JP2001078456A - Pwm制御式コンバータ - Google Patents

Pwm制御式コンバータ

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JP2001078456A
JP2001078456A JP24766199A JP24766199A JP2001078456A JP 2001078456 A JP2001078456 A JP 2001078456A JP 24766199 A JP24766199 A JP 24766199A JP 24766199 A JP24766199 A JP 24766199A JP 2001078456 A JP2001078456 A JP 2001078456A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】効率を低下させずに、高出力化が図れるように
なるPWM制御式コンバータの提供。 【解決手段】期間T3からT4へ移行する際、U相の極性が
正から負に反転する。そこで、正極用自己消弧素子4U+
を、期間T4の開始から完了まで導通状態にし、期間T3に
おいて、ブロッキングダイオード5U+に蓄積された電荷
を放電し、そのアノードとカソードとの逆方向の電位差
を解消する。これにより、ブロッキングダイオード5U+
には、大きな逆方向電圧が加わらないようになり、電源
電圧を上昇させても、ブロッキングダイオード5の数を
増やす必要がなくなり、高出力化を図っても、効率低下
が未然に防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インバータ装置等
の負荷に直流電力を供給するために、交流電力を直流電
力に変換するPWM制御式コンバータに関する。
【0002】
【背景技術】従来より、誘導電動機の回転速度を負荷に
応じて調節する場合、あるいは、工作機械の刃等の炭素
鋼を焼き入れする等のために、誘導加熱を行う場合に
は、交流電力を出力するとともに、負荷に応じて、その
出力周波数が調節可能となったインバータ装置が利用さ
れている。インバータ装置は、電力会社が供給する交流
電力を利用するために、交流電力を直流電力に変換する
コンバータを備えたものが一般的である。インバータ装
置に設けられるコンバータには、トランジスタ等の自己
消弧素子で形成されたブリッジ回路と、ブリッジ回路で
整流した脈動分を含む直流電力を平滑する直流リアクト
ルと、ブリッジ回路の自己消弧素子を点弧制御する制御
回路が設けられている。
【0003】このようなコンバータでは、特公平8−2
21145号公報に示されるように、ブリッジ回路の自
己消弧素子を点弧制御するにあたり、ブリッジ回路から
出力される直流電圧パルスの幅を、出力すべき電力に応
じて調節するPWM制御が採用できる。図5には、三相
交流の整流にPWM制御を適用したコンバータの一例が
示されている。図5において、コンバータ51は、三相交
流を全波整流するブリッジ回路52と、このブリッジ回路
52で整流した電流を平滑する直流リアクトル53と、ブリ
ッジ回路52の自己消弧素子54を点弧制御するパルス幅制
御回路55とを備えたものとなっている。このうち、ブリ
ッジ回路52は、三相交流の各相の半波を整流するため
に、一次側のU〜W相の各々と二次側の正極との間、お
よび、一次側のU〜W相の各々と二次側の負極との間の
それぞれに設けられた自己消弧素子54を有している。こ
れらの自己消弧素子54の各々には、スイッチング動作に
よる大きなサージ電圧が当該自己消弧素子54に加わらな
いように、ブロッキングダイオード56が直列に接続され
ている。なお、コンバータ51の負荷57は、直流電力を適
宜な周波数の交流電流に逆変換するインバータとなって
いる。
【0004】ここで、コンバータ51に入力されるU〜W
各相の電圧は、図6(A)に示されるように、一周期T
を期間T1〜T6の六等分すると、期間T1〜T6の各々では、
二つの相が同じ極性となり、残りの相が逆の極性となっ
ている。また、期間T1,T3,T5における各波形は、互いに
同形状であり、期間T2,T4,T6における各波形は、期間T
1,T3,T5の各波形と正負が逆となっている。このような
三相交流に対し、コンバータ51のパルス幅制御回路55
は、期間T1〜T6の各々で、逆極性となる一の相を基準と
して、同極性となる二つの相の各々について整流し、こ
れにより、直流電力を得るように制御している。すなわ
ち、U相〜W相の各々の自己消弧素子54U+〜54W+,54U-
〜54W-の各ゲートには、図6(B)に示されるように、
パルス状のゲート信号が入力される。これにより、これ
らの自己消弧素子54は、ブリッジ回路52で整流した電流
が直流リアクトル53を介して負荷57に供給される整流モ
ードと、ブリッジ回路52および負荷57が閉回路を形成
し、この閉回路に直流リアクトル53の誘導電流が循環す
る閉回路モードとが交互に繰り返されるように、スイッ
チングされる。
【0005】例えば、期間T3では、W相の負極側の自己
消弧素子54W-が期間T3全体を通して導通状態とされる。
この状態で、V相の正極側の自己消弧素子54V+が導通さ
れると、図7(A)に示されるように、ブリッジ回路52
の自己消弧素子54V+および自己消弧素子54W-で整流され
た電流が直流リアクトル53を介して負荷57に流れ、これ
により、第1整流モードが行われる。この際、三相交流
のV相の電圧は正となり、W相の電圧は負となっている
ので、電流は、V相からW相へ流れる。また、U相の正
極側の自己消弧素子54U+が導通されると、図7(B)に
示されるように、ブリッジ回路52の自己消弧素子54U+お
よび自己消弧素子54W-で整流された電流が直流リアクト
ル53を介して負荷57に流れ、これにより、第2整流モー
ドが行われる。この際、三相交流のU相の電圧は正とな
り、W相の電圧は負となっているので、電流は、U相か
らW相へ流れる。さらに、W相の正極側の自己消弧素子
54W+が導通されると、図7(C)に示されるように、ブ
リッジ回路52および負荷57が閉回路を形成し、この閉回
路に直流リアクトル53の誘導電流が循環し、これによ
り、閉回路モードが行われる。このような第1、第2整
流モードおよび閉回路モードは、期間T3が終わるまで、
交互に複数回繰り返される。
【0006】一方、期間T4では、V相の正極側の自己消
弧素子54V+が期間T4全体を通して導通状態とされる。こ
の状態で、U相の負極側の自己消弧素子54U-が導通され
ると、図8(A)に示されるように、ブリッジ回路52の
自己消弧素子54V+および自己消弧素子54U-で整流された
電流が直流リアクトル53を介して負荷57に流れ、これに
より、第1整流モードが行われる。この際、三相交流の
V相の電圧は正となり、U相の電圧は負となっているの
で、電流は、V相からU相へ流れる。また、W相の負極
側の自己消弧素子54W-が導通されると、図8(B)に示
されるように、ブリッジ回路52の自己消弧素子54V+およ
び自己消弧素子54W-で整流された電流が直流リアクトル
53を介して負荷57に流れ、これにより、第2整流モード
が行われる。この際、三相交流のV相の電圧は正とな
り、W相の電圧は負となっているので、電流は、V相か
らW相へ流れる。さらに、V相の負極側の自己消弧素子
54V-が導通されると、図8(C)に示されるように、ブ
リッジ回路52および負荷57が閉回路を形成し、この閉回
路に直流リアクトル53の誘導電流が循環し、これによ
り、閉回路モードが行われる。このような第1、第2整
流モードおよび閉回路モードは、期間T4が終わるまで、
交互に複数回繰り返される。このようにコンバータの自
己消弧素子54をパルス幅制御すれば、低次の高調波が取
り除かれるうえ、直流電圧制御の深さにかかわらず力率
がほぼ1となり、力率の改善が図れるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような動作を行う
コンバータ51では、自己消弧素子54のスイッチングによ
り、ブロッキングダイオード56に大きな逆方向電圧が加
わる。具体的に説明すると、期間T3の最後の閉回路モー
ドにおいて、自己消弧素子54W+が導通状態となると、期
間T3の全期間を通じて自己消弧素子54W-も導通状態とな
っているので、ブロッキングダイオード56U+のカソード
の電位が負電位のW相にとほぼ同電位となるとともに、
ブロッキングダイオード56U+には、順方向の電界が加わ
るので、そのアノードもW相とほぼ同電位となってしま
う。ここで、自己消弧素子54U+は、遮断状態となってい
るので、その両端には、電荷が溜まり、U相電圧とW相
電圧との電位差にほぼ等しい電圧が生じる。
【0008】そして、この状態で、期間T4に移行し、第
1整流モードが実行されると、図8(A)の如く、自己
消弧素子54V+を介して、ブロッキングダイオード56U+の
カソード側は、V相に導通される。また、自己消弧素子
54U+は、遮断状態のままなので、その両端には、期間T3
で溜まった電荷が残っている。その結果、ブロッキング
ダイオード56U+の両端には、V相との導通による逆方向
電圧と、期間T3の最後の閉回路モードにおいて蓄えられ
て放電しきれていない電荷による逆方向電圧とが印加さ
れるので、ブロッキングダイオード56U+等のブロッキン
グダイオード56は、他の素子よりも逆方向の耐電圧を高
くする必要がある。このため、電源電圧を上昇させるこ
とで、高出力化しようとすると、ブロッキングダイオー
ド56の逆耐圧性能が不足する、という問題がある。一
方、逆耐圧性能を確保しようとすると、自己消弧素子54
に直列接続されるブロッキングダイオード56の数を増や
す必要があるが、ブロッキングダイオード56の数を増や
すと、その順方向抵抗が増大し、コンバータ51の効率が
低下する、という問題が生じる。
【0009】本発明の目的は、効率を低下させずに、高
出力化が図れるようになるPWM制御式コンバータを提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、交流電源から
供給される三相交流を直流に整流するために、一次側の
各相と二次側の正極との間に、正極用自己消弧素子およ
び正極用ブロッキングダイオードがそれぞれ設けられ、
前記各相と前記二次側の負極との間に、負極用自己消弧
素子および負極用ブロッキングダイオードがそれぞれ設
けられ、前記正極用自己消弧素子および前記負極用自己
消弧素子をPWM制御する制御手段が備えられているP
WM制御式コンバータであって、前記制御手段は、電圧
の極性が正から負に反転した相の前記正極用自己消弧素
子、および、電圧の極性が負から正に反転した相の前記
負極用自己消弧素子を、当該相が反転した時点から所定
時間が経過するまでの間導通状態にするものであること
を特徴とする。このような本発明では、各相の電圧の極
性が反転する際に、当該相の該極側に接続された自己消
弧素子が導通するので、当該相の他方の極側に接続され
た自己消弧素子が導通すると、当該相の該極側に接続さ
れたブロッキングダイオードは、アノードとカソードと
が負荷等を介して導通され、アノードおよびカソードに
蓄積された電荷が放電される。このため、相電圧の反転
の際に、該ブロッキングダイオードに逆方向の電圧が印
加されても、該ブロッキングダイオードの電荷による電
位差がなくなっているので、ブロッキングダイオード
に、大きな逆方向電圧が加わることがない。従って、高
出力化のために電源電圧を上昇させても、直列接続され
るブロッキングダイオードの数を増やす必要がなく、電
源電圧を上昇させ、高出力化を図るにあたり、効率が低
下することがない。
【0011】以上において、当該コンバータには、二次
側から出力されるとともにパルス状に断続する電流を平
滑して直流電流にする直流リアクトルと、前記交流電源
および前記一次側の間に設けられるとともに、前記自己
消弧素子のスイッチング動作の際に発生する過電圧を吸
収するコンデンサと、前記自己消弧素子の前記スイッチ
ング動作の際に発生する高周波電流の前記交流電源側へ
の逆流を阻止する交流リアクトルとが備えられているこ
とが望ましい。このようにすれば、コンバータの交流入
力部分に設けたコンデンサが、自己消弧素子のスイッチ
ング動作により発生する過電圧を吸収するので、モード
切替時等のスイッチング動作時に発生する高調波の交流
電源側への逆流が抑制されるようになる。また、パルス
幅制御において発生するキャリア波の高周波成分電流
は、コンデンサを通過してしまうが、コンバータの交流
入力部分に設けた交流リアクトルが、コンデンサを通過
した高周波成分電流の交流電源側への逆流を阻止するの
で、コンバータが自己消弧素子をスイッチングさせるキ
ャリア波を発生させても、当該キャリア波の高周波成分
が交流電源側に漏れることはない。これらにより、自己
消弧素子のスイッチング動作により発生する雑音として
の高調波、および、スイッチング動作に必要な制御信号
であるキャリア波に含まれる高周波成分の両方が交流電
源側へ逆流せず、交流電源側の電流に含まれる高調波成
分が確実に低減されるようになる。そのうえ、パルス幅
制御により、低次の高調波が抑制されるので、前述のコ
ンデンサは、高次の高調波を吸収できればよく、その静
電容量は小さく、また、前述の交流リアクトルは、キャ
リア波の高周波成分が比較的高い周波数を有しているの
で、そのインダクタンスは小さい。このため、コンデン
サおよび交流リアクトルを設けても、コンバータ全体の
小型化が阻害されることはない。
【0012】さらに、その出力側には、誘導加熱を行う
ための高周波電力を発生するインバータ装置が接続され
ていることが望ましい。このような高周波電力を発生す
るインバータ装置への電力を調節するには、コンバータ
側の自己消弧素子をスイッチング動作させるにあたり、
その制御信号であるキャリア波の周波数を高く設定し、
自己消弧素子の導通時間を細かく調節する必要がある。
従って、キャリア波そのものの周波数が高く、キャリア
波の高周波成分が交流電源側に漏れやすいものとなって
いるが、この高周波成分は、交流電源および整流回路の
間に設けられた交流リアクトルに阻止され、当該高周波
成分が交流電源側に漏れることはない。このため、高周
波電力を発生するインバータ装置に直流電力を供給する
のに最適なコンバータが得られるようになる。
【0013】また、自己消弧素子は、IGBT(Insulated G
ate Bipolar mode Transistor)、MOSFET(MOS型電界効果
トランジスタ)およびGTO(Gate Turn Off Thyristor)
のいずれかの高速スイッチング素子であることが望まし
い。このような高速スイッチング素子で整流回路を形成
すれば、負荷へ出力すべき電力に応じて自己消弧素子の
導通時間を細かく調節することができ、きめの細かいパ
ルス幅制御回路が可能となる。これにより、負荷にとっ
て常に最適な電力量が当該負荷に供給されるようにな
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態に
係るコンバータ1が示されている。このコンバータ1
は、三相交流電源2から供給される三相交流電力を直流
電力に変換する電流型コンバータである。コンバータ1
の出力は、直流電力を交流電力に変換するインバータ装
置3に接続されている。これにより、コンバータ1が変
換した直流電力は、インバータ装置3で誘導加熱に必要
な高周波電力に変換されるようになっている。コンバー
タ1には、主要素子として複数の自己消弧素子4を有す
るとともに、これらの自己消弧素子4で交流電力を整流
するブリッジ方式の整流回路10と、この整流回路10から
出力されるとともに、パルス状に断続する電流を平滑し
て直流電流にする直流リアクトル20と、出力すべき電力
に応じて自己消弧素子4の導通時間を制御するパルス幅
制御回路30とが設けられている。
【0015】整流回路10は、交流電源から供給される三
相交流を直流に整流するために、一次側のU相、V相お
よびW相の各々と、二次側の正極との間にそれぞれ設け
られている、正極用自己消弧素子4U+,4V+,4W+および
正極用ブロッキングダイオード5U+,5V+,5W+と、一次
側のU相、V相およびW相と二次側の負極との間に設け
られている、負極用自己消弧素子4U−,4V−,4W−および
負極用ブロッキングダイオード5U−,5V−,5W−とを備え
ている。また、整流回路10の交流入力部分には、自己消
弧素子4のスイッチング動作の際に発生する過電圧を吸
収するコンデンサ6と、自己消弧素子4のスイッチング
動作の際に発生する高周波電流、すなわち、キャリア波
の高周波成分電流の交流電源側への逆流を阻止する交流
リアクトル7とが接続されている。ここで、整流回路10
の自己消弧素子4としては、高速スイッチング素子であ
る電力制御用のIGBTが採用されている。
【0016】パルス幅制御回路30は、自己消弧素子4を
断続的に点弧するとともに、整流回路10から出力される
直流電圧パルスの幅を、出力すべき電力に応じて調節す
るパルス幅制御を行う制御手段である。パルス幅制御回
路30のパルス幅制御は、入力される三相交流電圧と、整
流回路10から出力される直流電圧とを検出・監視し、イ
ンバータ装置3への直流電圧が一定の値となるように、
整流回路10から出力される直流電圧パルスの幅を拡張す
る方式のものである。これにより、インバータ装置3の
消費電力が増大したために、コンバータ1の出力電流が
増え、その内部抵抗による電圧降下が大きくなり、イン
バータ装置3への出力電圧が低下しようとすると、直流
電圧パルスの幅が拡張され、当該出力電圧の低下が抑制
され、インバータ装置3へ供給される電力が増大するよ
うになっている。
【0017】このパルス幅制御には、後述する整流モー
ドと閉回路モードとが設定されている。換言すれば、パ
ルス幅制御回路30は、整流モードおよび閉回路モードが
交互に繰り返されるように、自己消弧素子4のゲートに
与えるパルス状の制御信号であるキャリア波を発生し、
このキャリア波で自己消弧素子4を適宜点弧するものと
なっている。また、パルス幅制御回路30は、U相、V相
およびW相の各相に印加された電圧の極性が正から負に
反転すると、その相の正極用自己消弧素子4を、所定時
間が経過するまでの間導通状態にするとともに、電圧の
極性が負から正に反転すると、その相の負極用自己消弧
素子4を、所定時間が経過するまでの間導通状態にする
機能を有している。
【0018】以下に、パルス幅制御回路30について、よ
り具体的に説明する。コンバータ1に入力されるU〜W
各相の電圧は、図2(A)の如く、期間T1〜T6の各々で
は、二つの相が同じ極性となる一方、残りの相が逆の極
性となる。また、期間T1,T3,T5における各波形は、互い
に同形状であり、期間T2,T4,T6における各波形は、期間
T1,T3,T5の各波形と正負が逆となっている。このような
三相交流に対し、コンバータ1のパルス幅制御回路30
は、U相〜W相の各々の自己消弧素子4U+〜4W+,4U−
〜4W−の各ゲートに、図2(B)の如く、パルス状のゲ
ート信号を入力し、期間T1〜T6の各々で、逆極性となる
一の相を基準として、二つの相の各々について整流し、
これにより、直流電力を得るように制御している。
【0019】例えば、期間T3では、期間T3の開始から終
了までの間、自己消弧素子4W−を導通状態にする一方、
自己消弧素子4V+,4U+,4W+のそれぞれに、パルス状
のゲート信号を順次送り、これらの自己消弧素子4V+,
4U+,4W+を順次導通状態にして、第1整流モード、第
2整流モードおよび閉回路モードを繰り返し行うように
制御している。期間T4では、期間T4の開始から終了まで
の間、自己消弧素子4V+を導通状態にする一方、自己消
弧素子4U−,4W−,4V−のそれぞれにパルス状のゲート
信号を順次送り、これらの自己消弧素子4U−,4W−,4V
−を順次導通状態にして、第1整流モード、第2整流モ
ードおよび閉回路モードを順次行っている。また、期間
T2から期間T3へ移行する際、V相の電圧極性が負から正
に反転するので、これに対応して、パルス幅制御回路30
は、V相の極性が反転した時点から所定時間が経過する
までの間、具体的には、期間T3の開始から終了までの
間、負極用自己消弧素子4V−を導通状態にするようにな
っている。期間T3から期間T4へ移行する際には、U相の
電圧の極性が正から負に反転するので、これに対応し
て、パルス幅制御回路30は、U相の極性が反転した時点
から所定時間が経過するまでの間、具体的には、期間T4
の開始から終了までの間、負極用自己消弧素子4U+を導
通状態にするようになっている。
【0020】次に、本実施形態のコンバータ1の動作に
ついて説明する。なお、期間T1,T3,T5の各波形は、互い
に同形状であり、期間T2,T4,T6の各波形は、期間T1,T3,
T5の各波形と正負が逆ではあるが、やはり同形状である
ので、ここでは、期間T3,T4における動作を説明し、期
間T1,T2,T5,T6における動作については、期間T3,T4
と同様となるため説明を省略する。コンバータ1には、
図2(A)に示されるように、正弦波状に変化する三相
交流電圧が加えられているとする。期間T3では、当該期
間T3の開始から終了まで、図2(B)の如く、W相の負
極側の自己消弧素子4W−が導通状態とされる。また、期
間T3への移行の際、V相の電圧極性が負から正に反転す
るので、期間T3の開始から終了までの間、負極用自己消
弧素子4V−が導通状態とされる。
【0021】この状態で、V相の正極側の自己消弧素子
4V+が導通され、図3(A)に示されるように、整流回
路10の自己消弧素子4V+および自己消弧素子4W−で整流
された電流が直流リアクトル20を介してインバータ装置
3に流れ、これにより、第1整流モードが行われる。こ
の際、三相交流のV相の電圧は正となっており、W相の
電圧は負となっているので、電流は、V相からW相へ流
れる。続いて、U相の正極側の自己消弧素子4U+が導通
され、図3(B)に示されるように、整流回路10の自己
消弧素子4U+および自己消弧素子4W−で整流された電流
が直流リアクトル20を介してインバータ装置3に流れ、
これにより、第2整流モードが行われる。この際、三相
交流のU相の電圧は正となり、W相の電圧は負となって
いるので、電流は、U相からW相へ流れる。次に、W相
の正極側の自己消弧素子4W+が導通され、図3(C)の
如く、整流回路10およびインバータ装置3が閉回路を形
成し、この閉回路に直流リアクトル20の誘導電流が循環
し、これにより、閉回路モードが行われる。
【0022】期間T3が完了し、期間T4へ移行すると、図
2(B)に示されるように、V相の正極側の自己消弧素
子4V+が期間T4全体を通して導通状態とされる。また、
期間T4への移行の際、U相の電圧極性が正から負に反転
するので、期間T4の開始から終了までの間、正極用自己
消弧素子4U+が導通状態とされる。
【0023】この状態で、U相の負極側の自己消弧素子
4U−が導通されると、図4(A)に示されるように、整
流回路10の自己消弧素子4V+および自己消弧素子4U−で
整流された電流が直流リアクトル20を介してインバータ
装置3に流れ、これにより、第1整流モードが行われ
る。この際、三相交流のV相の電圧は正となり、U相の
電圧は負となっているので、電流は、V相からU相へ流
れる。続いて、W相の負極側の自己消弧素子4W−が導通
されると、図4(B)に示されるように、整流回路10の
自己消弧素子4V+および自己消弧素子4W−で整流された
電流が直流リアクトル20を介してインバータ装置3に流
れ、これにより、第2整流モードが行われる。この際、
三相交流のV相の電圧は正となり、W相の電圧は負とな
っているので、電流は、V相からW相へ流れる。次に、
V相の負極側の自己消弧素子4V−が導通され、図4
(C)の如く、整流回路10およびインバータ装置3が閉
回路を形成し、この閉回路に直流リアクトル20の誘導電
流が循環し、これにより、閉回路モードが行われる。
【0024】ここで、期間T3の最後の閉回路モードにお
いて、ブロッキングダイオード5U+のカソードは、直流
リアクトル20および負荷3を介してW相と導通するの
で、ブロッキングダイオード5U+のカソードの電位が負
電位のW相にとほぼ同電位となるとともに、ブロッキン
グダイオード5U+には、順方向の電界が加わるので、そ
のアノードもW相とほぼ同電位となってしまう。また、
自己消弧素子4U+は、遮断状態となっているので、その
両端には、電荷が溜まる。この結果、ブロッキングダイ
オード5U+には、期間T3の最後の閉回路モードにより溜
まった逆方向の電荷により、U相電圧およびW相電圧の
電位差とほぼ等しい逆電圧が生じる。そして、ブロッキ
ングダイオード5U+の両端に逆電位が加わった状態で、
期間T4に移行し、最初の第1整流モードが実行される
と、図4(A)の如く、自己消弧素子4V+を介して、ブ
ロッキングダイオード5U+のカソード側は、V相に導通
され、ブロッキングダイオード5U+には、V相の電圧が
加わる。ここで、V相の電位は、正電圧であり、U相の
電位は、負電位であるので、期間T3で溜まった逆方向の
電荷が放電されないで残っていると、ブロッキングダイ
オード5U+には、大きな逆方向電圧が加わることとな
る。
【0025】しかし、期間T4では、自己消弧素子4U−が
導通状態となるので、ブロッキングダイオード5U+は、
そのアノードとカソードとが、直流リアクトル20、イオ
ンバータ装置3、ブロッキングダイオード5U−および自
己消弧素子4U−,4U+を介して導通される。そして、図
4(B)の破線で示されるように、ブロッキングダイオ
ード5U+の両端に蓄積された電荷が放電される。これに
より、ブロッキングダイオード5U+の両端に加わってい
た、電荷が放電され、電荷による逆方向電圧は、0Vと
なる。この状態で、ブロッキングダイオード5U+に逆方
向のV相電圧が印加されても、ブロッキングダイオード
5U+の両端の電荷が放電されているので、ブロッキング
ダイオード5U+に、大きな逆方向電圧が加わることがな
い。
【0026】前述のような本実施形態によれば、次のよ
うな効果が得られる。すなわち、U相〜W相の電圧の極
性が正から負に反転した際、正極用自己消弧素子4U+,4
V+,4W+のうち、当該反転した相に接続されたものを所
定時間が経過するまでの間導通状態にし、また、U相〜
W相の電圧の極性が負から正に反転した際、負極用自己
消弧素子4U−,4V−,4W−のうち、当該反転した相に接続
されたものを所定時間が経過するまでの間導通状態に
し、当該相の該極側に接続されたブロッキングダイオー
ド5に蓄積された電荷を放電させるようにしたので、ブ
ロッキングダイオード5に、大きな逆方向電圧が加わる
ことがない。このため、高出力化のために電源電圧を上
昇させても、直列接続されるブロッキングダイオード5
の数を増やす必要がなく、電源電圧を上昇させ、高出力
化を図るにあたり、効率の低下を未然に防止できる。
【0027】また、自己消弧素子4のスイッチング動作
の際に発生する過電圧を吸収するコンデンサ6を設けた
ので、モード切替時等のスイッチング動作時に発生する
高調波が交流電源2側に逆流せず、また、キャリア波の
高周波成分電流の、交流電源2側への逆流を阻止する交
流リアクトル7を設けたので、自己消弧素子4に印加さ
れるゲート信号であるキャリア波の高周波成分電流がコ
ンデンサを通過しても、当該高周波成分が交流リアクト
ル7で阻止されるので、交流電源2側に漏れることはな
い。これらにより、自己消弧素子4のスイッチング動作
により発生する雑音としての高調波、および、スイッチ
ング動作に必要な制御信号であるキャリア波に含まれる
高周波成分の両方が交流電源2側へ逆流せず、交流電源
2側の電流に含まれる高調波成分を確実に低減できる。
【0028】さらに、効率を低下させずに、電流型コン
バータ1の高出力化が図れるようになるので、大電流を
入力する必要のある、誘導加熱用のインバータ装置3も
高出力化が図れ、従来よりも、大きな容量の誘導加熱装
置を得ることができる。
【0029】また、自己消弧素子4として、IGBTを
採用したので、インバータ装置3へ出力すべき電力に応
じて自己消弧素子4の導通時間を細かく調節することが
でき、きめの細かいパルス幅制御が可能となり、インバ
ータ装置3にとって常に最適な電力量を当該インバータ
装置3に供給することができる。
【0030】以上、本発明について好適な実施形態を挙
げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるも
のでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、自己消
弧素子としては、IGBTに限らず、MOSFETおよ
びGTOのいずれでもよく、要するに、高速スイッチン
グ可能であり、かつ、導通時の直流抵抗値が小さい素子
であればよい。また、前記実施形態では、第1整流モー
ド、第2整流モードおよび閉回路モードのを順次繰り返
し、1/6周期の間に、3つのモードを三回ずつ行うよ
うにしたが、これに限らず、これらのモードを、1/6
周期の間に、二回以下、あるいは、四回以上行うように
してもよい。
【0031】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、効率を低
下させずに、高出力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバータを示す
回路図である。
【図2】前記実施形態の自己消弧素子へのゲート信号を
説明するための図である。
【図3】前記実施形態の動作を説明するための図であ
る。
【図4】前記実施形態における図3に続く動作を説明す
るための図である。
【図5】従来例を示す図1に相当する図である。
【図6】従来例の図2に相当する図である。
【図7】従来例の図3に相当する図である。
【図8】従来例の図4に相当する図である。
【符号の説明】
1 コンバータ 2 三相交流電源 3 インバータ装置 4 自己消弧素子 5 ブロッキングダイオード 6 コンデンサ 7 交流リアクトル 10 整流回路 20 直流リアクトル 30 制御手段としてのパルス幅制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加納 聡 神奈川県平塚市田村5893 高周波熱錬株式 会社内 Fターム(参考) 5H006 AA07 CA01 CA05 CA07 CB01 CB08 DB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交流電源から供給される三相交流を直流に
    整流するために、一次側の各相と二次側の正極との間
    に、正極用自己消弧素子および正極用ブロッキングダイ
    オードがそれぞれ設けられ、前記各相と前記二次側の負
    極との間に、負極用自己消弧素子および負極用ブロッキ
    ングダイオードがそれぞれ設けられ、前記正極用自己消
    弧素子および前記負極用自己消弧素子をPWM制御する
    制御手段が備えられているPWM制御式コンバータであ
    って、 前記制御手段は、電圧の極性が正から負に反転した相の
    前記正極用自己消弧素子、および、電圧の極性が負から
    正に反転した相の前記負極用自己消弧素子を、当該相が
    反転した時点から所定時間が経過するまでの間導通状態
    にするものであることを特徴とするPWM制御式コンバ
    ータ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のPWM制御式コンバータ
    において、二次側から出力されるとともにパルス状に断
    続する電流を平滑して直流電流にする直流リアクトル
    と、前記交流電源および前記一次側の間に設けられると
    ともに、前記自己消弧素子のスイッチング動作の際に発
    生する過電圧を吸収するコンデンサと、前記自己消弧素
    子の前記スイッチング動作の際に発生する高周波電流の
    前記交流電源側への逆流を阻止する交流リアクトルとが
    設けられていることを特徴とするPWM制御式コンバー
    タ。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載のPWM制御
    式コンバータにおいて、その出力側には、誘導加熱を行
    うための高周波電力を発生するインバータ装置が接続さ
    れていることを特徴とするPWM制御式コンバータ。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    のPWM制御式コンバータにおいて、前記自己消弧素子
    は、IGBT、MOSFETおよびGTOのいずれかの
    高速スイッチング素子であることを特徴とするPWM制
    御式コンバータ。
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