2フィラメント合着で22dtexのポリウレタン弾性繊維(PU1)を製造した。
このポリウレタン弾性繊維(PU12)の小角X線散乱測定における繊維方向(子午線方向)の長周期は48.5nmであった。その他の特性を表1に示す。
[実施例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU14およびPU18の作成]
PU12におけるpu1に配合する金属リン酸塩の添加量のみ表1に記載の処方に変更して作成した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
PU18の小角X線散乱像を図1に示す。
[実施例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU22の作成]
数平均分子量2000のPTMG1モルに対し4,4’−MDIを1.67モルになるように容器に仕込み、70℃で反応せしめ、得られた反応生成物をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に十分に撹拌し、溶解させて溶液を得た。次に、前述数平均分子量2000のPTMG1モルに対し4,4’−MDIを0.34モルを加え、十分に撹拌し、次に鎖伸長剤としてエチレングリコール(EG)を含むDMAc溶液を加え、十分に撹拌し、さらに末端封鎖剤としてブタノールを含むDMAc溶液を添加して、ポリマー固体分が35質量%であるポリウレタン溶液pu2を調製した。得られた溶液は40℃で約2800ポイズの粘度を有していた。重合体はDMAc中で0.5g/100mlの溶液濃度で25℃で測定すると、0.82の極限粘度であった。
その後、このポリウレタン溶液pu2に、安定剤としてジビニルベンゼンとp−クレゾールとの付加重合体(デュポン社製“メタクロール(登録商標)”2390)、金属リン酸塩として、東亞合成社リン酸ジルコニウム系消臭剤“ケスモン”(登録商標)(平均一次粒子径0.9μm)をpu2固形分対比それぞれ2質量%添加し、pu22を調整した。このポリウレタン溶液を紡糸口金から高温(350℃)の不活性ガス(窒素ガス)中に4フィラメントで吐出し、この高温ガス中の通過により乾燥し、乾燥途中の糸が撚り合わされるようにエアージェット式撚糸機を通し、2フィラメントを合着させ、600m/分のスピードで巻き取り、2フィラメント合着で22dtexのポリウレタン弾性繊維(PU22)を製造した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
[実施例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU24およびPU28の作成]
PU22におけるpu2に配合する金属リン酸塩の添加量のみ表1に記載の処方に変更して作成した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
[比較例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU3X2の作成]
数平均分子量2000のPTMG1モルに対し4,4’−MDIを2.01モルになるように容器に仕込み、70℃で反応せしめ、得られた反応生成物をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に十分に撹拌し、溶解させて溶液を得た。次に、鎖伸長剤としてエチレングリコール(EG)を含むDMAc溶液を加え、十分に撹拌し、さらに末端封鎖剤としてブタノールを含むDMAc溶液を添加して、ポリマー固体分が35質量%であるポリウレタン溶液pu3xを調製した。得られた溶液は40℃で約4000ポイズの粘度を有していた。重合体はDMAc中で0.5g/100mlの溶液濃度で25℃で測定すると、0.88の極限粘度であった。
その後、このポリウレタン溶液pu3xに、安定剤としてジビニルベンゼンとp−クレゾールとの付加重合体(デュポン社製“メタクロール(登録商標)”2390)、金属リン酸塩として、東亞合成社リン酸ジルコニウム系消臭剤“ケスモン”(登録商標)(平均一次粒子径0.9μm)をpu3x固形分対比それぞれ2質量%添加し、このポリウレタン溶液を紡糸口金から高温(350℃)の不活性ガス(窒素ガス)中に4フィラメントで吐出し、この高温ガス中の通過により乾燥し、乾燥途中の糸が撚り合わされるようにエアージェット式撚糸機を通し、2フィラメントを合着させ、600m/分のスピードで巻き取り、2フィラメント合着で22dtexのポリウレタン弾性繊維(PU3X2)を製造した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
[比較例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU3X4およびPU3X8の作成]
PU3X2におけるpu3xに配合する金属リン酸塩の添加量のみ表1に記載の処方に変更して作成した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
[比較例に使用されるポリウレタン弾性繊維PU1X0の作成]
PU12におけるpu1に配合する金属リン酸塩の添加量のみ表1に記載の処方に変更して作成した。
すなわち、PU12作成における金属リン酸塩のみを添加しない処方に変更して作成した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
[比較例に使用される ポリウレタン弾性繊維PU2X0の作成]
PU22におけるpu2に配合する金属リン酸塩の添加量のみ表1に記載の処方に変更して作成した。
すなわち、PU22作成における金属リン酸塩のみを添加しない処方に変更して作成した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
[比較例に使用される ポリウレタン弾性繊維PU3X0の作成]
PU3X2におけるpu3xに配合する金属リン酸塩の添加量のみ表1に記載の処方に変更して作成した。
すなわち、PU3X2作成における金属リン酸塩のみを添加しない処方に変更して作成した。
これらの長周期などの特性を表1に示す。
PU3X0の小角X線散乱像を図2に示す。

[実施例1〜12]
ポリウレタン繊維PU12〜PU28を使用し、表2に示す各繊維含有率の組み合わせにて繊維構造物を製作した。
繊維構造物1は表3の加工工程−Lにより、繊維構造物2は表3の加工工程−L2により製作した。
[比較例1〜8]
ポリウレタン繊維PU3X2〜PU3X8及びPU3X0を使用し、表2に示す各繊維含有率の組み合わせにて繊維構造物を製作した。
繊維構造物1Xは表3の加工工程−Lにより、繊維構造物2Xは表3の加工工程−L2により製作した。
Figure 0006855652
Figure 0006855652
Figure 0006855652
本発明の繊維構造物は、ヒートセット性、耐熱性、消臭性、回復性、伸度を有するものである。したがって、この繊維構造物を使用した衣服や不織布などは、脱着性、フィット性、着用感、保温性、外観品位などに優れたものとなる。
これらの優れた特性を有することから、本発明に用いられるポリウレタン糸は単独での使用はもとより、各種繊維との組み合わせにより、優れたストレッチ布帛を得ることが可能で、編成、織成、紐加工に好適である。その使用可能な具体的用途としては、ソックス、ストッキング、タイツ、丸編、トリコット、スキーズボン、作業服、煙火服、ゴルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋等の各種繊維製品、締め付け材料、さらには、紙おしめなどサニタリー品の漏れ防止用締め付け材料、防水資材の締め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどが挙げられる。
2 赤道線
r 赤道線から散乱強度極大ピークまでの距離

Claims (11)

  1. ポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物であって、そのポリウレタン弾性繊維が小角X線散乱測定における繊維方向の第1の長周期(J1)が20〜100nmかつ金属リン酸塩を含有する繊維構造物。
  2. ポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定における繊維方向の長周期が2種類存在し、長周期を検出する散乱強度が第1の長周期(J1)より小さい第2の長周期(J2)が存在する請求項1に記載の繊維構造物。
  3. 第2の長周期(J2)が7〜19nmである請求項1または2に記載の繊維構造物。
  4. 第1の長周期(J1)に対する第2の長周期(J2)の比が2±0.2、3±0.2、4±0.2または5±0.2である請求項1〜3の何れかに記載の繊維構造物。
  5. ポリウレタン弾性繊維の小角X線散乱測定における赤道線方向の長周期が10〜20nmの請求項1〜4の何れかに記載のポリウレタン弾性繊維を使用してなる繊維構造物。
  6. 金属リン酸塩の含有量が0.5質量%以上50.0質量%以下である請求項1〜5の何れかに記載の繊維構造物。
  7. 金属リン酸塩の平均一次粒子径が3.0μm以下である請求項1〜6の何れかに記載の繊維構造物。
  8. 金属リン酸塩がリン酸ジルコニウムまたはリン酸チタンである請求項1〜7の何れかに記載の繊維構造物。
  9. ポリウレタン弾性繊維以外の合成繊維を含む請求項1〜8の何れかに記載の繊維構造物。
  10. ポリウレタン弾性繊維を裸糸(ベア)で含む請求項1〜9の何れかに記載の繊維構造物。
  11. JIS L 0848:2011(改訂) A−2法による洗濯堅牢度が4級以上である請求項1〜10の何れかに記載の繊維構造物。
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