JP2000265162A - 浴室部材 - Google Patents

浴室部材

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JP2000265162A
JP2000265162A JP11074410A JP7441099A JP2000265162A JP 2000265162 A JP2000265162 A JP 2000265162A JP 11074410 A JP11074410 A JP 11074410A JP 7441099 A JP7441099 A JP 7441099A JP 2000265162 A JP2000265162 A JP 2000265162A
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Japan
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bathroom
water
hydrophilic
surfactant
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JP11074410A
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English (en)
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Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
Shinji Toyofuku
信次 豊福
Kaori Morihara
かおり 森原
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面活性剤・親水性物質の水で流れ落ちやす
い性質を利用し、流れ落ちる量をコントロールすること
によって、手間をかけずに汚れの付着を防止し、また、
汚れが付着した場合には速やかに除去することによっ
て、清浄でかつ高度な親水性表面を繰り返し再現し、長
期にわたって良好な防曇性・防汚性を維持できる部材を
提供することを目的とする。 【解決手段】 表面が親水性を有する部材であって、部
材表面に界面活性剤及び/又は親水性物質を徐放させる
手段を備えたことを特徴とする浴室部材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚染付加量が大き
く、絶えず多量な水蒸気や水のかかる環境下、例えば、
浴室・シャワールーム等において好適に使用できる防曇
・防汚性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】浴室部材の曇りや汚れを防止する方法と
して、基材表面に親水性を付与することが従来行われて
いる。親水性を付与する方法として、部材表面に界面活
性剤を塗布する方法、親水性モノマー・ポリマー等の親
水性物質を塗布する方法、WO96/29375号に開
示されているように部材表面に光触媒を被覆する方法、
特開平8−11631号に開示されているように部材表
面に凹凸構造を有する被膜を形成する方法などが知られ
ている。界面活性剤を塗布する方法によれば、界面活性
剤によって表面に付着した水滴を水膜化することによっ
て、親水性モノマー・ポリマー等を塗布する方法によれ
ば鏡表面に付着した水分を吸水することによって、水滴
の付着・形成を防ぎ、部材表面の曇りや汚れを防止する
ことが可能になる。WO96/29375号によれば、
光触媒を被覆した部材が、光触媒の光励起に応じて親水
性を呈し、水蒸気が結露しても水滴とならず、水膜を形
成させることにより、曇りを防止し、また、形成される
水膜により水をかけるだけで表面に付着した汚れを表面
から離脱させることが可能となる。特開平8−1163
1号によれば、部材表面の凹凸構造の毛細管現象によ
り、表面の濡れ性が向上し、親水性が高められて防曇性
が得られる。また、部材表面の初期における親水性は極
めて良好であるため、汚れが付着した場合も水洗浄によ
り落すことが可能であり、防汚性も良好に発揮できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】界面活性剤・親水性物
質は水分によって流れ落ちやすく、特に浴室のように水
が頻繁にかかる環境においては、効力の持続性に問題が
あり、さらに親水性モノマー・ポリマーなどの親水性物
質は、吸水すると表面が柔らかく傷つきやすくなる。ま
た、いずれも空気中の汚れなどを吸着しやすいという欠
点があった。WO96/29375号によれば、例え
ば、室内照明に含まれる励起光の照度が低くかつ汚れ負
荷の大きな浴室で使用する場合、励起光の照度が低いた
めに光触媒の光励起による親水化に時間がかかり、その
ため時間の経過とともに表面の水との接触角が上昇し、
水をかけるだけでは汚れが充分に落とせなくなり、防曇
性も得られなくなるという問題があった。特開平8−1
1631号によれば、凹凸構造を形成する孔は、くさび
状などの様々な複雑で入り組んだ形状をしているために
浴室等の汚染負荷が高い環境で使用した場合には水洗浄
では完全に落すことができない。それらが蓄積され、次
第に孔が埋まっていくと親水性は失われ、防曇性も防汚
性も得られなくなる。
【0004】浴室は、水道水中の金属イオンに起因する
汚れ、石鹸かすや皮脂などの他、洗髪・洗体時に使用す
る洗浄剤、特にリンス中の保湿成分でもあるシリコー
ン、さらさら感を得るためのカチオン等、部材表面が水
をはじきやすくなる汚染物が非常に多い。さらに、それ
らは洗髪・洗体時に直接飛散したり、シャワーによって
間接的に飛散したり、付着しやすい状況にある。このよ
うに多種多様な汚れが存在し、かつ付着しやすい、汚染
負荷量が大きい環境下において、上記の部材が防曇性・
防汚性を発揮できるのは、初期の鏡が清浄な状態を保持
できている間だけであり、長期間防曇性・防汚性を保持
することはほとんど不可能であった。付着した汚れを都
度払拭する方法もあるが、手間がかかるうえ、せっかく
手間をかけても手の油がつけばそれだけでも親水性を阻
害することになり、確実に親水性を回復させることは難
しかった。
【0005】本発明では、以上の事情に鑑み、界面活性
剤や親水性物質の水で流れ落ちやすい性質を利用し、そ
れらが流れ出る量をコントロールすることによって、手
間をかけずに汚れの付着を防止し、また、汚れが付着し
た場合には速やかに除去することによって、清浄でかつ
高度な親水性表面を繰り返し再現し、長期にわたって良
好な防曇性・防汚性を維持できる部材を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく、表面が親水性を有する部材であって、部材表
面に界面活性剤及び/又は親水性物質を徐放させる手段
を備えたことを特徴とする浴室部材を提供する。浴室に
おいて使用される洗髪剤等には、シリコーンやカチオン
などが含有されているものがほとんどである。これらの
成分は、例えば、鏡に付着すると撥水作用をもたらし、
鏡はすぐに曇ってしまう。界面活性剤及び/又は親水性
物質を徐放させる手段を備えることによって、このよう
な鏡表面に付着した撥水作用をもたらす物質を容易に離
脱させることが可能となる。水との接触角にして90°
以内の親水性を呈する部材表面に界面活性剤及び/又は
親水性物質を徐放させることにより部材は高度な親水性
を呈するようになり、防曇・防汚性を付与することがで
きる。さらに表面に付着した汚れは、界面活性剤及び/
又は親水性物質が浴室中の水分を含むことによって流さ
れ、防曇・防汚性を保つことができる。このように界面
活性剤や親水性物質の水で流れ落ちやすい性質を利用
し、流れ出る量をコントロールする(徐放させる)こと
により、部材に防曇防汚性を付与し、かつ、長期間維持
することが可能になる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、部材表
面には光触媒粒子を含有する層が形成されており、前記
光触媒を光励起することにより親水性を呈する部材であ
るようにする。光触媒を使用することにより、光触媒活
性によって高度な親水性が得られるばかりか、光触媒の
分解能力も加わって防汚性がさらに向上する。清浄でか
つ高い親水性表面を再現することができるために長期間
の防汚防曇性が発揮できる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、前記層
にはブルッカイト型酸化チタン粒子及び/又はアナター
ゼ型酸化チタン粒子が含有されているようにする。ブル
ッカイト型またはアナターゼ型の酸化チタンを使用する
ことによって光触媒活性が良好となる。2種類の光触媒
を混合すれば、透明性を維持しつつ膜を厚くすることが
可能になり、微弱な励起光しかえられない状況において
も十分な光触媒効果を発揮し、親水性、防汚性を向上さ
せることが可能となる。
【0009】本発明の好ましい態様においては、前記層
にはさらにシリカ及び/又はケイ素原子に結合する有機
基の少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコ−ンが
含有されているようにする。シリカ及び/又はケイ素原
子に結合する有機基の少なくとも一部が水酸基に置換さ
れたシリコ−ンが含有されることにより、暗所における
親水維持性能が向上する。
【0010】本発明の好ましい態様においては、表面に
微細な凹凸構造を有しており、該凹凸によって親水性を
呈する部材であるようにする。ここで微細な凹凸構造と
は、微細な孔を有する多孔質構造、スケルトン構造溝状
など様々な形態を含む。微細な凹凸構造により、界面活
性剤や親水性物質は細孔部に浸透してさらに親水性を高
めることができる。凹凸の孔部に界面活性剤が入り込
み、固定されやすくなるため、流れ落ちにくくなる。ま
た、汚れよりも先に界面活性剤や親水性物質が凹部や孔
に入り込むため、部材表面に直接汚れが付着することが
防げ、清浄性を維持できる。また、鏡においては、微細
な凹凸構造によれば、適度な厚みの水膜を形成させるこ
とができるため、鮮明な反射像を得ることが可能とな
る。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記凹
凸構造は機械的エッチングにより形成する。機械的エッ
チングによれば、部材本来の耐久性を保ちながら、より
良好な親水性を付与することが可能となる。
【0012】本発明の好ましい態様においては、前記凹
凸構造はケミカルエッチングにより形成する。あるいは
部材表面に接合される、金属酸化物の1種以上を含有す
る凹凸層を形成する。これらの方法によれば、より微細
な凹凸構造がえられ、部材表面は良好な親水性を呈する
ようになるため、防曇・防汚性が向上する。鏡をケミカ
ルエッチングすることによれば、二重像のない鮮明な反
射像が得られる。
【0013】本発明の好ましい態様においては、前記凹
凸構造は、凹凸構造を有する部材表面に、さらに金属酸
化物からなる凹凸層を形成する。凹凸の上にさらに金属
酸化物からなる凹凸を形成することにより、さらに高度
な親水性を発現させることが可能になるため、部材の防
曇・防汚性はさらに向上する。
【0014】本発明の好ましい態様においては、前記金
属酸化物は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニ
ア、酸化スズ、酸化亜鉛からなる群より選ばれたものを
主成分とする。これらの金属酸化物を使用することによ
り、耐薬品性、耐温水性などの耐久性に優れた親水性表
面となる。
【0015】本発明の好ましい態様においては、界面活
性剤及び/又は親水性物質及び/又は徐放性物質を含む
物品が部材の上部及び/又は周囲に備えられており、水
や水蒸気に触れることにより界面活性剤及び/又は親水
性物質を徐放するものとする。使用者の意図により界面
活性剤を徐放させようとする場合には、うっかり忘れる
可能性もあり、確実性に欠ける。浴室内の水分や水蒸気
に触れたり、浴室使用時に鏡にかかる水で界面活性剤や
親水性物質を徐放させるため、人の手を煩わせることな
く確実に徐放させることが可能となる。このように浴室
を使用した際には必ず部材表面に界面活性剤や親水性物
質を徐放させることができ、防曇・防汚効果を持続させ
るためにより有効となる。
【0016】本発明の好ましい態様においては、前記物
品はフィルムであるようにする。界面活性剤及び/又は
親水性物質及び/又は徐放性物質が固定されたフィルム
は市販されており、手軽に、かつ簡便に鏡の親水性を長
期間維持させることが可能となる。透明なフィルムを使
用すれば、貼着したフィルムは目立たず、部材そのもの
の意匠を損ねることもない。
【0017】本発明の好ましい態様においては、前記フ
ィルムは絵柄の印刷されたものとする。絵柄の印刷され
たフィルムを使用することにより、無味乾燥な部材の意
匠性を向上させ、殺風景になりがちな浴室内の快適性を
高めることが可能となる。
【0018】本発明の好ましい態様においては、前記フ
ィルムはパターン状にカットされているものとする。パ
ターン状にカットしたものを貼着すれば、フィルムの存
在を逆に目立たせ、部材の意匠性を向上させることもで
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明において、親水性を有する
部材とは、防曇性を有していたり、水をかけたら水滴が
つくことなく水が膜を形成して流れ落ちるほど高度なも
のでなくとも良い。水との接触角が90°以内のもので
あればよく、好ましくは60°以下、より好ましくは4
0°以下、さらに好ましくは30°以下の水濡れ性を呈
する状態をいう。水との接触角が60°以下の状態であ
れば、水をかけた時に水滴とならずに水膜を形成し、そ
の水膜中に水蒸気を取り込んで曇りを防止することがで
きる。
【0020】光触媒粒子としては、アナタ−ゼ型酸化チ
タン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタ
ン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タン
グステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムの群か
ら選ばれる1種又は2種以上等が使用できる。中でも、
アナタ−ゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンの
使用が好ましい。
【0021】シリコ−ンとしては、加水分解性シラン、
アルキルシリケ−ト、それらの(部分)加水分解物、加
水分解・縮合物などが使用できる。ここで加水分解性シ
ランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチ
ルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシ
ラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピル
トリプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラ
ン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルト
リプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチ
ルトリブトキシシラン、n−プロピルブトキシシラン、
イソプロピルブトキシシラン、フェニルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロ
ポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリプロポキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリプ
ロポキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフ
ルオロプロピルトリエトキシシラン、フェニルメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニ
ルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン等の加水分解性オルガ
ノシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキ
シシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、ジメトキシジエトキ
シシラン等のテトラアルコキシシランなどが使用でき
る。アルキルシリケ−トとしては、メチルシリケ−ト、
エチルシリケ−ト、プロピルシリケ−ト、ブチルシリケ
−トなどが使用できる。
【0022】本発明の光触媒含有表面層中には他の無機
酸化物も添加できる。無機酸化物としてはセリア、ジル
コニア、アルミナ、無定型酸化チタン、酸化錫、マグネ
シア、カルシア、イットリア、酸化マンガン、クロミ
ア、酸化バナジウム、酸化銅、酸化コバルト、酸化ニッ
ケル、酸化ルテニウム、ハフニア、酸化ストロンチウ
ム、酸化銀の群から選ばれる1種又は2種以上等が挙げ
られる。これら無機酸化物は充填剤として被膜の強度を
向上させる。さらに、このうちジルコニアを添加すると
耐アルカリ性及び耐水性が向上する。またアルミナ、セ
リア、イットリアを添加すると暗所親水維持性が向上す
る。また酸化ルテニウム、酸化銅を添加すると酸化還元
力が向上する。また、酸化銀、酸化銅を添加すると抗菌
性が向上する。
【0023】本発明の光触媒含有表面層中には、銀、
銅、パラジウム、白金、ロジウム、プラチニウム、ルテ
ニウム、金、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、ナトリウ
ム、リチウム、ストロンチウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウム又はそれら金属の化合物の群から選ば
れる1種以上が添加してもよい。銀、銅、亜鉛又はそれ
ら金属の化合物の群から選ばれる1種以上を添加するこ
とで、抗菌性を付与することができる。パラジウム、白
金、ロジウム、プラチウム、ルテニウム、金、コバル
ト、鉄、ニッケル又はそれら金属の化合物の群から選ば
れる1種以上を添加することで、光半導体の光励起によ
る酸化還元触媒性能を向上させることができる。ナトリ
ウム、リチウム、ストロンチウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウム又はそれら金属の化合物の群から選ば
れる1種以上を添加することで、光半導体の光励起に応
じた親水化性能を向上させることができる。
【0024】本発明の光触媒含有表面層中には、層状酸
化物、アパタイト、ゼオライト、活性炭、金属酸化物ゲ
ル、金属水酸化物ゲル、ヒドロキシアパタイト、リン酸
金属塩の群から選ばれる1種以上を添加してもよい。そ
うすることで、メチルメルカプタン、アンモニア、アル
デヒド類等の悪臭やエチレン等の青果の鮮度喪失物質や
NOx、SOx等の有害気体等の分解反応において、本
発明の部材表面への吸着性が増加し、光触媒の酸化還元
触媒機能による上記物質の分解が一層促進される。
【0025】光触媒の光励起は、光触媒結晶の伝導電子
帯と価電子帯との間のエネルギ−ギャップよりも大きな
エネルギ−(すなわち短い波長)を有する光を光触媒に
照射して行う。より具体的には、光触媒がアナタ−ゼ型
酸化チタンの場合には波長387nm以下、ルチル酸化
チタンの場合には波長413nm以下、酸化錫の場合に
は波長344nm以下、酸化亜鉛の場合には波長387
nm以下の光を含有する光線を照射する。上記光触媒の
場合は、紫外線光源により光励起されるので、光源とし
ては、蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、水銀
ランプのような室内照明、太陽光や、それらの光源を低
損失のファイバ−で誘導した光源等を利用できる。複合
材表面の親水化に必要な、光半導体を光励起するために
必要な光の照度は、0.1μW/cm2 以上、好ましく
は1μW/cm2 以上、より好ましくは10μW/cm
2 以上である。
【0026】部材表面に凹凸構造を形成する方法として
は、限定されるものではなく、部材表面に接合される微
細な凹凸を有する層を形成する方法、部材表面をエッチ
ングする方法、成形型上に微細な凹凸を形成して凹凸を
転写する方法などがある。中では、凹凸を有する層を形
成する方法、エッチングする方法が好ましい。親水性の
良好な微細な凹凸が得やすいからである。
【0027】部材表面に接合される凹凸を有する層を形
成する方法としては、限定されるものではなく、公知の
方法より選択すれば良いが、ゾル塗布法、CVD法、ス
パッタリング、真空蒸着法などによって、金属酸化物の
1種以上を含有する層を形成することが好ましい。これ
によれば、高度な親水性を呈する所望の凹凸を容易に形
成することができる。ここで、金属酸化物としては、シ
リカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボ
ロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、ハフニ
ア、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化
第二鉄、酸化第一銅、酸化第二銅、三酸化二ビスマス、
酸化スズ、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウ
ム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム等の単一酸化
物や、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、水ガラ
ス、アルミノケイ酸塩、リン酸カルシウム、チタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、
チタン酸カルシウム、アルミノシリケート等の複合酸化
物が好適に利用できる。中でも、シリカ、アルミナ、ジ
ルコニア、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛のいずれかを
使用することが好ましい。小さく細かい凹凸を形成する
にはシリカ、アルミナがよく、大きな凹凸を形成するに
はジルコニア、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛が好まし
い。ゾル塗布法においては、粒子径、後述するゾルの性
状に関して様々なものが入手可能なシリカが好ましい。
シリカは最も安価であり、実用性が非常に高い。
【0028】部材表面そのものを凹凸にする方法として
は、サンドブラスト、エッチングなどが挙げられるが、
ここではケミカルエッチングが好ましい。機械的エッチ
ングとは、機械的に表面を研磨あるいは侵食させる方法
であるが、金属酸化物粒子、研磨紙、研磨剤、ナイロン
不織布、たわしなど鏡表面に目視で確認できないくらい
の微細に表面加工できるものなら何を使用しても構わな
い。ケミカルエッチングとは、基材を例えば酸、アルカ
リ、過酸化物の溶液に浸漬あるいはその溶液を加温した
際に発生する蒸気に接触させ、その化学反応によって表
面処理を行う方法である。使用する溶液としては、塩
酸、硫酸、硫化アンモニウム、フッ酸、フッ化ホウ素、
ケイフッ化水素酸等の水溶液が挙げられる。
【0029】界面活性剤及び/又は親水性物質を徐放さ
せる手段としては、これらを入れた容器を部材上部に設
置し、出水要求に応じて吐出させる方法、界面活性剤及
び/又は親水性物質及び/又は徐放性物質を含む物品を
部材の上部及び/又は周囲に備える方法などいずれの方
法でも良い。前記物品としては、界面活性剤及び/又は
親水性物質及び/又は徐放性物質が固定あるいは含浸さ
れたフィルムや固形状のものなどを使用することもでき
る。スポンジなど多孔質なものに界面活性剤及び/又は
親水性物質及び/又は徐放性物質を含浸させたものを用
いても良い。意匠性を配慮した違和感のない、着脱可能
で、内容物の取り替え容易な容器を部材の上部及び/又
は周囲に取りつけ、その容器に上記固形状のもの、多孔
質なものに含浸させたものなどを入れて使用することも
可能である。中ではフィルムを使用することが簡便で好
ましい。入手しやすい上に部材への貼着も容易にでき
る。適用可能な市販のフィルムとしては、RP東プラ社
製「くもらないフィルム」、大日本印刷社製「ミラン
パ」、ソニーケミカル社製「ボードンフィルム」、理研
ビニル工業社製「RIVEX−AF」、日本板硝子社製
「ペルコートAF」、FILM SPECIALITI
ES社製「VISTEX」などが挙げられる。浴室内の
水蒸気あるいはシャワーなどの際にかかる水によって、
界面活性剤及び/又は親水性物質が徐放され、部材表面
に伝わる。このようにして部材表面には界面活性剤及び
/又は親水性物質の被膜が形成され、基材表面の親水性
を高めると共に撥水の原因となる汚れなどを引き剥が
し、清浄化を保つことを可能にする。尚、鏡に界面活性
剤を徐放させる際には、裏面に付着させないような配慮
も必要である。裏面の反射膜などに付着した場合、反射
膜を侵す可能性があるからである。
【0030】本発明において、界面活性剤としては、ス
ルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル
アンモニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエ−テルナトリウム塩、脂肪酸カリセッケ
ン、脂肪酸ナトリウムセッケン、ジオクチルスルホコハ
ク酸ナトリウム、アルキルサルフェ−ト、アルキルエ−
テルサルフェ−ト、アルキルサルフェ−トソ−ダ塩、ア
ルキルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、ポリオキシエチ
レンアルキルエ−テルサルフェ−ト、ポリオキシエチレ
ンアルキルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルサ
ルフェ−トTEA塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−
テルサルフェ−トTEA塩、2−エチルヘキシルアルキ
ル硫酸エステルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸
ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク
酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコ
ハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオ
イルザルコシン、アミドエ−テルサルフェ−ト、ラウロ
イルザルコシネ−ト、スルホFAエステルナトリウム塩
等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリ
ルエ−テル、ポリオキシエチレントリデシルエ−テル、
ポリオキシエチレンアセチルエ−テル、ポリオキシエチ
レンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイル
エ−テル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリ
オキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレン
アルキルフェノ−ルエ−テル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエ−テル、ポリオキシエチレンラウラ−ト、ポリオ
キシエチレンステアレ−ト、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオレエ−ト、
ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソル
ビタンアルキルエステル、ポリエ−テル変性シリコ−
ン、ポリエステル変性シリコ−ン、ソルビタンラウラ−
ト、ソルビタンステアレ−ト、ソルビタンパルミテ−
ト、ソルビタンセスキオレエ−ト、ソルビタンオレエ−
ト、ポリオキシエチレンソルビタンラウラ−ト、ポリオ
キシエチレンソルビタンステアレ−ト、ポリオキシエチ
レンソルビタンパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソル
ビタンオレエ−ト、グリセロ−ルステアレ−ト、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、アルキルアルキロ−ルアミ
ド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタ
ノ−ルアミド、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアル
キルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、
ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン、ポリ
オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ−、ポ
リオキシエチレンステアレ−ト等のノニオン性界面活性
剤;ジメチルアルキルベタイン、アルキルグリシン、ア
ミドベタイン、イミダゾリン等の両性界面活性剤;オク
タデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ア
ルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テト
ラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ
オレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロ
キシ−2−アルキルイミダゾリン4級塩、アルキルイソ
キノリニウムブロマイド、高分子アミン、オクタデシル
トリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、アルキルイミダゾリン4級塩、ジアルキルジメチ
ルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸
塩、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルプロピレンジ
アミン酢酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライ
ド等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0031】本発明において、親水性物質としては、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びこれらの塩類を
含むポリアクリル酸塩類、ポリエチレンオキサイド、ポ
リプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイドな
どのポリアルキレンオキサイドなどが利用できる。その
他にも、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポ
リビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、ポリビニルア
ルコール系、エチレンビニルアルコール共重合体、イソ
ブチレン無水マレイン酸共重合体系、ポリアクリル酸ア
ミド系、ポリオキシエチレン系、多糖類系高分子が挙げ
られる。多糖類としては、ビスコース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースなどのセルロース系、可溶性デン
プン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプ
ンなどのデンプン系、その他アガロース、ヒアルロン酸
などが挙げられる。上記の他にも、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートのモノマーや、デキストラン、アルギ
ン酸、アルギン酸ナトリウム、カラジーナンなどの水溶
性高分子、セピオライト、カオリン、シリカゲル、水ガ
ラスなど水溶性無機物も使用可能である。
【0032】本発明において、徐放性物質とは、水がか
かると徐々に溶解する物質、または、そのものは水に溶
けないが、界面活性剤や親水性物質を徐放できる物質の
ことである。徐々に溶解する物質としては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレンオキサイド、ポ
リフェニレンオキサイドなどのポリエーテル、これらポ
リエーテルの変性物の他、疎水性のポリプロピレングリ
コールに親水基としてエチレンオキサイドを付加させブ
ロックポリマーとしたプルロニック系高分子活性剤が挙
げられる。そのものは水に溶けないが、界面活性剤や親
水性物質を徐放できる物質としては、メチルセルロー
ス、エチルセルロースなどが使用可能である。徐放性物
質を使用することにより、界面活性剤や親水性物質がす
ぐに流れ出してしまうのを制御し、適量を徐々に溶け出
させるようにコントロールするのである。
【0033】本発明において、前記界面活性剤及び/又
は親水性物質を含む洗剤を用いることも可能である。洗
剤であれば入手が容易な上に、洗浄効果も期待できる。
【0034】本発明において、酸を含むようにすること
も可能である。酸を含ませることで清浄維持性が向上す
る。酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、
リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、アミノ酸、ピルビン酸、オ
キサロ酢酸、イソクエン酸、コハク酸、マレイン酸、マ
ロン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、ピクリン酸、ニト
ロベンゼン、フェノ−ル、アジピン酸、フタル酸、フマ
ル酸、ギ酸、グリオキシル酸、オキソグルタル酸、ホス
ホグリセリン酸、アクリル酸、塩素酸、クロル酢酸、プ
ロピオン酸、吉草酸、酪酸、ニコチン酸、葉酸、アルキ
ル硫酸、乳酸、リポ酸、カルボン酸、オロト酸、グルタ
ミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、パントテン酸、グ
ロン酸、グルクロン酸、酒石酸、スルファミン酸が利用
可能である。
【0035】本発明において、アルカリを含むようにす
ることも可能である。アルカリを含ませることにより、
脂質・たん白質などを含む、主に人に起因する汚れに対
する分解力が向上し、清浄性を維持しやすい。アルカリ
としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭
酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウ
ム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、ア
ルカリ金属炭酸塩の他にもアンモニア、アミン等の有機
アルカリ、石鹸が利用可能である。但し、石鹸は、短期
的な洗浄回復はよいが、金属石鹸をつくるためにその部
分は撥水性を呈するため長期的な使用には適さない場合
がある。
【0036】本発明において、EDTA、DTPAなど
の有機キレート化合物を含ませることもできる。有機キ
レート化合物を含ませることにより、水あか汚れなどに
対し、部材の清浄性が維持でき、防曇・防汚性を長期間
維持可能となる。
【0037】
【実施例1】200×300mmの鏡を用意し、その1
枚を中性洗剤で洗浄し、超音波洗浄機にかけて下処理を
行った。下処理を行う前の鏡を試料1、下処理後の鏡を
試料2とした。下処理した鏡表面に1種類の光触媒(ア
ナターゼ型酸化チタン)を被覆した試料3、2種類の光
触媒(アナターゼ型酸化チタン及びブルッカイト型酸化
チタン)を被覆した試料4を下記要領にて準備した。ま
ず、エチルシリケート(コルコート社製、ES40);
6g、メタノール;44.7g、2%硝酸水溶液;9.
3gを混合し、30℃の温度で3日間攪拌してエチルシ
リケートの加水分解液を調整した。エチルシリケート加
水分解液にジアセトンアルコールとn−プロパノールを
等量混合した溶剤にブルッカイト型酸化チタンゾル(昭
和電工製、固形分濃度10%、平均粒径15nm、板
状)を加えて30℃の温度で2時間攪拌し、光触媒溶液
1を得た。次に、エチルシリケート加水分解液にブルッ
カイト型酸化チタンゾル(昭和電工製、固形分濃度10
%、平均粒径15nm、板状)、アナターゼ型酸化チタ
ンゾル(石原産業製、固形分濃度10%、平均粒径5n
m、球状)及びイソプロピルアルコールを混入し、30
度の温度で2時間攪拌し、さらにn−プロパノールで固
形分0.5%に希釈して光触媒溶液2を得た。光触媒溶
液1,2をそれぞれフローコーティング法にて前記の下
処理した鏡表面に塗布し室温にて乾燥させ、150°で
30分熱処理し硬化させた後、10μW/cm2の紫外
線を10時間照射して親水化させて試料3,4を得た。
各試料とも2つづつ用意し、接触角を測定した後、1つ
には鏡表面の上部に市販の界面活性剤付きフィルム(R
P東プラ製、くもらないフィルム)を貼着し、もう1つ
は、比較のため、何の処理もせずそのままとした。浴室
内に設置し、1ヶ月暴露した。入浴は1日4人とし、夜
間には白色蛍光灯で 1μW/cm2の紫外線を1日5
時間照射した。1ヶ月暴露後、各試料を浴室内より取り
出し、流滴性の評価を行った。試料を垂直な面に設置し
て水をかけて1分後の状態を撮影し、撮影したものを見
てその水濡れ面積の割合を調べて7段階で評価した。水
との接触角は、水との接触角は接触角測定器(協和界面
科学製、CA−X150)を用い、マイクロシリンジか
ら試料表面に水を滴下して30秒後に測定した。その結
果を下表に示す。 5 : 90%以上 4 : 70%以上 90%未満 3 : 50%以上 70%未満 2 : 30%以上 50%未満 1 : 10%以上 30%未満 0 : 10%未満
【0038】
【表1】
【0039】表1からわかるように、何の処理もしなか
った試料は、1ヶ月暴露後はすべて水濡れ面積10%未
満であった。一方、界面活性剤付フィルムを貼着した鏡
は、初期の接触角の高かった試料1も含め、すべての鏡
が水濡れ面積50%以上を示し、中でも光触媒2種類コ
ーティングした鏡では、90%以上の水濡れ面積を示
し、良好な親水性を維持した。
【0040】
【実施例2】200mm×300mmの鏡表面をセリア
粒子で研磨して試料5を得た。同サイズの鏡表面にCV
D法により酸化スズの凹凸層を形成して試料6を得た。
試料6の最表面にさらにシリカゾルを塗布しすることで
凹凸上にさらに凹凸層を形成して試料7を得た。各試料
とも2つづつ用意し、1つには鏡表面の上部に市販の界
面活性剤付きフィルム(RP東プラ製、くもらないフィ
ルム)を貼着した。もう1つは、比較のため、何の処理
も施さなかった。これらの試料を浴室内に設置して防曇
評価を実施した。入浴は1日4人とした。評価の指標は
水との接触角で示し、その結果は接触角が30°を維持
する日数で示した。
【0041】この鏡の浴室設置前の水との接触角は試料
5が15°、試料6が28°、試料7は7°で、乾いた
状態での防曇性はないが、水をかけると水膜を形成して
防曇性を呈する(流滴防曇性を有している)状態であっ
た。その結果、比較試料では1日で水との接触角が70
°を上回り、流滴性はほとんどなくなった。一方、界面
活性剤付きのフィルムを貼着した試料5,6,7では、
2週間経過後も水との接触角は30°以内を保持し、乾
いた状態での防曇性はないが、水に濡れた状態では防曇
性を有していた。中でも試料7が最も良好な水濡れ性を
示した。このことより、界面活性剤付きのフィルムに入
浴の際水がかかることによって界面活性剤が徐放し、鏡
表面にかかることにより、汚れが付着することなく、流
滴防曇性を維持することが確認できた。
【0042】
【実施例3】市販の浴室洗剤(花王バスマジックリン)
に徐放性物質(変性ポリエーテル、三洋化成の商品名:
ニューポールT−240U)を全体量の20%添加し、
増粘剤(ジステアリン酸ポリエチレングリコール、三洋
化成の商品名:エマルミン862)を加えて固形状にし
た。固形状にした洗浄剤を樹脂製のメッシュ籠に入れ
て、ケミカルエッチングで親水処理を施した鏡の上部に
設置した。この鏡(試料8)を浴室内壁面の鏡の標準的
な位置に取付け、防曇・防汚評価を実施した。入浴は1
日4人とした。評価の指標は水との接触角を用い、結果
は接触角が40°を維持した日数で示した。比較のた
め、ケミカルエッチングで親水処理した鏡(比較試料
1)と、これに上記浴室洗剤を塗布し、自然乾燥させた
鏡(比較試料2)も同様に評価を行った。結果を下表に
示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2からわかるように、比較試料1と比較
試料2では接触角が40°を維持した日数に大差ない。
一方、試料8では1ヶ月以上接触角40°を維持した。
尚、試料8の上部に設けたメッシュ籠の中には、まだ固
形状にした洗浄剤が残っていたため、この評価終了後も
さらに親水性を維持することが推測できる。このことか
ら、単純に界面活性剤を塗布しただけでは、水がかかる
と簡単に流れ落ちてしまい、ケミカルエッチングによる
親水性鏡の親水維持性と変わりがないことがわかった。
しかし、徐放性物質を加えたものを鏡上部に設ければ、
それに水がかかることにより、徐々に界面活性剤や親水
性物質が溶けて流れて鏡表面がコーティングされて親水
性が維持できる。たとえ表面の界面活性剤や親水性物質
が流れ落ちても、さらに上部から溶け出してきた物質で
再度鏡表面はコートされ、この繰り返しによって、親水
性は長期間にわたって維持することができるのである。
このように界面活性剤や親水性物質を徐放させる(溶け
て流れ出る量をコントロールする)ことにより、長期間
にわたってその効力を持続させることができ、良好な防
汚性・防曇性がえられることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】界面活性剤・親水性物質の水で流れ落ち
やすい性質を利用し、流れ落ちる量をコントロールする
ことによって、手間をかけずに汚れの付着を防止し、ま
た、汚れが付着した場合には速やかに除去することによ
って、清浄でかつ高度な親水性表面を繰り返し再現し、
長期にわたって良好な防曇性・防汚性を維持できる部材
を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態である絵柄の印刷されたフィル
ムをパターン状にカットし、貼着した鏡の例を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 :親水性鏡 2 :フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/00 C09D 5/00 Z C09K 3/00 C09K 3/00 R Fターム(参考) 2D032 GA00 4G069 BA01A BA01B BA02A BA02B BA04A BA04B BA05A BA05B BA48A BC22A BC22B BC35A BC35B EC22X EC22Y ED02 4H020 AA01 AB02 4J038 AA011 CG142 DF022 DL052 GA13 HA211 HA216 HA442 HA446 KA04 KA09 KA20 NA06 PB05 PC03 PC08

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が親水性を有する親水性部材であっ
    て、部材表面に界面活性剤及び/又は親水性物質を徐放
    させる徐放手段を備えたことを特徴とする浴室部材。
  2. 【請求項2】 前記親水性部材は、該部材表面に接合さ
    れる、光触媒粒子を含有する層が形成されており、前記
    光触媒の光励起に応じて親水性を呈する部材であること
    を特徴とする請求項1に記載の浴室部材。
  3. 【請求項3】 前記層にはブルッカイト型酸化チタン粒
    子及び/又はアナターゼ型酸化チタン粒子が含有されて
    いることを特徴とする請求項2に記載の浴室部材。
  4. 【請求項4】 前記層にはさらにシリカ及び/又はケイ
    素原子に結合する有機基の少なくとも一部が水酸基に置
    換されたシリコ−ンが含有されていることを特徴とする
    請求項2または3に記載の浴室部材。
  5. 【請求項5】 前記親水性部材は、該部材表面に微細な
    凹凸構造を有しており、該凹凸構造によって親水性を呈
    する部材であることを特徴とする請求項1に記載の浴室
    部材。
  6. 【請求項6】 前記凹凸構造は、機械的エッチングによ
    り形成したものであることを特徴とする請求項5に記載
    の浴室部材。
  7. 【請求項7】 前記凹凸構造は、ケミカルエッチングに
    より形成したものであることを特徴とする請求項5に記
    載の浴室部材。
  8. 【請求項8】 前記凹凸構造は、部材表面に接合され
    る、金属酸化物の1種以上を含有する凹凸層であること
    を特徴とする請求項5に記載の浴室部材。
  9. 【請求項9】 前記凹凸構造は、凹凸構造を有する部材
    表面に、さらに金属酸化物からなる凹凸層を形成したも
    のであることを特徴とする請求項5に記載の浴室部材。
  10. 【請求項10】 前記金属酸化物は、シリカ、アルミ
    ナ、ジルコニア、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛からな
    る群より選ばれたものが主成分であることを特徴とする
    請求項8または9に記載の浴室部材。
  11. 【請求項11】 前記徐放手段は、界面活性剤及び/又
    は親水性物質及び/又は徐放性物質を含む物品が部材の
    上部及び/又は周囲に備えられており、水や水蒸気に触
    れることによって部材表面に界面活性剤及び/又は親水
    性物質を徐放することを特徴とする請求項1に記載の浴
    室部材。
  12. 【請求項12】 前記物品は、フィルムであることを特
    徴とする請求項11に記載の浴室部材。
  13. 【請求項13】 前記フィルムは、さらに絵柄が印刷さ
    れていることを特徴とする請求項12に記載の浴室部
    材。
  14. 【請求項14】 前記フィルムは、さらにパターン状に
    カットされていることを特徴とする請求項12または1
    3に記載の浴室部材。
  15. 【請求項15】 前記部材は、鏡であることを特徴とす
    る請求項1〜14記載の浴室部材。
  16. 【請求項16】 前記部材は壁材、壁目地、床材、床目
    地、天井、水栓金具、シャワ−ホ−ス、シャワ−ヘッ
    ド、シャワ−吐水部、シャワ−フック、浴槽、浴槽ハン
    ドグリップ、浴槽エプロン、浴槽排水栓、窓、窓枠、窓
    の桟、窓の床板、照明器具、すのこ、グレ−チング、排
    水目皿、排水ピット、排水籠、排水トラップ、トラップ
    封水筒、扉、扉枠、扉の桟、マット、石鹸置き、手桶、
    洗面器、風呂椅子、トランスファ−ボ−ド、収納棚、手
    すり、風呂蓋、タオル掛け、シャワ−チェア、洗面器置
    き台、換気扇、手すり、カウンター、洗面ボウル、タッ
    チパネル、シ−ラントのいずれかであることを特徴とす
    る請求項1〜14に記載の浴室部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003089587A (ja) * 2001-09-14 2003-03-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 調湿セラミックス材料
JP2005105707A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Arisawa Mfg Co Ltd 親水性貼着化粧材
CN106497518A (zh) * 2016-11-01 2017-03-15 重庆返璞科技有限公司 一种纳米玻璃防雾剂及其制备方法

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