JP3704006B2 - Pwm制御式コンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ装置等の負荷に直流電力を供給するために、交流電力を直流電力に変換するPWM制御式コンバータに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、誘導電動機の回転速度を負荷に応じて調節する場合、あるいは、工作機械の刃等の炭素鋼を焼き入れする等のために、誘導加熱を行う場合には、交流電力を出力するとともに、負荷に応じて、その出力周波数が調節可能となったインバータ装置が利用されている。
インバータ装置は、電力会社が供給する交流電力を利用するために、交流電力を直流電力に変換するコンバータを備えたものが一般的である。
インバータ装置に設けられるコンバータには、トランジスタ等の自己消弧素子で形成されたブリッジ回路と、ブリッジ回路で整流した脈動分を含む直流電力を平滑する直流リアクトルと、ブリッジ回路の自己消弧素子を点弧制御する制御回路が設けられている。
【0003】
このようなコンバータでは、特公平8−221145号公報に示されるように、ブリッジ回路の自己消弧素子を点弧制御するにあたり、ブリッジ回路から出力される直流電圧パルスの幅を、出力すべき電力に応じて調節するPWM制御が採用できる。
図5には、三相交流の整流にPWM制御を適用したコンバータの一例が示されている。図5において、コンバータ51は、三相交流を全波整流するブリッジ回路52と、このブリッジ回路52で整流した電流を平滑する直流リアクトル53と、ブリッジ回路52の自己消弧素子54を点弧制御するパルス幅制御回路55とを備えたものとなっている。
このうち、ブリッジ回路52は、三相交流の各相の半波を整流するために、一次側のU〜W相の各々と二次側の正極との間、および、一次側のU〜W相の各々と二次側の負極との間のそれぞれに設けられた自己消弧素子54を有している。
これらの自己消弧素子54の各々には、スイッチング動作による大きなサージ電圧が当該自己消弧素子54に加わらないように、ブロッキングダイオード56が直列に接続されている。なお、コンバータ51の負荷57は、直流電力を適宜な周波数の交流電流に逆変換するインバータとなっている。
【0004】
ここで、コンバータ51に入力されるU〜W各相の電圧は、図6(A)に示されるように、一周期Tを期間T1〜T6の六等分すると、期間T1〜T6の各々では、二つの相が同じ極性となり、残りの相が逆の極性となっている。
また、期間T1,T3,T5における各波形は、互いに同形状であり、期間T2,T4,T6における各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆となっている。
このような三相交流に対し、コンバータ51のパルス幅制御回路55は、期間T1〜T6の各々で、逆極性となる一の相を基準として、同極性となる二つの相の各々について整流し、これにより、直流電力を得るように制御している。
すなわち、U相〜W相の各々の自己消弧素子54U+〜54W+,54U-〜54W-の各ゲートには、図6(B)に示されるように、パルス状のゲート信号が入力される。
これにより、これらの自己消弧素子54は、ブリッジ回路52で整流した電流が直流リアクトル53を介して負荷57に供給される整流モードと、ブリッジ回路52および負荷57が閉回路を形成し、この閉回路に直流リアクトル53の誘導電流が循環する閉回路モードとが交互に繰り返されるように、スイッチングされる。
【0005】
例えば、期間T3では、W相の負極側の自己消弧素子54W-が期間T3全体を通して導通状態とされる。
この状態で、V相の正極側の自己消弧素子54V+が導通されると、図7(A)に示されるように、ブリッジ回路52の自己消弧素子54V+および自己消弧素子54W-で整流された電流が直流リアクトル53を介して負荷57に流れ、これにより、第1整流モードが行われる。この際、三相交流のV相の電圧は正となり、W相の電圧は負となっているので、電流は、V相からW相へ流れる。
また、U相の正極側の自己消弧素子54U+が導通されると、図7(B)に示されるように、ブリッジ回路52の自己消弧素子54U+および自己消弧素子54W-で整流された電流が直流リアクトル53を介して負荷57に流れ、これにより、第2整流モードが行われる。この際、三相交流のU相の電圧は正となり、W相の電圧は負となっているので、電流は、U相からW相へ流れる。
さらに、W相の正極側の自己消弧素子54W+が導通されると、図7(C)に示されるように、ブリッジ回路52および負荷57が閉回路を形成し、この閉回路に直流リアクトル53の誘導電流が循環し、これにより、閉回路モードが行われる。
このような第1、第2整流モードおよび閉回路モードは、期間T3が終わるまで、交互に複数回繰り返される。
【0006】
一方、期間T4では、V相の正極側の自己消弧素子54V+が期間T4全体を通して導通状態とされる。
この状態で、U相の負極側の自己消弧素子54U-が導通されると、図8(A)に示されるように、ブリッジ回路52の自己消弧素子54V+および自己消弧素子54U-で整流された電流が直流リアクトル53を介して負荷57に流れ、これにより、第1整流モードが行われる。この際、三相交流のV相の電圧は正となり、U相の電圧は負となっているので、電流は、V相からU相へ流れる。
また、W相の負極側の自己消弧素子54W-が導通されると、図8(B)に示されるように、ブリッジ回路52の自己消弧素子54V+および自己消弧素子54W-で整流された電流が直流リアクトル53を介して負荷57に流れ、これにより、第2整流モードが行われる。この際、三相交流のV相の電圧は正となり、W相の電圧は負となっているので、電流は、V相からW相へ流れる。
さらに、V相の負極側の自己消弧素子54V-が導通されると、図8(C)に示されるように、ブリッジ回路52および負荷57が閉回路を形成し、この閉回路に直流リアクトル53の誘導電流が循環し、これにより、閉回路モードが行われる。
このような第1、第2整流モードおよび閉回路モードは、期間T4が終わるまで、交互に複数回繰り返される。
このようにコンバータの自己消弧素子54をパルス幅制御すれば、低次の高調波が取り除かれるうえ、直流電圧制御の深さにかかわらず力率がほぼ1となり、力率の改善が図れるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような動作を行うコンバータ51では、自己消弧素子54のスイッチングにより、ブロッキングダイオード56に大きな逆方向電圧が加わる。
具体的に説明すると、期間T3の最後の閉回路モードにおいて、自己消弧素子54W+が導通状態となると、期間T3の全期間を通じて自己消弧素子54W-も導通状態となっているので、ブロッキングダイオード56U+のカソードの電位が負電位のW相にとほぼ同電位となるとともに、ブロッキングダイオード56U+には、順方向の電界が加わるので、そのアノードもW相とほぼ同電位となってしまう。
ここで、自己消弧素子54U+は、遮断状態となっているので、その両端には、電荷が溜まり、U相電圧とW相電圧との電位差にほぼ等しい電圧が生じる。
【0008】
そして、この状態で、期間T4に移行し、第1整流モードが実行されると、図8(A)の如く、自己消弧素子54V+を介して、ブロッキングダイオード56U+のカソード側は、V相に導通される。
また、自己消弧素子54U+は、遮断状態のままなので、その両端には、期間T3で溜まった電荷が残っている。
その結果、ブロッキングダイオード56U+の両端には、V相との導通による逆方向電圧と、期間T3の最後の閉回路モードにおいて蓄えられて放電しきれていない電荷による逆方向電圧とが印加されるので、ブロッキングダイオード56U+等のブロッキングダイオード56は、他の素子よりも逆方向の耐電圧を高くする必要がある。
このため、電源電圧を上昇させることで、高出力化しようとすると、ブロッキングダイオード56の逆耐圧性能が不足する、という問題がある。
一方、逆耐圧性能を確保しようとすると、自己消弧素子54に直列接続されるブロッキングダイオード56の数を増やす必要があるが、ブロッキングダイオード56の数を増やすと、その順方向抵抗が増大し、コンバータ51の効率が低下する、という問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、効率を低下させずに、高出力化が図れるようになるPWM制御式コンバータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、交流電源から供給される三相交流を直流に整流するために、一次側の各相と二次側の正極との間に、正極用自己消弧素子および正極用ブロッキングダイオードがそれぞれ設けられ、前記各相と前記二次側の負極との間に、負極用自己消弧素子および負極用ブロッキングダイオードがそれぞれ設けられ、前記正極用自己消弧素子および前記負極用自己消弧素子をPWM制御する制御手段が備えられているPWM制御式コンバータであって、前記制御手段は、電圧の極性が正から負に反転した相の前記正極用自己消弧素子、および、電圧の極性が負から正に反転した相の前記負極用自己消弧素子を、当該相が反転した時点から所定時間が経過するまでの間導通状態にするものであることを特徴とする。
このような本発明では、各相の電圧の極性が反転する際に、当該相の該極側に接続された自己消弧素子が導通するので、当該相の他方の極側に接続された自己消弧素子が導通すると、当該相の該極側に接続されたブロッキングダイオードは、アノードとカソードとが負荷等を介して導通され、アノードおよびカソードに蓄積された電荷が放電される。
このため、相電圧の反転の際に、該ブロッキングダイオードに逆方向の電圧が印加されても、該ブロッキングダイオードの電荷による電位差がなくなっているので、ブロッキングダイオードに、大きな逆方向電圧が加わることがない。
従って、高出力化のために電源電圧を上昇させても、直列接続されるブロッキングダイオードの数を増やす必要がなく、電源電圧を上昇させ、高出力化を図るにあたり、効率が低下することがない。
【0011】
以上において、当該コンバータには、二次側から出力されるとともにパルス状に断続する電流を平滑して直流電流にする直流リアクトルと、前記交流電源および前記一次側の間に設けられるとともに、前記自己消弧素子のスイッチング動作の際に発生する過電圧を吸収するコンデンサと、前記自己消弧素子の前記スイッチング動作の際に発生する高周波電流の前記交流電源側への逆流を阻止する交流リアクトルとが備えられていることが望ましい。
このようにすれば、コンバータの交流入力部分に設けたコンデンサが、自己消弧素子のスイッチング動作により発生する過電圧を吸収するので、モード切替時等のスイッチング動作時に発生する高調波の交流電源側への逆流が抑制されるようになる。
また、パルス幅制御において発生するキャリア波の高周波成分電流は、コンデンサを通過してしまうが、コンバータの交流入力部分に設けた交流リアクトルが、コンデンサを通過した高周波成分電流の交流電源側への逆流を阻止するので、コンバータが自己消弧素子をスイッチングさせるキャリア波を発生させても、当該キャリア波の高周波成分が交流電源側に漏れることはない。
これらにより、自己消弧素子のスイッチング動作により発生する雑音としての高調波、および、スイッチング動作に必要な制御信号であるキャリア波に含まれる高周波成分の両方が交流電源側へ逆流せず、交流電源側の電流に含まれる高調波成分が確実に低減されるようになる。
そのうえ、パルス幅制御により、低次の高調波が抑制されるので、前述のコンデンサは、高次の高調波を吸収できればよく、その静電容量は小さく、また、前述の交流リアクトルは、キャリア波の高周波成分が比較的高い周波数を有しているので、そのインダクタンスは小さい。このため、コンデンサおよび交流リアクトルを設けても、コンバータ全体の小型化が阻害されることはない。
【0012】
さらに、その出力側には、誘導加熱を行うための高周波電力を発生するインバータ装置が接続されていることが望ましい。
このような高周波電力を発生するインバータ装置への電力を調節するには、コンバータ側の自己消弧素子をスイッチング動作させるにあたり、その制御信号であるキャリア波の周波数を高く設定し、自己消弧素子の導通時間を細かく調節する必要がある。従って、キャリア波そのものの周波数が高く、キャリア波の高周波成分が交流電源側に漏れやすいものとなっているが、この高周波成分は、交流電源および整流回路の間に設けられた交流リアクトルに阻止され、当該高周波成分が交流電源側に漏れることはない。
このため、高周波電力を発生するインバータ装置に直流電力を供給するのに最適なコンバータが得られるようになる。
【0013】
また、自己消弧素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar mode Transistor)、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)およびGTO(Gate Turn Off Thyristor)のいずれかの高速スイッチング素子であることが望ましい。
このような高速スイッチング素子で整流回路を形成すれば、負荷へ出力すべき電力に応じて自己消弧素子の導通時間を細かく調節することができ、きめの細かいパルス幅制御回路が可能となる。これにより、負荷にとって常に最適な電力量が当該負荷に供給されるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係るコンバータ1が示されている。このコンバータ1は、三相交流電源2から供給される三相交流電力を直流電力に変換する電流型コンバータである。コンバータ1の出力は、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置3に接続されている。これにより、コンバータ1が変換した直流電力は、インバータ装置3で誘導加熱に必要な高周波電力に変換されるようになっている。
コンバータ1には、主要素子として複数の自己消弧素子4を有するとともに、これらの自己消弧素子4で交流電力を整流するブリッジ方式の整流回路10と、この整流回路10から出力されるとともに、パルス状に断続する電流を平滑して直流電流にする直流リアクトル20と、出力すべき電力に応じて自己消弧素子4の導通時間を制御するパルス幅制御回路30とが設けられている。
【0015】
整流回路10は、交流電源から供給される三相交流を直流に整流するために、一次側のU相、V相およびW相の各々と、二次側の正極との間にそれぞれ設けられている、正極用自己消弧素子4U+,4V+,4W+および正極用ブロッキングダイオード5U+,5V+,5W+と、一次側のU相、V相およびW相と二次側の負極との間に設けられている、負極用自己消弧素子4U−,4V−,4W−および負極用ブロッキングダイオード5U−,5V−,5W−とを備えている。
また、整流回路10の交流入力部分には、自己消弧素子4のスイッチング動作の際に発生する過電圧を吸収するコンデンサ6と、自己消弧素子4のスイッチング動作の際に発生する高周波電流、すなわち、キャリア波の高周波成分電流の交流電源側への逆流を阻止する交流リアクトル7とが接続されている。
ここで、整流回路10の自己消弧素子4としては、高速スイッチング素子である電力制御用のIGBTが採用されている。
【0016】
パルス幅制御回路30は、自己消弧素子4を断続的に点弧するとともに、整流回路10から出力される直流電圧パルスの幅を、出力すべき電力に応じて調節するパルス幅制御を行う制御手段である。
パルス幅制御回路30のパルス幅制御は、入力される三相交流電圧と、整流回路10から出力される直流電圧とを検出・監視し、インバータ装置3への直流電圧が一定の値となるように、整流回路10から出力される直流電圧パルスの幅を拡張する方式のものである。これにより、インバータ装置3の消費電力が増大したために、コンバータ1の出力電流が増え、その内部抵抗による電圧降下が大きくなり、インバータ装置3への出力電圧が低下しようとすると、直流電圧パルスの幅が拡張され、当該出力電圧の低下が抑制され、インバータ装置3へ供給される電力が増大するようになっている。
【0017】
このパルス幅制御には、後述する整流モードと閉回路モードとが設定されている。換言すれば、パルス幅制御回路30は、整流モードおよび閉回路モードが交互に繰り返されるように、自己消弧素子4のゲートに与えるパルス状の制御信号であるキャリア波を発生し、このキャリア波で自己消弧素子4を適宜点弧するものとなっている。
また、パルス幅制御回路30は、U相、V相およびW相の各相に印加された電圧の極性が正から負に反転すると、その相の正極用自己消弧素子4を、所定時間が経過するまでの間導通状態にするとともに、電圧の極性が負から正に反転すると、その相の負極用自己消弧素子4を、所定時間が経過するまでの間導通状態にする機能を有している。
【0018】
以下に、パルス幅制御回路30について、より具体的に説明する。
コンバータ1に入力されるU〜W各相の電圧は、図2(A)の如く、期間T1〜T6の各々では、二つの相が同じ極性となる一方、残りの相が逆の極性となる。また、期間T1,T3,T5における各波形は、互いに同形状であり、期間T2,T4,T6における各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆となっている。
このような三相交流に対し、コンバータ1のパルス幅制御回路30は、U相〜W相の各々の自己消弧素子4U+〜4W+,4U−〜4W−の各ゲートに、図2(B)の如く、パルス状のゲート信号を入力し、期間T1〜T6の各々で、逆極性となる一の相を基準として、二つの相の各々について整流し、これにより、直流電力を得るように制御している。
【0019】
例えば、期間T3では、期間T3の開始から終了までの間、自己消弧素子4W−を導通状態にする一方、自己消弧素子4V+,4U+,4W+のそれぞれに、パルス状のゲート信号を順次送り、これらの自己消弧素子4V+,4U+,4W+を順次導通状態にして、第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードを繰り返し行うように制御している。
期間T4では、期間T4の開始から終了までの間、自己消弧素子4V+を導通状態にする一方、自己消弧素子4U−,4W−,4V−のそれぞれにパルス状のゲート信号を順次送り、これらの自己消弧素子4U−,4W−,4V−を順次導通状態にして、第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードを順次行っている。
また、期間T2から期間T3へ移行する際、V相の電圧極性が負から正に反転するので、これに対応して、パルス幅制御回路30は、V相の極性が反転した時点から所定時間が経過するまでの間、具体的には、期間T3の開始から終了までの間、負極用自己消弧素子4V−を導通状態にするようになっている。
期間T3から期間T4へ移行する際には、U相の電圧の極性が正から負に反転するので、これに対応して、パルス幅制御回路30は、U相の極性が反転した時点から所定時間が経過するまでの間、具体的には、期間T4の開始から終了までの間、負極用自己消弧素子4U+を導通状態にするようになっている。
【0020】
次に、本実施形態のコンバータ1の動作について説明する。なお、期間T1,T3,T5の各波形は、互いに同形状であり、期間T2,T4,T6の各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆ではあるが、やはり同形状であるので、ここでは、期間T3,T4における動作を説明し、期間T1,T2,T5,T6における動作については、期間T3,T4と同様となるため説明を省略する。
コンバータ1には、図2(A)に示されるように、正弦波状に変化する三相交流電圧が加えられているとする。
期間T3では、当該期間T3の開始から終了まで、図2(B)の如く、W相の負極側の自己消弧素子4W−が導通状態とされる。
また、期間T3への移行の際、V相の電圧極性が負から正に反転するので、期間T3の開始から終了までの間、負極用自己消弧素子4V−が導通状態とされる。
【0021】
この状態で、V相の正極側の自己消弧素子4V+が導通され、図3(A)に示されるように、整流回路10の自己消弧素子4V+および自己消弧素子4W−で整流された電流が直流リアクトル20を介してインバータ装置3に流れ、これにより、第1整流モードが行われる。
この際、三相交流のV相の電圧は正となっており、W相の電圧は負となっているので、電流は、V相からW相へ流れる。
続いて、U相の正極側の自己消弧素子4U+が導通され、図3(B)に示されるように、整流回路10の自己消弧素子4U+および自己消弧素子4W−で整流された電流が直流リアクトル20を介してインバータ装置3に流れ、これにより、第2整流モードが行われる。この際、三相交流のU相の電圧は正となり、W相の電圧は負となっているので、電流は、U相からW相へ流れる。
次に、W相の正極側の自己消弧素子4W+が導通され、図3(C)の如く、整流回路10およびインバータ装置3が閉回路を形成し、この閉回路に直流リアクトル20の誘導電流が循環し、これにより、閉回路モードが行われる。
【0022】
期間T3が完了し、期間T4へ移行すると、図2(B)に示されるように、V相の正極側の自己消弧素子4V+が期間T4全体を通して導通状態とされる。
また、期間T4への移行の際、U相の電圧極性が正から負に反転するので、期間T4の開始から終了までの間、正極用自己消弧素子4U+が導通状態とされる。
【0023】
この状態で、U相の負極側の自己消弧素子4U−が導通されると、図4(A)に示されるように、整流回路10の自己消弧素子4V+および自己消弧素子4U−で整流された電流が直流リアクトル20を介してインバータ装置3に流れ、これにより、第1整流モードが行われる。この際、三相交流のV相の電圧は正となり、U相の電圧は負となっているので、電流は、V相からU相へ流れる。
続いて、W相の負極側の自己消弧素子4W−が導通されると、図4(B)に示されるように、整流回路10の自己消弧素子4V+および自己消弧素子4W−で整流された電流が直流リアクトル20を介してインバータ装置3に流れ、これにより、第2整流モードが行われる。この際、三相交流のV相の電圧は正となり、W相の電圧は負となっているので、電流は、V相からW相へ流れる。
次に、V相の負極側の自己消弧素子4V−が導通され、図4(C)の如く、整流回路10およびインバータ装置3が閉回路を形成し、この閉回路に直流リアクトル20の誘導電流が循環し、これにより、閉回路モードが行われる。
【0024】
ここで、期間T3の最後の閉回路モードにおいて、ブロッキングダイオード5U+のカソードは、直流リアクトル20および負荷3を介してW相と導通するので、ブロッキングダイオード5U+のカソードの電位が負電位のW相にとほぼ同電位となるとともに、ブロッキングダイオード5U+には、順方向の電界が加わるので、そのアノードもW相とほぼ同電位となってしまう。
また、自己消弧素子4U+は、遮断状態となっているので、その両端には、電荷が溜まる。この結果、ブロッキングダイオード5U+には、期間T3の最後の閉回路モードにより溜まった逆方向の電荷により、U相電圧およびW相電圧の電位差とほぼ等しい逆電圧が生じる。
そして、ブロッキングダイオード5U+の両端に逆電位が加わった状態で、期間T4に移行し、最初の第1整流モードが実行されると、図4(A)の如く、自己消弧素子4V+を介して、ブロッキングダイオード5U+のカソード側は、V相に導通され、ブロッキングダイオード5U+には、V相の電圧が加わる。
ここで、V相の電位は、正電圧であり、U相の電位は、負電位であるので、期間T3で溜まった逆方向の電荷が放電されないで残っていると、ブロッキングダイオード5U+には、大きな逆方向電圧が加わることとなる。
【0025】
しかし、期間T4では、自己消弧素子4U−が導通状態となるので、ブロッキングダイオード5U+は、そのアノードとカソードとが、直流リアクトル20、イオンバータ装置3、ブロッキングダイオード5U−および自己消弧素子4U−,4U+を介して導通される。そして、図4(B)の破線で示されるように、ブロッキングダイオード5U+の両端に蓄積された電荷が放電される。
これにより、ブロッキングダイオード5U+の両端に加わっていた、電荷が放電され、電荷による逆方向電圧は、0Vとなる。
この状態で、ブロッキングダイオード5U+に逆方向のV相電圧が印加されても、ブロッキングダイオード5U+の両端の電荷が放電されているので、ブロッキングダイオード5U+に、大きな逆方向電圧が加わることがない。
【0026】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、U相〜W相の電圧の極性が正から負に反転した際、正極用自己消弧素子4U+,4V+,4W+のうち、当該反転した相に接続されたものを所定時間が経過するまでの間導通状態にし、また、U相〜W相の電圧の極性が負から正に反転した際、負極用自己消弧素子4U−,4V−,4W−のうち、当該反転した相に接続されたものを所定時間が経過するまでの間導通状態にし、当該相の該極側に接続されたブロッキングダイオード5に蓄積された電荷を放電させるようにしたので、ブロッキングダイオード5に、大きな逆方向電圧が加わることがない。
このため、高出力化のために電源電圧を上昇させても、直列接続されるブロッキングダイオード5の数を増やす必要がなく、電源電圧を上昇させ、高出力化を図るにあたり、効率の低下を未然に防止できる。
【0027】
また、自己消弧素子4のスイッチング動作の際に発生する過電圧を吸収するコンデンサ6を設けたので、モード切替時等のスイッチング動作時に発生する高調波が交流電源2側に逆流せず、また、キャリア波の高周波成分電流の、交流電源2側への逆流を阻止する交流リアクトル7を設けたので、自己消弧素子4に印加されるゲート信号であるキャリア波の高周波成分電流がコンデンサを通過しても、当該高周波成分が交流リアクトル7で阻止されるので、交流電源2側に漏れることはない。
これらにより、自己消弧素子4のスイッチング動作により発生する雑音としての高調波、および、スイッチング動作に必要な制御信号であるキャリア波に含まれる高周波成分の両方が交流電源2側へ逆流せず、交流電源2側の電流に含まれる高調波成分を確実に低減できる。
【0028】
さらに、効率を低下させずに、電流型コンバータ1の高出力化が図れるようになるので、大電流を入力する必要のある、誘導加熱用のインバータ装置3も高出力化が図れ、従来よりも、大きな容量の誘導加熱装置を得ることができる。
【0029】
また、自己消弧素子4として、IGBTを採用したので、インバータ装置3へ出力すべき電力に応じて自己消弧素子4の導通時間を細かく調節することができ、きめの細かいパルス幅制御が可能となり、インバータ装置3にとって常に最適な電力量を当該インバータ装置3に供給することができる。
【0030】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、自己消弧素子としては、IGBTに限らず、MOSFETおよびGTOのいずれでもよく、要するに、高速スイッチング可能であり、かつ、導通時の直流抵抗値が小さい素子であればよい。
また、前記実施形態では、第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードのを順次繰り返し、1/6周期の間に、3つのモードを三回ずつ行うようにしたが、これに限らず、これらのモードを、1/6周期の間に、二回以下、あるいは、四回以上行うようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、効率を低下させずに、高出力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバータを示す回路図である。
【図2】前記実施形態の自己消弧素子へのゲート信号を説明するための図である。
【図3】前記実施形態の動作を説明するための図である。
【図4】前記実施形態における図3に続く動作を説明するための図である。
【図5】従来例を示す図1に相当する図である。
【図6】従来例の図2に相当する図である。
【図7】従来例の図3に相当する図である。
【図8】従来例の図4に相当する図である。
【符号の説明】
1 コンバータ
2 三相交流電源
3 インバータ装置
4 自己消弧素子
5 ブロッキングダイオード
6 コンデンサ
7 交流リアクトル
10 整流回路
20 直流リアクトル
30 制御手段としてのパルス幅制御回路
Claims (4)
- 交流電源から供給される三相交流を直流に整流するために、一次側の各相と二次側の正極との間に、正極用自己消弧素子および正極用ブロッキングダイオードがそれぞれ設けられ、前記各相と前記二次側の負極との間に、負極用自己消弧素子および負極用ブロッキングダイオードがそれぞれ設けられ、前記正極用自己消弧素子および前記負極用自己消弧素子をPWM制御する制御手段が備えられているPWM制御式コンバータであって、
前記制御手段は、電圧の極性が正から負に反転した相の前記正極用自己消弧素子、および、電圧の極性が負から正に反転した相の前記負極用自己消弧素子を、当該相が反転した時点から所定時間が経過するまでの間導通状態にするものであることを特徴とするPWM制御式コンバータ。 - 請求項1に記載のPWM制御式コンバータにおいて、二次側から出力されるとともにパルス状に断続する電流を平滑して直流電流にする直流リアクトルと、前記交流電源および前記一次側の間に設けられるとともに、前記自己消弧素子のスイッチング動作の際に発生する過電圧を吸収するコンデンサと、前記自己消弧素子の前記スイッチング動作の際に発生する高周波電流の前記交流電源側への逆流を阻止する交流リアクトルとが設けられていることを特徴とするPWM制御式コンバータ。
- 請求項1または請求項2記載のPWM制御式コンバータにおいて、その出力側には、誘導加熱を行うための高周波電力を発生するインバータ装置が接続されていることを特徴とするPWM制御式コンバータ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のPWM制御式コンバータにおいて、前記自己消弧素子は、IGBT、MOSFETおよびGTOのいずれかの高速スイッチング素子であることを特徴とするPWM制御式コンバータ。
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