JPH1072242A - 光触媒性親水性部材、及び光触媒性親水性コーティング組成物 - Google Patents

光触媒性親水性部材、及び光触媒性親水性コーティング組成物

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JPH1072242A
JPH1072242A JP29922496A JP29922496A JPH1072242A JP H1072242 A JPH1072242 A JP H1072242A JP 29922496 A JP29922496 A JP 29922496A JP 29922496 A JP29922496 A JP 29922496A JP H1072242 A JPH1072242 A JP H1072242A
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coating
silicone
photocatalytic
group
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JP29922496A
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Atsushi Kitamura
厚 北村
Makoto Chikuni
真 千国
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面が光励起により親水化されるようになる
と共に、暗所等に放置した場合でも長期間表面の親水性
が維持される部材の提供。 【解決手段】 基材表面に、光触媒粒子とシリコーンと
硝酸、或いは光触媒粒子とシリコーンと硫酸とを含有す
る表面層が形成されていることを特徴とする光触媒性親
水性部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材表面を高度の
親水性になし、かつ維持する技術に関する。より詳しく
は、本発明は、鏡、レンズ、ガラス、プリズムその他の
透明部材の表面を高度に親水化することにより、部材の
曇りや水滴形成を防止する防曇技術に関する。本発明
は、また、建物や窓ガラスや機械装置や物品の表面を高
度に親水化することにより、表面が汚れるのを防止し、
又は表面を自己浄化(セルフクリーニング)し若しくは
容易に清掃する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】寒冷時に自動車その他の乗物の風防ガラ
スや窓ガラス、建物の窓ガラス、眼鏡のレンズ、および
各種計器盤のカバーガラスが凝縮湿分で曇るのはしばし
ば経験されることである。また、浴室や洗面所の鏡や眼
鏡のレンズが湯気で曇ることも良く遭遇される。更に、
車両の風防ガラスや窓ガラス、建物の窓ガラス、車両の
バックミラー、眼鏡のレンズ、マスクやヘルメットのシ
ールドが降雨や水しぶきを受け、離散した多数の水滴が
表面に付着すると、それらの表面は翳り、ぼやけ、斑模
様になり、或いは曇り、やはり可視性が失われる。言う
までもなく、上記“曇り”は安全性や種々の作業の能率
に深い影響を与える。例えば、車両の風防ガラスや窓ガ
ラス、車両のバックミラーが、寒冷時や雨天に翳り或い
は曇ると、視界の確保が困難となり、交通の安全性が損
なわれる。内視鏡レンズや歯科用歯鏡が曇ると、的確な
診断、手術、処置の障害となる。計器盤のカバーガラス
が曇るとデータの読みが困難となる。
【0003】上記“曇り”の解消のために、表面を親水
性にすることが提案されている。例えば、実開平3−1
29357号には、基材の表面にポリマー層を設け、こ
の層に紫外線を照射した後アルカリ水溶液により処理す
ることにより高密度の酸性基を生成し、これによりポリ
マー層の表面を親水性にすることからなる鏡の防曇方法
が開示されている。しかし、この方法で得られる程度の
酸性基では、表面極性が充分でなく、表面に付着する汚
染物質により時間が経つにつれて表面は親水性を失い、
防曇性能が次第に失われるものと考えられる。
【0004】他方、建築及び塗料の分野においては、環
境汚染に伴い、建築外装材料や屋外建造物やその塗膜の
汚れが問題となっている。大気中に浮遊する煤塵や粒子
は晴天には建物の屋根や外壁に堆積する。堆積物は降雨
に伴い雨水により流され、建物の外壁を流下する。更
に、雨天には浮遊煤塵は雨によって持ち運ばれ、建物の
外壁や屋外建造物の表面を流下する。その結果、表面に
は、雨水の道筋に沿って汚染物質が付着する。表面が乾
燥すると、表面には縞状の汚れが現れる。建築外装材料
や塗膜の汚れは、カーボンブラックのような燃焼生成物
や、都市煤塵や、粘土粒子のような無機質物質の汚染物
質からなる。このような汚染物質の多様性が防汚対策を
複雑にしているものと考えられている(橘高義典著“外
壁仕上材料の汚染の促進試験方法”、日本建築学会構造
系論文報告集、第404号、1989年10月、p.1
5−24)。
【0005】従来の通念では、上記建築外装などの汚れ
を防止するためにはポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)のような撥水性の塗料が好ましいと考えられてい
たが、最近では、疎水性成分を多く含む都市煤塵に対し
ては、塗膜の表面を出来るだけ親水性にするのが望まし
いと考えられている(高分子、44巻、1995年5月
号、p.307)。そこで、親水性のグラフトポリマー
で建物を塗装することが提案されている(新聞“化学工
業日報”、1995年1月30日)。報告によれば、こ
の塗膜は水との接触角に換算して30〜40゜の親水性
を呈する。しかしながら、粘土鉱物で代表される無機質
塵埃の水との接触角は20゜から50゜であり、水との
接触角が30〜40゜のグラフトポリマーに対して親和
性を有しその表面に付着しやすいので、このグラフトポ
リマーの塗膜は無機質塵埃による汚れを防止することが
できないと考えられる。
【0006】
【発明の解決すべき課題】上記の如く、部材表面を親水
性にすることにより、部材の曇りや水滴形成を防止した
り、また、建物や窓ガラスや機械装置や物品の表面が汚
れるのを防止し、又は表面を自己浄化(セルフクリーニ
ング)し若しくは容易に清掃することができる提案は存
在するものの、表面を高度の親水性に長期にわたり維持
できないため、その効果は充分でなかった。そこで、本
発明では、上記事情に鑑み、表面を長期にわたり高度の
親水性に維持できる部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、光触媒を含有
する表面層を形成した部材において、光触媒を光励起す
ると、部材の表面が高度に親水化されるという発見に基
づく。この現象は以下に示す機構により進行すると考え
られる。すなわち、光触媒の価電子帯上端と伝導帯下端
とのエネルギーギャップ以上のエネルギーを有する光が
光触媒に照射されると、光触媒の価電子帯中の電子が励
起されて伝導電子と正孔が生成し、そのいずれかまたは
双方の作用により、表面に極性が付与され、水や水酸基
等の極性成分が集められる。そして伝導電子と正孔のい
ずれかまたは双方と、上記極性成分との協調的な作用に
より、おそらく表面と前記表面に化学的に吸着した汚染
物質との化学結合を切断すると共に、表面に化学吸着水
が吸着し、さらに、物理吸着水層がその上に形成され、
表面が高度に親水化されるのである。また、表面層に、
さらにシリコーンが含有されているようにすると、光触
媒の光励起によって、シリコーン中のシリコン原子に結
合する有機基の少なくとも一部が水酸基に置換され、さ
らにその上に物理吸着水層が形成されることにより、表
面が水濡れ角0゜に近い高度の親水性を呈するようにな
ると共に、暗所に保持したときの親水維持性がさらに向
上するという知見も得られている。
【0008】本発明では、基材表面に、光触媒性酸化物
粒子とシリコーンと硝酸とを含有する表面層が形成され
ていることを特徴とする光触媒性親水性部材、或いは基
材表面に、光触媒性酸化物粒子とシリコーンと硫酸とを
含有する表面層が形成されていることを特徴とする光触
媒性親水性部材を提供する。表面層に、光触媒性酸化物
粒子とシリコーン以外に、硝酸又は硫酸が含有されてい
ることにより、暗所における表面の親水維持性が向上す
る。その理由は以下のように考えられる。すなわち、光
触媒の光励起によりシリコーン分子中のケイ素原子に結
合した有機基を光触媒作用により少なくとも部分的に水
酸基に置換されるときに、水酸基への置換だけでなく、
その一部は硝酸又は硫酸の存在により、ニトロ基又はス
ルホン酸基に置換される。ニトロ基及びスルホン酸基は
水酸基より極性が大きいので、より多くの物理吸着水が
表面に吸着する。それにより暗所における表面の親水維
持性が向上するのである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における高度の親水性と
は、水との接触角に換算して10゜以下、好ましくは5
゜以下の水濡れ性を呈する状態をいう。PCT/JP9
6/00733号に示したように、部材表面が水との接
触角に換算して10°下の状態であれば、空気中の湿分
や湯気が結露しても、凝縮水が個々の水滴を形成せずに
一様な水膜になる傾向が顕著になる。従って、表面に光
散乱性の曇りを生じない傾向が顕著になる。同様に、窓
ガラスや車両用バックミラーや車両用風防ガラスや眼鏡
レンズやヘルメットのシールドが降雨や水しぶきを浴び
た場合に、離散した目障りな水滴が形成されずに、高度
の視界と可視性を確保し、車両や交通の安全性を保証
し、種々の作業や活動の能率を向上させる効果が飛躍的
に向上する。また、同様にPCT/JP96/0073
3号に示したように、部材表面が水との接触角に換算し
て10゜以下、好ましくは5゜以下の状態であれば、都
市煤塵、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラ
ック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎
水性汚染物質、及び無機粘土質汚染物質双方が付着しに
くく、付着しても降雨や水洗により簡単に落せる状態に
なる。
【0010】部材表面が上記高度の親水性を維持できれ
ば、上記防曇効果、表面清浄化効果の他、帯電防止効果
(ほこり付着防止効果)、断熱効果、水中での気泡付着
防止効果、熱交換器における効率向上効果、生体親和性
効果等が発揮されるようになる。
【0011】本発明が適用可能な基材としては、上記防
曇効果を期待する場合には透明な部材であり、その材質
はガラス、プラスチック等が好適に利用できる。適用可
能な基材を用途でいえば、車両用バックミラー、浴室用
鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レ
ンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明
用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレ
ンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄
道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイ
のゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の
窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、
雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイの
ゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風
防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護
用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘ
ルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス;計
測機器のカバーガラス、及び上記物品表面に貼付させる
ためのフィルムを含む。本発明が適用可能な基材として
は、上記表面清浄化効果を期待する場合にはその材質
は、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチッ
ク、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、そ
れらの組合せ、それらの積層体が好適に利用できる。適
用可能な基材を用途でいえば、建材、建物外装、建物内
装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、
機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標
識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音
壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装
及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カ
バー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設
備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所
用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レン
ジ、キッチンフード、換気扇、及び上記物品表面に貼付
させるためのフィルムを含む。本発明が適用可能な基材
としては、上記帯電防止効果を期待する場合にはその材
質は、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチ
ック、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、
それらの組合せ、それらの積層体が好適に利用できる。
適用可能な基材を用途でいえば、ブラウン管、磁気記録
メディア、光記録メディア、光磁気記録メディア、オー
ディオテープ、ビデオテープ、アナログレコード、家庭
用電気製品のハウジングや部品や外装及び塗装、OA機
器製品のハウジングや部品や外装及び塗装、建材、建物
外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外
装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗
装、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含
む。
【0012】光触媒性酸化物とは、酸化物結晶の伝導電
子帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大き
なエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照
射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)によ
って、伝導電子と正孔を生成しうる酸化物をいい、アナ
ターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化錫、酸
化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化
第二鉄、チタン酸ストロンチウム等が好適に利用でき
る。ここで光触媒性酸化物の光励起に用いる光源として
は、蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、水銀ラ
ンプのような室内照明、太陽、それらの光源からの光を
低損失のファイバーで誘導した光源等が好適に利用でき
る。光触媒性酸化物の光励起により、基材表面が高度に
親水化されるためには、励起光の照度は、0.001m
W/cm以上あればよいが、0.01mW/cm
上だと好ましく、0.1mW/cm以上だとより好ま
しい。
【0013】シリコーンには、平均組成式 RSiO(4−p)/2(式中、Rは一価の有機基の
1種若しくは2種以上からなる官能基、又は、一価の有
機基と水素基から選ばれた2種以上からなる官能基であ
り、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であり、p
は0<p<2を満足する数である)で表される樹脂が利
用できる。
【0014】表面層の膜厚は、0.4μm以下にするの
が好ましい。そうすれば、光の乱反射による白濁を防止
することができ、表面層は実質的に透明となる。さら
に、表面層の膜厚を、0.2μm以下にすると一層好ま
しい。そうすれば、光の干渉による表面層の発色を防止
することができる。また、表面層が薄ければ薄いほどそ
の透明度は向上する。更に、膜厚を薄くすれば、表面層
の耐摩耗性が向上する。
【0015】表面層には、Ag、Cu、Znのような金
属を添加することができる。前記金属を添加した表面層
は、表面に付着した細菌や黴を暗所でも死滅させること
ができる。
【0016】表面層にはPt、Pd、Ru、Rh、I
r、Osのような白金族金属を添加することができる。
前記金属を添加した表面層は、光触媒の酸化還元活性を
増強でき、有機物汚れの分解性、有害気体や悪臭の分解
性を向上させることができる。
【0017】次に、基材表面に、光触媒性酸化物粒子と
シリコーンと硝酸(又は硫酸)とを含有する表面層が形
成されている光触媒性親水性部材の製法について説明す
る。この場合の製法は、基本的には、基材表面にコーテ
ィング組成物を塗布し、硬化させることによる。
【0018】ここでコーティング組成物は、光触媒粒
子、硝酸(又は硫酸)と、シリコーンの前駆体を必須構
成要件とし、その他に水、エタノール、プロパノール等
の溶媒や、トリブチルアミン、ヘキシルアミンなどの塩
基性化合物類、アルミニウムトリイソプロポキシド、テ
トライソプロピルチタネートなどの酸性化合物類等のシ
リコーンの前駆体を硬化させる触媒や、シランカップリ
ング剤等のコーティング液の分散性を向上させる界面活
性剤などを添加してもよい。
【0019】ここでシリコーンの前駆体としては、平均
組成式 RSiX(4−p−q)/2(式中、Rは一価の
有機基の1種若しくは2種以上からなる官能基、又は、
一価の有機基と水素基から選ばれた2種以上からなる官
能基であり、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子で
あり、p及びqは0<p<2、0<q<4を満足する数
である)で表されるシロキサンからなる塗膜形成要素、
又は一般式 RSiX4−p(式中、Rは一価の有機基の1種若し
くは2種以上からなる官能基、、又は、一価の有機基と
水素基から選ばれた2種以上からなる官能基であり、X
はアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であり、pは1ま
たは2である)で表される加水分解性シラン誘導体から
なる塗膜形成要素、が好適に利用できる。
【0020】ここで上記加水分解性シラン誘導体からな
る塗膜形成要素としては、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキ
シシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニル
トリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシ
シラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキ
シシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェ
ニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポ
キシシラン、フェニルメチルジブトキシシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロ
ピルトリブトキシシラン、γ−グリコキシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン等が好適に利用できる。
【0021】また、上記シロキサンからなる塗膜形成要
素としては、上記加水分解性シラン誘導体の部分加水分
解及び脱水縮重合、又は上記加水分解性シラン誘導体の
部分加水分解物と、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシ
シラン、ジエトキシジメトキシシラン等の部分加水分解
物との脱水縮重合等で作製することができる。
【0022】上記コーティング組成物の塗布方法として
は、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法
が好適に利用できる。硬化方法としては、熱処理、室温
放置、紫外線照射等により重合させて行うことができ
る。
【0023】
【実施例】
実施例1.アナターゼ型酸化チタンゾル(日産化学、T
A−15、硝酸解膠型、pH=1)と、シリカゾル(日
本合成ゴム、グラスカA液、pH=4)と、メチルトリ
メトキシシラン(日本合成ゴム、グラスカB液)とエタ
ノールを混合し、2〜3時間撹拌して得たコーティング
液を、スプレーコーティング法にて10cm角のアルミ
ニウム基材上に塗布し、150℃で15分熱処理して、
アナターゼ型酸化チタン粒子11重量部、シリカ6重量
部、シリコーン5重量部からなる表面層を形成した#1
試料を得た。#1試料の表面、及び表面層中(表面から
20nm下部)についてオージェ分光により元素分析を
行った。その結果、表面にはSi、C、O、Nが、表面
層中にはSi、C、O、N、Tiが存在することが判明
した。いずれにもNが認められることから、塗膜中に硝
酸が存在することが推察された。また、#1試料の水と
の接触角は85゜であった。ここで水との接触角は接触
角測定器(協和界面科学、CA−X150)を用い、マ
イクロシリンジから水滴を滴下した後30秒後の水との
接触角で評価した。次いで#1試料表面に、紫外線光源
(三共電気、ブラックライトブルー(BLB)蛍光灯)
を用いて0.3mW/cmの紫外線照度で1日照射
し、#2試料を得た。その結果、#2試料の水との接触
角は0゜まで親水化された。次に、#1試料と、#1試
料に水銀灯を22.8mW/cmの紫外線照度で2時
間照射して得た#3試料夫々の試料表面をラマン分光分
析した。その結果、#1試料表面で認められたメチル基
のピークが#3試料では認められなかった。以上のこと
から、光触媒であるアナターゼ型酸化チタンの光励起に
応じて被膜の表面のシリコーン分子中のケイ素原子に結
合した有機基は、光触媒作用により置換されること、及
び親水化されることがわかる。次に、#2試料を3週間
暗所に放置した。放置後、水との接触角を測定したが7
゜に止まり、良好な暗所親水維持性を呈することが確認
された。
【0024】実施例2.アナターゼ型酸化チタンゾル
(日産化学、TA−15、硝酸解膠型、pH=1)と、
メチルトリメトキシシラン(日本合成ゴム、グラスカB
液)とエタノールを混合し、2〜3時間攪拌して得たコ
ーティング液を、スプレーコーティング法にて10cm
角のアルミニウム基材上に塗布し、150℃で15分熱
処理して、アナターゼ型酸化チタン粒子1重量部、シリ
コーン1重量部からなる表面層を形成した#4試料を得
た。また、#4試料の水との接触角は92゜であった。
次いで#4試料表面に、紫外線光源(三共電気、ブラッ
クライトブルー(BLB)蛍光灯)を用いて0.3mW
/cmの紫外線照度で1日照射し、#5試料を得た。
その結果、#5試料の水との接触角は0゜まで親水化さ
れた。次に、#5試料を3週間暗所に放置した。放置
後、水との接触角を測定したが2゜に止まり、良好な暗
所親水維持性を呈することが確認された。
【0025】
【発明の効果】本発明では、基材表面に、光触媒粒子と
シリコーンと硝酸とを含有する表面層が形成されている
ようにする、或いは基材表面に、光触媒粒子とシリコー
ンと硫酸とを含有する表面層が形成されているようにす
ることにより、表面が光励起により親水化されるように
なると共に、暗所等に放置した場合でも長期間表面の親
水性が維持されるようになる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、光触媒性酸化物粒子とシリ
    コーンと硝酸とを含有する表面層が形成されていること
    を特徴とする光触媒性親水性部材。
  2. 【請求項2】 基材表面に、光触媒性酸化物粒子とシリ
    コーンと硫酸とを含有する表面層が形成されていること
    を特徴とする光触媒性親水性部材。
  3. 【請求項3】 (a)平均組成式RSiX(4−p−q)/2 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
    なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
    2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
    は、ハロゲン原子であり、p及びqは0<p<2、0<
    q<4を満足する数である)で表されるシロキサンから
    なる塗膜形成要素であって、硬化させるとシリコーン樹
    脂の被膜を形成するもの、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、光励起により前
    記被膜の表面のシリコーン分子中のケイ素原子に結合し
    た有機基を光触媒作用により少なくとも部分的に極性基
    に置換させ、もって、被膜の表面を親水化するための光
    触媒性酸化物粒子、及び、 (c)硝酸,を含有することを特徴とする光触媒性親水
    性コーティング組成物。
  4. 【請求項4】(a)一般式RSiX4−p (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
    なる官能基、、又は、一価の有機基と水素基から選ばれ
    た2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、
    又は、ハロゲン原子であり、pは1または2である)で
    表される加水分解性シラン誘導体からなる塗膜形成要素
    であって、硬化させるとシリコーン樹脂の被膜を形成す
    るもの、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、光励起により前
    記被膜の表面のシリコーン分子中のケイ素原子に結合し
    た有機基を光触媒作用により少なくとも部分的に極性基
    に置換させ、もって、被膜の表面を親水化するための光
    触媒性酸化物粒子、及び、 (c)硝酸,を含有することを特徴とする光触媒性親水
    性コーティング組成物。
  5. 【請求項5】 (a)平均組成式RSiX(4−p−q)/2 (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
    なる官能基、又は、一価の有機基と水素基から選ばれた
    2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、又
    は、ハロゲン原子であり、p及びqは0<p<2、0<
    q<4を満足する数である)で表されるシロキサンから
    なる塗膜形成要素であって、硬化させるとシリコーン樹
    脂の被膜を形成するもの、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、光励起により前
    記被膜の表面のシリコーン分子中のケイ素原子に結合し
    た有機基を光触媒作用により少なくとも部分的に極性基
    に置換させ、もって、被膜の表面を親水化するための光
    触媒性酸化物粒子、及び、 (c)硫酸,を含有することを特徴とする光触媒性親水
    性コーティング組成物。
  6. 【請求項6】(a)一般式RSiX4−p (式中、Rは一価の有機基の1種若しくは2種以上から
    なる官能基、、又は、一価の有機基と水素基から選ばれ
    た2種以上からなる官能基であり、Xはアルコキシ基、
    又は、ハロゲン原子であり、pは1または2である)で
    表される加水分解性シラン誘導体からなる塗膜形成要素
    であって、硬化させるとシリコーン樹脂の被膜を形成す
    るもの、 (b)前記塗膜形成要素中に分散され、光励起により前
    記被膜の表面のシリコーン分子中のケイ素原子に結合し
    た有機基を光触媒作用により少なくとも部分的に極性基
    に置換させ、もって、被膜の表面を親水化するための光
    触媒性酸化物粒子、及び、 (c)硫酸,を含有することを特徴とする光触媒性親水
    性コーティング組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6425670B1 (en) * 1999-11-12 2002-07-30 Murakami Corporation Colored anti-fog mirror

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