JP2001069784A - 同期モータ制御装置および制御方法 - Google Patents

同期モータ制御装置および制御方法

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JP2001069784A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータが通電しないで回転している状態にあ
る同期モータの電気角をセンサレスで検出するととも
に、速やかに通電可能な状態にする。 【解決手段】 三相同期モータのU,V,W相を短絡さ
せた際に、ロータの回転中に生じる誘導起電圧によって
各相に流れる電流を検出し、該電流値と電気角との関係
を参照して電気角を算出する。電気角の検出に足る電流
を検出した後、インバータをスイッチングして短絡電流
を抑制する向きに逆電圧を印加する。こうすることによ
り、ロータが回転している状態からモータを速やかに起
動することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同期モータについ
て、センサレスでロータの電気角を検出し、その運転を
制御するモータ制御装置に関し、詳しくは該モータのロ
ータが外力により強制的に回転させられている場合など
通電しないで回転している状況下でモータの運転を開始
する際の制御を行う制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交流モータの一種として、多相交流を巻
線に流し、該巻線による磁界と永久磁石による磁界との
相互作用によりロータを回転させる同期モータがある。
同期モータは、ロータの電気的な位置(以下、電気角と
呼ぶ)に応じて巻線に流す多相交流を制御することによ
り、運転される。従来は、電気角をホール素子等のセン
サにより検出して制御する方法が一般的であった。これ
に対し、センサの検出精度および故障に対する信頼性の
向上を図るため、センサレスで電気角を検出する方法が
提案されている。かかる方法には、例えば、特開平11
−18483号記載の技術などがある。この技術によれ
ば、同期モータのコイルに電気角検出用の電圧を印加
し、それに応じてコイルに流れる電流に基づいて電気角
を検出することができる。
【0003】一方、例えば同期モータを車両などに適用
した場合には、モータを運転していない場合でも、車両
の走行に伴ってロータが回転させられる場合がある。セ
ンサレスでモータの運転を制御するためには、検出用電
圧を印加する必要が生じるが、ロータの電気角が全く特
定されていない状態で検出用電圧を印加すると、電気角
によってはトルクショックを生じたり、異音を生じたり
する場合がある。また、電気角検出にも時間を要するな
ど、弊害が大きい。
【0004】かかる弊害を回避するため、ロータが外力
により回転している状況下でセンサレスで電気角を検出
する技術として、例えば、特開平11−75394号記
載の技術が提案されている。これは、ロータの回転にコ
イルに生じる逆起電圧を利用して電気角を検出するもの
であり、コイルの各相を短絡させた際に逆起電圧に応じ
て流れる電流に基づいて電気角を検出する技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この技術によ
り電気角を検出した場合、検出時のトルク変動や異音な
どの弊害が十分に解消し得ないという課題があった。こ
れらの弊害は、短絡時にコイルに流れる短絡電流が原因
であった。図10は三相同期モータについて、モータ電
圧および電流の時間的変化を示すグラフである。ここで
はU相の電圧および電流変化のみを示した。モータが回
転している間は、図示する通り誘導起電圧が正弦波状に
変化する。SVで示した区間で各相を短絡させると、そ
れに応じて領域SAに示す通り短絡電流が流れる。区間
SVで短絡を中止しても、領域SAに示すとおり、短絡
電流の減衰には相当の時間を要する。この電流が、トル
ク変動や異音などの弊害を招いていたのである。
【0006】また、短絡電流が十分に減衰するまでは、
モータの運転を開始することができないから、従来技術
は、モータの起動時における制御の応答性が低いという
課題、起動を開始するまでの待ち時間中に検出された電
気角と現実の電気角との間に誤差が生じ、運転制御の制
度が低下するという課題などもあった。
【0007】本発明はこれらの課題を解決するためにな
され、ロータが通電しないで回転している状況下でのモ
ータの起動時の弊害を回避し、高い応答性で精度良くモ
ータを制御する技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
以下の構成を採った。本発明のモータ制御装置は、ロー
タが通電せずに回転している状況にある同期モータにつ
いて、該ロータの電気的な回転位置を示す電気角を検出
し、電源から該同期モータへの電圧の印加を開始可能な
状態にする同期モータ制御装置であって、前記同期モー
タに備えられたコイルへの通電を制御するスイッチング
素子と、前記コイルのうち、ロータが回転中に誘導起電
力を生じる複数相のコイルの一部を短絡させるように前
記スイッチング素子を制御する短絡手段と、該短絡時に
前記同期モータに備えられているコイルに流れる短絡電
流を検出する電流検出手段と、該電流に基づいて前記ロ
ータの電気角を算出する電気角算出手段と、前記電流検
出直後に、前記電源から、前記短絡電流を抑制する向き
の所定の電圧が印加されるように前記スイッチング素子
を制御する逆電圧印加手段とを備えることを要旨とす
る。スイッチング素子には、トランジスタ、サイリスタ
など応答性に優れる種々の素子を適用することが望まし
い。
【0009】かかるモータ制御装置によれば、コイルに
流れる短絡電流に基づいて電気角を検出するとともに、
逆電圧を印加して短絡電流を抑制することができる。こ
の結果、電気角の検出に必要な大きさ、期間で短絡電流
を流すことができ、電気角検出時のトルク変動、異音な
どの弊害を抑制するとともに、ロータが回転している状
況でモータを起動する際の応答性を向上することができ
る。
【0010】ここで、特開平11−75394に記載の
技術(以下、従来技術と呼ぶ)との比較を踏まえて、本
発明の意義について説明する。従来技術と本発明とで
は、各相を短絡させて電気角を検出する点で共通する
が、主として電気角を検出した後のスイッチング素子の
制御方法において大きく相違する。
【0011】即ち、従来技術には、巻線を短絡させて巻
線電流を検出してから一定期間経過後に、巻線電流がゼ
ロになるようにスイッチングする旨が開示されている。
具体的なスイッチング方法としては、スイッチング素子
を全てターンオフすることのみが示されている。但し、
通常、スイッチング素子には、帰還ダイオードが併設さ
れていることが多く、また、スイッチング素子をターン
オフしたからといって回路が物理的に遮断された訳では
ない。一般にコイルに流れる電流は、インダクタンスに
応じた時定数で徐々に減衰することが知られているか
ら、スイッチング素子をターンオフしたからといって、
電流は瞬時にゼロになる訳ではない。従って、従来技術
では、短絡電流がゼロになるまでに比較的長時間を要
し、この結果、トルク変動、異音、制御の応答性低下な
どの弊害が生じる。かかる弊害は、コイルに流れる電流
が大きい場合、コイルのインダクタンスが大きい場合、
ロータの回転数が高くコイルに大きな逆起電圧が生じる
ような場合に顕著に表れる。
【0012】これに対し、本発明では、各相コイルに積
極的に逆電圧を印加する点で従来技術と相違する。つま
り、単純に各相のスイッチング素子をオフにするのでは
なく、電源から逆電圧が印加され、短絡電流と逆向きの
電流が流れるように積極的にスイッチングするのであ
る。こうすることにより、スイッチングにより流れる電
流と短絡電流とが相殺され、より速やかに電流を減衰さ
せることができる。
【0013】本発明者は、コイルに流れる電流が大きい
場合など、上述の種々の場面において、従来技術では、
電気角検出時にトルク変動、異音といった看過し得ない
弊害が生じることを見出し、主たる原因が短絡電流の減
衰に長時間かかる点にあることを見出した。本発明は、
かかる知見に基づいて案出されたものである。従来技術
は、スイッチング素子をターンオフすることにより弊害
を回避することができる程度の回転状態において電気角
の検出、モータの制御を実現するものであるが、本発明
は、電気角検出技術を実用的に適用できる範囲を、コイ
ルに流れる電流が大きい場合、コイルのインダクタンス
が大きい場合、ロータの回転数が高くコイルに大きな逆
起電圧が生じるような場合にまで拡張した点に大きな意
義がある。また、従来技術が適用可能であった範囲にお
いても、トルク変動などの弊害をさらに抑制し、制御の
応答性を向上することができる点にも意義がある。しか
も、これらの作用を比較的簡単なスイッチングで得るこ
とができる点にも意義がある。
【0014】逆電圧は、種々の態様で印加することがで
きる。例えば、本発明のモータ制御装置を、3相コイル
を備えた同期モータに適用する場合においては、前記短
絡手段は、該3相コイルを短絡させる手段であり、前記
逆電圧印加手段は、前記各相の短絡電流の正負と逆方向
で所定値の電圧を印加する手段であるものとすることが
できる。つまり、逆電圧の印加方向のみを設定し、電圧
値は予め設定された所定値とする方法である。こうすれ
ば、逆電圧の制御を容易に実現することができる。
【0015】本発明において、逆電圧は、一定期間、一
定の電圧値で印加するものとしてもよいが、前記短絡電
流の状態を表すパラメータに応じて、前記逆電圧の印加
期間を調整する手段を備えたり、前記印加電圧の値を設
定する手段を備えるものとすることが望ましい。印加期
間と印加電圧値の双方を調整するものとしてもよいし、
印加期間のみ、又は印加電圧の値のみを調整するものと
してもよい。
【0016】こうすれば、短絡電流をより速やかに減衰
させるように逆電圧を印加することができる。上記パラ
メータとしては、電流値、電流の変化率などを適用で
き、例えば、短絡電流が大きい場合には、逆電圧の値を
大きくしたり、印加期間を長くしたりすることにより、
速やかに減衰させることができる。短絡電流の変化率に
応じて制御する場合には、例えば、短絡電流値が増大し
ている場合に、逆電圧の値を大きくしたり、印加期間を
長くしたりすればよい。また、短絡電流の値に応じて逆
電圧の値、印加期間を制御すれば、ロータの回転に起因
して生じる誘導起電圧の方向変化に追随して逆電圧を制
御しやすいという利点、逆電圧を過剰に印加することに
より短絡電流がオーバーシュートすることを回避しやす
いという利点などがある。なお、短絡電流に応じて逆電
圧の値および印加期間を設定する方法としては、式、テ
ーブルなどを用いて設定する方法が挙げられ、例えば、
比例制御などで設定することができる。逆電圧は、必ず
しもパラメータに対して連続的に変化させる必要はな
く、段階的に変化させるものであっても構わない。
【0017】本発明の制御方法は、ロータが回転してい
る場合に、適用するものとしてもよいが、ロータの回転
数が電気角の検出に足る逆起電圧を生じ得る所定以上の
回転数の場合に、前記短絡手段、電流検出手段、電気角
算出手段、および逆電圧印加手段とを用いた制御を実行
するものとしもよい。ロータの回転数が十分な起電力を
得られない程に低い場合には、例えば、特開平11−1
8483に記載された技術などを適用して電気角を検出
するものとしてもよい。このように起電力に応じて電気
角の検出方法を切り替えることにより、それぞれ精度良
く電気角を検出することができる。
【0018】本発明は、上述のモータ制御装置に限ら
ず、種々の態様で構成することができ、例えば、次に示
すモータの制御方法として構成してもよい。即ち、ロー
タが通電せずに回転している状況にある同期モータにつ
いて、該ロータの電気的な回転位置を示す電気角を検出
し、電源から該同期モータへの電圧の印加を開始可能な
状態にする同期モータの制御方法であって、(a) 前
記同期モータに備えられたコイルへの通電を制御するス
イッチング素子を制御して、前記コイルのうち、ロータ
が回転中に誘導起電力を生じる複数相のコイルの一部を
短絡させる工程と、(b) 該短絡時に前記同期モータ
に備えられているコイルに流れる短絡電流を検出する工
程と、(c) 該電流に基づいて前記ロータの電気角を
算出する工程と、(d) 前記電流検出直後に、前記電
源から、前記短絡電流を抑制する向きの所定の電圧が印
加されるように前記スイッチング素子を制御する工程と
を備える制御方法である。
【0019】かかる制御方法によれば、先にモータ制御
装置で説明したのと同様の作用により、モータ起動時に
おけるトルク変動、異音などを抑制するとともに、応答
性を向上することができる。なお、制御方法として構成
する場合においても、モータ制御装置の場合と同様、種
々の付加的要素を考慮することができるのは、いうまで
もない。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、実
施例を用いて以下の順序で説明する。 A.装置の構成: B.モータ起動制御: C.第1の変形例: D.第2の変形例: E.第3の変形例:
【0021】A.装置の構成:図1は本実施例における
モータ制御装置10の概略構成図である。モータ制御装
置10は、制御対象である同期モータ18に電力を供給
するためのインバータ14、電源16およびインバータ
14のスイッチングを制御する制御ユニット12、該制
御に用いられる情報の一つとしてモータ18の各相に流
れる電流を検出する電流センサ26,27から構成され
る。電流センサが2つしか設けられていないのは、三相
交流の各相電流の和は常にゼロになる特性から、2相の
電流を検出しさえすれば、残余の1相の電流を算出する
ことができるからである。
【0022】インバータ14は、トランジスタインバー
タであり、同期モータ18のU,V,Wの各相につい
て、電源16のプラス極に接続されたソース側トランジ
スタ(Tu+,Tv+,Tw+)とマイナス極に接続さ
れたシンク側トランジスタ(Tu−,Tv−,Tw−)
を一組にして設けられている。各トランジスタには、帰
還ダイオード(Du+,Du−,Dv+,Dv−,Dw
+,Dw−)が併設されている。シンク側トランジスタ
のゲート信号には、ソース側トランジスタのゲート信号
がインバータINU,INV,INWで反転されて供給
されるようになっており、ソース側とシンク側は同時に
オンとならないようになっている。なお、図1では図示
を省略したが、インバータ14には、これらのゲート信
号とは別に全てのトランジスタをオフにするシャットダ
ウン信号が入力可能となっている。
【0023】インバータ14のスイッチングを制御する
制御ユニット12は、CPU20、ROM21、RAM
22、クロック23等を備えるマイクロコンピュータと
して構成されている。制御ユニット12は、出力ポート
25を介してU,V、W相に対応したゲート信号やシャ
ットダウン信号を出力することによりインバータ14の
スイッチングを制御する。これらの制御は、入力ポート
24を介して入力されるモータ電流やモータ18の要求
トルクをすることができる。制御ユニット12は、クロ
ック23により同期をとりながら、ROM21に記憶さ
れた所定の制御プログラムをCPU20が処理すること
により、例えば、U,V,W相を短絡させるようにイン
バータ14をスイッチングする短絡手段として機能した
り、入力された電流に基づいて電気角を検出する電気角
検出手段として機能したり、モータ18の回転中に各相
コイルに生じる誘導起電力を打ち消すための逆電圧を印
加するようにインバータ14をスイッチングする逆電圧
印加手段として機能したりする。
【0024】図2は同期モータ18の断面図である。同
期モータ18は、いわゆる突極型の永久磁石モータであ
り、コイル43を巻回したステータ40と永久磁石を貼
付したロータ30とからなる。ロータ30は、直交する
4箇所に設けられた突極35〜38の中間位置に、永久
磁石31〜34が貼付された構造をなしている。永久磁
石31〜34は、ロータ30の半径方向に磁化されてお
り、その極性は隣り合う磁石同士が互いに異なる磁極と
なっている。例えば、永久磁石31は外周面がN極であ
り、その隣の永久磁石32は外周面がS極となってい
る。ステータ40は、計12個のティース41を備え、
その間に形成されたスロット42には、回転磁界を発生
させるコイル43が巻回されている。
【0025】上述した永久磁石31により形成される磁
束が、回転軸中心を通ってロータ30を径方向に貫く軸
をd軸と呼び、ロータ30の回転面内において前記d軸
に電気的に直交する軸をq軸と呼ぶ。d軸およびq軸は
ロータ30の回転に伴い回転する軸である。本実施例で
は、ロータ30に貼付された永久磁石31、33は外周
面がN極となっており、永久磁石32、34は外周面が
S極となっていることから、d軸と幾何学的に45度方
向にある軸がq軸となる。
【0026】図3は同期モータ18の等価回路を示す説
明図である。図示する通り、同期モータ18はU,V,
Wの三相コイルと、回転軸中心回りに回転する永久磁石
を有する等価回路により表され、d軸はこの等価回路に
おいて永久磁石のN極側を正方向として貫く軸として表
される。また、電気角はU相コイルを貫く軸とd軸との
回転角θとなる。
【0027】ロータ30の電気角と電気的に所定の角度
をなす磁界を生じるようにU,V,W相に流れる電流を
制御して回転磁界を生じさせることによりモータ18は
回転する。このようにモータ18の制御は、電気角に基
づいてなされる。本実施例のモータ制御装置10は、以
下に示す処理を実行することにより、電気角をいわゆる
センサレスで検出し、モータ18の運転を制御する。
【0028】B.モータ起動制御:図4はモータ起動制
御処理ルーチンのフローチャートである。この処理は、
非動作中の同期モータ18のロータ30が外力により強
制的に回転させられている状態から、同期モータ18の
運転を開始するための処理である。例えば、モータ18
が車両に搭載されているような場合であって、モータは
非動作中であるが、車両は別の動力源などにより走行中
である状態からモータの運転を再開する場合などに実行
される処理である。もちろん、いかなる場合にこの処理
が実行されるかは、同期モータ18を搭載した装置の種
類に応じて異なる。外力で強制的に回転させられている
場合でなく、慣性で回転している状態で実行するものと
してもよい。
【0029】先に説明した通り、同期モータ18の運転
を制御するためには、ロータ30の電気角を検出する必
要がある。モータ制御装置10は電気角を検出するセン
サを備えないため、非動作中にロータ30が回転してい
ると、その電気角は未知の状態である。従って、モータ
起動制御処理ルーチンでは、まず、センサレスで電気角
の検出を行い、その後、モータの起動を実行する。
【0030】電気角の検出は、特開平11−75394
記載の技術と同様の方法により行う。即ち、ロータ30
が強制的に回転させられている状況下では、コイル43
に誘導起電力が生じているから、この起電力によって各
相に流れる電流を検出し、その値に基づいて電気角を検
出するのである。
【0031】かかる検出を行うため、制御ユニット12
は、まずインバータ14のソース側トランジスタを全て
オンにしてU,V,Wの3相を短絡させる(ステップS
10)。この結果、各相にはロータ30の回転により生
じた誘導起電力に起因して短絡電流が流れるため、これ
を検出する(ステップS20)。短絡電流の方向および
大きさは、ロータ30の電気角および回転数に応じて変
化する。但し、一般にコイル43に流れる電流は、イン
ダクタンスに応じて変化することが知られており、短絡
した瞬間の電流はゼロである。従って、短絡電流の検出
は、電流センサ26,27の感度、コイル43のインダ
クタンス等を考慮して設定された所定時間待ってから行
う。検出された電流値は、後で電気角の算出に用いられ
る。
【0032】本実施例のモータ起動制御処理ルーチンで
は、特開平11−75394記載の技術と異なり、短絡
電流を検出した後、誘導起電圧とは逆方向の電圧を印加
して短絡電流を速やかに減衰させる。このため、制御ユ
ニット12は、逆電圧指令値および印加期間を設定し
(ステップS30)、その結果に応じてインバータ14
をスイッチングして逆電圧を印加する(ステップS4
0)。
【0033】ここで逆電圧の設定について説明する。図
5は誘導起電圧、電圧指令値、3相電流の様子を示す説
明図である。ロータ30が回転している場合には、誘導
起電圧が生じるが、U,V,W各相の電圧値は時間また
は電気角とともに変化する。ここで、時刻t1におい
て、U,V,W相を短絡させ、所定時間経過した後、時
刻t2において3相電流をそれぞれ検出したものとす
る。図示する通り、時刻t1では、U相にはプラス方
向、V,W相にはマイナス方向の起電圧が生じているた
め、電流もそれぞれ誘導機電圧に応じた方向に流れる。
【0034】かかる状況において、本実施例では、一定
期間tvvだけ一定の電圧値を逆電圧として各相に印加
する。但し、印加する電圧の方向は短絡電流の正負に応
じて設定する。図5に示した例では、U相にプラス方向
の短絡電流が流れているため、マイナス方向の電圧を逆
電圧として印加する。V,W相にはマイナス方向の短絡
電流が流れているため、プラス方向の電圧を逆電圧とし
て印加する。このように、ステップS30では、短絡電
流の正負に応じて各相の電圧値の符号のみを設定し、電
圧値および印加期間は短絡電流の値に関わらず予め定め
た一定値に設定する。このように比較的簡単な処理で、
逆電圧を設定することにより、短絡電流を速やかに減衰
させることができる。
【0035】逆電圧を印加した後、制御ユニット12
は、短絡電流に基づいて以下の手順で電気角を算出する
(ステップS50)。U,V,W相の短絡電流をそれぞ
れiu,iv,iwとする。また、U相にプラスの電流
を流した場合の磁界の方向をα軸、それに電気的に直交
する方向をβ軸と定義し、それぞれの方向の電流をi
α、iβと定義する。α軸、β軸は電気角θが値0の場
合のd軸、q軸に相当する。このとき、iα、iβは、
iu,iv,iwを用いて次式(1)の通り求められ
る。 iα=iu−iv/2+iw/2; iβ=(√3)iv/2−(√3)iw/2 ・・・(1);
【0036】一方、同期モータ18の電圧方程式を、角
速度ωが一定、抵抗はゼロ、電圧および電流の初期値が
ゼロという条件下で解くとd軸電流id、q軸電流iq
が次式(2)の通り求められる。 id= ψ(cosωt−1)/Ld; iq=−ψ(sinωt−1)/Lq ・・・(2); ここで、Ld,Lqは同期モータ18のd軸方向、q軸
方向のインダクタンス、tは短絡後の経過時間、ψは逆
起電力定数である。
【0037】角速度ωは別途センサを設けるものとして
も構わないが、例えば、特開平11−18483に記載
の技術を適用それば、電流iu,iv,iwを用いて比
較的容易に求めることができる。これは、短絡電流の振
幅|I|がωと一義的な関係にあることを利用するもの
である。即ち、次式(3)で振幅|I|を算出し、予め
ωとの対応を記憶したテーブルを参照することによりω
を求めるのである。 |I|=√(iu2+iv2+iw2-iu・iv-iv・iw-iw・iu) ・・・(3);
【0038】図5に示した条件で短絡電流を検出した場
合は、t=t2−t1と上式(3)で得られたωとを代
入すれば、id,iqを算出することができる。また、
上式(1)(2)の算出結果から、電気角θ(rad)
は次式(4)の通り求められる。 θ=tan-1(iβ/iα)−tan-1(iq/id) ・・・(4);
【0039】こうして電気角θを求めると、制御ユニッ
ト12は短絡電流が所定値以下になるまで待って(ステ
ップS60)、モータを起動する(ステップS70)。
即ち、トルク指令値に応じた電圧を検出された電気角に
応じた方向に印加するのである。こうしてモータが起動
されると、モータ起動制御処理ルーチンを終了し、モー
タの運転を制御する通常の処理に移行する。センサレス
で同期モータ18の運転を制御する処理には、公知の種
々の技術を適用可能であり、ここでは詳細な説明を省略
する。
【0040】以上で説明したモータ制御装置10によれ
ば、短絡電流を検出した後、逆電圧を印加することによ
り、速やかに短絡電流を抑制することができる。例え
ば、図5に示す通り、本実施例では、時刻t2以降に
U,V,W相の短絡電流が急速に減少し、時刻t3では
ほぼ値0に減衰する。逆電圧を印加しない場合の電流変
化の様子を図5に破線で示した。この場合、電流はコイ
ルのインダクタンスに応じた時定数で徐々に減衰するた
め、時刻t4で値0になるまでに長時間を要する。逆電
圧を印加する効果を実験例で示す。
【0041】本実施例のモータ制御装置によれば、短絡
電流を急速に減衰させることによって以下に示す利点が
得られる。第1に短絡電流に起因するトルク変動を短期
間に抑制することができ、その間に生じる異音を低減す
ることができる。第2にモータの起動を速やかに行うこ
とができるため、制御の応答性を向上することができ
る。この利点は、同期モータ18をハイブリッド車両な
ど、高い応答性が要求される装置に適用した場合に特に
意義が大きい。
【0042】また、モータの起動が速やかに行えるとい
うことは、電気角を検出してからモータの起動までの期
間が短いことを意味するから、その間に生じる電気角の
推定誤差を抑制でき、起動当初から精度良くモータを制
御することが可能となる。即ち、検出された電気角をθ
0とし、検出から起動を行うまでの経過時間をtsとす
ると、起動時には、「θ=θ0+ω・ts」なる式で電
気角θを推定して電圧を印加することになるが、ωは変
動する可能性があるため、tsが短い程、電気角θの推
定精度が高くなるのである。
【0043】この他、本実施例のモータ制御装置は、従
来から提案されているセンサレスでの制御装置に対し、
新たなハードウェア構成を必要としないため、比較的簡
単に上述の種々の効果を得ることができる利点もある。
【0044】C.第1の変形例:モータ制御装置10に
おいて、逆電圧の印加は、上述した態様に限られない。
実施例では、逆電圧の印加方向のみを各相の短絡電流の
符号に基づいて設定しており、印加する電圧値および印
加期間は一定値とした。これに対し、短絡電流の値に応
じて、各相に印加する期間および電圧値を変化させるも
のとしてもよい。かかる場合の制御処理を、第1の変形
例として説明する。
【0045】図6は第1の変形例における誘導起電圧、
電圧指令値、3相電流の様子を示す説明図である。実施
例(図5参照)の場合と同様、時刻t1において各相を
短絡させ、時刻t2において短絡電流を検出したものと
する。第1の変形例では、検出された短絡電流に応じて
各相に印加する電圧値、印加期間を設定する。図6に示
した状態では、U相電流は絶対値が大きいため、逆電圧
の値vu、および印加期間tuも大きい。V相電流、W
相電流は絶対値が小さいため、逆電圧の値vv,vwお
よび印加期間tv,twもこの順番に小さくなる。逆電
圧の方向は実施例と同じである。
【0046】短絡電流の絶対値に応じた電圧値および印
加期間tuの設定は、種々の方法により行うことがで
き、例えば、次式で設定することができる。 tu=iu・tmax/imax ここで、imaxは想定される最大の電流値、tmax
はそのときの逆電圧の印加期間である。上式は短絡電流
の値に比例して印加期間を変更する式となっている。t
maxはimaxを減衰させるのに適した印加期間を予
め実験等で設定することができる。他の相についても同
じ式を適用することができる。また、電圧値についても
同様の考え方で設定することができる。
【0047】ここでは、短絡電流の値に比例する場合を
例示したが、非線形に変化させたり、段階的に変化させ
るものとしてもよい。短絡電流の値に応じて電圧値、印
加期間を与えるテーブルを用意することもできる。ま
た、上式のように短絡電流の値に応じてimax、tm
axを修正する考え方ではなく、純粋に短絡電流の関数
で電圧値、印加期間を与えるものとしてもよい。
【0048】このように短絡電流の値に応じた電圧値・
印加期間で逆電圧を印加すれば、短絡電流をさらに速や
かに減衰させることができる。即ち、図6に例示するよ
うに、減衰時に短絡電流がオーバーシュートし、値0付
近で振動することを抑制することができる。この結果、
電流が値0となる時刻t3’までの経過時間をさらに短
縮することができる。
【0049】なお、ここでは時刻t2で設定された電圧
値および印加期間で逆電圧を印加する場合を例示した。
逆電圧の印加を開始した後も、短絡電流の値に応じて電
圧値および印加期間を徐々に変更していくものとしても
よい。但し、一旦設定した電圧値、印加期間で逆電圧を
印加すれば、処理負担が軽く済むという利点がある。ま
た、ここでは短絡電流に応じて電圧値、印加期間の双方
を変化させる場合を例示したが、いずれか一方のみを変
化させるものとしてもよい。
【0050】D.第2の変形例:実施例では、モータの
回転速度に関わらず、単一の検出方法で電気角を検出し
ていたが、モータの回転速度に応じて電気角の検出方法
を使い分けるものとしてもよい。かかる場合の制御処理
を第2の変形例として説明する。
【0051】図7は第2の変形例におけるモータ起動制
御処理ルーチンのフローチャートである。この処理で
は、制御ユニット12は、まず、モータの回転数Nを検
出する(ステップS2)。次に、回転数Nと所定の基準
回転数Nhとの大小を比較し(ステップS4)、回転数
N>Nhのときは高速時処理(ステップS6)、その他
の場合は低速時処理(ステップS8)を行う。高速時処
理は、実施例で説明したモータ起動制御処理そのもので
ある。低速時処理は、低速回転時に電気角を検出するの
に適した処理であり、例えば、特開平11−18483
において第2の電気角検出方法として開示されている技
術を適用することができる。基準回転数Nhは両者の使
い分けの判断基準となる値であり、それぞれの方法によ
る電気角の検出精度を考慮して、設定すればよい。
【0052】低速時処理の原理について説明する。図8
はコイルに印加した電圧と電流の変化を示す説明図であ
る。ここではU相の変化を示した。図示する通り、U相
にステップ状の検出用電圧を印加すると、それに応じて
電流が流れる。この電流はコイルのインダクタンスに応
じて変化し、インダクタンスが小さいときは高いピーク
値Im1、インダクタンスが大きいときは低いピーク値
Im2となる。従って、検出用電圧を印加して一定期間
経過した時点での電流値を検出すれば、インダクタンス
を求めることができる。突極型の永久磁石モータの場
合、電気角に応じてコイルの磁束密度が変化し、インダ
クタンスが変化することが知られているから、インダク
タンスと電気角との関係を予めテーブル等で記憶してお
けば、電気角を検出することができる。なお、U相のみ
に検出用電圧を印加した場合には、電気角として0〜2
πの範囲で2つの解が得られるため、V相またはW相で
の検出結果と併せて行うなどして、単一の電気角を特定
する。
【0053】第2の変形例によれば、モータの回転数に
応じて電気角の検出方法を使い分けることにより、電気
角の検出精度を向上することができる。ここでは、回転
数に応じて2つの処理を例示したが、当然、3種類以上
を使い分けるものとしてもよい。また、低速時処理は、
上述の処理に限定されるものではない。高速時処理も実
施例に示した処理と同様、変形例の処理を適用するもの
としてもよい。
【0054】E.第3の変形例:以上の実施例および変
形例では、U,V,W相を基準として逆電圧の印加を行
う場合を例示した。これに対し、d軸およびq軸を基準
として逆電圧の印加を行うものとしてもよい。かかる場
合の処理を第3の変形例として説明する。
【0055】図9は第3の変形例におけるモータ起動制
御処理ルーチンのフローチャートである。ここでは実施
例(図4)との相違点のみを示した。図示する通り、第
3の変形例では、短絡電流を検出した後(ステップS2
0)、電流が所定値以下になるまで待機(ステップS6
0)にいたるまでの処理が実施例と相違する。
【0056】第3の変形例では、まず、短絡電流を用い
て電気角を算出する(ステップS50)。算出方法は実
施例と同じである。次に、電気角算出時に求められたd
軸電流id、q軸電流iqに基づいて逆電圧Vd,Vq
を設定する(ステップS52)。逆電圧Vd,Vqの値
および印加期間は、第1の変形例と同じ考え方により設
定することができる。もちろん、実施例と同様、一定の
電圧値、印加期間に設定するものとしても構わない。通
常、誘導起電圧は、主としてd軸方向に生じるから、正
負の判定をするまでもなく、電圧の印加方向を設定する
ことができる。
【0057】こうして設定されたVd,Vqを2相/3
相変換してU,V,W相の電圧vu,vv,vwに変換
し(ステップS54),その電圧を印加する(ステップ
S56)。2相/3相変換は、周知の通り、次式により
行うことができる。 vu=√(2/3) {Vd・cosθ -Vq・sinθ} ; vv=√(2/3) {Vd・cos(θ-120) -Vq・sin(θ-120)} ; vw= -( vu+vv ) ; ここでθは電気角(deg)である。
【0058】第3の変形例によれば、電気角検出後に逆
電圧を印加するため、印加開始が若干遅れるものの、電
気角に応じた適切な方向に逆電圧を印加することができ
る。また、U,V,W相の誘導起電圧が電気角に応じて
周期的に変動するのに対し、d軸、q軸方向の誘導起電
圧は回転数による増減が生じるのみであり、電気角によ
る変動が生じないため、逆電圧の設定を比較的容易に行
うことができる利点もある。
【0059】以上、本発明の種々の実施例について説明
したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができるこ
とはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフト
ウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものと
してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるモータ制御装置10の概略構
成図である。
【図2】同期モータ18の断面図である。
【図3】同期モータ18の等価回路を示す説明図であ
る。
【図4】モータ起動制御処理ルーチンのフローチャート
である。
【図5】誘導起電圧、電圧指令値、3相電流の様子を示
す説明図である。
【図6】第1の変形例における誘導起電圧、電圧指令
値、3相電流の様子を示す説明図である。
【図7】第2の変形例におけるモータ起動制御処理ルー
チンのフローチャートである。
【図8】コイルに印加した電圧と電流の変化を示す説明
図である。
【図9】第3の変形例におけるモータ起動制御処理ルー
チンのフローチャートである。
【図10】モータ電圧および電流の時間的変化を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
10…モータ制御装置 12…制御ユニット 14…インバータ 16…電源 18…同期モータ 20…CPU 21…ROM 22…RAM 23…クロック 24…入力ポート 25…出力ポート 26,27…電流センサ 30…ロータ 31〜34…永久磁石 35〜38…突極 40…ステータ 41…ティース 42…スロット 43…コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 英治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 5H560 AA08 BB04 BB12 BB18 DA13 DC12 DC13 EB01 HA09 JJ02 JJ12 TT12 TT15 UA02 XA02 5H576 AA01 BB05 DD05 DD07 DD09 EE01 FF01 GG04 HA02 HB02 JJ03 KK06 LL14 MM01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータが通電せずに回転している状況に
    ある同期モータについて、該ロータの電気的な回転位置
    を示す電気角を検出し、電源から該同期モータへの電圧
    の印加を開始可能な状態にする同期モータ制御装置であ
    って、 前記同期モータに備えられたコイルへの通電を制御する
    スイッチング素子と、 前記コイルのうち、ロータが回転中に誘導起電力を生じ
    る複数相のコイルの一部を短絡させるように前記スイッ
    チング素子を制御する短絡手段と、 該短絡時に前記同期モータに備えられているコイルに流
    れる短絡電流を検出する電流検出手段と、該電流に基づ
    いて前記ロータの電気角を算出する電気角算出手段と、 前記電流検出直後に、前記電源から、前記短絡電流を抑
    制する向きの所定の電圧が印加されるように前記スイッ
    チング素子を制御する逆電圧印加手段とを備えるモータ
    制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモータ制御装置であっ
    て、 前記同期モータは3相コイルを備えた同期モータであ
    り、 前記短絡手段は、該3相コイルを短絡させる手段であ
    り、 前記逆電圧印加手段は、前記各相の短絡電流の正負と逆
    方向で所定値の電圧を印加する手段であるモータ制御装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のモータ制御装置であっ
    て、 前記逆電圧印加手段は、前記短絡電流の状態を表すパラ
    メータに応じて、前記逆電圧の印加期間を調整する手段
    を備えるモータ制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のモータ制御装置であっ
    て、 前記逆電圧印加手段は、前記短絡電流の状態を表すパラ
    メータに基づいて、前記印加電圧の値を設定する手段を
    備えるモータ制御装置。
  5. 【請求項5】 ロータの回転数が電気角の検出に足る逆
    起電圧を生じ得る所定以上の回転数の場合に、前記短絡
    手段、電流検出手段、電気角算出手段、および逆電圧印
    加手段とを用いた制御を実行する請求項1記載のモータ
    制御装置。
  6. 【請求項6】 ロータが通電せずに回転している状況に
    ある同期モータについて、該ロータの電気的な回転位置
    を示す電気角を検出し、電源から該同期モータへの電圧
    の印加を開始可能な状態にする同期モータの制御方法で
    あって、(a) 前記同期モータに備えられたコイルへ
    の通電を制御するスイッチング素子を制御して、前記コ
    イルのうち、ロータが回転中に誘導起電力を生じる複数
    相のコイルの一部を短絡させる工程と、(b) 該短絡
    時に前記同期モータに備えられているコイルに流れる短
    絡電流を検出する工程と、(c) 該電流に基づいて前
    記ロータの電気角を算出する工程と、(d) 前記電流
    検出直後に、前記電源から、前記短絡電流を抑制する向
    きの所定の電圧が印加されるように前記スイッチング素
    子を制御する工程とを備える制御方法。
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