JP2001060468A - 光電変換素子および光電池ならびに金属錯体色素 - Google Patents

光電変換素子および光電池ならびに金属錯体色素

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JP2001060468A
JP2001060468A JP2000037289A JP2000037289A JP2001060468A JP 2001060468 A JP2001060468 A JP 2001060468A JP 2000037289 A JP2000037289 A JP 2000037289A JP 2000037289 A JP2000037289 A JP 2000037289A JP 2001060468 A JP2001060468 A JP 2001060468A
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JP2000037289A
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Hiroo Takizawa
裕雄 滝沢
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Fuji Photo Film Co Ltd
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    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光〜赤外域にわたる広い波長域において
良好な光吸収能を有する金属錯体色素、およびかかる金
属錯体色素を吸着した半導体微粒子を含む光電変換素
子、ならびにそれからなる光電池を提供する。 【解決手段】 一般式:(LL1)m1(X1)m2M1(BL)M2(LL2)m3
(X2)m4・CI(ただし、M1およびM2はそれぞれ独立に金属
原子を表し、BLは金属原子に対して3座配位できる部位
を2個以上有する配位子を表し、LL1およびLL2はそれぞ
れ独立に窒素原子で2座または3座配位できる配位子を
表し、X1およびX2はそれぞれ独立にジチオカルバメート
基、チオシアネート基等で配位する1座または2座の配
位子を表し、m1およびm3はそれぞれ独立に0または1で
あり、m2およびm4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表
し、m2またはm4が2以上のときX1またはX2はそれぞれ同
じでも異なっていてもよく、またX1同士またはX2同士が
連結していてもよく、CIは電荷を中和させるのに対イオ
ンが必要な場合の対イオンを表す。)により表される金
属錯体色素により増感された半導体微粒子を含む光電変
換素子、およびそれからなる光電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は長波長域にも高い光
吸収能を有する金属錯体色素、かかる金属錯体色素によ
り増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子、およ
びそれからなる光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光発電に使用する太陽電池として、
単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコ
ン、テルル化カドミウム、セレン化インジウム銅等の化
合物からなる太陽電池が実用化もしくは主な研究開発の
対象となっているが、家庭用電源等に広く普及させる上
では、製造コストが高いこと、原材料の確保が困難であ
ること、エネルギーペイバックタイムが長いこと等の問
題点があり、これらを克服する必要がある。一方、大面
積化や低価格化を目的として、有機材料を用いた太陽電
池も多く提案されてきたが、一般に変換効率が低く、耐
久性も悪いという問題があった。
【0003】このような状況下で、Nature(第353巻,
第737〜740頁,1991年)、および米国特許4927721号、W
O 94/04497号等に、ルテニウム錯体色素により分光増感
された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式光
電変換素子および太陽電池、ならびにこれを作製するた
めの材料および製造技術が提案された。この湿式光電変
換素子の第一の利点は、二酸化チタン等の安価な酸化物
半導体を高純度に精製することなく用いることができる
ため安価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の
利点は、用いる色素の吸収がブロードなため可視光線の
ほぼ全ての波長領域の光を電気に変換できることであ
る。
【0004】しかしながら公知のルテニウム錯体色素
は、可視光線はほぼすべて光電変換しうるものの、700n
mより長波長の赤外光はほとんど吸収しないため、赤外
域での光電変換能が低いという問題がある。したがって
さらに変換効率を上げるために、可視光〜赤外域にわた
る広い波長領域で吸収能を有し、高い光電変換能を示す
色素の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、可視
光域のみならず赤外域にも高い光吸収能を有し、かつ半
導体微粒子を効率よく増感し得る長波長域対応の金属錯
体色素、およびかかる金属錯体色素を用いることにより
高い光電変換効率を有する光電変換素子ならびにそれか
らなる光電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、2つ以上の金属原子に、金属原子に対して3座
配位できる部位を2個以上有する配位子を配位させ、さ
らに必要に応じて窒素原子で2座または3座配位できる
配位子およびジチオカルバメート基、チオシアネート基
等で配位する1座または2座の配位子を配位させてなる
金属錯体色素は、長波長域にも優れた光吸収能を有する
こと、ならびにかかる金属錯体色素により増感した半導
体微粒子は光電変換素子として好適な高い光電変換効率
を示し良好な光電池となることを発見し、本発明に想到
した。
【0007】すなわち、本発明の光電変換素子は、下記
一般式(I): (LL1)m1(X1)m2M1(BL)M2(LL2)m3(X2)m4・CI ・・・(I) (ただし、M1およびM2はそれぞれ独立に金属原子を表
し、BLは前記金属原子に対して3座配位できる部位を2
個以上有する配位子を表し、LL1およびLL2はそれぞれ独
立に下記一般式(II):
【化7】 (ただし、Za、ZbおよびZcはそれぞれ独立に5または6
員環を形成しうる非金属原子群を表し、cは0または1
を表す。)により表される2座または3座の配位子を表
し、X1およびX2はそれぞれ独立にアシルオキシ基、アシ
ルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、ア
シルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカル
バメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート
基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネー
ト基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシア
ネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群か
ら選ばれた基で配位する1座または2座の配位子、ある
いはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,
3-ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまた
はチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表し、m1
およびm3はそれぞれ独立に0または1であり、m2および
m4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、m2またはm4が
2以上のとき、X1またはX2はそれぞれ同じでも異なって
いてもよく、またX1同士またはX2同士が連結していても
よく、CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合
の対イオンを表す。)により表される金属錯体色素によ
り増感された半導体微粒子を含むことを特徴とする。
【0008】また本発明の光電池は、上記光電変換素子
を用いることを特徴とする。
【0009】本発明はまた下記条件を満たすことによ
り、長波長域において一層優れた光吸収能を有する金属
錯体色素により増感した半導体微粒子を含む光電変換素
子および光電池が得られる。
【0010】(1)一般式(I)中のM1およびM2はそれぞ
れ独立に4配位または6配位が可能な金属であるのが好
ましく、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、C
o、Ir、Rh、Re、MnまたはZnであるのがより好ましい。
【0011】(2)一般式(I)中のM1およびM2はそれぞ
れ独立にRu、Fe、OsまたはCuであるのが特に好ましい。
【0012】(3)一般式(I)中のM1およびM2はRuであ
るのが最も好ましい。
【0013】(4)一般式(I)中のBLは下記一般式(III
-1)〜(III-4):
【化8】 (ただし、R1〜R4はそれぞれ独立にカルボキシル基、ス
ルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホス
ホリル基またはホスホニル基を表し、R5〜R8はそれぞれ
独立に置換基を表し、R1〜R8は芳香環上のどの位置に結
合していてもよく、a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整
数を表し、a5〜a8はそれぞれ独立に0〜10の整数を表
し、a1〜a4が2以上のときR1〜R4はそれぞれ同じでも異
なっていてもよく、a5〜a8が2以上のときR5〜R8はそれ
ぞれ同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形
成していてもよく、Lは連結基を表す。)のいずれかに
より表されるのが好ましい。
【0014】(5)一般式(III-1)〜(III-4)中のR1〜R4
はそれぞれ独立にカルボキシル基またはホスホニル基で
あるのが好ましい。
【0015】(6)一般式(III-1)〜(III-4)中のR5〜R8
はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロア
ルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アミノ基、ア
シル基、スルホンアミド基、シアノ基、ヒドロキシル基
またはハロゲン原子であるのが好ましい。
【0016】(7)一般式(III-1)〜(III-4)中のa1〜a4
は1〜4の整数であるのが好ましい。
【0017】(8)一般式(I)中のBLは一般式(III-3)
により表されるのがより好ましく、その際一般式(III-
3)中のLは単なる結合手、−O−、−S−、アルケニレン
基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロリレン
基であるのが好ましい。
【0018】(9)一般式(II)中のZa、ZbおよびZcによ
って形成される5または6員環はそれぞれ独立にピリジ
ン環またはイミダゾール環であるのが好ましい。なお、
これらの環は単環でも縮環していてもよい。
【0019】(10)一般式(I)中のLL1およびLL2はそれ
ぞれ独立に下記一般式(IV-1)〜(IV-8):
【化9】 (ただし、R11〜R18はそれぞれ独立にカルボキシル基、
スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
スホリル基またはホスホニル基を表し、R19〜R26はそれ
ぞれ独立に置換基を表し、R27〜R31はそれぞれ独立に水
素、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表
し、R11〜R26は環上のどの位置に結合していてもよく、
b1〜b8、b13、b14およびb16はそれぞれ独立に0〜4の
整数を表し、b9〜b12およびb15はそれぞれ独立に0〜6
の整数を表し、b1〜b8が2以上のときR 11〜R18はそれぞ
れ同じでも異なっていてもよく、b9〜b16が2以上のと
きR19〜R 26はそれぞれ同じでも異なっていてもよく互い
に連結して環を形成していてもよい。)のいずれかによ
り表されるのが好ましい。
【0020】(11)一般式(IV-1)〜(IV-8)中のR11〜R18
はそれぞれ独立にカルボキシル基またはホスホニル基で
あるのが好ましい。
【0021】(12)一般式(IV-1)〜(IV-8)中のR19〜R26
はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロア
ルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アミノ基、ア
シル基、スルホンアミド基、シアノ基、ヒドロキシル基
またはハロゲン原子であるのが好ましい。
【0022】(13)LL2は一般式(IV-1)〜(IV-6)のいず
れかにより表されるのがより好ましい。
【0023】(14)一般式(I)中のm1およびm3は0であ
るのが好ましい。
【0024】(15)一般式(I)中のm1およびm3は0であ
り、かつm2およびm4は2であるのが好ましい。
【0025】(16)一般式(I)中のm1およびm3は0であ
り、かつm2およびm4は3であるのが好ましい。
【0026】(17)一般式(I)中のm1およびm3は1であ
り、かつm2およびm4は1であるのが好ましい。
【0027】(18)金属錯体色素はカルボキシル基、ス
ルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホス
ホリル基およびホスホニル基からなる群から選ばれた少
なくとも1個の酸性基を有するのが好ましい。
【0028】(19)半導体微粒子は酸化チタン微粒子で
あるのが好ましい。
【0029】本発明の好ましい実施例による金属錯体色
素においては、一般式(I)中のM1およびM2はRuであり、
BLは上記一般式(III-1)〜(III-4)のいずれかにより表さ
れる3座配位できる部位を2個以上有する配位子であ
り、LL1およびLL2はそれぞれ独立に上記一般式(IV-1)〜
(IV-8)のいずれかにより表される2座または3座の配位
子であり、X1およびX2はそれぞれ独立にアシルオキシ
基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチ
オ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジ
チオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカル
ボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオ
シアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、
イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からな
る群から選ばれた基で配位する1座または2座の配位
子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケ
トン、1,3-ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンア
ミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子で
あり、m1およびm3はそれぞれ独立に0または1であり、
m2およびm4はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、m2ま
たはm4が2以上のとき、X1またはX2はそれぞれ同じでも
異なっていてもよく、またX1同士またはX2同士が連結し
ていてもよく、CIは電荷を中和させるのに対イオンが必
要な場合の対イオンである。
【0030】
【発明の実施の形態】〔1〕金属錯体色素 本発明の光電変換素子に使用する金属錯体色素は、下記
一般式(I): (LL1)m1(X1)m2M1(BL)M2(LL2)m3(X2)m4・CI ・・・(I) により表される。以下各構成成分について詳述する。
【0031】(A)金属原子M1、M2 M1およびM2はそれぞれ独立に金属原子を表し、M1とM2
同じでも異なっていてもよい。M1およびM2はそれぞれ独
立に好ましくは4配位または6配位が可能な金属であ
り、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、P
d、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnまたはZnであり、特に好ま
しくはRu、Fe、OsまたはCuであり、最も好ましくはRuで
ある。
【0032】(B)配位子BL 一般式(I)中、BLは金属原子に対して3座配位できる部
位を2個以上有する配位子を表し、3座配位できる部位
を2個有するのが好ましい。配位子BLが3座配位できる
部位を3個以上有する場合、上記一般式(I)により表さ
れる金属錯体色素はM1およびM2以外に金属原子を有して
いてもよく、さらにそれに伴う配位子を有していてもよ
い。3座配位する部位において金属原子に配位する原子
は窒素原子、炭素原子、酸素原子および/または硫黄原
子であるのが好ましく、窒素原子および/または炭素原
子であるのがより好ましく、窒素原子であるのが最も好
ましい。
【0033】BLは好ましくは下記一般式(III-1)〜(III-
4):
【化10】 のいずれかにより表される。
【0034】一般式(III-1)〜(III-4)中、R1〜R4はそれ
ぞれ独立にカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシ
ル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜2
0、例えば−CONHOH、−CONCH3OH等)、ホスホリル基
(例えば−OP(O)(OH)2等)およびホスホニル基(例えば
−P(O)(OH)2等)のいずれかを表し、好ましくはカルボ
キシル基、ホスホニル基またはホスホリル基であり、よ
り好ましくはカルボキシル基またはホスホニル基であ
り、最も好ましくはカルボキシル基である。
【0035】一般式(III-1)〜(III-4)中、R5〜R8はそれ
ぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基(好ま
しくは炭素原子数1〜20、例えばメチル基、エチル基、
イソプロピル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘプチル
基、1-エチルペンチル基、ベンジル基、2-エトキシエチ
ル基、1-カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ま
しくは炭素原子数2〜20、例えばビニル基、アリル基、
オレイル基等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原
子数3〜20、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基
等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26、例え
ばフェニル基、1-ナフチル基、4-メトキシフェニル基、
2-クロロフェニル基、3-メチルフェニル基等)、ヘテロ
環基(好ましくは炭素原子数2〜20、例えば4-ピリジル
基、1-イミダゾリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、2-チ
アゾリル基、2-オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好
ましくは炭素原子数1〜20、例えばメトキシ基、イソプ
ロピルオキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭
素原子数6〜26、例えばフェノキシ基、1-ナフチルオキ
シ基、3-メチルフェノキシ基、4-メトキシフェノキシ基
等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、
例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、ア
ルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、
例えばエトキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシ
カルボニル基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原
子数1〜20、例えばN,N-ジメチルカルバモイル基、N-フ
ェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましく
は炭素原子数1〜20、例えばアセチルアミノ基、ベンゾ
イルアミノ基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0
〜20、例えばアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、アニリ
ノ基等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、例
えばアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホンアミド基
(好ましくは炭素原子数0〜20、例えばN,N-ジメチルス
ルホンアミド基、N-フェニルスルホンアミド基等)、シ
アノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子(例えばフ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であ
り、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリー
ル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、アミノ基またはハロゲン原子であり、特に好まし
くはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコ
キシカルボニル基またはアミノ基である。なお、配位子
BLがアルキル基、アルケニル基等を含むとき、それらは
直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換で
もよい。また、配位子BLがアリール基、ヘテロ環基等を
含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されて
いても無置換でもよい。
【0036】一般式(III-1)〜(III-4)中、a1〜a4はそれ
ぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは1〜4の整
数を表す。a5〜a8はそれぞれ独立に0〜10の整数を表
し、好ましくは0〜4の整数を表す。
【0037】R1〜R8は芳香環上のどの位置に結合してい
てもよく、a1〜a4が2以上のときR1〜R4はそれぞれ同じ
でも異なっていてもよく、a5〜a8が2以上のときR5〜R8
はそれぞれ同じでも異なっていてもよく互いに連結して
環を形成していてもよい。
【0038】配位子BLは上記一般式(III-3)により表さ
れるのがより好ましい。一般式(III-3)中のLは連結基を
表し、好ましくは−O−、−S−、アリーレン基(好まし
くは炭素原子数6〜26、例えば1,4-フェニレン基、1,3-
フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,4-ビフェニレン
基、2,3-ジメトキシ-1,4-フェニレン基等)、ヘテロリ
レン基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えば2,5-ピリ
ジレン基、1,3-イミダゾレン基、2,5-チエニレン基
等)、アルケニレン基(好ましくは炭素原子数2〜20、
例えばエテニレン基、1,4-ブタ-1,3-ジエニレン基等)
またはアルキニレン基(好ましくは炭素原子数2〜20、
例えばエチニレン基、1,4-ブタ-1,3-ジイニレン基等)
であり、より好ましくは−O−、アリーレン基、2,5-チ
エニレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であ
り、特に好ましくは2,5-チエニレン基、エテニレン基、
1,4-ブタ-1,3-ジエニレン基、エチニレン基または1,4-
ブタ-1,3-ジイニレン基である。
【0039】本発明の一般式(I)中のBLの具体例を以下
に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】(C)配位子LL1、LL2 一般式(I)中、LL1およびLL2はそれぞれ独立に2座また
は3座の配位子を表す。LL1およびLL2の数を表すm1およ
びm3はそれぞれ独立に0または1である。
【0049】配位子LL1およびLL2は下記一般式(II):
【化19】 により表される。
【0050】一般式(II)中、Za、ZbおよびZcはそれぞれ
独立に5または6員環を形成しうる非金属原子群を表
し、形成される5または6員環は置換されていても無置
換でもよく、単環でも縮環していてもよい。Za、Zbおよ
びZcは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄
原子、リン原子および/またはハロゲン原子で構成され
ることが好ましく、芳香族環を形成するのが好ましい。
5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チア
ゾール環またはトリアゾール環を形成するのが好まし
く、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダ
ジン環またはピラジン環を形成するのが好ましい。なか
でもイミダゾール環またはピリジン環がより好ましい。
一般式(II)中のcは0または1であり、0であるのが好
ましい。
【0051】配位子LL1およびLL2はそれぞれ独立に下記
一般式(IV-1)〜(IV-8):
【化20】 のいずれかにより表されるのが好ましい。
【0052】一般式(IV-1)〜(IV-8)中、R11〜R18はそれ
ぞれ独立にカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシ
ル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜2
0、例えば−CONHOH、−CONCH3OH等)、ホスホリル基
(例えば−OP(O)(OH)2等)およびホスホニル基(例えば
−P(O)(OH)2等)のいずれかを表し、好ましくはカルボ
キシル基、ホスホリル基またはホスホニル基であり、よ
り好ましくはカルボキシル基またはホスホニル基であ
り、最も好ましくはカルボキシル基である。
【0053】一般式(IV-1)〜(IV-8)中、R19〜R26はそれ
ぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル
アミノ基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、シ
アノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子(以上、好
ましい例はR5〜R8の場合と同じ)であり、より好ましく
はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環
基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基
またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基またはアミノ基である。なお、配位子LL1およびLL2
がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、それらは直
鎖状でも分岐状でもよく置換されていても無置換でもよ
い。また、配位子LL1およびLL2がアリール基、ヘテロ環
基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく置換さ
れていても無置換でもよい。
【0054】一般式(IV-1)〜(IV-8)中、R27〜R31はそれ
ぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基(以
上、好ましい例はR5〜R8の場合と同じ)または水素を表
し、アルキル基、またはカルボキシル基が置換したアル
キル基が好ましい。
【0055】一般式(IV-1)〜(IV-8)中、b1〜b8、b13、b
14およびb16はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b9
〜b12およびb15はそれぞれ独立に0〜6の整数を表す。
b1〜b16は好ましくはそれぞれ独立に0〜2の整数を表
す。
【0056】一般式(IV-1)〜(IV-8)中、R11〜R26は環上
のどの位置に結合していてもよく、b1〜b8が2以上のと
きR11〜R18はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、b9
〜b16が2以上のときR19〜R26はそれぞれ同じでも異な
っていてもよく互いに連結して環を形成していてもよ
い。特にb9、b10、b11が2以上のときはR19、R20、R21
がそれぞれアルキル基またはアルケニル基であり、かつ
互いに連結して環を形成するのが好ましい。
【0057】配位子LL1およびLL2は一般式(IV-1)〜(IV-
6)のいずれかにより表されるのがより好ましく、一般式
(IV-1)〜(IV-4)のいずれか、または(IV-6)により表され
るのが特に好ましく、一般式(IV-1)または(IV-2)により
表されるのが最も好ましい。
【0058】本発明の一般式(I)中のLL1およびLL2の具
体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
【化34】
【0073】
【化35】
【0074】
【化36】
【0075】
【化37】
【0076】(D)配位子X1およびX2 一般式(I)中、X1およびX2はそれぞれ独立に1座または
2座の配位子を表し、配位子X1およびX2の数を表すm2お
よびm4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、m2または
m4が2以上のとき、X1またはX2はそれぞれ同じでも異な
っていてもよく、またX1同士またはX2同士が連結してい
てもよい。
【0077】配位子X1およびX2は、それぞれ独立にアシ
ルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセ
チルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、サリチル酸基、グ
リシルオキシ基、N,N-ジメチルグリシルオキシ基、オキ
ザリレン基(−OC(O)C(O)O−)等)、アシルチオ基(好
ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチルチオ基、ベ
ンゾイルチオ基等)、チオアシルオキシ基(好ましくは
炭素原子数1〜20、例えばチオアセチルオキシ基(CH3C
(S)O−)等)、チオアシルチオ基(好ましくは炭素原子
数1〜20、例えばチオアセチルチオ基(CH3C(S)S−)、
チオベンゾイルチオ基(PhC(S)S−)等)、アシルアミ
ノオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばN-メ
チルベンゾイルアミノオキシ基(PhC(O)N(CH3)O−)、
アセチルアミノオキシ基(CH3C(O)NHO−)等)、チオカ
ルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばN,
N-ジエチルチオカルバメート基等)、ジチオカルバメー
ト基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばN-フェニル
ジチオカルバメート基、N,N-ジメチルジチオカルバメー
ト基、N,N-ジエチルジチオカルバメート基、N,N-ジベン
ジルジチオカルバメート基等)、チオカルボネート基
(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばエチルチオカル
ボネート基等)、ジチオカルボネート基(好ましくは炭
素原子数1〜20、例えばエチルジチオカルボネート基
(C2H5OC(S)S−)等)、トリチオカルボネート基(好ま
しくは炭素原子数1〜20、例えばエチルトリチオカルボ
ネート基(C2H5SC(S)S−)等)、アシル基(好ましくは
炭素原子数1〜20、例えばアセチル基、ベンゾイル基
等)、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シア
ネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ
基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばメタンチオ
基、エチレンジチオ基等)、アリールチオ基(好ましく
は炭素原子数6〜20、例えばベンゼンチオ基、1,2-フェ
ニレンジチオ基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原
子数1〜20、例えばメトキシ基等)およびアリールオキ
シ基(好ましくは炭素原子数6〜20、例えばフェノキシ
基等)からなる群から選ばれた基または原子で配位する
1座または2座の配位子、あるいはハロゲン原子(好ま
しくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボニ
ル(…CO)、ジアルキルケトン(好ましくは炭素原子数
3〜20、例えばアセトン((CH3)2CO…)等) 1,3-ジケトン(好ましくは炭素原子数3〜20、例えばア
セチルアセトン(CH3C(O…)CH=C(O−)CH3)、トリフル
オロアセチルアセトン(CF3C(O…)CH=C(O−)CH3)、ジ
ピバロイルメタン(tC4H9C(O…)CH=C(O−)tC4H9)、ジ
ベンゾイルメタン(PhC(O…)CH=C(O−)Ph)、3-クロロ
アセチルアセトン(CH3C(O…)CCl=C(O−)CH3)等)、
カルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20、例えば
CH3N=C(CH3)O−、−OC(=NH)−C(=NH)O−等)、チオカル
ボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばCH3N
=C(CH3)S−等)またはチオ尿素(好ましくは炭素原子数
1〜20、例えば…NH=C(NH2)S−、…N(CH3)=C(NHCH3)S
−、(CH3)2N−C(S…)N(CH3)2等)からなる1座または2
座の配位子を表す。なお上記「…」は配位結合を表す。
【0078】配位子X1およびX2はそれぞれ独立に、好ま
しくはアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミ
ノオキシ基、ジチオカルバメート基、ジチオカルボネー
ト基、トリチオカルボネート基、チオシアネート基、イ
ソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート
基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アル
コキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれ
た基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボ
ニル、1,3-ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子であ
り、より好ましくはアシルオキシ基、アシルアミノオキ
シ基、ジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソ
チオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、
シアノ基およびアリールチオ基からなる群から選ばれた
基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、1,3-ジケ
トンまたはチオ尿素からなる配位子であり、特に好まし
くはジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチ
オシアネート基、シアネート基およびイソシアネート基
からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは
ハロゲン原子または1,3-ジケトンからなる配位子であ
り、最も好ましくはジチオカルバメート基、チオシアネ
ート基およびイソチオシアネート基からなる群から選ば
れた基で配位する配位子、あるいは1,3-ジケトンからな
る配位子である。なお配位子X1およびX2がアルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場
合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく置換されていて
も無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シク
ロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても
無置換でもよく単環でも縮環していてもよい。
【0079】X1およびX2が2座配位子のとき、X1および
X2はそれぞれ独立にアシルオキシ基、アシルチオ基、チ
オアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオ
キシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、
チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオ
カルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる
群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3-ジケ
トン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ
尿素からなる配位子であるのが好ましい。X1およびX2
1座配位子のとき、X1およびX2はそれぞれ独立にアシル
オキシ基、アシルチオ基、アシルアミノオキシ基、ジチ
オカルバメート基、アシル基、チオシアネート基、イソ
チオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、
シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキ
シ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基
で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニ
ル、ジアルキルケトン、1,3-ジケトンまたはチオ尿素か
らなる配位子であるのが好ましい。
【0080】以下に本発明の配位子Xの具体例を示す
が、本発明はこれに限定されるものではない。なおここ
に示す構造式は幾つも取りうる共鳴構造のうちの1つの
極限構造にすぎず、共有結合(「−」で表す)と配位結
合(「…」で表す)の区別も形式的なもので、絶対的な
区別を表すものではない。
【0081】
【化38】
【0082】
【化39】
【0083】
【化40】
【0084】
【化41】
【0085】
【化42】
【0086】
【化43】
【0087】一般式(I)中、M1、M2がCu、Ni、Pd、Pt
等、4配位を好む金属原子の場合はm1、m3は0でありm
2、m4は1であるのが好ましい。その際、X1、X2は1座
配位子であるのが好ましい。M1、M2が6配位を好む金属
原子の場合は、m1、m3が1のときはm2、m4は1、かつ
X1、X2は1座配位子であるのが好ましく、m1、m3が0の
ときはm2、m4は2または3であるのが好ましい。
【0088】(E)対イオンCI 一般式(I)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必
要な場合の対イオンを表す。色素が陽イオンまたは陰イ
オンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかど
うかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存す
る。置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を
持ってもよく、この場合にも分子全体の電荷はCIにより
中和される。
【0089】典型的な正の対イオンは無機または有機の
アンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウ
ムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオ
ンおよびプロトンである。一方、負の対イオンは無機ま
たは有機の陰イオンのいずれでもよく、例えばハロゲン
陰イオン、(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭
化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホ
ン酸イオン(例えばp-トルエンスルホン酸イオン、p-ク
ロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホ
ン酸イオン(例えば1,3-ベンゼンジスルホン酸イオン、
1,5-ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6-ナフタレンジ
スルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメ
チル硫酸イオン等)、硫酸イオン、硝酸イオン、チオシ
アン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸
イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン
酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸
イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとし
て、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他
の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えばビスベ
ンゼン-1,2-ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能
である。
【0090】(F)結合基 一般式(I)により表される色素は半導体微粒子の表面に
対する適当な結合基(interlocking group)を少なくと
も1つ有するのが好ましく、複数有することがより好ま
しい。好ましい結合基は、カルボキシル基、スルホン酸
基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(例えば−CONH
OH等)、ホスホリル基(例えば−OP(O)(OH)2等)、ホス
ホニル基(例えば−P(O)(OH)2等)等の酸性基(解離性
のプロトンを有する置換基)である。
【0091】上記酸性基は、一般式(I)中のBL、LL1
および/またはLL2に含まれるのが好ましく、少なくと
もBLに含まれるのがより好ましい。
【0092】(G)金属錯体色素の具体例 上記金属錯体色素のうち、特に好ましいものは下記一般
式(V): (LL1)m1(X1)m2Ru(BL)Ru(LL2)m3(X2)m4・CI ・・・(V) (ただし、BLは上記一般式(III-1)〜(III-4)のいずれか
により表される3座配位できる部位を2個以上有する配
位子を表し、LL1およびLL2はそれぞれ独立に上記一般式
(IV-1)〜(IV-8)のいずれかにより表される2座または3
座の配位子を表し、X1およびX2はそれぞれ独立にアシル
オキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオア
シルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート
基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチ
オカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル
基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネ
ート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキ
シ基からなる群から選ばれた基で配位する1座または2
座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジア
ルキルケトン、1,3-ジケトン、カルボンアミド、チオカ
ルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の
配位子を表し、m1およびm3はそれぞれ独立に0または1
であり、m2およびm4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表
し、m2またはm4が2以上のときX1またはX2はそれぞれ同
じでも異なっていてもよく、またX1同士またはX2同士が
連結していてもよく、CIは電荷を中和させるのに対イオ
ンが必要な場合の対イオンを表す。)により表されるル
テニウム錯体色素である。
【0093】本発明の一般式(I)により表される金属錯
体色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0094】
【化44】
【0095】
【化45】
【0096】
【化46】
【0097】
【化47】
【0098】
【化48】
【0099】
【化49】
【0100】
【化50】
【0101】
【化51】
【0102】
【化52】
【0103】
【化53】
【0104】
【化54】
【0105】
【化55】
【0106】
【化56】
【0107】
【化57】
【0108】
【化58】
【0109】
【化59】
【0110】
【化60】
【0111】
【化61】
【0112】
【化62】
【0113】
【化63】
【0114】本発明の一般式(I)で表される金属錯体色
素の合成はChem. Eur. J., 1292 (1996)、Angew. Chem.
Int. Ed. Engl., 34, 1122 (1995)、Inorg. Chim. Act
a.,154, 77 (1988)、Inorg. Chem., 28, 370 (1989)、I
norg. Chem., 32, 194 (1993)、Angew. Chem. Int. Ed.
Engl., 33, 1884 (1994)、J. Organometallic. Chem.,
453, C19 (1993)、Chem. Commun., 869 (1999) 等の文
献もしくはこれらの引用文献を参考にして行うことがで
きる。
【0115】〔2〕光電変換素子 本発明の光電変換素子は、感光層に上記金属錯体色素に
よって増感された半導体微粒子を有するものである。好
ましくは図1に示すように、導電層10、感光層20、電荷
移動層30、対極導電層40の順に積層し、前記感光層20を
本発明の金属錯体色素22によって増感された半導体微粒
子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に充填された電荷
輸送材料23とから構成する。電荷輸送材料23は、電荷移
動層30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換
素子に強度を付与するため、導電層10側および/または
対極導電層40側に、基板50を設けてもよい。以下本発明
では、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を
「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基
板50からなる層を「対極」と呼ぶ。この光電変換素子を
外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものが光電
池である。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、基
板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40a、
透明基板50aであってもよい。
【0116】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、金属錯体色素22により増感された半導体微粒子21を
含む感光層20に入射した光は色素22等を励起し、励起さ
れた色素22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21
の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電層10に到達す
る。このとき色素22等の分子は酸化体となっている。光
電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事を
しながら対極導電層40および電荷移動層30を経て色素22
等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極
として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感
光層20との境界、感光層20と電荷移動層30との境界、電
荷移動層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構
成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層
について詳細に説明する。
【0117】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導
電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に
保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必
要でない。
【0118】(1)の場合、導電層として金属のように
十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0119】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む、
導電層を有する基板を使用することができる。好ましい
導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミ
ニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電
性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズ
にフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。導電層の
厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0120】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに
好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特
に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0121】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が
特に好ましい。
【0122】透明導電性支持体としては、ガラスまたは
プラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物か
らなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したも
のが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化
スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガ
ラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ま
しい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子また
は太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層
を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルム
の材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、シンジオクタチックポリスチレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフ
ォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化
フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、
導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチック
の支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0123】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リ
ードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、そ
の上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜から
なる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層
を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設
置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の
低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%と
する。
【0124】(B)感光層 本発明の金属錯体色素により増感された半導体微粒子を
含む感光層において、半導体微粒子はいわゆる感光体と
して作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔
を生ずる。色素増感された半導体微粒子では、光吸収お
よびこれによる電子および正孔の発生は主として色素に
おいて起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝
達する役割を担う。
【0125】(1)半導体微粒子 半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのよう
な単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲ
ニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、または
ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。
【0126】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブまたはタン
タルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン
またはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン
化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化
合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カド
ミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジ
ウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げら
れる。
【0127】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuIn
S2、CuInSe2等であり、さらに好ましくはTiO2、ZnO、Sn
O2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、
CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくは、TiO2
たはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0128】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、
製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム
等の観点からは多結晶が好ましい。
【0129】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好
ましい。
【0130】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混
合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm
以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率
を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度
の半導体粒子を混合してもよい。
【0131】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法が好ましい。また
Degussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分
解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0132】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さ
らにゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ
・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻, 第
12号, 3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーン
サイドらのケミカル・マテリアルズ,第10巻, 第9号,
2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0133】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体
微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に
塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用する
こともできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液
の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式
の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法として
は、塗布法、印刷法が代表的である。
【0134】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは
半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそ
のまま使用する方法等が挙げられる。
【0135】分散媒としては、水または各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢
酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポ
リマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助
剤として用いてもよい。
【0136】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法、メータリング系としてエア
ーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメ
ータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58-4
589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許26812
94号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホ
ッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ま
しい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好まし
い。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグ
ラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリー
ン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェッ
ト厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0137】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例え
ば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャス
ト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液
(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にする
ことが可能である。なおある程度の塗布量があれば低粘
度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能
である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗
布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよ
い。
【0138】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。多層塗布には、エクストルージョン法またはス
ライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場
合は同時に多層を塗布してもよく、数回から十数回順次
重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスク
リーン印刷法も好ましく使用できる。
【0139】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色
素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。光電池に用いる場合、半導体微粒
子層の厚さは1〜30μmがであるのが好ましく、2〜25
μmであるのがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m
2当たり塗布量は0.5〜400gが好ましく、5〜100gがより
好ましい。
【0140】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以
上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度
である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い
支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くた
め、好ましくない。またコストの観点からもできる限り
低温であるのが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以
下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱
処理等により可能となる。
【0141】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大さ
せたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導
体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化
チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液
を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0142】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面
積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、
さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に
制限はないが、通常1000倍程度である。
【0143】(3)半導体微粒子への金属錯体色素の吸
着 半導体微粒子に金属錯体色素を吸着させるには、金属錯
体色素の溶液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する
導電性支持体を浸漬するか、金属錯体色素の溶液を半導
体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者
の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ
法等が使用可能である。なお浸漬法の場合、金属錯体色
素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に
記載されているように加熱還流して行ってもよい。また
後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホ
ッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン
法、スプレー法等があり、印刷方法としては、凸版、オ
フセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。溶媒
は、金属錯体色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例
えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタ
ノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセト
ニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニト
リル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロ
ロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベン
ゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-
ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、
N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、
3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、
酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸
エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、
2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサ
ン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)、水やこれ
らの混合溶媒等が挙げられる。
【0144】金属錯体色素の溶液の粘度についても、半
導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01
〜500Poise)ではエクストルージョン法の他に各種印刷
法が適当であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)
ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン
法が適当であり、いずれも均一な膜にすることが可能で
ある。
【0145】このように金属錯体色素の塗布液の粘度、
塗布量、導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素
の吸着方法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要す
る時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよ
い。
【0146】未吸着の金属錯体色素の存在は素子性能の
外乱になるため、吸着後速やかに洗浄により除去するの
が好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極
性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行
うのが好ましい。また色素の吸着量を増大させるため、
吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半
導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に
戻さずに40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好
ましい。
【0147】金属錯体色素の全使用量は、導電性支持体
の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好まし
い。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体
微粒子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。こ
のような金属錯体色素の吸着量とすることにより、半導
体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色
素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が
多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し、増
感効果を低減させる原因となる。
【0148】光電変換の波長域をできるだけ広くすると
ともに変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合
することもできる。この場合、光源の波長域と強度分布
に合わせるように、混合する色素およびその割合を選ぶ
のが好ましい。具体的には、本発明の金属錯体色素を2
種以上併用したり、本発明の金属錯体色素と従来の金属
錯体色素および/またはポリメチン色素とを併用するこ
とが可能である。
【0149】会合のような金属錯体色素同士の相互作用
を低減する目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸
着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカ
ルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデ
オキシコール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を
併用することもできる。
【0150】余分な金属錯体色素の除去を促進する目的
で、金属錯体色素を吸着した後にアミン類を用いて半導
体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類と
してはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリ
ジン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用
いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0151】(C)電荷移動層 電荷移動層は金属錯体色素の酸化体に電子を補充する機
能を有する層である。電荷移動層に用いることのできる
代表的な材料として、酸化還元対を有機溶媒に溶解した
液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体
をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、
酸化還元対を含有する溶融塩等が挙げられる。さらに固
体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いることもでき
る。
【0152】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒お
よび添加物からなるのが好ましい。電解質としては、
(a)I2とヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属
ヨウ化物、またはテトラアルキルアンモニウムヨーダイ
ド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイ
ド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩等)との組み
合わせ、(b)Br2と臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、C
aBr2等の金属臭化物、またはテトラアルキルアンモニウ
ムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモ
ニウム化合物の臭素塩等)との組み合わせ、(c)フェ
ロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリ
シニウムイオン等の金属錯体、(d)ポリ硫化ナトリウ
ム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の硫黄
化合物、(e)ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン
等を用いることができる。なかでも、I2とLiIやピリジ
ニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級
アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせた電解質
が好ましい。上記電解質は混合して用いてもよい。また
電解質はEP718288、WO95/18456、J. Electrochem. So
c., Vol.143, No.10, 3099 (1996)、Inorg. Chem., 35,
1168〜1178 (1996) 等に記載された室温で溶融状態の
塩(溶融塩)を使用することもできる。溶融塩を電解質
として使用する場合、溶媒は使用しなくても構わない。
【0153】好ましい電解質濃度は0.1〜15Mであり、さ
らに好ましくは0.2〜10Mである。また電解質にヨウ素を
添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01〜0.5M
である。
【0154】電解質用溶媒としては、低粘度でイオン移
動度が高いか、高誘電率で有効キャリアー濃度を高める
か、あるいはその両方であるために、優れたイオン伝導
性を発現できる化合物を使用するのが望ましい。このよ
うな溶媒の例として、例えば下記のものが挙げられる。
【0155】(a)炭酸エステル類 例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエ
チルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が好まし
い。
【0156】(b)ラクトン類 例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カ
プリロラクトン、クロトラクトン、γ-カプロラクト
ン、δ-バレロラクトン等が好ましい。
【0157】(c)エーテル類 例えばエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエト
キシエタン、トリメトキシメタン、エチレングリコール
ジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエ
ーテル、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン等が好まし
い。
【0158】(d)アルコール類 例えばメタノール、エタノール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエ
ーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等
が好ましい。
【0159】(e)グリコール類 例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グ
リセリン等が好ましい。
【0160】(f)グリコールエーテル類 例えばエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピ
レングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジアルキルエーテル等が好ましい。
【0161】(g)テトラヒドロフラン類 例えばテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラ
ン等が好ましい。
【0162】(h)ニトリル類 例えばアセトニトリル、グルタロジニトリル、プロピオ
ニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等
が好ましい。
【0163】(i)カルボン酸エステル類 例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオ
ン酸メチル等が好ましい。
【0164】(j)リン酸トリエステル類 例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が好まし
い。
【0165】(k)複素環化合物類 例えばN-メチルピロリドン、4-メチル-1,3-ジオキサ
ン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、3-メチル-2-オキサゾ
リジノン、1,3-プロパンサルトン、スルホラン等が好ま
しい。
【0166】(l)その他 ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、N,N-ジメチルホ
ルムアミド、ニトロメタン等の非プロトン性有機溶媒、
水等が好ましい。
【0167】これらの中では、炭酸エステル系、ニトリ
ル系、複素環化合物系の溶媒が好ましい。これらの溶媒
は必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
【0168】また本発明では、J. Am. Ceram. Soc., 80
(12), 3157〜3171 (1997) に記載されているようなt-
ブチルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基
性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加
する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。
【0169】電解質はポリマーやオイルゲル化剤の添
加、共存する多官能モノマー類の重合、ポリマーとの架
橋反応等の方法により、ゲル化(固体化)させて使用す
ることもできる。ポリマーの添加によりゲル化させる場
合は、"Polymer Electrolyte Reviews-1,2"(J. R. Mac
CaLLumとC. A. Vincentの共編、ELSEIVER APPLIED SCIE
NCE)に記載された化合物を使用することができるが、
特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを使
用するのが好ましい。オイルゲル化剤の添加によりゲル
化させる場合は、J. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Se
c., 46, 779 (1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542
(1989)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390、A
ngew. Chem. Int. Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem.
Lett., 1996, 885、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 5
45 (1997) 等に記載されている化合物を使用することが
できる。なかでも好ましい化合物は分子構造中にアミド
構造を有する化合物である。
【0170】電解質に共存させた多官能モノマー類の重
合によりゲル電解質を形成する場合、多官能モノマー
類、重合開始剤、電解質および溶媒から溶液を調製し、
キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等の方法により色
素増感半導体微粒子層(感光層20)上に塗布する。図1
に示すように、色素増感半導体微粒子21間の空隙にゾル
状電解質を充填するとともに、感光層20上にゾル状電解
質層を形成し、その後ラジカル重合することによりゲル
化させる方法が好ましい。
【0171】多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を
2個以上有する化合物であるのが好ましく、例えばジビ
ニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリ
エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート等が好ましい。
【0172】ゲル電解質は、上記多官能性モノマー以外
に単官能モノマーを含んでいてもよい。単官能モノマー
としては、アクリル酸またはα-アルキルアクリル酸
(例えばメタクリル酸等)類から誘導されるエステル類
またはアミド類(例えばN-イソプロピルアクリルアミ
ド、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロ
パンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルア
ンモニウムクロライド、メチルアクリレート、ヒドロキ
シエチルアクリレート、N-プロピルアクリレート、N-ブ
チルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート等)、ビニルエステル類(例
えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導
されるエステル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイ
ン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、有機酸塩類(例
えばマレイン酸、フマル酸またはp-スチレンスルホン酸
のナトリウム塩等)、ニトリル類(アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等)、ジエン類(例えばブタジエ
ン、シクロペンタジエン、イソプレン等)、芳香族ビニ
ル化合物類(例えばスチレン、p-クロルスチレン、スチ
レンスルホン酸ナトリウム等)、含窒素複素環を有する
ビニル化合物類、4級アンモニウム塩を有するビニル化
合物類、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホ
ルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナト
リウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライ
ド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエ
ーテル等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、1-
ブテン、イソブテン等)、N-フェニルマレイミド等が好
ましい。モノマー全量に対する多官能性モノマーの割合
は0.5〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは
1.0〜50重量%である。
【0173】上記ゲル電解質用モノマーは、大津隆行・
木下雅悦共著の「高分子合成の実験法」(化学同人)
や、大津隆行著の「講座重合反応論1ラジカル重合
(I)」(化学同人)等に記載された一般的な高分子合
成法であるラジカル重合法により重合することができ
る。ゲル電解質用モノマーのラジカル重合は加熱、光、
紫外線、電子線等により、または電気化学的に行うこと
ができるが、特に加熱によりラジカル重合させるのが好
ましい。
【0174】加熱により架橋高分子を形成する場合、好
ましい重合開始剤は、例えば2,2'-アゾビス(イソブチ
ロニトリル)、2,2'-アゾビス(ジメチルバレロニトリ
ル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネー
ト)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過
酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量
は、モノマー総量に対して0.01〜20重量%であり、さら
に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0175】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成
範囲は0.5〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ま
しくは1.0〜50重量%である。
【0176】ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化
させる場合、架橋性反応基を有するポリマーおよび架橋
剤を併用するのが望ましい。好ましい架橋性反応基は、
含窒素複素環(例えばピリジン環、イミダゾール環、チ
アゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホ
リン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)であり、また
好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な
2官能性以上の試薬(例えばハロゲン化アルキル、ハロ
ゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸
クロライド、イソシアネート等)である。
【0177】電解質の代りに有機および/または無機の
正孔輸送材料を使用することもできる。本発明に好まし
く用いることのできる有機正孔輸送材料としては、以下
のものが挙げられる。
【0178】(a)芳香族アミン類 N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-メトキシフェニル)-(1,
1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(J. Hagen et al., Syn
thetic Metal, 89, 2153〜220 (1997) )、2,2',7,7'-
テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)-9,9'-
スピロビフルオレン(Nature, Vol.395, 8 Oct. 1998,
pp.583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス[4-(ジ-p-ト
リルアミノ)フェニル]シクロヘキサンの3級芳香族アミ
ンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59
-194393号)、4,4'-ビス[(N-1-ナフチル)-N-フェニルア
ミノ]ビフェニルのように、2個以上の3級アミンを含
み、2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に結合した芳香
族アミン(特開平5-234681号)、トリフェニルベンゼン
の誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミ
ン(米国特許第4923774号、特開平4-308688号)、N,N'-
ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフ
ェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許
第4764625号)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-
ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル]-p-キシレン(特
開平3-269084号)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子
全体が立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特
開平4-129271号)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複
数個置換した化合物(特開平4-175395号)、エチレン基
で3級芳香族アミン単位を連結した芳香族ジアミン(特
開平4-264189号)、スチリル構造を有する芳香族ジアミ
ン(特開平4-290851号)、ベンジルフェニル化合物(特
開平4-364153号)、フルオレン基で3級アミンを連結し
たもの(特開平5-25473号)、トリアミン化合物(特開
平5-239455号)、ビス(ジピリジルアミノ)ビフェニル
(特開平5-320634号)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導
体(特開平6-1972号)、フェノキザジン構造を有する芳
香族ジアミン(特開平7-138562号)、ジアミノフェニル
フェナントリジン誘導体(特開平7-252474号)等。
【0179】(b)オリゴチオフェン化合物 α-オクチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オ
クチルチオフェン(Adv. Mater., Vol.9, No.7, 5578
(1997))、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. C
hem. Int. Ed. Engl., 34, No.3, 303-307 (1995))、
2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン
(JACS, Vol.120, No.4, 664〜672 (1998))等。
【0180】(c)導電性高分子 ポリピロール(K. Murakoshi et al., Chem. Lett., 19
97, p.471)、ポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ
(p-フェニレン)およびその誘導体、ポリ(p-フェニレン
ビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニレン
およびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、
ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよび
その誘導体等(それぞれ「Handbook of Organic Conduc
tive Molecules and Polymers」, Vol.1〜4(NALWA
著、WILEY出版)に記載)。
【0181】有機正孔(ホール)輸送材料に、Nature,
Vol.395, 8 Oct. 583〜585 (1998)に記載されているよ
うに、ドーパントレベルをコントロールするためにトリ
ス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモ
ネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添
加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間
電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩
を添加してもよい。
【0182】有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト
法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光
電解重合法等の手法により電極内部に導入することがで
きる。また正孔輸送材料を電解液の替わりに使用すると
きは、短絡防止のためElectorochim. Acta, 40, 643〜6
52 (1995) に記載されているスプレーパイロリシス等の
手法を用いて、二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設
するのが好ましい。
【0183】無機固体化合物を電解質の代わりに使用す
る場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys.,
31, 1492〜1496 (1998))、チオシアン化銅(Thin Sol
id Films, 261, 307〜310 (1995)、J. Appl. Phys., 80
(8), 15 October 1996, 4749〜4754、Chem. Mater., 1
0, 1501〜1509, (1998)、SemiCond. Sci. Technol., 1
0, 1689〜1693)等を、キャスト法、塗布法、スピンコ
ート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内部
に導入することができる。
【0184】電荷移動層を形成するには以下の2通りの
方法を利用できる。1つは、色素増感した半導体微粒子
層の上にスペーサーを介して対極を貼り合わせておき、
両者の開放端を電解質溶液に浸漬することにより、半導
体微粒子層内および半導体微粒子層と対極との空隙に電
解質溶液を浸透させる方法である。もう1つは、半導体
微粒子層に電解質溶液を塗布することにより、半導体微
粒子層内に電解質溶液を浸透させるとともに、半導体微
粒子層上に電荷移動層を形成し、最後に対極を設ける方
法である。
【0185】前者の場合、半導体微粒子層と対極との空
隙に電解質溶液を浸透させる方法として、毛管現象を利
用する常圧法と、半導体微粒子層と対極との上部開放端
(電解質溶液に浸漬していない方の開放端)から吸い上
げる減圧法がある。
【0186】後者の場合、湿式の電荷移動層のときには
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
を施す。またゲル電解質の場合には、湿式で塗布して重
合等の方法により固体化した後に対極を設けてもよい
し、対極を設けた後に固体化してもよい。電解液の他に
湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質の層を形成する方法
としては、半導体微粒子層の形成や色素吸着の場合と同
様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ
法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種
印刷法等を利用できる。固体電解質や固体の正孔(ホー
ル)輸送材料の場合には、真空蒸着法やCVD法等のドラ
イ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極を設けて
もよい。
【0187】固体化できない電解液や湿式の正孔輸送材
料の場合には塗布後速やかにエッジ部分を封止するのが
好ましく、また固体化可能な正孔輸送材料の場合には湿
式付与により正孔輸送層を膜形成した後、例えば光重合
や熱ラジカル重合等の方法により固体化するのが好まし
い。このように膜付与方式は電解液物性や工程条件によ
り適宜選択すればよい。
【0188】なお、電荷移動層中の水分量は10,000ppm
以下が好ましく、さらに好ましくは2,000ppm以下であ
り、特に好ましくは100ppm以下である。
【0189】(D)対極 対極は、光電変換素子を光電池としたとき、光電池の正
極として作用するものである。対極は前記の導電性支持
体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造
でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていて
もよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属(例
えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、イン
ジウム等)、炭素、導電性金属酸化物(インジウム−ス
ズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)
等が挙げられる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラ
スおよびプラスチックであり、これに上記の導電材を塗
布または蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限
されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金
属製である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下で
あり、さらに好ましくは5nm〜3μmの範囲である。
【0190】導電性支持体と対極のいずれか一方または
両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達する
ためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質
的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、
導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入
射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極としては、金
属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0191】対極支持体を設ける手順としては、(イ)
電荷移動層を形成した後でその上に設ける場合と、
(ロ)色素増感半導体微粒子の層の上にスペーサーを介
して対極を配置した後でその空隙に電解質溶液を充填す
る場合の2通りある。(イ)の場合、電荷移動層上に直
接導電材を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)する
か、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ける。また
(ロ)の場合、色素増感半導体微粒子層の上にスペーサ
ーを介して対極を組み立てて固定し、得られた組立体の
開放端を電解質溶液に浸漬し、毛細管現象または減圧を
利用して色素増感半導体微粒子層と対極との空隙に電解
質溶液を浸透させる。なお、このとき電解質が高分子電
解質の場合等は必要に応じて加熱等により架橋させる。
また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の
場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用い
るのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質およ
び設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は
導電性支持体の場合と同じである。
【0192】(E)その他の層 電極として作用する導電性支持体および対極の一方また
は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても
よい。このような機能性層を多層に形成する場合、同時
多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点
からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法で
は、生産性および塗膜の均一性を考えた場合、スライド
ホッパー法やエクストルージョン法が適している。これ
らの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼
り付け法等を用いることができる。
【0193】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0194】図2は、透明導電層10aと透明対極導電層4
0aとの間に、感光層20と、電荷移動層30とを介在させた
ものであり、両面から光が入射する構造となっている。
図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さ
らに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電
荷移動層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに
支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入
射する構造となっている。図4は、支持基板50上に導電
層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さら
に電荷移動層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に
金属リード11を設けた透明基板50aを、金属リード11側
を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射
する構造である。図5は、2つの透明基板50a上にそれ
ぞれ一部金属リード11を設け、各々透明導電層10aまた
は透明対極導電層40aを設けたものの間に下塗り層60と
感光層20と電荷移動層30とを介在させたものであり、両
面から光が入射する構造である。図6は、透明基板50a
上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層2
0を設け、さらに電荷移動層30および対極導電層40を設
け、この上に支持基板50を配置したものであり導電層側
から光が入射する構造である。図7は、支持基板50上に
導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、
さらに電荷移動層30および透明対極導電層40aを設け、
この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図8は、透明基板50a上に
透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を
設け、さらに電荷移動層30および透明対極導電層40aを
設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両
面から光が入射する構造となっている。図9は、支持基
板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介して感光層20
を設け、さらに固体の電荷移動層30を設け、この上に一
部対極導電層40または金属リード11を有するものであ
り、対極側から光が入射する構造となっている。
【0195】〔3〕光電池 本発明の光電池は、上記光電変換素子を外部回路で仕事
をさせるようにしたものである。電荷移動層がイオン伝
導性電解質の場合は光電気化学電池(photoelectrochemi
cal cell)の1種として特徴づけられる。光電池は構成
物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリ
マーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体
および対極にリードを介して接続される外部回路自体は
公知のものでよい。
【0196】〔4〕色素増感型太陽電池 本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場
合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素
子の構造と同じである。以下、本発明の光電変換素子を
用いた太陽電池のモジュール構造について説明する。
【0197】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太
陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造を
とりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セ
ラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を
充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から
光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の
透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支
持基板側から光を取り込む構造とすることも可能であ
る。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブスト
レートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュー
ル構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられ
る基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明
の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境
により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0198】代表的なスーパーストレートタイプあるい
はサブストレートタイプのモジュールは、片側または両
側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定
間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード
またはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に
集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り
出せる構造となっている。基板とセルの間には、セルの
保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニル
アセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料を
フィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、外
部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う
必要のない場所において使用する場合には、表面保護層
を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充填
樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側
の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲
は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するため
金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板
とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セ
ルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可撓
性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成するこ
ともできる。
【0199】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料
等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを
乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することがで
きる。
【0200】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード
線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバー
を乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することが
できる。
【0201】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュ
ール化した構造の一例を図10に示す。図10は、透明な基
板50aの一方の面上に透明な導電層10aを有し、この上に
さらに色素吸着TiO2を含有した感光層20、固体の電荷移
動層30および金属対極導電層40を設けたセルがモジュー
ル化されており、基板50aの他方の面には反射防止層70
が設けられている構造を表す。このような構造とする場
合、入射光の利用効率を高めるために、感光層20の面積
比率(光の入射面である基板50a側から見たときの面積
比率)を大きくした方が好ましい。
【0202】図10に示した構造のモジュールの場合、基
板上に透明導電層、感光層、電荷移動層、対極等が立体
的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択
エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるい
はパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビ
ング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Sola
r Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手
法等によりパターニングすることで所望のモジュール構
造を得ることができる。
【0203】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。
【0204】封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁
性付与、集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等
の目的に応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、
フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル
樹脂の混合物等、様々な材料が使用可能である。モジュ
ール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および
防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透
明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げ
ることができる。
【0205】封止材料をセル上に固定するときは、材料
の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合
はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液ま
たはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコー
ト、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が
可能である。
【0206】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を
用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上に
セルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層
することができ、生産性が高い。
【0207】発電効率を上げるために、モジュールの光
取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面に反
射防止処理を施してもよい。反射防止処理方法として
は、反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコ
ーティングする方法等がある。
【0208】また、セルの表面をグルービング、テクス
チャリング等の方法で処理することによって、入射した
光の利用効率を高めることが可能である。
【0209】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変
換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光
電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射
率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した
後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下
層にAl-Mg、Al-Ti等の合金層を反射層として設ける方
法、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を
作る方法等がある。
【0210】また、発電効率を上げるためにはセル間接
続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味
で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイ
ヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接
続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤
を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方
法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布す
る方法等もある。
【0211】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体
を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出し
ながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサ
イズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のあ
る素材でシールすることにより電池本体を作製できる。
また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,
p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とす
ることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太
陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもで
きる。
【0212】以上詳述したように、使用目的や使用環境
に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作する
ことができる。
【0213】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0214】実施例1 金属錯体色素D-1の合成 以下、一般式(I)により表される金属錯体色素D-1の
合成方法を示す。
【0215】
【化64】
【0216】1.D-1の合成 J. Am. Chem. Soc., 81, 6415 (1959) 記載の方法によ
り合成した6.77g(10mmol)の化合物1および5.22g(20
mmol)の塩化ルテニウム・3水和物をエタノール(100m
l)に溶解させ、8時間還流した。冷却後結晶をろ別
し、エタノールで洗浄して8.72gの錯体2を得た(収率8
0%)。
【0217】1.09g(1mmol)の錯体2および2.48g(30
mmol)のNaSCNをN,N-ジメチルホルムアミド50mlおよび
水10mlの混合溶媒に溶解させ6時間還流し、トリエチル
アミン20mlを加えさらに6時間還流した。得られた溶液
を冷却後ろ別し、セファデックスカラムLH-20(展開溶
媒:メタノール)にて精製し、金属錯体色素D-1の結晶
0.93gを得た(収率68%)。なお構造はNMRおよびMSスペ
クトルにより確認した。
【0218】2.他の金属錯体色素の合成 上記以外の一般式(I)により表される金属錯体色素も、
各配位子の具体例を適宜組み合わせることにより、上記
合成例と同様に合成することができる。なお各配位子は
市販品を容易に入手可能であるか、またはChem. Eur.
J., 1292 (1996)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34,
1122 (1995)、Inorg. Chim. Acta., 154,77 (1988)、In
org. Chem., 28, 370 (1989)、Inorg. Chem., 32, 194
(1993)等の文献もしくはこれらの引用文献を参考に合成
することができる。また、配位子へのカルボキシル基等
の置換基の導入は一般的な有機合成法により可能であ
る。
【0219】実施例2 二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステン
レス製容器に二酸化チタン(日本アエロジル(株)製、
Degussa P-25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社
製、Triton X-100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ
(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミ
ル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散
処理した。得られた分散液からジルコニアビーズをろ過
により除去した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒
子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社
製のマスターサイザーにて測定した。
【0220】実施例3 色素を吸着したTiO2電極の作製 フッ素をドープした酸化スズ層を有する導電性ガラス
(旭硝子(株)製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに
切断加工したもの、表面抵抗約30Ω/□)の導電面側に
ガラス棒を用いて上記分散液を塗布した(半導体微粒子
の塗布量20g/m2)。その際、導電面側の一部(端から3
mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープ
が両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布
した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾
した。次にこのガラスを電気炉(ヤマト科学(株)製マ
ッフル炉FP-32型)に入れ、450℃にて30分間焼成し、Ti
O2電極を得た。この電極を取り出し冷却した後、本発明
の一般式(I)により表される金属錯体色素、および比較
色素それぞれのメタノール溶液(いずれも3×10-4mol/
l)に15時間浸漬した。色素の染着したTiO2電極を4-t-
ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄
し自然乾燥した。得られた感光層の厚さは10μmであっ
た。
【0221】実施例4 光電池の作製 上述のようにして作製した色素増感TiO2電極基板(20mm
×20mm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合
わせた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して
電解液(3-メトキシプロピオニトリルに電解質として1-
メチル-3-ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩(0.65mol
/l)およびヨウ素(0.05mol/l)を加えたもの)をしみ
こませ、TiO2電極中に導入して光電池を得た。本実施例
により、図1に示すように、導電性ガラスからなる導電
性支持体層(ガラスの透明基板50a上に導電層10aが設層
されたもの)、色素増感TiO2の感光層20、上記電解液か
らなる電荷移動層30、白金からなる対極導電層40および
ガラスの透明基板50aを順に積層しエポキシ系封止剤で
封止された光電池が作製された。
【0222】実施例5 光電変換波長と光電変換効率の測定 得られた光電池の800nmにおける光電変換効率をオプテ
ル社製のIPCE(Incident Photon to Current Conversio
n Efficiency)測定装置によって測定した。各金属錯体
色素を用いた光電池の800nmにおける光電変換効率(IPC
E)を表1にまとめて示す。
【0223】
【表1】
【0224】表1より、比較色素1および2は800nmの
光に対する吸収能を有さないため、これらを用いた光電
池は光電変換能を示さないのに対し、本発明の一般式
(I)により表される金属錯体色素を用いた光電池はいず
れも良好な光電変換効率を示すことがわかる。このよう
に本発明の光電池は、いずれも可視光域のみならず赤外
域においても高い光電変換能を有する。
【0225】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の一般式
(I)により表される金属錯体色素は可視光〜赤外域にわ
たって良好な光吸収能を有するために、かかる金属錯体
色素を吸着した半導体微粒子を含む光電変換素子は、可
視光〜赤外域にわたる広い波長域において高い光電変換
特性を示す。かかる光電変換素子からなる光電池は太陽
電池として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 本発明の金属錯体色素を用いた基板一体型太
陽電池モジュールの構造の一例を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・金属錯体色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷移動層 40・・・対極導電層 40a・・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・・透明基板 60・・・下塗り層 70・・・反射防止層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月26日(2000.5.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【化3】 (ただし、R3はカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロ
キシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基またはホス
ホニル基を表し、R7は置換基を表し、R3およびR7は芳香
環上のどの位置に結合していてもよく、a3は0〜4の整
数を表し、a7は0〜10の整数を表し、a3が2以上のとき
R3は同じでも異なっていてもよく、a7が2以上のときR7
は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成
していてもよく、Lは連結基を表す。)により表され、
かつ前記Lは単なる結合手、−O−、−S−、アルケニレ
ン基、アルキニレン基、アリーレン基または2価の複素
環基であることを特徴とする光電変換素子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】(8)一般式(I)中のBLは一般式(III-3)
により表されるのがより好ましく、その際一般式(III-
3)中のLは単なる結合手、−O−、−S−、アルケニレン
基、アルキニレン基、アリーレン基または2価の複素環
であるのが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】配位子BLは上記一般式(III-3)により表さ
れるのがより好ましい。一般式(III-3)中のLは連結基を
表し、好ましくは−O−、−S−、アリーレン基(好まし
くは炭素原子数6〜26、例えば1,4-フェニレン基、1,3-
フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,4-ビフェニレン
基、2,3-ジメトキシ-1,4-フェニレン基等)、2価の複
素環基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えば2,5-ピリ
ジレン基、1,3-イミダゾレン基、2,5-チエニレン基
等)、アルケニレン基(好ましくは炭素原子数2〜20、
例えばエテニレン基、1,4-ブタ-1,3-ジエニレン基等)
またはアルキニレン基(好ましくは炭素原子数2〜20、
例えばエチニレン基、1,4-ブタ-1,3-ジイニレン基等)
であり、より好ましくは−O−、アリーレン基、2,5-チ
エニレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であ
り、特に好ましくは2,5-チエニレン基、エテニレン基、
1,4-ブタ-1,3-ジエニレン基、エチニレン基または1,4-
ブタ-1,3-ジイニレン基である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): (LL1)m1(X1)m2M1(BL)M2(LL2)m3(X2)m4・CI ・・・(I) (ただし、M1およびM2はそれぞれ独立に金属原子を表
    し、 BLは前記金属原子に対して3座配位できる部位を2個以
    上有する配位子を表し、 LL1およびLL2はそれぞれ独立に下記一般式(II): 【化1】 (ただし、Za、ZbおよびZcはそれぞれ独立に5または6
    員環を形成しうる非金属原子群を表し、cは0または1
    を表す。)により表される2座または3座の配位子を表
    し、 X1およびX2はそれぞれ独立にアシルオキシ基、アシルチ
    オ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシル
    アミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメ
    ート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、
    トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート
    基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネ
    ート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
    アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選
    ばれた基で配位する1座または2座の配位子、あるいは
    ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3-ジ
    ケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチ
    オ尿素からなる1座または2座の配位子を表し、 m1およびm3はそれぞれ独立に0または1であり、 m2およびm4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、m2ま
    たはm4が2以上のとき、X1またはX2はそれぞれ同じでも
    異なっていてもよく、またX1同士またはX2同士が連結し
    ていてもよく、 CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イ
    オンを表す。)により表される金属錯体色素により増感
    された半導体微粒子を含むことを特徴とする光電変換素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光電変換素子におい
    て、一般式(I)中のM1およびM2がそれぞれ独立にRu、F
    e、OsまたはCuであることを特徴とする光電変換素子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光電変換素子におい
    て、一般式(I)中のM1およびM2がRuであることを特徴と
    する光電変換素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光電変
    換素子において、一般式(I)中のBLが下記一般式(III-
    1)〜(III-4): 【化2】 (ただし、R1〜R4はそれぞれ独立にカルボキシル基、ス
    ルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホス
    ホリル基またはホスホニル基を表し、R5〜R8はそれぞれ
    独立に置換基を表し、R1〜R8は芳香環上のどの位置に結
    合していてもよく、a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整
    数を表し、a5〜a8はそれぞれ独立に0〜10の整数を表
    し、a1〜a4が2以上のときR1〜R4はそれぞれ同じでも異
    なっていてもよく、a5〜a8が2以上のときR5〜R8はそれ
    ぞれ同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形
    成していてもよく、Lは連結基を表す。)のいずれかに
    より表されることを特徴とする光電変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変
    換素子において、一般式(I)中のBLが下記一般式(III-
    3): 【化3】 (ただし、R3はカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロ
    キシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基またはホス
    ホニル基を表し、R7は置換基を表し、R3およびR7は芳香
    環上のどの位置に結合していてもよく、a3は0〜4の整
    数を表し、a7は0〜10の整数を表し、a3が2以上のとき
    R3は同じでも異なっていてもよく、a7が2以上のときR7
    は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成
    していてもよく、Lは連結基を表す。)により表され、
    かつ前記Lは単なる結合手、−O−、−S−、アルケニレ
    ン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロリレ
    ン基であることを特徴とする光電変換素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変
    換素子において、一般式(I)中のLL1およびLL2がそれぞ
    れ独立に下記一般式(IV-1)〜(IV-8): 【化4】 (ただし、R11〜R18はそれぞれ独立にカルボキシル基、
    スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
    スホリル基またはホスホニル基を表し、R19〜R26はそれ
    ぞれ独立に置換基を表し、R27〜R31はそれぞれ独立に水
    素、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表
    し、R11〜R26は環上のどの位置に結合していてもよく、
    b1〜b8、b13、b14およびb16はそれぞれ独立に0〜4の
    整数を表し、b9〜b12およびb15はそれぞれ独立に0〜6
    の整数を表し、b1〜b8が2以上のときR 11〜R18はそれぞ
    れ同じでも異なっていてもよく、b9〜b16が2以上のと
    きR19〜R 26はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互
    いに連結して環を形成していてもよい。)のいずれかに
    より表されることを特徴とする光電変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記金属錯体色素がカルボキシル基、
    スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
    スホリル基およびホスホニル基からなる群から選ばれた
    少なくとも1個の酸性基を有することを特徴とする光電
    変換素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子
    であることを特徴とする光電変換素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の光電変
    換素子を用いることを特徴とする光電池。
  10. 【請求項10】 下記一般式(I): (LL1)m1(X1)m2M1(BL)M2(LL2)m3(X2)m4・CI ・・・(I) (ただし、M1およびM2はRuを表し、BLは下記一般式(III
    -1)〜(III-4): 【化5】 (ただし、R1〜R4はそれぞれ独立にカルボキシル基、ス
    ルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホス
    ホリル基またはホスホニル基を表し、R5〜R8はそれぞれ
    独立に置換基を表し、R1〜R8は芳香環上のどの位置に結
    合していてもよく、a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整
    数を表し、a5〜a8はそれぞれ独立に0〜10の整数を表
    し、a1〜a4が2以上のときR1〜R4はそれぞれ同じでも異
    なっていてもよく、a5〜a8が2以上のときR5〜R8はそれ
    ぞれ同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形
    成していてもよく、Lは連結基を表す。)のいずれかに
    より表される3座配位できる部位を2個以上有する配位
    子を表し、LL1およびLL2はそれぞれ独立に下記一般式(I
    V-1)〜(IV-8): 【化6】 (ただし、R11〜R18はそれぞれ独立にカルボキシル基、
    スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
    スホリル基またはホスホニル基を表し、R19〜R26はそれ
    ぞれ独立に置換基を表し、R27〜R31はそれぞれ独立に水
    素、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表
    し、R11〜R26は環上のどの位置に結合していてもよく、
    b1〜b8、b13、b14およびb16はそれぞれ独立に0〜4の
    整数を表し、b9〜b12およびb15はそれぞれ独立に0〜6
    の整数を表し、b1〜b8が2以上のときR 11〜R18はそれぞ
    れ同じでも異なっていてもよく、b9〜b16が2以上のと
    きR19〜R 26はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互
    いに連結して環を形成していてもよい。)のいずれかに
    より表される2座または3座の配位子を表し、X1および
    X2はそれぞれ独立にアシルオキシ基、アシルチオ基、チ
    オアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオ
    キシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、
    チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオ
    カルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチ
    オシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シ
    アノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ
    基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で
    配位する1座または2座の配位子、あるいはハロゲン原
    子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3-ジケトン、カ
    ルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素から
    なる1座または2座の配位子を表し、m1およびm3はそれ
    ぞれ独立に0または1であり、m2およびm4はそれぞれ独
    立に0〜3の整数を表し、m2またはm4が2以上のとき、
    X1またはX2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、ま
    たX1同士またはX2同士が連結していてもよく、CIは電荷
    を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表
    す。)により表されることを特徴とする金属錯体色素。
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