JP4500470B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱を行うインバータ装置等に直流電力を供給するために、交流電力を直流電力に変換する電力変換装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、工作機械の刃等の炭素鋼を焼き入れする等のために、誘導加熱を行う場合には、交流電力を出力するとともに、負荷に応じて、その出力周波数が調節可能となったインバータ装置が利用されている。
インバータ装置は、電力会社が供給する交流電力を利用するために、交流電力を直流電力に変換する整流装置を備えたものが一般的である。
インバータ装置に設けられる整流装置としては、半導体ダイオード等の整流用受動素子で全波整流ブリッジ回路を形成した受動素子型整流装置、および、IGBT等の電力制御用能動素子でブリッジ回路を形成した能動素子型整流装置等が採用できる。
【0003】
図5には、受動素子型整流装置の一例が示されている。図5において、整流装置70は、三相交流電源1から供給される交流電力を直流電力に変換するものであり、複数のダイオード71から形成されたブリッジ回路72と、このブリッジ回路72の出力を平滑する平滑コンデンサ73と、ブリッジ回路72および三相交流電源1の間の各相に接続された交流リアクトル74とを備えている。
このような整流装置70では、交流入力電流が正弦波にはならず、高調波成分を含んだ方形波となるので、整流装置70全体を簡単な回路で構成できるという利点がある反面、高調波成分を抑制することができない、という問題がある。
【0004】
図6には、能動素子型整流装置の一例が示されている。図6において、整流装置80は、三相交流電源1から供給される交流電力を直流電力に変換するにあたり、出力電力を負荷に応じて制御するPWM制御方式のものである。
この整流装置80には、複数のスイッチング素子81から形成されたブリッジ回路82と、このブリッジ回路82の出力を平滑する平滑コンデンサ83と、ブリッジ回路82および三相交流電源1の間の各相に接続された交流リアクトル84と、ブリッジ回路82のスイッチング素子81のそれぞれに並列かつ逆方向に接続された保護ダイオード85とが設けられている。
そして、図示しない制御回路により、各スイッチング素子81をオンオフ制御し、三相交流電源1の交流電圧を複数の電圧パルスに分断するとともに、各電圧パルスのパルス幅を調節し、これにより、負荷に供給する出力電力を制御するようになっている。
このような整流装置80では、転流重なり角を存在させ、転流期間中に電流が滑らかに変化するようにすれば、高調波成分を抑制することができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、前述の整流装置80では、U相、V相およびW相のそれぞれの+側の保護ダイオード85に電流が流れている状態で、同じ相の−側のスイッチング素子81をターンオンさせている。
このようにすると、+側の保護ダイオード85に電流が流れ、同じ相の−側の保護ダイオード85に順方向の電圧が印加されている状態で、−側のスイッチング素子81がターンオンされるので、当該−側の保護ダイオード85は、導通状態から遮断状態に移行するのに逆回復時間を要する、というダイオードの特性から、すぐに遮断状態とならず、逆回復時間が経過するまで短絡状態となり、当該保護ダイオード85には、短絡電流(逆回復電流)が流れる。
このため、スイッチング素子81をターンオン時に、無駄な電流が保護ダイオード85に流れ、電力の損失が増大するという問題がある。
また、スイッチング素子81のターンオン時、保護ダイオード85が導通状態から遮断状態に移行すると、それまで、保護ダイオード85に流れていた逆回復電流が瞬時に遮断されるので、当該保護ダイオード85の両端にサージ電圧が発生する、という問題もある。
さらに、各スイッチング素子81のターンオフ時には、電流が導通中のスイッチング素子81が瞬時に遮断状態となるので、導通中の電流が瞬時に遮断され、大きなサージ電圧が発生する、という問題がある。
【0006】
一方、ダイオードからなるブリッジ回路に流れる電流を転流させる転流回路を設け、この転流回路側へ電流を流すことで、負荷への直流電力を調節する整流装置を採用すれば、スイッチング素子の数を低減することができる。
すなわち、図7に示されるように、整流装置90は、前述の整流装置70に転流回路91を追加したものであり、転流回路91のスイッチング素子92を適宜開閉することにより、負荷に応じて出力電力をPWM制御するようになっている。
ここで、転流回路91は、交流リアクトル74とブリッジ回路72との間に接続されたものであり、各相の間に接続されたスイッチング素子92と、各スイッチング素子92に並列かつ逆方向に接続された保護ダイオード93とを有している。
【0007】
そして、整流装置90には、図8に示されるように、各相の電圧が正弦波状に変化するとともに、その最大振幅がそれぞれ等しく、かつ、各相の電圧の位相が120度ずつずれた三相交流電力が三相交流電源1から供給される。
以下に、このような三相交流電力が供給される整流装置90の動作について説明する。なお、期間T1,T3,T5の各波形は、互いに同形状であり、期間T2,T4,T6の各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆ではあるが、やはり同形状であるので、ここでは、期間T1における動作を説明し、期間T2,T3,T4,T5,T6における動作については、期間T1と同様となるため説明を省略する。
【0008】
期間T1において、整流装置90には、図9(A)に示されるように、0から次第に上昇するU相電圧と、0に向かって次第に下降するW相電圧と、負領域内で変化するV相電圧とが印加される。
このように印加される電源電圧に対し、転流回路91のU相に設けられたスイッチング素子92には、図9(B)に示されるように、次第にパルス幅が増加していくゲート電圧が印加される。
すると、転流回路91には、具体的には、U相のスイッチング素子92には、図9(C)に示されるように、交流リアクトル74の作用により、いきなり大きな電流が流れることなく、ターンオンになった時点から次第に増加していく電流が導通する。ここで、転流回路91側に電流を導通させることにより、交流リアクトル74には、磁気的エネルギーが蓄積される。
【0009】
一方、U相のスイッチング素子92がターンオフされると、ブリッジ回路72のU相の正極側に設けられたダイオード71には、図9(D)に示されるように、交流リアクトル74の作用により、0から次第に増えていく電流ではなく、転流回路91のU相のスイッチング素子92に導通していた電流が殆ど減少せずに転流する。
結果として、U相の電流、具体的には、U相の交流リアクトル74に流れる電流(スイッチング素子92に流れる電流と、ダイオード71に流れる電流との和となる電流)は、図9(E)に示されるように、殆ど遅れを生じさせずにU相の電圧に追従して徐々に増加していくようになり、高調波成分の抑制が図れる。
また、スイッチング素子92がターンオンになっている際に、交流リアクトル74に磁気的エネルギーが蓄積され、スイッチング素子92がターンオフされると、交流リアクトル74に蓄積された磁気的エネルギーが放出されるので、ブリッジ回路72に負荷が接続されていても、スイッチング素子92に導通していた電流は、殆ど減少せずにブリッジ回路72を通じて負荷側に流れるようになり、これにより、直流電力を負荷に効率よく供給することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような整流装置90では、ブリッジ回路72側に流れていた電流を転流回路91側に転流させる際に、スイッチング素子92には、ブリッジ回路72側に流れていた電流が殆どそのまま転流されるうえ、ブリッジ回路72に設けられたダイオード71の逆回復電流が流れるので、スイッチング素子92のターンオン動作は、導通状態になるやいなや大電流が導通する、いわゆるハードスイッチング・オンとなり、スイッチング素子92には、厳しい動作条件になる、という問題がある。
このため、スイッチング素子92としては、導通抵抗が小さく、しかも、ハードスイッチングに対する耐久性に優れたものを選択する必要が生じ、スイッチング素子92の選択範囲が狭くなるという問題も生じる。
【0011】
一方、転流回路91側に流れていた電流をブリッジ回路72側に転流させるにあたり、スイッチング素子92に流れていた電流は、強制的かつ瞬時に遮断されるので、スイッチング素子92に非常に大きなサージ電圧が加わり、スイッチング素子92のターンオフ動作は、非常に大きなサージ電圧が加わる、いわゆるハードスイッチング・オフとなり、ターンオフ時においても、スイッチング素子92には、厳しい動作条件になる、という問題がある。
このため、スイッチング素子92としては、非常に大きなサージ電圧に対する耐久性に優れたものを選択する必要が生じ、この点からも、スイッチング素子92の選択範囲が狭くなるという問題も生じる。
【0012】
本発明の目的は、交流入力電流に含まれる高調波成分が抑制され、スイッチング素子のハードスイッチング・オンおよびハードスイッチング・オフが回避されるようになる電力変換装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、交流電源からの電力を整流して直流電力に変換する電力変換装置であって、複数の整流素子をブリッジ状に組んだ整流スタックと、この整流スタックの各相に流れる電流を転流させるために、前記整流スタックとは並列となるように、前記交流電源の各相の間に接続される転流回路とを備え、この転流回路には、互いに並列に接続された主転流回路および補助転流回路とが設けられ、前記主転流回路には、電力制御用のスイッチング素子である主開閉素子と、前記主開閉素子に並列に接続された転流調節コンデンサと、前記主開閉素子に並列、かつ、前記主開閉素子とは逆方向に接続された第1保護ダイオードとが設けられ、前記補助転流回路には、電力制御用のスイッチング素子である補助開閉素子と、前記補助開閉素子に直列に接続された転流調節インダクタンスと、前記補助開閉素子とは並列、かつ、前記転流調節インダクタンスとは直列に接続された第2保護ダイオードとが設けられ、前記主開閉素子および前記補助開閉素子を断続的に開閉させて、前記整流スタックに流れる電流を、断続的に前記転流回路側へ転流させることにより、前記整流スタックに供給される電力を調整し、前記転流回路側への転流を行うにあたり、前記補助開閉素子をターンオンしてから前記主開閉素子をターンオンさせる制御手段が設けられ、前記転流調節コンデンサおよび前記転流調節インダクタンスは、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記主開閉素子がターンオンするまでの間に、共振するとともに、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するように、その時定数が設定されたものであることを特徴とする。
【0014】
このような本発明では、整流スタックに流れている電流を転流回路側へ適宜転流することにより、負荷に供給する出力電力が調整されるようになる。
そして、負荷への電圧、電流あるいは電力の値を検出するとともに、検出した値に基づいて、転流回路の主開閉素子を開閉するPWM制御を行えば、負荷に見合った出力電力が常に供給できるようになる。
【0015】
ここで、主開閉素子をターンオンさせて、整流スタックに流れている電流を転流回路に転流するにあたり、主開閉素子をターンオンする前に、補助開閉素子をターンオンすれば、補助転流回路には、補助開閉素子に直列に接続された転流調節インダクタンスの作用により、電流が緩やかに流れ始める。
このため、整流スタックの整流素子に流れている電流は、緩やかに減少するので、転流が完了した際における整流素子の逆回復電流は、抑制されて大きくなることはない。
また、補助転流回路に設けた転流調節インダクタンスと、主転流回路に設けた転流調節コンデンサとを設け、転流開始の際に、転流調節インダクタンスおよび転流調節コンデンサが共振するようにし、第1保護ダイオードに逆方向の電流が流れるようにし、この逆方向の電流が第1保護ダイオードに流れているときに、主開閉素子をターンオンさせれば、主開閉素子にいきなり大電流が導通することがなくなり、主開閉素子のターンオン動作がハードスイッチング・オンとなることがなく、主開閉素子にとって厳しい動作条件が回避されるようになる。
【0016】
一方、転流回路に流れている電流を整流スタックに転流するために、主開閉素子をターンオフさせる際には、主開閉素子に並列に接続された転流調節コンデンサが主開閉素子の電圧変動を抑制するうえ、主開閉素子の遮断後に、それまで主開閉素子に流れていた電流を転流調節コンデンサ側へ流すことができる。
このため、主開閉素子をターンオフさせても、転流回路の電流がいきなり遮断されることがなくなり、大きなサージ電圧の発生が防止されるうえ、転流調節コンデンサが主開閉素子の電圧高騰を防止するので、主開閉素子のターンオフ動作がハードスイッチング・オフになることがなく、この点からも、主開閉素子にとって厳しい動作条件が回避されるようになる。
【0017】
以上のような電力変換装置において、前記主開閉素子および前記補助開閉素子を断続的に開閉させて、前記整流スタックに流れる電流を、断続的に前記転流回路側へ転流させることにより、前記整流スタックに供給される電力を調整する制御手段が設けられ、この制御手段は、前記転流回路側への転流を行うにあたり、前記補助開閉素子をターンオンしてから前記主開閉素子をターンオンするものである。
このような制御手段を設ければ、主開閉素子をターンオンさせる前に、補助開閉素子を確実にターンオンさせることができるようになるので、転流調節インダクタンスの作用により、転流回路の転流の開始とともに、転流回路に電流が緩やかに流れ始めるようになり、転流の際における整流素子の逆回復電流が確実に抑制可能となり、この逆回復電流の抑制と、前述の転流調節コンデンサおよび転流調節インダクタンスの共振動作とにより、主開閉素子のハードスイッチング・オンが確実に防止されるようになる。
【0018】
この際、前記転流調節コンデンサおよび前記転流調節インダクタンスは、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記主開閉素子がターンオンするまでの間に、共振するとともに、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するように、その時定数が設定されたものである。
このため、転流調節コンデンサおよび転流調節インダクタンスの時定数の設定に先立って、主開閉素子および補助開閉素子を開閉動作させるキャリア信号等の周波数や、主開閉素子および補助開閉素子の開閉動作タイミング等を適宜設定することができ、適切なPWM制御が行えるようになる。
そして、設定されたキャリア信号等の周波数や開閉動作タイミングに従って、転流調節コンデンサおよび転流調節インダクタンスの時定数を設定することにより、主開閉素子がターンオンする前に、逆方向の電流が第1保護ダイオードに流れるようになるとともに、逆方向の電流が流れている間に、主開閉素子がターンオンされるようになるので、主開閉素子のハードスイッチング・オンが確実に防止されるようになる。
【0019】
ここで、前記制御手段としては、前記補助開閉素子がターンオンしてから、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が予め記憶され、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記所定時間が経過すると、前記主開閉素子をターンオンさせる時限式の制御手段、あるいは、前記転流調節インダクタンスの電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記補助開閉素子がターンオンしてから、前記転流調節インダクタンスの電圧が負になると、前記主開閉素子をターンオンさせる電圧検出式の制御手段を採用するのが好ましい。
前述のような制御手段のうち、時限式の制御手段を採用すれば、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記所定時間が経過し、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値になってから、前記主開閉素子がターンオンするようになるので、主開閉素子のハードスイッチング・オンが確実に防止されるようになる。
一方、電圧検出式の制御手段を採用すれば、転流調節インダクタンスの電圧が負の値になったことを検知してから、制御手段が主開閉素子をターンオンさせるので、主開閉素子のハードスイッチング・オンが確実に防止される。
【0020】
また、前述のような電力変換装置において、前記補助開閉素子は、ターンオン時の直流抵抗が前記主開閉素子よりも大きいものであり、前記制御手段は、前記主開閉素子をターンオンした後、前記補助開閉素子をターンオフするものであることが望ましい。
このように、先にターンオンする補助開閉素子の等価直流抵抗を主開閉素子よりも大きくすれば、転流回路への転流を開始する際には、転流調節インダクタンスの作用とあいまって、転流回路に流れる電流は、急激に増大することなく緩やかに流れ始め、整流スタックに設けられた整流素子の逆回復電流の抑制が効果的に行えるようになる。
また、補助開閉素子がターンオンしている状態で、等価直流抵抗の小さい主開閉素子をターンオンすれば、等価直流抵抗の小さい主開閉素子に自然に電流が分流していき、補助開閉素子に流れる電流が急激に減少することがなくなるうえ、主開閉素子をターンオンした後、補助開閉素子をターンオフすれば、補助開閉素子に流れる電流が小さな状態で、補助開閉素子をターンオフすることができ、大きなサージ電圧の発生が未然に防止される。
しかも、等価直流抵抗が比較的大きい補助開閉素子に、そのまま電流を流し続けると、電力の損失が大きくなるが、主開閉素子のターンオン後、補助開閉素子をターンオフするので、電力の損失が抑制されるようになり、効率の良い運転が可能となる。
【0021】
さらに、前述の電力変換装置において、前記主開閉素子としては、IGBT (Insulated Gate Bipolar mode Transistor)を採用し、前記補助開閉素子としては、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)を採用することが好ましい。
このようにすれば、MOSFETは、一般的に、IGBTよりもターンオン時の直流抵抗が大きいので、主開閉素子および補助開閉素子の選択範囲が広くなり、回路設計時の自由度が拡張される。
しかも、MOSFETは、一般的に、IGBTよりも動作周波数が高いものとなっているので、主開閉素子よりも前にターンオンさせることが容易に行え、電力変換装置の信頼性が向上されるとともに、主開閉素子のターンオン後に、速やかにターンオフさせることが容易に行え、補助開閉素子への無駄な電流の導通が防止されるようになり、電力変換装置の高効率運転が可能となる。
そのうえ、IGBTおよびMOSFETは、ゲートの入力インピーダンスが著しく大きく、オン・オフ制御に要する制御電力が小さいので、この点からも、電力変換装置の高効率運転が可能となる。
そして、補助開閉素子は、転流期間中に電流が滑らかに変化するように、転流開始時における電流を抑えるために設けられるので、導通する電流が小さい転流の初期にのみ、導通状態となっていればよく、取扱い電力が小さいもの(主開閉素子の1/2程度)でも充分である。
このため、補助開閉素子として、取扱い電力が小さいMOSFETを採用するとともに、主開閉素子として、取扱い電力が大きいIGBTを採用することにより、補助開閉素子および主開閉素子は、ゲートの入力インピーダンスがともに大きくなり、電圧信号で制御可能となり、電力変換装置を高速動作させるにあたり、その制御が容易に行えるようになる。
【0022】
また、前述のような電力変換装置において、前記整流スタックおよび前記転流回路と、前記交流電源との間には、誘導性リアクトルが接続されていることが望ましい。
このようにすれば、転流回路の主開閉素子がターンオンになっている際に、誘導性リアクトルに磁気的エネルギーが蓄積され、主開閉素子がターンオフされると、誘導性リアクトルに蓄積された磁気的エネルギーが放出されるので、整流スタックに負荷が接続されていても、主開閉素子に導通していた電流は、殆ど減少せずに整流スタックに転流し、当該整流スタックを通じて負荷側に流れるようになり、負荷への効率のよい電力供給が可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した素子、回路および装置と同じものには同一符号を付し、その説明を省略若しくは簡略にする。
図1には、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10が示されている。この電力変換装置10は、三相交流電源1から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を図示しない負荷に供給するものである。
負荷としては、直流電力を、誘導加熱に必要な高周波電力に変換するインバータ装置等が採用できる。
【0024】
電力変換装置10は、整流スタックであるブリッジ回路72と、このブリッジ回路72の各相に流れる電流を転流させるために、ブリッジ回路72とは並列となるように、交流電源1の各相の間に接続される転流回路20と、ブリッジ回路72に流れる電流を転流回路20側へ断続的に転流させることで、ブリッジ回路72に供給される電力を調整する制御手段としてのパルス幅制御回路30を備えたものである。
なお、ブリッジ回路72および転流回路20と、交流電源1との間には、誘導性リアクトルである交流リアクトル74が接続されている。
そして、ブリッジ回路72は、整流素子として設けられた複数のダイオード71を、ブリッジ状に組んだものである。
【0025】
転流回路20は、互いに並列に接続された主転流回路21および補助転流回路22とがU相、V相およびW相のそれぞれに設けられたものである。
主転流回路21には、電力制御用のスイッチング素子である主開閉素子23と、この主開閉素子23に並列に接続された転流調節コンデンサ24と、主開閉素子23に並列、かつ、当該主開閉素子23とは逆方向に接続された第1保護ダイオード25とが設けられている。
補助転流回路22には、電力制御用のスイッチング素子である補助開閉素子26と、この補助開閉素子26に直列に接続された転流調節インダクタンス27と、補助開閉素子26とは並列、かつ、転流調節インダクタンス27とは直列に接続された第2保護ダイオード28とが設けられている。
ここで、補助開閉素子26は、ターンオン時の直流抵抗が主開閉素子23よりも大きいものである。例えば、主開閉素子23としては、IGBTが採用でき、補助開閉素子26としては、MOSFETが採用できる。
【0026】
パルス幅制御回路30は、負荷の電圧を検出して、負荷に供給すべき供給電力を検知し、この供給電力に基づき、主開閉素子23および補助開閉素子26を断続的に開閉させるものである。換言すると、パルス幅制御回路30は、主開閉素子23および補助開閉素子26をPWM制御し、ブリッジ回路72に流れる電流を、断続的に転流回路20側へ転流させることにより、ブリッジ回路72に供給される直流電力を調整するものである。
また、パルス幅制御回路30は、主開閉素子23および補助開閉素子26をPWM制御するにあたり、主開閉素子23および補助開閉素子26の動作が交流電源1の三相交流電圧に同期するように、図1の如く、U相、V相およびW相の各相の電源電圧を検出している。
ここで、パルス幅制御回路30は、ブリッジ回路72側から転流回路20側への転流を行うにあたり、補助開閉素子26をターンオンしてから主開閉素子23をターンオンし、さらに、主開閉素子23をターンオンした後、補助開閉素子26をターンオフするように設定されている。
【0027】
また、ブリッジ回路72側から転流回路20側への転流を行う際に、補助開閉素子26がターンオンしてから主開閉素子23がターンオンするまでの間に、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27が共振し、転流調節インダクタンス27の電圧が負の値に到達するように、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の時定数が設定されている。
ここで、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の容量は、主に、電力変換装置10の変換出力(電力)により相違するが、例えば、三相電源1の電圧が440V、変換出力が100kW、搬送波周波数が15kHzの場合、転流調節コンデンサ24を0.2μFに設定でき、転流調節インダクタンス27を2μHに設定することができる。
【0028】
そして、パルス幅制御回路30としては、図2に示されるように、転流調節インダクタンス27の電圧を検出し、補助開閉素子26がターンオンしてから、転流調節インダクタンス27の電圧が負になると、主開閉素子23をターンオンさせるものを採用することができる。
ここで、転流調節コンデンサ24の電圧とは、主開閉素子23の両端電圧であり、転流調節インダクタンス27の電圧が負になるとは、主開閉素子23に逆方向の電圧が印加されることである。
このパルス幅制御回路30には、PWM制御用の制御パルス信号を生成する制御パルス発生回路32と、制御パルス発生回路32からの制御パルス信号から、主開閉素子23および補助開閉素子26のそれぞれを開閉する開閉信号を生成する開閉信号生成回路33とを備えたものとなっている。
【0029】
電圧検出回路31は、転流調節インダクタンス27の電圧が負になると、主開閉素子23のターンオン信号を出力するものである。
制御パルス発生回路32は、主開閉素子23および補助開閉素子26をターンオンすることが可能な電圧信号を出力するものである。
開閉信号生成回路33としては、例えば、図2の如く、各相の転流調節インダクタンス27の電圧を検出すると、ターンオン信号を出力する電圧検出回路31と、この電圧検出回路31からのターンオン信号および制御パルス発生回路32からの電圧信号の論理積を出力するAND回路34を備え、このAND回路34により、転流調節インダクタンス27の電圧が負になったときに、主開閉素子23をターンオンするものが採用できる。
【0030】
この開閉信号生成回路33について、さらに説明すると、開閉信号生成回路33の各々には、前述のAND回路34の他に、主開閉素子23のターンオンを許可する許可信号を発生するフリップフロップ35と、制御パルス発生回路32の圧力信号を反転するNOT回路36と、AND回路34の出力信号が入力されると、所定時間の経過後に、前述の出力信号を反転した反転信号を出力する時限回路37と、AND回路34の反転信号および制御パルス発生回路32の電圧信号の論理積を出力するAND回路38とが設けられている。
【0031】
そして、フリップフロップ35は、そのセット入力Sに電圧検出回路31からのターンオン信号が入力されることによりセット状態となり、AND回路34に許可信号を出力し、そのリセット入力RにNOT回路36からの反転された圧力信号が入力されてリセットされ、AND回路34への許可信号の出力を停止するようになっている。
これにより、パルス幅制御回路30は、制御パルス発生回路32から電圧信号が出力され、かつ、転流調節インダクタンス27の電圧が負となり、電圧検出回路31からのターンオン信号が出力されている間のみ、主開閉素子23が導通状態となるように主開閉素子23の制御を行っている。
また、パルス幅制御回路30は、制御パルス発生回路32から電圧信号が出力され、かつ、転流調節インダクタンス27の電圧が負となる前であって、主開閉素子23が遮断状態となる間のみ、補助開閉素子26が導通状態となるように補助開閉素子26の制御を行っている。
【0032】
次に、本実施形態の電力変換装置10の転流動作について説明する。
なお、図8で示した期間T1におけるU相の転流動作のみを説明し、期間T2,T3,T4,T5,T6における動作については、期間T1と同様となるため説明を省略する。また、電力変換装置10の電力制御動作は、図9で説明した整流装置90の電力制御動作と同様であるので、その説明も省略する。
【0033】
ブリッジ回路72に流れている電流を転流回路20に転流するにあたり、主開閉素子23よりも前の時点、具体的には、時刻t1において、補助開閉素子26がターンオンされる。すると、補助開閉素子26に直列に接続された転流調節インダクタンス27の作用により、ブリッジ回路72に流れている電流は、図3(A)に示されるように、緩やかに低下する。
このため、ブリッジ回路72に設けられたU相のダイオード71に流れている電流は、緩やかに減少するので、転流が完了する時刻t2において発生するダイオード71の逆回復電流は、図3(A)の矢印αで示されるように、抑制されて大きくならない。
【0034】
これに対し、転流回路20に設けられた補助開閉素子26の電圧は、図3(B)に示されるように、瞬時に0Vとなる。また、補助開閉素子26に流れる電流は、図3(C)に示されるように、緩やかに上昇し、転流が完了する時刻t2には上昇率が低下する。
そして、転流調節インダクタンス27の電圧は、図3(D)に示されるように、補助開閉素子26が導通する時刻t1に瞬時に上昇し、転流が完了する時刻t2には低下し始める。この時刻t2において、転流調節インダクタンス27は、転流調節コンデンサ24と共振を開始する。
ここで、主開閉素子23の電圧は、図3(E)に示されるように、転流調節インダクタンス27とともに共振する転流調節コンデンサ24が放電することにより、緩やかに減少し、時刻t3に0Vとなる。
【0035】
転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27が共振を開始すると、転流調節コンデンサ24には、図3(G)に示されるように、時刻t2からしばらくの間、逆方向の電流が流れる。そして、転流調節コンデンサ24の逆方向電流は、時刻t3に流通がほぼ停止する。
また、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27が共振すると、図3(D)の矢印βに示されるように、転流調節インダクタンス27に負の電圧が印加される。
【0036】
転流調節インダクタンス27の電圧が負になると、図3(F)に示される破線γの如く、主開閉素子23とは逆方向に接続された第1保護ダイオード25に、主開閉素子23にとって逆方向の電流が流れる。
主開閉素子23は、転流調節インダクタンス27の電圧が負となるとターンオンされる。この主開閉素子23のターンオンは、第1保護ダイオード25に電流が流れている間に行われ、主開閉素子23のターンオンにより、図3(F)に示されるように、補助開閉素子26に流れている電流が、主開閉素子23側に徐々に流れ始める分流が始まり、主開閉素子23の電流は緩やかに増大する。
主開閉素子23の電流が増加率が低下する時刻t4には、補助開閉素子26に流れる電流が小さくなり、時刻t4において補助開閉素子26がターンオフされる。
これにより、ブリッジ回路72からの転流が開始された際に、転流回路20のU相に流れる電流、換言すれば、V相の第1保護ダイオード25に流れる電流は、図3(H)に示されるように、緩やかに増加するようになる。
ここで、ブリッジ回路72から転流回路20への転流期間、換言すると、時刻t1および時刻t2の間には、図3(A),(H)に示されるように、ブリッジ回路72から転流回路20に徐々に電流が転流し、転流期間中に電流が滑らかに変化するようになるので、サージ電圧およびサージ電流が抑制される。
【0037】
一方、転流回路20に流れている電流をブリッジ回路72に転流するにあたり、主開閉素子23をターンオフすると、主開閉素子23に並列に接続された転流調節コンデンサ24が主開閉素子23の電圧変動を抑制する。しかも、主開閉素子23の遮断後に、それまで主開閉素子23に流れていた電流は、図3(G)の矢印δに示されるように、転流調節コンデンサ24を通じて流れるようになる。
これにより、ブリッジ回路72への転流開始の際に、転流回路20のU相に流れる電流、換言すれば、V相の第1保護ダイオード25に流れる電流は、図3(H)に示されるように、時刻t5において緩やかに減少するようになり、主開閉素子23をターンオフさせても、大きなサージ電圧の発生が防止される。
ここで、転流回路20からブリッジ回路72への転流期間、換言すると、時刻t5および時刻t6の間には、図3(A),(H)に示されるように、転流回路20からブリッジ回路72に徐々に電流が転流し、転流期間中に電流が滑らかに変化するようになるので、サージ電圧が抑制される。
【0038】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ブリッジ回路72の各相に流れる電流を転流させる転流回路20に、互いに並列に接続された主転流回路21および補助転流回路22を設け、このうち、補助転流回路22に、スイッチング素子である補助開閉素子26と、補助開閉素子26に直列に接続された転流調節インダクタンス27を設け、主転流回路21の主開閉素子23をターンオンする前に、補助開閉素子26をターンオンし、直列に接続された転流調節インダクタンス27の作用で、転流回路20に転流する電流の急激な増大を防止するようにしたので、転流の際に、ブリッジ回路72のダイオード71に流れている電流が緩やかに減少するようになり、転流が完了した際におけるダイオード71の逆回復電流を抑制することができる。
【0039】
また、補助転流回路22に設けた転流調節インダクタンス27と、主転流回路21に設けた転流調節コンデンサ24とを設け、転流開始の際に、転流調節インダクタンス27および転流調節コンデンサ24が共振するようにし、第1保護ダイオード25に逆方向の電流が流れるようにし、この逆方向の電流が第1保護ダイオード25に流れているときに、主開閉素子23をターンオンさせ、主開閉素子23にいきなり大電流が導通しないようにしたので、主開閉素子23のターンオン動作がハードスイッチング・オンとなることを防止でき、主開閉素子23にとって厳しい動作条件を回避することができる。
【0040】
さらに、主開閉素子23に並列に転流調節コンデンサ24を接続し、主開閉素子23のターンオフの際に、転流調節コンデンサ24で主開閉素子23の電圧変動を抑制するようにしたうえ、主開閉素子23の遮断後に、それまで主開閉素子23に流れていた電流を転流調節コンデンサ24に流すようにしたので、主開閉素子23をターンオフしても、転流回路20の電流がいきなり遮断されることがなくなり、大きなサージ電圧の発生が防止されるうえ、転流調節コンデンサ24が主開閉素子23の電圧高騰を防止するので、主開閉素子23のターンオフ動作がハードスイッチング・オフになることを防止でき、この点からも、主開閉素子23にとって厳しい動作条件を回避することができる。
【0041】
また、主開閉素子23および補助開閉素子26を断続的に開閉駆動することで、ブリッジ回路72に供給される電力を調整する制御手段として、転流回路20側への転流の際に、補助開閉素子26をターンオンしてから主開閉素子23をターンオンするパルス幅制御回路30を設け、転流の開始時において主開閉素子23をターンオンさせる前に、補助開閉素子26をターンオンさせて、転流調節インダクタンス27に電流を流すようにしたので、転流調節インダクタンス27の作用により、転流開始時の転流回路20に電流が緩やかに流れ始め、ダイオード71の逆回復電流を確実に抑制することができる。
そして、この逆回復電流を抑制するようにしたことと、前述の転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の共振動作とにより、主開閉素子23にいきなり大電流が導通しないようにしたことにより、主開閉素子23のハードスイッチング・オンをより一層効果的に防止することができる。
【0042】
さらに、補助開閉素子26がターンオンしてから主開閉素子23がターンオンするまでの間に、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27が共振するとともに、共振の際に転流調節インダクタンス27の電圧が負の値に到達するように、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の時定数を設定したので、適切なPWM制御が行えるように、キャリア信号等の周波数や、主開閉素子23および補助開閉素子26の開閉動作タイミング等を設定し、これらのキャリア信号等の周波数や開閉動作タイミングに従って、転流調節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の時定数の設定がなされるようになり、PWM制御の制御性を何ら損なうことなく、主開閉素子23のハードスイッチング・オンを確実に防止できる。
【0043】
また、転流調節インダクタンス27の電圧を検出する電圧検出回路31を備え、補助開閉素子26がターンオンしてから、転流調節インダクタンス27の電圧が負になると、主開閉素子23をターンオンさせる電圧検出式のパルス幅制御回路30を設けたので、転流調節インダクタンス27の電圧が負にならないと、主開閉素子23がターンオンされなくなり、主開閉素子23のハードスイッチング・オンを確実に防止することができる。
【0044】
さらに、転流回路20への転流を開始するにあたり、主開閉素子23よりも先にターンオンする補助開閉素子26のターンオン時における直流抵抗を主開閉素子23よりも大きくしたので、転流調節インダクタンス27の作用とあいまって、転流開始時に、電流が転流回路20に緩やかに流れ始め、ブリッジ回路72に設けられたダイオード71の逆回復電流の抑制を効果的に行うことができる。
しかも、主開閉素子23をターンオンした後、補助開閉素子26をターンオフするようにし、転流回路20への転流が進行し、補助開閉素子26に流れる電流が大きくなる前に、補助開閉素子26に流れる電流が遮断するようにしたので、補助開閉素子26のターンオン時における直流抵抗を大きくしても、電力の損失が抑制されるようになり、効率の良い運転を行うことができる。
【0045】
また、主開閉素子23として、IGBTを採用し、補助開閉素子26として、一般的に、IGBTよりもターンオン時の直流抵抗が大きいMOSFETを採用したので、主開閉素子23および補助開閉素子26の選択範囲が広くなり、回路設計時の自由度を拡張することができる。
しかも、MOSFETは、一般的に、IGBTよりも動作周波数が高いものとなっているので、補助開閉素子26のターンオン損失およびターンオフ損失を低く抑制することができるうえ、電力変換装置10の信頼性を向上することができるとともに、主開閉素子23のターンオン後に、速やかにターンオフさせることが容易に行え、補助開閉素子26への無駄な電流の導通を防止できるうえ、IGBTおよびMOSFETは、ゲートの入力インピーダンスが著しく大きく、オン・オフ制御に要する制御電力が小さいので、この点からも、電力変換装置10の高効率運転を行うことができる。
【0046】
さらに、ブリッジ回路72および転流回路20と、交流電源1との間に、交流リアクトル74を接続し、転流回路20の主開閉素子23がターンオンになっている際に、交流リアクトル74に磁気的エネルギーを蓄積し、主開閉素子23がターンオフされると、交流リアクトル74に蓄積された磁気的エネルギーを放出するようにしたので、ブリッジ回路72に負荷が接続されていても、主開閉素子23に導通していた電流を、殆ど減少せずにブリッジ回路72に転流させて負荷側に流せるようになり、負荷への効率のよい電力供給を行うことができる。
【0047】
また、ブリッジ回路72から転流回路20への転流期間、および、転流回路20からブリッジ回路72への転流期間の両方について、転流回路20およびブリッジ回路72の一方から他方へ徐々に電流が転流するようにしたので、転流期間中に電流が滑らかに変化するようになり、電流の高調波成分を抑制することができる。
【0048】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、制御手段としては、転流調節インダクタンスの電圧を検出する電圧検出手段を備え、補助開閉素子がターンオンしてから、転流調節インダクタンスの電圧が負になると、主開閉素子をターンオンさせる電圧検出式の制御手段に限らず、補助開閉素子がターンオンしてから、転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が予め記憶され、補助開閉素子がターンオンしてから前記所定時間が経過すると、前記主開閉素子をターンオンさせる時限式の制御手段でもよい。
【0049】
具体的には、図4に示されるように、前記実施形態における電圧検出回路31、AND回路34、フリップフロップ35およびNOT回路36を、転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が予め記憶、あるいは、設定された時限回路39に置換したパルス幅制御回路30A が、時限式の制御手段として採用できる。
このようなパルス幅制御回路30A でも、主開閉素子をターンオンする前に、補助開閉素子をターンオンさせ、転流時に転流電流の急激な増大が防止されるので、前記実施形態と同様の作用、効果を達成できるうえ、制御手段を構成する回路の数が少ないので、電力変換装置を簡素化できる、という効果を付加することができる。
【0050】
また、交流電源としては、三相交流電源に限らず、単相交流電源でもよい。この単相交流電源を採用する場合は、単相交流電源に応じて、整流スタックや転流回路を単相交流用のものに置き換える必要がある。例えば、単相交流用の転流回路としては、前記実施形態で示した、三組の主転流回路および補助転流回路を備えた転流回路を、単相交流電源に応じて、一組の主転流回路および補助転流回路を備えた転流回路にすればよい。
【0051】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、交流入力電流に含まれる高調波成分を抑制することができるうえ、スイッチング素子のハードスイッチング・オンおよびハードスイッチング・オフを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る電力変換装置を示す回路図である。
【図2】前記実施形態の制御手段を示すブロック図である。
【図3】前記実施形態の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図4】本発明の変形例を示す図2に相当する図である。
【図5】従来例となる電力変換装置を示す回路図である。
【図6】従来例となる別の電力変換装置を示す回路図である。
【図7】本発明の背景技術に係る電力変換装置を示す回路図である。
【図8】一般的な三相交流電源の電圧波形を示すグラフである。
【図9】図7の電力変換装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
1 交流電源
10 電力変換装置
20 転流回路
21 主転流回路
22 補助転流回路
23 主開閉素子
24 転流調節コンデンサ
25 第1保護ダイオード
26 補助開閉素子
27 転流調節インダクタンス
28 第2保護ダイオード
30,30A 制御手段としてのパルス幅制御回路
31 電圧検出手段としての電圧検出回路
71 整流素子としてのダイオード
72 整流スタックとしてのブリッジ回路
74 誘導性リアクトルとしての交流リアクトル

Claims (6)

  1. 交流電源からの電力を整流して直流電力に変換する電力変換装置であって、
    複数の整流素子をブリッジ状に組んだ整流スタックと、この整流スタックの各相に流れる電流を転流させるために、前記整流スタックとは並列となるように、前記交流電源の各相の間に接続される転流回路とを備え、
    この転流回路には、互いに並列に接続された主転流回路および補助転流回路とが設けられ、
    前記主転流回路には、電力制御用のスイッチング素子である主開閉素子と、前記主開閉素子に並列に接続された転流調節コンデンサと、前記主開閉素子に並列、かつ、前記主開閉素子とは逆方向に接続された第1保護ダイオードとが設けられ、
    前記補助転流回路には、電力制御用のスイッチング素子である補助開閉素子と、前記補助開閉素子に直列に接続された転流調節インダクタンスと、前記補助開閉素子とは並列、かつ、前記転流調節インダクタンスとは直列に接続された第2保護ダイオードとが設けられ
    前記主開閉素子および前記補助開閉素子を断続的に開閉させて、前記整流スタックに流れる電流を、断続的に前記転流回路側へ転流させることにより、前記整流スタックに供給される電力を調整し、前記転流回路側への転流を行うにあたり、前記補助開閉素子をターンオンしてから前記主開閉素子をターンオンさせる制御手段が設けられ
    前記転流調節コンデンサおよび前記転流調節インダクタンスは、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記主開閉素子がターンオンするまでの間に、共振するとともに、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するように、その時定数が設定されたものである
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項に記載の電力変換装置において、
    前記制御手段は、前記補助開閉素子がターンオンしてから、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が予め記憶され、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記所定時間が経過すると、前記主開閉素子をターンオンさせるものとなっている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項に記載の電力変換装置において、
    前記制御手段は、前記転流調節インダクタンスの電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記補助開閉素子がターンオンしてから、前記転流調節インダクタンスの電圧が負になると、前記主開閉素子をターンオンさせるものとなっている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力変換装置において、
    前記補助開閉素子は、ターンオン時の直流抵抗が前記主開閉素子よりも大きいものであり、前記制御手段は、前記主開閉素子をターンオンした後、前記補助開閉素子をターンオフするものである
    ことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力変換装置において、
    前記主開閉素子は、IGBTであり、
    前記補助開閉素子は、MOSFETである
    ことを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力変換装置において、
    前記整流スタックおよび前記転流回路と、前記交流電源との間には、誘導性リアクトルが接続されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
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