JP2001075136A - 光ファイバ型広帯域波長変換装置及びそれに使用される波長変換用光ファイバ - Google Patents
光ファイバ型広帯域波長変換装置及びそれに使用される波長変換用光ファイバInfo
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Abstract
なかった。 【解決手段】 ポンプ光波長を波長変換用光ファイバの
異常分散領域に設定し、且つポンプ光強度を所定のしき
い値以上にして、縮退四光波混合(DFWM)により変
換効率が下がるといった課題を光パラメトリック増幅の
効果と相殺させることによって解決し、広帯域で十分に
平坦化された波長変換を可能とした。ポンプ光源を、波
長変換用光ファイバの異常分散領域で変換効率を広帯域
で平坦化可能な波長と強度のポンプ光を発振可能なもの
とした。中心波長λs の信号光に対して波長λp にポン
プ光波長を設定してDFWMを引き起こすことにより、
信号光がλc =(λs ・λP )/(2λs −λp )で示
される波長に変換され、変換前の信号の光波長λs と変
換後の波長λc を予め定めることにより、ポンプ光の波
長がλp =2(λs ・λc )/(λs +λc )で示され
る波長に設定され、そのポンプ光波長を、波長変換用光
ファイバの異常分散領域における変換効率が広帯域で平
坦化される波長の値とした。
Description
割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)
通信において、ネットワークを形成する際に主要なデバ
イスとなる光ファイバ型広帯域波長変換装置及びそれに
使用される波長変換用光ファイバに関するものである。
する四光波混合(FWM:Four WaveMixing) により、
周波数f1、f2、f3の3つの光からそれらとは異なる周波
数f4の光を発生させる事が可能である。この場合、周波
数f4は周波数f1、f2、f3の3つの周波数により決まり、
f4+f1 =f2+f3 の関係が成立する。ここでf2=f3の場合
は特に縮退四光波混合(DFWM:Degenerated Four w
ave Mixing) と呼ばれ、発生した周波数f4の光はアイド
ラ(idler) 光と呼ばれる。
役光による分散補償等へ応用されている。例えば、波長
λs(=c/fs)の信号光が伝搬されている光ファイバに波長
λp(=c/fp)のポンプ光を結合器を用いて結合させると、
当該光ファイバの出口ではDFWMによって前記信号光
とポンプ光の他にアイドラ光が発生する。前記λp(=c/f
p)におけるc は真空中の光の速さである。このアイドラ
光は信号光に対して波長が異なることと、位相共役の性
質を持つ以外は全く同じコピーであるため、フィルタを
用いるなどして当該光ファイバの出力光からポンプ光と
信号光を除去してアイドラ光のみを取り出せば、信号光
の波長変換が可能である。
ビウム添加光ファイバ型増幅器(EDFA:Erbium Dop
ed Fiber Amplifier)の帯域(bandwidth) である波長15
30nm〜1560nm:C-band )から、更に帯域を拡げる
ことが試みられている。その一つとして波長を1570nm
〜1610nmの長波長帯域(L-band )とする光ファイバ
増幅器や、ラマン増幅器を用いた帯域の拡張などが試み
られている。このため異なる帯域を有するWDM伝送路
間を結んで光ネットワークを構築する必要があるが、そ
のためには、より広帯域の波長変換装置が必要となる。
これまでに、光ファイバ型の波長変換装置としてDFW
Mを利用してポンプ光と光ファイバの零分散波長を一致
させる事で、最大で36nmの半値半幅を有する広帯域且
つ高変換効率の波長変換装置が報告されている。
ファイバ型波長変換装置の帯域は、理論的には光ファイ
バの零分散波長とポンプ光波長を一致させた際に無限大
になることが知られている。しかしその条件で波長変換
を行っても実際の波長変換帯域は有限になる(制限され
る)。DFWMを利用して波長変換帯域を拡げる際に帯
域が制限される要因としては次のことが考えられる。
である光ファイバの長手方向の波長分散のばらつきであ
る。広帯域波長変換を実現するためには光ファイバの波
長分散、即ち、零分散波長を光ファイバの長手方向に揃
える必要があり、そうしなければ有効なアイドラ光の発
生は望めない。従って、DFWMを発生させる媒質であ
る光ファイバの長手方向に分散のばらつきがある場合は
光ファイバによって帯域を拡げることは不可能となる。
ード分散(PMD: PolarizationMode Dispersion )
により、光ファイバを伝搬中に生ずるポンプ光と信号光
の間の偏光状態が不一致になることである。光ファイバ
中のFWMによりアイドラ光を効率よく発生させるため
には、信号光とポンプ光の偏光状態が一致している(差
が無い)方が良いことが知られている。また信号光とポ
ンプ光の偏光状態が異なる場合、特に直交している場合
はアイドラ光の発生効率が0になる事も知られている。
しかし信号光とポンプ光の偏光状態を一致させることは
次の理由から困難である。光ファイバに信号光とポンプ
光を入射する際に注意深く両光の偏光状態を揃えても、
光ファイバに偏波保持光ファイバ(PMF: Polarizat
ion maintaining Fiber )を使用し、それに偏光の主軸
に沿った直線偏光を入射しない限り、入射した各々の光
の位相は伝搬するうちに変化する。一般的に光ファイバ
にはPMD、即ち複屈折が存在するため光の偏光状態は
保存されない。また、複屈折は小さく且つ長手方向にわ
たって非一様に分布しているため偏光を保持するような
主軸は存在しない。主偏光状態(Principal State of P
olarization )のように一般化された固有偏光状態を選
んだとしても、複屈折の大きさ自体が小さくて温度的に
不安定であるため安定した動作は保証できない。光の位
相が変化するということは一般には、伝搬時や出射時の
偏光状態が入射時と異なることを意味する。信号光とポ
ンプ光の間の波長差をΔλとすると、長さLの光ファイ
バを伝搬するうちに生じる位相差(偏光状態の差を示す
指標)Δφは出射時には次のようになる。
ち等価屈折率、λp はポンプ光の波長である。
φは波長差Δλと光ファイバ長Lに比例して大きくな
る。従って波長差Δλを広くしようとすればするほど偏
光の変化の影響を受け易くなり、伝搬中の光の位相変化
を回避することは困難である。この問題を解決するため
にPMFの高非線形光ファイバを用いたり、光ファイバ
長Lを極端に短くして前記式(3)のLの寄与を小さく
することでポンプ光と信号光の間の位相差を小さくする
ことが試みられているのが実情である。
密に一致させることができないことである。変換帯域が
無限になるのはあくまでもポンプ光の波長を光ファイバ
の零分散波長に完全一致させた場合であり、僅かでもず
れた場合は無限大の変換帯域は実現されない。しかし、
ポンプ光の波長を光ファイバの零分散波長に完全一致さ
せることは殆ど不可能である。
る伝搬定数の4次微分の効果(分散の高次の効果)があ
る。一般的にDFWMを有効に引き起こす際には光の周
波数と伝搬定数βの両方において下記の位相整合条件が
満たされる必要がある。 ここでωは角周波数を表し、周波数fとはω=2πfの
関係がある。
場合は周波数の位相整合と伝搬定数の位相整合の両立を
考える必要がある。この場合、周波数の位相整合は容易
に成り立つため伝搬定数の位相整合を合わせるために努
力が払われる。DFWMによる広帯域波長変換を考える
際には、ポンプ光周波数のまわりでテーラー展開をする
ことで、伝搬定数βの位相不整合Δβを以下のように表
現する。
る。
伝搬定数βの偶数次の微分項からなり、通常は伝搬定数
βの2回微分の項が支配的になる。この項はポンプ光の
波長における波長分散を表す。このため、ポンプ光の波
長とファイバの零分散波長を一致させる事でDFWMを
効率よく発生できる。またポンプ光と信号光の偏光が一
致すれば波長変換の帯域は理論的に無限に広くなる。し
かし、前記3の要因として記載したように、実際にはポ
ンプ光の波長を光ファイバの零分散波長に完全に一致さ
せることは不可能であり、ポンプ光波長が僅かに零分散
波長からずれただけで帯域は制限される。このときは前
記式(4)におけるm=2、即ち4次の微分の効果が帯
域の劣化に寄与することも考えられる。
て考えられるのは、コヒーレント長の概念である。即
ち、信号光とポンプ光の間のコヒーレンスが失われるこ
とによる帯域の劣化である。一般に光ファイバ中で有効
なDFWMを引き起こすためには次式(8)で定義され
るコヒーレント長よりも光ファイバ長Lを短くする必要
がある。
な2次の項のみを取り出した関係式より、次式(9)の
関係が得られ、この関係式により波長変換の帯域は制限
される。
限される。図1に高非線形分散シフト光ファイバを用い
て実際に波長変換の実験を行った結果と、同光ファイバ
のパラメータを用いて数値計算を行った結果をグラフで
示す。実験結果を図1に●点線(a)で示し、数値計算
の結果(理論値)を図1に実線(b)で示した。図1の
縦軸は変換効率を示し、横軸は波長変換光の波長(λ
c )とポンプ光の波長(λp )との差(λc −λp )を
示す。実験ではポンプ光波長を光ファイバの零分散波長
に合わせた。最大変換効率は−14.8dBあり、3dB帯
域は22.7nmである。数値計算は直線偏光だけを考え
て、非線形分極をスカラー量と見なすことで得られるD
FWMの基礎方程式を数値的に積分する事で行った。こ
の様にスカラー方程式は信号光とポンプ光の間の偏光状
態の食い違いが理論の中に含まれていない。この事は二
つの光の偏光状態が常に一致している事を意味する。こ
の場合、スカラー方程式の解はポンプ光を零分散波長に
立てた際には、変換効率は平坦でかつ無限の帯域を有す
るはずであり、図1のグラフの実線(b)は横軸に平行
となっている。しかし、図1のグラフ(a)から明らか
な様に実際の実験結果はそのようにはならない。即ち、
変換効率の波長帯域は有限幅に収まり、帯域を増すに連
れて変換効率は劣化している。これは、前記5つの帯域
劣化の要因のいずれか1つ若しくは複数の組み合わせに
起因すると考えられる。
を解決し、変換波長帯域を広げると共に広帯域にわたっ
て平坦化するために、光パラメトリック増幅に着目し
た。DFWMによる光パラメトリック増幅を行った際の
変換効率の計算結果を図2に示す。図2の縦軸は変換効
率を示し、横軸は波長変換光の波長(λc )とポンプ光
の波長(λp )との差(λc −λp )を示す。図2は典
型的な例であり、この図より変換効率の波長依存性に次
の性質が見られる。ポンプ光と信号光の波長間隔が広
がるに連れて対応するアイドラ光の変換効率は次第に大
きくなっていく。一度、ポンプ光と信号光の波長間隔
がある値をとるところで変換効率が最大になると、それ
以後は波長間隔を拡げても急速に変換効率は小さくなっ
ていく。変換効率が最大になる帯域までは帯域が増加
するに連れて変換光の利得がなだらかに増加する。この
の特性は図1(a)に示した実験結果(高非線形分散
シフト光ファイバを用いた波長変換の実験結果)とは逆
の特性を示している。本件発明者らは光ファイバ型波長
変換装置において、前記5つの要因によって生ずる波長
変換帯域の制限(劣化)を、光パラメトリック増幅の前
記の特性で補正することにより、広帯域にわたって平
坦に変換可能ではないかと予想した。
確認した。その実験結果を図3に示す。図3の縦軸は変
換効率を示し、横軸は波長変換光の波長(λc )とポン
プ光の波長(λp )との差(λc −λp )を示す。図3
にグラフで示す実験結果は、図1に示した実験で用いた
のとは異なる光ファイバを用い、ポンプ光強度を一定に
し、ポンプ光波長を変えて波長変換を行った場合の結果
である。図3の○点線(a)はポンプ光波長を光ファイ
バの零分散波長に一致させて測定した変換効率を示し、
●点線(b)はポンプ光波長を最も変換効率が平坦にな
るように異常分散側に少しづつずらしながら測定した変
換効率を示す。図3のグラフから、予想通り、前記5つ
の要因により生ずる波長変換帯域の制限(劣化)が、光
パラメトリック増幅により補正されていることが確認さ
れた。この実験ではポンプ光波長を図3に示す以上に異
常分散側にシフトさせると、光パラメトリック増幅の効
果が強くなり波長平坦性は失われることが確認された。
ラメトリック増幅によりポンプ光を光ファイバの異常分
散領域に設置することで、光パラメトリック増幅時の変
換効率の特性とこれまでに述べた帯域制限の特性とを相
殺させることができ、しかも従来のポンプ光の波長を零
分散波長に一致させてDFWMを引き起こす波長変換装
置よりも広い変換帯域を持った光ファイバ型波長変換装
置(本件発明)を開発するに至った。
を用いた実験結果を示す。図4の縦軸は変換効率を示
し、横軸は波長変換光の波長(λc )とポンプ光の波長
(λp)との差(λc −λp )を示す。実験に用いた高
非線形光ファイバの零分散波長は1564.2nmである。ま
た、ポンプ光の平均強度は24.1dBm(257 mW)であ
る。ポンプ光は誘導ブリユアン散乱の影響を回避するた
めに、位相変調及び強度変調を行っている。図4におい
て○点で示した結果はポンプ光波長と光ファイバの零分
散波長を一致させた場合の結果である。この場合は既に
述べた原因により帯域を広げていくに連れて、即ちλc
―λp の値が大きくなるに連れて変換効率が下がってい
く。図4において×点で示されるのはλc ―λp =30n
mにおいて最も変換効率が大きくなるようにポンプ光波
長を異常分散領域に設定した結果である。この際のポン
プ光波長は1565.2nmであった。明らかに×点で示され
た場合の方が○点で示される場合よりもλc ―λp の値
が大きい領域で大きな変換効率を得られる。しかし、変
換効率の波長依存性は同程度に大きい。これはパラメト
リック増幅の効果が出過ぎたためである。そこで、波長
平坦性を考慮するためにλc ―λp =40nmにおいて最
も変換効率が大きくなるようにポンプ光波長を選択し
た。この際のポンプ光波長は1564.9nmであった。この
ポンプ光波長の下で行った実験結果を図4のグラフに●
点で示す。明らかに○点や×点で示される実験結果に比
べて広帯域で平坦性の良い結果が得られた。以上の実験
結果から、ほどよくパラメトリック増幅を引き起こすこ
とによって帯域を平坦化できることが確認できる。ま
た、図4に示す点線a及び実線bは前記夫々の実験結果
を3次の多項式でフィッティングしたものであり、この
フィッティング曲線から判断するに30nmの帯域で0.5
dBの変化しかない。
トリック増幅を引き起こすためには異常分散領域にポン
プ光を立て、且つポンプ光強度を所定のしきい値以上に
する必要があり、この場合に高効率の波長変換が実現さ
れる。特に信号光波長とポンプ光波長の間に所定の位相
整合条件が満たされている場合は変換効率が最大にな
る。通常のDFWMでの位相整合条件は、
次式(11)に置き換わる。
fは信号光の周波数とポンプ光の周波数との差である。
γは非線形係数(nonlinear coefficient) である。ま
た、DFWMでの変換効率GC は次式(12)のように
なる。
3)のようになる。
変換効率は指数関数的に増加する。このためパラメトリ
ック利得を得るには、次式(14)でなくてはならな
い。
こすためには、ポンプ光波長における波長分散が異常分
散領域にあることと、ポンプ光強度が次式(15)でな
ければならないことを意味している。
値と呼ばれる。式(13)より式(11)の位相整合条
件を満たす場合に変換効率Gcが最大になる事が分か
る。
こすためには、異常分散領域にポンプ光を立て、式(1
3)を満足する強度のポンプ光強度にする必要がある。
この場合に高効率の波長変換が実現される。特に、信号
光波長とポンプ光波長の間に式(11)の実効的な位相
整合条件が満たされている場合に波長変換効率が最大に
なる。これら理論に基づいて、パラメトリック増幅が前
記の帯域劣化を補償できることを以下に説明する。
光波長を、零分散波長から長波長側(異常分散側) に少
しずつずらしながら、波長変換による変換効率の計算を
行った結果を図5に示す。図5の縦軸は変換効率を示
し、横軸は波長変換光の波長(λc )とポンプ光の波長
(λp )との差(λc −λp )を示す。また、この計算
においては光ファイバの零分散波長を1559.3nmとし、
分散スロープを0.07ps/nm2/km としたため、零分散領域
よりも長波長側が異常分散領域になる。ポンプ光強度P
P は27dBに固定した。図5のグラフより変換効率の波
長依存性は次のようになっている。異常分散領域で光フ
ァイバの零分散波長よりも長波長側にポンプ光を立てた
場合は、λc −λp =0近傍における変換効率の波長依
存性は、λp の値を長波長側にずらすほど傾きが大きく
なる。また、このλc −λp =0近傍の傾きは常にλc
の値が大きくなるに連れて増加した後に減少する。図5
で右肩上がりになる。この右肩上がりの分が図1に示し
たPMD(光ファイバの有する偏波モード分散)の影響
や、ポンプ光波長を正常分散側に設定したために生じる
右肩下がりの部分と互いに相殺し合うようにすれば、広
い帯域にわたって波長平坦性を備えた光ファイバ型波長
変換装置を実現することが可能になる。
プ光強度の役割を考える。前記の式(12)と式(1
3)に示される様に、図5に示した変換効率の利得はポ
ンプ光パワーにも依存する。この事を確認するために図
5に示す計算で用いた光ファイバのパラメータをそのま
ま使い、ポンプ光波長を1565.0nmに固定してポンプ光
強度を変えながら計算を行った。その結果を図6に示
す。図6の縦軸は変換効率を示し、横軸は波長変換光の
波長(λc )とポンプ光の波長(λp )との差を示す。
さい場合、例えばポンプ光強度が17dBmの場合と20d
Bmの場合の様に、変換効率の波長依存性はポンプ光強
度とともに相似形で上にシフトする。しかし、ポンプ光
強度が十分大きくなるとパラメトリック増幅が起きて、
図5の右肩上がりの特性になる。従って、例えば光ファ
イバが先に与えられた場合、変換効率の大きさに依らず
に波長平坦性だけを追求したければ、この様にポンプ光
強度を変えることで最適な設定を決定することができ
る。ただし、この際もポンプ光の波長は光ファイバの異
常分散領域になくてはならない。尚、縮退四光波混合が
ポンプ光を中心にして、信号光とアイドラ光の対称性を
有するのでλc <λp では図6のグラフは左肩上がりに
なる。これら原理に基づく本件出願の請求項1から請求
項7記載の発明は次の通りである。
換装置は、ポンプ光波長を波長変換用光ファイバの異常
分散領域に設定し、且つポンプ光強度を所定のしきい値
以上にして、縮退四光波混合(DFWM)により広帯域
で変換効率を平坦化できる波長変換を可能なものであ
る。
換装置は、請求項1記載の光ファイバ型広帯域波長変換
装置において、ポンプ光源が、波長変換用光ファイバの
異常分散領域において広帯域で変換効率の平坦化が可能
な波長と強度のポンプ光を発振できるものとしたもので
ある。
換装置は、請求項1又は請求項2記載の光ファイバ型広
帯域波長変換装置において、中心波長λs の信号光に対
して波長λp にポンプ光波長を設定してDFWMを引き
起こすことにより、信号光が次式(1)で示される波長
に波長変換され、 変換前の信号の光波長λs と変換後の波長λc を予め定
めることにより、ポンプ光の波長が次式(2)で示され
る波長に設定され、 そのポンプ光波長を、波長変換用光ファイバの異常分散
領域において広帯域で平坦化可能な波長としたものであ
る。
換装置は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの光フ
ァイバ型広帯域波長変換装置において、ポンプ光強度を
一定にして、ボンプ光波長を波長変換用光ファイバの零
分散波長から異常分散領域に少しづつずらし、ずらす度
に信号光波長の値をポンプ光波長からずらして波長変換
の帯域を調べ、この繰り返しにより、波長変換用光ファ
イバの異常分散領域において最も広帯域で平坦化可能な
波長を決定し、この波長をポンプ光波長としたものであ
る。
換装置は、請求項1乃至請求項4記載のいずれかの光フ
ァイバ型広帯域波長変換装置において、ポンプ光強度を
一定にして、ポンプ光波長を波長変換用光ファイバの零
分散波長から異常分散領域に少しづつずらし、信号光波
長を所望とする変換帯域と同じだけポンプ光波長からず
らして、ポンプ光波長と信号光波長の間隔を一定にして
から、ポンプ光波長を零分散波長から少しづつ異常分散
領域にずらしながらDFWMにより波長変換された光の
強度を測定し、その測定値が最大になった地点の波長を
ポンプ光波長としたものである。
換装置は、請求項1乃至請求項5記載のいずれかの光フ
ァイバ型広帯域波長変換装置において、DFWMの媒質
である波長変換用光ファイバの長さが200mよりも短
くしたものである。
請求項1乃至請求項6記載のいずれかの光ファイバ型広
帯域波長変換装置において、ポンプ光波長が波長変換用
光ファイバの異常分散領域に設定され、且つポンプ光強
度が所定のしきい値以上に設定されたときに、縮退四光
波混合(DFWM)により広帯域で平坦化できる波長変
換可能としたものである。
換装置は、図7に示す様に入射された信号光と、ポンプ
光源1から出力されるポンプ光とが光カプラ2により合
波されて、波長変換用光ファイバ3に送り込まれ、その
光ファイバ3内でDFWMを引き起こして波長変換光を
生成する。波長変換用光ファイバ3の出射端にある光フ
ィルタ4は変換光のみを取り出し、出射端から波長変換
された光が出るようにしてある。
光の強度を27dBm(500 mW)とし、システム設計
上、信号光と波長変換光に関して帯域が1530nmから15
60nmであるC-band と呼ばれる帯域のWDM信号光を
一括して波長帯域1570nmから1561mの範囲のWDM信
号に変換することを考える。この制限により前記式
(2)または式(4)よりポンプ光波長は1565nmにあ
る事が要求される。本発明記載の光パラメトリック増幅
を用いた波長変換を考える。ポンプ光強度が27dBmで
あるとき、波長変換用光ファイバ3の零分散波長よりも
2nm長波長側にポンプ光を立てた場合にポンプ光が異
常分散領域にあり、しかもパラメトリック増幅の特性が
同光ファイバ3の帯域劣化の原因と上手く相殺し合って
帯域を拡大することが実験的または理論的に分かってい
るものとする。この特性はその他の光ファイバのパラメ
ータである分散スロープ、非線形屈折率、有効コア断面
積、ファイバ長にも依存する。このとき、上記の波長変
換の要望に合わせて帯域を拡大することを実験的または
理論的に調べた波長変換用光ファイバ3と同じ分散スロ
ープ、非線形屈折率、有効コア断面積を有して零分散波
長が1563nmにある波長変換用光ファイバを設計・製造
し、製造された波長変換用光ファイバに対して同じく27
dBmの強度で波長1565nmのポンプ光を用いること
で、所望の広帯域一括波長変換が実現される。
ンプ光強度が27dBmのときに、零分散波長よりも2n
m離れた波長1565nmにポンプ光を設定すれば、ポンプ
光波長は波長変換用光ファイバ3の異常分散領域にあ
り、しかもパラメトリック増幅の特性が同光ファイバ3
の帯域劣化の原因と上手く相殺し合って帯域を拡大する
ことが実験的または理論的に分かっているものとする。
このとき、上記の波長変換用光ファイバ3の特性に合わ
せて波長1565nmで発振してピークパワーが2dBmの
ポンプ光源1を設計・製造することにより、広帯域一括
波長変換を実現できる。
光強度が27dBmのときに、零分散波長よりも4nm離
れた波長1567nmにポンプ光を設定すれば、ポンプ光波
長は波長変換用光ファイバ3の異常分散領域にあり、し
かもパラメトリック増幅の特性がァイバの帯域劣化の原
因と上手く相殺し合って帯域を拡大することが実験的ま
たは理論的に分かっているものとする。このとき、上記
光ファイバ3の特性に合わせて波長1567nmで発振して
ピークパワーが27dBmの光源を設計・製造してポンプ
光源1とすることで、広帯域一括波長変換を実現でき
る。しかし、波長1565nmで発振するポンプ光源しか用
意できなかったとする。すでに図6の説明で述べたが、
ポンプ光が異常分散領域にさえあれば、ポンプ光強度を
調整することにより波長平坦性を実現可能な強度に最適
化することができる。変換効率の絶対値は波長1567nm
で発振して、ピークパワーが27dBmのポンプ光源を用
いた場合とは異なるが、波長1565nmのポンプ光源でも
広い帯域で波長依存性のない広帯域波長変換装置の作成
が可能である。この様にしてポンプ光源の強度調整で広
帯域一括波長変換を実現することができる。
用光ファイバが与えられたときに、広帯域波長変換を実
現するためのポンプ光波長の決定方法の実施例を示す。
ポンプ光を一定の強度にして、ポンプ光波長を光ファイ
バの零分散波長から異常分散側に変化させていく。この
とき、ポンプ光波長の設定を変える度に図3に示すよう
に波長変換の帯域特性を測定していく。このようにして
最も所望の帯域特性に相応しいポンプ光波長を決定す
る。
用光ファイバが与えられたときに、広帯域波長変換を実
現するためのポンプ光波長の決定方法の他の実施例を示
す。信号光波長の値を所望する変換帯域と同じだけポン
プ光からずらして、その間隔を常に一定にするように注
意を払いながらポンプ光波長を少しずつ変えていき、変
換効率の測定を行う。変換効率が最大になるところがポ
ンプ光波長の最適値である。この実施形態を図8に示
す。帯域40nmの波長変換を行う際に、信号光λs1とポ
ンプ光λP1を波長間隔Δλ=40nmだけ離して、間隔を
一定に保ったままでポンプ光の位置を少しずつ変えてい
く。このとき発生するアイドラ光の強度から変換効率を
求める。前記実施形態で示したように、ポンプ光が光フ
ァイバの異常分散領域にある場合はパラメトリック増幅
を引き起こすので、ポンプ光強度とポンプ光波長に依存
して変換効率の特性が変化する。この様に、変換効率を
支配するパラメータが二つあると最適な条件を決定する
事が困難になる。このため、ポンプ光強度を一定に保っ
たままで上記操作を行い、ポンプ光波長だけを変えるこ
とで最適化を行なうことができる。
ク増幅が生じた場合は、前記5つの要因による帯域劣化
を無視することができる。その場合は信号光とポンプ光
の間隔が広がるに連れて変換効率は徐々に増加してい
き、信号光とポンプ光の間隔がある値になった時に最大
値となる。最大値となる帯域を越えて更に帯域を拡げる
と急速に変換効率は劣化する。この様になると前記〜
の5つの要因のうち〜の4つの要因による帯域劣
化を補正できなくなる。従って、必要な帯域で変換効率
の平坦化を行うときは、その帯域間隔で信号光とポンプ
光の間隔を固定して、最も変換効率が大きくなるポンプ
光波長を探すことで、一括広帯域波長変換に対するポン
プ光波長の位置を決定することができる。この方法を用
い、信号光とポンプ光を波長間隔Δλ=20nm、ポン
プ光強度20dBmとして実際に実験を行って得られた
結果を図9に示す。図9の縦軸は変換効率を示し、横軸
はポンプ光の波長を示す。
は、前記5つの要因による帯域劣化により帯域が制限さ
れる。特に長尺の波長変換用光ファイバを用いた場合は
前記〜の5つの要因による劣化の改善効果が非常に
大きい。更に、長尺の波長変換用光ファイバでは誘導ブ
リユアン散乱(SBS: Stimulated Brillouin Scatte
ring)の影響が避けられないため、光パラメトリック増
幅を発生させるのに十分なポンプ光強度を光ファイバ内
に入力させることはできない。図10に図3の実験に用
いた光ファイバと同じ母材から作成された長さ24.5Km
の光ファイバにおけるSBSしきい値の測定結果を示
す。図10の縦軸は測定光強度(dBm)を示し、横軸
は入射光強度(dBm)を示す。SBSしきい値は7.6
dBmであり、図10の透過光の結果から9dBm近傍
ですでに入射光強度は制限されている。これでは光パラ
メトリック増幅に必要な光パワーを光ファイバに入射す
ることは不可能である。
評価結果の計算例を示す。計算においては以下に示すよ
うに図10の実験を行った光ファイバのパラメータを用
いた。即ち、零分散波長1564.0nm、分散スロープ0.03
ps/nm2/km 、損失0.61dB/Km、非線形係数15.17 W
-1Km-1である。ポンプ光波長を1566,3nmの異常分散
領域に設置し、てポンプ光強度を27.1dBmにした場
合、位相整合条件は前記式(11)になるので、コヒー
レント長(Lcoh )もそれに対応して前記式(8)から
次式(16)の様になる。 図11はこの結果を示したものである。図11の横軸は
コヒーレント長を示し、横軸は信号光の波長(λs )と
ポンプ光の波長(λp )との差(λs −λp )を示す。
くては有効なDFWMは生じないことが知られている。
経験的にはファイバ長が200 m以上であれば、30nm以
上離れた信号光とポンプ光の波長間隔では有効なDFW
Mは生じない。C-band の帯域が30nmであるため、パ
ラメトリック増幅を利用した30nm以上の広帯域波長変
換を実現するためにはファイバ長は200 m以下でなくて
はならない。長さが短くなればSBSのしきい値も大き
くなるのでその影響も回避できる。そのため長さ200 n
m以下の短尺光ファイバを用いて波長変換を実現するの
が望ましい。同様の議論から帯域が40nmの場合には約
100 m以下の光ファイバを用いればよく、更に大きな帯
域の場合も上記議論が適用できる。
しては、前記光ファイバ型広帯域波長変換装置におい
て、ポンプ光波長が波長変換用光ファイバの異常分散領
域に設定され、且つポンプ光強度が所定のしきい値以上
に設定されたときに、縮退四光波混合(DFWM)によ
り広帯域で平坦化できる波長変換可能なものを使用す
る。
置及び波長変換用光ファイバは、ポンプ光波長を零分散
波長よりも長波長側にシフトすることにより、PMDに
よる変換効率の劣化をパラメトリック増幅で相殺するよ
うにして、ポンプ光と波長変換光の間隔が広がっても変
換効率が劣化せず、波長平坦性が十分な広帯域波長変換
装置を作成することができる。この様な光波長変換装置
では波長変換を利用した全光操作によるスイッチングに
おいて、光信号の変換先の波長範囲を拡大できることに
なり、将来の波長多重伝送ネットワークに有用なものに
なる。
変換数値計算結果を示す図。
トリック増幅の効果とを相殺されば広帯域で十分に平坦
化された波長変換が可能であることを確認するために行
った実験結果を示す図。
光の波長を零分散波長から少しずつずらしながら計算を
行った結果を示す図。
り、ポンプ光の強度を20dBmから少しずつずらしな
がら計算を行った結果を示す図。
を示す構成図。
図。
プ光波長を決定するために行った実験結果を示す図。
BSしきい値測定結果を示す図。
ヒーレント長の関係についての計算結果を示す図。
Claims (7)
- 【請求項1】ポンプ光波長を波長変換用光ファイバの異
常分散領域に設定し、且つポンプ光強度を所定のしきい
値以上にして、縮退四光波混合(DFWM)により広帯
域で平坦化できる波長変換を可能としたことを特徴とす
る光ファイバ型広帯域波長変換装置。 - 【請求項2】請求項1記載の光ファイバ型広帯域波長変
換装置において、ポンプ光源が、波長変換用光ファイバ
の異常分散領域において広帯域で変換効率の平坦化可能
な波長と強度のポンプ光を発振できるものであることを
特徴とする光ファイバ型広帯域波長変換装置。 - 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の光ファイバ型
広帯域波長変換装置において、中心波長λs の信号光に
対して波長λp にポンプ光波長を設定してDFWMを引
き起こすことにより、信号光が次式(1)で示される波
長に波長変換され、 変換前の信号の光波長λs と変換後の波長λc を予め定
めることにより、ポンプ光の波長が次式(2)で示され
る波長に設定され、 そのポンプ光波長を、波長変換用光ファイバの異常分散
領域において広帯域で平坦化可能な波長としたことを特
徴とする光ファイバ型広帯域波長変換装置。 - 【請求項4】請求項1乃至請求項3記載のいずれかの光
ファイバ型広帯域波長変換装置において、ポンプ光強度
を一定にして、ボンプ光波長を波長変換用光ファイバの
零分散波長から異常分散領域に少しづつずらし、ずらす
度に信号光波長の値をポンプ光波長からずらして波長変
換の帯域を調べ、この繰り返しにより、波長変換用光フ
ァイバの異常分散領域において最も広帯域で平坦化可能
な波長を決定し、この波長をポンプ光波長としたことを
特徴とする光ファイバ型広帯域波長変換装置。 - 【請求項5】請求項1乃至請求項4記載のいずれかの光
ファイバ型広帯域波長変換装置において、ポンプ光強度
を一定にして、ポンプ光波長を波長変換用光ファイバの
零分散波長から異常分散領域に少しづつずらし、信号光
波長を所望とする変換帯域と同じだけポンプ光波長から
ずらして、ポンプ光波長と信号光波長の間隔を一定にし
てから、ポンプ光波長を零分散波長から少しづつ異常分
散領域にずらしながらDFWMにより波長変換された光
の強度を測定し、その測定値が最大になった地点の波長
をポンプ光波長としたことを特徴とする光ファイバ型広
帯域波長変換装置。 - 【請求項6】請求項1乃至請求項5記載のいずれかの光
ファイバ型広帯域波長変換装置において、DFWMの媒
質である波長変換用光ファイバの長さが200mよりも
短いことを特徴とする光ファイバ型広帯域波長変換装
置。 - 【請求項7】請求項1乃至請求項6記載のいずれかの光
ファイバ型広帯域波長変換装置において、ポンプ光波長
が波長変換用光ファイバの異常分散領域に設定され、且
つポンプ光強度が所定のしきい値以上に設定されたとき
に、縮退四光波混合(DFWM)により広帯域で平坦化
できる波長変換が可能であることを特徴とする波長変換
用光ファイバ。
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