JP2001064683A - 光触媒膜の光触媒作用復帰方法及びそれに用いる洗浄剤 - Google Patents

光触媒膜の光触媒作用復帰方法及びそれに用いる洗浄剤

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JP2001064683A
JP2001064683A JP24283299A JP24283299A JP2001064683A JP 2001064683 A JP2001064683 A JP 2001064683A JP 24283299 A JP24283299 A JP 24283299A JP 24283299 A JP24283299 A JP 24283299A JP 2001064683 A JP2001064683 A JP 2001064683A
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Nobuyuki Nakada
信之 中田
Takashi Imai
貴志 今井
Hideo Fukui
英夫 福井
Nobuyuki Bansho
信幸 番匠
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子シーリング材に含有されている可塑剤
や油脂分、特にシリコーン系シーリング材に含有されて
いるシリコーン系オイルが滲み出て多量に付着し、これ
らに起因する汚れが光触媒膜上に固着して光触媒膜本来
の防汚性能、易洗浄性が低下しても、このような汚れを
容易に除去し、光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性を復
帰させる方法及びそれに用いる洗浄剤を提供する。 【解決手段】 有機物質が半導体微粒子あるいは半導体
微粒子を含む材料からなる光触媒膜上に固着し、光触媒
膜本来の防汚性能、易洗浄性が低下した際に、酸、塩基
及び溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
する洗浄剤で光触媒膜上に固着した汚れを除去し、上記
防汚性能、易洗浄性を復帰させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒膜の光触媒
作用復帰方法及びそれに用いる洗浄剤に関し、さらに詳
しくは、有機物、特に建築物外装の施工等に使用される
各種シーリング材(予め成形された所定形状の固体のシ
ーリング材及び液状のシーリング材のいずれも含む。)
から滲み出る可塑剤、油脂分に起因する汚れが、半導体
微粒子あるいは半導体微粒子を含む材料からなる光触媒
膜上に固着し、光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が低
下した際に、このような汚れを除去し、光触媒膜の防汚
性能、易洗浄性を復帰させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】カーテンウォール等の外装建材の場合、
ガラス、金属、石材等のパネル材を枠材に固定し、水密
性、気密性を持たせる為に有機高分子材料のシーリング
材が使用されている。これらのシーリング材は、適度な
弾力を持たせる為に各種の可塑剤や油脂分を含有してい
る。このようなシーリング材は、時間が経過すると、そ
の内部に含有された可塑剤や油脂分がシーリング材表面
に滲み出し、さらには、風雨等によって飛散してパネル
材や枠材の表面(室外側表面)に拡散、付着する。この
ような可塑剤や油脂分は、排気ガス、煤煙、塵埃などの
汚れを建材表面に固着させるバインダーとして作用し、
汚れの堆積を促進し、建築物外装の黒ずみ汚れの原因と
なり、さらに、建築物の美観を低下させる大きな問題と
なっている。
【0003】ところで、TiO2に代表される光触媒作
用を有する半導体微粒子が、その光触媒作用により有機
物の分解を行ない、その作用に基づき抗菌・防黴・防汚
・防臭作用を有することは従来から広く知られており、
最近ではそれらを利用して、細菌や黴が繁殖しにくい様
々な材料が研究、開発されている。また、TiO2に代
表される光触媒作用を有する半導体微粒子が存在する場
合、光照射下で基材に対する水の接触角を低下させ、親
水性を呈するようにするという現象も見出され、この作
用を利用した防汚建材が開発されている(特開平9−2
28602号)。さらに、本発明者らは、光触媒作用が
シーリング材から滲み出てくる可塑剤、油脂分に起因す
る汚れの防止及び易洗浄化に効果があることを見出し、
外装建材に、シーリング材に接する部位を除き、その近
傍表面に光触媒膜をコーティングすることを提案してい
る(特開平8−302856号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、光触
媒を外装建材に応用すると、シーリング材から滲み出て
くる可塑剤、油脂分に起因する汚れの防止及び易洗浄化
に効果がある。しかし、外装建材のシーリング材下部等
の部位では、光触媒作用による分解除去速度や親水性に
よる洗浄速度を上回る速度で、可塑剤や油脂分が拡散、
滞留するために、汚れの除去効果が低下するという問題
が生じる。また、光触媒を利用した建材の場合、他の部
位は清浄性が維持されているため、シーリング材下部等
に汚れが堆積した場合、逆に目立ってしまうという問題
が生じる。
【0005】さらに、シリコーン系シーリング材に含有
されているようなシリコーン系オイルが滞留した場合、
このシリコーン系オイルが光触媒作用で変質し、強固に
光触媒表面に固着すると共に、光触媒膜の親水化を阻害
し、光触媒膜の防汚性、易洗浄性を著しく低下させるこ
とを本発明者らは明らかにした。以下、この点について
説明する。シリコーン系オイルの代表的なものとしてポ
リジメチルシロキサンの化学式を以下に示す。シリコー
ン系オイルは珪素−酸素結合を骨格としており、また珪
素にメチル基等のアルキル基が結合している。
【化1】
【0006】酸化チタン等の光触媒は、紫外線照射下で
空気中の水分や酸素を活性種に変化させる。この活性種
が、下記式に示すように、シリコーン系オイルのアルキ
ル基を酸化・分解し、珪素−酸素結合を生じさせてい
く。
【化2】
【0007】従来の光触媒膜の組成は、例えば特許第2
756474号公報に示されているように、光触媒膜の
親水性を向上させるために、あるいは暗時での水接触角
の増大を防止するために、無機系酸化物、特にシリカ系
酸化物やシリコーン樹脂が配合されている。このような
物質と前記珪素−酸素結合を生じて高分子化したシリコ
ーン系オイルは、同様の化学結合を有しているため化学
的親和性に優れており、一旦シリコーン系オイルが変質
して光触媒膜上に付着すると、その除去が非常に困難と
なる(下記化学式参照)。
【化3】
【0008】さらに、光触媒作用によるシリコーン系オ
イルのアルキル基の分解が不充分であった場合、このシ
リコーン系オイル変質物は、残存アルキル基によって撥
水性を示す。このような物質が光触媒膜表面に固着する
と、光触媒膜の親水化を阻害するため、水による易洗浄
性を大きく低下させる。易洗浄性が低下した光触媒膜表
面には各種汚れが堆積してしまい、光触媒膜表面を覆
い、この光触媒膜への光の入射量を著しく低減させてし
まう。従って、光触媒膜の有する有機物酸化分解効果が
低下し、シリコーン系オイル変質物の残存アルキル基の
分解が行なえなくなってしまう。また、光触媒膜の親水
化現象をも阻害してしまう。
【0009】上記のような理由により、シリコーン系オ
イルが光触媒膜表面に多量に付着すると、光触媒膜の有
する有機物分解効果及び親水化効果を阻害し、その除去
自体が困難になるばかりでなく、このシリコーン系オイ
ル変質物によって堆積した汚れを水によって除去するこ
とが非常に困難となることは明白である。
【0010】従って、本発明の目的は、高分子シーリン
グ材に含有されている可塑剤や油脂分、特にシリコーン
系シーリング材に含有されているシリコーン系オイルが
滲み出て多量に付着し、これらに起因する汚れが半導体
微粒子あるいは半導体微粒子を含む材料からなる光触媒
膜上に固着して光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が低
下しても、このような汚れを容易に除去し、光触媒膜本
来の防汚性能、易洗浄性を復帰させる方法を提供するこ
とにある。さらに本発明の目的は、このような光触媒膜
の光触媒作用復帰方法に好適に用いることができる洗浄
剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、有機物質が半導体微粒子あるいは
半導体微粒子を含む材料からなる光触媒膜上に固着し、
光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が低下した際に、
酸、塩基及び溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1
種を含有する洗浄剤で光触媒膜上に固着した汚れを除去
し、上記防汚性能、易洗浄性を復帰させることを特徴と
する光触媒膜の光触媒作用復帰方法が提供される。
【0012】より特定的な態様においては、シリコーン
系シーリング材から滲み出た油脂成分が半導体微粒子あ
るいは半導体微粒子を含む材料からなる光触媒膜上に固
着し、光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が低下した際
に、酸、塩基及び溶剤よりなる群から選ばれる少なくと
も1種を含有する洗浄剤で光触媒膜上に固着した汚れを
除去し、上記防汚性能、易洗浄性を復帰させることを特
徴とする光触媒膜の光触媒作用復帰方法が提供される。
さらに本発明によれば、前記のような光触媒作用復帰方
法に好適に用いることができ、酸、塩基及び溶剤よりな
る群から選ばれる少なくとも1種を含有する光触媒膜の
洗浄剤も提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】前記した課題を解決する方法とし
ては、まず、シーリング材自体に光触媒作用を有する半
導体微粒子(以下、光触媒微粒子という)を均一に含有
させ、その光触媒作用で各種シーリング材に含有される
可塑剤、油脂等を分解あるいは変質させ、それらの滲み
出しを低下させるという方法がある。しかしながら、シ
ーリング材に光触媒微粒子を添加し、この光触媒作用で
滲み出てくる可塑剤、油脂等を分解するためには、その
配合量を多くする必要がある。しかし、多量の光触媒微
粒子の添加によってシーリング材自体の柔軟性が損なわ
れ、千切れ易くあるいは切れ易くなったりするように、
シーリング材の機械的強度が低下するという問題があ
る。また、光触媒作用は光が照射される部位にのみ起き
る現象であり、シーリング材全体に光触媒微粒子を添加
しても、内部に含有された光触媒微粒子は全く光が照射
されないため無駄になるのみであり、充分な効果は得ら
れ難い。
【0014】これに対して、本発明の光触媒膜の光触媒
作用復帰方法は、有機物質が光触媒膜上に固着し、光触
媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が低下した際に、酸、塩
基及び溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含
有する洗浄剤で光触媒膜上に固着した汚れを除去するも
のである。これにより、高分子シーリング材に含有され
ている可塑剤や油脂分、特にシリコーン系シーリング材
に含有されているシリコーン系オイルが滲み出て多量に
付着し、これらに起因する汚れが光触媒膜上に固着して
光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が低下しても、この
ような汚れを容易に除去し、光触媒膜本来の防汚性能、
易洗浄性を簡単に復帰させることができる。また、複数
の溶剤やアルカリ、酸を適宜組み合わせて用いることに
より、洗浄力が向上するばかりか、性質の異なる汚れ物
質に対しても良好な洗浄性及び親水性復帰効果を発揮で
きる。
【0015】前記酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン
酸、フッ化水素、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酸
性フッ化アンモニウム等が挙げられる。塩基としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
珪酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、アンモニア水等が
挙げられる。
【0016】また、溶剤としては、水の他に、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノ
ール、イソブタノール、ノルマルブタノール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケト
ン、メチルブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル類;ノルマ
ルへキサン、シクロヘキサン、へプタン等の炭化水素類
などが挙げられる。
【0017】特にシリコーン系シーリング材に起因する
汚れの除去には、汚れの原因物質であるシリコーン系オ
イル、ポリジメチルシロキサン(溶解度パラメーター=
7.3)と溶解度パラメーター(以下、SPと略称す
る)が近い溶剤が好ましく、SP=7.24であるノル
マルへキサン、SP=8.2であるシクロヘキサン、S
P=7.5であるノルマルへプタン等を用いることが好
ましい。また、同様に可塑剤による汚れの除去には、可
塑剤の溶解度パラメーターと近い溶剤を用いることが好
ましく、例えばシーリング材に可塑剤としてジオクチル
フタレート(以下、DOPと略称する)(SP=約1
0)が用いられていれば、SP=10.70のノルマル
ブタノール、イソブタノール、ノルマルヘキサノール、
SP=10.0のノルマルへプタノール、アセトン等を
用いることが好ましい。(各溶解度パラメーターは日本
接着協会編『接着ハンドブック』より引用)
【0018】前記のような各種有機溶剤を用いる場合
は、この溶剤自身が汚れを吸着したり、変質して光触媒
膜表面に固着することがないように、揮発性の溶剤を用
いることが好ましい。なお、本発明に用いる洗浄剤に
は、前記したような成分の他に、各種研磨剤や界面活性
剤を添加することができる。さらに、各成分の濃度は、
処理する光触媒膜の種類や汚れの程度に応じて適宜調整
することができる。
【0019】処理対象の光触媒膜としては、従来公知の
全ての光触媒膜が含まれ、またこれから開発される光触
媒膜であっても特別な弊害がない限り適用できる。特に
好適な光触媒膜としては、電子−正孔移動度が比較的大
きく、光触媒作用を有する半導体、例えばTiO2、S
rTiO3、ZnO、CdS、SnO2等、特にTiO2
が、さらに必要に応じて銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属又
は抗菌性金属化合物と共に、光触媒膜を形成したり、適
当な無機、有機系のバインダー中に分散したり、膜表面
に付着したりしているような光触媒膜などが挙げられ
る。
【0020】光触媒作用を有する半導体、抗菌性金属又
は抗菌性金属化合物の形態としては、個々の微粒子の形
態、光触媒微粒子の表面に抗菌性金属又は抗菌性金属化
合物が部分的に(又は一部の粒子は全体的でも構わな
い)付着している形態、光触媒微粒子の表面にシリカ等
の無機質バインダー微粒子が部分的に付着している形
態、光触媒微粒子の表面に無機質バインダー微粒子と抗
菌性金属又は抗菌性金属化合物が部分的に付着している
形態、抗菌性金属又は抗菌性金属化合物が付着している
無機質バインダー微粒子が光触媒微粒子の表面に付着し
ている形態など、種々の形態を採用できる。
【0021】また、処理する光触媒膜は、建築用外装及
び内装建材、シーリング材、建築物外装、建築物内装、
窓枠、窓ガラス、浴槽、洗面台、各種照明器具やカバ
ー、食器洗浄器、食器乾燥機、各種装置外装、各種表示
装置等、種々の構造物や部材、製品の表面に形成された
全ゆる光触媒膜が対象となる。さらに本発明の洗浄剤に
よる処理方法としては、処理対象の光触媒膜が形成され
た部分の形状や大きさ等に応じて適宜の方法を採用で
き、例えばスプレー法、浸漬法、拭き取り法等、種々の
方法を採用できる。
【0022】
【実施例】以下に実施例、比較例、及び試験例を示して
本発明の効果について具体的に説明するが、本発明が下
記実施例に限定されるものでないことは言うまでもな
い。
【0023】試料1(光触媒膜/アルミ基板) アルミ合金A1100からなる10cm平方の基板上に
石原産業(株)製光触媒膜コーティング薬剤「ST−K
03」を用いて、引き上げ速度20cm/分で光触媒薬
剤をディップコートし、その後、150℃で30分乾燥
することにより光触媒膜形成アルミ基板を作成した。
【0024】試料2 前記のようにして作成した試料1上に、DOPを0.1
mg/cm2になるように均一に塗布した。
【0025】試料3 DOPに10重量%になるようJIS Z 8901に
規定される試験用ダスト15種を添加・混合し、これを
試料1上に0.1mg/cm2になるように均一に塗布
した。
【0026】比較例1 前記試料3を5重量%界面活性剤水溶液(花王(株)
製、商品名;モア)1リットル中に30分間浸漬し、純
水ですすぎ、室温で乾燥した。
【0027】実施例1 前記試料3をアセトン1リットル中に30分間浸漬し、
その後、室温で乾燥した。
【0028】試験例1(親水性測定) 前記各試料及び比較例1、実施例1で処理した各試料
に、東芝(株)製ブラックライトを用いて強度2.5m
W/cm2の紫外線を照射しながら各基板に対する水の
接触角の変化を測定した。
【0029】図1に試料1乃至試料3の水接触角の経時
変化を示す。試料1では、紫外線照射に伴って水接触角
は低下している。試料2でも、試料1よりも速度は遅い
が、徐々に水接触角が低下していくことが確認できる。
これは、光照射に伴うDOP分解に伴って、光触媒膜表
面が露出していく為に水接触角が低下していくものであ
る。しかし、試料3では、紫外線が照射されても殆ど水
接触角が低下していない。これは、DOP中に試験用ダ
ストが混入されているために、光触媒膜表面に光が到達
しない為である。このように、DOPのような光触媒作
用で容易に分解されるような有機物であっても、それが
光触媒膜上に付着し、更にその上に汚れ物質が付着した
ような場合には、この有機物を光触媒作用で分解・除去
することは非常に困難となる。
【0030】図2に比較例1と実施例1で処理した試料
の水接触角の変化を示す。比較例1の試料では、図1の
試料3と比べると多少親水化しているようである。実施
例1の試料は、図1の試料1と遜色無い速度で親水化し
ており、本発明が多量の有機物及び汚れ物質の付着によ
って親水化し難くなった光触媒膜の洗浄及び性能復帰に
適した方法であることが確認できる。
【0031】試料4 前記試料1上にポリジメチルシロキサンを0.1mg/
cm2塗布し、東芝(株)製ブラックライトを用いて強
度2.5mW/cm2の紫外線を三日間照射し、光触媒
膜上にポリジメチルシロキサンを固着させた。
【0032】比較例2 前記試料4を5重量%界面活性剤水溶液(花王(株)
製、商品名;モア)1リットル中に30分間浸漬し、純
水ですすぎ、室温で乾燥した。
【0033】実施例2 前記試料4を1重量%NaOH水溶液1リットル中に3
0分間浸漬し、その後、純水ですすぎ、室温で乾燥し
た。
【0034】実施例3 前記試料4を5重量%酸性フッ化アンモニウム水溶液1
リットル中に30分間浸漬し、その後、純水ですすぎ、
室温で乾燥した。
【0035】実施例4 前記試料4をシクロヘキサン中に30分間浸漬し、室温
で乾燥した。
【0036】試験例2(親水性測定) 前記試料4及び比較例2、実施例2〜4で処理した各試
料に、東芝(株)製ブラックライトを用いて強度2.5
mW/cm2の紫外線を照射しながら各基板に対する水
の接触角の変化を測定した。
【0037】図3に親水性測定結果を示す。試料4は紫
外線照射しても親水化しない。これは光触媒作用によっ
てポリジメチルシロキサンが変質し、光触媒膜表面に固
着するためである。また、比較例2の試料では、水接触
角変化は試料4と遜色無く、ポリジメチルシロキサンの
除去には界面活性剤による洗浄では不十分であることが
わかる。これに対して、実施例2〜4の各試料では、紫
外線照射によって徐々に光触媒膜表面が親水化してお
り、ポリジメチルシロキサンの固着によって光触媒親水
性を失った光触媒膜であっても、各種アルカリ、酸、溶
剤を用いることによりポリジメチルシロキサンを除去
し、光触媒親水性を復帰できることが明らかになった。
【0038】実施例5 前記試料3及び試料4を、アセトン400ml、シクロ
ヘキサン400ml、及び5重量%NaOH水溶液20
0mlの混合溶液に30分間浸漬し、その後、室温で乾
燥した後、純水ですすぎ、再度、室温で乾燥した。
【0039】試験例3(親水性測定) 前記実施例5で処理した各試料に、東芝(株)製ブラッ
クライトを用いて強度2.5mW/cm2の紫外線を照
射しながら各基板に対する水の接触角の変化を測定し
た。
【0040】図4に親水性測定結果を示す。前記実施例
5で処理した試料3、試料4共に、光照射に伴い親水化
している。また、図2、図3と比較すると、親水化する
速度が向上していることがわかる。このように複数の溶
剤やアルカリ、酸を適宜組み合わせることにより、洗浄
力が向上するばかりか、DOPやポリジメチルシロキサ
ンのように性質の異なる物質に対しても良好な洗浄性及
び親水性復帰効果があることが明らかになった。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明の洗浄剤を用いた
光触媒膜の光触媒作用復帰方法によれば、高分子シーリ
ング材に含有されている可塑剤や油脂分、特にシリコー
ン系シーリング材に含有されているシリコーン系オイル
が滲み出て多量に付着し、これらに起因する汚れが光触
媒膜上に固着して光触媒膜本来の防汚性能、易洗浄性が
低下しても、このような汚れを容易に除去でき、光触媒
膜本来の防汚性能、易洗浄性を簡単に復帰させることが
できる。また、複数の溶剤やアルカリ、酸を適宜組み合
わせて用いることにより、洗浄力が向上するばかりか、
性質の異なる汚れ物質に対しても良好な洗浄性及び親水
性復帰効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における試料1〜3の光照射下におけ
る水接触角の経時変化を示すグラフである。
【図2】実施例1及び比較例1で処理した試料3の光照
射下における水接触角の経時変化を示すグラフである。
【図3】試験例2における試料4及び実施例2〜4、比
較例2で処理した試料4の光照射下における水接触角の
経時変化を示すグラフである。
【図4】実施例5で処理した試料3及び4の光照射下に
おける水接触角の経時変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 信之 富山県黒部市堀切1300 (72)発明者 今井 貴志 富山県滑川市上小泉13 (72)発明者 福井 英夫 富山県黒部市三日市4016 (72)発明者 番匠 信幸 富山県黒部市天神新115 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニ ューシティ本郷台D棟213号 Fターム(参考) 4D075 CA34 4H003 BA12 DA05 DA07 DB02 DB03 EA02 EA07 EA21 ED02 ED03 ED30 FA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物質が半導体微粒子あるいは半導体
    微粒子を含む材料からなる光触媒膜上に固着し、光触媒
    膜本来の防汚性能、易洗浄性が低下した際に、酸、塩基
    及び溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
    する洗浄剤で光触媒膜上に固着した汚れを除去し、上記
    防汚性能、易洗浄性を復帰させることを特徴とする光触
    媒膜の光触媒作用復帰方法。
  2. 【請求項2】 シリコーン系シーリング材から滲み出た
    油脂成分が半導体微粒子あるいは半導体微粒子を含む材
    料からなる光触媒膜上に固着し、光触媒膜本来の防汚性
    能、易洗浄性が低下した際に、酸、塩基及び溶剤よりな
    る群から選ばれる少なくとも1種を含有する洗浄剤で光
    触媒膜上に固着した汚れを除去し、上記防汚性能、易洗
    浄性を復帰させることを特徴とする光触媒膜の光触媒作
    用復帰方法。
  3. 【請求項3】 酸、塩基及び溶剤よりなる群から選ばれ
    る少なくとも1種を含有する光触媒膜の洗浄剤。
JP24283299A 1999-08-30 1999-08-30 光触媒膜の光触媒作用復帰方法及びそれに用いる洗浄剤 Pending JP2001064683A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008521749A (ja) * 2004-12-02 2008-06-26 サン−ゴバン グラス フランス 有機物汚染に対する保護がされる基板
WO2012011560A1 (ja) * 2010-07-23 2012-01-26 石原産業株式会社 光触媒親水性の低下を防止する方法
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