JP4002462B2 - 多数の凹凸形状を有するパネル建材及びその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の凹凸形状を有するパネル建材及びその製法に関するものであり、具体的に言えば、防汚性及び耐久性を図ったFRP製のバルコニ−パネルに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、本発明の目的である多数の凹凸形状を有するパネル建材としてバルコニ−パネルを例にとって本発明の詳細を説明する。戸建て或いは集合住宅のバルコニーに設置されるパネルは従来は鉄材或いはFRP樹脂にて構成されている。近年では意匠性を重視するために後者のFRP製のパネルが広く用いられ、多数のしかも細かな凹凸形状を有するパネルが採用されるようになってきた。しかるに、意匠性を重視すればそれだけ凹凸形状が複雑化することになり、そのため、バルコニーパネルのクリーニング性が悪化している。このため、汚れを付きにくくするためにFRP表面に塗料を塗る等の対応策が行われているが、FRP表面との接着性等に問題があり耐久性の面で不十分である。
【0003】
更に、永年屋外に晒されているバルコニ−パネルにあっては、その表面に汚れが付着し、特にFRP製のものにあっては太陽光による劣化が発生する。即ち、従来のバルコニ−パネルは大気汚染物質を含んだ雨だれ等では、ぬぐい切れない汚れが付着する。又、バルコニ−パネルの表面が永年の使用により太陽光により劣化し、ミクロのクレージング(白化)が発生すると、その汚れの付着はよりひどいものになる。
【0004】
このため、汚染が予想される箇所に使用させるパネルの表面に、耐候性等を向上させるため、防汚剤を塗工して表面を防汚性とすることも考えられてはいる。防汚剤としては、界面活性剤やボリビニルアルコール系樹脂の有機系親水剤や、シリカ化合物に有機高分子樹脂を混合するシリコン系樹脂、フッ素系樹脂が考えられるが、これら防汚剤は耐紫外線・耐酸・耐アルカリ性とすると共に、親水・撥水機能の効果を発揮する。又、光触媒能を有する光触媒体を含有する防汚剤も知られており、表面に塗布した光触媒体は、付着した有害物質や基材に接触した有害ガスを分解する効果や親水機能の効果を有している。しかし、前者は、その耐候性に寿命があり、後者は、光触媒体の分解能という性質上、用いられる基材に制限があるという問題がある。
【0005】
後者における光触媒体は、その光触媒機能により、有害物質等を分解・無害化するが、FRP製のパネルの表面に光触媒を担持させてなる光触媒体においては、パネル自体(基材)が酸化還元反応等の光触媒作用により劣化されることからその基材の保護が必要である。
【0006】
このような目的のため、光触媒能を有するアナターゼ型酸化チタンTiO2 とシリコン系樹脂とからなる防汚剤が知られている。しかしながら、このシリコン系樹脂を主体として用いた光触媒体を含有する防汚剤は、親水性と固定は優れた機能を発揮するが、光触媒の分解能を十分に発揮することが出来ず、又、FRP等の樹脂製の基材を用いた場合には光触媒機能による基材の劣化を十分に抑制することができない。更に、シリカ化合物を主体とした光触媒が付加された基材は、コロイダルシリカをはじめとしたシリカを主体とするところから、実質的な膜強度を得るためにはシリカの溶融温度の500℃以上に加熱を行わなければならない。このため、この温度に耐えられない軟化点の低い樹脂基材は使用することができず、基材が制限されるという問題がある。又、シリカ溶融温度以下での加熱では実質的な膜強度が得られないことも大きな問題点である。
【0007】
更に、水系のTiO2 含有防汚剤も存在しているが、水系塗料であるため、樹脂製の基材に対しては表面が不活性であるため、上記塗料を均一にかつ強固に塗工することが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題を解決するために、アモルファス型チタン酸化物を含有する防汚剤が、極めて優れた光触媒分解能、親水性、耐候性等の特性を付与し得るばかりではなく、シール性、成膜性及び透明性に優れており、更に、基材としての樹脂材料が光触媒能によって劣化しないことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。即ち、本発明はバルコニーパネルの表面に付着する油分等を分解・除去すること、及び樹脂製パネルの母材となる例えばポリエステル樹脂の劣化を防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明の第1は、多数の凹凸形状を有するパネル建材であって、その表面に親水処理を施し、水系の防汚剤を塗工(第2塗膜層)することを特徴とする防汚性パネル建材であり、好ましくは、上記水系の防汚剤がアナタ−ゼ型酸化チタンからなる光触媒体で、更に、親水処理が施されたパネル建材の表面と防汚剤(第2塗膜層)との間に中間層(第1塗膜層)を設けたものである。かかる中間層(第1塗膜層)は光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタンからなり、アモルファス型酸化チタンとの混合物であってもよい。更に、中間層(第1塗膜層)が界面活性剤及び/又は親水剤を含有するものであってもよい。
【0010】
そして、パネル建材の表面を親水化する手段としては、コロナ放電処理が採用される。ここでコロナ放電処理装置としては、処理面に近接して設置される第1の電極と、上記第1の電極と被処理物に対して同じ側に、上記第1の電極に近接して設置された第2の電極との間に、高周波発振器と高圧トランスとを備えた高電圧発生装置により、高電圧の高周波電圧を印加して上記第1の電極と第2の電極との間にコロナ放電を発生させるものが用いられる。なお、親水化の程度としては水の接触角が40度以下のものが好ましい。
【0011】
発明の第2は、防汚性パネル建材の製法に係るものであり、表裏に多数の貫通孔が形成されたパネル建材面に親水処理を施し、次いで当該パネル建材の一方面に対して一定の角度(α)をもってスプレ−ガンにて水系の防汚剤を塗工し、更に逆向きにかつ当該パネル建材の表裏を裏返してスプレ−ガンにて水系の防汚剤を塗工することを特徴とし、好ましくは、水系の防汚剤がアナタ−ゼ型酸化チタンである光触媒体であるのがよい。更に好ましくは、親水処理が施されたパネル建材の表面と防汚剤(第2塗膜層)との間に中間層(第1塗膜層)を設けたもので、かかる中間層は光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタンからなり、アモルファス型酸化チタンとの混合物であってもよい。更に、この中間層が界面活性剤及び/又は親水剤を含有するものであってもよい。
【0012】
そして、パネル建材の表面を親水化する手段としては、コロナ放電処理が採用される。ここでコロナ放電処理装置としては、処理面に近接して設置される第1の電極と、上記第1の電極と被処理物に対して同じ側に、上記第1の電極に近接して設置された第2の電極との間に、高周波発振器と高圧トランスとを備えた高電圧発生装置により、高電圧の高周波電圧を印加して上記第1の電極と第2の電極との間にコロナ放電を発生させるものが用いられる。なお、親水化の程度としては水の接触角が40度以下となるように処理する。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の第1について更に具体的形態について述べれば、建物のバルコニーに設置される貫通孔を多数備えたパネル建材であって、その表面に光触媒機能を有さないアモルファス型過酸化チタンを含有する中間層(第1塗膜層)、及びこの表面に光触媒能を有する光触媒体を含有する防汚剤(第2塗膜層)が形成されたことを特徴とするものである。そして、パネル建材の表面に、コロナ放電処理を施して親水化したものである。
【0014】
以下、この発明に基づいて更に言及すると、パネルの表面に光触媒層(第2塗膜層)を形成したもので、光触媒能を有する酸化物粒子が外気と接触し、有機物分解能と親水性をもたらす表面層が形成されている。このため、パネルの表面に付着した汚れは分解され、簡単に水にて洗浄可能となったものであり、更には、雨だれが残らないという特徴を合わせもつものである。
【0015】
即ち、パネル建材に親水性と防汚性とを付与するためには、パネルの表面に形成する第1塗装層を光触媒機能を有さないアモルファス型過酸化チタンを含有する層とし、更にこの表面に光触媒能を有する光触媒体を含有する第2塗膜層が形成され、直接太陽の光に反応してこれらの機能をもたらすものである。
【0016】
言い換えれば、有機母材(パネル)と光触媒層の間に接着性があり、かつ活性の強い光触媒に分解されない別の層を設けることにより課題を解決したものである。即ち、この別の層(第1塗装層)としてTiO3 層を選択したもので、これは水系であるためにその塗工性をよくするため、好ましくは母材側にコロナ放電処理等を行ってぬれ性を改良したものである。即ち、パネルの表面に第1塗膜層及び光触媒の層(第2塗装層)を形成することにより、パネルの表面に第2塗膜層が強固に接着し、この層によって付着した有機物を分解すること、親水化により雨水による水洗い或いは水洗いの掃除により汚れを除去することができることとなったものである。
【0017】
第1塗装層を構成する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性(花王株式会社製「クリンスル」、アニオン系界面活性剤(ライオン株式会社製「サンノール」)等があり、親水剤としては、nーメチルピロリドンやコロイダルシリカ等の二酸化珪素、シロキサン類化合物、水ガラス等のケイ素酸化物の含有剤が挙げられる。
【0018】
更に、アモルファス型過酸化チタンTiO3 やアモルファス型酸化チタンTiO2 は、紫外線によって光励起して光触媒能を有するアナターゼ型酸化チタンやルチル型酸化チタンとは異なり光触媒機能はない。これら光触媒機能を有さないアモルファス型チタン酸化物の中でも、水を溶媒とするアモルファス型過酸化チタンゾルが膜形成性等の点から好ましい。
【0019】
このアモルファス型過酸化チタンゾルの製造例としては、例えば、四塩化チタンTiCl4 等のチタン塩水溶液に、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリを加えて生成された無定型の水酸化チタンTi(OH)4 を洗浄・分離した後、これを過酸化水素水で処理することにより、アモルファス形態の過酸化チタン液を得る。上記アモルファス型過酸化チタンゾルは常温ではアモルファス状態で、未だアナターゼ型酸化チタンには結晶化していないため、密着性に優れ、膜生成性が高く、均一でフラットな薄膜を形成することができ、乾燥皮膜は水に溶けないという性質の他に、親水機能性が付与され、かつ、光触媒に対して安定であるという特性を有する。
【0020】
更に、防汚機能を相乗させるため、その上に第2塗装層として光触媒層を設けるものである。この光触媒能を有する光触媒体を含有する層は、紫外線照射時には優れた親水機能と光触媒による防汚磯能とを有し、紫外線非照射時には光触媒による防汚機能は発揮し得ないが優れた親水機能を有するという特徴をもつ。
【0021】
この光触媒能を有する光触媒体を含有する第2塗装層を備えたパネルは、紫外線照射時には優れた親水性と光触媒による防汚機能とを有し、紫外線の非照射時に光触媒による防汚機能は発揮し得ないが優れた親水機能を有するという特徴をもつ。そして、この光触媒能を有する光触媒体を含有する第2塗装層とパネルの表面との間には第1塗装層があるので親水作用が劣化することなく、優れた親水性能と防汚機能が長期にわたって維持されることとなる。
【0022】
ここで光触蝶とはその結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーの光を照射したときに価電子帯中の電子の励起が生じて伝導電子と正孔を生成しうる物質をいい、上記活性化された光触媒体が空気中の水分や酸素から活性酸素を作り出し、この活性酸素により空気中の有機物や無機ガスと反応する。光触媒酸化物としてはアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、三酸化ニビスマス等の酸化物が用いられる。中でもゾル状のアナターゼ型酸化チタンTiO2 が好ましい。ゾル状のものは接触する相手側が親水性であれば、極めて平滑な面を構成することとなるからである。
【0023】
この第2塗装層(光触媒層)を構成する材料としては、光触媒機能を有するアナターゼ型酸化チタンやルチル型酸化チタン等を含有する光触媒体が用いられるが、光触媒機能を有さないアモルファス型過酸化チタンゾル等と、上記光触媒機能を有する光触媒体との混合物を含有したものであってもよい。
【0024】
光触媒の光励起に用いる光源としては太陽光がそのまま利用できる。そして、光励起に応じて基材表面が親水化されるためには、励起光の照度は0.001mw/cm2 以上、好ましくは0.01mw/cm2 以上、更に好ましくは0.1mw/cm2 以上とするのがよい。
【0025】
ここで、光触媒性酸化物粒子が外気と接するように霧出した親水性を呈する第2塗装層について述べると、基本的にはコーティング組成物を第1塗膜層の表面に固着せしめることによるもので、上記コーティング組成物の塗装方法としては、スプレー法、ディップ法、フローコーティング法、ロール法、刷毛塗り等の公知の方法が採用される。
【0026】
尚、パネルの表面と第1塗膜層と第2塗装層との積層には、両者が完全に行われなくてはならないが、パネルの表面に、コロナ放電処理を施して、第1塗膜層に対してぬれ特性及び/又は反応性を向上させることができる。
【0027】
ここでパネルの表面の親水化処理としてコロナ放電処理が利用される。そして、パネルの表面をコロナ放電処理することにより電子の衝突や二次的に発生するオゾンや紫外線の作用により、反応性の高い活性基が発生するので、第1塗膜層とのぬれ特性や反応性を向上させることができることとなり、この層上に形成される第2塗膜層との接着性が極めて向上することとなる。
【0028】
ここでコロナ放電処理を説明する。図1に示すように、被処理物であるパネル10の処理面10Sに、コロナ放電装置20により上記処理面10Sをコロナ放電処理する。上記処理面10Sは、上記コロナ放電による電子の衝突や二次的に発生するオゾンや紫外線の作用により、反応性の高い活性基が発生するので、上記処理面10Sのぬれ特性や反応性を向上させることができる。
【0029】
尚、コロナ放電処理等による当該表面の親水化は、水の接触角は10〜40度程度がよい。40度以上であると塗布される水溶液をはじいて均一な塗膜を得ることが難しくなり、又、10度以上であれば水溶液を十分に塗膜することができるからである。
【0030】
上記コロナ放電処理装置20は、図2に示すように、上記処理面10Sに近接して設置される第1の電極21と、上記第1の電極21と被処理物10に対して同じ側に、上記第1の電極21に近接して設置された第2の電極22との間に、高周波発振器23Aと高圧トランス23Bとを備えた高電圧発生装置23により、高電圧の高周波電圧を印加して上記電極21、22間にコロナ放電を発生させるもので、具体的には、上記第1の電極21は、上記処理面10Sの表面を回転しながら移動するロール状の被覆部材24により被覆されたステンレス製棒から構成される。又、第2の電極22はステンレス製の平板から構成され、上記被覆部材24の回転に伴って、上記第1の電極21と所定の距離を保持しながら上記処理面10S上を移動する。従って、上記第1の電極21と第2の電極間でコロナ放電を発生させながら、上記第1の電極21と第2の電極を処理面10S上に沿って移動させることにより、上記処理面10Sを均一にコロナ放電処理することができる。
【0031】
次いで、上記コロナ放電処理した表面に水とチタン酸化物とを含む水系の防汚剤を塗布して第1塗膜層及び第2塗膜層を形成する。この例では、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタンからなり、場合によっては、アモルファス型酸化チタンを含有する第1塗装層と、この第1塗装層上に形成された光触媒能を有する光触媒体を含有する第2塗装層(光触媒層)を形成したものである。更に、第1塗装層には、界面活性剤及び/又は親水剤を含有していてもよい。
【0032】
特に表裏に貫通する孔10Hが多数ある形状のパネル10に対して第1及び第2塗膜層を形成するには、親水処理したパネル面10Sに対してやや斜めに第1スプレ−処理を施し、次いで当該パネルと逆向きにかつその表裏を裏返してスプレ−処理を施す方法がよく、これによって凹凸形状内部(貫通孔内部)にもほぼ均一にスプレ−による塗膜層が形成できることになる。勿論、角度を変えたスプレ−ガン51を複数連としこれを通すのもよいが、先ず1個のスプレ−ガン51を用いて処理し、次いでパネル10を逆向きにして同じスプレ−ガン51にて処理することもよい。更に好ましくは、図3(a)に示すようにパネル10を逆向きにかつその表裏を裏返して処理するのがよい。図3(a)の方法によれば、貫通している部分もほぼ完全に塗膜層が形成できることになる。
【0033】
この防汚層12としては、図3(b)に示すように、上記コロナ放電処理された処理面10S上に形成された過酸化チタン層12a(第1塗膜層)と、上記過酸化チタン層12a上に形成された酸化チタン層12b(第2塗膜層)から構成される。即ち、上記過酸化チタン層12aは、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタンからなり、アモルファス型酸化チタンとの混合物でもよい。更には、光触媒機能を有さないアモルファス型過酸化チタン(TiO3 )から形成され、界面活性剤及び/又は親水剤とを含有していてもよい。
【0034】
酸化チタン層12bは光触媒機能を有するアナターゼ型酸化チタン(TiO2 )やルチル型酸化チタン(TiO2 )等の光触媒体から形成されるが、光触媒機能を有さないアモルファス型過酸化チタンゾル等と、上記光触媒機能を有する光触媒体との混合物を含有したものであってもよい。
【0035】
かかるコロナ放電処理した後に塗布して形成した上記の第1及び第2塗膜層は、界面活性剤を配合して塗布した場合に比較してぬれ性も高く、又、接触角も大きいので、優れた防汚効果を得ることができる。また、第2塗膜層にあって、水とチタン酸化物とを光触媒とすることにより、かかる汚染防止効果を更に向上させることができたものである。
【0045】
また、従来の光触媒層は、シリコン等の中にアナターゼ型TiO2 粒子を分散させた塗装層を直接有機物表面に塗るものであったが、TiO2が母材を分解してしまうため触媒効果が弱く、光触媒能の持続は比較的短かった。しかるに、本発明の場合には、コロナ放電処理をすることによって基材との間で接着性が極めて良好となり、しかも第1塗装層は基材を分解する機能はほとんどなく、第2塗装層の光分解能は基材を分解するおそれもなく、これらの塗装層が劣化することもないので親水能や光分解能が長い間持続することとなる。
【0046】
防汚効果を発現するためのパネルの表面の水の接触角は、40度以下、好ましくは25度以下、更に好ましくは10度以下である。40度より大きい場合には、パネルの凸部等水の流れにくいところで雨だれが残ることがあり、十分な防汚効果が得られない。
【0047】
第1塗膜層及び第2塗膜層(防汚剤層・光触媒層)の厚さについて言えば、第1塗膜層としての(TiO3 保護層)は、0.02〜4.0μm、好ましくは0.1〜2.0μm、更に好ましくは0.2〜0.5μmの厚さ、第2塗膜層である光触媒としてのアナターゼ型TiO2 層は、0.02〜4.0μm、好ましくは0.1〜2.0μm、更に好ましくは0.3〜1.0μmの厚さである。いずれも余り薄過ぎるとピンホール等の塗装の欠陥等の不具合が出やすくなり、厚過ぎても光の干渉による外観の不具合が生じてしまう。
【0048】
従来の光触媒は、シリコン等の中にアナターゼ型TiO2 粒子を分散させた塗装層を直接有機物表面に塗るものであったが、TiO2 が母材を分解してしまうため、触媒効果が弱く、光触媒能の持続は比較的短かった。しかるに、本発明の場合には、例えばコロナ放電処理をすることによって母材との間で接着性が極めて良好となり、しかも第1塗装層は母材を分解する機能はほとんどなく、第2塗装層の光分解能は母材を分解するおそれもなく、これらの塗装層が劣化することもないので親水能や光分解能が長い間持続することとなる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例をもって更に説明する。
(コロナ放電処理の例)
実施例として、ポリエステル不飽和樹脂を主体としたFRPよりなるバルコニ−パネルの表面にコロナ放電処理を施した(水の接触角は20度)。尚、このバルコニ−パネル60は厚み20mmで、図5に示すように表裏に45度傾いた厚み10mmのリブ61、62が形成され、そのクロス部63が連結一体化されたもので、ほぼ1辺が30mmの貫通孔64が形成されたものである。その後、第1塗膜層としてアモルファス型過酸化チタンゾル(TK−100、0.85重量%の過酸化チタンを含む水溶液(TAO社製))を表裏に均一にスプレー塗布し、室温にて乾燥し、これを3回繰り返した。更に第2塗膜層(光触媒層)としてその上にアモルファス型過酸化チタンゾルとアナターゼ型過酸化チタンの混合物(TAK−70、1.70重量%の酸化チタンと過酸化チタンを含む水溶液、酸化チタン:過酸化チタン=7:3(TAO社製))を表裏に均一にスプレー塗布し、室温で乾燥し、これを3回繰り返した。その後、140℃で1時間焼き付け、表面に親水性を備えたバルコニ−パネル(建材パネル)を得た。尚、スプレ−塗布は前記図3に示した方法を採用したものであり、ノズル傾斜角は45度であった。
【0050】
比較例として、未処理の同様のバルコニ−パネルを採用した。
【0051】
(比較試験・1)
実施例及び比較例のサンプルをもって図5に示すバルコニ−を組み立て、これを12か月屋外に放置し、色差計をもって色差を測定した。実施例のサンプルでは1.0(△E)、比較例のサンプルでは20(△E)であった。比較例のサンプルではその表面に黒い付着物が多く見られた。尚、色差の測定はミノルタCM−508dを用いて測定した。測定方法は汚れる前のE0 を測定しておき、汚れた後のE1 との差△Eの値が大きい程汚れていることを示す。
【0052】
(比較試験・2)
実施例及び比較例のサンプルの表面の粗さを測定した。測定装置はミツトヨ製接触式粗さ計で測定した。実施例のサンプルでは放置後でRmax10μm、比較例のサンプルでは屋外放置前のものはRmax28μm、放置後ではRmax240μmであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明は多数の凹凸形状を有するパネル建材パネルの表面に施された酸化チタンTiO2 が、その凹凸表面に確実に付着し、この面に着いた物質を光触媒にて分解し、かつ親水性を呈する表面層が形成されたことにより、汚れがパル建材の表面に固着することはなく、雨水等にて洗い流せることができることとなったもので、その利用価値は極めて高い。
【0060】
即ち、パネル表面の親水化により雨水の流れがよくなり、雨だれが残りにくくなる。又、パネル表面に付着する有機物や油分が表面に付着したとしても光触媒効果によりこれが分解してしまう。そして、パネル表面に施した塗膜層により紫外線を吸収し、そして、パネルの母材である例えば不飽和ポリエステル樹脂表面が直接太陽光に晒されることがなくなるため、酸化劣化が大きく低減されることとなったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のコロナ放電処理による処理法を示す図である。
【図2】図2は本発明のコロナ放電処理装置の構成を示す図である。
【図3】図3は本発明の塗膜層の形成工程を示す図である。
【図4】図4はパネル建材の1例としてのバルコニ−パネルの組立図である。
【符号の説明】
10‥基材、
10c‥基材の先端、
10d‥基材の後端、
10H‥基材の表裏への貫通孔、
10S‥処理面、
12‥塗膜層(防汚層)、
12a‥過酸化チタン層(第1塗膜層)、
12b‥酸化チタン層(第2塗膜層)、
20‥コロナ放電処理装置、
21‥第1の電極、
22‥第2の電極、
23‥高電圧発生装置、
24‥ロール状の被覆部材、
51‥スプレ−ノズル、
60‥バルコニ−パネル、
61、62‥リブ、
63‥クロス部、
64‥貫通孔。
Claims (24)
- 多数の凹凸形状を有するパネル建材であって、その表面に親水処理を施し、水系の防汚剤を塗工(第2塗膜層)し、
前記親水処理が、処理面に近接して設置される第1の電極と、上記第1の電極と被処理物に対して同じ側に、上記第1の電極に近接して設置された第2の電極との間に、高周波発振器と高圧トランスとを備えた高電圧発生装置により、高電圧の高周波電圧を印加して上記第1の電極と第2の電極との間にコロナ放電を発生させるコロナ放電処理装置を用いて行われることを特徴とする防汚性パネル建材。 - 上記水系の防汚剤が光触媒能を有する光触媒体である請求項1記載の防汚性パネル建材。
- 上記光触媒能を有する光触媒体がアナタ−ゼ型酸化チタンである請求項2記載の防汚性パネル建材。
- 上記光触媒体がアモルファス型過酸化チタンを含有するものである請求項3記載の防汚性パネル建材。
- 上記親水処理が施されたパネル建材の表面と防汚剤(第2塗膜層)との間に中間層(第1塗膜層)を設けた請求項1乃至4いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 上記中間層(第1塗膜層)が光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタンである請求項1乃至5いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 上記中間層(第1塗膜層)が界面活性剤及び/又は親水剤を含有する請求項5又は6いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 上記防汚剤の層(第2塗膜層)の厚さが0.02〜4.0μmである請求項1乃至7いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 上記中間層(第1塗膜層)の厚さが0.02〜4.0μmである請求項1乃至8いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 上記パネル建材がFRP製品からなる請求項1乃至9いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 上記パネル建材がABS製品からなる請求項1乃至9いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- パネル建材が表裏に多数の貫通孔を有する請求項1乃至11いずれか1項記載の防汚性パネル建材。
- 表裏に多数の貫通孔が形成されたパネル建材面に親水処理を施し、次いで当該パネル建材の一方面に対して一定の角度(α)をもってスプレ−ガンにて水系の防汚剤を塗工し、更に、逆向きにかつ当該パネル建材の表裏を裏返してスプレ−ガンにて水系の防汚剤を塗工し、
前記親水処理が、処理面に近接して設置される第1の電極と、上記第1の電極と被処理物に対して同じ側に、上記第1の電極に近接して設置された第2の電極との間に、高周波発振器と高圧トランスとを備えた高電圧発生装置により、高電圧の高周波電圧を印加して上記第1の電極と第2の電極との間にコロナ放電を発生させるコロナ放電処理装置を用いて行われることを特徴とする防汚性パネル建材の製法。 - 上記水系の防汚剤が光触媒能を有する光触媒体である請求項13記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記光触媒能を有する光触媒体がアナタ−ゼ型酸化チタンである請求項14記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記光触媒体がアモルファス型過酸化チタンを含有するものである請求項15記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記親水処理が施されたパネル建材の表面と防汚剤(第2塗膜層)との間に中間層(第1塗膜層)を設けた請求項13乃至16いずれか1項記載の防汚性パネル建材の製法。
- 中間層(第1塗膜層)を親水処理の施されたパネル建材の一方面に対して一定の角度(β)をもってスプレ−ガンにて塗工し、次いで逆向きにかつ当該パネル建材の表裏を裏返してスプレ−ガンにて塗工して形成した請求項17記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記中間層(第1塗膜層)が光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタンである請求項17又は18項記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記中間層(第1塗膜層)が界面活性剤及び/又は親水剤を含有する請求項17乃至19いずれか1項記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記防汚剤の層(第2塗膜層)の厚さが0.02〜4.0μmである請求項14乃至20いずれか1項記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記中間層(第1塗膜層)の厚さが0.02〜4.0μmである請求項17乃至21いずれか1項記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記パネル建材がFRP製品からなる請求項13乃至22いずれか1項記載の防汚性パネル建材の製法。
- 上記パネル建材がABS製品からなる請求項13乃至22いずれか1項記載の防汚性パネル建材の製法。
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