JP2001098187A - 光触媒性親水性コーティング組成物、及び光触媒性親水性部材の製造方法 - Google Patents

光触媒性親水性コーティング組成物、及び光触媒性親水性部材の製造方法

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JP2001098187A
JP2001098187A JP22277999A JP22277999A JP2001098187A JP 2001098187 A JP2001098187 A JP 2001098187A JP 22277999 A JP22277999 A JP 22277999A JP 22277999 A JP22277999 A JP 22277999A JP 2001098187 A JP2001098187 A JP 2001098187A
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photocatalytic hydrophilic
layer
water
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Shigeru Kojima
茂 小島
Tomoaki Morikawa
智章 森川
Mitsuhide Shimobukikoshi
光秀 下吹越
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐久性を有するとともに、部材表面を
高度の親水性になし、かつ維持することの可能な親水性
コ−ティング組成物、親水性部材、及び、親水性部材の
製造方法、を提供すること。 【解決手段】 水溶性アルカリ金属珪酸塩からなる塗膜
形成要素と;等電点がpH5以下又はpH9以上の無機
酸化物で表面を処理された光触媒性酸化チタン粒子と;
からなる光触媒性親水性コ−ティング組成物、親水性部
材、及び、親水性部材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材表面を高度の
親水性になし、かつ維持することの可能な塗膜を形成す
るための親水性コ−ティング組成物、親水性部材、及
び、親水性部材の製造方法に関する。より詳しくは、本
発明は、鏡、ガラス、レンズ、プリズムその他の透明部
材の表面を高度に親水化することにより、部材の曇りや
水滴形成を防止することの可能な塗膜を形成するための
防曇性コ−ティング液、防曇性部材、及び、防曇性部材
の製造方法に関する。本発明は、また、建物や窓ガラス
や機械装置や物品の表面を高度に親水化することによ
り、表面が汚れるのを防止し、又は表面を水を用いて清
浄化することの可能な塗膜を形成するための易清浄性コ
−ティング液、易清浄性部材、及び、易清浄性部材の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】寒冷時に自動車その他の乗物の風防ガラ
スや窓ガラス、建物の窓ガラス、眼鏡のレンズ、及び各
種計器盤のカバ−ガラスが凝縮湿分で曇るのはしばしば
経験されることである。また、浴室や洗面所の鏡や眼鏡
のレンズが湯気で曇ることも良く遭遇される。物品の表
面に曇りが生じるのは、表面が雰囲気の露点以下の温度
に置かれると雰囲気中の湿分が凝縮して表面に結露し、
水滴状に成長するからである。凝縮水滴が充分に細か
く、それらの直径が可視光の波長の1/2程度であれ
ば、水滴は光を散乱し、ガラスや鏡は見掛け上不透明と
なり、やはり可視性が失われる。湿分の凝縮が更に進行
し、細かい凝縮水滴が互いに融合してより大きな離散し
た水滴に成長すれば、水滴と表面との界面並びに水滴と
空気との界面における光の屈折により、それらの表面は
翳り、ぼやけ、斑模様になり、或いは曇る。その結果、
ガラスのような透明物品では透視像が歪んで透視性が低
下し、鏡では反射像が乱される。更に、車両の風防ガラ
スや窓ガラス、建物の窓ガラス、車両のバックミラ−、
眼鏡のレンズ、マスクやヘルメットのシ−ルドが降雨や
水しぶきを受け、離散した多数の水滴が表面に付着する
と、それらの表面は翳り、ぼやけ、斑模様になり、或い
は曇り、やはり可視性が失われる。ここで用いる“防
曇”の用語は、このような曇りや凝縮水滴の成長や水滴
の付着による光学的障害を防止する技術を広く意味す
る。言うまでもなく、上記“曇り”は安全性や種々の作
業の能率に深い影響を与える。例えば、車両の風防ガラ
スや窓ガラス、車両のバックミラ−が、寒冷時や雨天に
翳り或いは曇ると、視界の確保が困難となり、交通の安
全性が損われる。内視鏡レンズやデンタルミラ−、歯科
用レ−ザ−治療器の集束レンズが曇ると、的確な診断、
手術、処置の障害となる。計器盤のカバ−ガラスが曇る
とデ−タの読みが困難となる。
【0003】他方、建築及び塗料の分野においては、環
境汚染に伴い、建築外装材料や屋外建造物やその塗膜の
汚れが問題となっている。大気中に浮遊する煤塵や粒子
は晴天には建物の屋根や外壁に堆積する。堆積物は降雨
に伴い雨水により流され、建物の外壁を流下する。更
に、雨天には浮遊煤塵は雨によって持ち運ばれ、建物の
外壁や屋外建造物の表面を流下する。その結果、表面に
は、雨水の道筋に沿って汚染物質が付着する。表面が乾
燥すると、表面には縞状の汚れが現れる。建築外装材料
や塗膜の汚れは、カ−ボンブラックのような燃焼生成物
や、都市煤塵や粘土粒子のような無機質物質の汚染物質
からなる。このような汚染物質の多様性が防汚対策を複
雑にしているものと考えられる(橘高義典著“外壁仕上
材料の汚染の促進試験方法”、日本建築学会構造系論文
報告集、第404号、1989年10月、p.15−2
4)。従来の通念では、上記建築外装などの汚れを防止
するためにはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
のような撥水性の塗料が好ましいと考えられていたが、
最近では、疎水性成分を多く含む都市煤塵に対しては、
塗膜の表面を出来るだけ親水性にするのがよいと考えら
れている(高分子、44巻、1995年5月号、p.3
07)。そこで、親水性のグラフトポリマ−で建物を塗
装することが提案されている(新聞“化学工業日報”、
1995年1月30日)。報告によれば、この塗膜は水
との接触角に換算して30〜40゜の親水性を呈する。
しかしながら、粘土鉱物で代表される無機質塵埃の水と
の接触角は20゜から50゜であり、水との接触角が3
0〜40゜のグラフトポリマ−に対して親和性を有し、
その表面に付着しやすいので、このグラフトポリマ−の
塗膜は無機質塵埃による汚れを防止することができない
と考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、部材
表面を高度の親水性になし、かつ維持することの可能な
塗膜を形成するための親水性コ−ティング組成物であっ
て、塗料としての保存安定性に優れ、特にフィルム上へ
の塗膜、及び自動車車体等の金属材料への塗膜に好適な
親水性コ−ティング組成物を提供することにある。本発
明の他の目的は、鏡、ガラス、レンズ、プリズムその他
の透明部材の表面を高度に親水化することにより、部材
の曇りや水滴形成を防止することの可能な塗膜を形成す
るための親水性コ−ティング組成物であって、塗料とし
ての保存安定性に優れ、特にフィルム上への塗膜に好適
な親水性コ−ティング組成物を提供することにある。本
発明の他の目的は、建物や窓ガラスや機械装置や物品の
表面を高度に親水化することにより、表面が汚れるのを
防止し、又は表面を水を用いて清浄化することの可能な
塗膜を形成するための親水性コ−ティング組成物であっ
て、塗料としての保存安定性に優れ、特にフィルム上へ
の塗膜に好適な親水性コ−ティング組成物を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、基材表面
に、アルカリシリケートと、等電点がpH5以下の無機
酸化物粒子で表面を被覆された光触媒性酸化チタンとを
含む表面層が形成されていることを特徴とする光触媒性
親水性部材である。光触媒性酸化チタンは、光触媒を含
有する表面層を形成した部材において、光触媒を光励起
すると、部材の表面が高度に親水化されるという発見に
基づき添加される。この現象は以下に示す機構により進
行すると考えられる。すなわち、光触媒の価電子帯上端
と伝導帯下端とのエネルギ−ギャップ以上のエネルギ−
を有する光が光触媒に照射されると、光触媒の価電子帯
中の電子が励起されて伝導電子と正孔が生成し、そのい
ずれかまたは双方の作用により、表面に極性が付与され
る。それにより、表面に、水が化学吸着し、さらに、そ
の上に物理吸着水層が形成され増加する。それにより、
表面の水濡れ角が20度以下の高度の親水性を呈するよ
うになる。
【0006】光触媒性酸化チタンの表面を等電点がpH
5以下の無機酸化物で被覆することにより、光触媒性酸
化チタンは中性液体中でも優れた分散安定性を発揮でき
るようになる。
【0007】その理由は以下のように考えられる。光触
媒性酸化チタンは等電点が7付近にあり、中性液体中で
は光触媒性酸化チタンの粒子表面の等電点がほぼ0にな
り、凝集しやすくなっている。しかしながら、光触媒性
酸化チタンの表面を等電点がpH5以下の無機酸化物で
被覆することにより、光触媒性酸化チタンの粒子表面の
等電点が酸性側にずれて、中性条件下で優れた分散安定
性を発揮できるようになると考えられる。
【0008】表面層に光触媒以外にアルカリシリケート
が含有されていると、表面が水濡れ角20゜以下の高度
の親水性を呈するようになると共に、暗所に保持したと
きの親水維持性が向上する。
【0009】第二の発明は、基材表面に、アルカリシリ
ケートと、等電点がpH9以上の無機酸化物粒子で表面
を被覆された光触媒性酸化チタンとを含む表面層が形成
されていることを特徴とする光触媒性親水性部材であ
る。光触媒性酸化チタン及びアルカリシリケートの作用
効果は、第一の発明と同様である。
【0010】光触媒性酸化チタンの表面を等電点がpH
9以上の無機酸化物で被覆することにより、光触媒性酸
化チタンの粒子表面の等電点が塩基性側にずれて、中性
条件下で優れた分散安定性を発揮できるようになる。
【0011】また、第三の発明では、前記第一の発明若
しくは第二の発明において、アルカリシリケートの代わ
りにシリカを含有しても良い。
【0012】第四の発明は、前記第一の発明乃至第三の
発明に係る表面層の表面は、前記光触媒性酸化チタンの
光励起に応じて水との接触角が10°以下の親水性を呈
する光触媒性親水性部材である。更に好ましい態様で
は、水との接触角は5°以下である。
【0013】第五の発明は、前記層表面は、付着した湿
分の凝縮水及び/又は水滴が被膜の表面に広がるのを可
能にし、以て、湿分の凝縮水及び/又は水滴によって視
認性が低下することが防止されることを特徴とする第一
の発明乃至第四の発明に記載の光触媒性親水性部材であ
る。
【0014】第六の発明は、前記層表面は、降雨にさら
されたときの付着堆積物及び/又は汚染物が雨水により
容易に洗い流されることを特徴とする第一の発明乃至第
五の発明に記載の光触媒性親水性部材である。
【0015】第七の発明は、前記層表面は、汚染物を含
んだ雨水が接触したときに汚染物が表面に付着するのを
防止することを特徴とする第一の発明乃至第六の発明に
記載の光触媒性親水性部材である。
【0016】第八の発明は、前記層表面は、水に浸漬し
たとき又は水で濡らしたときの付着堆積物及び/又は汚
染物が水により容易に洗い流されることを可能にするこ
とを特徴とする第一の発明乃至第七の発明に記載の光触
媒性親水性部材である。
【0017】第九の発明は、前記層表面の屈折率が1.
2以上2以下であることを特徴とする第一の発明乃至第
八の発明に記載の光触媒性親水性部材である。屈折率が
2以下であると、例えば当該光触媒性親水性部材が鏡で
あるような場合には、斜めから鏡を見た場合に二重像が
できにくく、当該鏡を例えば自動車用のサイドミラーな
どに応用した場合により好適である。
【0018】更に前記層表面の屈折率の好ましい値は、
1.2以上1.9以下であり、別の好ましい値は1.5
以上1.9以下であり、別の好ましい値は1.5以上
1.7以下である。
【0019】光触媒性二酸化チタンの屈折率は一般的に
2.6程度であり、このままでは前記層表面の屈折率を
前記のような値に制御することはできないが、層中に含
まれる粒子径を5nm程度にすることや、光触媒性二酸
化チタンよりも屈折率の低い物質で該光触媒性二酸化チ
タン粒子を被覆することや、層中にアルカリシリケート
やシリカを添加することにより、前記のような値に制御
することができる。また、これらの要素を組み合せるこ
とによっても屈折率を前記のような値に制御することは
可能である。
【0020】第十の発明は、前記層の最表面の主成分は
アルカリシリケート又はシリカからなり、一部は酸化チ
タンが露出していることを特徴とする第九の発明に記載
の光触媒性親水性部材である。
【0021】第十一の発明は、前記層表面の算術平均粗
さRaが、触針式測定装置(JISB 0601)によ
り100nm以下であることを特徴とする第一の発明乃
至第十の発明に記載の光触媒性親水性部材である。
【0022】前記算術平均粗さRaは、好ましくは80
nm以下であり、別の好ましい態様では60nm以下で
あり、更に別の好ましい態様では40nm以下であり、
更に別の好ましい態様では20nm以下である。
【0023】第十二の発明は、前記層の膜厚が50nm
以上200nm以下であることを特徴とする第一の発明
乃至第十一の発明に記載の光触媒性親水性部材である。
別の好ましい膜厚は、50nm以上100nm以下であ
る。
【0024】前記第一の発明乃至第十二の発明において
は、基材としては、ガラス・鏡・車両用ミラー等が好適
に使用さる。また、鏡・車両用ミラー等においてはフロ
ートガラスのSn濃度の低い方に反射コートが施される
ことが好ましい。
【0025】第十三の発明は、基材の表面を親水化する
ためのコーティング組成物であって、 (a)平均組成
式M2O・nSiO2(式中、Mはアルカリ金属でありL
i、Na、K、Csを示し、nは0<n<5を満足する
数である)で表されるアルカリ金属珪酸塩からなり、硬
化させるとアルカリ金属珪酸塩の被膜を形成する塗膜形
成要素、および、(b)前記塗膜形成要素中に分散さ
れ、等電点がpH5以下の無機酸化物粒子及び/又はそ
の前駆体で表面を処理した光触媒性酸化チタン粒子、な
らびに(c)溶媒を含有し、pHが5〜9であることを
特徴とする光触媒性親水性コーティング組成物である。
【0026】係るコ−ティング組成物により基材表面に
塗膜を形成すると、水溶性アルカリ金属珪酸塩の硬化反
応により、基材表面には光触媒性酸化物粒子とアルカリ
珪酸塩を含有する表面層が形成されるようになる。この
場合、光触媒の光励起に応じて物理吸着水層が形成され
ることにより、表面が水濡れ角0゜に近い親水性を呈す
るようになると共に、暗所に保持したときの親水維持性
が向上する。
【0027】本発明では、さらに光触媒性酸化チタン粒
子に、表面が予め等電点が5以下の無機酸化物粒子及び
/又はその前駆体で処理されているようにしたので、光
触媒性酸化チタン粒子は中性液体中でも優れた分散安定
性を発揮できるようになる。ところで、水溶性アルカリ
金属珪酸塩成分は、中性からアルカリ性液体中で最も分
散安定性が良好なことから、上記処理により、上記光触
媒性親水性コ−ティング組成物は、中性条件にすること
により、良好な保存安定性を発揮するようになる。その
理由は次のように考えられる。すなわち、光触媒性酸化
チタン粒子のみの場合は等電点は7付近にあり、中性条
件では粒子表面の表面がほとんどゼロになり凝集しやす
くなるが、表面を上記物質により処理することにより、
粒子表面の等電点が酸性側にずれてpH5〜9の中性条
件で優れた分散安定性を発揮できるようになると考えら
れる。さらにコ−ティング組成物が中性であり、pH5
以下の酸性でないので、酸に弱い金属基材上に塗膜した
場合でも基材を劣化させない。従って、自動車車体等に
塗膜する場合でも自動車車体自体に悪影響を及ぼすおそ
れがない。また、例えば、フィルム上に塗膜する場合に
おいては、フィルムの塗工設備はやはり塗工機、ロ−
ル、ダクト等金属基材からなる設備が多いが、それら設
備に悪影響を及ぼすおそれがないので好ましい。
【0028】第十四の発明は、基材の表面を親水化する
ためのコーティング組成物であって、(a)平均組成式
M2O・nSiO2(式中、Mはアルカリ金属でありL
i、Na、K、Csを示し、nは0<n<5を満足する
数である)で表されるアルカリ金属珪酸塩からなり、硬
化させるとアルカリ金属珪酸塩の被膜を形成する塗膜形
成要素、および、(b)前記塗膜形成要素中に分散さ
れ、等電点がpH9以上の無機酸化物粒子及び/又はそ
の前駆体で表面を処理した光触媒性酸化チタン粒子、な
らびに(c)溶媒を含有し、pHが5〜9であることを
特徴とする光触媒性親水性コーティング組成物である。
【0029】係るコ−ティング組成物により基材表面に
塗膜を形成すると、水溶性アルカリ金属珪酸塩の硬化反
応により、基材表面には光触媒性酸化物粒子とアルカリ
珪酸塩を含有する表面層が形成されるようになる。この
場合、光触媒の光励起に応じて物理吸着水層が形成され
ることにより、表面が水濡れ角0゜に近い親水性を呈す
るようになると共に、暗所に保持したときの親水維持性
が向上する。
【0030】本発明では、さらに光触媒性酸化チタン粒
子に、表面が予め等電点が9以上の無機酸化物粒子で処
理されているようにしたので、光触媒性酸化チタン粒子
は中性液体中でも優れた分散安定性を発揮できるように
なる。水溶性アルカリ金属珪酸塩成分は、中性からアル
カリ性液体中で最も分散安定性が良好なことから、上記
処理により、上記光触媒性親水性コ−ティング組成物
は、中性条件にすることにより、良好な保存安定性を発
揮するようになる。その理由は次のように考えられる。
すなわち、光触媒性酸化チタン粒子のみの場合は等電点
は7付近にあり、中性条件では粒子表面の表面がほとん
どゼロになり凝集しやすくなるが、表面を上記物質によ
り処理することにより、粒子表面の等電点が塩基性側に
ずれてpH5〜9の中性条件で優れた分散安定性を発揮
できるようになると考えられる。さらにコ−ティング組
成物が中性であり、pH5以下の酸性でないので、酸に
弱い金属基材上に塗膜した場合でも基材を劣化させな
い。従って、自動車車体等に塗膜する場合でも自動車車
体自体に悪影響を及ぼすおそれがない。また、例えば、
フィルム上に塗膜する場合においては、フィルムの塗工
設備はやはり塗工機、ロ−ル、ダクト等金属基材からな
る設備が多いが、それら設備に悪影響を及ぼすおそれが
ないので好ましい。
【0031】第十五の発明は、基材の表面を親水化する
ためのコーティング組成物であって、(a)アルキルシ
リケート、アルコキシシラン、シラノールから選ばれる
少なくとも1種の塗膜形成要素、および、(b)前記塗
膜形成要素中に分散され、等電点がpH5以下の無機酸
化物粒子及び/又はその前駆体で表面を処理した光触媒
性酸化チタン粒子、ならびに(c)溶媒を含有し、pH
が5〜9であることを特徴とする光触媒性親水性コーテ
ィング組成物である。
【0032】第十六の発明は、基材の表面を親水化する
ためのコーティング組成物であって、(a)アルキルシ
リケート、アルコキシシラン、シラノールから選ばれる
少なくとも1種の塗膜形成要素、および、(b)前記塗
膜形成要素中に分散され、等電点がpH9以上の無機酸
化物粒子及び/又はその前駆体で表面を処理した光触媒
性酸化チタン粒子、ならびに(c)溶媒を含有し、pH
が5〜9であることを特徴とする光触媒性親水性コーテ
ィング組成物である。
【0033】第十七の発明は、それが適用された部材の
表面に光が照射されたとき、その表面の水との接触角が
約10°以下の親水性を呈することを特徴とする第十三
の発明乃至第十六の発明に記載の組成物である。更に好
ましい態様では、水との接触角は5°以下である。
【0034】第十八の発明は、それが適用された部材の
表面において、その表面に付着した湿分の凝縮水及び/
又は水滴が被膜の表面に広がるのを可能にし、以て、該
被膜によって処理された基材が湿分の凝縮水及び/又は
水滴によって視認性の低下を引き起こすことが防止され
ることを特徴とする第十三の発明乃至第十七の発明に記
載の組成物である。
【0035】第十九の発明は、それが適用された部材の
表面において、降雨にさらされたときの付着堆積物及び
/又は汚染物が雨水により容易に洗い流されることを可
能にすることを特徴とする第十三の発明乃至第十八の発
明に記載の組成物である。
【0036】第二十の発明は、それが適用された部材の
表面において、汚染物を含んだ雨水が接触したときに汚
染物が表面に付着するのを防止することを特徴とする第
十三の発明乃至第十九の発明に記載の組成物である。
【0037】第二十一の発明は、それが適用された部材
の表面において、水に浸漬したとき又は水で濡らしたと
きの付着堆積物及び/又は汚染物が水により容易に洗い
流されることを可能にすることを特徴とする第十三の発
明乃至第二十の発明に記載の組成物である。
【0038】第二十二の発明は、固形分濃度が1〜0.
2wt%であることを特徴とする第十三の発明乃至第二
十一の発明に記載の組成物である。更に好ましい態様で
は、固形分濃度が1〜0.6wt%である。
【0039】第二十三の発明は、Ti/Siが酸化物重
量比(TiO2/SiO2)に換算して、3〜0.4で
あることを特徴とする第十三の発明乃至第二十二の発明
に記載の組成物である。更に好ましい態様では2〜0.
4であり、別の好ましい態様では1〜0.4であり、別
の好ましい態様では0.6〜0.4である。
【0040】第二十四の発明は、基材表面に、第十三の
発明乃至第二十三の発明に記載の組成物を部材表面に適
用し、該組成物を乾燥または硬化させることを含んでな
ることを特徴とする光触媒性親水性部材の製造方法であ
る。
【0041】第二十五の発明は、基材表面に、第十三の
発明乃至第二十三の発明に記載の組成物を部材表面に塗
布し、該組成物を100℃以上400℃以下で熱処理す
ることを特徴とする光触媒性親水性部材の製造方法であ
る。更に好ましい態様では、350℃以上380℃以下
で熱処理をする。
【0042】第二十六の発明は、基材表面に、第十三の
発明乃至第二十三の発明に記載の組成物を部材表面にス
プレー法にて塗布し、該組成物を100℃以上400℃
以下で熱処理することを特徴とする光触媒性親水性部材
の製造方法である。更に好ましい態様では、350℃以
上380℃以下で熱処理をする。
【0043】第二十六の発明は、基材表面に、第十三の
発明乃至第二十三の発明に記載の組成物をプレヒートに
より部材表面を100℃以下に加熱後、スプレー法にて
塗布し、該組成物を100℃以上400℃以下で熱処理
することを特徴とする光触媒性親水性部材の製造方法。
更に好ましい態様では、350℃以上380℃以下で熱
処理をする。
【0044】第二十七の発明は、基材表面に、第十三の
発明乃至第二十三の発明の組成物をプレヒートにより部
材表面を30℃以上50℃以下に加熱後、スプレー法に
て塗布し、該組成物を100℃以上400℃以下で熱処
理することを特徴とする光触媒性親水性部材の製造方法
である。更に好ましい態様では、350℃以上380℃
以下で熱処理をする。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明において、光触媒性酸化チ
タンとは、その結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネル
ギ−ギャップよりも大きなエネルギ−(すなわち短い波
長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電
子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成し
うる酸化チタンをいい、例えば、アナタ−ゼ型酸化チタ
ン、ブルッカイト型酸化チタン等の結晶性酸化チタンが
好適に利用できる。本発明における高度の親水性とは、
水との接触角に換算して20°以下、好ましくは10゜
以下、さらに好ましくは5゜以下の水濡れ性を呈する状
態をいう。
【0046】第十三の発明以下の(a)に記述される水
溶性アルカリ金属珪酸塩は、平均組成式M2O・nSi
O2 (式中、Mはアルカリ金属でありLi、Na、
K、Csを示し、nは0<n<5を満足する数である)
で表される塗膜形成要素であって、硬化させるとアルカ
リ珪酸塩の被膜を形成し、ここでは珪酸リチウム、珪酸
ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸セシウム等が好適に利
用できる。
【0047】第一の発明以下の(b)に記述される等電
点がpHで5以下の無機酸化物粒子としては、シリカ、
アルミナシリケ−ト等が好適に利用できる。第二の発明
以下の(b)に記述される等電点がpHで9以上の無機
酸化物粒子としては、ジルコニア等が好適に利用でき
る。
【0048】酸化チタン粒子への上記処理物の固定方法
は、例えば、スプレ−コ−ティング法、ディップコ−テ
ィング法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−ティング
法、ロ−ルコ−ティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等
の方法で処理後、熱処理等の方法で固定する。
【0049】コ−ティング組成物には、Ag、Cu、Z
nのような金属を添加することができる。前記金属を添
加した場合、塗膜により形成される表面層は、表面に付
着した細菌や黴を暗所でも死滅させることができる。
【0050】コ−ティング組成物には、Pt、Pd、R
u、Rh、Ir、Osのような白金族金属を添加するこ
とができる。前記金属を添加した場合、塗膜により形成
される表面層は、光触媒の酸化還元活性を増強でき、有
機物汚れの分解性、有害気体や悪臭の分解性を向上させ
ることができる。
【0051】コ−ティング組成物は、水の他に、エタノ
−ル等の溶媒や、トリブチルアミン、ヘキシルアミンな
どの塩基性化合物類、アルミニウムトリイソプロポキシ
ド、シランカップリング剤等のコ−ティング組成物の分
散性を向上させる界面活性剤などを添加してもよい。
【0052】本発明のコ−ティング組成物の利用方法
は、基本的には、基材表面にコ−ティング組成物を塗布
し、硬化させて塗膜を形成することによる。
【0053】前記コ−ティング組成物の塗布方法として
は、スプレ−コ−ティング法、ディップコ−ティング
法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−ティング法、ロ
−ルコ−ティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法
が好適に利用できる。硬化方法としては、熱処理、室温
放置、紫外線照射等により重合させて行うことができ
る。該コーティング組成物は常温でも硬化させることが
可能であるが、耐久性の膜を形成するためには、100
℃以上で熱処理を行うことが望ましい。より好ましく
は、250℃以上で熱処理を行うことにより、超親水性
を損なわずに、耐摩耗性、透明性を合わせ持つ膜を形成
できる。
【0054】上記方法で部材表面に塗膜を形成すると、
部材表面は光触媒の光励起に応じて親水性を呈するよう
になる。ここで、光触媒の光励起により、基材表面が高
度に親水化されるためには、励起光の照度は0.001
mW/cm2以上あればよいが、0.01mW/cm2
上だと好ましく、0.1mW/cm2以上だとより好ま
しい。光触媒の光励起に用いる光源としては、太陽光、
室内照明、蛍光灯、水銀灯、白熱電灯、キセノンラン
プ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、B
LBランプ等が好適に利用できる。
【0055】部材表面に塗膜により形成される表面層の
膜厚は、0.4μm以下にするのが好ましい。そうすれ
ば、光の乱反射による白濁を防止することができ、表面
層は実質的に透明となる。さらに、表面層の膜厚を、
0.2μm以下にすると一層好ましい。そうすれば、光
の干渉による表面層の発色を防止することができる。ま
た、表面層が薄ければ薄いほどその透明度は向上する。
更に、膜厚を薄くすれば、表面層の耐摩耗性が向上す
る。
【0056】部材表面が水との接触角に換算して10゜
以下の状態であれば、空気中の湿分や湯気が結露して
も、凝縮水が個々の水滴を形成せずに一様な水膜になる
傾向が顕著になる。従って、表面に光散乱性の曇りを生
じない傾向が顕著になる。同様に、窓ガラスや車両用バ
ックミラ−や車両用風防ガラスや眼鏡レンズやヘルメッ
トのシ−ルドが降雨や水しぶきを浴びた場合に、離散し
た目障りな水滴が形成されずに、高度の視界と可視性を
確保し、車両や交通の安全性を保証し、種々の作業や活
動の能率を向上させる効果が飛躍的に向上する。また、
部材表面が水との接触角に換算して20゜以下、好まし
くは10゜以下の状態であれば、都市煤塵、自動車等の
排気ガスに含有されるカ−ボンブラック等の燃焼生成
物、油脂、シ−ラント溶出成分等の疎水性汚染物質、及
び無機粘土質汚染物質双方が付着しにくく、付着しても
降雨や水洗により簡単に落せる状態になる。
【0057】部材表面が上記高度の親水性を呈し、かつ
その状態を維持するようになれば、上記防曇効果、表面
清浄化効果の他、付着水滴の乾燥促進効果、帯電防止効
果、ほこり付着防止効果、断熱効果、水中での気泡付着
防止効果、熱交換器における効率向上効果、生体親和性
向上効果等が発揮されるようになる。
【0058】本発明が適用可能な基材としては、防曇効
果を期待する場合には透明な部材であり、その材質はガ
ラス、プラスチック等が好適に利用できる。適用可能な
基材を用途でいえば、車両用後方確認ミラ−、浴室用
鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レ
ンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複
写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズのようなレ
ンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄
道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロ−プウエイ
のゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の
窓ガラス;自動車、オ−トバイ、鉄道車両、航空機、船
舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、ロ−プウエイの
ゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風
防ガラス;防護用ゴ−グル、スポ−ツ用ゴ−グル、防護
用マスクのシ−ルド、スポ−ツ用マスクのシ−ルド、ヘ
ルメットのシ−ルド、冷凍食品陳列ケ−スのガラス、中
華饅頭等の保温食品の陳列ケ−スのガラス;計測機器の
カバ−、車両用後方確認カメラレンズのカバ−、レ−ザ
−歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサ−等のレ
−ザ−光検知用センサ−のカバ−、赤外線センサ−のカ
バ−;カメラ用フィルタ−、及び上記物品表面に貼着さ
せるためのフィルム、シ−ト、シ−ル等を含む。
【0059】本発明が適用可能な基材としては、表面清
浄化効果を期待する場合にはその材質は、例えば、金
属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、石、セメ
ント、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組合せ、そ
れらの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を用
途でいえば、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラ
ス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の
外装、防塵カバ−及び塗装、交通標識、各種表示装置、
広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガ−ドレ
−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太
陽電池カバ−、太陽熱温水器集熱カバ−、ビニ−ルハウ
ス、車両用照明灯のカバ−、住宅設備、便器、浴槽、洗
面台、照明器具、照明カバ−、台所用品、食器、食器洗
浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフ−
ド、換気扇、及び上記物品表面に貼着させるためのフィ
ルム、シ−ト、シ−ル等を含む。
【0060】本発明が適用可能な基材としては、付着水
滴の乾燥促進効果を期待する場合にはその材質は、例え
ば、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、
石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組
合せ、それらの積層体が好適に利用できる。適用可能な
基材を用途でいえば、自動車車体、窓、舗道、及び上記
物品表面に貼着させるためのフィルム、シ−ト、シ−ル
等を含む。
【0061】本発明が適用可能な基材としては、帯電防
止効果を期待する場合にはその材質は、例えば、金属、
セラミック、ガラス、プラスチック、木、石、セメン
ト、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組合せ、それ
らの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を用途
でいえば、ブラウン管、磁気記録メディア、光記録メデ
ィア、光磁気記録メディア、オ−ディオテ−プ、ビデオ
テ−プ、アナログレコ−ド、家庭用電気製品のハウジン
グや部品や外装及び塗装、OA機器製品のハウジングや
部品や外装及び塗装、建材、建物外装、建物内装、窓
枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装
置や物品の外装、防塵カバ−及び塗装、及び上記物品表
面に貼着させるためのフィルム、シ−ト、シ−ル等を含
む。
【0062】
【実施例】(実施例1)珪酸ナトリウムと珪酸リチウム
の混合物SLN−73(日本化学工業社製、固形分濃度
28.8重量%)シリカで処理したアナターゼ型酸化チ
タンゾルTNP−06(石原産業製、固形分濃度5重量
%)を混合し、純水で希釈して固形分0.4重量%のコ
ーティング組成物を得た。このコーティング組成物をス
ピンコート法にてガラス基板上に塗布し室温にて乾燥さ
せた後、150℃で30分熱処理し硬化させて、#1の
試料を得た。#1の試料は、0.5mW/cm2の紫外
線を照射することで、水との接触角3゜まで親水化し、
光励起により良好な親水性を示すことが明らかになっ
た。また、図1に、光励起により親水化した後に暗所で
保管したときの水との接触角の経時変化を示す。更にこ
の成膜体の屈折率は、約1.2程度でガラス単独の値と
ほぼ同等の値を示す。
【0063】図1より、本コート液により作製した光触
媒薄膜は、暗所での親水性維持性が高く光励起により親
水化した後、1,000時間経過後も水との接触角は8
°付近を示し、良好な親水性維持性を示すことが明らか
になった。本コート液の安定性を評価するためにコート
液を50℃で保管する加速試験を行った。3ヶ月保管後
のコート液は、外観や粘性において変化が見られなかっ
た。また、3ヶ月保管後のコート液を用いて上記の方法
によりガラス板に塗布した試料#2を作製したが、#2
の塗膜の外観、親水特性などは#1と同等であり、劣化
は認められなかった。
【0064】(実施例2)珪酸ナトリウムと珪酸リチウ
ムの混合物SLN−73(日本化学工業社製、固形分濃
度28.8重量%)シリカで処理したアナターゼ型酸化
チタンゾルTNP−06(石原産業製、固形分濃度5重
量%)を重量比にてSLN−73/TNP−6を3/7
となるよう混合し、純水で希釈して固形分0.8重量%
のコーティング組成物を得た。また、このコーティング
組成物には濡れ性向上を目的に界面活性剤としてF17
7(大日本インキ製、メガファックF177)を溶液全
量に対して外比で0.054wt%混入した。このコー
ティング組成物をスプレーコート法にてガラス基板上に
塗布し120℃にて乾燥させた後、370℃で10分熱
処理し硬化させて、#2の試料を得た。#2の試料は、
0.5mW/cm2の紫外線を照射することで、水との
接触角3゜まで親水化し、光励起により良好な親水性を
示すことが明らかになった。また、図2に、膜表面にオ
レイン酸を付着させ、紫外線0.5mW/cm2照射下
での接触角の経時変化を示す。
【0065】図2より、本コート液により作製した光触
媒薄膜は、オレイン酸の分解性も高く紫外線照射後約2
4時間で水との接触角は接触角は4°の値を示し、良好
な光触媒分解性を示すことが明らかになった。
【0066】(比較例1)石原産業製光触媒コーティン
グ液STK01(酸化チタン8重量%とアルキルシリケ
ート2重量%と硝酸水溶液54.8重量%とメタノール
28重量%とプロパノール7.2重量%からなる組成
物)を溶媒(2−プロパノール90重量%とジアセトン
アルコール10重量%との混合液)で希釈し固形分0.
4重量%のコーティング組成物を得た。このコーティン
グ組成物をスピンコート法にてガラス基板上に塗布し室
温にて乾燥させた後、150℃で30分熱処理し硬化さ
せて、#2の試料を得た。#2の試料は、0.5mW/
cm2の紫外線を照射することで、水との接触角3゜ま
で親水化し、光励起により良好な親水性を示すが、屈折
率は2.6程度でガラス単独の値とは大きく異なる値を
示す。STK01のように酸化チタン粒子が大きく更に
表面をシリケートで覆われていない光触媒コーティング
液では屈折率は酸化チタンが律則となってしまう。
【0067】
【発明の効果】本発明の光触媒性親水性コ−ティング液
によれば、優れた耐久性を有するとともに、部材表面を
高度の親水性になし、かつ維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の結果を示す説明図
【図2】 本発明の一実施例の結果を示す説明図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/18 C09K 3/18 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA04A BA04B BA14A BA14B BA15A BA15B BA21A BC01A BC02A BC02B BC03A BC04A BC04B BC06A BD05A BD05B BE06A CD10 EA07 EB05 EB15X EC27 ED02 FA03 FB23 FB24 FB29 FB57 FC07 FC08 FC09 4H020 AA01 AB02 4J038 AA011 HA211 HA451 KA12 KA15 MA08 MA10 NA05 NA06 PA18 PB02 PB05 PB07 PB08 PC02 PC03 PC04 PC06 PC08 PC10

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、アルカリシリケートと、等
    電点がpH5以下の無機酸化物粒子で表面を被覆された
    光触媒性酸化チタンとを含む表面層が形成されているこ
    とを特徴とする光触媒性親水性部材。
  2. 【請求項2】 基材表面に、アルカリシリケートと、等
    電点がpH9以上の無機酸化物粒子で表面を被覆された
    光触媒性酸化チタンとを含む表面層が形成されているこ
    とを特徴とする光触媒性親水性部材。
  3. 【請求項3】 基材表面に、シリカと、等電点がpH5
    以下の無機酸化物粒子で表面を被覆された光触媒性酸化
    チタンとを含む表面層が形成されていることを特徴とす
    る光触媒性親水性部材。
  4. 【請求項4】 基材表面に、シリカと、等電点がpH9
    以上の無機酸化物粒子で表面を被覆された光触媒性酸化
    チタンとを含む表面層が形成されていることを特徴とす
    る光触媒性親水性部材。
  5. 【請求項5】 前記層表面は、前記光触媒性酸化チタン
    の光励起に応じて水との接触角が10°以下の親水性を
    呈する及び/又は回復することを特徴とする請求項1〜
    4に記載の光触媒性親水性部材。
  6. 【請求項6】 前記層表面は、前記光触媒性酸化チタン
    の光励起に応じて水との接触角が5°以下の親水性を呈
    する及び/又は回復することを特徴とする請求項5に記
    載の光触媒性親水性部材。
  7. 【請求項7】 前記層表面は、付着した湿分の凝縮水及
    び/又は水滴が被膜の表面に広がるのを可能にし、以
    て、湿分の凝縮水及び/又は水滴によって視認性が低下
    することが防止されることを特徴とする請求項1〜6に
    記載の光触媒性親水性部材。
  8. 【請求項8】 前記層表面は、降雨にさらされたときの
    付着堆積物及び/又は汚染物が雨水により容易に洗い流
    されることを特徴とする請求項1〜7に記載の光触媒性
    親水性部材。
  9. 【請求項9】 前記層表面は、汚染物を含んだ雨水が接
    触したときに汚染物が表面に付着するのを防止すること
    を特徴とする請求項1〜8に記載の光触媒性親水性部
    材。
  10. 【請求項10】 前記層表面は、水に浸漬したとき又は
    水で濡らしたときの付着堆積物及び/又は汚染物が水に
    より容易に洗い流されることを可能にすることを特徴と
    する請求項1〜9に記載の光触媒性親水性部材。
  11. 【請求項11】 前記層表面の屈折率が1.2以上2以
    下であることを特徴とする請求項1〜10に記載の光触
    媒性親水性部材。
  12. 【請求項12】 前記層の最表面の主成分はアルカリシ
    リケート又はシリカからなり、一部は酸化チタンが露出
    していることを特徴とする請求項11に記載の光触媒性
    親水性部材。
  13. 【請求項13】 前記層表面の算術平均粗さRaが、触
    針式測定装置(JISB 0601)により100nm
    以下であることを特徴とする請求項1〜12に記載の光
    触媒性親水性部材。
  14. 【請求項14】 前記層の膜厚が50nm以上200n
    m以下であることを特徴とする請求項1〜13に記載の
    光触媒性親水性部材。
  15. 【請求項15】 前記基材はガラスであることを特徴と
    する請求項1〜14に記載の光触媒性親水性部材。
  16. 【請求項16】 前記基材は鏡であることを特徴とする
    請求項1〜14に記載の光触媒性親水性部材。
  17. 【請求項17】 前記基材は車両用ミラーであることを
    特徴とする請求項1〜14に記載の光触媒性親水性部
    材。
  18. 【請求項18】 フロートガラスのSn濃度の高い方の
    表面に前記層が形成されており、Sn濃度の低い方に反
    射コートが施されていることを特徴とする請求項16又
    は17に記載の光触媒性親水性部材。
  19. 【請求項19】 基材の表面を親水化するためのコーテ
    ィング組成物であって、 (a)平均組成式M2O・nSiO2(式中、Mはアルカ
    リ金属でありLi、Na、K、Csを示し、nは0<n
    <5を満足する数である)で表されるアルカリ金属珪酸
    塩からなり、硬化させるとアルカリ金属珪酸塩の被膜を
    形成する塗膜形成要素、および、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、等電点がpH5
    以下の無機酸化物粒子及び/又はその前駆体で表面を処
    理した光触媒性酸化チタン粒子、ならびに (c)溶媒を含有し、pHが5〜9であることを特徴と
    する光触媒性親水性コーティング組成物。
  20. 【請求項20】 基材の表面を親水化するためのコーテ
    ィング組成物であって、 (a)平均組成式M2O・nSiO2(式中、Mはアルカ
    リ金属でありLi、Na、K、Csを示し、nは0<n
    <5を満足する数である)で表されるアルカリ金属珪酸
    塩からなり、硬化させるとアルカリ金属珪酸塩の被膜を
    形成する塗膜形成要素、および、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、等電点がpH9
    以上の無機酸化物粒子及び/又はその前駆体で表面を処
    理した光触媒性酸化チタン粒子、ならびに (c)溶媒を含有し、pHが5〜9であることを特徴と
    する光触媒性親水性コーティング組成物。
  21. 【請求項21】 基材の表面を親水化するためのコーテ
    ィング組成物であって、(a)アルキルシリケート、ア
    ルコキシシラン、シラノールから選ばれる少なくとも1
    種の塗膜形成要素、および、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、等電点がpH5
    以下の無機酸化物粒子及び/又はその前駆体で表面を処
    理した光触媒性酸化チタン粒子、ならびに (c)溶媒を含有し、pHが5〜9であることを特徴と
    する光触媒性親水性コーティング組成物。
  22. 【請求項22】 基材の表面を親水化するためのコーテ
    ィング組成物であって、 (a)アルキルシリケート、アルコキシシラン、シラノ
    ールから選ばれる少なくとも1種の塗膜形成要素、およ
    び、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、等電点がpH9
    以上の無機酸化物粒子及び/又はその前駆体で表面を処
    理した光触媒性酸化チタン粒子、ならびに (c)溶媒を含有し、pHが5〜9であることを特徴と
    する光触媒性親水性コーティング組成物。
  23. 【請求項23】 それが適用された部材の表面に光が照
    射されたとき、その表面の水との接触角が約10°以下
    の親水性を呈することを特徴とする請求項19〜22に
    記載の組成物。
  24. 【請求項24】 それが適用された部材の表面に光が照
    射されたとき、その表面の水との接触角が約5°以下の
    親水性を呈することを特徴とする請求項23に記載の組
    成物。
  25. 【請求項25】 それが適用された部材の表面におい
    て、その表面に付着した湿分の凝縮水及び/又は水滴が
    被膜の表面に広がるのを可能にし、以て、該被膜によっ
    て処理された基材が湿分の凝縮水及び/又は水滴によっ
    て視認性の低下を引き起こすことが防止されることを特
    徴とする請求項19〜24に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 それが適用された部材の表面におい
    て、降雨にさらされたときの付着堆積物及び/又は汚染
    物が雨水により容易に洗い流されることを可能にするこ
    とを特徴とする請求項19〜25に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 それが適用された部材の表面におい
    て、汚染物を含んだ雨水が接触したときに汚染物が表面
    に付着するのを防止することを特徴とする請求項19〜
    26に記載の組成物。
  28. 【請求項28】 それが適用された部材の表面におい
    て、水に浸漬したとき又は水で濡らしたときの付着堆積
    物及び/又は汚染物が水により容易に洗い流されること
    を可能にすることを特徴とする請求項19〜27に記載
    の組成物。
  29. 【請求項29】 固形分濃度が1〜0.2wt%である
    ことを特徴とする請求項19〜28に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 Ti/Siが酸化物重量比(TiO2
    /SiO2)に換算して、3〜0.4であることを特徴
    とする請求項19〜29に記載の組成物。
  31. 【請求項31】 基材表面に、請求項19〜30に記載
    の組成物を部材表面に適用し、該組成物を乾燥または硬
    化させることを含んでなることを特徴とする光触媒性親
    水性部材の製造方法。
  32. 【請求項32】 基材表面に、請求項19〜30に記載
    の組成物を部材表面に塗布し、該組成物を100℃以上
    400℃以下で熱処理することを特徴とする光触媒性親
    水性部材の製造方法。
  33. 【請求項33】 基材表面に、請求項19〜30に記載
    の組成物を部材表面にスプレー法にて塗布し、該組成物
    を100℃以上400℃以下で熱処理することを特徴と
    する光触媒性親水性部材の製造方法。
  34. 【請求項34】 基材表面に、請求項19〜30に記載
    の組成物をプレヒートにより部材表面を100℃以下に
    加熱後、スプレー法にて塗布し、該組成物を100℃以
    上400℃以下で熱処理することを特徴とする光触媒性
    親水性部材の製造方法。
  35. 【請求項35】 基材表面に、請求項19〜30に記載
    の組成物をプレヒートにより部材表面を30℃以上50
    ℃以下に加熱後、スプレー法にて塗布し、該組成物を1
    00℃以上400℃以下で熱処理することを特徴とする
    光触媒性親水性部材の製造方法。
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