JPH11315224A - 光触媒性親水性コ―ティング組成物、親水性複合材およびその製造方法 - Google Patents

光触媒性親水性コ―ティング組成物、親水性複合材およびその製造方法

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JPH11315224A
JPH11315224A JP850299A JP850299A JPH11315224A JP H11315224 A JPH11315224 A JP H11315224A JP 850299 A JP850299 A JP 850299A JP 850299 A JP850299 A JP 850299A JP H11315224 A JPH11315224 A JP H11315224A
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JP
Japan
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photocatalytic
hydrophilic
coating composition
curing agent
ultraviolet
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Application number
JP850299A
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English (en)
Inventor
Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
Masayoshi Ketayama
正吉 桁山
Shinji Toyofuku
信次 豊福
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化時間を短縮させ、生産性を向上した親水
性複合材を提供する。また、従来の加熱硬化に比べ硬化
時間を短縮することができる光触媒性親水性コーティン
グ組成物を提供する。 【解決手段】 光触媒と紫外線硬化剤を含むことを特徴
とする光触媒性親水性コーティング組成物、および、基
材と、前記基材表面に接合され、紫外線硬化剤を含む紫
外線硬化剤含有被膜と、前記紫外線硬化性被膜の表面に
接合され、光触媒性酸化物を含む光触媒性被膜とから親
水性複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に光触媒
と紫外線硬化剤を含む光触媒性親水性コーティング組成
物を有する親水性複合材およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の基材表面に光触媒を含む光触媒性
親水性コーティング組成物を有する親水性複合材として
は、国際公開WO96/29375で提案されている。
これは本発明の出願人が提案したものであり、基材と光
触媒を含む光触媒性親水性コーティング組成物との間に
熱硬化性コーティング組成物を設けたものである。上記
提案の親水性複合材の製造方法は、基材に熱硬化性コー
ティング組成物を塗布し、加熱硬化させた後、光触媒を
含む光触媒性親水性コーティング組成物を塗布し加熱硬
化させて成形していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の親水性複合
材は、基材と光触媒性親水性コーティング組成物との間
に熱硬化性コーティング組成物を用いており、この熱硬
化性コーティング組成物を硬化させるためには、80〜
300℃で30分以上加熱する必要があり、生産性が悪
いという問題があった。
【0004】従って、本発明は、上記問題を解決し、硬
化時間を短縮させ、生産性を向上した親水性複合材を提
供する。また、従来の加熱硬化に比べ硬化時間を短縮す
ることができる光触媒性親水性コーティング組成物を提
供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた請求項第1項記載の発明は、基材の表面を親
水化するためのコーティング組成物であって、光触媒と
紫外線硬化剤を含むことを特徴とする光触媒性親水性コ
ーティング組成物を提供する。
【0006】請求項第2項記載の発明は、前記コーティ
ング組成物は、さらにシリカ及びケイ素原子に結合する
有機基の少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコー
ンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光触媒性親
水性コーティング組成物を提供する。
【0007】本発明においては、光触媒性親水性コーテ
ィング組成物により形成された被膜を有する基材表面に
おいて、光励起に応じて生じる親水化はより高度に進む
ようになると共に、一旦親水化された基材を暗所に放置
した場合でも、長期にわたり親水性が維持されるように
なる。
【0008】請求項第3項記載の発明は、前記コーティ
ング組成物は、さらに抗菌性の金属を含むことを特徴と
する請求項1または2に記載の光触媒性親水性コーティ
ング組成物を提供する。
【0009】本発明においては、光触媒性親水性コーテ
ィング組成物により形成された被膜を有する基材表面に
おいて、付着した細菌を死滅させることができる。更に
は、黴、藻、苔のような微生物の成長を抑制することが
できる。
【0010】請求項第4項記載の発明は、前記金属はA
g、Cu、Znからなる群から選ばれた1種類であるこ
とを特徴とする請求項3に記載の光触媒性親水性コーテ
ィング組成物を提供する。
【0011】請求項第5項記載の発明は、親水性表面を
備えた複合材であって、基材と前記基材表面に接合さ
れ、紫外線硬化剤を含む紫外線硬化剤含有被膜と前記紫
外線硬化性被膜の表面に接合され、光触媒性半導体材料
を含む光触媒性被膜とからなることを特徴とする親水性
複合材を提供する。
【0012】本発明においては、基材と光触媒性被膜と
の間を紫外線硬化性被膜としたことにより、紫外線を照
射して硬化させることができるために従来の加熱硬化に
比べ硬化時間を短縮することができる。
【0013】請求項第6項記載の発明は、請求項1から
4のいずれかの光触媒性コーティング組成物を基材表面
に被覆したことを特徴とする親水性複合材を提供する。
【0014】請求項第7項記載の発明は、前記光触媒性
親水性コーティング組成物は、光励起に応じて、親水性
複合材の表面が水との接触角に換算して約30°以下の
水濡れ性を呈するべく前記親水性複合材の表面を親水性
になすことを特徴とする請求項5及び請求項6に記載の
親水性複合材を提供する。
【0015】請求項第8項記載の発明は、請求項5に記
載した親水性複合材を製造する方法であって紫外線硬化
剤を含む紫外線硬化剤含有コーティング組成物を基材に
塗布する工程と該紫外線硬化剤含有コーティング組成物
に紫外線を照射し、紫外線硬化剤含有被膜を形成する工
程と光触媒を含む光触媒含有コーティング組成物を紫外
線硬化剤含有被膜の表面に塗布し、熱処理または自然乾
燥により光触媒性被膜を形成する工程とからなることを
特徴とする製造方法を提供する。
【0016】請求項第9項記載の発明は、親水性複合材
を製造する方法であって請求項1から4のいずれかの光
触媒性親水性コーティング組成物を基材に塗布する工程
と該光触媒性親水性コーティング組成物に紫外線を照射
し、光触媒性被膜を形成することを特徴とする製造方法
を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明の親水性複合材は、基材表面に紫外
線硬化剤を塗布し、紫外線を照射して前記紫外線硬化剤
を硬化させ、その後硬化した紫外線硬化剤の表面に光触
媒含有コーティング組成物を塗布し、熱処理または自然
乾燥により光触媒性被膜を成形したものである。
【0018】また、他の実施の形態における親水性複合
材は、基材表面に、光触媒と紫外線硬化剤を含む光触媒
性親水性コーティング組成物を塗布し、紫外線を照射し
て前記光触媒性親水性コーティング組成物を硬化させた
ものである。更に、前記親水性複合材の表面に銀及び銅
の後担持を行うことにより、細菌を死滅させたり、黴、
藻、苔のような微生物の成長を抑制させる効果が期待で
きる。
【0019】本発明における光触媒とは、光触媒性酸化
物をいい、酸化物結晶の伝導電子帯と価電子帯との間の
エネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち
短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯
中の電子の励起(光励起)によって、伝導電子と正孔を
生成しうる酸化物をいい、アナターゼ型酸化チタン、ブ
ルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化
錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステ
ン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムの群から選ば
れる1種又は2種以上等が使用できる。
【0020】光触媒性酸化物が、アナターゼ型酸化チタ
ン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロン
チウムの場合には、光触媒の光励起に用いる光源として
は、太陽光、室内照明、蛍光灯、水銀灯、白熱電灯、キ
セノンランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライド
ランプ、BLBランプ等が好適に利用できる。また、光
触媒性酸化物が酸化錫の場合には、殺菌灯、BLBラン
プ等が好適に利用できる。
【0021】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物に用いる紫外線硬化剤としては、無機有機ハイブリッ
ドハードコート剤、UV硬化型シリコーンハードコート
剤及びUV硬化型アクリルハードコート剤が好適に利用
できる。
【0022】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物に用いるシルカ及び/ケイ素原子に結合する有機基の
少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコ−ンとして
は、加水分解性シラン、アルキルシリケ−ト、それらの
(部分)加水分解物、加水分解・縮合物などが使用でき
る。ここで加水分解性シランとしては、メチルトリメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリ
プロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、イソプ
ロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシ
シラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、メチルト
リブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−プ
ロピルブトキシシラン、イソプロピルブトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリプロポキシシラン、β−(3、
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルト
リメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシ
シラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチル
ジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン等の加水分解性オルガノシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−プロポ
キシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテトラアルコキ
シシランなどが使用できる。アルキルシリケ−トとして
は、メチルシリケ−ト、エチルシリケ−ト、プロピルシ
リケ−ト、ブチルシリケ−トなどが使用できる。
【0023】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物には、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Osのような
白金族金属を添加することができる。前記金属を添加し
た場合、塗膜により形成される表面層は、光触媒の酸化
還元活性を増強でき、有機物汚れの分解性、有害気体や
悪臭の分解性を向上させることができる。
【0024】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物により親水性被膜を形成する方法は、基本的には、基
材表面に光触媒性親水性コーティング組成物を塗布し、
硬化させて被膜を形成することによる。上記光触媒性親
水性コーティング組成物の塗布方法としては、スプレー
コーティング法、ディップコーティング法、フローコー
ティング法、スピンコーティング法、ロールコーティン
グ法、バーコート法、布拭き法、刷毛塗り、スポンジ塗
り等の方法が好適に利用できる。硬化方法としては、熱
処理、室温放置、紫外線照射等により重合させて行うこ
とができる。
【0025】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物表面が水との接触角にて10°以下、好ましくは5°
以下の状態を維持するようであれば、以下のような防曇
効果が発揮される。空気中の湿分や湯気が結露しても、
凝縮水が個々の水滴を形成せずに一様な水膜になる傾向
が顕著になる。従って、表面に光散乱性の曇りを生じな
い傾向が顕著になる。同様に、窓ガラスや車両用バック
ミラ−や車両用風防ガラスや眼鏡レンズやヘルメットの
シ−ルドが降雨や水しぶきを浴びた場合に、離散した目
障りな水滴が形成されずに、高度の視界と可視性を確保
し、車両や交通の安全性を保証し、種々の作業や活動の
能率を向上させる効果が飛躍的に向上する。
【0026】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物表面が水との接触角にて30°以下、好ましくは20
°以下の状態を維持するようであれば、以下のような表
面洗浄効果が発揮される。都市煤塵、自動車等の排気ガ
スに含有されるカ−ボンブラック等の燃焼生成物、油
脂、シ−ラント溶出成分等の疎水性汚染物質、及び無機
粘土質汚染物質双方が付着しにくく、付着しても降雨や
水洗により簡単に落せる状態になる。光触媒性コーティ
ング組成物表面が上記高度の親水性を呈し、かつその状
態を維持するようになれば、帯電防止効果(ほこり付着
防止効果)、断熱効果、水中での気泡付着防止効果、熱
交換器における効率向上効果、生体親和性向上効果等が
発揮されるようになる。
【0027】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物が適用可能な基材としては、防曇効果を期待する場合
には透明な基材であり、その材質はガラス、プラスチッ
ク等が好適に利用できる。適用可能な基材を用途でいえ
ば、車両用後方確認ミラ−、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯
科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、
照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両
用後方確認カメラレンズのようなレンズ;プリズム;建
物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船
舶、潜水艇、雪上車、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地
のゴンドラ、宇宙船のような乗物の窓ガラス;自動車、
オ−トバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上
車、スノ−モ−ビル、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地
のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風防ガラス;防護用
ゴ−グル、スポ−ツ用ゴ−グル、防護用マスクのシ−ル
ド、スポ−ツ用マスクのシ−ルド、ヘルメットのシ−ル
ド、冷凍食品陳列ケ−スのガラス、中華饅頭等の保温食
品の陳列ケ−スのガラス;計測機器のカバ−、車両用後
方確認カメラレンズのカバ−、レ−ザ−歯科治療器等の
集束レンズ、車間距離センサ−等のレ−ザ−光検知用セ
ンサ−のカバ−、赤外線センサ−のカバ−;カメラ用フ
ィルタ−、及び上記物品表面に貼着させるためのフィル
ム、シ−ト、シ−ル等を含む。
【0028】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物が適用可能な基材としては、表面清浄化効果を期待す
る場合にはその材質は、例えば、金属、セラミック、ガ
ラス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリ−
ト、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が好
適に利用できる。適用可能な基材を用途でいえば、建
材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、
乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバ
−及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用
遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガ−ドレ−ルの外装及び
塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバ−、
太陽熱温水器集熱カバ−、ビニ−ルハウス、車両用照明
灯のカバ−、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器
具、照明カバ−、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾
燥器、流し、調理レンジ、キッチンフ−ド、換気扇、及
び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シ−ト、
シ−ル等を含む。
【0029】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物が適用可能な基材としては、乾燥促進効果を期待する
場合にはその材質は、例えば、金属、セラミック、ガラ
ス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリ−ト、
繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が好適に
利用できる。適用可能な基材を用途でいえば、自動車車
体、窓、舗道及び上記物品表面に貼着させるためのフィ
ルム、シ−ト、シ−ル等を含む。
【0030】本発明の光触媒性親水性コーティング組成
物が適用可能な基材としては、帯電防止効果を期待する
場合にはその材質は、例えば、金属、セラミック、ガラ
ス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリ−ト、
繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が好適に
利用できる。適用可能な基材を用途でいえば、ブラウン
管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気記録メ
ディア、オ−ディオテ−プ、ビデオテ−プ、アナログレ
コ−ド、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装及び
塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装及び塗
装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造
部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防
塵カバ−及び塗装、及び上記物品表面に貼着させるため
のフィルム、シ−ト、シ−ル等を含む。
【0031】
【実施例1】第一の実施例について説明する。基材は塩
ビ鋼板パネルを、紫外線硬化剤はデソライトZ7501
(日本合成ゴム社製)およびUV1101(東芝シリコ
ーン社製)を、光触媒としてはエチルシリケート(コル
コート社製)18gをメタノール(和光社製)134.
1gで希釈後、0.04%硝酸水溶液9.3gを添加
し、撹拌して加水分解させて得た溶液をジアセトンアル
コールとノルマルプロパノールとを5・5で混合した溶
液で希釈後、FT−1(昭和電工社製)を加え撹拌して
得たものを用い、基材表面に紫外線硬化剤であるデソラ
イトZ7501をバーコート法を用いて塗布し、紫外線
照度30〜50mw/cm2の紫外線ランプHLR10
0T−1(セン特殊光源社製)により紫外線を1分間照
射して紫外線硬化剤を硬化させ、その後硬化した紫外線
硬化剤の表面に光触媒を塗布し、次いで120℃で30
分加熱して光触媒を硬化させて試料を作成した。ここ
で、紫外線硬化剤としてデソライトZ7501を用いた
ものをサンプル1とし、紫外線硬化剤としてUV110
1を用いたものをサンプル2とする。サンプルの大きさ
は、100mm×100mmとした。
【0032】上記サンプル1及びサンプル2の親水性能
については、当然のことながら、従来の光触媒性被膜を
有する部材と同様の性能を有している。
【0033】次に、実施例の紫外線硬化剤の密着性試験
結果について説明する。密着性試験用サンプルとして、
上述の方法により塩ビパネルの表面にデソライトZ75
01を成形したサンプル3と塩ビパネルの表面にUV1
101を成形したサンプル4を作成し、5wt%水酸化
ナトリウム水溶液にサンプル3,4を縦寸法の半分まで
1時間浸漬後取り出して、十分に水洗浄を行い1時間乾
燥させ、テープ剥離テストを行った。テープ剥離テスト
は、セロハンテープをサンプルの中央付近から端部を越
えてテープがサンプルからはみ出すように貼り付け、テ
ープのサンプルからはみ出した部分を保持しサンプルの
中央方向へテープを剥がす。サンプル3,4について、
水酸化ナトリウム水溶液に浸漬前後でテープ剥離テスト
を行った結果、サンプル3,4共に紫外線硬化性被膜の
剥離は一斉無く良好の密着性を示した。また、水酸化ナ
トリウム水溶液に浸漬後のサンプル3,4について、目
視による外観(変色)検査を行ったところ、浸漬した部
分と浸漬していない部分との差はほとんど無かった。
【0034】
【実施例2】第二の実施例について説明する。基材は塩
ビパネルを用いた。紫外線硬化剤と光触媒を含む光触媒
性親水性コーティング組成物は、エチルシリケート(コ
ルコート社製)18gをメタノール(和光社製)13
4.1gで希釈後、0.04%硝酸水溶液9.3gを添
加し、撹拌して加水分解させて得た溶液をジアセトンア
ルコールとノルマルプロパノールを5・5で混合した溶
液で希釈後、FT−1(昭和電工社製)を加え撹拌して
得た光触媒液と、紫外線硬化剤デソライトZ7501
(日本合成ゴム社製)を固形分比5・1で混合し、撹拌
して作成した液を用いた。基材表面に前記作成した溶液
をバーコート法を用いて塗布し、紫外線照度30〜50
mw/cm2の紫外線ランプHLR100T−1(セン
特殊光源社製)により紫外線を1分間照射してサンプル
5を作成した。
【0035】上記第二の実施例の要領で作成したサンプ
ル5の親水性能評価を行った。親水性能評価は、サンプ
ル作成直後と、紫外線照度8mw/cm2のBLBラン
プで紫外線を68時間照射後と、596時間照射後とに
おいて水の接触角を測定し評価した。結果は、サンプル
作成直後52.4°、紫外線68時間照射後44.3
°、紫外線596時間照射後16.1°であった。一般
的な樹脂表面の親水性能(水の接触角)は70°以上で
あることから、本実施例の親水性複合材は親水性能を有
していることが確認できた。なお、紫外線照射時間を長
くする、またはコロナ放電処理等強力な紫外線を照射す
ることにより、親水性能を更に向上させることが可能で
ある。
【0036】次に、第二の実施例に示す要領で作成した
サンプル6の光触媒活性性能について説明する。サンプ
ル6は、前記サンプル5と同時に作成したもので、サン
プル5のサンプル作成直後のものと同一のものである。
また、光触媒活性性能は、光触媒に紫外線を照射するこ
とにより光触媒の有機物分解作用によって紫外線硬化剤
と光触媒を含む光触媒性親水性コーティング組成物の被
膜を有する親水性複合材が、防汚性、抗菌性を有するか
どうかを示す尺度となるものである。
【0037】評価指標として硝酸銀呈色試験を行った。
試験方法は硝酸銀呈色を行う前に分光光度計SZS−Σ
80(日本電色工業社製)によりサンプル表面の色差を
測定しておく。硝酸銀1wt%水溶液にディスパノール
0.5wt%を添加し、撹拌を行った混合溶液を作成し
サンプル表面に刷毛塗り法にて塗布する。その後、紫外
線照度1mw/cm2のBLBランプで紫外線を5分間
照射し余分な硝酸銀を拭き取り、再度分光光度計にて色
差を測定し、硝酸銀呈色前後の色差によりΔE*を算出
する。なお、ΔE*値が高い方が光活性は高いと判断さ
れる。
【0038】結果、サンプル6の硝酸銀呈色ΔE*値は
42.88であった。ここで、サンプル6は光触媒と紫
外線硬化剤を含む光触媒性親水性コーティング組成物の
被膜を有する親水性複合材であることから、硝酸銀呈色
ΔE*値が紫外線硬化剤の影響で高い数値を示している
可能性も考えられることから、紫外線硬化剤デソライト
Z7501(日本合成ゴム社製)のみを表面層とする比
較資料1を作成し、上記の硝酸銀呈色試験を行った。そ
の結果、比較資料1の硝酸銀呈色ΔE*値は1.08で
あった。このことから、紫外線硬化剤は硝酸銀呈色ΔE
*値にほとんど影響を与えないことがわかる。つまり、
サンプル6の硝酸銀呈色ΔE*値42.88はほとんど
光触媒の活性性能であると判断できる。
【0039】
【実施例3】第三の実施例について説明する。内径7.
5cmの500mlガラス製ビーカーに10gの光触媒
性酸化物(STK−03、石原産業製、固形分濃度10
wt%、チタニア/シリケート比50/50)に硝酸銀
(和光純薬工業製)0.04gを溶解添加後、紫外線ラ
ンプ(キュアラブ、セン特殊光源(株))で50mW/
cm2×5分間紫外線照射して光還元メッキした(紫外
線照射量は660Jに相当)。紫外線硬化剤(Z784
1:日本合成ゴム製)10gを上記銀担持光触媒に添加
し、溶液1を作成した。内径7.5cmの500mlガ
ラス製ビーカーに10gの光触媒性酸化物(STK−0
3、石原産業製、固形分10wt%、チタニア/シリケ
ート比50/50)に乳酸銀―水和物(和光純薬工業
製)0.05gを溶解添加後、紫外線ランプ(キュアラ
ブ、セン特殊光源(株))で50mW/cm2×5分間
紫外線照射して光還元メッキした(紫外線照射量660
Jに相当)。紫外線硬化剤(Z7841:日本合成ゴム
製)10gを上記銀担持光触媒性酸化物に添加し、溶液
2を作成した。内径7.5cmの500mlガラス製ビ
ーカーに100gの光触媒性酸化物(STK−03、石
原産業製、固形分濃度10wt%、チタニア/シリケー
ト比50/50)に酢酸銅無水(和光純薬工業製)0.
71gを添加溶解後、紫外線ランプ(キュアラブ、セン
特殊光源(株))で50mW/cm2×5分間紫外線照
射して光還元メッキした(紫外線照射量は660Jに相
当)。紫外線硬化剤(Z7842:日本合成ゴム製)2
0gに対し上記銅担持光触媒を25g混合し、溶液3を
作成した。溶液1、溶液2および溶液3の溶液作成後に
おける液の状態を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1より、紫外線硬化剤に乳酸銀、または
硝酸銀を添加した場合、いずれも凝集、沈澱が発生し
た。しかしながら、酢酸銅を紫外線硬化剤に添加しても
凝集、沈澱は発生しなかった。以上より、紫外線硬化剤
は、銀イオンを添加すると凝集・沈澱が発生することか
ら、紫外線硬化剤に金属を混合する場合には、銅イオン
が望ましい。
【0042】
【実施例4】第四の実施例について説明する。内径7.
5cmの500mlガラス製ビーカーに100gの光触
媒性酸化物(STK−03、石原産業製、固形分濃度1
0wt%、チタニア/シリケート比50/50)に酢酸
銅無水(和光純薬工業製)0.71gを添加溶解後、紫
外線ランプ(キュアラブ、セン特殊光源(株))で50
mW/cm2×5分間紫外線照射して光還元メッキした
(紫外線照射量は660Jに相当)。紫外線硬化剤(K
Z7842:日本合成ゴム製、固形分53wt%、無機
含量37wt%)20gに対し上記銅担持光触媒25g
を混合した液をつくり、チタニア含量が固形分に対して
10wt%のコーティング液をつくった。ノルマルプロ
パノールで2倍希釈した液をアクリルニトリル−ブタジ
エン−エチレンサンプル(テクノポリマー製、TFX-SI、
抗菌剤無し)にフローコートして30分間自然乾燥後、
紫外線硬化(紫外線照射装置キュアラブ、セン特殊光源
株式会社製、365nm紫外線照度50mw/cm2×
2分間)を行い、試料7を作成した。前記、実施例4の
試料7の作成方法において酢酸銅無水による光還元メッ
キを行ってない以外は同様の方法で試料8を作成した。
【0043】試料7および8を用いて抗菌試験を行っ
た。抗菌性能評価方法は、銀等無機抗菌剤研究会から出
されている「銀等無機抗菌剤の自主規格及び抗菌試験方
法(1995年度版)」に記載されている「抗菌加工製
品の抗菌試験方法I(フィルム密着法)」に従い、抗菌
性を判定した。大腸菌株は大腸菌(Escherichia coli I
F03972株)を用い、「抗菌加工製品の抗菌試験法I(フ
ィルム密着法)」に従って、試験菌液の調整をした。図
1に抗菌試験結果を示す。図1より、紫外線硬化剤と銅
を担持していない光触媒性酸化物を含む光触媒性親水性
コーティング組成物を用いた試料8は、紫外線を1μw
/cm2×5時間照射したが、ほとんど大腸菌の減少は
確認できなかった。しかしながら、紫外線硬化剤と銅を
担持した光触媒性酸化物を含む光触媒性親水性コーティ
ング組成物を用いた試料7は、光の照射がない暗所にも
かかわらず約5桁の大腸菌の減少が確認されたことから
紫外線硬化剤と銅を担持した光触媒性酸化物を含む光触
媒性親水性コーティング組成物を用いることにより光量
が十分に確保できない場所への展開が十分期待できる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、基材と光触媒性親水性
コーティング組成物との間の層を紫外線硬化剤としたこ
とにより、紫外線を照射して硬化させることができるこ
とから硬化時間を短縮することが可能となり、生産性を
向上した親水性複合材を提供することができる。また、
光触媒と紫外線硬化剤を含む光触媒性親水性コーティン
グ組成物を用いたことにより、基材に直接光触媒性親水
性コーティング組成物を塗布し、紫外線を照射して光触
媒性親水性コーティング組成物を硬化させることができ
る。よって、従来の基材と光触媒性親水性コーティング
組成物との間の層の加熱硬化工程を省略すると共に、光
触媒性親水性コーティング組成物の硬化時間を短縮する
ことができることから大幅に生産性を向上した親水性複
合材を提供することができる。また、金属を含む光触媒
性親水性コーティング組成物を用いることにより、抗菌
性能を向上させた親水性複合材を提供することができ
る。更には、熱性の低い物質であっても基材として用い
ることができることから利用範囲の拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗菌試験結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/18 B32B 27/18 Z C09D 7/12 C09D 7/12 Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面を親水化するためのコーテ
    ィング組成物であって、光触媒と紫外線硬化剤を含むこ
    とを特徴とする光触媒性親水性コーティング組成物。
  2. 【請求項2】 前記コーティング組成物は、さらにシ
    リカ及びケイ素原子に結合する有機基の少なくとも一部
    が水酸基に置換されたシリコーンを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の光触媒性親水性コーティング組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記コーティング組成物は、さらに抗
    菌性の金属を含むことを特徴とする請求項1または2に
    記載の光触媒性親水性コーティング組成物。
  4. 【請求項4】 前記金属はAg、Cu、Znからなる
    群から選ばれた1種類であることを特徴とする請求項3
    に記載の光触媒性親水性コーティング組成物。
  5. 【請求項5】 親水性表面を備えた複合材であって、
    基材と、前記基材表面に接合され、紫外線硬化剤を含む
    紫外線硬化剤含有被膜と、前記紫外線硬化性被膜の表面
    に接合され、光触媒性酸化物を含む光触媒性被膜とから
    なることを特徴とする親水性複合材。
  6. 【請求項6】 請求項1から4のいずれかの光触媒性
    コーティング組成物を基材表面に被覆したことを特徴と
    する親水性複合材。
  7. 【請求項7】 前記光触媒性親水性コーティング組成
    物は、光励起に応じて、親水性複合材の表面が水との接
    触角に換算して約30°以下の水濡れ性を呈するべく前
    記親水性複合材の表面を親水性になすことを特徴とする
    請求項5及び請求項6に記載の親水性複合材。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載した親水性複合材を製
    造する方法であって、紫外線硬化剤を含む紫外線硬化剤
    含有コーティング組成物を基材に塗布する工程と、該紫
    外線硬化剤含有コーティング組成物に紫外線を照射した
    後、紫外線硬化剤含有被膜を形成する工程と、光触媒を
    含む光触媒含有コーティング組成物を紫外線硬化剤含有
    被膜の表面に塗布し、熱処理または自然乾燥により光触
    媒性被膜を形成する工程とからなることを特徴とする製
    造方法。
  9. 【請求項9】 親水性複合材を製造する方法であっ
    て、請求項1から4のいずれかの光触媒性親水性コーテ
    ィング組成物を基材に塗布する工程と、該光触媒性親水
    性コーティング組成物に紫外線を照射し、光触媒性被膜
    を形成することを特徴とする製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003165929A (ja) * 2001-11-30 2003-06-10 Chugoku Marine Paints Ltd 低汚染性塗膜を形成可能な光触媒含有エネルギー線硬化性塗料組成物、その塗膜、その塗膜で被覆された基材、および汚染防止方法
CN108727625A (zh) * 2017-04-21 2018-11-02 北京化工大学 亲水改性聚合物薄膜的制备方法

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