JP2019173188A - 芳香族ポリアミド繊維及びそれからなる布帛 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明は、上記の芳香族ポリアミド繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする布帛を提供する。布帛が芳香族ポリアミド繊維のみから構成されている場合には、スカム低減効果が顕著になる。
従って、本発明の芳香族ポリアミド繊維は、織物、編物、ネット、シートなどに幅広く使用することができる。
脂肪酸エステルは、従来公知の化合物を用いることができ、炭素数が4〜18の脂肪酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化合物などが挙げられる。脂肪酸エステルとしては、一価または多価の脂肪酸エステルが挙げられるが、一価もしくは二価の脂肪酸エステルが好ましく、特に一価もしくは二価の脂肪酸と一価のアルコールからなる脂肪酸エステルが好ましい。それぞれ1種を単独で、または2種以上を併用することができる。油剤の取扱性に優れている点で、常温ないし40℃で液状の脂肪酸エステルが好ましい。二種以上の脂肪酸エステルを併用する場合は、脂肪酸エステル混合物が常温ないし40℃で液状であれば良い。
RCOOR´ (1)
R´OOC(CH2)nCOOR´ (2)
一般式(1)、(2)において、Rは、炭素数4〜17の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R´は、炭素数1〜18の飽和または不飽和の炭化水素基、nは、1〜9の整数である。Rは、好ましくは炭素数6〜17の飽和または不飽和の炭化水素基である。
二価の脂肪酸エステルの具体的な化合物としては、例えば、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジオレイルなどが挙げられる。
また、一価の脂肪酸エステルと二価の脂肪酸エステルを併用することができる。
すなわち、繊維−金属動摩擦係数が0.15未満になると、芳香族ポリアミド繊維製織時の筬、綜絖、ガイドとの擦過による毛羽の発生は抑制できるが、繊維をネットなどに加工した際に、糸と糸との結節強度や引掛強度が不足することにより、重量物や高速飛来物を受け止めた際の衝撃でネットが破れやすくなる不都合がある。また、繊維−金属動摩擦係数が0.25を超えると、芳香族ポリアミド繊維製織時において、筬、綜絖、ガイドとの擦過による毛羽やスカムの堆積量が増加することにより、芳香族ポリアミド繊維が本来有している高強力性が損なわれる不都合がある。繊維−金属動摩擦係数のより好ましい範囲は0.18〜0.24であり、さらに好ましくは0.19〜0.23である。
また、繊維−金属静摩擦係数が0.10未満になると、繊維を織物などに加工した際に繊維−繊維摩擦抵抗が減少することにより、目ズレが生じやすいものとなる不都合がある。また、繊維−金属静摩擦係数が0.20を超えると、繊維を編物などに加工する際の編み立て性が低下するなどの不都合がある。繊維−金属静摩擦係数のより好ましい範囲は0.12〜0.19であり、さらに好ましくは0.15〜0.19である。
すなわち、摩擦係数は、芳香族ポリアミド繊維を製織、製編した布帛の特性にも影響を及ぼすこととなるので、油剤を付与するにあたっては、繊維−金属動摩擦係数及び繊維−金属静摩擦係数を、上記範囲内に調整することが重要なポイントなのである。そして、上記したように、油剤として脂肪酸エステルを主成分とする油剤を使用し、30℃における粘度が60〜100mm2/sに調整したものを、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法などの方法で芳香族ポリアミド繊維に付与することにより、本発明の芳香族ポリアミド繊維を製造することができる。
すなわち、パラ系芳香族ポリアミド繊維などの高配向繊維から形成される繊維集合体においては、繊維軸方向に芳香族ポリアミド分子鎖が強く配向しており、繊維軸に垂直な方向はファンデルワールス力や水素結合等の弱い結合力で結合していると推定される。油剤が繊維間隙に浸透することで、繊維軸に対して垂直方向の力が掛かるのが抑制され、繊維−金属動摩擦係数が0.25以下、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.20以下と低い数値を示すようになる。その結果、繊維が長さ方向に大きく分裂してフィブリル化するのが抑制され、微細フィブリルの形成に留まっているものと推定される。フィブリルの繊維径は3〜1μmであることが好ましく、より好ましくは2〜1μmであることが適当である。
不織布としては、ニードルパンチ法、スパンレース法、ウォータージェット法などが挙げられ、本発明の芳香族ポリアミド繊維を通常の方法でカットした短繊維を前記方法で加工することができる。
スカムの発生量を大幅に減少させることができるため、織物や編物であることが好ましい。
JIS Z 8803:2011「液体の粘度測定方法」6(細管粘度計による粘度測定方法)に準拠し、粘度計は6.2.1に記載のキャノン−フェンスケ粘度計を用い、温度30℃で測定した。
栄光産業株式会社製の糸摩擦試験機ME−P01−TD2において、ガイド直径15.9mm、表面粗さRz=10.8μmの梨地表面クロムメッキ金属ガイドに、芳香族ポリアミド繊維を、巻き付け角度90℃、巻き取り速度10m/min、30秒間の測定を5回繰り返した平均値によりガイドとの動摩擦係数を測定した。
栄光産業株式会社製の糸摩擦試験機ME−P01−TD2において、ガイド直径15.9mm、表面粗さRz=10.8μmの梨地表面クロムメッキ金属ガイドに、芳香族ポリアミド繊維を、巻き付け角度90℃、巻き取り速度0.1m/min、30秒間の測定を5回繰り返した摩擦係数の平均値によりガイドとの静摩擦係数を測定した。
表面粗さRz=11μmの梨地金属ガイド上に繊維を通過させたときに発生するフィブリルの繊維径を測定した。光学顕微鏡により倍率1000倍で観察し、視野内にある8〜10本のフィブリルの平均径を求めた。
芳香族ポリアミド繊維を、ガイド直径15.9mm、表面粗さRz=10.8μmの梨地表面クロムメッキ金属ガイドに、巻き付け角度90℃で、巻き取り速度300m/min、巻き取り時間10min、ガイド前張力100g、ガイド後張力200gで巻取りした後の、ガイド上のスカム発生量を目視観察し、スカム発生量を評価した。
ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(固有粘度=6.5)を99.9%の濃硫酸に溶かし、ポリマー濃度19.5%、温度80℃の紡糸ドープとし、口金からわずかの間空気中へ紡出したのち4℃の水中に導いて凝固させ、ネルソンローラーに導き、8%の水酸化ナトリウム水溶液で中和処理し、水洗後繊維の温度を90℃以下に保持しながら乾燥し、脂肪酸エステルを主成分として含有する常温液状の非水系油剤を、水分率0質量%換算としたときのPPTA繊維質量に対して0.6%付着させて、繊維用紙管に巻き取り、総繊度1,187dtex(絶乾換算)の芳香族ポリアミド長繊維を得た。
油剤の付着量を1.2%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド長繊維を得た。
脂肪酸エステルの種類を二価の脂肪酸エステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド長繊維を得た。
油剤をエチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体に変更した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド長繊維を得た。
得られた芳香族ポリアミド長繊維の糸条を2本引き揃えたものに、50(回/m)の撚りを加えて、経糸および緯糸とし、レピア織機により、織物組織4枚朱子(2×2)を製織した。筬上のスカム発生量を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:製織性非常に良好、○:製織性良好、△:製織性やや不良
Claims (6)
- 繊維表面に油剤が付与された芳香族ポリアミド繊維であって、該油剤を繊維表面に付着させたときの繊維−金属動摩擦係数が0.15〜0.25であり、かつ繊維−金属静摩擦係数が0.10〜0.20であることを特徴とする芳香族ポリアミド繊維。
- 表面粗さRz=11μmの梨地金属ガイド上に繊維を通過させたときに発生するフィブリルの繊維径が3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミド繊維。
- 油剤が脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド繊維。
- 芳香族ポリアミド繊維重量に対する油剤の付着量が0.5〜4.0重量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の芳香族ポリアミド繊維。
- 油剤の30℃における粘度が60〜100mm2/sであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の芳香族ポリアミド繊維。
- 請求項1〜5いずれかに記載の芳香族ポリアミド繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする布帛。
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01111066A (ja) * | 1987-10-21 | 1989-04-27 | Teijin Ltd | 芳香族ポリアミド系合成繊維用処理剤 |
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JP2016176160A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 東レ・デュポン株式会社 | ゴム補強用コード |
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