JP4381654B2 - グロー放電装置、その電力供給方法およびその電源装置 - Google Patents

グロー放電装置、その電力供給方法およびその電源装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電力を直流電力に整流して真空雰囲気中の一対の電極に供給しグロー放電させるグロー放電装置、その電力供給方法およびその電源装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、例えばグロー放電によるイオン窒化処理に際して、アーク放電から電極や被イオン窒化物を保護するために、アーク放電を早期に検出する方法が知られている。このアーク放電を早期に検出する方法として、例えば特開平8−57297号公報および特開平8−67963号公報に記載の構成が知られている。
【0003】
そして、特開平8−57297号公報および特開平8−67963号公報に記載のものは、サイリスタがブリッジ構造に接続された整流回路を備え、この整流回路の各サイリスタをそれぞれ位相制御することにより、三相交流電源をグロー放電させる一対の電極間に供給する直流電源に整流する。そして、一対の電極間の負荷電圧の変化と電源装置内の電流制限抵抗の電圧降下の変化とを監視する。これら負荷電圧および電圧降下の変化の割合に基づいて、真空槽内の電極間におけるグロー放電からアーク放電への遷移を検出するとともに、整流回路を位相制御して直流電源の供給を停止させる構成が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−57297号公報および特開平8−67963号公報に記載の構成では、ブリッジ構成された整流回路のサイリスタは自己消弧できないので、例えば図8に示すように、位相により非導通状態にしたいタイミングで完全に非導通状態とならない時間帯Tfが生じる。この時間帯Tfは、最大で半波分の時間である例えば10msでバラツキが生じる。このため、最大で10msの間は導通状態となり、直ちに直流電源の供給を停止してアーク放電の発生を防止することができないおそれがある。このため、整流した直流電力の供給を遮断するためのスイッチング素子であるトランジスタおよびこのトランジスタをオンオフするためのゲート回路が必要となり、構成が複雑となる問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みて、簡単な構成で電力供給を高精度に制御してアーク放電による損傷を防止するグロー放電装置、その電力供給方法およびその電源装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、交流電力を直流電力に整流して真空雰囲気中に配設された一対の電極に供給してグロー放電を生じさせるグロー放電装置の電力供給方法であって、
前記交流電力が供給される一次側端子の各相と前記一対の電極にそれぞれ接続され直流電力を出力する二次側端子の正極および負極との間にそれぞれ自己消弧素子を設けた整流回路と、この整流回路と前記一対の電極との間に設けられる放電回路と、前記整流回路にて前記交流電力を前記直流電力に整流し前記二次側端子から前記電極供給して前記一対の電極間でグロー放電させるとともに、前記放電回路に接続し、前記放電回路にて前記一対の電極間の蓄積電荷を放出させる制御手段とを構成し、前記制御手段により、前記整流回路の各自己消弧素子を、前記交流電力の正弦波に対応してそれぞれ所定の導通状態にパルス変調制御して前記交流電力を直流電力に整流し、前記二次側端子から前記一対の電極に供給させてグロー放電させるとともに、前記グロー放電中の電極間の負荷電圧および電圧降下と負荷電流および電流上昇との少なくともいずれか一方を検出し、これらの各変位を比較してグロー放電からアーク放電への遷移を認識し、このアーク放電への遷移の認識により前記自己消弧素子の導通状態を停止し、前記直流電力の供給の停止のタイミングで、前記放電回路にて前記一対の電極間の前記蓄積電荷を放出させることを特徴とするグロー放電装置の電力供給方法である。
【0007】
この発明では、制御手段により、整流回路の自己消弧素子を、供給される交流電力の正弦波に対応してそれぞれ所定の導通状態にパルス変調制御して交流電力を直流電力に整流し、二次側端子から一対の電極に供給してグロー放電させる。このグロー放電中の電極間の負荷電圧および電圧降下と負荷電流および電流上昇との少なくともいずれか一方を検出して各変位を比較し、グロー放電からアーク放電への遷移を認識する。このアーク放電への遷移の認識により、自己消弧素子の導通状態を停止させる。このことにより、自己消弧素子による消弧作用にて、アーク放電への遷移を認識して導通状態を停止して非導通状態に制御する際に、自己消弧素子は直ちに確実に非導通状態となり、確実にアーク放電による電極などの損傷を防止する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のグロー放電装置の電力供給方法において、パルス変調制御は、起動後の所定時間内に、所定の包絡線パターンに従って追値制御した後に二次側端子からの出力が所定値となるように定値制御することを特徴とする。
【0009】
この発明では、起動後の所定時間内に、所定の包絡線パターンに従って追値制御した後に二次側端子からの出力が所定値となるように定値制御してパルス変調制御することが好ましい。このことにより、自己消弧素子に次第に電流が流れる状態となり、自己消弧素子の負荷が低減されて保護されるとともに、この追値制御および定値制御の双方を組み合わせたパルス変調制御とするので、容易に自己消弧素子の導通状態が制御される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のグロー放電装置の電力供給方法において、時間と直流電圧の出力との関係を示すグラフ、マップおよび関数のうちのいずれか1つの包絡線パターンを記憶する記憶手段を設け、この記憶手段に記憶された包絡線パターンに従ってパルス変調制御することを特徴とする。
【0011】
この発明では、記憶手段に記憶した時間と直流電圧の出力との関係を示すグラフ、マップおよび関数のうちのいずれか1つの包絡線パターンに従って制御することが好ましい。このことにより、自己消弧素子の負荷を低減した追値制御および定値制御によるパルス変調制御が容易となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のグロー放電装置の電力供給方法において、自己消弧素子として高速スイッチング素子が用いられることを特徴とする。
【0013】
この発明では、自己消弧素子として高速スイッチング素子を用いる。このことにより、出力すべき電力に応じて自己消弧素子の導通時間を細かく調節することが可能で、きめ細かいパルス幅変調制御が得られ、適切な電力量の供給が可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のグロー放電装置の電力供給方法をグロー放電装置の電源装置に展開したもので、交流電力が供給される一次側端子と、真空雰囲気中に配設された一対の電極に接続されて直流電力を出力する二次側端子と、前記一次側端子の各相と前記二次側端子の正極および負極との間にそれぞれ自己消弧素子が設けられて構成された整流回路と、この整流回路の各自己消弧素子を前記交流電力の正弦波に対応してそれぞれ所定の導通状態にパルス変調制御して前記交流電力を前記直流電力に整流し前記二次側端子から前記電極供給して前記一対の電極間でグロー放電させるパルス変調制御手段と、前記グロー放電中の一対の電極間の負荷電圧および電圧降下と負荷電流および電流上昇との少なくともいずれか一方を検出し、これらの各変位を比較してグロー放電からアーク放電へ遷移したことを認識し、前記パルス変調制御手段により自己消弧素子の導通状態を停止させるアーク放電検出手段とを具備し、前記アーク放電検出手段は、前記整流回路と前記一対の電極との間に設けられた放電回路を備え、この放電回路は、前記パルス変調制御手段に接続され、前記パルス変調制御手段による前記直流電力の停止のタイミングにより、前記一対の電極間の蓄積電荷を放出することを特徴とする。このことにより、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を享受する。
【0015】
請求項6ないし8に記載の発明は、請求項5に記載のグロー放電装置の電源装置において、請求項2ないし4に記載の発明のグロー放電装置の電力供給方法に対応するグロー放電装置の電源装置で、請求項2ないし4に記載の発明と同様の作用効果を享受する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項5ないし8のいずれかに記載のグロー放電装置の電源装置と、内部に所定の真空雰囲気を形成する真空槽と、この真空槽内に配設されて前記電源装置に接続され前記電源装置にて整流された直流電力が供給されてグロー放電する一対の電極とを具備したことを特徴としたグロー放電装置である。
【0017】
この発明では、自己消弧素子を直ちに確実に非導通状態として確実にアーク放電による電極などの損傷を防止する請求項5ないし8のいずれかに記載のグロー放電装置の電源装置を備えるので、良好なグロー放電が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
〔グロー放電装置の構成〕
図1は、本発明のグロー放電装置の一実施の形態に係る窒化処理装置の回路構成を示す。この図1に示す窒化処理装置1は、電源装置2を備えた図示しない制御盤と、一対の電極3A,3Bを有した放電部4とを備えている。
【0020】
そして、放電部4は、例えば内部が一部開放可能な真空槽としての真空チャンバ5と、この真空チャンバ5内を略真空状態にする図示しないポンプとを備えている。この放電部4の真空チャンバ5内には、一対の電極3A,3B、すなわち陽極3Aおよび陰極3Bが配設されている。
【0021】
また、制御盤は、交流電源である三相交流電源7に接続されるとともに一対の電極3A,3Bにそれぞれ接続され、電源装置2および電極3A,3Bのグロー放電の動作を監視・制御する。この制御盤には、図示しない入出力手段(I/O(Input/Output))が設けられている。この入出力手段は、パルス変調制御であるパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御のためのパラメータを入力操作にて設定入力するために、コンピュータなどの入力手段からの信号を認識する。さらに、制御盤は、入出力手段を介して電源装置2で三相交流を直流に整流した状態、放電部4の真空チャンバ5内の真空状態、グロー放電の状態、アーク放電への遷移、警報などを外部出力可能となっている。
【0022】
そして、電源装置2は、一次側端子であるU相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wと、二次側端子としての出力端子である正極端子11Aおよび負極端子11Bと、整流回路12と、平滑回路13と、パルス変調制御手段としてのパルス幅制御回路14と、アーク放電検出手段15とを備えている。これらパルス幅制御回路14と、アーク放電検出手段15とにて制御手段16が構成される。また、二次側の正極端子11Aは陽極3Aに接続され、二次側の負極端子11Bは陰極3Bに接続される。
【0023】
整流回路12は、主要素子として複数の自己消弧素子である正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを有し、これら正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wで交流電力を整流する。この整流回路12の正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wとしては、高速スイッチング素子である電力制御用の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar mode Transistor:IGBT)が採用されている。なお、自己消弧素子としては、高速スイッチング可能で、導通時の直流抵抗値が小さい素子である高速スイッチング素子が好ましく、IGBTの他に、MOS−FET(MOS(Metal-Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタ(Field-Effect Transistor:FET))およびゲートターンオフサイリスタ(Gate Turn Off Thyristor:GTO)を採用できる。また、高速スイッチング素子に限らず、他の自己消弧作用を示すいずれの素子でもできる。
【0024】
この整流回路12は、一次側のU相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wと二次側の負極端子11Aとの間に接続された、負極用自己消弧素子19U,19V,19Wおよび負極用ブロッキングダイオード21U,21V,21Wの直列回路を有している。すなわち、U相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wと負極端子11Aとの間には、負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのドレイン、ソースおよび負極用ブロッキングダイオード21U,21V,21Wの直列回路が接続されている。
【0025】
また、整流回路12は、一次側のU相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wと二次側の正極端子11Bとの間に接続された、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよびダイオードである正極用ブロッキングダイオード20U,20V,20Wの直列回路を有している。すなわち、U相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wと正極端子11Bとの間には、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wのソース、ドレインおよび正極用ブロッキングダイオード20U,20V,20Wの直列回路が接続されている。
【0026】
また、整流回路12の交流入力部分には、複数の交流リアクトル23が三相に対応してそれぞれ設けられている。すなわち、交流リアクトル23は、U相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wと、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wのドレインおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのソースの接続点との間に位置してそれぞれ接続されている。そして、これら交流リアクトル23は、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの各スイッチング動作の際に発生する高周波電流、すなわち、キャリア波の高周波成分電流の交流電源側への逆流を阻止する。
【0027】
さらに、整流回路12の交流入力部分には、複数のコンデンサC1が三相に対応してそれぞれ設けられている。すなわち、コンデンサC1は、交流リアクトル23と正極用自己消弧素子18U,18V,18Wのドレインおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのソースの接続点との接続点間にそれぞれ接続されている。そして、コンデンサC1は、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの各スイッチング動作の際の電圧源、および発生するサージ電圧を吸収する。
【0028】
整流回路12には、平滑回路13が接続されている。この平滑回路13は、直流リアクトル26を備えている。直流リアクトル26は、負極端子11Aと負極用ブロッキングダイオード21U,21V,21Wとの間、および、正極端子11Bと正極用ブロッキングダイオード20U,20V,20Wとの間にそれぞれ接続されている。そして、直流リアクトル26は、整流回路12から出力されるとともにパルス状に断続する電流を平滑して直流電流にする。
【0029】
また、整流回路12には、パルス幅制御回路14が接続されている。このパルス幅制御回路14は、一次側のU相端子10U、V相端子10VおよびW相端子10Wに接続されるとともに、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの各ゲートに接続されている。そして、パルス幅制御回路14は、二次側端子から出力すべき電力に応じて正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの導通時間を制御する。すなわち、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを断続的に点弧するとともに、整流回路12から出力される直流電圧パルスの幅を、出力すべき電力に応じて調節するパルス幅変調制御をする。なお、このパルス幅制御回路14は、制御盤に設けられた図示しない入力手段に接続され、適宜パネル幅変調制御のためのパラメータの設定が可能となっている。
【0030】
このパルス幅制御回路14のパルス幅変調制御は、入力される三相交流電圧と、二次側端子から出力される直流電圧とを検出・監視し、直流電圧が所定の値となるように出力される直流電圧パルスの幅を可変制御する。
【0031】
そして、パルス幅変調制御には、後述する整流モードと閉回路モードとが設定されている。すなわち、パルス幅制御回路14は、整流モードおよび閉回路モードが交互に繰り返されるように、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのゲートに与えるパルス状の制御信号であるキャリア波を発生する。このキャリア波で正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを適宜点弧する。
【0032】
また、パルス幅制御回路14は、U相、V相およびW相の各相に印加された電圧の極性が正から負に反転すると、その相の正極用自己消弧素子18U,18V,18Wを所定時間が経過するまでの間で導通状態にするとともに、電圧の極性が負から正に反転すると、その相の負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを所定時間が経過するまでの間で導通状態にする機能を有している。
【0033】
平滑回路13には、アーク放電検出手段15が接続されている。アーク放電検出手段15は、放電回路31と、電流制限用抵抗R1と、負荷電圧検出手段32を構成する負荷電圧検出部33と、負荷電流検出手段34を構成する負荷電流検出用抵抗R2と、図2に示すアーク検出手段としてのアーク検出回路35と、図2に示すアーク消弧制御回路36とを備えている。
【0034】
放電回路31は、平滑回路13に接続され、放電用トランジスタQ1と、放電用抵抗R3とを備えている。放電用トランジスタQ1のエミッタは、直流リアクトル26を介して負極用ブロッキングダイオード21U,21V,21Wに接続されている。放電用トランジスタQ1のコレクタは、放電用抵抗R3に接続されている。放電用抵抗R3は、直流リアクトル26を介して正極用ブロッキングダイオード20U,20V,20Wに接続されている。
【0035】
また、放電用トランジスタQ1のベースには、パルス幅制御回路14が接続されている。そして、放電回路31は、パルス幅制御回路14から放電用トランジスタQ1のベースにベース信号である駆動パルス信号が出力され、この駆動パルス信号のパルス幅で放電用トランジスタQ1がオン・オフする。この放電用トランジスタQ1のオン・オフは、パルス幅制御回路14による整流回路12のパルス幅変調制御にて整流した直流電力の供給の停止でオンする。このタイミングにより、放電回路31は、一対の電極3A,3B間の蓄積電荷を放出させる。
【0036】
電流制限用抵抗R1は、放電回路31と二次側の負極端子11Aとの間に接続されている。すなわち、電流制限用抵抗R1は、平滑回路13の直流リアクトル26と負極端子11Aとの間に接続されている。この電流制限用抵抗R1は、負荷側である一対の電極3A,3B間に流れる電流を制御する。この電流制限用抵抗R1の抵抗値は、アーク放電の発生時に一対の電極3A,3B間に流れる電流値を制限する抵抗値に設定されている。このことにより、電流制限用抵抗R1は、放電部4の真空チャンバ5内でアーク放電が発生した際に、一対の電極3A,3B間に流れる電流を制限し、過大なアーク電流が流れて電極3A,3Bを損傷することを防止する。
【0037】
負荷電圧検出部33は、一対の直列に接続された負荷電圧検出用抵抗R4,R5を備えている。これら負荷電圧検出用抵抗R4,R5の直列回路は、二次側の負極端子11Aおよび正極端子11B間に接続されている。この負荷電圧検出部33は、負荷側の一対の電極3A,3B間に印加される直流電圧を分圧検出する。
【0038】
負荷電流検出用抵抗R2は、平滑回路13の直流リアクトル26と二次側の正極端子11Bとの間に接続されている。すなわち、電流制限用抵抗R1、真空チャンバ5の電極3A,3Bおよび負荷電流検出用抵抗R2が直列に接続され、この直列回路が放電回路31の放電用トランジスタQ1のエミッタ、コレクタおよび放電用抵抗R3の直列回路に並列に接続される。そして、負荷電流検出用抵抗R2は、負荷である一対の電極3A,3B間に流れる直流電流の電流値を検出する。なお、負荷電流を検出する構成としては、負荷電流検出用抵抗R2などの抵抗に限らず、直流電流を検出できるいずれの構成でもよい。例えば、ホールCTを用いた直流電流検出器などを用いることもできる。
【0039】
アーク検出回路35における負荷電圧検出用抵抗R4の一端は、電流制限用抵抗R1と二次側の負極端子11Aとの接続点Aに接続されている。また、アーク検出回路35における負荷電圧検出用抵抗R5の一端は、負荷電流検出用抵抗R2の接続点と二次側の正極端子11Bとの接続点Bに接続されている。そして、アーク検出回路35は、負荷電圧Vcの電圧値として負荷電圧検出用抵抗R4,R5にて分圧された直流電圧Vrを電圧検出入力する。
【0040】
また、アーク検出回路35は、負荷電流検出用抵抗R2と放電回路31の放電用抵抗R3との接続点Cに接続されている。そして、アーク検出回路35は、負荷である一対の電極3A,3B間に流れる直流電流Icにより負荷電流検出用抵抗R2で発生する電圧降下を検出する。
【0041】
そして、アーク検出回路35は、検出した負荷電圧Vcの電圧値の降下と検出した負荷電流の上昇とを比較する。これら変位の比較結果に基づいて、放電部4の真空チャンバ5内で生じているグロー放電がアーク放電に遷移したか否かを判断し、アーク放電に遷移したと判断した場合に所定のアーク検出信号を出力する。
【0042】
アーク消弧制御回路36は、アーク検出回路35に接続されるとともにパルス幅制御回路14に接続されている。そして、このアーク消弧制御回路36は、アーク検出回路35から出力されるアーク検出信号を認識し、このアーク検出信号に基づいてパルス幅制御回路14に所定の出力停止制御信号を出力し、パルス幅制御回路14から整流回路12の正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wをオフさせるパルス幅変調制御のゲート信号を出力させる。
【0043】
〔制御系内部構成〕
次に、パルス幅制御回路14、アーク検出回路35およびアーク消弧制御回路36の内部構成について図面に基づいて説明する。
【0044】
(パルス幅制御回路の内部構成)
パルス幅制御回路14は、図3のブロック図に示すように、一定周期でパルス出力する図示しないクロック機構からそのパルスタイミングを認識するキャリア部41が設けられている。また、パルス幅制御回路14には、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wから出力される直流電力の電圧値を検出して、この電圧値をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換部42が設けられている。
【0045】
また、キャリア部41には、図4に示すような、三相正弦波テーブルが記憶された波形記憶手段43が接続されている。この三相正弦波テーブルは、各相の電源電圧値と時間との関係で構成された三相波形テーブル(図4(A))と、この三相波形テーブルに対応して正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの導通状態と時間との関係で構成された整流波形テーブル(図4(B))とを有している。そして、整流波形テーブルは、三相波形テーブルの各相の電源電圧値に対応して波形の1周期を6分割した各期間T1〜T6に対応して導通状態のパルス幅のパターンが設定されている。
【0046】
また、キャリア部41には、関数記憶手段44が接続されている。この関数記憶手段44には、図5に示すような波形で正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを導通状態にするための所定の包絡線パターンの関数テーブルが記憶されている。この関数テーブルは、起動後の所定期間内にパルス状の導通状態に制御するためのものである。
【0047】
すなわち、図5に示すように、関数テーブルには、非導通状態の正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wに徐々に電流が流れるようにキャリア部41の定周波パルスに対応して追値制御する包絡線パターンである立ち上げ期間Tsの関数テーブルと、整流回路12で整流され平滑回路で平滑された直流電力を所定の出力値に設定するために正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wに所定の電流が流れるようにキャリア部41の定周波パルスに対応して定値制御する導通期間Tnの関数テーブルとがある。これら関数テーブルにより、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wがパルス状の導通状態にパルス幅変調制御される。
【0048】
なお、関数テーブルとしては、所定の包絡線パターンとなる時間と電流との関係、時間と直流電圧の出力との関係などを示すグラフやマップ関数など、いずれのものでもできる。また、パルス幅制御回路14は、波形記憶手段43および関数記憶手段44に記憶する三相正弦波テーブルや関数テーブルを設定入力可能となっている。
【0049】
さらに、キャリア部41には、PID制御回路部45が接続されている。このPID制御回路部45は、実際に出力される直流電力の電圧値をフィードバック制御する。すなわち、PID制御回路部45は、アナログ/デジタル変換部42で認識した電圧値と、関数記憶手段44に記憶された目標値となる関数テーブルとの偏差、この偏差の積分値、偏差の微分値によってフィードバック信号を出力する。
【0050】
そして、このPID制御回路部45には、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの各ゲートに接続され、実際に通電状態にするためにパルス状のゲート信号を出力するPWMパターン制御部46が接続されている。
【0051】
このように、パルス幅制御回路14は、関数テーブルに基づいて正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの導通状態をPID制御して、出力する直流電力をフィードバック制御する。
【0052】
なお、整流回路12に入力される各U相、V相およびW相の三相交流電源電圧は、図4(A)に示すように、各期間T1〜T6において、二つの相が同じ極性となる一方、残りの相が逆の極性となる。また、期間T1,T3,T5における各波形は、互いに同形状であり、期間T2,T4,T6における各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆となっている。
【0053】
このことにより、パルス幅制御回路14は、この図4(A)に示すような三相交流波形に対応して、図4(B)に示すように、各相に対応する正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの各ゲートにパルス状のゲート信号を出力する。このことにより、各期間T1〜T6において、逆極性となる1つの相を基準として、他の2つの相のそれぞれについて整流し、直流電力に整流する制御をする。
【0054】
例えば、期間T3では、期間T3の開始から終了までの間、負極用自己消弧素子19Wを導通状態にする。さらに、正極用自己消弧素子18V,18U,18Wのそれぞれにパルス状のゲート信号を順次送り、これらの正極用自己消弧素子18V,18U,18Wを順次導通状態にする。このようにして、期間T3において、第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードを繰り返し実施するように制御する。
【0055】
また、期間T4では、期間T4の開始から終了までの間、正極用自己消弧素子18Vを導通状態にする。さらに、負極用自己消弧素子19U,19W,19Vのそれぞれにパルス状のゲート信号を順次送り、これらの負極用自己消弧素子19U,19W,19Vを順次導通状態にする。このようにして、期間T4において、第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードを順次実施する。
【0056】
そして、期間T2から期間T3へ移行する際には、V相の電圧極性が負から正に反転する。このため、この極性の反転に対応して、パルス幅制御回路14は、V相の極性が反転した時点から所定時間が経過するまでの間、具体的には、期間T3の開始から終了までの間、負極用自己消弧素子19Vを導通状態にする。
【0057】
また、期間T3から期間T4へ移行する際には、U相の電圧の極性が正から負に反転する。このため、この極性の反転に対応して、パルス幅制御回路14は、U相の極性が反転した時点から所定時間が経過するまでの間、具体的には、期間T4の開始から終了までの間、正極用自己消弧素子18Uを導通状態にする。
【0058】
(アーク検出回路の内部構成)
アーク検出回路35は、図2に示すように、負荷電圧検出回路51と、負荷電流検出回路52と、コンパレータ回路53とを備えている。負荷電圧検出回路51は、負荷電圧検出部33により構成され、第1の分圧回路56、第1のバッファ57、第1のノイズルフィルタ58および第1のピークホールド回路59を備えている。また、負荷電流検出回路52は、負荷電流検出用抵抗R2にて負荷電流検出手段34を構成し、第2の分圧回路61、第2のバッファ62および第2のピークホールド回路63を備えている。コンパレータ回路53は、負荷電圧検出回路51および負荷電流検出回路52にそれぞれ接続され、負荷電圧検出回路51にて検出する電圧検出値と、負荷電流検出回路52にて検出する電流検出値とを比較して、適宜アーク検出信号を出力する。
【0059】
負荷電圧検出回路51は、図1に示す電源装置2の負荷電圧検出回路33により分圧された負荷電圧Vcを検出し、この検出した負荷電圧Vcを第1の分圧回路56にて分圧して第1の分圧電圧とする。この第1の分圧電圧に含まれるリップル成分であるノイズ成分を第1のバッファ57と第1のノイズフィルタ58とにより除去、すなわち平均化する。このノイズが除去された第1の分圧電圧のピーク値を第1のピークホールド回路59により保持し、この第1のピークホールド回路59から第1のピークホールド信号をコンパレータ回路53に出力する。なお、第1のピークホールド回路59には、例えば感度調整ボリューム65が接続されている。そして、この第1のピークホールド回路59のピークホールドレベルは、感度調整ボリューム65によって調整可能となっている。
【0060】
負荷電流検出回路52は、図1に示す電源装置2の接続点B,Cから、負荷電流Icが負荷電流検出用抵抗R2で発生させる電圧降下を検出する。この検出した電圧降下を第2の分圧回路61で分圧、すなわち所定レベルでクランプして第2の分圧電圧とする。この第2の分圧電圧のインピーダンス変換を第2のバッファ62で実施した後、第2の分圧電圧のピーク値を第2のピークホールド回路63により保持し、この第2のピークホールド回路63から第2のピークホールド信号をコンパレータ回路53に出力する。
【0061】
コンパレータ回路53は、負荷電圧検出回路51から出力された負荷電圧Vcに相当する第1のピークホールド信号と、負荷電流検出回路52から出力された負荷電流Icに相当する第2のピークホールド信号とを比較する。この比較は、アーク放電に遷移したことを判別する条件に一致するか否かで判断し、適宜アーク放電信号を出力する。ここで、コンパレータ回路53から出力されるアーク検出信号は、ハイレベルとする。
【0062】
ここで、アーク検出回路35におけるグロー放電からアーク放電への遷移を認識する負荷電圧Vcと負荷電流Icによる電圧降下の変位の比較条件、すなわち電圧変位の比較条件について説明する。
【0063】
電圧変位の比較条件は、電源装置2の電流制限用抵抗R1の設定抵抗値と、アーク放電の発生により電極3A,3B間に流れるアーク電流により推定される電極3A,3B側のインピーダンス値の比とによって設定される。なお、電流制限用抵抗R1は、電極3A,3Bに対して直列抵抗となっているので、図6に示すように、電流制限用抵抗R1と電極3A,3Bとを含む直列回路の両端の電圧をV0、電流制限用抵抗R1の両端における電圧をVr、電極3A,3Bの両端における電圧をVcとする。また、アーク放電の発生の際に電極3A,3B間に印加される電圧を通常値の例えば10%程度に設定する。そして、正常にグロー放電が生じている時、V0、Vr、Vcは以下の数式および図7に示す電圧関係となる。
【0064】
Vr=V0×(10/100)=0.1V0
Vc=V0×(90/100)=0.9V0
【0065】
このように、正常にグロー放電が発生している場合には、Vr<Vc(Ic<Vc)となる。しかしながら、アーク放電が発生して負荷電流Icの値が増大する異常状態では、Vr>Vc(Ic>Vc)と逆転する。
【0066】
したがって、これらVr、Vcの相関関係に基づいて、Vrに相当する電圧を負荷電流検出用抵抗R2により発生する電圧降下として検出し、Vcに相当する電圧を負荷電圧検出部33による分圧される負荷電圧として検出する。そして、アーク検出回路35は、Vrの変位とVcの変位とをコンパレータ回路53により比較し、Vr<Vcの電圧関係が、Vr>Vcの電圧関係に変化することを検出することにより、グロー放電からアーク放電への遷移を検出し、パルス幅制御回路にアーク検出信号を出力する

【0067】
(アーク消弧制御回路の内部構成)
アーク消弧制御回路36は、インバータゲート71、第1のアンドゲート72、モノマルチバイブレータ73、カウンタ74、第1のリレー75、第2のリレー76、パルス波発生器77および第2のアンドゲート78を備えている。
【0068】
インバータゲート71は、アーク検出回路35に接続されている。このインバータゲート71は、アーク検出回路35から出力されたアーク検出信号であるハイレベルを反転させてローレベルとして出力する。
【0069】
第1のアンドゲート72は、このインバータゲート71に接続されている。この第1のアンドゲート72は、インバータゲート71から出力されたアーク検出信号であるローレベルと、制御盤に設けられた外部操作回路により設定入力されるスタート/ストップ信号との論理和を出力する。ここで、外部操作回路によるストップ信号はローレベルとし、スタート信号はハイレベルとする。
【0070】
モノマルチバイブレータ73は、第1のアンドゲート72に接続され、アーク放電への遷移を認識した場合に電源装置2の動作を一定時間停止させる停止信号を出力する回路である。このモノマルチバイブレータ73は、第1のアンドゲート72から出力された論理和の信号がハイレベルの場合、このハイレベルの信号を出力する。また、モノマルチバイブレータ73は、第1のアンドゲート72から出力された論理和の信号がローレベルの場合、すなわちアーク放電への遷移が認識された場合、設定された一定時間の間、停止信号であるローレベルを出力する。
【0071】
カウンタ74は、モノマルチバイブレータ73に接続されている。このカウンタ74は、モノマルチバイブレータ73から出力される停止信号の出力回数を計数する。そして、この計数した停止信号の出力回数が所定値に達した時点で、所定の信号であるオン信号を出力する。
【0072】
第1のリレー75は、カウンタ74に接続されている。この第1のリレー75は、カウンタ74から出力される信号に基づいてオン・オフする。すなわち、カウンタ74から出力される停止信号の出力回数が所定値に達した旨のオン信号に基づいてオンし、異常の発生を知らせる旨の第1のトリップ信号を出力する。なお、この出力された第1のトリップ信号は、例えば制御盤などに出力され、電源装置2の動作を停止させるとともに、放電部4の真空チャンバ5内でアーク放電が生じている旨を報知させる。この報知により、オペレータは、アーク放電の発生原因を取り除く処理が促される。
【0073】
第2のリレー76は、モノマルチバイブレータ73に接続されている。この第2のリレー76は、モノマルチバイブレータ73から出力される停止信号に基づいてオン・オフする。すなわち、モノマルチバイブレータ73から出力される停止信号に基づいてオンし、異常の発生を知らせる旨の第2のトリップ信号を出力する。なお、この出力された第2のトリップ信号は、停止信号が出力されている間オンが継続し、例えば制御盤などに出力され、電源装置2の動作を停止させる。さらに、例えば制御盤などに配設された「ヒートオフ」の表示ランプを点灯させ、電源装置2の出力が停止して真空チャンバ5内の放電が停止していることを報知させる。
【0074】
第2のアンドゲート78は、モノマルチバイブレータ73および制御盤に設けられた外部操作回路により設定入力されるスタート/ストップ信号が入力可能に接続されている。さらに、第2のアンドゲート78は、パルス幅制御回路14が接続されている。そして、第2のアンドゲート78は、モノマルチバイブレータ73から出力される停止信号と、外部操作回路によるスタート/ストップ信号との論理和を制御信号としてパルス幅制御回路14に出力する。すなわち、第2のアンドゲート78は、モノマルチバイブレータ73から出力された停止信号がハイレベルの場合には、基準パルス信号をパルス幅制御回路14に制御信号として出力する。また、第2のアンドゲート78は、モノマルチバイブレータ73から出力された停止信号が一定時間のローレベルの場合には、パルス幅制御回路14の出力を停止させ、電源装置2の動作を一定時間停止させる。
【0075】
〔窒化処理装置の動作〕
次に、上記実施の形態の窒化処理装置1の具体的な動作を説明する。
【0076】
(グロー放電の動作)
まず、電源装置2から一対の直流電力を供給してグロー放電させるために、パルス幅制御回路14により三相交流を直流に整流する具体的な動作を説明する。なお、期間T1,T3,T5の各波形は互いに同形状で、期間T2,T4,T6の各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆ではあるが同形状であるため、期間T3,T4における動作を説明し、期間T1,T2,T5,T6における動作については、期間T3,T4と同様となるため説明を省略する。
【0077】
電源装置2の整流回路12には、図4(A)に示すような正弦波状に変化する三相交流電圧が印加される。この状態では、期間T3において、この期間T3の開始から終了まで、図4(B)に示すように、パルス幅制御回路14によりW相の負極用自己消弧素子19Wが導通状態となる。また、期間T3への移行の際、V相の電圧極性が負から正に反転するので、期間T3の開始から終了までの間、パルス幅制御回路14によりV相の負極用自己消弧素子19Vが導通状態となる。
【0078】
この状態で、V相の正極用自己消弧素子18Vがパルス幅制御回路14により導通され、整流回路12の正極用自己消弧素子18Vおよび負極用自己消弧素子19Wで整流された直流電圧が直流リアクトル26を介して電極3A,3B間に印加されて、第1整流モードが実施される。この第1整流モードでは、三相交流のV相の電圧は正で、W相の電圧は負となっているので、電流はV相からW相へ流れる。
【0079】
続いて、U相の正極用自己消弧素子18Uがパルス幅制御回路14により導通され、整流回路12の正極用自己消弧素子18Uおよび負極用自己消弧素子19Wで整流された直流電圧が直流リアクトル26を介して電極3A,3B間に印加され、第2整流モードが実施される。この第2整流モードでは、三相交流のU相の電圧は正で、W相の電圧は負となっているので、電流はU相からW相へ流れる。
【0080】
次に、W相の正極用自己消弧素子18Wがパルス幅制御回路14により導通され、整流回路12および電極3A,3Bが閉回路を形成する。この閉回路に直流リアクトル26の誘導電流が循環し、閉回路モードが実施される。
【0081】
なお、この期間T3における各第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードでの各正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのパルス幅制御回路14による導通状態の制御は、パルス幅制御回路14がキャリア部41における定周波パルスのタイミングで、各相の波形を認識する。この認識した波形と波形記憶手段43の三相正弦波テーブルとを対応させて、期間T3を認識する。そして、この期間T3における図4(B)に示すような各正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの導通状態とする導通パターンを選択する。
【0082】
そして、パルス幅制御回路14は、この導通パターンに基づいてPWMパターン制御部46から各正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのゲートにパルス状のゲート信号を出力させて、導通パターンに則った導通状態に制御する。
【0083】
ここで、PWMパターン制御部46からのゲート信号にて導通状態にする際には、非導通状態からの起動後の所定時間内に、図5に示すような所定の包絡線となる関数テーブルに基づいてパルス幅変調制御される。すなわち、まず立ち上げ期間Tsの関数テーブルに基づいて、図5に示すように非導通状態の正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wに徐々に電流が流れるような所定の包絡線に沿うように、キャリア部41の定周波パルスのタイミングで追値制御する。そして、所定の電流値に達した後は、導通期間Tnの関数テーブルに基づいて、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wに所定の電流が導通パターンに則った時間で流れるように、キャリア部41の定周波パルスのタイミングで定値制御して、導通パターンにおける1パルスの導通状態にパルス幅変調制御する。
【0084】
また、パルス幅制御回路14は、アナログ/デジタル変換部42で認識した正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wから出力される直流電力の電圧値と関数テーブルとの偏差、この偏差の積分値、偏差の微分値によって、フィードバック信号をPWMパターン制御部46に出力して、出力するゲート信号を制御し、適切な電圧値の直流電力に整流して出力させる。
【0085】
そして、期間T3が完了し、期間T4へ移行すると、図4(B)に示すように、V相の正極用自己消弧素子18Vが期間T4全体を通してパルス幅制御回路14により導通状態に制御される。この期間T4への移行の際、U相の電圧極性が正から負に反転するので、期間T4の開始から終了までの間、正極用自己消弧素子18Uがパルス幅制御回路14により導通状態に制御される。
【0086】
この状態で、U相の負極用自己消弧素子19Uがパルス幅制御回路14により導通されると、整流回路12の正極用自己消弧素子18Vおよび負極用自己消弧素子19Uで整流された電流が直流リアクトル26を介して平滑回路13に流れ、第1整流モードが実施される。この際、三相交流のV相の電圧は正で、U相の電圧は負となっているので、電流はV相からU相へ流れる。
【0087】
続いて、W相の負極用自己消弧素子19Wがパルス幅制御回路14により導通されると、整流回路12の正極用自己消弧素子18Vおよび負極用自己消弧素子19Wで整流された直流電圧が直流リアクトル26を介して電極3A,3B間に印加され、第2整流モードが実施される。この際、三相交流のV相の電圧は正で、W相の電圧は負となっているので、電流はV相からW相へ流れる。
【0088】
次に、V相の負極用自己消弧素子19Vがパルス幅制御回路14により導通され、整流回路12および電極3A,3Bが閉回路を形成する。この閉回路に直流リアクトル26の誘導電流が循環し、閉回路モードが実施される。
【0089】
この期間T4における各正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのパルス幅制御回路14による導通状態の制御も、上述した期間T3と同様に、関数テーブルに基づいて、期間T4における導通パターンに則り、PID制御にて整流する直流電力をフィードバック制御する。
【0090】
ここで、期間T3の最後の閉回路モードにおいて、正極用ブロッキングダイオード20Uのカソードは、直流リアクトル26および負荷である一対の電極3A,3Bを介してW相と導通する。このため、正極用ブロッキングダイオード20Uのカソードの電位が負電位のW相とほぼ同電位となるとともに、正極用ブロッキングダイオード20Uには、順方向の電界が加わるので、そのアノードもW相とほぼ同電位となる。
【0091】
また、正極用自己消弧素子18Uは、遮断状態となっている。このため、この正極用自己消弧素子18Uの両端には、電荷が溜まる。この結果、正極用ブロッキングダイオード20Uには、期間T3の最後の閉回路モードにより溜まった逆方向の電荷により、U相電圧およびW相電圧の電位差とほぼ等しい逆電圧が生じる。
【0092】
そして、正極用ブロッキングダイオード20Uの両端に逆電位が加わった状態で、期間T4に移行し、最初の第1整流モードが実行される。この第1整流モードの実行により、正極用自己消弧素子18Vを介して、正極用ブロッキングダイオード20Uのカソード側はV相に導通され、正極用ブロッキングダイオード20UにはV相の電圧が印加される。
【0093】
ここで、V相の電位は正電圧であり、U相の電位は負電位であるので、期間T3で溜まった逆方向の電荷が放電されないで残っていると、正極用ブロッキングダイオード20Uには、大きな逆方向電圧が加わることとなる。
【0094】
一方、期間T4では、負極用自己消弧素子19Uがパルス幅制御回路14により導通状態となるので、正極用ブロッキングダイオード20Uは、このアノードとカソードとが、直流リアクトル26、負荷である一対の電極3A,3B、負極用ブロッキングダイオード21U、負極用自己消弧素子19Uおよび正極用自己消弧素子18Uを介して導通される。そして、正極用ブロッキングダイオード20Uの両端に蓄積された電荷が放電される。これにより、正極用ブロッキングダイオード20Uの両端に加わっていた電荷が放電され、電荷による逆方向電圧は0Vとなる。
【0095】
この状態で、正極用ブロッキングダイオード20Uに逆方向のV相電圧が印加されても、正極用ブロッキングダイオード20Uの両端の電荷が放電されているので、正極用ブロッキングダイオード20Uに、大きな逆方向電圧が加わることがない。
【0096】
このようにして、整流回路12で整流されて平滑回路13で平滑された直流電圧が、一対の電極3A,3B間に印加する。この電極3A,3B間に印加された直流電圧により、放電部4の真空チャンバ5内に所定の圧力で導入される窒素ガスなどのガスの分子をイオン化させ、電極3A,3B間にグロー放電を生じさせ、陰極3Bとして設置される被処理物の表面を窒化処理する。
【0097】
また、電源装置2の放電回路31の放電用トランジスタQ1は、パルス幅制御回路14のパルス幅変調制御にて整流した直流電力の供給・非供給に対応してパルス幅制御回路14にて適宜オフ・オンされる。
【0098】
この正常なグロー放電が生じている場合には、アーク検出回路35で検出する負荷電圧Vcのピークホールド値、および、負荷電流Icのピークホールド値は、アーク放電への遷移条件となるVr>Vc(Ic>Vc)となっていない。このため、アーク検出回路35は、コンパレータ回路53からアーク消弧制御回路36にアーク検出信号を出力しない。
【0099】
そして、アーク消弧制御回路36は、アーク検出回路35からアーク検出信号のローレベルを検出しないので、アーク消弧制御回路36が正常である信号をパルス幅制御回路14に出力させ、整流回路12の各正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを三相交流の正弦波に対向して適宜パルス状にオン・オフさせ、直流電力を電極3A,3Bに継続して供給する。
【0100】
(アーク放電による停止)
一方、グロー放電を生じさせて窒化処理を継続すると、例えば被処理物の表面近傍に存在する気泡が破れて気泡内の空気やガスが真空チャンバ5内に流入し、真空チャンバ5内の所定の真空状態が保持できなくなる。このことにより、グロー放電からアーク放電に遷移する。
【0101】
このアーク放電の発生により、図7に示すように、アーク検出回路35は、負荷電圧Vcのピークホールド値が急激に低下するとともに、負荷電流Icのピークホールド値は急激に増大し、Vr<Vc(Ic<Vc)の電圧関係が、Vr>Vc(Ic>Vc)の電圧関係に逆転する。このため、アーク検出回路35は、これら電圧変位が入力されたコンパレータ回路53でVr>Vc(Ic>Vc)であるとの比較結果となり、グロー放電からアーク放電へ遷移されたことを検出し、ハイレベルのアーク検出信号をアーク消弧制御回路36に出力する。
【0102】
このアーク検出回路35からのアーク検出信号を検出したアーク消弧制御回路36は、モノマルチバイブレータ73から一定時間の停止信号を出力してパルス幅制御回路14への出力を一定時間停止させる。この出力の停止により、パルス幅制御回路14は一定時間、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wをオフさせ、電極3A,3Bへの直流電力の供給を一定時間停止させる。アーク放電を検出し制御回路12がオフしたタイミングでオンし電極3A,3B間の蓄積電荷を放出させる。このようにして、窒化処理装置1における異常放電時の蓄積電荷の消滅を早くする。この直流電力の供給の停止は、パルス幅変調制御によりパルス状に正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wが導通状態となって直流電力を供給しているので、パルス状の導通状態を停止させればよく、図5に示すように直ちに非導通状態となってアーク放電が直ちに停止できる。
【0103】
さらに、アーク消弧制御回路36のモノマルチバイブレータ73からの停止信号の出力により、第2のリレー76がオンする。この第2のリレー76のオンにより、例えば「ヒートオフ」の表示による電源装置2の直流電力の供給停止により放電を停止している旨が報知される。
【0104】
また、アーク消弧制御回路36のカウンタ74により、停止信号の出力回数が計数される。そして、カウンタ74は、この計数した停止信号の出力回数が所定の回数に達したことを認識することによりオン信号を出力し、第1のリレー75をオンさせる。この第1のリレー75のオンにより、電源装置2の動作を停止させるとともに、アーク放電が継続して発生していることを報知させ、オペレータにアーク放電の発生原因を取り除く処理を促す。
【0105】
〔窒化処理装置の効果〕
上述した本実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0106】
すなわち、整流回路12の非導通状態の正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを、供給される三相交流電源7の正弦波に対応してそれぞれパルス幅を可変しパルス状の導通状態とするパルス幅変調制御して三相交流を直流に整流し、二次側の負極端子11Aおよび正極端子11B間に接続した一対の電極3A,3Bに供給してグロー放電させる。そして、このグロー放電中の電極3A,3B間の負荷電圧Vcおよび電圧降下、負荷電流および電流上昇を検出して各変位を比較し、グロー放電からアーク放電への遷移を認識する。このアーク放電への遷移の認識により、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのパルス状の導通状態を停止すなわちオフさせる。このため、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wによる消弧作用にて、アーク放電への遷移を認識して導通状態を停止して非導通状態にパルス幅変調制御する際に、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wは直ちに確実に非導通状態となり、確実にアーク放電による電極3A,3Bや被処理物などの損傷を防止できる。
【0107】
また、整流回路12を構成する正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを、三相正弦波パターンに基づいて所定のパターンでパルス状に導通状態とする際に、非導通状態から所定の導通状態に起動する所定時間内に、図5に示すように次第に電流が流れるような包絡線となる立ち上げ期間Tsの関数テーブルに基づいて所定のパルス幅変調制御する。このため、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wに突入電流が流れるなどの負荷を低減でき、確実に正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wを保護できる。
【0108】
そして、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wにより整流するため、これら正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの消弧作用により、導通状態から非導通状態に制御する際に、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wは確実に非導通状態となる。このため、従来のサイリスタに時定数回路を組み合わせて位相制御する場合に比して、高精度な制御ができる。
【0109】
また、追値制御および定値制御の双方を組み合わせたパルス変調制御とするので、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの導通状態の制御が容易にできる。
【0110】
さらに、パルス幅変調制御を関数に基づいて制御するので、PID制御により整流した直流電力と関数テーブルとからフィードバック信号を出力させて制御するため、より正確で適切な制御が容易にできる。
【0111】
そして、関数記憶手段44に記憶した時間と直流電圧の出力との関係を示すグラフ、マップおよび関数のうちのいずれか1つの包絡線パターンである関数テーブルに従って制御する。このため、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの負荷を低減した追値制御および定値制御によるパルス変調制御が容易にできる。
【0112】
また、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wとして高速スイッチング素子を用いるため、出力すべき電力に応じて正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wの導通時間を細かく調節することもでき、きめ細かいパルス幅変調制御ができ、適切な電力量を供給できる。
【0113】
〔他の実施の形態〕
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
【0114】
例えば、三相交流電力を直流電力に整流する構成について説明したが、三相に限られない。
【0115】
そして、パルス変調制御としてパルス幅変調制御について説明したが、例えば信号波の振幅に対応してパルスの高さすなわち振幅(amplitude)を変えるPAM(Pulse Amplitude Modulation)、パルスの継続時間(duration)を変えるPDM(Pulse Duration Modulation)、周波数変調に対応してパルスの位置(position)を変えるPPM(Pulse Position Modulation)、2進数字などの符号(code)に変換してパルスを生ずるPCM(Pulse Code Modulation)など、他のパルス変調方式による制御でもできる。
【0116】
また、窒化処理の窒化処理装置1について説明したが、他のいずれのグロー放電装置にも適用できる。また、グロー放電装置のみに適用されるものではなく、三相交流を整流した直流電力を負荷としての一対の電極3A,3Bに供給するいずれの電力供給装置である電源装置2にも対応できる。
【0117】
そして、整流回路12の交流入力部分に交流リアクトル23およびコンデンサC1を設けて説明したが、これら交流リアクトル23およびコンデンサC1を設けない構成でもできる。なお、整流回路12の交流入力部分に設けたコンデンサC1が、正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wのスイッチング動作の電力の供給源、および発生するサージ電圧を吸収し、モード切替時などのスイッチング動作時に発生する高調波の交流電源側への逆流が抑制される。また、パルス幅変調制御において発生するキャリア波の高周波成分電流は、交流リアクトル23がコンデンサC1を通過した高周波成分電流の交流電源側への逆流を阻止するので、整流回路12が正極用自己消弧素子18U,18V,18Wおよび負極用自己消弧素子19U,19V,19Wをスイッチングさせるキャリア波を発生させても、このキャリア波の高周波成分が交流電源側に漏れることを防止できる。したがって、スイッチング動作により発生する雑音としての高調波、および、スイッチング動作に必要な制御信号であるキャリア波に含まれる高周波成分の両方が交流電源側へ逆流せず、交流電源側の電流に含まれる高調波成分が確実に低減できるので、これらコンデンサC1および交流リアクトル23を設けることが好ましい。
【0118】
また、第1整流モード、第2整流モードおよび閉回路モードを順次繰り返し、1/6周期の間に、3つのモードを三回ずつ実施する構成について説明したが、これに限らず、これらのモードを、1/6周期の間に、二回以下、あるいは、四回以上実施する構成としてもよい。
【0119】
さらに、整流回路12の自己消弧素子18U,18V,18W,19U,19V,19Wにダイオード20U,20V,20W,21U,21V,21Wをそれぞれ直列に接続して説明したが、ダイオード20U,20V,20W,21U,21V,21Wを用いなくてもできる。
【0120】
また、負荷電圧を検出する負荷電圧検出回路32としては、負荷電圧検出用抵抗R4,R5の直列回路およびアーク検出回路35の構成に限らず、いずれの構成で電極間の放電時の負荷電圧Vcを検出できる。同様に、電圧降下を検出する構成としては、負荷電流検出用抵抗R2およびアーク検出回路35の構成に限らず、いずれの構成でもできる。
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、整流回路の自己消弧素子を、交流電力の正弦波に対応してパルス変調制御して交流電力を直流電力に整流し電極に供給してグロー放電させ、グロー放電中の電極間の負荷電圧および電圧降下と負荷電流および電流上昇との少なくともいずれか一方を検出して各変位を比較してアーク放電への遷移を認識した場合、自己消弧素子のパルス状の導通状態を停止させるため、自己消弧素子による消弧作用にて、アーク放電への遷移を認識して導通状態を停止して非導通状態に制御する際に、自己消弧素子は直ちに確実に非導通状態となり、確実にアーク放電による電極などの損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る窒化処理装置を示す回路図である。
【図2】同上の窒化処理装置の電源装置を構成するアーク検出回路およびアーク消弧制御制御回路を示すブロック図である。
【図3】同上の誘導加熱装置を構成するコンバータのパルス幅制御回路の内部構成を示すブロック図である。
【図4】同上パルス幅制御回路によるパルス幅変調制御の動作を説明するための波形図である。(A)三相正弦波形図(B)導通パターンの波形図
【図5】同上パルス幅変調制御による導通状態の1パルスの波形図を示す説明図である。
【図6】同上アーク検出回路で検出する負荷電圧および電圧降下の変位の比較条件を説明する回路図である。
【図7】同上グロー放電からアーク放電へ遷移する際の負荷電圧および負荷電流の変位を示すグラフである。
【図8】従来例のコンバータによる導通状態の1パルスの波形図を示す説明図である。
【符号の説明】
1 グロー放電装置としての窒化処理装置
2 電源装置
3A 電極である陽極
3B 電極である陰極
5 真空槽としての真空チャンバ
10U 一次側端子であるU相端子
10V 一次側端子であるV相端子
10W 一次側端子であるW相端子
11A 二次側端子である正極端子
11B 二次側端子である負極端子
12 整流回路
14 パルス変調制御手段としてのパルス幅制御回路
15 アーク放電検出手段
16 制御手段
18U,18V,18W 自己消弧素子である正極用自己消弧素子
19U,19V,19W 自己消弧素子である負極用自己消弧素子

Claims (9)

  1. 交流電力を直流電力に整流して真空雰囲気中に配設された一対の電極に供給してグロー放電を生じさせるグロー放電装置の電力供給方法であって、
    前記交流電力が供給される一次側端子の各相と前記一対の電極にそれぞれ接続され直流電力を出力する二次側端子の正極および負極との間にそれぞれ自己消弧素子を設けた整流回路と、
    この整流回路と前記一対の電極との間に設けられる放電回路と、
    前記整流回路にて前記交流電力を前記直流電力に整流し前記二次側端子から前記電極供給して前記一対の電極間でグロー放電させるとともに、前記放電回路に接続し、前記放電回路にて前記一対の電極間の蓄積電荷を放出させる制御手段とを構成し、
    前記制御手段により、前記整流回路の各自己消弧素子を、前記交流電力の正弦波に対応してそれぞれ所定の導通状態にパルス変調制御して前記交流電力を直流電力に整流し、前記二次側端子から前記一対の電極に供給させてグロー放電させるとともに、
    前記グロー放電中の電極間の負荷電圧および電圧降下と負荷電流および電流上昇との少なくともいずれか一方を検出し、これらの各変位を比較してグロー放電からアーク放電への遷移を認識し、このアーク放電への遷移の認識により前記自己消弧素子の導通状態を停止し、
    前記直流電力の供給の停止のタイミングで、前記放電回路にて前記一対の電極間の前記蓄積電荷を放出させる
    ことを特徴とするグロー放電装置の電力供給方法。
  2. 請求項1に記載のグロー放電装置の電力供給方法において、
    パルス変調制御は、起動後の所定時間内に、所定の包絡線パターンに従って追値制御した後に二次側端子からの出力が所定値となるように定値制御する
    ことを特徴とするグロー放電装置の電力供給方法。
  3. 請求項2に記載のグロー放電装置の電力供給方法において、
    時間と直流電圧の出力との関係を示すグラフ、マップおよび関数のうちのいずれか1つの包絡線パターンを記憶する記憶手段を設け、
    この記憶手段に記憶された包絡線パターンに従ってパルス変調制御する
    ことを特徴とするグロー放電装置の電力供給方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のグロー放電装置の電力供給方法において、
    自己消弧素子として高速スイッチング素子が用いられる
    ことを特徴とするグロー放電装置の電力供給方法。
  5. 交流電力が供給される一次側端子と、
    真空雰囲気中に配設された一対の電極に接続されて直流電力を出力する二次側端子と、
    前記一次側端子の各相と前記二次側端子の正極および負極との間にそれぞれ自己消弧素子が設けられて構成された整流回路と、
    この整流回路の各自己消弧素子を前記交流電力の正弦波に対応してそれぞれ所定の導通状態にパルス変調制御して前記交流電力を前記直流電力に整流し前記二次側端子から前記電極供給して前記一対の電極間でグロー放電させるパルス変調制御手段と、
    前記グロー放電中の一対の電極間の負荷電圧および電圧降下と負荷電流および電流上昇との少なくともいずれか一方を検出し、これらの各変位を比較してグロー放電からアーク放電へ遷移したことを認識し、前記パルス変調制御手段により自己消弧素子の導通状態を停止させるアーク放電検出手段とを具備し、
    前記アーク放電検出手段は、前記整流回路と前記一対の電極との間に設けられた放電回路を備え、
    この放電回路は、前記パルス変調制御手段に接続され、前記パルス変調制御手段による前記直流電力の停止のタイミングにより、前記一対の電極間の蓄積電荷を放出する
    ことを特徴としたグロー放電装置の電源装置。
  6. 請求項5に記載のグロー放電装置の電源装置において、
    パルス変調制御手段は、起動後の所定時間内に、所定の包絡線パターンに従って追値制御した後に二次側端子からの出力が所定値となるように定値制御してパルス変調制御する
    ことを特徴としたグロー放電装置の電源装置。
  7. 請求項6に記載のグロー放電装置の電源装置において、
    時間と直流電圧の出力との関係を示すグラフ、マップおよび関数のうちのいずれか1つを有する包絡線パターンを記憶する記憶手段を具備した
    ことを特徴としたグロー放電装置の電源装置。
  8. 請求項5ないし7のいずれかに記載のグロー放電装置の電源装置において、
    自己消弧素子は、高速スイッチング素子である
    ことを特徴としたグロー放電装置の電源装置。
  9. 請求項5ないし8のいずれかに記載のグロー放電装置の電源装置と、
    内部に所定の真空雰囲気を形成する真空槽と、
    この真空槽内に配設されて前記電源装置に接続され前記電源装置にて整流された直流電力が供給されてグロー放電する一対の電極とを具備した
    ことを特徴としたグロー放電装置。
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