JP2020137321A - モーター制御装置、画像形成装置および初期位置推定方法 - Google Patents

モーター制御装置、画像形成装置および初期位置推定方法 Download PDF

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雄治 小林
博之 吉川
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博之 吉川
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Yuta Tachibana
優太 橘
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Kazumitsu Yoshida
一充 吉田
春充 藤森
Harumitsu Fujimori
春充 藤森
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Abstract

【課題】インダクティブセンス方式を用いて、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定する。【解決手段】モーター制御装置70は、センサレス方式のモーター30のローターの磁極の初期位置を推定する制御部50を含む。制御部50は、モーター30のローターの磁極の初期位置をインダクティブセンス方式を用いて推定する際に、複数の通電角度を順次変更しながら通電角度ごとに、ステーター巻線31に第1電圧を印加させる。また、制御部50は、電流検出回路43が検出した検出電流の値に基づいて第1電圧とは逆極性の第2電圧を決定する。制御部50は、第2電圧を第1電圧の印加の後ステーター巻線31に印加させるように駆動回路40を制御する。【選択図】図1

Description

この開示は、モーター制御装置に関し、特に、センサレス方式のモーターを起動させる際のローターの磁極の初期位置推定に関するものである。さらに、この開示は、ローター駆動用のモーターを制御する制御装置としてこのモーター制御装置を備えた画像形成装置に関する。
センサレス方式のモーターでは、ステーターの各相コイルに対するローターの永久磁石の磁極位置を検出するセンサーがない。このため、ローターの回転中にステーター巻線に発生する誘起電圧に基づいてローターの磁極位置を推定する方法が一般に用いられる。しかしながら、この方法は、誘起電圧が検出できる程度にローターが回転している必要があるので、モーターの起動前の静止状態にあるローターの磁極の初期位置を推定する方法として用いることができない。
そこで、静止状態にあるローターの磁極位置を推定する方法として、インダクティブセンス方式を用いた方法が知られている(たとえば、特許第2547778号公報(特許文献1)を参照)。インダクティブセンス方式による初期位置推定の方法は、ローターが回転しないレベルの電圧を複数の電気角でステーター巻線に印加したとき、ローターの磁極位置とステーター巻線による電流磁界との位置関係に応じて、実効的なインダクタンスが微妙に変化する性質を利用している。具体的に特許文献1によれば、各電気角においてステーター巻線に電圧を一定の通電時間印加したとき、最も高い電流値を示す電気角がローターの磁極の位置を示している。
特許第2547778号公報
インダクティブセンス方式では、複数の電気角でステーター巻線に電圧を印加する必要がある。ある電気角でステーター巻線にパルス電圧を印加すると巻線電流は増加し始め、一定時間の電圧の印加中に巻線電流は増加を続け、パルス電圧の印加を終了すると巻線電流は徐々に減少する。次の電気角でステーター巻線への電圧の印加を開始すると、巻線電流は再び増加し始め、以下同様の巻線電流の変化が繰り返される。
ここで、ローターの磁極の初期位置を精度良く検出するためには、ある電気角でのステーター巻線への電圧印加の終了後、次の電気角でステーター巻線に電圧の印加を開始するまでの間に、巻線電流は0にまで戻る必要がある。なぜなら、インダクティブセンス方式によるローターの磁極の初期位置推定は、通常、ステーター巻線への電圧印加中における巻線電流のピーク値に基づくので、残留電流があるとピーク電流の値に誤差が生じるからである。
一方で、ローターの磁極の初期位置の推定精度を高めるためには、多くの電気角でステーター巻線に電圧を印加して電圧印加中のピーク電流を検出する必要がある。この場合、各電気角での毎回の電圧印加後にステーター巻線の残留電流が完全に0に戻るのを待つ必要があるので、ローターの磁極の初期位置推定に時間がかかることになる。頻繁にモーターのオンオフが必要なアプリケーションでは、ローターの磁極の初期位置推定に時間がかかることは問題となる。しかしながら、インダクティブセンス方式を用いる場合に、電気角の数を減らすことによって初期位置推定の時間を減らそうとすると、磁極の初期位置の推定精度が劣化するために、モーターの起動中に脱調を起こす危険性が生じる。
この開示は、上記の問題点を考慮したものであり、その目的の1つは、インダクティブセンス方式を用いて、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能なモーターの制御装置を提供することである。
一実施形態のモーター制御装置は、センサレス方式のモーターを制御するためのものであり、モーターのステーター巻線の各相に電圧を印加するための駆動回路と、ステーター巻線に流れる電流を検出する電流検出回路と、駆動回路を制御する制御部とを備える。制御部は、モーターのローターの磁極の初期位置をインダクティブセンス方式を用いて推定する際に、複数の通電角度を順次変更しながら通電角度ごとに、ステーター巻線に第1電圧を印加させるとともに、電流検出回路が検出した検出電流の値に基づいて第1電圧とは逆極性の第2電圧を決定する。制御部は、当該第2電圧を第1電圧の印加の後ステーター巻線に印加させるように駆動回路を制御する。
好ましくは、制御部は、第2電圧がステーター巻線に印加されているとき、検出電流の値に基づいて、第2電圧の値を変化させる。
好ましくは、制御部は、第2電圧を検出電流の値に基づいて設定するためのフィードバック制御部を含む。
好ましくは、フィードバック制御部は、比例制御部と積分制御部とを含む。制御部は、比例制御部における比例ゲインおよび積分制御部における積分ゲインの少なくともいずれかを検出電流の値に基づいて変更する。
好ましくは、フィードバック制御部は、積分制御部を含む。制御部は、ステーター巻線の電流特性の時定数に基づいて積分制御部の積分ゲインを設定する。
好ましくは、制御部は、ステーター巻線に流れる電流を、ステーター巻線への印加電圧と同じ電気角を有する第1の電流成分と、第1の電流成分と電気角が90度異なる第2の電流成分とに変換する。フィードバック制御部は、第1の電流成分の目標値と、第1の電流成分の値との偏差に基づいて第2電圧を設定する。
好ましくは、フィードバック制御部は、比例制御部と積分制御部とを含む。制御部は、偏差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、偏差の絶対値が予め定められた値以上の場合よりも、比例制御部における比例ゲインの値を小さくし、かつ、積分制御部における積分ゲインの値を大きくする。
好ましくは、第1の電流成分の目標値は0である。
好ましくは、制御部は、第1の電流成分の目標値を、連続的またはステップ状に減少させる。
好ましくは、制御部は、第1の電流成分の目標値を、ステーター巻線の電流特性の時定数に基づいて指数関数的に減少させる。
好ましくは、モーターは、インナーローター型のモーターである。
一実施形態の画像形成装置は、記録媒体を1枚ずつ給送する給送ローラーと、給送した記録媒体に画像を形成する画像形成部と、給送ローラーを駆動するためのモーターを制御する、上記のモーター制御装置とを備える。
一実施形態の初期位置推定方法は、インダクティブセンス方式によりモーターのローターの磁極の初期位置を推定する。初期位置推定方法は、それぞれ異なる通電角度でモーターのステーター巻線に電圧を印加する複数回の電圧印加ステップを備える。各回の電圧印加ステップは、対応する通電角度で第1電圧を印加するステップと、ステーター巻線に流れる電流の検出値に基づいて、第1電圧とは逆極性の第2電圧を印加するステップとを含む。初期位置推定方法は、各回の第1電圧の印加時における通電角度に応じたステーター巻線の電流値の変化に基づいて、ローターの磁極の初期位置を推定するステップをさらに備える。
上記の実施形態によれば、インダクティブセンス方式を用いて、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能なモーターの制御装置を提供することができる。
モーター制御装置の全体構成を示すブロック図である。 定常運転中のモーターを停止させてから再起動するまでのモーター回転速度を示すタイミング図である。 センサレスベクトル制御における交流電流および磁極位置を表示するための座標軸について説明するための図である。 モーターの運転中におけるセンサレスベクトル制御部の動作を示す機能ブロック図である。 静止状態にあるローターの磁極の初期位置を推定する方法を示す機能ブロック図である。 U相電圧、V相電圧、およびW相電圧と電気角との関係を示す図である。 ローターの磁極位置と電気角との相対的位置関係と、γ軸電流のピーク値との関係を示す図である。 γ軸電圧Vγ*と検出されたγ軸電流Iγとの関係を模式的に示すタイミング図である。 ローターの磁極の初期位置推定の手順の一例を示すフローチャーである。 初期位置推定部57が行うフィードバック制御について説明する図である。 γ軸電流の検出値と目標値との偏差に応じて、第2電圧が変化することを表わす図である。 時刻t1から時刻t3を含むγ軸電圧Vγ*とγ軸電流Iγとを拡大した図である。 偏差に対応付けられた比例ゲインKpおよび積分ゲインKiの設定値を含むテーブル310を表わす図である。 実施の形態2において、ローターの磁極の初期位置推定の手順の例を示すフローチャートである。 目標値が0の場合の偏差と、目標値が指数関数的に減少する場合の偏差とについて説明する図である。 画像形成装置の構成の一例を示す断面図である。 画像形成装置のローラーの駆動制御に用いられるモーターとその制御装置の構成を示すブロック図である。
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
<実施の形態1>
[モーター制御装置の全体構成]
図1は、モーター制御装置の全体構成を示すブロック図である。モーター制御装置70は、センサレス方式の3相ブラシレスDCモーター(BLDCM:Brushless DC Motor)30を駆動制御する。図1に示すように、モーター制御装置70は、駆動回路40と、センサレスベクトル制御部50と、上位制御部60とを含む。センサレス方式であるため、ローターの回転位置を検出するためのホール素子またはエンコーダーは備えられていない。なお、以下ではモーター制御装置70が駆動制御する対象をブラシレスDCモーター30として説明を行うが、モーター制御装置70が駆動制御する対象は、センサレス方式のモーターであれば、ブラシレスDCモーター30以外のモーターであってもよい。ブラシレスDCモーター30以外のモーターは、たとえば、ブラシ付きDCモーター等である。
駆動回路40は、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式のインバーター回路であり、直流駆動電圧DVを3相交流電圧に変換して出力する。具体的に、駆動回路40は、センサレスベクトル制御部50から受けたPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−に基づいて、ブラシレスDCモーター30にU相電圧U、V相電圧V、W相電圧Wを供給する。駆動回路40は、インバーター回路41と、U相電流検出回路43Uと、V相電流検出回路43Vと、プリドライブ回路44とを含む。
インバーター回路41は、U相アーム回路42Uと、V相アーム回路42Vと、W相アーム回路42Wとを含む。これらのアーム回路42U,42V,42Wは、直流駆動電圧DVが与えられたノードと、接地電圧GNDが与えられたノードとの間に互いに並列に接続される。以下、記載を簡潔にするため、直流駆動電圧DVが与えられたノードを駆動電圧ノードDVと記載し、接地電圧GNDが与えられたノードを接地ノードGNDと記載する。
U相アーム回路42Uは、互いに直列に接続された高電位側のU相トランジスタFU+および低電位側のU相トランジスタFU−を含む。U相トランジスタFU+およびFU−の接続ノードNuは、ブラシレスDCモーター30のU相巻線31Uの一端と接続される。U相巻線31Uの他端は中性点32に接続される。
なお、図1に示すように、ブラシレスDCモーター30のU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wの結線はスター結線である。この明細書では、U相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wを総称して、ステーター巻線31と称する。
同様に、V相アーム回路42Vは、互いに直列に接続された高電位側のV相トランジスタFV+および低電位側のV相トランジスタFV−を含む。V相トランジスタFV+およびFV−の接続ノードNvは、ブラシレスDCモーター30のV相巻線31Vの一端と接続される。V相巻線31Vの他端は中性点32に接続される。
同様に、W相アーム回路42Wは、互いに直列に接続された高電位側のW相トランジスタFW+および低電位側のW相トランジスタFW−を含む。W相トランジスタFW+およびFW−の接続ノードNwは、ブラシレスDCモーター30のW相巻線31Wの一端と接続される。W相巻線31Wの他端は中性点32に接続される。
U相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、2シャント方式でモーター電流を検出する。具体的に、U相電流検出回路43Uは、低電位側のU相トランジスタFU−と接地ノードGNDとの間に接続される。V相電流検出回路43Vは、低電位側のV相トランジスタFV−と接地ノードGNDとの間に接続される。なお、以下ではU相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vを総称して「電流検出回路43」とも称する。
U相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、それぞれシャント抵抗を含む。シャント抵抗の抵抗値は1/10Ωオーダーの小さい値である。このため、U相電流検出回路43Uによって検出されたU相電流Iuを表す信号およびV相電流検出回路43Vによって検出されたV相電流Ivを表す信号は、アンプ(不図示)によって増幅される。その後、U相電流Iuを表す信号およびV相電流Ivを表す信号は、AD(Analog-to-Digital)変換器(不図示)によってAD変換されてから、センサレスベクトル制御部50に取り込まれる。
W相電流Iwは、U相電流IuとV相電流Ivとからキルヒホッフの電流則、すなわち、Iw=−Iu−Ivから求めることができるので、検出する必要はない。より一般的には、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iwのうち、いずれか2相の電流を検出すればよく、他の1相の電流値は検出した2相の電流値から計算することができる。
プリドライブ回路44は、センサレスベクトル制御部50から受けたPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を増幅して、トランジスタFU+,FU−,FV+,FV−,FW+,FW−のゲートにそれぞれ出力する。
トランジスタFU+,FU−,FV+,FV−,FW+,FW−の種類は特に限定されない。たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよいし、バイポーラトランジスタであってもよいし、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。
センサレスベクトル制御部50は、ブラシレスDCモーター30をベクトル制御する。インバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を生成して駆動回路40に供給する。さらに、センサレスベクトル制御部50は、ブラシレスDCモーター30を起動させる際には、静止状態にあるローターの磁極の初期位置をインダクティブセンス方式によって推定する。センサレスベクトル制御部50は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用回路として構成されていてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)および/またはマイクロコンピュータなどを利用してその機能を実現するように構成されていてもよい。
上位制御部60は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリなどを備えたコンピュータをベースに構成される。上位制御部60は、センサレスベクトル制御部50に起動指令、停止指令、および回転角速度指令などを出力する。
なお、上記と異なり、センサレスベクトル制御部50および上位制御部60が1つのASICまたはFPGAなどによって構成されていてもよい。この開示では、駆動回路40を制御する主体を総称して制御部とも称する。制御部は、センサレスベクトル制御部50に対応すると考えてもよいし、センサレスベクトル制御部50と上位制御部60とを組み合わせた全体と考えてもよい。また、制御部は、ASICなどの専用回路によって構成されていてもよいし、FPGAまたはマイクロコンピュータなどによって構成されていてもよいし、それらのうちのいくつかを組み合わせて構成されていてもよい。
[モーター運転の概要について]
図2は、定常運転中のモーターを停止させてから再起動するまでのモーター回転速度を示すタイミング図である。横軸は時間を示し、縦軸はモーターの回転速度を示す。
図2を参照して、時刻t10から時刻t20までの間でモーターが減速され、時刻t20でモーターの回転は停止する。時刻t20から時刻t30までの間は、ステーターへの励磁電流の供給が停止されている。
時刻t40からのモーターの再起動に先立って、時刻t30から時刻t40までの間で、ローターの磁極の初期位置推定が実行される。ローターに回転方向のトルクを与えるためには、ローターの磁極の初期位置に応じた適切な電気角でステーター巻線31に三相交流電流を供給する必要がある。このために、ローターの磁極の初期位置が推定される。本開示では、ローターの磁極の初期位置推定の方法としてインダクティブセンス方式が用いられる。
時刻t40においてローターの回転が開始されると、以後、センサレスベクトル制御方式によってブラシレスDCモーター30が制御される。時刻t50から回転速度が一定の定常運転に入る。
[センサレスベクトル制御方式の座標軸について]
図3は、センサレスベクトル制御における交流電流および磁極位置を表示するための座標軸について説明するための図である。
図3を参照して、ベクトル制御では、3相ブラシレスDCモーター30のステーター巻線31に流れる3相交流(U相、V相、W相)を、ローターの永久磁石と同期して回転する2相の成分に変数変換する。具体的に、ローター35の磁極の方向をd軸としd軸から電気角で90°位相が進んだ方向をq軸とする。さらに、U相座標軸からのd軸の角度をθと定義する。
ここで、ローターの回転角度を検出する位置センサーを持たない制御方式である、センサレスベクトル制御方式の場合には、ローターの回転角度を表す位置情報を何らかの方法で推定する必要がある。推定された磁極方向をγ軸とし、γ軸から電気角で90°位相が進んだ方向をδ軸とする。U相座標軸からのγ軸の角度をθとする。θに対するθの遅れを、Δθと定義する。
モーターを起動させる際に、インダクティブセンス方式で静止状態にあるローターの磁極の初期位置を推定するときにも、図3の座標軸が用いられる。この場合、ローターの磁極の真の位置を電気角θで表す。磁極の初期位置を推定するために、ステーター巻線31に流す電流の電気角をθで表す。なお、電気角θを通電角度とも称する。
[モーター運転中のベクトル制御]
図4は、モーターの運転中におけるセンサレスベクトル制御部の動作を示す機能ブロック図である。以下、図4を参照して、モーター運転中におけるセンサレスベクトル制御部50の動作について簡単に説明する。
センサレスベクトル制御部50は、座標変換部55と、回転速度制御部51と、電流制御部52と、座標変換部53と、PWM変換部54と、磁極位置推定部56とを含む。
座標変換部55は、駆動回路40のU相電流検出回路43Uで検出されたU相電流Iuと、V相電流検出回路43Vで検出されたV相電流Ivとを表す信号を受け取る。座標変換部55は、U相電流IuとV相電流IvとからW相電流Iwを計算する。そして、座標変換部55は、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iw(以下、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iwを総称して「検出電流」とも称する。)を座標変換することによって、γ軸電流Iγとδ軸電流Iδとを生成する。具体的には以下の手順による。
まず、次式(1)に従って、U相、V相、W相の3相電流をα軸電流Iαおよびβ軸電流Iβの2相電流に変換する。この変換はClarke変換と呼ばれる。
Figure 2020137321
次に、次式(2)に従って、α軸電流Iαおよびβ軸電流Iβを回転座標系であるγ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδに変換する。この変換はPark変換と呼ばれる。次式(2)において、θは磁極位置推定部56によって推定された磁極方向の電気角、すなわち、U相座標軸からのγ軸の角度である。
Figure 2020137321
回転速度制御部51は、上位制御部60から起動命令、停止命令、目標回転角速度ω*を受け取る。回転速度制御部51は、目標回転角速度ω*と、磁極位置推定部56によって推定されたローター35の回転角速度ωとから、たとえば、PI制御(比例・積分制御)またはPID制御(比例・積分・微分制御)などにより、ブラシレスDCモーター30へのγ軸電流Iγ*およびδ軸電流Iδ*を決定する。
電流制御部52は、回転速度制御部51から与えられたγ軸電流Iγ*およびδ軸電流Iδ*と、座標変換部55から与えられた現時点のγ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδとから、たとえば、PI制御またはPID制御などにより、γ軸電圧Vγ*およびδ軸電圧Vδ*を決定する。
座標変換部53は、電流制御部52からγ軸電圧Vγ*およびδ軸電圧Vδ*を受け取る。座標変換部53は、γ軸電圧Vγ*およびδ軸電圧Vδ*を座標変換することにより、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*を生成する。具体的には以下の手順による。
まず、次式(3)に従って、γ軸電圧Vγ*およびδ軸電圧Vδ*を、α軸電圧Vα*およびβ軸電圧Vβ*に変換する。この変換は、逆Park変換と呼ばれる。次式(3)において、θは磁極位置推定部56によって推定された磁極方向の電気角、すなわち、U相座標軸からのγ軸の角度である。
Figure 2020137321
次に、次式(4)に従って、α軸電圧Vα*およびβ軸電圧Vβ*を、3相のU相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*に変換する。この変換は逆Clarke変換と呼ばれる。なお、α,βの2相からU,V,Wの3相への変換は、逆Clarke変換に代えて空間ベクトル変換を用いることもできる。
Figure 2020137321
PWM変換部54は、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*に基づいて、トランジスタFU+,FU−,FV+,FV−,FW+,FW−のゲートをそれぞれ駆動するためのPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を生成する。
磁極位置推定部56は、γ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδとγ軸電圧Vγ*およびδ軸電圧Vδ*とから、ローター35の現時点の回転角速度ωと、磁極位置を表す電気角θとを推定する。具体的に、磁極位置推定部56は、γ軸誘起電圧を0にするような回転角速度ωを算出し、回転角速度ωから磁極位置を表す電気角θを推定する。磁極位置推定部56は、推定した回転角速度ωを上位制御部60に出力するとともに回転速度制御部51に出力する。また、磁極位置推定部56は、推定した磁極位置を表す電気角θの情報を、座標変換部53,55に出力する。
[静止状態にあるローターの磁極の初期位置推定]
図5は、静止状態にあるローターの磁極の初期位置を推定する方法を示す機能ブロック図である。図4の磁極位置推定部56は、ステーター巻線31に生じる誘起電圧を利用したものであるので、ローターが静止しているときには使用することができない。このため、図5では、磁極位置推定部56に代えて、インダクティブセンス方式でローター35の磁極の初期位置を推定する初期位置推定部57が設けられている。
ここで、インダクティブセンス方式では、複数の電気角を順次変更しながらステーター巻線31に連続的またはPWMによって間欠的に定電圧を印加し、電気角ごとにステーター巻線31に流れる電流の変化が検出される。ここで、ステーター巻線31への通電時間および印加電圧の大きさは、ローター35が回転しないレベルに設定される。ただし、通電時間が短すぎたり、印加電圧の大きさが小さすぎたりすると、磁極の初期位置を検出できなくなるので注意が必要である。
前述のように、インダクティブセンス方式を用いた初期位置推定方法は、ローターが回転しないレベルの電圧を複数の電気角でステーター巻線に印加したとき、ローターの磁極位置とステーター巻線による電流磁界との位置関係に応じて、実効的なインダクタンスが微妙に変化する性質を利用している。このインダクタンスの変化は、d軸電流の場合に顕著に生じる磁気飽和現象に基づいている。また、永久磁石埋め込み型(IPM:Interior Permanent Magnet)モーターの場合には、q軸方向のインダクタンスがd軸方向のインダクタンスよりも大きくなる突極性を有しているので、磁気飽和が生じなくてもインダクタンスの変化を検出できる場合がある。
具体的にローターの磁極の方向を検知するためにしばしば用いられる手法は、電気角ごとの通電時間および印加電圧(具体的にはγ軸電圧)を一定にして、通電時間内でのγ軸電流Iγのピーク値を検出し、最大のピーク値が得られた電気角(すなわち、実効的なインダクタンスが最小となる電気角)が磁極の方向であると判定するものである。もしくは、通電の開始からγ軸電流Iγが予め定められた電流閾値に達するまでの時間を計測するという方法によってもよい。γ軸電流Iγが電流閾値に達するまでの時間が最も短い場合、すなわち、最もインダクタンスが低い場合の電気角が、ローターの磁極位置に対応している。以下では、電気角ことにγ軸電流Iγの最大ピーク値を検出するという前者の方法を主に説明するが、本開示の技術は後者の場合にも適用可能である。このように、センサレスベクトル制御部50は、複数回の電圧印加のうち各回の電圧印加時における通電角度に応じたステーター巻線31の電流値(γ軸電流Iγの値)の変化に基づいて、ローターの磁極の初期位置を推定できる。さらに、本開示の技術はインダクティブセンス方式に基づくその他の方法にも適用可能である。
本開示のモーター制御装置では、さらに、上記のインダクタンスの変化を検出するための電圧印加の後に、γ軸電流Iγを0に戻すために逆極性の電圧を印加する点に特徴がある。以下では、前者の電圧印加のための電圧を第1電圧と称し、後者の逆極性の電圧印加のための電圧を第2電圧と称する。以下、図面を参照して詳しく説明する。
図5を参照して、センサレスベクトル制御部50は、ローター35の磁極の初期位置を推定するための機能として、初期位置推定部57と、座標変換部53と、PWM変換部54と、座標変換部55とを含む。このように、ローターの磁極の初期位置推定では、図4で説明したベクトル制御の機能の一部が利用される。以下、各部の機能についてさらに詳しく説明する。
(1. 初期位置推定部によるγ軸電圧、電角度、および通電時間の設定)
初期位置推定部57は、γ軸電圧Vγ*の大きさ、ステーター巻線31に印加する電気角θ、および通電時間を設定する。初期位置推定部57は、δ軸の電圧Vδ*を0に設定する。
初期位置推定部57は、ローター35を回転させない範囲で十分なSN比のγ軸電流Iγが得られるようなγ軸電圧Vγ*を設定する。γ軸電圧Vγ*には、たとえば、前述の第1電圧と第2電圧とが含まれる。初期位置推定部57は、γ軸電圧Vγ*と、δ軸の電圧Vδ*(=0)とを座標変換部53に出力する。なお、電気角θは、0度から360度の範囲で複数の角度に設定される。たとえば、初期位置推定部57は、電気角θを30度刻みで0度から360度まで変化させる。
(2. 座標変換部53)
座標変換部53は、γ軸電圧Vγ*およびδ軸の電圧Vδ*(=0)を座標変換することにより、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*を生成する。この座標変換前述の式(3)によって表される逆Park変換および前述の式(4)によって表される逆Clarke変換が用いられる。
具体的に、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*は、次式(5)で表される。次式(5)において、電圧の振幅をV0としている。
Figure 2020137321
図6は、U相電圧、V相電圧、およびW相電圧と電気角との関係を示す図である。図6では、上式(5)における電圧の振幅V0を1に規格化している。
図6を参照して、上式(5)で示されるU相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*は、任意のθに対して定めることができる。たとえば、θ=0°のとき、Vu*=1、Vv*=Vw*=−0.5である。θ=30度のとき、Vu*=(√3)/2、Vv*=0、Vw*=−(√3)/2である。
(3. PWM変換部54)
再び図5を参照して、PWM変換部54は、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*に基づいて、トランジスタFU+,FU−,FV+,FV−,FW+,FW−のゲートをそれぞれ駆動するためのPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を生成する。
生成されたインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−に従って、駆動回路40は、ブラシレスDCモーター30のU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wに、パルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wを供給する。インバーター駆動信号のパルス数は、設定された通電時間に対応している。駆動回路40に設けられた電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、U相電流IuおよびV相電流Ivをそれぞれ検出する。検出されたU相電流IuおよびV相電流Ivを表す信号は、座標変換部55に入力される。
(4. 座標変換部55)
座標変換部55は、U相電流IuとV相電流IvとからW相電流Iwを計算する。そして座標変換部55は、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iwを座標変換することによって、γ軸電流Iγとδ軸電流Iδとを生成する。この座標変換には、前述の式(1)のClarke変換および式(2)のPark変換が用いられる。
なお、仮に、U相、V相、W相の各相で電気特性および磁気特性に違いがなく、さらに、ローター35の永久磁石の影響がなければ、U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwの相互の比率は電圧Vu*,Vv*,Vw*の相互の比率に等しいはずである。したがって、この仮想的な場合には、たとえば、δ軸電流Iδは電気角によらず0になり、γ軸電流Iγは電気角によらず一定値になる。
初期位置推定部57は、複数の電気角θに対してそれぞれ得られたγ軸電流Iγのピーク値に基づいて、ローター35の磁極の位置を推定する。上記のようにγ軸電流Iγが0の値に戻るまで待ってから次の電気角で通電する場合、理想的には、γ軸電流Iγのピーク値の最大値が得られたときの電気角θが、ローター35の磁極の位置θにほぼ一致する。
図7は、ローターの磁極位置と電気角との相対的位置関係と、γ軸電流のピーク値との関係を示す図である。まず、図7(A)を参照して、ローター35の磁極位置θと電気角θとの相対的位置関係について説明する。
図7(A)の場合、ローター35の磁極位置θは0度に固定されている。したがって、d軸は電気角0度の方向に定められ、q軸は電気角90度の方向に定められる。一方、電気角θは0度から360度まで30度刻みで変化する。図7(A)では、電気角θが0度の場合のγ軸とδ軸が示されている。この場合、Δθ=0度である。
次に、図7(B)を参照して、磁極位置θと電気角θとの角度差Δθとγ軸電流Iγのピーク値との関係を説明する。図7(B)の横軸は角度差Δθγ軸電流Iγのピーク値を示す。縦軸の単位は任意単位である。
図7(B)に示すように、理想的には、磁極位置θと電気角θとの角度差Δθが0度のとき、すなわち、磁極位置θと電気角θとが一致するとき(図7(A)では、θ=θ=0度の場合)、γ軸電流Iγのピーク値が最大値を示す。
図8は、γ軸電圧Vγ*と検出されたγ軸電流Iγとの関係を模式的に示すタイミング図である。より具体的には、図8(A)では、γ軸電圧Vγ*が前述の第1電圧のみを含む場合のγ軸電流Iγの推移が示され、図8(B)では、γ軸電圧Vγ*が前述の第1電圧および第2電圧の両方を含む場合のγ軸電流Iγの推移が示される。
最初に、γ軸電圧Vγ*が第1電圧のみを含む場合のγ軸電流Iγの推移について説明する。図8(A)を参照して、図5の初期位置推定部57は、時刻t1から時刻t2までの間、電気角θをたとえば0度に設定するとともに、γ軸電圧Vγ*として第1電圧を設定する。第1電圧は、たとえば、正の定電圧である。ステーターのU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wには、第1電圧に基づくパルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wがそれぞれ印加される。この結果、γ軸電流Iγは、時刻t1から時刻t2までの間、0から徐々に増加し、時刻t2でピーク値Iγp1に達する。時刻t2以降、ステーター巻線31への電圧印加が停止するので、γ軸電流Iγはピーク値Iγp1から電流値が徐々に減少する。ステーター巻線31に次に電圧が印加される時刻t6までの間に、U相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iwの値が0に戻る結果、γ軸電流Iγの値も0まで戻る。
次に、初期位置推定部57は、時刻t6から時刻t8までの間、電気角θをたとえば30度に設定するとともに、γ軸電圧Vγ*として前回と同じ第1電圧を設定する。この結果、γ軸電流Iγは、時刻t6から時刻t8までの間、0から徐々に増加し、時刻t8でピーク値Iγp2に達する。時刻t8以降、ステーター巻線31への電圧印加が停止するので、γ軸電流Iγは徐々に減少する。
以下、同様に、初期位置推定部57は、電気角θの設定角度を変更し、変更された電気角θにおいて、γ軸電圧Vγ*として第1電圧を設定する。設定された第1電圧に基づいてパルス幅変調された電圧がステーター巻線31に印加される。なお、第1電圧が印加される時間は、たとえば、各電気角で同一の時間となる。そして、たとえば、第1電圧の印加終了時におけるγ軸電流Iγがピーク値として検出される。
初期位置推定部57は、電気角0度におけるピーク値Iγp1を検出してからγ軸電流Iγが0となるまで、次の電気角30度における電圧印加を開始することができない。すなわち、初期位置推定部57は、ある電気角でのγ軸電流のピーク値を検出してから次の電気角でのγ軸電流のピーク値を検出するまでに、時間(図8の場合、時刻t2から時刻t6までの時間間隔210)を要する。このため、初期位置推定部57は、電気角θを30度刻みで0度から360度まで変化させると、ローターの磁極の初期位置を検出するのに多くの時間を要することとなる。
これに対して、図8(B)に示すように、本開示のモーター制御装置70は、たとえば、第1電圧に基づく電圧がステーター巻線31に印加された後に第1電圧とは逆極性の第2電圧に基づく電圧をステーター巻線31に印加する。第2電圧に基づく電圧の印加は、1つの電気角においてピーク値を検出した後にγ軸電流Iγが0となるまでの時間を短縮するために行われる。
第1電圧は、たとえば、γ軸の正および負いずれかの電圧であり、定電圧である。第1電圧は、たとえば、予め定められた時間だけ出力される。第2電圧は、第1電圧とは逆極性の電圧である。第2電圧は、たとえば、第1電圧の出力直後に出力されてもよい。実施の形態1では、第2電圧は一定値である。第2電圧は、たとえば、第1電圧の出力中の検出電流のピーク値に基づいて設定される。第2電圧は、第1電圧が設定された後に設定される。なお、第2電圧を、第2電圧の出力中の検出電流値に基づくフィードバック制御によって変化させる例については、実施の形態2以降で説明する。
より具体的には、初期位置推定部57は、第1電圧と第2電圧とを含むγ軸電圧Vγ*を設定する。初期位置推定部57が電気角θをたとえば0度に設定すると、時刻t1から時刻t2までの間、第1電圧に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加される。一例として挙げた図8(B)の場合、第1電圧は、正の電圧の+10である。
次に、時刻t2から時刻t3までの間、電気角θを0度に設定したまま変更せずに、第2電圧に基づき決定された電圧が、ステーター巻線31の各相に印加される。第2電圧は、たとえば、第1電圧とは逆極性となる負の値である。また第1電圧は予め定められた値であるが、第2電圧は、第1電圧の出力中の検出電流のピーク値に基づいて決定される。検出電流は、上述のとおり、U相電流検出回路43Uで検出されたU相電流Iuと、V相電流検出回路43Vで検出されたV相電流Ivと、W相電流Iwとを総称したものである。検出電流としてのU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwが時間とともに増加するにつれて、これら電流値を座標変換することによって得られたγ軸電流Iγの電流値も大きくなる。
初期位置推定部57は、一定の第2電圧を出力する。第2電圧は、第1電圧と同じでもよいし異なってもよい。γ軸電流Iγをできるだけ早く0に近づけるために、第2電圧の絶対値を第1電圧の絶対値と比べて大きくしてもよい。また、第1電圧の出力に基づくγ軸電流Iγのピーク値Iγpの値は、第1電圧の大きさに応じて変化する。また、ローターの磁極位置とステーター巻線による電流磁界との位置関係に応じて、実効的なインダクタンスが微妙に変化する。そして、ピーク値Iγpの値は、インダクタンスによっても変化する。より具体的には、ピーク値Iγpの値は、インダクタンスが小さいほど大きくなる。また、ピーク値Iγpの値は、第1電圧が大きいほど大きくなる。ピーク値Iγpの値も大きい場合に、γ軸電流Iγをできるだけ早く0に近づけるためには、ピーク値Iγpの値に応じて、第2電圧を大きくする必要がある。
第2電圧に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加されることで、γ軸電流Iγの単位時間当たりの減少量は、第2電圧に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加されない場合に比べて大きくなる。そして、ステーター巻線31に次に第1電圧に基づく電圧が印加される時刻t4までの間に、U相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iwの値が0に戻る結果、γ軸電流Iγの値も0まで戻る。
次に、初期位置推定部57は、γ軸電圧Vγ*として、前回と同じ値の第1電圧を、時刻t4から時刻t5までの間に出力し、この第1電圧の出力によって検出された電流ピーク値に基づいて生成された第2電圧を時刻t5から時刻t7までの間出力する。時刻t4から時刻t7までの間、初期位置推定部57は、電気角θをたとえば30度に設定する。これにより、時刻t4から時刻t5までの間、第1電圧と設定された電気角θとに基づき決定された電圧がステーター巻線の各相に印加される。この結果、γ軸電流Iγは、時刻t4から時刻t5までの間、0から徐々に増加し、時刻t5でピーク値Iγp4に達する。時刻t5から時刻t7までの間、第2電圧と設定された電気角θとに基づき決定されたと電圧がステーター巻線の各相に印加される。この結果、γ軸電流Iγの単位時間当たりの減少量は、第2電圧に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加されない場合に比べて大きくなる。そのため、γ軸電流Iγは比較的短時間で0の値となる。
以降同様に、電気角θの設定角度を変更し、変更された電気角θにおいて、第1電圧に基づくパルス幅変調された電圧が定められた時間の間ステーター巻線に印加される。その直後に第2電圧と上記の変更された電気角θとに基づく電圧がステーター巻線31に印加される。
図8(B)の場合、電気角0度においてピーク値Iγp3が検出されてから、γ軸電流Iγが0になって次の電気角30度におけるIγが0から増加し始めるまでに時刻t2から時刻t4までの時間間隔220に相当する時間が必要となる。時間間隔220は、第2電圧に基づく電圧が印加されない図8(A)の場合の時間間隔210よりも時間間隔230だけ短い。したがって、モーター制御装置70は、インダクティブセンス方式を用いて、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能となる。
[ローターの磁極の初期位置の推定手順]
図9は、ローターの磁極の初期位置推定の手順の一例を示すフローチャーである。図5および図9を主として参照して、これまでの説明を総括する。
図9のステップS100において、γ軸電圧Vγ*、電気角度θごとのステーター巻線31への電圧印加時間(すなわち、通電時間)、全通電回数nが設定される。たとえば、30度ごとにステーター巻線31に電圧を印加する場合には全通電回数nは12に設定される。通電回数をカウントするパラメーターをiとする。iの初期値は0である。なお、通電回数iに対応する電気角θ[i]は、たとえば、テーブルの形でメモリに予め格納されている。
次のステップS110において、初期位置推定部57は通電回数を表すパラメーターiを1だけインクリメントする。
その次のステップS111において、座標変換部53は、パラメーターiに対応する電気角θ[i]と、その電気角θ[i]での余弦値および正弦値とをテーブルから読み出す。座標変換部53は、読み出した電気角θと第1電圧のみを含むγ軸電圧Vγ*とから、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相を算出する。
その次のステップS112において、PWM変換部54は、予め設定した電圧印加時間の間、PWM信号であるインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を駆動回路40に出力する。
その次のステップS113において、駆動回路40のインバーター回路41は、上記のインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−に基づいてブラシレスDCモーター30のステーター巻線31の各相に、パルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wを印加する。
その次のステップS114において、図1のU相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、通電期間内でのU相ピーク電流IupおよびV相ピーク電流Ivpを検出する。たとえば、図1のU相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、予め定められたサンプリング周期で通電期間内のU相電流IuおよびV相電流Ivを検出し、初期位置推定部57が、検出されたU相電流IuおよびV相電流Ivからピーク値を特定するようにしてもよい。もしくは、通電期間の終了時点におけるU相電流IuおよびV相電流Ivの値を、それぞれU相ピーク電流IupおよびV相ピーク電流Ivpとしてもよい。
その次のステップS115において、座標変換部55は、U相ピーク電流IupおよびV相ピーク電流IvpからW相ピーク電流Iwpを、Iwp=−Iup−Ivpに従って計算する。座標変換部55は、ステップS111で選択した電気角度θ[i]に基づいて、各相のピーク電流Iup,Ivp,Iwpから座標変換により、γ軸のピーク電流Iγpおよびδ軸のピーク電流Iδpを計算する。
その次のステップS116において、座標変換部53は、パラメーターiに対応する電気角度θ[i]に180°を加えた、電気角θ[i]+180°と、その電気角θ[i]+180°での余弦値および正弦値とをテーブルから読み出す。座標変換部53は、読み出した電気角度θ(電気角度θ+180°)と、第1電圧および第2電圧を含むγ軸電圧Vγ*とから、U相電圧Vu*、V相電圧Vv*、およびW相電圧Vw*を算出する。
その次のステップS117において、PWM変換部54は、予め設定した電圧印加時間の間、PWM信号であるインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を駆動回路40に出力する。
その次のステップS118において、駆動回路40のインバーター回路41は、上記のインバーター駆動信号U+,U−,V+,V−,W+,W−に基づいてブラシレスDCモーター30のステーター巻線31の各相に、パルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wを印加する。
以上のステップS110〜S118は、全通電回数nだけ(すなわち、ステップS119でi≧nの判定式がYESとなるまで)繰り返される。
次のステップS120において、初期位置推定部57は、上記のステップS116で計算した電気角度θ[i]ごとのγ軸電流のピーク値Iγp[i]の絶対値の最大値を求める。そして、ステップS121において、初期位置推定部57は、γ軸電流のピーク値Iγp[i]の絶対値が最大となる電気角度θ[i]をローターの磁極の初期位置θとして設定する。
[実施の形態1の効果]
実施の形態1のモーター制御装置70によれば、インダクティブセンス方式でローターの磁極の初期位置が推定される。具体的に、センサレスベクトル制御部50は、モーター30のローターの磁極の初期位置をインダクティブセンス方式を用いて推定する際に、複数の通電角度を順次変更しながら通電角度ごとに、ステーター巻線31に第1電圧を印加させる。また、センサレスベクトル制御部50は、電流検出回路43が検出した検出電流の値に基づいて第1電圧とは逆極性の第2電圧を決定する。センサレスベクトル制御部50は、第2電圧を第1電圧の印加の後ステーター巻線31に印加させるように駆動回路40を制御する。センサレスベクトル制御部50は、電気角ごとの検出電流の値に基づいて、モーター30のローターの初期位置を推定する。これによって、インダクティブセンス方式を用いて、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能なモーター制御装置70を提供することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、インダクティブセンス方式のローターの磁極の初期位置推定において、センサレスベクトル制御部50の初期位置推定部57が、γ軸電圧Vγ*に含まれる第1電圧および第2電圧のそれぞれに基づいて決定された各電圧を、ステーター巻線31の各相に印加することについて説明した。
ここで、初期位置推定部57は、ステーター巻線の各相に印加する第2電圧を定電圧にすると、図8の時刻t3に示すようにγ軸電流Iがアンダーシュートすることにより0を下回った値(たとえば、−0.2)となる。このように定電圧の第2電圧がステーター巻線31の各相に印加されると、γ軸電流Iγがアンダーシュートするので、電流が0になるまでに多くの時間(たとえば、時刻t3から時刻t4までの時間)を要する。
実施の形態2では、このように波形の立ち下がりにおいて、電流が0を下回るアンダーシュートを小さくして、より短い時間で電流をピーク値から0に収束させる。より具体的には、初期位置推定部57は、検出電流に基づくγ軸電流Iγの値と、γ軸電流Iγの目標値とを用いたフィードバック制御を行う。さらに、定常偏差が残ることを防止するために、PI制御部157の比例ゲインおよび積分ゲインを偏差の大きさに応じて変化させる点についても説明する。
なお、γ軸電流成分はステーター巻線に印加される電圧と同じ電気角を有する成分であり、δ軸電流成分はγ軸電流成分と電気角が90度異なる成分である。γ軸電流成分を第1の電流成分とも称し、δ軸電流成分を第2の電流成分とも称する。実施の形態2のその他の点は実施の形態1の場合と同様であるので、説明を繰り返さない。
[初期位置推定部57が行うフィードバック制御]
図10は、初期位置推定部57が行うフィードバック制御について説明する図である。初期位置推定部57は、フィードバック制御部としてPI制御部157を含む。初期位置推定部57は、PI制御部157を用いて、γ軸電流Iγの目標値とγ軸電流Iγの検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧Vγ*を設定する。初期位置推定部57は、設定したγ軸電圧Vγ*を座標変換部53に出力する。なお、座標変換部53と、座標変換部53からの出力を受け付けるPWM変換部54と、PWM変換部54からの出力を受け付ける駆動回路40と、駆動回路40から出力を受け付けるブラシレスDCモーター30とは、図5で説明した構成と同じ構成である。そのため、これらの構成の説明を繰り返さない。
駆動回路40からは検出電流が出力される。当該検出電流はフィードバックループにより、座標変換部55に入力される。座標変換部55は、入力された検出電流をγ軸電流Iγに変換する。
初期位置推定部57は、座標変換部55からγ軸電流Iγの入力を受け付けて、γ軸電流Iγの目標値との偏差を算出する。初期位置推定部57におけるPI制御部157は、偏差の入力を受け付ける。
PI制御部157は、比例制御部171と積分制御部172とを含む。比例制御部171は比例ゲインKpを有する。積分制御部172は、積分ゲインKiを有する比例要素と積分要素1/Sとを含む。比例制御部171における比例ゲインKpと、積分制御部172における積分ゲインKiとは、検出電流の値に基づいて、ゲインの値がそれぞれ変更される。より具体的には、比例ゲインKpと積分ゲインKiとは、γ軸電流Iγの目標値とγ軸電流Iγの値との偏差に基づいて、それぞれの値が変更される。
図11は、γ軸電流の検出値と目標値との偏差に応じて、第2電圧が変化することを表わす図である。図11(A)は、比較のために図8(B)で説明した実施の形態1の場合を示し、図11(B)は実施の形態2の場合を示す。
図11(A)では、第1電圧の直後に一定の第2電圧に基づく電圧がステーター巻線31に印加される場合を示す。一定の第2電圧に基づく電圧がステーター巻線31に印加されると、電気角0度におけるピーク値Iγp3から次の電気角30度においてγ電流Iγが0から増加し始めるまでに比較的長い時間(図11(A)の場合、時刻t2から時刻t4までの時間間隔220)を要する。
これに対して、図11(B)に示すように、第1電圧の直後に出力される第2電圧を変化させた場合、電気角0度におけるピーク値Iγp5から次の電気角30度におけるγ電流Iγが0から増加し始めるまでの時間間隔(時刻t2から時刻t3aまでの時間間隔260)は、時間間隔220よりも短くなる。すなわち、時間間隔260は、時間間隔220よりも時間間隔270だけ短い。このように時間間隔が短くなるのは、第2電圧に基づく各相の電圧がステーター巻線に印加されているときの時刻t2から時刻t3、または、時刻t4から時刻t5において、検出電流の値に基づいて第2電圧を変化させるためである。これにより、第2電圧を定電圧とする場合に比べて、センサレスベクトル制御部50は、より短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能となる。
図12は、図11の時刻t1から時刻t3を含むγ軸電圧Vγ*とγ軸電流Iγとを拡大した図である。図12(A)にγ軸電圧Vγ*の時間変化を示し、図12(B)に対応するγ軸電流Iγの時間変化を示す。
初期位置推定部57は、図12(A)に示すように、時刻t1から時刻t2までの間、電気角θをたとえば0度に設定するとともに、γ軸電圧Vγ*として第1電圧を設定する。第1電圧は、たとえば、正の値となる。ステーターのU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wには、第1電圧に基づくパルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wがそれぞれ印加される。この結果、図12(B)に示すように、γ軸電流Iγは、時刻t1から時刻t2までの間、0から徐々に増加し、時刻t2でピーク値Iγp5に達する。
次に、フィードバック制御の結果、定常偏差が残ることを防止するために、比例ゲインKpおよび積分ゲインKiを偏差に応じて変化させる点について説明する。図10を再び参照して、これまで説明したように、初期位置推定部57は、γ軸電流Iγにおけるピーク値Iγp5と、γ軸電流Iγの目標値との偏差を算出する。γ軸電流Iγの目標値は、たとえば、0である。初期位置推定部57は、フィードバック制御によりγ軸電流Iγの目標値とγ軸電流Iγとの偏差を算出する。そして、初期位置推定部57は、PI制御部157に含まれる比例ゲインKpを含む比例制御部171と、積分ゲインKiおよび積分要素1/Sを含む積分制御部172を用いて電圧を設定する。これにより、センサレスベクトル制御部50は、PI制御を用いて偏差に応じた電圧を設定し、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能となる。以下ではPI制御部157における比例ゲインKpおよび積分ゲインKiの具体的な設定例について、図10、図12および図13を参照して説明する。
図13は、偏差に対応付けられた比例ゲインKpおよび積分ゲインKiの設定値を含むテーブル310を表わす図である。このテーブル310は、たとえば、メモリに予め格納されている。初期位置推定部57は、図13のテーブル310に基づいて、偏差が3に対応付けられたゲインの値である5を図10の比例ゲインKpに設定し、ゲインの値である0を積分ゲインKiに設定する。PI制御部157は、比例制御部171が比例ゲインKpのゲインの値に基づき偏差を定数倍して値が−15となる第2電圧を設定する。その結果、図12における第2電圧は、時刻t2から時刻t2aの間において−15となり、第2電圧の−15に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加される。
次に、図12の時刻t2aにおいてγ軸電流Iγは1の値となる。図10および図13を再び参照し、初期位置推定部57は、γ電流Iγの1の値と、γ軸電流Iγの目標値の0との偏差を算出する。初期位置推定部57は、フィードバック制御の偏差である1を算出する。初期位置推定部57は、図13のテーブル310に基づいて、偏差の1に対応付けられたゲインの値である5を図10の比例ゲインKpに設定し、0を積分ゲインKiに設定する。PI制御部157は、比例制御部171が比例ゲインKpのゲインの値に基づき偏差を定数倍して値が−5となる第2電圧を設定する。その結果、図12における第2電圧は、時刻t2aから時刻t2bの間において−5となり、第2電圧の−5に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加される。
次に、図12の時刻t2bにおいてγ軸電流Iγは0.5の値となる。図10および図13を再び参照し、初期位置推定部57は、γ電流Iγの0.5の値と、γ軸電流Iγの目標値の0との偏差を算出する。初期位置推定部57は、フィードバック制御により偏差である0.5を算出する。初期位置推定部57は、図13のテーブル310に基づいて、偏差が0.5に対応付けられたゲインの値である5を図10の比例ゲインKpに設定し、0を積分ゲインKiに設定する。PI制御部157は、比例制御部171が比例ゲインKpのゲインの値に基づき偏差を定数倍して値が−5となる第2電圧を設定する。その結果、図12における第2電圧は、時刻t2aから時刻t2bの間において−5となり、第2電圧の−2.5に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加される。
次に、図12の時刻t2cにおいてγ軸電流Iγは0.2の値となる。図10および図13を再び参照し、初期位置推定部57は、γ電流Iγの0.2の値と、γ軸電流Iγの目標値の0との偏差を算出する。初期位置推定部57は、フィードバック制御の偏差である0.2を算出する。初期位置推定部57は、図13のテーブル310に基づいて、偏差が0.2に対応付けられた2を図10の比例ゲインKpに設定し、0.5を積分ゲインKiに設定する。PI制御部157は、比例制御部171が比例ゲインKpのゲインの値に基づき偏差を定数倍して値が−5となる第2電圧を設定する。その結果、図12における第2電圧は、時刻t2aから時刻t2bの間において−0.5となり、第2電圧の−0.5に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加される。
このように初期位置推定部57は、比例制御部171における比例ゲインおよび積分制御部172における積分ゲインの少なくともいずれかを検出電流の値に基づいて変更する。これにより、モーター制御装置70は、PI制御における比例ゲインと積分ゲインとを適切な値に調整しながら電圧を設定し、短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能となる。
また、初期位置推定部57は、偏差の絶対値が予め定められた値(たとえば、0.5)以上の場合に、比例制御部171における比例ゲインKpの値を比較的大きくし、積分制御部172における積分ゲインの値を比較的小さくして第2電圧を設定する。たとえば、図13に示すように、初期位置推定部57は、偏差が3から0.5の場合は、比例ゲインKpのゲインの値を5とし、偏差が0.2の場合におけるゲインの値の2よりも大きくする。また、初期位置推定部57は、偏差が3から0.5の場合は、比例ゲインKpのゲインの値を5とし、偏差が0.2の場合におけるゲインの値の2よりも大きくする。
また、初期位置推定部57は、偏差の絶対値が予め定められた値(たとえば、0.5)未満の場合に、比例制御部171における比例ゲインKpの値を比較的小さくし、積分制御部172における積分ゲインの値を比較的大きくして第2電圧を設定する。たとえば、図13に示すように、初期位置推定部57は、偏差が0.2の場合は、比例ゲインKpのゲインの値を2とし、偏差が0.5の場合におけるゲインの値の5よりも小さくする。また、初期位置推定部57は、偏差が0.2の場合は、積分ゲインKiのゲインの値を0.5とし、偏差が0.2の場合におけるゲインの値の0よりも大きくする。これにより、定常偏差の値をより小さくすることができるので、早期にγ軸電流Iγの値を目標値に収束させられる。
[ローターの磁極の初期位置の推定手順]
図14は、実施の形態2において、ローターの磁極の初期位置推定の手順の例を示すフローチャートである。実施の形態1における図9のフローチャートのステップと同一または相当するステップには,同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図14を参照して、ステップS130において、初期位置推定部57は、図9のステップS115で示したγ軸ピーク電流Iγpの計算の後、図10の比例ゲインKpの値の初期値と、積分ゲインKiの値の初期値とを設定する。
ステップS131において、初期位置推定部57は、予め定められたタイミングでγ軸電流Iγを計算する。予め定められたタイミングは、たとえば、図12に示した時刻t2、時刻t2a,時刻t2b、時刻t2cおよび時刻t3のそれぞれである。
ステップS132において、初期位置推定部57は、γ軸電流Iγの目標値と、γ軸電流Iγの値との偏差を算出する。γ軸電流Iγの値は、電流検出回路43により検出された検出電流に基づく値である。
ステップS133において、初期位置推定部57は、偏差の絶対値が閾値未満か否かを判定する。偏差の絶対値が閾値未満の場合(ステップS133においてYES)には、初期位置推定部57は、テーブル310を参照して偏差の絶対値に応じたゲインの値を比例ゲインKpおよび積分ゲインKiに設定する。そうでない場合には(ステップS133においてNO)ステップS119よりも時間的に前に実行される処理が全通電回数nだけ繰り返される。
[実施の形態2の効果]
実施の形態2のモーター制御装置70によれば、インダクティブセンス方式でローターの磁極の初期位置が推定される。具体的に、センサレスベクトル制御部50は、初期位置を推定する際に、ステーター巻線31の各相に電気角ごとに印加される電圧を決定するための電圧を設定する。電圧は、正および負いずれかの第1電圧と、第1電圧の直後に印加される第1電圧とは逆極性の第2電圧とを含む。センサレスベクトル制御部50は、第2電圧に基づく各相の電圧がステーター巻線31に印加されているとき、検出電流の値に基づくフィードバック制御によって、第2電圧の値を変化させる。これによって、インダクティブセンス方式を用いて、第2電圧が定電圧の場合に比べてより短時間で精度良くローターの磁極の初期位置を推定することが可能なモーターの制御装置を提供することができる。さらに、センサレスベクトル制御部50は、フィードバック制御の偏差の絶対値が閾値未満となった場合に、比例ゲインKpの値より小さな値に変更し、積分ゲインKiの値をより大きな値に変更する。これによって、定常偏差を小さくすることができる。
<実施の形態3>
実施の形態2では、インダクティブセンス方式のローターの磁極の初期位置推定において、初期位置推定部57は、γ軸電流Iγの目標値を0に設定し、目標値と検出電流に基づくγ軸電流Iγの値とを用いたフィードバック制御を行うことについて説明した。
これに対して、実施の形態3では、初期位置推定部57は、連続的またはステップ状に目標値を減少させる。より具体的には、初期位置推定部57は、γ軸電流Iγの目標値をステーター巻線31の電流特性の時定数に基づいて指数関数的に減少させる。
図15は、目標値が0の場合の偏差と、目標値が指数関数的に減少する場合の偏差とについて説明する図である。図15(A)では、目標値410に示すように目標値は0である。第2電圧の印加開始時(時刻t2)は偏差が大きく、その後時間が経過するについて偏差は減少する。そして、時刻t3で偏差は0となる。このように目標値が0の場合は、時間の経過に伴う偏差の変化は大きい。
図10のPI制御部157において、γ電流Iγの目標値が目標値410のように0の場合、第2電圧の印加開始時(時刻t2)には、γ軸電流Iγの目標値とγ軸電流Iγとの偏差が大きい。その後、比例制御部171を用いた制御により時間の経過とともに偏差は小さくなる。しかしながら、比例制御部171を用いた制御のみではその後の制御において、偏差はある値以下とはならずに定常偏差が残る可能性が高い。PI制御部157は、偏差が残った場合は、当該偏差の大きさに応じて、比例制御部171の比例ゲインをこれまでよりも小さくし、積分制御部172の積分ゲインをこれまでよりも大きくして、γ軸電流Iγを目標値の0に収束させる必要がある。
これに対して、図15(B)では、電流検出回路43がγ軸電流Iγのピーク値Iγp5を検出した時刻t2からγ軸電流Iγが目標値411に収束する時刻t3までの間、時間の経過に伴う偏差の変化は図15(A)の目標値が0の場合と比べて小さい。PI制御部157は、γ電流Iγの目標値が目標値411のように指数関数的に減少する場合、フィードバック制御を開始した当初(たとえば、時刻t12)からそれ以降において、比例制御部171のみを用いた制御だけでも、定常偏差をほとんど残さずに、γ軸電流Iγを目標値(たとえば、時刻t13では目標値が0の値)に収束させられる。なお、指数関数的に減少する目標値411は、ブラシレスDCモーター30のインダクタンスに基づき予め実験等により算出されて、上述のとおりメモリに格納される。
[実施の形態3の効果]
実施の形態3のモーター制御装置70によれば、モーター制御装置70は、フィードバック制御を用いて、γ軸電流Iγの目標値と、γ軸電流Iγの値との偏差を小さくする制御を行う。モーター制御装置70は、γ軸電流成分の目標値を、連続的またはステップ状に減少させる。より具体的には、モーター制御装置70は、γ軸電流成分の目標値をステーター巻線の電流特性の時定数に従って指数関数的に減少させる。これにより、モーター制御装置70は、比例制御部171に含まれる比例ゲインKpのみの変更により、γ軸電流Iγのγ電流の目標値411に対する偏差を小さくできる。
[画像形成装置の構成例]
図16は、画像形成装置の構成の一例を示す断面図である。図16の断面図は模式的なものであって、図解を容易にするために一部を拡大して示したり、縦横比を変更したりしている点に注意されたい。
図16を参照して、画像形成装置180は、タンデムカラープリンターとして構成される作像部181と、給紙機構182と、原稿読み取り装置160とを備える。画像形成装置180は、ネットワークに接続されてプリンター、スキャナー、コピー機、ファクシミリなどの機能を兼ね備えた多機能周辺装置(MFP:Multifunction Peripheral)として構成されていてもよい。
作像部181は、4個の感光体カートリッジ191,192,193,194と、1次転写ローラー131と、転写ベルト132と、トナーボトル123と、2次転写ローラー133と、定着装置105とを備える。この開示では、作像部181を画像形成部とも称する。
感光体カートリッジ191,192,193,194は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を形成する。感光体カートリッジ191,192,193,194の各々は、円筒の感光体110と、帯電器111と、光源を含む画像露光装置112と、現像ローラー121を含む現像装置102とを備える。
帯電器111は、感光体110の表面を一様に所定電位に帯電する。画像露光装置112は、感光体110の帯電域に、原稿画像に応じた画像を露光する。これによって、感光体110上に静電潜像が形成される。現像装置102は、現像バイアスが印加された現像ローラー121を利用して静電潜像にトナーを付着させることにより、可視トナー像を形成する。
なお、感光体カートリッジ191,192,193,194にそれぞれ対応して、4個のトナーボトル123が設けられる。トナーボトル123から対応の感光体カートリッジにトナーが供給される。トナーボトル123の内部には、トナーを攪拌するための攪拌羽124が設けられる。
4個の感光体110にそれぞれ対向して4個の1次転写ローラー131が設けられている。各感光体110と対応する1次転写ローラー131とで転写ベルト132を圧接する。さらに、1次転写ローラー131にはトナーを引き寄せるバイアスが印加されている。これによって、現像後の感光体110表面の可視トナー像は転写ベルト132に転写される。
転写ベルト132の上に転写された可視トナー像は、2次転写ローラー133の位置まで搬送される。2次転写ローラー133にも1次転写ローラーと同様に転写電圧が印加されている。これによって、転写ベルト132によって搬送された可視トナー像は、2次転写ローラー133と転写ベルト132とのニップ部で、記録媒体183である用紙に転写される。
記録媒体183に転写された可視トナー像は、定着装置105まで搬送される。定着装置105は、定着ローラー150を有し、定着ローラー150によって記録媒体183を加熱および加圧することによって記録媒体183上に可視トナー像を定着させる。定着後の記録媒体183は、排紙ローラー151によって排紙トレー152に排出される。
給紙機構182は、記録媒体183としての用紙を給紙カセット140,142から取り込んで2次転写ローラー133まで搬送する。給紙機構182は、給紙カセット140,142と、給紙ローラー141,143と、搬送ローラー144と、タイミングローラー145とを含む。この開示では、給紙機構182を給送機構とも称する。また、給紙ローラーを、記録媒体を給送するための給送ローラーとも称する。
1段目の給紙カセット140に収容された記録媒体183は、給紙ローラー141によって1枚ずつ取り出され、タイミングローラー145まで搬送される。2段目の給紙カセット142に収容された記録媒体183は、給紙ローラー143によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラー144を介してタイミングローラー145まで搬送される。
タイミングローラー145は、供給された記録媒体183を一旦停止させる。これによって、転写ベルト132上に転写された可視トナー像が2次転写ローラー133まで搬送されるタイミングと、記録媒体183が2次転写ローラー133に供給するタイミングとを調整する。
原稿読み取り装置160は、原稿用紙161上の原稿画像を読み取ることによって、画像データを生成する。図17に示す例では、原稿読み取り装置160は、作像部181の上部に設けられる。原稿読み取り装置160は、原稿台162と、給紙ローラー170と、原稿搬送ローラー163,173と、原稿排出ローラー174と、排紙トレー175と、光源164と、ミラー165と、レンズ166と、CCD(Charged-Coupled Devices)などのイメージセンサー167とを備える。
原稿台162に載置された原稿用紙161は、給紙ローラー170によって1枚ずつ取り込まれる。原稿用紙161は、原稿搬送ローラー163,173によって搬送されることにより、原稿読み取り位置に到達する。
原稿読み取り位置において、原稿用紙161上の原稿画像に、光源164からの光が照射される。原稿用紙161の表面で反射された光は、ミラー165で反射された後にレンズ166で集光されてイメージセンサー167に入射される。この結果、原稿用紙161の上の原稿画像がイメージセンサー167のセンサー面上に結像し、イメージセンサー167によって原稿画像の画像データが生成される。
原稿読み取り位置を通過した原稿用紙161は、原稿排出ローラー174によって排紙トレー175に排出される。
図17は、画像形成装置のローラーの駆動制御に用いられるモーターとその制御装置の構成を示すブロック図である。以下、図17を参照してこれまでの説明を総括する。図17では、頻繁に起動と停止とを繰り返さなければならないローラー90が代表的に示されている。ローラー90は、図16の給紙ローラー141,143,170およびタイミングローラー145に対応する。
ローラー90を駆動するブラシレスDCモーター30は、頻繁に起動と停止とを繰り返すので、応答性が良いインナーローター型が望ましい。
モーター制御装置70は、ブラシレスDCモーター30を駆動制御するための駆動回路40およびセンサレスベクトル制御部50と上位制御部60とを含む。
駆動回路40の構成は、図1の駆動回路40の構成と同じであるので、説明を繰り返さない。
センサレスベクトル制御部50は、実施の形態1,2等で説明したセンサレスベクトル制御部50の構成および動作と同じである。センサレスベクトル制御部50は、ブラシレスDCモーター30を起動させる際に、インダクティブセンス方式で静止状態にあるローターの磁極の初期位置を推定する。このとき、センサレスベクトル制御部50は、第1電圧および第2電圧を含む電圧を設定する。そして電圧指定値に基づき決定された電圧がステーター巻線31の各相に印加される。
上位制御部60は、センサレスベクトル制御部50に起動指令、停止指令、および回転速度指令などを出力する。
<変形例>
実施の形態2では、積分制御部172に含まれる積分ゲインKiのゲインの値をγ軸電流Iγの目標値とγ軸電流Iγとの偏差に基づき設定することについて説明した。これに対して、積分ゲインKiのゲインの値は、実験等により予め求められたステーター巻線31の電流特性の時定数に基づいて設定してもよい。これにより、モーター制御装置70は、積分制御部172に含まれる比例ゲインKpのみを変更することで、γ軸電流Iγの偏差を小さくできる。
実施の形態の1,2では、γ電流Iγの目標値を0として説明した。これに対して、目標値は、センサレスベクトル制御部50の処理におけるLSB(Least Significant Bit)に応じた値(たとえば、略0の値)としてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
30 ブラシレスDCモーター、31 ステーター巻線、32 中性点、35 ローター、40 駆動回路、41 インバーター回路、42U,42V,42W アーム回路、43,43U,43V 電流検出回路、44 プリドライブ回路。50 センサレスベクトル制御部、51 回転速度制御部、52 電流制御部、53 座標変換部、54 PWM変換部、55 座標変換部、56 磁極位置推定部、57 初期位置推定部、60 上位制御部、70 モーター制御装置、102 現像装置、105 定着装置、110 感光体、111 帯電器、112 画像露光装置、121 現像ローラー、123 トナーボトル、124 攪拌羽、131 1次転写ローラー、133 2次転写ローラー、132 転写ベルト、140,142 給紙カセット、141,143,170 給紙ローラー、144 搬送ローラー、145 タイミングローラー、150 定着ローラー、151 排紙ローラー、152,175 排紙トレー、157 PI制御部、160 原稿読み取り装置、161 原稿用紙、162 原稿台、163,173 原稿搬送ローラー、164 光源、165 ミラー、166 レンズ、167 イメージセンサー、171 比例制御部、172 積分制御部、174 原稿排出ローラー、180 画像形成装置、181 作像部、182 給紙機構、183 記録媒体、191,192,193,194 感光体カートリッジ、210,220,230,260,270 時間間隔、310 テーブル、410,411 目標値。

Claims (13)

  1. センサレス方式のモーターを制御するモーター制御装置であって、
    前記モーターのステーター巻線の各相に電圧を印加するための駆動回路と、
    前記ステーター巻線に流れる電流を検出する電流検出回路と、
    前記駆動回路を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記モーターのローターの磁極の初期位置をインダクティブセンス方式を用いて推定する際に、
    複数の通電角度を順次変更しながら前記通電角度ごとに、前記ステーター巻線に第1電圧を印加させるとともに、前記電流検出回路が検出した検出電流の値に基づいて前記第1電圧とは逆極性の第2電圧を決定し、当該第2電圧を前記第1電圧の印加の後前記ステーター巻線に印加させるように前記駆動回路を制御する、モーター制御装置。
  2. 前記制御部は、前記第2電圧が前記ステーター巻線に印加されているとき、前記検出電流の値に基づいて、前記第2電圧の値を変化させる、請求項1に記載のモーター制御装置。
  3. 前記制御部は、前記第2電圧を前記検出電流の値に基づいて設定するためのフィードバック制御部を含む、請求項2に記載のモーター制御装置。
  4. 前記フィードバック制御部は、比例制御部と積分制御部とを含み、
    前記制御部は、前記比例制御部における比例ゲインおよび前記積分制御部における積分ゲインの少なくともいずれかを前記検出電流の値に基づいて変更する、請求項3に記載のモーター制御装置。
  5. 前記フィードバック制御部は、積分制御部を含み、
    前記制御部は、前記ステーター巻線の電流特性の時定数に基づいて前記積分制御部の積分ゲインを設定する、請求項3に記載のモーター制御装置。
  6. 前記制御部は、前記ステーター巻線に流れる電流を、前記ステーター巻線への印加電圧と同じ電気角を有する第1の電流成分と、前記第1の電流成分と電気角が90度異なる第2の電流成分とに変換し、
    前記フィードバック制御部は、前記第1の電流成分の目標値と、前記第1の電流成分の値との偏差に基づいて前記第2電圧を設定する、請求項3に記載のモーター制御装置。
  7. 前記フィードバック制御部は、比例制御部と積分制御部とを含み、
    前記制御部は、前記偏差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記偏差の絶対値が前記予め定められた値以上の場合よりも、前記比例制御部における比例ゲインの値を小さくし、かつ、前記積分制御部における積分ゲインの値を大きくする、請求項6に記載のモーター制御装置。
  8. 前記第1の電流成分の目標値は0である、請求項6に記載のモーター制御装置。
  9. 前記制御部は、前記第1の電流成分の目標値を、連続的またはステップ状に減少させる、請求項6に記載のモーター制御装置。
  10. 前記制御部は、前記第1の電流成分の目標値を、前記ステーター巻線の電流特性の時定数に基づいて指数関数的に減少させる、請求項9に記載のモーター制御装置。
  11. 前記モーターは、インナーローター型のモーターである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のモーター制御装置。
  12. 記録媒体を1枚ずつ給送する給送ローラーと、
    給送した前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
    前記給送ローラーを駆動するためのモーターを制御する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のモーター制御装置とを備える、画像形成装置。
  13. インダクティブセンス方式によるモーターのローターの磁極の初期位置推定方法であって、
    それぞれ異なる通電角度で前記モーターのステーター巻線に電圧を印加する複数回の電圧印加ステップを備え、
    各回の前記電圧印加ステップは、
    対応する前記通電角度で第1電圧を印加するステップと、
    前記ステーター巻線に流れる電流の検出値に基づいて、前記第1電圧とは逆極性の第2電圧を印加するステップとを含み、
    各回の前記第1電圧の印加時における前記通電角度に応じた前記ステーター巻線の電流値の変化に基づいて、前記ローターの磁極の初期位置を推定するステップをさらに備える、初期位置推定方法。
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