JP2002363478A - コーティング組成物と、それを有する部材及びその製造方法 - Google Patents

コーティング組成物と、それを有する部材及びその製造方法

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JP2002363478A
JP2002363478A JP2001168243A JP2001168243A JP2002363478A JP 2002363478 A JP2002363478 A JP 2002363478A JP 2001168243 A JP2001168243 A JP 2001168243A JP 2001168243 A JP2001168243 A JP 2001168243A JP 2002363478 A JP2002363478 A JP 2002363478A
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acid
coating
zirconium
coating composition
film
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Masayoshi Ketayama
正吉 桁山
Keisuke Hisada
啓介 久田
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度が急激に変化するといった問題がなく、
耐水性及び防曇性にも優れたコーティング組成物と、そ
れを有する部材及びその製造方法の提供。 【解決手段】 (a)ポリビニルアルコールと、(b)
非ポリマー性の多価カルボン酸含有有機化合物、(c)
溶媒、(d)加水分解・縮重合反応により硬化させる遷
移金属系バインダーを含有する組成物であり、前記
(d)100重量部に対して前記(b)が0.5〜10
0重量部であるコーティング組成物と、それを有する部
材及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール(以下PVAと称する。)系コーティング組成物及
び、それをコートして得られた複合材の製造方法、さら
には、それにより得られた防曇機能(曇り防止機能の
他、水滴付着の防止機能や流水滴機能を有する機能材も
含む)を有する複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PVAは結晶性の水溶性高分子と
して、紙用コーティング剤および紙用内添剤などの紙用
改質剤、紙、木材および無機物等の接着剤、経糸糊剤、
乳化重合や懸濁重合用の安定剤、各種バインダーに使用
されている。また、その吸湿機能又は、吸湿性能又は、
吸湿機能を活かした各種防曇剤や防曇性コーティング剤
等にも幅広く利用されている。(以下、本明細書におい
て「吸湿機能」とは、例えば、鏡表面に給湯の湯気や湿
分の凝縮水または水滴が付着しても、その防曇性コーテ
ィング剤にそれらが吸収されて、その表面に残らないよ
うにすることで、その鏡表面が、湿分の凝縮水または水
滴によって曇りまたは翳ることが防止される機能のこと
をいう)。
【0003】その中でも、PVAの吸湿性能と、それを
基材にコーティングする事によって得られる被膜の機械
的強度の高さ、さらには、その被膜の優れた透明性を利
用して、機械的強度と透明性を必要する洗面化粧台用鏡
等の防曇被膜として利用が考えられている。
【0004】しかし、このような防曇被膜として利用す
る事を考えた場合、このPVAの被膜のみを鏡等に被覆
するだけでは、その被膜が水を吸収して飽和する際、機
械的強度が著しく低下し、耐水性が悪くなり、その被膜
を人が触っただけで剥れるような現象が生じてしまう。
【0005】そこで、このような問題を解決するため
に、PVAと、無機バインダーの一種である微粒子状シ
リカと、有機ケイ素化合物及び/又は、その加水分解物
とを、おのおの含有する防曇性コーティング組成物が考
えられ、特開昭58-32664のようなパテントとし
て開示されている。
【0006】無機バインダーとしては、シリカに比べて
耐アルカリ性に優れ、加水分解速度も早い特性を有する
オキシ硝酸ジルコニウムのようなジルコニルキレート系
のものも考えられている。
【0007】ところで、これらの被膜は、有機無機ハイ
ブリッド構造となっているため、吸湿機能はもとより吸
湿被膜が水分で飽和した場合でも被膜が融けたり剥れ易
くなる事がない被膜、いわば、耐水性を備えた被膜にな
る特徴がある。特に無機バインダーがジルコニルキレー
ト系の場合は耐アルカリ性に優れる利点もあり、耐水性
を要求される洗面所や、浴室といった高湿度環境下で使
用できる防曇被膜として使用する事ができる被膜にな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな無機バインダーを含有したPVA系の組成物は、液
の保存性の面で問題があり、液の安定性が悪く、徐々に
液の粘度が上昇したり、凝集物が発生したり、更に、そ
の粘度によっては、その液に泡が入り込み、その液から
泡が抜けにくくなるといった現象がおきる。そのため、
その液により被膜を作成した場合、その液が周辺の空気
をかみ込み、該被膜が泡の入った状態で作成されるよう
になる外観不良の問題が発生するようになる。
【0009】そのため、該コーティング組成物を鏡等の
基材にコーティングして被膜を作成する際、ダイコータ
ーのような量産用のコーティングマシンでコーティング
すると、該コーティング組成物の液性、すなわち、コー
ティング液の粘度や、無機バインダーのような液の成分
の分散状態が、そのマシンを動かしている間に変化する
事になり、該マシンを動かす最初と最後に得られた被膜
の性質が大きく変化し、該被膜の外観の良し悪しといっ
た性能面においてばらつきを発生させ、歩留まりの悪い
製品しかできない問題が発生する。特に、この性能面で
のばらつきは、基材にコーティングして得られた被膜の
膜厚みに顕著に表れ、該被膜の膜厚みにばらつきを発生
させ、その結果、外観だけでなく、該被膜の耐傷性もそ
の場所によって異なる問題を生み、この製品を商品とし
て売る場合、性能面での信頼性の低い商品になってしま
う可能性がある。
【0010】本発明では、上記事情に鑑み、上記のよう
な粘度が急激に変化するといった問題がなく、耐水性及
び防曇性にも優れたコーティング組成物と、それにより
得られた防曇複合材、及び、その製造方法を提供する事
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決するために、(a)ポリビニルアルコールと、
(b)非ポリマー性の多価カルボン酸含有有機化合物、
(c)溶媒、(d)加水分解・重縮合反応により硬化さ
せる遷移金属系バインダーからなる組成物であり、前記
(d)100重量部に対して前記(b)が0.5〜10
0重量部であるポリビニルアルコール系組成物を提供す
る。
【0012】本発明において、該組成物は、(a)ポリ
ビニルアルコールと、(b)非ポリマー性の多価カルボ
ン酸含有有機化合物、(c)溶媒、(d)加水分解・重
縮合反応により硬化させる遷移金属系バインダーの構成
で得られる事により、該溶液の粘度の急激な増加を和ら
げ、該溶液の液性を安定化させることが可能となる。
【0013】通常、前記PVAと、前記溶媒で構成され
るPVA溶液は、前記(d)の遷移金属系バインダーの
添加により液性が変化し、急激に粘度が上昇したり、凝
集物が発生したりする現象が生じる。この理由として、
該遷移金属系バインダーは、水溶液中での加水分解は速
やかに進むが、得られたOH基同士で脱水縮合反応を起
こし、徐々にその形態を無機高分子化していく反応がか
なり遅いものであり、その反応が平衡に達するまでにか
なり時間を要する場合が多い。そして、この反応の途中
でPVAのような有機ポリマーを添加すると、PVAと
上記バインダーの反応が生じ、液全体の反応が平衡に達
するまでに更に時間を要し、該溶液の粘度が、時間とと
もに徐々に上がっていき、場合によっては、その粘度が
1日で0.1Pa・sから1Pa・sまで変化するレオ
ペキシーな液性を持つ場合が生じてしまう。このよう
に、該溶液の粘度が急激に変化すると、例えば、コーテ
ィングマシンで該溶液をコートする際、得られた被膜の
膜厚みにばらつきが生じ、透明性や、外観の良い被膜を
作成するのが難しくなる不具合が生じる。
【0014】本発明では、上記(b)化合物を添加する
ようにした。そうすることにより、溶液の粘度の急激な
変化を抑える事ができ、コーティングなどの操作に差し
支えない程度の粘度の変化にコントロールする事ができ
た。また、それだけでなく、該(b)化合物を含むコー
ティング被膜は、耐水性及び防曇性能も極めて良好であ
った。
【0015】本発明のコーティング組成物が、このよう
な特徴を持っている理由として、その中に添加されてい
る(b)化合物が、PVAと、上記(d)バインダーと
の間にはいって、それらの加水分解・脱水縮合による過
度の結合を抑制するスぺーサーの役目をになっているか
らだと考えられる。以下に詳述する。
【0016】まず、(b)化合物が存在しない場合につ
いて説明する。PVAは水溶液中において、それが持っ
ているOH基により、一つのPVA中のOH基同士、ま
たは、他のPVAの持つOH基との間で、水素結合によ
る結合をしながら長鎖の高分子が絡まりあった状態で、
水溶液中を分散して存在している。そのため、その周辺
の水分をPVA内に吸収する量は、そのPVAのOH基
間の水素結合が邪魔になって、比較的少ない状態で水溶
液中を分散しているが、これに遷移金属系バインダーの
ような架橋剤を添加すると、PVAのもつOH基間の水
素結合が生じにくくなり、自然と水素結合していないO
H基により水分が吸収され、PVAと遷移金属系バイン
ダーによる架橋体内に水が入り込んだ状態で存在する水
和物を形成するようになる。そのため、水溶媒が少なく
なるので、溶液の固形分濃度が高くなり、流動性能が低
下して、最終的に粘度が上昇するものと見られる。
【0017】次に、(b)化合物が存在する場合につい
て説明する。(b)のカルボン酸含有化合物は、COO
H基を持っているが、これが複数ある場合、遷移金属系
バインダーの金属イオンとそれとで錯体を形成し、PV
Aと遷移金属系バインダーとの間に割り込む形になる。
そのため、PVAと遷移金属系バインダーとの結合がそ
れにより物理的に抑えられ、溶液中における上記のよう
な架橋体の成長を妨げ、その添加量によって、その架橋
体の大きさをある程度のところまでに調整する事がで
き、各成分が適度に分散し、溶液の流動性を維持する事
ができると考えられる。そして、その結果、溶液の急激
な粘度上昇を抑える事ができると見られる。このよう
に、カルボン酸含有化合物の添加により必要以上のPV
Aと遷移金属系バインダーの脱水縮合反応を抑えながら
各成分を分散させる事ができるため、被膜の耐水性能を
落とす事なく、液の安定性を維持する事ができると考え
られる。
【0018】そして、(b)化合物の添加量は、(d)
バインダー100重量部に対して、0.5〜100重量
部である事が好ましい。0.5重量部未満の場合液の粘
度上昇を抑える事ができず、逆に、100重量部以上の
場合被膜の耐水性が低下するようになるからである。
【0019】本発明の好ましい態様においては、加水分
解・重縮合反応により硬化させる遷移金属系バインダー
がジルコニウム化合物であるようにする。加水分解・重
縮合反応により硬化させる遷移金属系バインダーがジル
コニウム化合物であることにより、消泡性能の高い被膜
が得られるとともに、液の安定性の高いコーティング液
を作成する事ができる。
【0020】本発明の好ましい態様においては、ジルコ
ニウム化合物が、ジルコニルキレートであるようにす
る。本発明においては、前記ジルコニウム化合物が、ジ
ルコニルキレートであることにより、液の安定性が高い
コーティング液を作成する事ができる。
【0021】本発明の好ましい態様においては、ジルコ
ニルキレートが、オキシ硝酸ジルコニウムであるように
する。ジルコニルキレートが、オキシ硝酸ジルコニウム
であることにより、金属の腐食といった不具合が少な
く、コーティングマシンのような量産機械で基材にコー
ティングする際、その配管への影響が少ない事から、量
産機械の寿命を長くする事ができる。
【0022】本発明の好ましい態様においては、溶媒が
水含有有機溶媒であるようにする。溶媒が水含有有機溶
媒であることにより、基材にコーティングする際泡をか
み込む心配がなく、コーティングできる。
【0023】本発明の好ましい態様においては、前記非
ポリマー性の多価カルボン酸含有化合物がカルボキシル
基を少なくとも2つ以上4つ以内含有する非ポリマー性
の多価カルボン酸含有化合物であるようにする。非ポリ
マー性の多価カルボン酸含有化合物がカルボキシル基を
少なくとも2つ以上4つ以内含有する非ポリマー性の多
価カルボン酸含有化合物であることにより、新PVA系
組成物溶液により得られた被膜の吸湿機能が向上する。
【0024】本発明の好ましい態様においては、非ポリ
マー性の多価カルボン酸含有化合物がカルボキシル基以
外の水酸基を少なくとも一つ以上含有する非ポリマー性
の多価カルボン酸含有化合物であるようにする。非ポリ
マー性の多価カルボン酸含有化合物がカルボキシル基内
にある水酸基以外の水酸基を少なくとも一つ以上含有す
る非ポリマー性の多価カルボン酸含有化合物であること
により、コーティング液の急激な粘度上昇を抑える効果
がさらに向上する。
【0025】本発明の好ましい態様においては、非ポリ
マー性の多価カルボン酸含有化合物がクエン酸であるよ
うにする。非ポリマー性の多価カルボン酸含有化合物が
クエン酸であることにより、コーティング液の固形分濃
度が高い場合でも、溶液の急激な粘度上昇を抑える事が
できる。
【0026】本発明の好ましい態様においては、PVAの
けん化度が、98%以上であるようにする。PVAのけん
化度を98%以上にする事により、ジルコニウム化合物
としてオキシ硝酸ジルコニウムやオキシ硫酸ジルコニウ
ムのような被膜の変色を生じ易い素材を使用した場合で
も、それにより得られた被膜に変色が生じにくく、その
透明性も損なわれにくい。
【0027】本発明の好ましい態様においては、組成物
のpHが1.5以上であるようにする。組成物のpHを
1.5以上にする事により、それにより得られる被膜の
変色が生じにくく、その透明性が損なわれる事が少な
く、かつ、その表面強度が向上する。この効果はオキシ
硝酸ジルコニウムやオキシ硫酸ジルコニウムのような被
膜の変色が生じやすい素材を使用する時、顕著に表れ
る。
【0028】本発明の好ましい態様においては、組成物
のpHを1.5以上にする際、陰イオン交換樹脂を使用
するようにする。組成物のpHを1.5以上にする際、
陰イオン交換樹脂を使用する事により、硝酸等の強酸を
用いてpH調整を行う際生じる硝酸アンモニウム塩のよ
うな塩を生じさせる事なく、pH調整を行う事が可能に
なるため、塩が被膜内に生じる事による被膜の表面強度
の低下を招く事がなく、pH調整しうる。
【0029】本発明の好ましい態様においては、組成物
において、前記ジルコニウム化合物を、前記溶媒に希釈
し、その溶液のpHを1.5以上にしてから、PVAを
混合し、それにより、組成物を製造する事を特徴とする
組成物である。そうすることで、得られた被膜は変色し
にくくなるだけでなく、その表面強度が向上する。その
上、この製造方法を使う事は、溶液をpH1.5未満に
した状態で他の成分と混合し、その後pHを1.5以上
にする製造方法に比べて、組成物のpH調整中における
急激な粘度の上昇を防止する事が出来、pH調整の操作
をし易くする効果がある。
【0030】上記コーティング組成物を、基材表面に、
適用することで防曇複合材が製造される。
【0031】本発明の好ましい態様においては、基材表
面に前記組成物を適用する工程において、前記組成物を
乾燥または硬化させるようにする。このような方法を用
いることにより、例えば、ガラスやプラスティックとい
った基材に対して簡単に前記組成物を被覆することがで
き、該組成物を被覆した部材を製造しうる。
【0032】本発明の好ましい態様においては、さら
に、無機酸化物含有組成物を適用する。それにより、部
材に流滴機能が発現する。
【0033】本発明の好ましい態様においては、防曇複
合材における基材が透明であり、コーティング組成物が
被覆された防曇複合材表面も透明であるようにする。そ
うすることで、例えば、ガラスへの被覆のような透明性
を重んじる基材に対する被覆においてもその基本特性が
損なわれない。
【0034】本発明の防曇複合材は、例えば、鏡、透明
板状部材、透明レンズ、透明フィルムに利用できる。ま
た、給湯室、台所、洗面所、浴室、トイレといったあら
ゆる種類の住宅または、非住宅施設内の高湿度ゾーンに
おいても、防曇性、流滴性を発揮できる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる前記(a)ポ
リビニルアルコール又は、PVAとは、ビニルアルコー
ルユニットを70モル%以上有するポリマーを意味して
おり、けん化度70%以上のものをさす。ポリビニルア
ルコールとしては、通常、平均重合度50〜1,50
0,000、好ましくは80〜20,000で、さらに
好ましくは100〜3,000で、ケン化度も60〜1
00%、好ましくは90〜100%、さらに好ましくは
98〜100%のものが用いられる。また、本発明にお
いて用いられるPVAは、公知の方法によってビニルエ
ステルモノマーを重合し、それをけん化することによっ
て得られるものである。そして、使用するPVAには特
に制限を受けない。この他の好適に用いられるポリマー
としては、ビニルアルコールユニットと、酢酸ビニルモ
ノマーの組み合わせの他に、ビニルエステルモノマーと
親水性モノマーおよび/または疎水性モノマーとの共重
合物をけん化することによって得られるものなどがあ
り、該ビニルエステルモノマーとしては、ギ酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビ
ニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香
酸ビニル、酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビ
ニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル,カプ
リル酸ビニル,カプリン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,
パルミチン酸ビニル,ステアリン酸ビニル,オレイン酸
ビニルなどとの組み合わせのポリマーが挙げられるが、
酢酸ビニルが経済的に好ましい。これらは単独で用いて
もよく、二種以上を組合わせて用いてもよい。またその
他のモノマーとして、疎水性モノマーであるエチレン、
プロピレン、1−ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキ
セン、オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセン等の
α−オレフィン類、ラウリルビニルエーテル、ステアリ
ン酸ビニルエーテル等のビニルエーテル類、1,1,
3,3−テトラメチル酪酸ビニルエステル、2,2,
4,4−テトラメチルバレリアン酸ビニルエステル、バ
ーサチック酸ビニル、その他の飽和脂肪酸ビニルエステ
ル等の高級脂肪酸ビニルエステル類、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル
酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙
げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組
合わせて用いてもよい。 さらに、親水性モノマーとし
ては、クロトン酸,(メタ)アクリル酸,(無水)マレ
イン酸,(無水)イタコン酸,3−アクリルアミド−
3,3−ジメチルプロピル−トリメチル−アンモニウム
クロリド,3−(メタ)アクリルアミドプロピル−トリ
メチル−アンモニウムクロリド,アクリルアミド−2−
メチルプロピルスルフォン酸,ビニルスルフォン酸,ア
リルスルフォン酸およびこれらの塩等も挙げられる。ま
た、ホルムアルデヒドや、アセトアルデヒドのようなア
ルデヒド化合物であらかじめ架橋したポリビニルアセタ
ールや、ポリビニルブチラール等もPVAの一種として
使用可能である。
【0036】本発明に用いられる(b)非ポリマー性の
多価カルボン酸含有有機化合物とは、分子量が1000
以下でカルボン酸を複数個含む有機化合物を言い、水溶
性で酸性を示すものであると同時に、安全性、管理のし
易さの面からも工業的に好ましい素材である。その具体
例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン
酸、フタル酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、ア
スパラギン酸、アセトジカルボン酸、アコニット酸、ア
ラボン酸、アルギニノコハク酸、オキサロ酸、カイニン
酸、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクタ
ル酸、アンゲリカ酸、クマル酸、オキサロ酢酸、グリセ
リン酸、グルタチオン、クロセチン、シトラコン酸、ケ
トン酸、ケトヘキソン酸、カンホロン酸、オキサル酢
酸、チグリン酸、テレフタル酸、チョールムーグラ酸、
テトロール酸、トリメシン酸、トリメリト酸、ナフタル
酸、ニトリロ三酢酸、ネルボン酸、粘液酸、馬尿酸、ヒ
ドロキシグルタミン酸、ピロメリト酸、ムコン酸、メチ
ルマロン酸、シスーアコニット酸、メサコン酸、メサシ
ュウ酸、メリト酸、メリロート酸、リシノール酸、リノ
レン酸、リグノセリン酸、メチルマロン酸、葉酸、脂肪
族カルボン酸である酪酸等のカルボン酸含有低分子等が
挙げられる。このうちカルボキシル基を少なくとも2つ
以上4つ以内含有する非ポリマー性の多価カルボン酸含
有化合物は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン
酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスパラ
ギン酸、アセトジカルボン酸、アコニット酸、アルギニ
ノコハク酸、オキサロ酸、カイニン酸、グルカル酸、グ
ルコン酸、ガラクタル酸、オキサロ酢酸、グルタチオ
ン、クロセチン、シトラコン酸、ケトヘキソン酸、カン
ホロン酸、オキサル酢酸、テレフタル酸、トリメシン
酸、トリメリト酸、ナフタル酸、ニトリロ三酢酸、粘液
酸、ヒドロキシグルタミン酸、ピロメリト酸、ムコン
酸、メチルマロン酸、シスーアコニット酸、メサコン
酸、メサシュウ酸、メチルマロン酸、葉酸等が挙げられ
る。さらに、このうちカルボキシル基以外の水酸基を少
なくとも一つ以上含有する非ポリマー性の多価カルボン
酸含有化合物としては乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、アコニット酸、アラボン酸、オキサロ酸、カイニン
酸、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクタ
ル酸、クマル酸、グリセリン酸、ケトヘキソン酸、粘液
酸、ヒドロキシグルタミン酸、メリロート酸、リシノー
ル酸等のカルボン酸含有低分子等が挙げられる。これら
のカルボン酸含有化合物のうちでも、コハク酸、酒石
酸、クエン酸がさらにより好ましく使用される。本発明
の組成物には、その使用方法に応じて、どのカルボン酸
含有化合物を使っても良く、これらの成分は1種類に限
らず2種以上を配合しても良い。
【0037】前記(b)多価カルボン酸含有有機化合物
の使用量は、好ましくは、前記遷移金属系バインダー1
00重量部に対して0.5〜100重量部であり、さら
に好ましくは5〜50重量部であり、さらに好ましく
は、10〜40重量部である。また、該(b)化合物の
使用量は、前記(a)PVA100重量部に対して0.
5〜100重量部であり、さらに好ましくは1〜20重
量部であり、さらに好ましくは、5〜15重量部であ
る。そして、本発明のコーティング組成物は、該カルボ
ン酸含有化合物の添加により必要以上のPVAと該遷移
金属系バインダーの脱水縮合反応を抑えながら、各成分
を分散させる事ができ、被膜の耐水性能を落とす事な
く、液の安定性を維持する事ができると考えられる。
【0038】このうち、カルボキシル基を少なくとも2
つ以上4つ以内含有する該(b)化合物は、親水または
吸湿性能を向上させる機能として、通常使用される水酸
基より親水性の高いカルボキシル基を多く持っている事
から、本発明のコーティング組成物溶液により得られた
被膜の吸湿機能を向上させる効果が得られる。さらに、
カルボキシル基以外の水酸基を少なくとも一つ以上含有
する非ポリマー性の多価カルボン酸含有化合物は、新P
VA系組成物溶液の急激な粘度上昇を抑える効果がさら
に向上する特徴が見られる。この理由としては、該
(b)化合物内に水酸基がある事で、この水酸基と、P
VAまたは、前記(d)バインダー内に存在する水酸基
とが、水素結合または、脱水縮合反応を行い、該(b)
化合物がPVAや(d)バインダーと直接結合するた
め、PVA中の水酸基同士や、該バインダー中の水酸基
同士又は、PVAと該(d)バインダーの水素結合を妨
害するような構成となり、液中でのそれに伴う凝集物の
発生を抑える事になる。そして、結果的に、該組成物液
中での有機無機ハイブリッド構造の過剰量のマトリック
ス形成をが抑えられる事になり、それに伴う該液の粘度
上昇を防止する事ができると考えられる。
【0039】本発明に用いられる前記(c)溶媒として
は、水または、その他一般的に有機溶媒といわれている
トルエン、キシレンのような芳香族系溶媒や、グリセリ
ンのような脂肪族系の溶媒が用いられるが、特に、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、ブチルアルコールなどの水と相溶性のある有機溶
媒が好適である。この有機溶媒は水と共に用いられる場
合が多いい。該(c)溶媒の使用量は、好ましくは、P
VA100重量部に対して、あるいは、ジルコニウム化
合物のような遷移金属系バインダーと、PVAおよびそ
の他の添加物の合計100重量部に対して100〜50
00重量部であり、さらに好ましくは約1000重量部
である。
【0040】本発明における溶媒として水含有有機溶媒
が好ましい理由としては、溶媒が水のみの場合と比べ
て、例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなフィ
ルム上に溶液をコートする場合、アルコールのような有
機溶媒を混合した方が塗れ広がり易く、空気をかみ込み
にくくコートできる利点があるからである。
【0041】本発明に用いられる(d)加水分解・重縮
合反応により硬化させる遷移金属系バインダーとは、長
周期型周期表に示される3A〜7A,8及び1B族元素
を示す遷移金属を含んだバインダーであり、水溶液中で
加水分解し易く、水分子または、水酸化物イオンが配位
結合した錯体を形成するキレート剤としての性質を持
ち、該遷移金属バインダー同士の重縮合反応を起こして
ポリマー化する場合と、他の水酸基を持った有機ポリマ
ーと重縮合反応を起こして、有機無機ハイブリッド構造
のポリマーを作成する性質を備えている。前記遷移金属
系バインダーの例としては、Ti、Zr、Fe、及びV
からなる群から選択される無機原子を持つ無機アルコキ
シド、ジルコニルキレートのようなジルコニウム化合物
をはじめとする各種金属化合物などが挙げられる。この
中でもジルコニウム化合物が好適に用いられる。
【0042】上記の無機アルコキシドの使用方法として
は、無機アルコキシドおよび該アルコキシド、または、
それを加水分解・重縮合して形成されるOH基を有する
ポリマーの状態で使用しうるのが一般的である。その発
明に用いられる無機アルコキシドは、例えば、次式
(1)で示される化合物の少なくとも1種である。 M(OR)n(X)a-n (1) ここで、Mは、Ti、Zr、Fe、及びVからなる群か
ら選択される無機原子であり、Rは、アルキル基であ
り、Xは、アルキル基、官能基を有するアルキル基、ま
たはハロゲンであり、aは、Mの原子価であり、またn
は、1からaまでの整数である。式(1)の化合物のう
ち、n=a、つまりMにアルコキシ基のみが結合した化
合物が汎用される。
【0043】前記MがTiの場合には、アルコキシド
は、Ti(OR3)4で表される。ここでR3は、好まし
くは低級アルキル基である。このようなチタニウムアル
コキシドとしては、Ti(O−CH34、Ti(O−C
254、Ti(O−n−C 374、Ti(O−iso
−C 374、Ti(O−C 494などが挙げられ
る。前記チタニウムアルコキシドは、2種以上を混合し
て用いてもよい。このようなチタニウムアルコキシド
は、通常、アルコキシシランと混合して用いられ、チタ
ニウムアルコキシドを用いることによって、得られるコ
ーティング膜の耐紫外線性は向上し、基材の耐熱性も著
しく向上する。チタニウムアルコキシドの使用量は、前
記アルコキシシラン100重量部に対して3重量部以下
の範囲であり、好ましくは約1重量部である。3重量部
を上回ると、形成されるポリマーが脆化し、基材を被覆
した際にコーティング膜が剥離しやすくなる。
【0044】前記MがZrの場合には、アルコキシド
は、Zr(OR4)4で表される。ここでR4は、好まし
くは低級アルキル基である。このようなジルコニウムア
ルコキシドとしては、Zr(OCH34、Zr(OC2
54、Zr(O−iso−C374、Zr(O−t−C
494、Zr(O−n−C494などが挙げられる。
前記ジルコニウムアルコキシドは、2種類以上を混合し
て用いてもよい。このようなジルコニウムアルコキシド
は、通常、前記アルコキシシランと混合して用いられ、
ジルコニウムアルコキシドを用いることによって、得ら
れるコーティング膜の靱性や耐熱性が向上する。ジルコ
ニウムアルコキシドの使用量は、前記アルコキシシラン
100重量部に対して5重量部以下の範囲であり、好ま
しくは約3重量部である。5重量部を上回ると、形成さ
れるポリマーがゲル化しやすくなり、ポリマーの脆性が
大きくなり、基材を被覆した際にコーティング膜が剥離
しやすくなる。
【0045】前記以外のアルコキシドとしては、例え
ば、Fe(OC253、V(O−iso−C37)などが
挙げられる。式(1)で示される無機アルコキシドのう
ちn=a−1以下の場合、つまりMにアルコキシ以外の
基Xが結合している化合物としては、例えば、XがC
l、Brのようなハロゲンである化合物がある。Xがハ
ロゲンである化合物には、アルコキシ基と同様に加水分
解されてOH基を生じ重縮合反応が起こる。Xはまた、
アルキル基や官能基を有するアルキル基であり得、この
アルキル基の炭素数は通常1〜15である。このような
基は、加水分解されずに得られるポリマー中に有機部分
として残留する。前記官能基としては、カルボキシル
基、カルボニル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基な
どがある。前記無機アルコキシドの使用量は、好ましく
は、PVAおよび該(b)カルボン酸含有有機化合物、
(d)遷移金属系バインダーの合計100重量部に対し
て1〜90重量部であり、さらに好ましくは2〜50重
量部であり、さらに好ましくは、5〜20重量部であり
ある。その他無機アルコキシド以外の該遷移金属系バイ
ンダーとしては、前記ジルコニウム化合物がある。一般
に知られているジルコニウム化合物には、酸化数が特定
しにくいZrH2,ZrB,ZrC,ZrSi2,Zr
N,ZrP,ZrS2等で示される化合物、酸化数が0の
[Zr{P(CH33}(η6-トルエン)2]、[Zr
(C02(η2-C56)2]、酸化数が1のZrCl、酸
化数が2のZrX2(X=Cl、Br、I)、酸化数が3
のZrX3(X=F、Cl、Br、I)等、酸化数が4
のジルコニウム化合物であるジルコンZrSiO4や、
ハロゲン化ジルコニウムであるZrX4(X=F、C
l、Br、I)、ZrO2等のジルコニア、ZrOm
(OH)n(m=4-n,4≧n≧0の整数)のオキソ酸ジ
ルコニウム、M4ZrO4,M2ZrO 3(M=Na,K,
1/2Ca,1/2Pb)等のジルコン酸塩、硝酸ジルコニウ
ム、硫酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、[ZrF
62-、[ZrF84-等のフッ化ジルコニウムのフルオ
ロ錯体、また、俗にジルコニルキレートと呼ばれるZr
Oで表される+2価の原子団のオキシ塩化ジルコニウ
ム、オキシ塩化水酸化ジルコニウム、オキシ水酸化ジル
コニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコ
ニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニ
ウム、オキシステアリン酸ジルコニウム、オキシオクチ
ル酸ジルコニウム、があり、さらに、加水分解・重縮合
反応でポリマーが得られるZr(OCH34のような前
記ジルコニウムアルコキシドなどがある。さらに、ジル
コニウム化合物としては、酸化物、酸素酸塩、有機酸塩
又は、錯塩があり、水性でかつ処理液中で安定なものを
1種以上前記ジルコニル等のジルコニウム化合物と組み
合わせて使用することも可能である。具体的には、Zr
2,ZrO2・xH2O,M2ZrO3(ジルコニウム酸
及び酸塩)、Mはアルカリ金属、ZrO3・2H2O,K
4ZrO4・2H22・2H2O(ペリオクソジルコニウ
ム酸塩)等の酸化物及びその関連化合物,ZrO(H2
PO42,ZrP2 7,ZrSiO4等の酸素酸塩、ヒ
ドロキシ塩化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウ
ム、ぎ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン
酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステアリン
酸ジルコニウム等の有機酸ジルコニウム塩、炭酸ジルコ
ニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢
酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムナ
トリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸
ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩また
は、ジルコニルキレート等があげられる。そして、これ
らのジルコニウム化合物は、前記遷移金属系バインダー
として添加しうるジルコニウム化合物として使用可能で
ある。
【0046】本発明に用いられるジルコニウム化合物
は、前記ジルコニルキレートと、ジルコニアのうちのど
ちらかを少なくとも含み、かつ前記ジルコニウム化合物
のいずれかを二種類以上含んでいる場合もある。その中
でもオキシ硝酸ジルコニウム又は、オキシ硝酸ジルコニ
ウム由来のジルコニアが好適に用いられる。
【0047】本発明においては、前記(d)バインダー
がジルコニウム化合物であることにより、他のバインダ
ーであるチタンカップリング剤のようなチタン化合物と
比べて、消泡性能の高いコーティング液を作成する事が
できる効果がある。 ところで、チタンカップリング剤
の一つであるチタニウムアルコキシド、または該加水分
解脱水縮合反応物のような(d)バインダー由来の化合
物は、加水分解してアルコキシ基を水酸基に置換するス
ピードが遅く、置換したとしても全てのアルコキシ基を
置換できるわけではないため、アルコキシ基がコーティ
ング液中に残った状態で存在する事になる。そしてこの
ような液の場合、空気を混入すると、この疎水基に空気
がかみ込まれ、特に粘度の高い液の場合は、気泡を除去
する事が困難になり、結果的にコーティングマシンで量
産する場合、被膜に気泡が入った状態のものが多くでき
て、歩留まりの低いものしかできない可能性がある。し
かし、ジルコニウム化合物の場合、その化合物の一つで
ある硝酸ジルコニウムは、塩でありながら、空気中でオ
キシ硝酸ジルコニウムに変化し、水溶液中では、ジルコ
ニルキレートとなってPVA中の水酸基等と結合するバ
インダーに自然と変化する特徴がある。そして、疎水基
のようなものが存在しないため、前記のような問題は生
じない効果がある。
【0048】前記ジルコニウム化合物をジルコニルキレ
ートにする事により、液の安定性の高い液をうることが
できる。ここで言う安定性とは、液の粘度の急激な上昇
が無いという事だけでなく、PVAとバインダーを混合
し、液を作成する際、液内に凝集物や沈殿が生じたり、
白濁したりする事が無く、液の粘度やそれにより得られ
た被膜の吸湿性や耐水性といった特性が時間とともに変
化するような事の無い液の性質を言う。例えば、ジルコ
ニウム化合物の一つであるジルコニウムアルコキシドの
ような化合物は、PVAのバインダーとして使用可能で
あるが、加水分解してPVAと混合する場合、その添加
量によっては、凝集物ができ易い傾向がある。これに対
してジルコニルキレートの一つであるオキシ硝酸ジルコ
ニウムは、添加量に関係なく、凝集物や沈殿物が生じな
い特徴がある。この理由として、ジルコニルキレートの
加水分解反応は速いが、脱水縮合は遅く、PVAと混合
する際、該キレートの加水分解反応が平衡に達した状態
でPVAと脱水縮合する事ができるため、PVAとジル
コニルキレートの加水分解物とがともに溶液中で分散し
易くなり、凝集の無い透明な溶液が作成できると考えら
れる。一方、前記ジルコニウムアルコキシドは、脱水縮
合反応のスピードに比べて、加水分解反応のスピードが
遅く、PVAと混合して脱水縮合した後でも加水分解す
るようになるため、凝集物が発生し易くなるとともに、
液の粘度やそれにより得られた被膜の吸湿性や耐水性と
いった特性も時間とともに変化する溶液、すなわち、安
定性の悪い溶液である。このようにジルコニルキレート
を使用すると他のジルコニウム化合物と比べて、安定性
のある溶液を作成できる効果がある。
【0049】また、ジルコニルキレートの中でもオキシ
硝酸ジルコニウムが好ましい理由は、前記のようにオキ
シ塩化ジルコニウムのように金属製品を腐食させる心配
が無いからである。
【0050】前記ジルコニルキレートにおいては、例え
ば、次のような反応がPVAとの溶液中で生じる。そし
て、その反応とは、ハロゲン化ジルコニウムの一つであ
る塩化ジルコニウムが、酸化されてオキシ塩化ジルコニ
ウムのジルコニルキレートに変化する反応である。そし
て、このオキシ塩化ジルコニウムがさらに水の付加によ
り加水分解し、オキシ塩化ジルコニウムの塩素イオンが
水酸化物イオンに置き換わり、水分子と、塩素イオンを
含んだ集合体であるキレート錯体を形成する。この変化
は、硝酸ジルコニウム又はオキシ硝酸ジルコニウム、硫
酸ジルコニウム等も同様に生じる。そして、水酸化物イ
オンの脱プロトン化が起こり、その結果、加水分解物が
重縮合を開始し、ジルコニアのようなポリマーを形成す
る。これと同時に、前記組成物中に存在するポリビニル
アルコールのOH基が、前記加水分解ジルコニウム化合
物やOH基を有するポリマーと反応し、Zrの無機部分
と、PVA由来の有機部分とを有する複合ポリマーが形
成される。そして、この組成物の各成分を混合すると、
前記のように加水分解反応および重縮合反応が部分的に
進行するため、ジルコニウム化合物、その加水分解物、
ジルコニアのような該加水分解物の重縮合ポリマー、P
VA、前記ジルコニウム化合物由来の加水分解物とPV
Aとの重縮合あるいは架橋反応物が混合した、コロイド
状ゾルの状態となる。これがPVA系組成物となる。こ
の時、その他の化合物としてチタニア、シリカといった
無機化合物や界面活性剤のような有機化合物が混合する
事もある。
【0051】ところで、このようなジルコニルキレート
とPVAの組み合わせによるPVA系組成物液は、混合
すると同時に、粘度が徐々に上昇し、1Pa・s以上に
急激に上昇するような場合がある。そのため、この液を
使ってフィルム等を製造しようとする場合、液の粘度が
安定せず、コーターマシンにかけても、目的の膜厚みや
外観、目的の性能を備えたフィルムを繰り返し製造する
事が難しく、液を作るたびに性質の異なるフィルムしか
できない場合が多いい。そのため、該PVA系組成物液
を使ってフィルム等を製造する事は難しいのが現状であ
る。
【0052】前記オキシ硝酸ジルコニウム由来のジルコ
ニアに使用されるオキシ硝酸ジルコニウムは、通常、Z
r(NO3としてあらわされる前記硝酸ジルコニウ
ムが、乾燥空気中において序序に硝酸を開放してオキシ
硝酸ジルコニウムZrO(NO32に変化したものであ
る。その為、通常の市販品は、この状態で存在する。と
ころで、この試薬は、オキシ塩化ジルコニウムのような
他のジルコニルキレートと同様に、PVAと架橋してZ
rの無機部分と、PVA由来の有機部分とを有する複合
ポリマーを形成する事ができる。しかし、該組成物をコ
ーティング液として基材に塗布し、被膜を作成する際、
オキシ塩化ジルコニウムと違って、加熱の仕方によって
は、被膜が黄褐色に変色する欠点がある。その反面、オ
キシ塩化ジルコニウムのように、ステンレス製の配管と
いった金属製品を腐食させるといった不具合が少なく、
保管や自動化された機械による塗装といった量産時にお
いても、その機械を傷めるといった問題を引き起こす可
能性が少ない長所がある。オキシ硫酸ジルコニウムZr
OSO4も金属製品との接触による腐食問題を引き起こ
す事が無く、比較的扱い易い素材であるが、オキシ硝酸
ジルコニウムと比べると、被膜の変色が起こり易い面が
ある。このように総合的な面から考えて、オキシ硝酸ジ
ルコニウムがジルコニウム化合物の中で最も吸湿性や吸
水性があるとともに、透明性のある被膜を作成する場合
好ましい素材である事が分かる。
【0053】このオキシ硝酸ジルコニウムの問題点の一
つである被膜が黄褐色に変色するといった問題は、オキ
シ硝酸ジルコニウムの中に存在する硝酸イオンから得ら
れる硝酸や、酢酸ナトリウムが触媒となって、PVAの
OH基を酸化する事が原因であると見られる。そのた
め、95%のけん化度のPVAのようなOH基を酸化さ
せにくいPVAを使用するか、硝酸または、硝酸イオン
を溶液中から取り除く事が変色を防ぐ上でまず必要とな
る。
【0054】ところで、ここで言う被膜の変色は、前記
PVA系組成物を基材に塗布した後の加熱・乾燥行程に
よって生じるが、その変色が生じる加熱条件は、該組成
物の塗布量と、加熱温度、加熱時間によって異なる傾向
がある。例えば、ある組成の組成物により8μmの膜厚
みの被膜を作成しようとする場合、150℃の雰囲気中
で20分間加熱すると被膜の変色が生じるものでも、そ
れより1分少ない条件で加熱すると変色が生じない場合
がある。しかし、その後者の被膜は未硬化の状態の被膜
であり、耐水性や耐傷性が低下する場合が多いい傾向が
ある。このように、被膜の硬化が完全になると耐水性や
耐傷性は良いが、変色が発生しやすくなり、逆に未硬化
だと変色はしないが、耐水性や耐傷性が低下するといっ
た悪循環になる。そこで、被膜が完全に硬化した状態で
変色しない加熱・乾燥の最適条件を見出す事ができれ
ば、変色の無い被膜が得られる事になる。従って、該組
成物の硝酸イオンの含有量を最小限にする事と、加熱・
乾燥の最適条件を見出す事で被膜の変色問題は解決でき
る。
【0055】前記硝酸イオンを最小限にする方法には色
々あるが、最も効率の良い方法は、陰イオン交換樹脂を
用いて、オキシ硝酸ジルコニウムの溶液中から硝酸イオ
ンを取り除く事である。そして、これにより硝酸イオン
を取り除けば取り除くほど、それによって作られる被膜
の変色は少なくなる。しかし、逆に、その被膜を作成す
る元になる前記組成物の粘度が急激に上昇してしまい、
やりすぎると寒天状の固体に変化してしまう。そのた
め、取り除く量にも限界がある。この硝酸イオンを取り
除く量は、そのオキシ硝酸ジルコニウム水溶液のpHで
管理しているが、8〜10%固形分濃度のオキシ硝酸ジ
ルコニウム水溶液の場合には、pH1.5〜4の範囲に
なるように、陰イオン交換樹脂による硝酸イオンの除去
が好ましく、さらに好ましくはpH2.5〜3が好まし
い。前記pH以下の値では被膜の変色が著しく、前記pH
以上の値では該組成物の粘度上昇が急激になる。このよ
うに被膜の変色を少なくし、該組成物のコーティング液
における液の粘度の極端な上昇を招く事なく該コーティ
ング液を調製するためには、該コーティング液がpH
1.5以上のpHを持つ場合、前記ジルコニウム化合物
の使用量は、好ましくは、PVA及び他の添加物の合計
100重量部に対して10〜100重量部であり、さら
に好ましくは40〜90重量部である。逆に、該組成物
がpH1.5以下のpHを持つ場合、前記ジルコニウム
化合物の使用量は、好ましくは、PVA及び他の添加物
の合計100重量部に対して1〜10重量部であり、さ
らに好ましくは2〜5重量部である。
【0056】また、この時使用する陰イオン交換樹脂
は、硝酸イオンのような陰イオンをイオン交換するもの
であれば、特に限定するものではない。そして、イオン
交換樹脂の官能基も、ジメチルエタノールアミン、トリ
メチルアミンのようなアミン系、第4アンモニウム系等
のものが使用できる。得られたジルコニアの形状は、粒
状・鎖状等のどれでもよく、特に限定されない。これら
遷移金属系バインダーは、ジルコニウム化合物又は、無
機アルコキシド単独で用いても良く、その他の無機バイ
ンダーを二種類以上混合して用いても良い。
【0057】ところで、このようにpH調整したジルコ
ニアとPVAの混合溶液でも、その濃度によっては粘度
の上昇を招く場合が少なくなく、その固形分濃度が高い
ほど粘度上昇が急激になる傾向がある。そのため、この
ようなPVA系組成物において、前記(b)化合物を添
加すると、高濃度の溶液でも粘度上昇を抑える事ができ
る。
【0058】本発明に用いられる微粒子状無機酸化物含
有組成物とは、微粒子状無機酸化物であるジルコニア、
チタニア、シリカ、アルミナ、ジルコニアのほかに、酸
化イットリウム、酸化ニオブ、酸化セリウム等の微粒子
状酸化物が分散した組成物であり、その他の成分として
は、前記(c)溶媒が少なくとも入った組成物である。
該微粒子状無機酸化物の平均粒子径としては、1nm〜
300nmの範囲が好ましく。さらに好ましくは、0.
5nm〜4nmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.1
nmより低いと、製膜時の外観が悪くなり、例えば、オ
キシ硝酸ジルコニウムから得られた無機酸化物等を使用
した場合、着色し易くなる。また、300nmを超える
平均粒子径のジルコニアは、生成塗膜の透明性を悪化さ
せる原因となる。
【0059】ところで、前記組成物中の微粒子状ジルコ
ニアは、硝酸ジルコニウム等のジルコニール由来のもの
が好ましいものであり、この素材の水溶液中での50℃
以上の長時間加熱は、その粒径を増大させることができ
る。しかし、加熱の前に陰イオン交換樹脂等でpHをな
るべく中性側に設定しておいてから加熱するほうが、速
やかに粒度を成長させることができる。例えば、硝酸ジ
ルコニウムの20%重量濃度の水溶液は、1〜4Nの濃
度となり、そのままでは、硝酸イオンや水素イオン過多
のため、硝酸ジルコニウムからジルコニアへの反応が進
みにくく、粒度が成長しにくくなる。また、たとえ成長
したとしても、これを使ったコーティング剤は清掃性等
に問題が残る被膜しかできない。しかし、陰イオン交換
樹脂であらかじめ硝酸イオンを取り除いておけば、反応
が速やかに進んでいき、粒度も成長し、これを使ったコ
ーティング剤は清掃性等の面でも問題のない被膜が作成
できる。そして、その最適pHは、固形分濃度にもよる
が、pH1.5〜pH3が好ましく、さらに好ましくは、
pH2〜2.5である。このpH調整は、硝酸ジルコニウ
ム使用の場合、被膜の茶褐色になる短所を取り除く効果
もある。ただし、pHを高くしすぎると、コーティング
剤の粘度が高くなり、扱いづらくなる。また、この時使
用する陰イオン交換樹脂は、硝酸イオンのような陰イオ
ンをイオン交換するものであれば、特に限定するもので
はない。そして、イオン交換樹脂の官能基も、ジメチル
エタノールアミン、トリメチルアミンのようなアミン
系、第4アンモニウム系等のものが使用できる。得られ
たジルコニアの形状は、粒状・鎖状等のどれでもよく、
特に限定されない。また、本発明においては、前記新P
VA系組成物中において、微粒子状無機酸化物である、
チタニア、シリカ、アルミナ、ジルコニアのほかに、酸
化イットリウム、酸化ニオブ、酸化セリウム等の酸化物
を添加しても良い。
【0060】本発明のコーティング組成物において、触
媒を含有したものでも良く、前記触媒としては、加水分
解触媒および硬化触媒がある。前記加水分解触媒は、ジ
ルコニウム化合物や、無機アルコキシドの加水分解反応
に用いられる。従って、予めジルコニウム化合物や、無
機アルコキシドがある程度加水分解されて、重縮合し、
OH基を有するポリマー(比較的低分子量のオリゴマー
であり得る)を使用する場合には、加水分解触媒は不要
となり得る。
【0061】加水分解触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸
などの鉱酸などが用いられる。鉱酸の無水物、例えば、
塩化水素ガスも用いられ得る。この他に有機酸やその無
水物も利用され得る。それには例えば、酒石酸、フタル
酸、マレイン酸、ドデシルコハク酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸、メチルナジック酸、ピロメリット酸、ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、ジクロルコハク酸、クロレンデ
ィック酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシ
ルコハク酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルナ
ジック酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸、無水ジクロルコハク酸、無水クロレン
ディック酸などが挙げられる。さらに、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基も触媒と
して用いられる。これらの加水分解触媒は、前記(d)
バインダー100重量部に対して0.01〜0.5重量
部、好ましくは0.015〜0.3重量部である。0.
01重量部未満の場合には加水分解が不充分となるおそ
れがあり、0.5重量部を越える場合には重縮合反応が
進行し、粘度が増大するおそれがある。
【0062】硬化触媒は、主としてアルコキシドの加水
分解物、または、ジルコニウム化合物の重縮合反応触媒
として、且つPVAの架橋反応の触媒として、且つ該加
水分解物、前記OH基を有するポリマー、ジルコニウム
化合物、およびPVA相互間の重縮合反応および/また
は架橋反応の触媒として用いられる。このような硬化触
媒としては、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウ
ンデセン−7、第4級ホスホニウム塩、有機アミン、ア
ミノ酸、金属アセチルアセトネート、有機酸金属塩、ル
イス酸、過酸化物や過塩素酸化物等のオキソ酸または、
オキソ酸塩、アンモニア水の中の少なくとも1種を好適
に利用できる。
【0063】第4級ホスホニウム塩としては、テトラビ
ス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド、テト
ラブチルホスホニウムブロミドなどが挙げられる。前記
有機アミンとしては、エチルアミン、ジメチルアミン、
N,N−ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリ−n
−プロピルアミン、トリペンチルアミン、トリプロパル
ギルアミン、N,N,N−トリメチルエチレンジアミ
ン、n−ヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0064】アミノ酸としては、グリシンなどがある。
金属アセチルアセトネートとしては、アルミニウムアセ
チルアセトネート、インジウムアセチルアセトネート、
クロムアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセ
トネート、コバルトアセチルアセトネートなどが挙げら
れる。前記金属アセチルアセトネートでは、好ましく
は、アルミニウムアセチルアセトネートが用いられる。
【0065】有機酸金属塩としては、酢酸ナトリウム、
ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜
鉛、オクチル酸錫などが挙げられる。
【0066】ルイス酸としては、塩化第二錫、塩化アル
ミニウム、塩化第二鉄、塩化チタン、塩化亜鉛、塩化ア
ンチモンなどが挙げられる。
【0067】過酸化物としては、過酸化水素があげられ
る。
【0068】過塩素酸化物としては、過塩素酸リチウム
があげられる。前記オキソ酸また、その塩としては、前
記過酸化物、過塩素酸化物のほかに、オルトほう酸、メ
タほう酸、三メタほう酸、次ホウ酸、炭酸、シアン酸、
イソシアン酸、雷酸、オルトケイ酸、メタケイ酸、ペル
オキソ硝酸、亜硝酸、ペルオキソ亜硝酸、ニトロキシル
酸、次亜硝酸、りん酸、ニりん酸、ピロリン酸、三りん
酸、ポリりん酸、メタりん酸、三メタりん酸、四メタり
ん酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソニリン酸、次りん
酸、ニりん酸、亜りん酸、ニ亜りん酸、次亜りん酸、ヒ
酸、亜ヒ酸、ヘキサヒドロアンチモン酸、ニ硫酸、ペル
オキソ硫酸、ペルオキソニリン硫酸、チオ硫酸、ニチオ
硫酸、亜硫酸、ニ亜硫酸、チオ亜硫酸、亜ニチオン酸、
スルホキシル酸、ポリチオン酸、セレン酸、亜セレン
酸、テルル酸、クロム酸、ニクロム酸、塩素酸、亜塩素
酸、次亜塩素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過ヨ
ウ素酸、ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、過マンガン酸、マン
ガン酸、過テクネチウム酸、テクネチウム酸、過レニウ
ム酸、レニウム酸等又は、それらの塩があげられる。
【0069】硬化触媒の使用量は、好ましくは、コーテ
ィング組成物中の、ジルコニウム化合物や、アルコキシ
ド、OH基を有するポリマーといった(d)バインダ
ー、およびPVAの合計量100重量部に対して、0.
01〜2重量部、さらに好ましくは、0.05重量部で
ある。2重量部を上回る量を用いる場合には、重縮合が
急速に進行するため、前記有機溶媒に溶けにくくなり、
得られる被膜が不均一となるため、強度が低下するおそ
れがある。
【0070】また、組成物には、さらに、少なくとも1
種のポリアクリル酸類を含有させてもよい。ポリアクリ
ル酸類としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、
これらの塩類などが挙げられる。ポリアクリル酸類の使
用量は、好ましくは、組成物100重量部に対して、
0.1〜10重量部である。0.1重量部未満の場合に
は、得られる組成物は吸水スピードが遅くなるおそれが
あり、10重量部を越える場合には、得られる組成物の
タックが生じるおそれがある。特に得られる組成物を、
硬度を有する部材に適用する場合には、ポリアクリル酸
類は、(d)バインダーと、PVAおよび触媒の合計1
00重量部に対して、0.1〜0.5重量部の範囲の割
合で使用することが好ましい。0.5重量部を越える場
合には、得られる組成物により形成される膜の硬度が低
くなるおそれがある。
【0071】本発明においては、さらに、組成物中に、
親水性基を含有するフッ素系界面活性剤を含有させても
良く、前記親水性基を含有するフッ素系界面活性剤とし
ては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パ
ーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアル
キルベタイン、パーフルオロアルキルエチレンオキシド
付加物、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、トリ
フルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロ
ピルブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘ
プタデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタ
デカフルオロオクチルトリエトキシシラン等を好適に利
用できる。
【0072】また、さらに、前記組成物中に、熱線吸収
材を含有させても良く、ガラスなどの透明材に利用すれ
ば、太陽光などの輻射による室内温度の上昇を抑制でき
ると共に、ガラス表面の温度を高めて水滴が付着しにく
くすることができる。
【0073】熱線吸収材としては、銀イオンを好適に利
用できる。また、さらに、前記組成物中に、蓄熱材を含
有させても良く、太陽光などの輻射熱を蓄積して、ガラ
ス表面の温度を高く維持し水滴が付着しにくくすること
ができる。蓄熱材としては、高密度ポリエチレン、パラ
フィンなどを好適に利用できる。
【0074】また、組成物中に、紫外線吸収剤を含有さ
せても良く、ガラスなどの透明材に利用すれば、人体に
有害な短波長太陽光線などを遮断できる。
【0075】紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾー
ル系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアク
リレート系、オギザニリド系、Ceなどが挙げられる。
また、本発明においては、前記組成物中に、抗菌剤を含
有させてもよく、カビ、細菌類の発生、繁殖を防止でき
る。抗菌剤としては、スルホン酸ナトリウム、イソチア
ゾリン系、安息香酸系、10,10−オキシビスフェノ
キシアルシン、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダ
ゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フター
ルイミド、2−メチルカルボニールアミノベンゾイミダ
ゾール、銀、銅、ゼオライト、銀リン酸ジルコニウム、
銀ハイドロアパタイト、銀リン酸塩ガラス、銀リン酸塩
セラミックなどが挙げられる。
【0076】組成物には、架橋剤としてホルムアルデヒ
ドをはじめとしたアルデヒド化合物を添加しても良く、
それらを添加する事により、ポリビニルアルコールをホ
ルマール化し、耐水性が良く、強アルカリ薬品に侵され
にくい被膜が得られるメリットがある。その他アセトア
ルデヒドのようなアルデヒド化合物によるホルマール化
の他に、ベンザール化、ブチラール化などにより、被膜
の耐薬品性が向上するメリットもある。前記アルデヒド
化合物としては、ジアルデヒド類化合物と、モノアルデ
ヒド化合物があり、本発明で用いることのできるジアル
デヒド類化合物の例としては、グリオキザール、マロン
ジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒ
ド、ヘキサンジアール、ヘプタンジアール、オクタンジ
アール、ノナンジアール、デカンジアール、ドデカンジ
アール、2,4−ジメチルヘキサンジアール、5−メチ
ルヘプタンジアール、4−メチルオクタンジアール、
2,5−ジメチルオクタンジアール、3,6−ジメチル
デカンジアールなどの化合物、あるいはオルソフタルア
ルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒ
ド、フェニルマロンジアルデヒドなどの芳香族化合物、
あるいは1,4−シクロヘキサンジアルデヒドのような
脂環式化合物が挙げられる。あるいは、これらのジアル
デヒド化合物とメタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリ
コールなどのアルコール類とを反応させて、ジアルデヒ
ド類化合物の両末端または片末端をアセタール化した化
合物が挙げられる。これらの化合物は、1種又は2種以
上を混合してもよいが、膜内部への浸透性及び反応性の
点からマロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グル
タルアルデヒド、ヘキサンジアール、ヘプタンジアー
ル、オクタンジアール、ノナンジアール、又はそれらの
アセタール化物が好ましい。また、前記モノアルデヒド
化合物の例としては、ホルムアルデヒド、ベンズアルデ
ヒド等の公知のものが挙げられるが、前記組成物による
被膜の強度低下を小さくする点から、ホルムアルデヒド
が好ましい。これらのアルデヒド化合物によるアセター
ル化度は特に限定されないが、前記(b)化合物と、
(a)PVAもしくは、該PVA、(d)バインダー及
び触媒他の合計量100重量部に対して、1〜50重量
部、好ましくは10〜30重量部である。さらに好まし
くは、15〜20重量部である。1重量部未満では耐湿
熱性が十分ではなく、50重量部より大では、膜強度、
透明性等が低下する。
【0077】コーティング組成物には、界面活性剤を添
加しても良く、それらを添加する事により、該組成物、
または、それにより得られた被膜の流滴性能を上げられ
るメリットがある。その界面活性剤としては、スルホン
酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テルアンモ
ニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエ−テルナトリウム塩、脂肪酸ナトリウムセッケ
ン、脂肪酸カリセッケン、ジオクチスルホコハク酸ナト
リウム、アルキルサルフェ−ト、アルキルエ−テルサル
フェ−ト、アルキルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルエ
−テルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルサルフェ−トT
EA塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサルフェ
−トソ−ダ塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサ
ルフェ−ト、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサル
フェ−トTEA塩、2エチルヘキシルアルキル硫酸エス
テルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸ナトリウ
ム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリ
ル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラ
ウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオイルザル
コシン、アミドエ−テルサルフェ−ト、ラウロイルザル
コシネ−ト、スルホFAエステルナトリウム塩等のアニ
オン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエ−テ
ル、ポリオキシエチレントリデシルエ−テル、ポリオキ
シエチレンステアチルエ−テル、ポリオキシエチレンオ
レイルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレ
ンラウラ−ト、ポリオキシエチレンステアレ−ト、ポリ
オキシエチレンオレエ−ト、ソルビタンステアレ−ト、
ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソル
ビタンアルキルエステル、ポリエ−テル変性シリコ−
ン、ポリエステル変性シリコ−ン、ソルビタンラウラ−
ト、ソルビタンパルミテ−ト、ソルビタンオレエ−ト、
ソルビタンセスキオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビ
タンラウラ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンステア
レ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテ−ト、
ポリオキシエチレンソルビタンオレエ−ト、グリセロ−
ルステアレ−ト、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アル
キルアルキロ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミ
ド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド、ポリオキシエチレ
ンアルキルアミン、ポリオキシエチレンステアレ−ト、
ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン等のノ
ニオン性界面活性剤;アルキルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル2−アルキル
イミダゾリン4級塩、アルキルイソキノリニウムブロマ
イド、高分子アミン、アルキルトリメチルアンモニウム
クロライド、アルキルイミダゾリン4級塩、ジアルキル
ジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン
酢酸塩、アルキルプロピレンジアミン酢酸塩、テトラデ
シルアミン酢酸塩、ジオレイルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ジメチル
アルキルベタイン、アルキルグリシン、アミドベタイ
ン、イミダゾリン等の両性界面活性剤等が好適に利用で
きる。
【0078】本発明においては、コーティング組成物中
において、微粒子状ジルコニアやコロイダルシリカ、微
粒子状チタニアが分散していても良く、微粒子状ジルコ
ニアの平均粒子径としては、1nm〜300nmの範囲
が好ましく。さらに好ましくは、0.5nm〜4nmの
範囲が好ましい。平均粒子径が0.1nmより低いと、
製膜時の外観が悪くなり、例えば、硝酸ジルコニウム等
を使用した場合、着色し易くなる。また、300nmを
超える平均粒子径のジルコニアは、生成塗膜の透明性を
悪化させる原因となる。コーティング組成物中の微粒子
状ジルコニアは、硝酸ジルコニウム等のジルコニール由
来のものが好ましい。
【0079】コーティング溶液を使った複合材は、以下
のようにして形成される。まず前記組成物の各成分を混
合して透明から半透明のコーティング液を得る。次い
で、このコーティング液を鏡や、透明フィルムのような
基材の少なくとも片面にコーティングし、これを80℃
以上の温度、好ましくは120℃〜200℃の範囲内で
加熱乾燥させることにより、本発明の組成物で構成され
たPVA系被膜が得られる。この時、基材がなく、該被
膜のみフィルムを得たい時は、該組成物と吸着しないP
ETフィルムのようなフィルムの上に該組成物溶液をコ
ーティングして加熱乾燥してからはがせば良い。また、
前記無機酸化物含有組成物をコーティングする場合は、
該無機酸化物含有組成物の各成分を混合して透明から半
透明のコーティング液を得る。そして、該PVA系被膜
上に該コーティング液をコーティングし、これを80℃
以上の温度、好ましくは120℃〜200℃の範囲内で
加熱乾燥させることにより、本発明のPVA系コーティ
ング組成物と、無機酸化物含有組成物で構成された二層
被膜が得られる。この被膜は、PVA系組成物が吸湿被
膜であり、無機酸化物含有組成物が流滴被膜であるた
め、このような二層で構成された被膜は防曇被膜とな
り、基材の上に該防曇被膜を被覆する事で防曇材が得ら
れる。また、必要に応じて、上記コーティング液及び/
または、前記無機酸化物含有組成物のコーティング液を
数回重ねてコーティングした後、前記加熱処理を行って
もよい。
【0080】ここで言う無機酸化物含有組成物とは、無
機酸化物と、溶媒とを少なくとも含んでなる組成物であ
り、それが適用された被膜に、流滴性を付与しうる被膜
である。ところで、ここで言う流滴性、または、「流滴
機能」とは、それを備えた被膜上に水がかかった場合、
その水滴が該被膜表面上で濡れ拡がり、該被膜上に平坦
な水膜を発生し、周辺の湿気を該水膜に吸収するように
なるため、該表面に、半円状の水滴として湿気が付着し
た状態、すなわち、水滴による凹凸の発生が防止でき、
該被膜表面に対する太陽光線等の入射光線の乱反射が防
止され、該被膜が曇らなくなる状態を言う
【0081】このような被膜のコーティング方法につい
ては、特に限定されるものではなく、バーコート、ダイ
コート、カーテンフローコート、ロールコート、グラビ
アコート、マルチコート、コンマコート、スプレーコー
ティング、スピンコーティング、ディップコーティング
等のあらゆるコーティング方法の使用が可能である。前
記新PVA系組成物では、鏡のような単板においてもカ
ーテンフローコートによるコーティングが可能であるた
め、かなり大き目の鏡のような単板でも速やかにコーテ
ィングが可能である。そのため、カーテンフローコート
が好ましい。これによって得られた被膜の膜厚みは、特
に限定されるものでははないが、防曇性能のあるフィル
ムを作成する場合、0.01〜20μmが好ましく、さ
らに好ましくは、0.05〜1μmである。ただし、こ
の膜厚みの上限は、特に限定されるものではなく、膜厚
みが厚いほど防曇性能が向上するためいいが、機械の特
性上、膜厚みが厚くなればなるほど、外観上むらができ
るなどにより、悪くなるため、上記のような膜厚みが適
当である。そして、流滴被膜をコートする場合は、4〜
300nmの厚みが好ましく、さらに好ましくは、10
〜50nmである。
【0082】本発明の流滴被膜は、前記組成物中の無機
酸化物微粒子の粒径や粒子形状、無機酸化物微粒子と他
の添加物との混合比、固形分濃度、無機酸化物微粒子の
分散状態などを調節することにより、算術平均粗さ(R
a)が2〜100nmであり、かつ凹凸の平均間隔(S
m)が4〜300nmとするのが好ましい。
【0083】また、本発明の好ましい態様によれば、防
曇被膜又は、防曇材の水の静止接触角を10度以下にす
る。これにより、水滴が付着した際、効率よく水膜を形
成させることができるとともに、空気中の湿気がそのま
ま水膜として、該被膜表面にひろがるため、水滴等によ
る被膜表面の凹凸の発生がなく、その結果長時間防曇性
を持続させる効果がある。
【0084】本発明において、上記のような製造方法で
得られた吸湿被膜や二層コート被膜である防曇被膜や、
鏡やフィルムのような基材に適用して得られる防曇材を
作成する事により、前記のような流滴被膜表面の凹凸形
状による水に対する濡れ性の向上と、水滴の接触角を小
さくする効果が吸湿被膜に付加されるため、該被膜に水
を掻けて水膜を発生させる事により、吸湿被膜のみの防
曇被膜に比べて、長期間防曇性能が持続する効果が得ら
れる。また、それとともに、流滴被膜のみの防曇被膜を
使用した場合、浴室等で通常使用されるシャンプーや、
リンス、または、コンディショナーといった薬品が被膜
表面に付着すると、該被膜の流滴性が失われ、その部分
が水をはじく現象が見られ、洗ってもなかなか改善され
ない問題が発生する。しかし、該二層コート被膜の場
合、その薬品に対する水による洗浄、もしくは、水を掻
けながら行われる手による簡単な洗浄でそのような薬品
を洗い落とす事ができ、簡単に流滴性を回復する効果が
ある。すなわち、該二層コート被膜は耐薬品性能が他の
流滴被膜に比べて高いという特徴がある。
【0085】本発明においては、前記(d)バインダー
を含んだ新PVA系組成物を用いて、吸湿被膜または、
二層コート被膜を作成し、防曇被膜、または、防曇材を
作成する。そして、該吸湿被膜または二層コート被膜
は、有機無機ハイブリッド構造を持った吸湿被膜を持つ
事から、有機物のみで構成されている被膜と比べて、被
膜表面強度の高い被膜が得られる特徴がある。また、有
機物で構成されている流滴被膜と比べて、該被膜の方
が、被膜表面強度が高い事から、前記のようにシャンプ
ーや、リンス等が該被膜表面につき、水やお湯を掻けた
だけでは取れないような付着物がついた場合でも、被膜
の傷や性能劣化をある程度気にする事なく、手やタオル
で拭いてとる事ができる効果がある。そして、被膜強度
が向上するとともに、吸湿被膜が水を含んだ時において
もやぶれたりはがれたりする事が少なくなり、結果的に
耐水性のある被膜が得られる。
【0086】本発明によると、基材表面を新PVA系組
成物で被覆する際、基材表面をあらかじめ洗浄剤で洗浄
することで、基材表面の不純物を除去するとともに、基
材の親水性能を高められる。そしてそれにより、基材と
被膜の間に気泡が入ることがなく、付着性の高い被膜が
得られる。
【0087】ここでいう洗浄とは、フロン、イソプロパ
ノール、エタノール、水酸化ナトリウム、中性洗剤等に
よる洗浄といった基材に付着している異物除去を目的と
する脱脂洗浄や、サンドペーパー等で基材を磨き、基材
表面の平滑性を上げ、表面張力を下げることを目的とす
る物理的処理を意味する。例えば、鏡に対する該組成物
の被覆の場合、前記洗浄としては、セリア磨きによる洗
浄が好適である。これは、セリアを主成分とした粒子を
中性洗剤等に溶かして洗浄剤を作り、基材表面をそれに
より洗うことで、基材表面の脱脂や平滑化、表面張力減
少による親水性の向上を達成することができる。
【0088】本発明においては、前記のように、あらか
じめ親水化することにより、基材のぬれ性が向上し、き
れいな被膜が出来るとともに、付着性の高い被膜が得ら
れる。
【0089】前記親水化には、薬品、紫外線、放射線、
放電等による基材表面の酸化等を行うことが、手法とし
て考えられているが、その中でも特に、基材をコロナ放
電処理した後に、コーティング液をコーティングした場
合、その他の場合より基材の親水性能がさらに高くな
り、きれいな被膜が出来るとともに、付着性の高い被膜
が得られる。特にセリア磨きと併用すると効果が高い。
【0090】これは、基材表面にコロナ放電することに
より、エアギャップ中の高速及び低速電子を酸素原子と
衝突させ、励起した酸素分子を生成し、オゾンや反応性
の高い酸素原子、フリーラジカルに変化させる。そし
て、この活性種により、基材表面を酸化し、コーティン
グ液のぬれ性を良くすることができる。このようにし
て、基材表面の改質をすることにより、他の極性分子で
あるコーティング組成物と基材との接着を促進しうるの
で、結果的に、付着性の向上をはかることができる。
【0091】前記部材を作成する際、該組成物が塗装さ
れうる基材としては、特に限定されず、例えば、金属、
セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セメン
ト、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合わせ、そ
れらの積層体が好適に利用できる。基材は部材の用途を
勘案して決定されてよい。前記基材としての鏡は、裏面
に反射コートを設けたガラス基材からなる鏡、裏面に反
射コートを設けた透明プラスチックからなる鏡、プラス
チック、ガラス、金属等の基材表面に反射コートを設け
た鏡、プラスチック、ガラス、金属等の基材表面に反射
コートを設け、さらにその上に透明なハードコートを設
けた鏡、鏡面研磨した金属基材からなる鏡、鏡面研磨し
た金属基材からなる鏡の表面に透明なハードコートを設
けた鏡、裏面に反射コートを設けた透明プラスチック基
材の上に透明なハードコートを設けた鏡等が好適に利用
できる。前記基材としての透明板状部材は、ポリエチレ
ンテレフタレートや、ポリ塩化ビニル、メタクリル樹脂
等のプラスティック部材や、ソーダ石灰ガラスや、ホウ
ケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス等の板ガラスと
いったものが好適に利用できる。前記基材としての透明
レンズは、ポリエチレンテレフタレートや、ポリ塩化ビ
ニル、メタクリル樹脂等のプラスティック部材や、ソー
ダ石灰ガラスや、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩
ガラス等のガラスといったものが好適に利用できる。前
記部材としての透明フィルムは、ポリエチレンテレフタ
レートや、ポリ塩化ビニル、メタクリル樹脂等のプラス
ティック部材が好適に利用できる。前記基材としては、
前記のような部材に限ったものではない。基材と下層と
の間には、基材との密着性向上等の目的で透明な中間層
を設けてもよい。
【0092】本発明による前記基材としての鏡は、自動
車用サイドミラー、自動車用ルームミラー、浴室や洗面
所に設置する鏡などに利用され得る。特に、本発明の防
曇材の流滴性能を勘案すると、場所的に水を掻けて水膜
を発生させ易く、給湯の湯気が表面に付着して曇り易
い、浴室において好適に使用され得る。
【0093】また、前記基材としての透明板状部材とし
ては、住宅用窓ガラス、家具のガラス、自動車用窓ガラ
ス、自動車の計器用ガラスなどに利用され得る。さら
に、前記基材としての透明レンズとしては、メガネ、ゴ
ーグル、カメラ用レンズ、携帯用ビデオカメラのレン
ズ、天体望遠鏡用レンズなどに利用され得る。さらに、
前記基材としての透明フィルムとしては、食品用の包み
紙や、自動車用サイドミラー、自動車用ルームミラー、
浴室や洗面所に設置する鏡に貼る防曇フィルムなどに利
用され得る。そのほかに、前記基材は、防汚性、防露性
を有する浴室用天井材、便器用配管、給水用配管、小便
器、大便器、便器用トラップ、洗面ボウル、洗面トラッ
プのいずれかにも好適に利用できる。さらに、前記基材
は、防汚性、防露性を有する浴槽、浴室用壁材、浴室用
床材、浴室用グレ−チング、シャワ−フック、浴槽ハン
ドグリップ、浴槽エプロン部、浴槽排水栓、浴室用窓、
浴室用窓枠、浴室窓の床板、浴室照明器具、排水目皿、
排水ピット、浴室扉、浴室扉枠、浴室窓の桟、浴室扉の
桟、すのこ、マット、石鹸置き、手桶、浴室用鏡、風呂
椅子、トランスファ−ボ−ド、給湯機、浴室用収納棚、
浴室用手すり、風呂蓋、浴室用タオル掛け、シャワ−チ
ェア、洗面器置き台等の浴室用部材、台所用キッチンバ
ック、台所用床材、シンク、キッチンカウンタ、排水
籠、食器乾燥機、食器洗浄器、コンロ、レンジフ−ド、
換気扇、コンロ着火部、トイレ用床材、トイレ用壁材、
トイレ用天井、ボ−ルタップ、止水栓、紙巻き器、便
座、昇降便座、トイレ用扉、トイレブ−ス用鍵、トイレ
用タオル掛け、便蓋、トイレ用手すり、トイレ用カウン
タ、フラッシュバルブ、タンク、洗浄機能付き便座の吐
水ノズル等のトイレ用部材、洗面トラップ、洗面所用
鏡、洗面用収納棚、排水栓、歯ブラシ立て、洗面鏡用照
明器具、洗面カウンタ、水石鹸供給器、洗面器、口腔洗
浄器、手指乾燥機、洗濯槽、洗濯機蓋、洗濯機パン、脱
水槽、空調機フィルタ、タッチパネル、水栓金具、人体
検知センサ−のカバ−、シャワ−ホ−ス、シャワ−ヘッ
ド、シャワ−吐水部、シ−ラント、目地のいずれにも好
適に利用できる。
【0094】また、本発明において、前記高湿度ゾーン
とは、台所、洗面所、浴室、トイレ、給湯室、下駄箱、
玄関、押し入れ、戸棚、洗濯機のある部屋、ガスレンジ
周辺といったような住宅、または、非住宅において、使
用条件によって、相対湿度が50%以上になるゾーンを
言い、そこで、防曇被膜及び、防曇材が使用される事を
特徴とする。
【0095】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明は、これらの実施例によって限定される
ものではない。実施例、比較例で用いた評価方法は、次
の通りである。
【0096】初期防曇性能評価方法;30℃湿度100
%の雰囲気下に被膜の塗布された防曇材を置き、曇りが
膜表面全体の半分を覆うまでの時間を測定する。この
時、サンプルは、5℃の冷蔵庫内に、30分間静置した
後、測定する。流滴被膜は、この評価を行う直前に霧吹
きにより、水膜を発生させてから行う。 ○;曇るまでの時間が、2分以上のもの。 △;曇るまでの時間が、30秒以上2分以下のもの。 ×;曇るまでの時間が、30秒以下のもの。
【0097】初期外観の評価 目視によりサンプルの外観を調べる。 ◎;膜表面に、気泡や白濁、が全く見られないもの。 ○;膜表面に、気泡や白濁、が見て気にならない程度し
かないもの。 △;膜表面に、気泡や白濁、が少し見られるもの。 ×;膜表面に、気泡や白濁、がかなり目立つもの。
【0098】耐水性の評価 被膜の塗布された部材を、30秒間常温の水中に侵せき
させた状態で、被膜表面をスキージ(プラスティック製
の小型のヘラ)の先で擦る操作を50回往復で行い、乾
燥させた後、擦った跡を観察して評価する。 ◎;膜表面に、傷跡が全く見られず、流滴性(初期防曇
性が1分以上あるもの)のあるもの。 ○;膜表面に、傷跡は見られないが、流滴性(初期防曇
性が1分以上あるもの)のない部分があるもの。 △;膜表面に、傷跡は見られないが、流滴性(初期防曇
性が1分以上あるもの)のないもの。 ×;膜表面に、傷跡が見られ、流滴性(初期防曇性が1
分以上あるもの)のないもの。
【0099】色差(ΔE)測定による評価 被膜の塗布された部材表面の変色度合いを、Σ80Colo
r Measuring System(日本電色工業株式会社製)で、部
材表面の色差(ΔE)を測定する。 ΔEによる評価の目安。 ◎;ΔE<1;全く変色がない被膜変色のレベル。 ○;1≦ΔE<2;被膜が塗装されていない部材と比較
した場合、少し変色した事がわかるが、実用上気になら
ない被膜変色のレベル。 △;2≦ΔE<3;少し変色が気になる被膜変色のレベ
ル。 ×; 3≦ΔE;変色がかなり顕著な被膜変色のレベ
ル。
【0100】コーティング液作成後2日目の粘度の評価 コーティング液作成後の該液の作成直後と、116時間
の粘度をB形粘度計(形式BL、株式会社東京計器製)に
より測定。 ;粘度<500;コーティング液として十分な粘度 ×; 500≦粘度;コーティング液として不十分な粘
【0101】コーティング液内気泡の消泡性能の評価 コーティング液をカーテンコーターのような量産用のコ
ーティングマシンに投入してコーティングを行う場合、
該コーティング液に泡が入り込み易かったり、一度入っ
た後、抜けにくかったりするような事がある。この場
合、コーティング後に泡が被膜内に残るといった外観上
の弊害が生じる事があるため、該コーティング液を使っ
た場合でも泡が消え易くなる消泡作用のあるものが必要
となる。 消泡作用の目安 コーティング液を100mlビーカーに80ml入れ、
さらに長さ2cm、幅3mmクラスの攪拌子を入れて、
多連式マグネティックスターラーF−606N(遠藤科
学株式会社製)で10のメモリ分までつまみを回して5
分間攪拌する。攪拌後、液から泡が抜けているかどうか
を見る。 ;攪拌後、泡が全く入っていない状態。 △;攪拌後、泡が入っているが、10秒以内にすべて抜
ける状態。 ×; 攪拌後、泡が入り、30分経っても泡が抜けない
状態。
【0102】コーティング液による配管腐食の可能性評
価 コーティング液をコーティングマシン等でコーティング
する際、ステンレス配管の場合でも、配管やその他の接
触する金属部分を腐食する可能性がある。そのため、使
用する機械の耐久性に問題が生じる場合がある。そこ
で、コーティング液を100mlビーカーに80ml入
れ、そこに長さ5cm、幅2cm厚さ2mmのステンレ
ス(SUS304)を入れて、1週間保持する。1週間
後その外観の変化を見る。 コーティング液による配管腐食の可能性評価の目安 ;外観に変化無く、通常のコーティングマシンによる塗
装が可能。 ×;外観に変化が見られるため、通常のコーティングマ
シンによる塗装が不可能。
【0103】実施例1 ポリビニルアルコールであるPVA―117H(平均重
合度:1700、完全ケン化型;ケン化価:98〜99
%)(クラレ製);5gに水;95gを加え、90℃の
条件下で5時間攪拌し、PVA117Hを溶解させる。(以
後A1液と称する。)次に、硝酸ジルコニル二水和物
(和光純薬製);13gと水87gを加えて5分間攪拌
した後、イオン交換樹脂WA−20(三菱化成製);6
0gを混入し、その溶液がpH3.0になるまで多連式
マグネティックスターラーF−606N(遠藤科学株式
会社製)で攪拌する。その後、その溶液とイオン交換樹
脂とをデカンテーションで分け、常温(25℃)で1日
間静置する。(以後A2液と称する。)そして、このA2
液;40gと、A1;液60g、蒸留水;20g、1級エ
タノール(和光純薬製)10g、クエン酸(和光純薬
製);20gを蒸留水;80gで溶解して得られた20
%クエン酸水溶液(B1液と称する。);1gとを各々混
合する。(この液を以後、C1液と称する。)そして、こ
のC1液を、多連式マグネティックスターラーF−60
6N(遠藤科学株式会社製)で1時間攪拌する。そし
て、このC1液をPETフィルムであるHSt74(テイジン
製)のプライマーがコートされている側に、試験用バー
コーターRDS03(ヨシミツ精機株式会社製)でコート
し、オーブン(DK−400、ヤマト科学製)で145
℃4分間加熱乾燥して、透明なコート被膜が得られる。 実施例2 クエン酸(和光純薬製);20gを蒸留水;80gで溶
解して得られた20%クエン酸水溶液(B1液と称す
る。)を、2gだけ、C1液に添加する事以外、実施例
1と同じ。
【0104】比較例1 実施例1において、B1液を添加しないで(0g)C1
液を調製する事以外、実施例1と同じ。 比較例2 実施例1において、A1液のPVA117Hを、PVA2
17(平均重合度:1700、完全ケン化型;ケン化
価:87〜89%)(クラレ製)に変える事と、A1液
のエタノールを入れない事以外、実施例1と同じ。 比較例3 実施例1において、A1液の硝酸ジルコニル二水和物
(和光純薬製)のところを、塩化酸化ジルコニウム八水
和物(和光純薬製)に変える事以外、実施例1と同じ。
【0105】
【表1】
【0106】表1のように、PVA組成物溶液に、カル
ボン酸含有化合物を添加する事により、該溶液の粘度の
上昇が少なく、液性の安定したPVA組成物溶液を作成
しうる効果がある事がわかる。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、粘度が急激に変化する
といった問題がなく、耐水性及び防曇性にも優れたコー
ティング組成物と、それにより得られた防曇複合材及び
その製造方法を提供する事が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久田 啓介 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA40A AG00B AH02A AH08A AK01A AK01B AK21A AK42B AT00B BA02 BA07 CA02A GB08 GB71 JB20A JL07 JN01A JN01B 4J038 CE021 JA39 JC38 KA06

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリビニルアルコールと、(b)
    非ポリマー性の多価カルボン酸含有有機化合物、(c)
    溶媒、(d)加水分解・縮重合反応により硬化させる遷
    移金属系バインダーを含有する組成物であり、前記
    (d)100重量部に対して前記(b)が0.5〜10
    0重量部であるコーティング組成物。
  2. 【請求項2】 前記加水分解・縮重合反応により硬化さ
    せる遷移金属系バインダーがジルコニウム化合物であ
    る、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニル
    キレートである、請求項1または、2に記載のコーティ
    ング組成物。
  4. 【請求項4】 前記ジルコニルキレートが、オキシ硝酸
    ジルコニウムである、請求項3に記載のコーティング組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記溶媒が水含有有機溶媒であり、前記
    水100重量部に対して前記有機溶媒が0.1〜50重
    量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコー
    ティング組成物。
  6. 【請求項6】 前記非ポリマー性の多価カルボン酸含有
    化合物がカルボキシル基を少なくとも2つ以上4つ以内
    含有する非ポリマー性の多価カルボン酸含有化合物であ
    る、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング
    組成物。
  7. 【請求項7】 前記非ポリマー性の多価カルボン酸含有
    化合物がカルボキシル基が持つ水酸基以外の水酸基を少
    なくとも一つ以上含有する非ポリマー性の多価カルボン
    酸含有化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記
    載のコーティング組成物。
  8. 【請求項8】 前記非ポリマー性の多価カルボン酸含有
    化合物がクエン酸である、請求項1〜7のいずれか一項
    に記載のコーティング組成物。
  9. 【請求項9】 前記ポリビニルアルコールのけん化度
    が、98%以上である請求項1〜8のいずれか一項に記
    載のコーティング組成物。
  10. 【請求項10】 前記組成物のpHが1.5以上であ
    る、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコーティング
    組成物。
  11. 【請求項11】 前記組成物のpHを1.5以上にする
    際、陰イオン交換樹脂を使用する事を特徴とする請求項
    10に記載のコーティング組成物。
  12. 【請求項12】 前記組成物は、前記ジルコニルキレー
    トを、前記溶媒に希釈し、その溶液のpHを1.5以上
    にしてから、ポリビニルアルコールを混合することによ
    り作製することを特徴とする1〜11のいずれか一項に
    記載のコーティング組成物。
  13. 【請求項13】 基材表面に、請求項1〜12のいずれ
    か一項に記載のコーティング組成物を適用する工程を具
    備する事を特徴とする複合材の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記組成物を適用する工程において、
    前記組成物を乾燥または硬化させることを特徴とする請
    求項13に記載の複合材の製造方法。
  15. 【請求項15】 さらに、微粒子状無機酸化物含有組成
    物を適用する工程を具備する事を特徴とする請求項13
    または14に記載の複合材の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項13〜15のいづれか一項に記
    載の製造方法によって得られることを特徴とする防曇複
    合材。
  17. 【請求項17】 前記基材が透明であり、得られた防曇
    材表面も透明である、ことを特徴とする請求項16に記
    載の防曇複合材。
  18. 【請求項18】 前記防曇材が鏡、透明板状部材、透明
    レンズ、透明フィルムのいずれかであることを特徴とす
    る請求項16または、17に記載の防曇複合材。
  19. 【請求項19】 前記防曇材が、住宅または、非住宅施
    設内の高湿度ゾーン用防曇材である、請求項1〜18の
    いずれか一項に記載の防曇複合材。
  20. 【請求項20】 前記高湿度ゾーンが、台所、洗面所、
    浴室、トイレである事を特徴とする請求項19に記載の
    防曇複合材。
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