JP2019173188A - 芳香族ポリアミド繊維及びそれからなる布帛 - Google Patents

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森  拓也
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Toshiomi Ukago
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Abstract

【課題】製織、製編工程におけるスカムの発生が少なく、製織、製編工程において工程通過性が良好な芳香族ポリアミド繊維を提供すること。【解決手段】表面に脂肪酸エステル油剤を0.5〜4.0%付着させたときの繊維−金属動摩擦係数が0.15〜0.25であり、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.10〜0.20である芳香族ポリアミド繊維である。該芳香族ポリアミド繊維は織物、編物、ネット、不織布、またはシートなどの布帛に好適に用いられる。【選択図】なし

Description

本発明は、製織、製編工程におけるスカムの発生が少なく、製織、製編工程において工程通過性が良好な芳香族ポリアミド繊維に関する。
芳香族ポリアミド繊維は、高強力、高モジュラス、耐熱性等の特徴を生かし、各種衣料から産業資材用途まで幅広く利用されている。しかし、芳香族ポリアミド繊維は擦過によりフィブリルを発生しやすいため、製織時の筬、綜絖、ガイドとの擦過によって、発生した毛羽が断糸する、もしくは繊維表面に付与された油剤が剥離したものがスカムとなって、ガイド、筬、織物表面などに堆積するという問題点がある。
この問題点を解消するために、例えば、芳香族ポリアミド繊維表面にベントナイトやタルクなどの固体状無機化合物を固着させる方法が提案されているが、該無機化合物が製織時に筬などに脱落堆積し(スカム)、走行糸への障害物となってより一層毛羽やスカムが発生しやすくなるという問題がある(特許文献1〜3参照)。
繊維表面に無機化合物が付着した芳香族ポリアミド繊維に油剤を付与すると、平滑性が向上して毛羽やスカムの発生が抑制されると記載されているものの、本発明が目指しているレベルから見ると満足できるレベルとは言えない。
ポリエステル繊維においては、繊維−金属動摩擦係数は、繊維とロールやホットプレート等の金属部分との擦れによる毛羽の発生し易さを示すパラメーターであり、0.17〜0.3の摩擦特性を有するようにすることで、紡糸性、加工性が優れたポリエステル繊維となることが記載されている(特許文献4参照)。しかし、繊維−繊維静摩擦係数は、バーンやチーズの巻きフォームの善し悪しを示すパラメーターであることを開示しているだけである。ポリエステル繊維は、芳香族ポリアミド繊維に比べて擦過によるフィブリル発生の問題は顕著でないためか、製織時における筬、綜絖、ガイドとの擦過の問題には言及していない。
特開平2−216276号公報 特開2004−250835号公報 特開2011−236520号公報 再公表平11−39041号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、製織、製編工程におけるスカムの発生が少なく、製織、製編工程において工程通過性が良好で生産性が高く、高品位の布帛を提供できる芳香族ポリアミド繊維を提供することを課題とする。
本発明は、繊維表面に油剤を付着させた芳香族ポリアミド繊維による種々のスカム発生に関する検討結果から得られた知見、すなわち、製織時に経糸は停止と巻き取りを繰り返すことになるので、繊維と筬、綜絖、ガイドとの動摩擦と静摩擦がスカムの発生と関連していること、スカムの発生は、擦過により発生するフィブリルの繊維径とも関連していること、及び油剤組成の詳細は不明であるが、本発明の目的に合致する摩擦係数は、繊維−金属動摩擦係数と繊維−金属静摩擦係数とが特定の値になる、との知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、繊維表面に油剤が付与された芳香族ポリアミド繊維であって、該油剤を繊維表面に付着させたときの繊維−金属動摩擦係数が0.15〜0.25であり、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.10〜0.20であることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維を提供する。
また、本発明は、上記の芳香族ポリアミド繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする布帛を提供する。布帛が芳香族ポリアミド繊維のみから構成されている場合には、スカム低減効果が顕著になる。
本発明によれば、繊維表面に油剤を付着させることにより、製織、製編工程におけるスカムの発生が少なく、製織、製編工程において工程通過性が良好な芳香族ポリアミド繊維を提供することができる。また、この芳香族ポリアミド繊維によれば、脂肪酸エステルを主成分とする油剤を付着させることにより、摩擦係数を低くし単糸にかかる応力を抑え、繊維同士の擦過や筬、綜絖、ガイドとの擦過によって発生するフィブリルの繊維径を小さくすることができ、結果的にスカム発生を抑制することができる。
従って、本発明の芳香族ポリアミド繊維は、織物、編物、ネット、シートなどに幅広く使用することができる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明における芳香族ポリアミド繊維は、パラ系芳香族ポリアミド繊維又はメタ系芳香族ポリアミド繊維である。パラ系芳香族ポリアミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(東レ・デュポン社製「ケブラー」、テイジンアラミド・ビー・ブイ社製「トワロン」)、コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド(帝人テクノプロダクツ社製「テクノーラ」)などがある。メタ系芳香族ポリアミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(デュポン社製「ノーメックス」、帝人テクノプロダクツ社製「コーネックス」などがある。
本発明における芳香族ポリアミド繊維としては、高強力、高弾性率、耐熱性に優れるパラ系芳香族ポリアミド繊維が好ましく、特に、耐切創性に優れるポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、「PPTA」と称する。)が好ましい。PPTAは、テレフタル酸とパラフェニレンジアミンを重縮合して得られる重合体であり、少量のジカルボン酸及びジアミンを共重合したものも使用することができる。
本発明の芳香族ポリアミド繊維における好ましい単糸繊度は、0.5〜30dtexであり、より好ましくは0.5〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexの範囲である。単糸繊度が0.5dtex以上であれば、製糸技術上の困難性を伴うことがなく、30dtex以下であれば、剛性が高くなることによる製織性、製編性、および織物、編み物の風合いが著しく悪化する恐れがない。
本発明の芳香族ポリアミド繊維の総繊度は、当該繊維に対する要求特性や用途に応じて異なるが、好ましくは10〜9,000dtexであり、より好ましくは50〜7,000dtex、さらに好ましくは100〜4,000dtexの範囲である。総繊度が10dtex未満の場合には、紡糸におけるポリマー吐出量が過剰に少なくなり安定した吐出状態を保つことが難しくなるため、芳香族ポリアミド繊維を安定に生産することが難しくなる。一方、総繊度が9,000dtexを超える場合には、ロール・ガイドとの接触面積が増大することで、毛羽や単糸切れを起こしやすくなる。
芳香族ポリアミド繊維を構成するフィラメント数は100本〜4,000本が好ましい。100本未満の場合には、筬、綜絖、ガイドで擦過するときに発生する毛羽の断糸による糸の強力低下割合が大きくなり、糸切れが発生する恐れがある。一方、4,000本を超える場合には、剛性が高くなることによる製織性、製編性が著しく悪化する恐れがある。
芳香族ポリアミド繊維の単糸の引張強度は、15cN/dtex以上であり、より好ましくは17cN/dtex以上、特に好ましくは18cN/dtex以上である。15cN/dtex以上あれば、高強力繊維としての機能を充分発揮できるからである。この点からはパラ系芳香族ポリアミド繊維が望ましい。引張強度は、JIS L 1013:2010 化学繊維フィラメント糸試験方法8.5.1(標準時試験)に準じて測定される値である。
本発明の芳香族ポリアミド繊維は、通常の方法で製造した芳香族ポリアミド繊維に油剤を付着させることにより、得ることができる。
PPTA繊維の場合は、PPTAを濃硫酸に溶解した濃度18〜20重量%の粘調な溶液を、直径0.05mm〜0.1mmの吐出孔を環状に配置した口金から、せん断速度25,000〜50,000sec−1で吐出させ、わずかの間空気中に紡出後、水中へ紡糸し、紡糸浴中で凝固した繊維を水酸化ナトリウム水溶液で中和処理した後、100〜300℃で5〜120秒間、熱処理を行い、水分率20%以下とすることで、製造することができる。以上の工程により紡糸工程が終了する。
そして、熱処理後の繊維は、一旦ボビンに巻き上げられた後、ボビンから巻き出されて、捲縮、撚糸等の加工処理が施され加工糸となる。繊維の捲縮処理、撚糸処理は従来公知の方法で行うことができる。
PPTA繊維に対する油剤の付与は、紡糸工程中、1度でも複数回に分けて実施しても良い。複数回に分けて行う場合は、有効成分量が低い油剤を付与した後、有効成分量が高い油剤を付与することが好ましい。
油剤の付着量は、水分量を0%に換算した芳香族ポリアミド繊維重量に対して、0.5〜4.0重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0重量%が適当である。油剤付着量が0.5重量%未満の場合には、油剤機能である制電性、平滑性が十分に発揮されなくなり、ロール・ガイドとの摩擦係数が高くなることで、製糸工程及び加工工程での毛羽や単糸切れ発生等の操業不調を引き起こすため好ましくない。一方、油剤付着量が4.0重量%を超える場合には、繊維表面に付着した余剰油剤が筬・綜絖・ロール・ガイドと接触した際に脱落し、製糸工程及び加工工程でのスカム増加による操業不調、品位低下を引き起こすため好ましくない。
油剤の種類は特に限定されるものではなく、平滑剤、制電剤、乳化剤、添加剤などを混合した油剤を用いることができる。
油剤のなかでも、脂肪酸エステルを主成分とする油剤は、摩擦抵抗を低減させる潤滑性付与効果が有り、芳香族ポリアミド繊維に対する濡れ性及び該繊維間への浸透性に優れ、短繊維へかかる応力を低減できるために、ガイドや筬と接触した際に発生するフィブリルの繊維径が小さくなる点で好ましい。
脂肪酸エステルは、従来公知の化合物を用いることができ、炭素数が4〜18の脂肪酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化合物などが挙げられる。脂肪酸エステルとしては、一価または多価の脂肪酸エステルが挙げられるが、一価もしくは二価の脂肪酸エステルが好ましく、特に一価もしくは二価の脂肪酸と一価のアルコールからなる脂肪酸エステルが好ましい。それぞれ1種を単独で、または2種以上を併用することができる。油剤の取扱性に優れている点で、常温ないし40℃で液状の脂肪酸エステルが好ましい。二種以上の脂肪酸エステルを併用する場合は、脂肪酸エステル混合物が常温ないし40℃で液状であれば良い。
一価の脂肪酸エステルは一般式(1)で表わされ、二価の脂肪酸エステルは一般式(2)で表わされる。
RCOOR´ (1)
R´OOC(CH)nCOOR´ (2)
一般式(1)、(2)において、Rは、炭素数4〜17の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R´は、炭素数1〜18の飽和または不飽和の炭化水素基、nは、1〜9の整数である。Rは、好ましくは炭素数6〜17の飽和または不飽和の炭化水素基である。
一価の脂肪酸エステルの具体的な化合物としては、例えば、カプリル酸オクチル、カプリン酸オクチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘプチル、ラウリン酸オクチル、ラウリン酸ドデシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ヘプチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パリミチン酸デシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ラウリン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイルなどが挙げられる。
二価の脂肪酸エステルの具体的な化合物としては、例えば、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジオレイルなどが挙げられる。
また、一価の脂肪酸エステルと二価の脂肪酸エステルを併用することができる。
脂肪酸エステルは、油剤全量に対する含有量が50〜100重量%の範囲で使用することが好ましい。前記含有量は、より好ましくは60重量%以上であるのが良い。油剤全量に対する含有量が50重量%未満になると、油剤全量に対する脂肪酸エステルの含有率が低下するため、繊維と金属との摩擦抵抗を低減させる効果が不十分になり易い。上記の脂肪酸エステルを主成分として含有するものであれば、これに公知のアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤などから選択した1種または2種以上を、制電剤、乳化剤、添加剤などとして配合した油剤を使用することもできるが、芳香族ポリアミド繊維に対する付着性に優れている点で、水や溶媒を含有しない非水系油剤であることが好ましい。
また、油剤は30℃における粘度が60〜100mm/sであることが好ましい。粘度が60mm/s未満の場合、筬、綜絖で擦過する際に、芳香族ポリアミド繊維表面に付着した油剤の層の剥離に要するエネルギーが小さくなることで、油剤の層が剥離し、単糸表面が露出することにより、スカムが発生しやすくなるため、好ましくない。一方、粘度が100mm/sを超えると、油剤を計量ポンプから吐出するのに必要な圧力が増加し、安定して操業性良く付着させることができないため、好ましくない。油剤の前記粘度は、70〜95mm/sであることがより好ましく、80〜90mm/sであることが特に好ましい。
芳香族ポリアミド繊維に付着した油剤量は、n−ヘキサンなどの有機溶媒で油剤成分のみ抽出し、有機溶媒を留去することにより測定することができる。
本発明において、繊維表面に油剤が付着した芳香族ポリアミド繊維の繊維−金属動摩擦係数が0.15〜0.25であり、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.10〜0.20であると、製織、製編工程におけるスカムの発生が少なく、製織、製編工程において工程通過性が良好になる理由について、明白な解答は得られていないが、次のような理由によるものと推察される。
すなわち、繊維−金属動摩擦係数が0.15未満になると、芳香族ポリアミド繊維製織時の筬、綜絖、ガイドとの擦過による毛羽の発生は抑制できるが、繊維をネットなどに加工した際に、糸と糸との結節強度や引掛強度が不足することにより、重量物や高速飛来物を受け止めた際の衝撃でネットが破れやすくなる不都合がある。また、繊維−金属動摩擦係数が0.25を超えると、芳香族ポリアミド繊維製織時において、筬、綜絖、ガイドとの擦過による毛羽やスカムの堆積量が増加することにより、芳香族ポリアミド繊維が本来有している高強力性が損なわれる不都合がある。繊維−金属動摩擦係数のより好ましい範囲は0.18〜0.24であり、さらに好ましくは0.19〜0.23である。
また、繊維−金属静摩擦係数が0.10未満になると、繊維を織物などに加工した際に繊維−繊維摩擦抵抗が減少することにより、目ズレが生じやすいものとなる不都合がある。また、繊維−金属静摩擦係数が0.20を超えると、繊維を編物などに加工する際の編み立て性が低下するなどの不都合がある。繊維−金属静摩擦係数のより好ましい範囲は0.12〜0.19であり、さらに好ましくは0.15〜0.19である。
すなわち、摩擦係数は、芳香族ポリアミド繊維を製織、製編した布帛の特性にも影響を及ぼすこととなるので、油剤を付与するにあたっては、繊維−金属動摩擦係数及び繊維−金属静摩擦係数を、上記範囲内に調整することが重要なポイントなのである。そして、上記したように、油剤として脂肪酸エステルを主成分とする油剤を使用し、30℃における粘度が60〜100mm/sに調整したものを、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法などの方法で芳香族ポリアミド繊維に付与することにより、本発明の芳香族ポリアミド繊維を製造することができる。
本発明の芳香族ポリアミド繊維は、金属ガイドとの擦過で発生するフィブリルの繊維径が3μm以下となる。フィブリルの繊維径がこのように小さくなる理由は明らかではないが、次のような理由によるものと推察される。
すなわち、パラ系芳香族ポリアミド繊維などの高配向繊維から形成される繊維集合体においては、繊維軸方向に芳香族ポリアミド分子鎖が強く配向しており、繊維軸に垂直な方向はファンデルワールス力や水素結合等の弱い結合力で結合していると推定される。油剤が繊維間隙に浸透することで、繊維軸に対して垂直方向の力が掛かるのが抑制され、繊維−金属動摩擦係数が0.25以下、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.20以下と低い数値を示すようになる。その結果、繊維が長さ方向に大きく分裂してフィブリル化するのが抑制され、微細フィブリルの形成に留まっているものと推定される。フィブリルの繊維径は3〜1μmであることが好ましく、より好ましくは2〜1μmであることが適当である。
本発明の布帛の形態としては、織物、編物または不織布を採用することができる。織物の種類は、平織、綾織、朱子織といった3原組織、3原組織をもとにした変化組織、絡み組織、パイル組織、バスケット織、模紗織などの組織を適用することができ、これらを組み合わせることもできる。そのなかでも、製織性に優れる平織り、綾織り、朱子織り布帛を好ましく用いることができる。製織は、エヤージェット織機、ウォータージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機、シャトル織機などを用いて通常の方法により製織することができる。糸の準備工程において、糊付けを行ってもよいし、糊付け無しでもよい、風合いを損なわない程度に撚りを入れても良い。編物の種類は、経編地であっても緯編地であっても良い。経編地の組織としては、トリコット編、ラッセル編、ジャガード編などが挙げられ、緯編地の組織としては、平編、ゴム編、パール編、多軸編、タック編などが挙げられ、これらを組み合わせることもできる。製編は、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッセル編機などの通常の編機を用いて通常の方法により製編することができる。
不織布としては、ニードルパンチ法、スパンレース法、ウォータージェット法などが挙げられ、本発明の芳香族ポリアミド繊維を通常の方法でカットした短繊維を前記方法で加工することができる。
スカムの発生量を大幅に減少させることができるため、織物や編物であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミド繊維は、製織、製編工程におけるスカムの発生が少なく、製織、製編工程において工程通過性が良好であるため、生産性が高く、高品位の布帛に製織、製編することが可能となる。そのため、高強度の補強シートや補強ネット、着用感、フィット性に優れた衣料やスポーツ着、作業衣、バッグ、カバン、手袋などを製造することができる。また、芳香族ポリアミド繊維本来の特性が損なわれずに加工することができるため、従来よりも高強力、高剛性と言った特徴が生かされた製品を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。また、以下の実施例等において、特に言及する場合を除き、「重量%」は「%」と略記する。各物性などの評価方法は、次の方法に依拠した。
[粘度]
JIS Z 8803:2011「液体の粘度測定方法」6(細管粘度計による粘度測定方法)に準拠し、粘度計は6.2.1に記載のキャノン−フェンスケ粘度計を用い、温度30℃で測定した。
[動摩擦係数]
栄光産業株式会社製の糸摩擦試験機ME−P01−TD2において、ガイド直径15.9mm、表面粗さRz=10.8μmの梨地表面クロムメッキ金属ガイドに、芳香族ポリアミド繊維を、巻き付け角度90℃、巻き取り速度10m/min、30秒間の測定を5回繰り返した平均値によりガイドとの動摩擦係数を測定した。
[静摩擦係数]
栄光産業株式会社製の糸摩擦試験機ME−P01−TD2において、ガイド直径15.9mm、表面粗さRz=10.8μmの梨地表面クロムメッキ金属ガイドに、芳香族ポリアミド繊維を、巻き付け角度90℃、巻き取り速度0.1m/min、30秒間の測定を5回繰り返した摩擦係数の平均値によりガイドとの静摩擦係数を測定した。
[フィブリルの繊維径]
表面粗さRz=11μmの梨地金属ガイド上に繊維を通過させたときに発生するフィブリルの繊維径を測定した。光学顕微鏡により倍率1000倍で観察し、視野内にある8〜10本のフィブリルの平均径を求めた。
[スカム発生評価]
芳香族ポリアミド繊維を、ガイド直径15.9mm、表面粗さRz=10.8μmの梨地表面クロムメッキ金属ガイドに、巻き付け角度90℃で、巻き取り速度300m/min、巻き取り時間10min、ガイド前張力100g、ガイド後張力200gで巻取りした後の、ガイド上のスカム発生量を目視観察し、スカム発生量を評価した。
(実施例1)
ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(固有粘度=6.5)を99.9%の濃硫酸に溶かし、ポリマー濃度19.5%、温度80℃の紡糸ドープとし、口金からわずかの間空気中へ紡出したのち4℃の水中に導いて凝固させ、ネルソンローラーに導き、8%の水酸化ナトリウム水溶液で中和処理し、水洗後繊維の温度を90℃以下に保持しながら乾燥し、脂肪酸エステルを主成分として含有する常温液状の非水系油剤を、水分率0質量%換算としたときのPPTA繊維質量に対して0.6%付着させて、繊維用紙管に巻き取り、総繊度1,187dtex(絶乾換算)の芳香族ポリアミド長繊維を得た。
(実施例2)
油剤の付着量を1.2%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド長繊維を得た。
(実施例3)
脂肪酸エステルの種類を二価の脂肪酸エステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド長繊維を得た。
(比較例1)
油剤をエチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体に変更した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド長繊維を得た。
得られた芳香族ポリアミド長繊維の動摩擦係数、静摩擦係数、スカム発生量を測定し、表1にまとめた。
[製織性]
得られた芳香族ポリアミド長繊維の糸条を2本引き揃えたものに、50(回/m)の撚りを加えて、経糸および緯糸とし、レピア織機により、織物組織4枚朱子(2×2)を製織した。筬上のスカム発生量を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:製織性非常に良好、○:製織性良好、△:製織性やや不良
Figure 2019173188
本発明の芳香族ポリアミド繊維は、従来の芳香族ポリアミド繊維に比べて、動摩擦係数及び静摩擦係数が低いことより、ガイド上での応力が緩和されフィブリル化が抑制されることにより、織機の筬上でのスカム発生を抑制することができた。また、製織した織物の特性も良好であった。
本発明の芳香族ポリアミド繊維は、工程通過性が良く、生産性が高く、高品位の布帛を生産することが可能となり、織物あるいは編物として、コンクリート用補強シート、防護衣料、手袋、繊維強化複合材料など種々用途に用いることができる。

Claims (6)

  1. 繊維表面に油剤が付与された芳香族ポリアミド繊維であって、該油剤を繊維表面に付着させたときの繊維−金属動摩擦係数が0.15〜0.25であり、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.10〜0.20であることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維。
  2. 表面粗さRz=11μmの梨地金属ガイド上に繊維を通過させたときに発生するフィブリルの繊維径が3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミド繊維。
  3. 油剤が脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド繊維。
  4. 芳香族ポリアミド繊維重量に対する油剤の付着量が0.5〜4.0重量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の芳香族ポリアミド繊維。
  5. 油剤の30℃における粘度が60〜100mm/sであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の芳香族ポリアミド繊維。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の芳香族ポリアミド繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする布帛。
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