JP2001040122A - プリプレグ及び繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグ及び繊維強化複合材料

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JP2001040122A
JP2001040122A JP2000154487A JP2000154487A JP2001040122A JP 2001040122 A JP2001040122 A JP 2001040122A JP 2000154487 A JP2000154487 A JP 2000154487A JP 2000154487 A JP2000154487 A JP 2000154487A JP 2001040122 A JP2001040122 A JP 2001040122A
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epoxy resin
resin
fiber
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prepreg
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Application number
JP2000154487A
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English (en)
Inventor
Mutsuko Fujino
睦子 藤野
Hiroyuki Takagishi
宏至 高岸
Shinya Fujioka
信也 藤岡
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、強化繊維と樹脂との接着性に優れる
プリプレグ、さらに各種特性に優れた繊維強化複合材料
を提供せんとするものである。 【解決手段】引張弾性率が290GPa以上である強化
繊維に次の構成要素[A]、[B]、並びに[C]及び
/又は[D]を含んでなるエポキシ樹脂組成物が含浸さ
れているプリプレグ。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤 [C]エポキシ樹脂又は硬化剤と反応しうる官能基1
個、及び次式(1)〜(4)より選ばれる部分構造を含
む化合物 −CO−N< (1) −CS−N< (2) −SO2−N< (3) >PO−N< (4) [D]分子中に芳香環を有するポリエステルポリウレタ

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用途、航
空宇宙用途、一般産業用途において、高度の機械強度特
性を発揮する繊維強化複合材料を得るためのプリプレグ
に関する。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料を製造するに当たっては、各種の方式
が適用されるが、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸さ
れたシート状中間基材であるプリプレグを用いる方法が
繁用される。この方法ではプリプレグを複数枚積層し、
加熱して硬化させることによって繊維強化複合材料であ
る成形体とする。
【0003】かかる繊維強化複合材料は、軽量であり、
かつ機械特性に優れるために、スポーツ用途をはじめ、
航空宇宙用途、一般産業用途に広く用いられている。特
にスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス
やバトミントン等のラケット、ホッケー等のスティック
などが主要な用途として挙げられる。
【0004】スポーツ用途では、機械強度特性を高める
観点から、強化繊維として炭素繊維、マトリックス樹脂
としてはエポキシ樹脂とからなるプリプレグを中間基材
とする繊維強化複合材料が主として用いられる。中で
も、ゴルフシャフト、釣り竿などは、軽量化が強く要求
される用途であるが、軽量化に先立ち、材料の機械強度
特性を高めることが必要となる。
【0005】ゴルフシャフトや釣り竿は、通常、一方向
プリプレグを方向を変えて数層捲回し積層することによ
り構成される。かかる構成体が破壊するときは、材料構
成や外力の作用方法(曲げ、捻り、圧壊など)に依存し
て破壊モードが変化するが、いずれかの層の0度(層内
で強化繊維と平行な方向)引張と圧縮又は90度(層内
で強化繊維と直交する方向)引張のいずれかの破壊モー
ドが支配要因であることが多く、これらに次いで剪断破
壊が支配的である場合が多い。
【0006】ここで、0度引張・圧縮強度は、強化繊維
の引張・圧縮強度、マトリックス樹脂の弾性率、及び強
化繊維とマトリックス樹脂との接着性に依存する。
【0007】一方、90度引張強度は、マトリックス樹
脂の引張強度に依存する。このマトリックス樹脂の引張
強度は、マトリックス樹脂の弾性率と引張伸度が高くな
る程高くなる傾向がある。しかし、マトリックス樹脂の
弾性率と引張伸度は、いずれか一方を高めると他方が犠
牲となるいわゆるトレードオフの関係にあり、これらを
同時に高めることは困難であった。また、マトリックス
樹脂の引張強度を高くしても、強化繊維とマトリックス
樹脂との接着性が不足しているために、強化繊維とマト
リックス樹脂との界面領域で破壊が起こり、得られる繊
維強化複合材料に充分な機械強度特性を実現するのは困
難であった。
【0008】特に高弾性率炭素繊維を使用した繊維強化
複合材料は、その特性を活かして長尺が要求される鮎竿
や軽量ゴルフシャフト等の高級スポーツ用途や人工衛星
の構体やアンテナ、ソーラーパネル等の宇宙用途の標準
材料として多用されており、軽量化や剛性維持のために
特に必要とされている。また今後更なる高弾性率化が要
求されている。しかしながら、高弾性率炭素繊維は、強
度低下を伴うことや、結晶サイズが大きくなり、表面官
能基量も減るため、炭素繊維と樹脂との接着性が低下す
る等の問題があり、更なる弾性率向上のためにはそれら
を解決し、弾性率と強度との両立を図る必要がある。
【0009】従って、材料構成や外力の作用方法に依存
せず、得られる繊維強化複合材料に、高い機械強度特性
を定常的に得るためには、マトリックス樹脂の引張強度
と弾性率を高めると共に、強化繊維とマトリックス樹脂
との接着性を高めることが必須となる。かかる接着性を
高めると、得られる成形体において、圧縮強度や引張強
度など静的な機械強度特性ばかりではなく、耐衝撃性な
ど動的な機械強度特性をも高めることができる。
【0010】強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を
高めるには、強化繊維がガラス繊維のときは、ガラス繊
維にシランカップリング剤処理を施すことが知られてお
り、強化繊維が炭素繊維のときは、炭素繊維に電解酸化
処理などの表面処理を施すことが知られている。しか
し、炭素繊維を用いた場合、電解酸化処理によってマト
リックス樹脂と強化繊維の間の接着性は向上するもの
の、同時に炭素繊維の強度特性の低下を招く場合があ
り、強化繊維の強度と接着性を両立することは難しい。
強化繊維に何らかの処理を施すのみでは、横方向強度と
引張強度を両立することは困難である。また、前述した
ように高弾性率炭素繊維では結晶サイズが大きくなり、
樹脂と相互作用可能な表面官能基が減る方向にあるの
で、炭素繊維と樹脂との接着性と、弾性率を両立するこ
とは難しい。
【0011】その他マトリックス樹脂を改質することに
よる接着性向上手法が考えられるが、現在のところ、マ
トリックス樹脂となるエポキシ樹脂組成物について、あ
る種の熱可塑性樹脂を配合するのが有効であるという知
見はあるものの、それによる効果は依然として充分でな
いのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プリプレ
グ、さらに各種特性に優れた繊維強化複合材料を提供せ
んとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、次の構成を有する。即ち、引張弾性率が
290GPa以上である強化繊維に次の構成要素
[A]、[B]、並びに[C]及び/又は[D]を含ん
でなるエポキシ樹脂組成物が含浸されているプリプレグ
である。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤 [C]エポキシ樹脂又は硬化剤と反応しうる官能基1
個、及び次式(1)〜(4)より選ばれる部分構造を含
む化合物 −CO−N< (1) −CS−N< (2) −SO2−N< (3) >PO−N< (4) [D]分子中に芳香環を有するポリエステルポリウレタ
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上述した課題につ
いて、鋭意検討し、特定のエポキシ樹脂、硬化剤、さら
に該エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基1
個及び特定の部分構造を含む化合物を含んでなるエポキ
シ樹脂組成物をマトリックス樹脂とし、引張弾性率が2
90GPa以上である強化繊維に含浸させることで、か
かる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0015】かかる特定のエポキシ樹脂は、引張伸度、
曲げ弾性率及び強化繊維との接着性を両立させるため
に、以下に述べるような特徴を備えることが必要であ
る。尚、本発明において、エポキシ樹脂とは、分子内に
2個以上のエポキシ基を有するもの、即ち2官能以上の
エポキシ樹脂を意味する。
【0016】本発明において、構成要素[A]は、エポ
キシ樹脂である。マトリックス樹脂の引張伸度を高める
ためには、エポキシ樹脂組成物が加熱硬化されて得られ
る樹脂硬化物の架橋密度を小さくすることと、架橋点間
距離を大きくすることが有効である。架橋密度を低くす
るためには、分子内にエポキシ基を2個有する2官能エ
ポキシ樹脂をエポキシ樹脂の主成分として用いることが
有効である。また、本発明においては、マトリックス樹
脂に充分な引張伸度を得るために、樹脂組成物中、2官
能エポキシ樹脂を、全構成要素[A]100重量部に対
して、70〜100重量部、、より好ましくは80〜1
00重量部配合するのが良い。
【0017】また、架橋点間距離を大きくするにはエポ
キシ当量が450以上の2官能エポキシ樹脂を用いるの
が良い。エポキシ当量が450以上の2官能エポキシ樹
脂は、エポキシ樹脂組成物に含まれる全2官能エポキシ
樹脂100重量部に対して、15〜70重量部、好まし
くは15〜55重量部であるのが良い。15重量部未満
であると引張伸度の向上効果が不充分になることがあ
り、70重量部を越えると曲げ弾性率、耐熱性が低下し
たり、樹脂組成物の粘度が過大となることがある。
【0018】本発明において、好ましく用いられる2官
能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂(ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応に
より得られるエポキシ樹脂)、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂(ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反
応により得られるエポキシ樹脂)、ビスフェノールS型
エポキシ樹脂(ビスフェノールSとエピクロロヒドリン
の反応により得られるエポキシ樹脂)、臭素化ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノール
Aとエピクロロヒドリンの反応により得られるエポキシ
樹脂)、レゾルシノール型エポキシ樹脂(レゾルシノー
ルとエピクロロヒドリンの反応により得られるエポキシ
樹脂)、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(ジヒドロキ
シナフタレンとエピクロロヒドリンの反応により得られ
るエポキシ樹脂)、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジヒド
ロキシビフェニル又はその置換基誘導体とエピクロロヒ
ドリンの反応により得られるエポキシ樹脂)、フルオレ
ン型エポキシ樹脂(ビスヒドロキシフェニルフルオレン
とエピクロロヒドリンの反応により得られるエポキシ樹
脂)、オキサゾリドン型エポキシ樹脂(ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのエポキシ化合物
とジイソシアネートとの反応により得られるエポキシ樹
脂)などが挙げられる。
【0019】これらのうち、レゾルシノール型エポキシ
樹脂、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型
エポキシ樹脂、及びフルオレン型エポキシ樹脂から選ば
れた少なくとも1種を配合することはマトリックス樹脂
の曲げ弾性率を高めるため有効である。また、オキサゾ
リドン型エポキシ樹脂は曲げ弾性率や耐熱性を損なわず
引張伸度を向上させる効果が大きく好適に使用できる。
これは、かかる2官能エポキシ樹脂は、分子内のウレタ
ン構造が樹脂硬化物中で水素結合を形成することによ
り、架橋密度の低下や架橋点間の距離の増加による曲げ
弾性率や耐熱性の低下を補償しているためと推定され
る。
【0020】本発明のエポキシ樹脂組成物は、2官能エ
ポキシ樹脂以外の任意の成分として、3官能以上のエポ
キシ樹脂、即ち、分子内に3個以上のエポキシ基を有す
るエポキシ樹脂を含んでいても良い。3官能以上のエポ
キシ樹脂としては、その官能基数が大き過ぎると、マト
リックス樹脂の引張伸度の向上を妨げるので、6官能以
下のエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0021】3官能以上のエポキシ樹脂は、マトリック
ス樹脂の曲げ弾性率及び耐熱性を向上させるために有効
であるが、配合量が多過ぎると樹脂硬化物の架橋密度が
高くなり過ぎ、高い引張伸度が得られないときがあるた
め、3官能以上のエポキシ樹脂の配合量は、全エポキシ
樹脂中に、0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部
であるのが良い。
【0022】本発明において、3官能以上のエポキシ樹
脂を配合する場合は、ノボラック型エポキシ樹脂(ノボ
ラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるエポ
キシ樹脂)やテトラキス(グリシジルオキシフェニル)
エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタンのような多
官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及びテトラグ
リシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルア
ミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テ
トラグリシジルキシリレンジアミンのような多官能グリ
シジルアミン型エポキシ樹脂などを用いるのが好まし
い。
【0023】本発明において、構成要素[B]は硬化剤
である。硬化剤としては、例えば、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスル
ホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フ
ェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような活
性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス
(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸
エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これ
らの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリ
ロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素
などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチ
ルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−置換イ
ミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジ
シアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒド
ロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチ
ルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水
物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドや
ナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボ
ン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフェノール
化合物、チオグリコール酸とポリオールのエステルのよ
うなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯
体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム塩などを
使用することができる。
【0024】構成要素[B]は、全構成要素[A]10
0重量部に対して2〜10重量部、好ましくは3〜6重
量部配合するのが良い。配合量が2重量部より少ないと
硬化が不十分で耐熱性が低くなりやすい、配合量が10
重量部より多いと反応性が高くなり過ぎ、プリプレグの
保存安定性が悪くなる場合がある。
【0025】これら構成要素[B]には、樹脂の硬化活
性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて使用す
ることができる。好ましい例としては、ジシアンジアミ
ドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−
(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素
(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニ
ル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−
ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体を硬化
助剤として組み合わせる例、カルボン酸無水物やノボラ
ック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組み合わせる例
などが挙げられる。
【0026】エポキシ樹脂組成物を上述したような組成
とすることにより、繊維強化複合材料におけるマトリッ
クス樹脂、ここでは、エポキシ樹脂組成物を130℃で
2時間加熱し硬化させて得られる樹脂硬化物の引張伸度
を、8%以上、好ましくは10%以上とすることができ
る。また、同樹脂硬化物の曲げ弾性率を、少なくとも
3.2GPa以上、好ましくは3.5GPa以上とする
こともできる。これにより、得られる繊維強化複合材料
の0度圧縮強度、90度引張強度を効果的に高めること
ができる。
【0027】本発明は、以下に詳述する構成要素[C]
及び/又は構成要素[D]を配合することにより、上述
した特性と共同させて、得られる繊維強化複合材料の性
能をさらに高めるものである。
【0028】本発明において、構成要素[C]は、分子
内に、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基
1個、及び次式(1)〜(4)より選ばれる部分構造
(以下、単に部分構造aと略記)を含む化合物である。
【0029】−CO−N< (1) −CS−N< (2) −SO2−N< (3) >PO−N< (4) 前記部分構造aは、強化繊維と相互作用し、強化繊維と
マトリックス樹脂との接着性(以下、単に接着性と略
記)を高めるものである。これは、強化繊維の表面に−
OHや−NHなどの官能基が存在する場合に有効であ
る。2つめは強化繊維と樹脂に含まれる双極子間の電気
的引力である。ここでは部分構造aは強力な永久双極子
として作用する。かかる永久双極子により誘起双極子が
生じ、強化繊維とマトリックス樹脂との間に電気的引力
が生じる。かかる電気的引力は、炭素繊維のように表面
官能基が少ない強化繊維において、接着性を向上させる
に当たり、特に有効である。
【0030】部分構造aが、強化繊維と有効に相互作用
するためには、強化繊維表面と接触する必要があるた
め、構成要素[C]は、分子内に、エポキシ樹脂又はそ
の硬化剤と反応しうる官能基を1個のみ有することが必
要である。これは、分子内に、エポキシ樹脂又はその硬
化剤と反応しうる官能基を2個以上有する場合は、部分
構造aがポリマーネットワーク構造の内部に取り込まれ
るようになり、強化繊維表面と実質的に接触し難くな
り、強化繊維と有効に相互作用し難くなるが、分子内
に、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基を
1個のみ有する場合は、部分構造aがポリマーネットワ
ークに拘束されず、強化繊維表面と接触し易くなるため
と推定される。
【0031】また、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応
しうる官能基は、エポキシ樹脂とその硬化剤の反応に対
して相対的に遅い反応性を有することが好ましい。この
場合、主反応である硬化反応に対し、その初期段階で
は、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基の
反応進行量が小さく、後になって反応が進行するように
なり、その結果、ポリマーネットワーク構造の末端部分
に部分構造aが多く存在するようになり、構成要素
[C]の配合量が少なくても、本発明の効果を奏するに
当たり充分となるためと推定される。
【0032】構成要素[C]は、接着性を高めるだけで
はなく、マトリックス樹脂の曲げ弾性率を高める作用も
ある。この作用の原因としては、部分構造aと、マトリ
ックス樹脂中に存在する−OHや−NHなどの官能基が
水素結合を形成し、マトリックス樹脂の分子運動を拘束
するためと推定される。
【0033】エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる
官能基の具体例としては、カルボキシル基、フェノール
性水酸基、アミノ基、2級アミン構造、メルカプト基、
エポキシ基、及びカルボニル基と共役した二重結合から
なる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。分子
内に、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基
を1個有する化合物としては、次一般式(5)又は
(6)で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化1】
【0035】ここで、Xは、
【0036】
【化2】
【0037】で表される基のいずれかであり、R7はア
ルキル基又はアリール基である。
【0038】Yは−O−、−NR8−のいずれかであ
り、R8はアルキル基又はアリール基であり、nは0又
は1である。Zは、カルボキシル基、フェノール性水酸
基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、2級アミン
構造のいずれかである。
【0039】R1は、炭化水素より誘導される2価基で
あり、mは0又は1である。R2は水素、アルキル基、
アリール基のいずれかであり、R3は水素、アルキル
基、アリール基、−WR10、−W−OR11、−W−NR
1213のいずれかであり、R10、R11はアルキル基又は
アリール基であり、R12、R13は水素、アルキル基、ア
リール基のいずれかであり、Wは−CO−又は−SO2
−である。
【0040】また、R5はアルキル基又はアリール基で
あり、R6は水素、アルキル基、アリール基、アシル基
のいずれかであり、l、kは0又は1である。
【0041】上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、Y
及びZはアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキ
シ基より選ばれる置換基を有しても良い。さらに、
1、R2、R3、R4、R5、R6、Y及びZのいずれか2
つが環を形成しても良い。
【0042】カルボキシル基を1個有し、一般式(5)
で表される化合物の具体例としては、オキサミン酸、ス
クシンアミド酸、2−(フェニルカルバモイルオキシ)プ
ロピオン酸、5−ヒダントイン酢酸などが挙げられる。
【0043】カルボキシル基を1個有し、一般式(6)
で表される化合物の具体例としては、N−アセチルグリ
シン、N−アセチルアラニン、4−アセトアミド安息香
酸、N−アセチルアントラニル酸、4−アセトアミド酪
酸、6−アセトアミドヘキサン酸、馬尿酸、ピログルタ
ミン酸、N−トシルグリシン、N−ジメチルホスフィノ
イルグリシンなどが挙げられる。
【0044】フェノール性水酸基を1個有し、一般式
(5)で表される化合物の具体例としては、サリチルア
ミド、4−ヒドロキシベンズアミド、4−ヒドロキシフ
ェニルアセトアミドなどが挙げられる。
【0045】フェノール性水酸基を1個有し、一般式
(6)で表される化合物の具体例としては、4−ヒドロ
キシアセトアニリド、3−ヒドロキシアセトアニリド、
N−アセチルチラミンなどが挙げられる。
【0046】アミノ基を1個有し、一般式(5)で表さ
れる化合物の具体例としては、4−アミノベンズアミ
ド、3−アミノベンズアミド、4−アミノブチルアミ
ド、6−アミノヘキサンアミド、3−アミノフタルイミ
ド、4−アミノフタルイミド、スルファニルアミド、1
−ブチル−3−スルファニリル尿素、アシュラム、ファ
ーストレッドITRベース、FGLベース、2−アミノ
−N−エチル−N−フェニルベンゼンスルホンアミドな
どが挙げられる。
【0047】アミノ基を1個有し、一般式(6)で表さ
れる化合物の具体例としては、4’−アミノアセトアニ
リド、4’−アミノ−N−メチルアセトアニリド、3’
−アミノプロピオンアニリド、などが挙げられる。
【0048】2級アミン構造を1個有し、一般式(5)
で表される化合物の具体例としては、ニペコタミド、
N,N−ジエチルニペコタミド、イソニペコタミドなど
が挙げられる。
【0049】2級アミン構造を1個有し、一般式(6)
で表される化合物の具体例としては、1−アセチルピペ
ラジン、1−トシルピペラジンなどが挙げられる。
【0050】メルカプト基を1個有し、一般式(7)で
表される化合物の具体例としては、4−アセトアミドチ
オフェノール、N−(2−メルカプトエチル)アセトア
ミドなどが挙げられる。
【0051】エポキシ基を1個有し、一般式(5)で表
される化合物の具体例としては、グリシダミド、N−フ
ェニルグリシダミド、N,N−ジエチルグリシダミド、
N−メトキシメチルグリシダミド、N−ヒドロキシメチ
ルグリシダミド、2,3−エポキシ−3−メチルブチル
アミド、2,3−エポキシ−2−メチルプロピオンアミ
ド、9,10−エポキシステアラミドなどが挙げられ
る。
【0052】エポキシ基を1個有し、一般式(6)で表
される化合物の具体例としては、N−グリシジルフタル
イミドなどが挙げられる。
【0053】一般式(5)又は(6)で表される化合物
の他に、アミノ基を1個有する化合物として、ヒドラジ
ド類、具体的には、アセトヒドラジド、ベンゾヒドラジ
ド、3−アミノローダニン、ベンゼンスルホヒドラジド
などが挙げられる。
【0054】硬化剤と反応しうる官能基としては、さら
にカルボニル基と共役した二重結合が挙げられる。カル
ボニル基と共役した二重結合は、硬化剤中のアミノ基や
メルカプト基とマイケル型の付加反応を行う。
【0055】カルボニル基と共役した二重結合を1個有
する化合物としては、次の一般式(8)又は(9)で表
される化合物を用いることができる。
【0056】
【化3】
【0057】ここで、Xは、上記一般式(7)で表され
る基のいずれかである。
【0058】Yは−O−、−NR29−のいずれかであ
り、R29はアルキル基又はアリール基であり、p、qは
0又は1である。
【0059】R22は、炭化水素より誘導される2価基で
ある。R23、R24、R25は水素、アルキル基、アリール
基のいずれかである。R26は水素、アルキル基、アリー
ル基のいずれかであり、R27は水素、アルキル基、アリ
ール基、−WR30、−W−OR31、−W−NR3233
いずれかであり、R30、R31はアルキル基又はアリール
基であり、R32、R33は水素、アルキル基、アリール基
のいずれかであり、Wは−CO−又は−SO2−であ
る。
【0060】R34は、炭化水素より誘導される2価基で
ある。R35、R36、R37は水素、アルキル基、アリール
基のいずれかである。R38はアルキル基、アリール基の
いずれかであり、R39は水素、アルキル基、アリール
基、アシル基のいずれかである。
【0061】上記のR22、R23、R24、R25、R26、R
27、R29、R34、R35、R36、R37、R38及びR39は、
置換基を有しても良い。さらに、R22、R23、R24、R
25、R26、R27、R29、R34、R35、R36、R37
38、R39のいずれか2つが環を形成しても良い。
【0062】さらに、カルボニル基と共役した二重結合
を1個有する化合物は、二重結合と共役するカルボニル
基が前記式(1)の構造のカルボニル基と同一であって
も良い。即ち、次一般式(10)で表される部分構造b
を有するものでも良い。
【0063】
【化4】
【0064】上一般式(10)で表される部分構造bを
有する化合物としては、次一般式(11)で表される化
合物を用いることができる。
【0065】
【化5】
【0066】ここで、R41、R42、R43は水素、アルキ
ル基、アリール基のいずれかである。R44は水素、アル
キル基、アリール基のいずれかであり、R45は水素、ア
ルキル基、アリール基、−WR46、−W−OR47、−W
−NR4849のいずれかであり、R46、R47はアルキル
基又はアリール基であり、R48、R49は水素、アルキル
基、アリール基のいずれかであり、Wは−CO−又は−
SO2−である。
【0067】上記のアルキル基、アリール基は、アルキ
ル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基より選ばれ
る置換基を有しても良い。さらに、R41、R42、R43
44、R45のいずれか2つが環を形成しても良い。
【0068】前記一般式(10)で表される部分構造b
を有する化合物としては、さらにマレイミド及びアルキ
ル基又はアリール基を置換基として有するマレイミド誘
導体を用いることができる。
【0069】一般式(8)で表される化合物の具体例と
しては、2−(フェニルカルバモイルオキシ) エチル
メタクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)プロピ
オンアミド、2−(フェニルウレイド)エチルメタクリ
レード、ラクタミドアクリレート、ラクタミドメタクリ
レート、2−(ジメチルチオカルバモイルオキシ)エチ
ルメタクリレート、2−(トシルカルバモイルオキシ)
エチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0070】一般式(9)で表される化合物の具体例と
しては、2−(メトキシカルボニルアミノ)エチルメタ
クリレート、2−(フェノキシカルボニルアミノ)エチ
ルメタクリレートなどが挙げられる。
【0071】一般式(11)で表される化合物の具体例
としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロト
ンアミド、シンナムアミド、N,N−ジメチルアクリル
アミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ
ブチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルア
ミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−イソ
プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、
N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアク
リルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N
−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチル
アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、1−アクリロイルモル
ホリン、1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド、
ナジイミドなどが挙げられる。
【0072】アルキル基又はアリール基を置換基として
有するマレイミド誘導体としては、N−エチルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミドなどが挙げられる。
【0073】前記部分構造aは、より大きな構造の一部
でも良い。例えば、前記式(1)で表されるアミド結合
を有する化合物としては、カルボン酸アミドがあるが、
それ以外にも環の一部にアミド結合を有するものでも良
い。この場合、特に大きく接着性を向上させるため好ま
しい。部分構造aは、さらに大きな構造、例えば、イミ
ド、ウレタン、ウレア、ビウレット、ヒダントイン、カ
ルボン酸ヒドラジド、ヒドロキサム酸、セミカルバジ
ド、セミカルバゾンなどの構造の一部でも良い。
【0074】アミド結合のカルボニル酸素は、強化繊維
としてのガラス繊維表面の水酸基、アラミド繊維表面の
アミド基、炭素繊維表面のカルボキシル基や水酸基など
の水素原子との水素結合を形成し、接着性を高める。
【0075】さらに、アミド結合におけるカルボニル基
は、前述したとおり、強い永久双極子でもあるため、炭
素繊維のように分極率の高い強化繊維に誘起双極子を作
り、双極子−双極子の電気的引力により、接着性を高め
る。
【0076】構成要素[C]は、1種配合しても複数種
配合しても良い。構成要素[C]の配合量は、全構成要
素[A]100重量部に対して、0.5〜20重量部、
好ましくは0.5〜10重量部とするのが良い。0.5
重量部未満であると、得られる複合材料において弾性率
の向上効果が充分に発現されず、20重量部を越えると
得られる複合材料において耐熱性の低下などの弊害が生
じる恐れがある。
【0077】構成要素[C]は、室温25℃で液体状で
も固体状でも良い。固体状のものを用いる場合は、エポ
キシ樹脂組成物に配合した後、加熱撹拌して溶解させて
も良く、未溶解の状態で配合しても良い。未溶解の状態
で配合する場合は、粒径10μm以下に粉砕したものを
用いるのが好ましい。
【0078】本発明において、構成要素[D]は、分子
内に芳香環を有するポリエステルポリウレタンである。
この化合物は、樹脂硬化物の引張伸度を低下させること
なく弾性率を高めるための化合物として配合される。
【0079】即ち、構成要素[D]の分子中に存在する
ウレタン構造がエポキシ樹脂中に存在する水酸基と強い
水素結合を形成して分子運動を拘束するため、樹脂硬化
物の弾性率が高められるようになると推定される。
【0080】また、構成要素[D]は、分子中のエステ
ル構造が硬化剤中のアミノ基、メルカプト基、フェノー
ル性水酸基等と求核置換反応により反応して、樹脂硬化
物のネットワークの一部となることから、相分離が生じ
ず、樹脂硬化物の弾性率が低下し難いという特徴も備え
る。
【0081】本発明において、構成要素[D]として
は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合
によって得られるポリエステルポリオールにイソシアネ
ート基を2個以上有するポリイソシアネート及び必要に
応じて連鎖延長剤を用いてワンショット法やプレポリマ
ー法といった従来公知の方法を適用して得られるポリエ
ステルポリウレタンが使用できる。尚、本発明におい
て、構成要素[D]は、1種又は複数種、樹脂組成物に
配合することができる。
【0082】多価カルボン酸としては、マロン酸、コハ
ク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、フタル酸、無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、無水ナジック酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、中でもコハ
ク酸やアジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が好ましく
用いられる。
【0083】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピ
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4
−ブチレングリコール、1,5−ブチレングリコール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェ
ノールAプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が
挙げられ、中でも1,2−プロピレングリコール、1,
4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等
が好ましく用いられる。
【0084】ポリイソシアネートとしては、合成される
ポリエステルポリウレタンが、分子内に芳香環を有する
ことにより、硬化物の弾性率がより高まることから、芳
香族ポリイソシアネートが好ましく用いられる。例え
ば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−
ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テ
トラメチルキシレンジイソシアネート、トリフェニルメ
タントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェ
ニル)チオホスフェート、及びこれらのオリゴマーが挙
げられ、中でも2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0085】連鎖延長剤としては、1,2−プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールや、これらの混合物が用いられる。
【0086】本発明において、構成要素[D]は、全構
成要素 [A]100重量部に対して1〜15重量部、好
ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部
配合するのが良い。1重量部未満であると樹脂硬化物の
弾性率の向上効果が不充分となり、15重量部を超える
と樹脂硬化物の耐熱性が低下することがある。
【0087】なお、構成要素[C]と構成要素[D]を
同時に配合する場合は、樹脂硬化物の耐熱性等を確保す
るため、構成要素[C]と構成要素[D]の配合量の合
計を、全構成要素[A]100重量部に対して1〜15重
量部、好ましくは1〜10重量部とするのが良い。
【0088】本発明において、エポキシ樹脂組成物に
は、改質剤として、高分子化合物、有機粒子、無機粒
子、その他の成分を配合することができる。
【0089】本発明のエポキシ樹脂組成物に配合する高
分子化合物としては、熱可塑性樹脂が好ましく使用され
る。熱可塑性樹脂を配合することにより、樹脂を含浸す
る際の粘度制御、プリプレグとした際の取り扱い性、及
び接着性改善などの効果が高められる。
【0090】ここで使用する熱可塑性樹脂は、接着性向
上のために、相乗効果が期待できる水素結合性の官能基
を有する熱可塑性樹脂が特に好ましい。水素結合性の官
能基の具体例としては、アルコール性水酸基、アミド結
合、スルホニル基などが挙げられる。
【0091】アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂
としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラー
ルなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコ
ール、フェノキシ樹脂など、アミド結合を有する熱可塑
性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミドなど、スルホ
ニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンな
どがそれぞれ挙げられる。ポリアミド、ポリイミド及び
ポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基など
の官能基を有しても良い。ポリアミドは、アミド基の窒
素原子に置換基を有しても良い。
【0092】エポキシ樹脂に可溶で、水素結合性官能基
を有する熱可塑性樹脂の市販品としては、ポリビニルア
セタール樹脂である”ビニレック”(登録商標、チッソ
(株)製)、フェノキシ樹脂である”UCARPKH
P”(型番、ユニオンカーバイド社製)、ポリアミド樹
脂として”マクロメルト”(登録商標、ヘンケル白水
(株)製)、”アミラン”CM4000(登録商標、東
レ(株)製)、ポリイミドである”ウルテム”(登録商
標、ジェネラル・エレクトリック社製)、”Matri
mid”5218(登録商標、チバ社製)、ポリスルホ
ンとして”Victrex”(登録商標、三井東圧化学
(株)製)、”UDEL”(登録商標、ユニオン・カー
バイド社製)などを使用することができる。
【0093】熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂に適度な粘
弾性を与え、得られる複合材料に良好な機械物性を得る
ために、全構成要素[A]100重量部に対して1〜1
5重量部、好ましくは2〜10重量部配合するのが良
い。
【0094】本発明のエポキシ樹脂組成物に配合する有
機粒子としては、ゴム粒子及び熱可塑性樹脂粒子などが
好ましく使用される。これらの粒子はマトリックス樹脂
の靭性向上、繊維強化複合材料の耐衝撃性向上の効果を
有する。
【0095】ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、及び架
橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコ
アシェルゴム粒子が好ましく使用される。
【0096】架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキ
シル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架
橋物からなるXER−91(型番、日本合成ゴム工業
(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシ
リーズ(型番、日本触媒(株)製)、YR−500シリ
ーズ(型番、東都化成(株)製)などを使用することが
できる。
【0097】コアシェルゴム粒子の市販品としては、ブ
タジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物か
らなる”パラロイド”EXL−2655(登録商標、呉
羽化学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリ
ル酸エステル共重合体からなる”スタフィロイド”AC
−3355、TR−2122(登録商標、型番、武田薬
品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メ
チル共重合物からなる”PARALOID”EXL−2
611、EXL−3387(登録商標、Rohm&Ha
as社製)などを使用することができる。
【0098】熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミドあ
るいはポリイミドの粒子が好ましく使用される。ポリア
ミド粒子の市販品として、SP−500(型番、東レ
(株)製)、”オルガソール”(登録商標、ATOCH
EM社製)などを使用することができる。
【0099】無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ス
メクタイト、合成マイカなどが好ましく使用される。こ
れらの無機粒子は、主としてレオロジー制御、即ち樹脂
の増粘や揺変性付与のために配合される。
【0100】また、本発明におけるエポキシ樹脂組成物
は、使用する硬化助剤と硬化時間を適切に設定すること
により、硬化のための温度を80〜180℃の範囲に設
定できるが、通常130℃、2時間程度の条件が採用さ
れることが多く、かかる条件で硬化されて得られる成形
体が良好な機械強度を発現するのが好ましい。
【0101】本発明においては、強化繊維に、上述した
ようなエポキシ樹脂組成物を含浸させたプリプレグを積
層し、加熱し硬化させて繊維強化複合材料とすることが
できる。この方法に依れば、ゴルフシャフト、釣り竿、
ラケットなどのスポーツ用品の製造に適した繊維強化複
合材料を得ることができる。
【0102】また、本発明における強化繊維は軽量化と
剛性の両立の観点から炭素繊維が好ましく、中でもPA
N系の炭素繊維が好ましい。またそのような繊維のなか
でもJIS−R7601によって測定する引張弾性率が
290GPa以上であることが必要である。引張弾性率
が340GPa以上であればより好ましく、370GP
a以上であることが更に好ましい。引張弾性率が290
GPa未満であると繊維強化複合材料として十分な剛性
が得られず、例えば管状体の潰し防止効果が不十分であ
る等、目的とする性能が得られない。
【0103】本発明において、プリプレグをゴルフシャ
フトや釣り竿のような管状体に適用するときは、130
℃で2時間硬化して得られる成形板の(ASTM D3
039によって測定する)0゜引張弾性率が170GP
a以上、より好ましくは200GPa以上、更に好まし
くは230GPaであるプリプレグを用いることで、成
形体において、動的な機械強度特性である耐衝撃性を高
めつつ、軽量化が図れ、かつ形状保持性を維持できるの
で好ましい。上記樹脂組成物と炭素繊維を用いることで
0度引張弾性率が高く、横方向強度も十分な複合材料を
得ることができる。
【0104】本発明による複合材料は、公知の方法で製
造することができる。具体的には、特にゴルフシャフ
ト、釣り竿、ラケットなどのスポーツ用部材の製造に適
した方法として、強化繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸
させたプリプレグを作製し、これを積層して加熱し、硬
化させて複合材料を得る方法が採用される。
【0105】プリプレグは、エポキシ樹脂組成物をメチ
ルエチルケトン、メタノールなどの溶媒に溶解して低粘
度化することにより、強化繊維に含浸させるウエット法
と、加熱して低粘度化することにより、強化繊維に含浸
させるホットメルト法などの方法により製造される。
【0106】ウェット法では、強化繊維をエポキシ樹脂
組成物からなる液に浸漬した後引き上げ、オーブンなど
を用いて溶媒を蒸発させてプリプレグが得られる。
【0107】ホットメルト法では、加熱により低粘度化
したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる
か、又はエポキシ樹脂組成物を離型紙などの上にコーテ
ィングしたフィルムを作製した後、強化繊維の両側又は
片側から該フィルムを重ね、加熱加圧することにより樹
脂を含浸させプリプレグが得られる。このホットメルト
法は、プリプレグ中に溶媒が残留することがないため好
ましい。
【0108】プリプレグにおける強化繊維の形態や配列
は特に限定されず、例えば、一方向に引き揃えた長繊
維、単一のトウ、織物、マット、ニット、組み紐などが
良い。
【0109】複合材料は、プリプレグを積層後、積層物
に圧力を付与しながら樹脂を加熱し、硬化させて成型す
る方法などにより製造できる。
【0110】熱及び圧力を付与する方法には、プレス成
型法、オートクレーブ成型法、バッギング成型法、ラッ
ピングテープ法、内圧成型法などがあり、特にスポーツ
用品に関しては、ラッピングテープ法、内圧成型法が好
ましく適用される。
【0111】本発明において、ゴルフシャフト、釣り竿
などの棒状体を製造するに当たっては、ラッピングテー
プ法が好ましく適用できる。ラッピングテープ法は、マ
ンドレルなどの芯金にプリプレグを巻いて、円筒状物を
成型する方法である。具体的には、マンドレルにプリプ
レグを巻き付け、プリプレグの固定及び圧力付与のため
に、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなる
ラッピングテープを巻き付け、オーブン中で樹脂を加熱
し、硬化させた後、芯金を抜き去って円筒状成形体とす
る方法である。
【0112】また、ゴルフシャフト、釣り竿などの棒状
体を製造するに当たり、内圧成型法も好ましく適用でき
る。内圧成型法は、熱可塑性樹脂のチューブなどの内圧
付与体にプリプレグを巻きつけたプリフォームを金型中
にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して
圧力をかけると同時に金型を加熱し成形する方法であ
る。本方法は、ゴルフシャフト、バット、テニスやバト
ミントンなどのラケットのような複雑な形状物を成型す
る際に好ましく適用される。
【0113】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。樹脂硬化物の物性測定、プリプレグの作製、円筒複
合材料の作製、円筒複合材料の物性測定、一方向複合材
料の作製、一方向複合材料の物性測定は次の方法で行っ
た。なお、物性測定はすべて温度23℃、相対湿度50
%の環境で行った。 (1)樹脂硬化物(板)の物性測定 A.曲げ弾性率の測定 エポキシ樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入
し、135℃の熱風乾燥機中で2時間加熱し、硬化させ
て厚さ2mmの樹脂硬化物板を作製した。次に、樹脂硬
化物板から幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出
し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点曲
げ試験を行い、JIS K7203に従い曲げ弾性率を
求めた。 B.引張伸度の測定 上記A項と同様にして作製した樹脂硬化物板より、JI
S K7113に従い、小型1(1/2)号形試験片を
切り出し、引張伸度を求めた。 (2)炭素繊維の引張弾性率の測定 測定する炭素繊維に、ユニオンカーバイド(株)製”ベ
ークライト”(登録商標)ERL−4221を1000
g(100重量部)、三フッ化ホウ素モノエチルアミン
(BF3・MEA)を30g(3重量部)及びアセトン
を40g(4重量部)混合した樹脂組成物を含浸させ、
次に130℃で、30分間加熱し、硬化させ、樹脂含浸
ストランドを得た。樹脂含浸ストランド試験法(JIS
R7601)により引張弾性率を求めた。 (3)プリプレグの作製 エポキシ樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて
離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、シ
ート状に一方向に整列させた炭素繊維”トレカ”(登録
商標、東レ(株)製)に、この樹脂フィルム2枚を炭素
繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂を含浸せしめ、
炭素繊維目付125g/m2、樹脂重量分率24重量%
の一方向プリプレグを作製した。 (4)円筒複合材料の作製 次の(a)〜(e)の手順により、円筒軸方向に対して
[0゜3/±45゜3]の積層構成を有し、内径が6.3
mm及び10mmの2種類の円筒複合材料を作製した。
マンドレルにはそれぞれ、直径6.3mm及び10mm
(いずれも長さ1000mm)のステンレス製丸棒を使
用した。 (a)一方向プリプレグを強化繊維の方向がマンドレル
軸方向に対して45度になるように、直径6.3mmの
マンドレルでは縦800mm×横68mmの一方向プリ
プレグを使用し、直径10mmのマンドレルでは縦80
0mm×横103mmの一方向プリプレグを使用した
(以下実施例ではバイアス材と略する)。このバイアス
材2枚を繊維方向が互いに交差するように、かつ横方向
に直径6.3mmのマンドレルでは10mm、直径10
mmのマンドレルでは16mm(マンドレル半周分に対
応)ずらして貼り合わせた。 (b)貼り合わせたプリプレグを、離型処理したマンド
レルに、プリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一
致するように巻き付けた。 (c)その上に、プリプレグを繊維の方向が縦方向にな
るように、直径6.3mmのマンドレルでは縦800m
m×横77mm、直径10mmのマンドレルでは縦80
0mm×横112mmの長方形に切り出したもの(以下
ストレート材と略する)をプリプレグの縦方向とマンド
レルの軸方向が一致するように巻き付けた。 (d)ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻
きつけ、硬化用の炉の中で130℃、2時間加熱し成形
した。 (e)成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテー
プを除去して円筒複合材料を得た。 (5)円筒複合材料の物性測定 A.曲げ強度の測定 内径10mmの円筒複合材料を用い、「ゴルフクラブ用
シャフトの認定基準及び基準確認方法」(製品安全協会
編、通商産業大臣承認5産第2087号、1993年)
に記載の3点曲げ試験方法に基づき、曲げ破壊荷重を測
定し、該荷重値を曲げ強度とした。ここでは、支点間距
離を300mm、試験速度を5mm/分とした。
【0114】B.圧壊強度の測定 内径10mmの円筒複合材料から長さ15mmの試験片
を切り出し、ステンレス平板を介して円筒の半径方向に
圧縮荷重を加えて破壊し、破壊時の荷重を圧壊強度とし
た。ここで試験速度は5mm/分とした。この際、負荷
方向に円筒が押しつぶれて変形した量を変形量とし、圧
壊荷重を負荷する装置の移動量により求めた。
【0115】C.シャルピー衝撃破壊強度の測定 円筒複合材料を試験片に用いたこと、及び支点間距離を
40mmとしたこと以外はJIS K7077記載の方
法に従い、シャルピー衝撃試験を行った。内径6.3m
mの円筒複合材料から長さ90mmの試験片を切り出
し、支点間距離40mm、ハンマー振り上げ角135
度、秤量300kg・cmで円筒軸方向と垂直な方向か
ら衝撃を与え、最大衝撃荷重を測定し、該荷重値をシャ
ルピー衝撃破壊強度とした。 (6)一方向複合材料の作製 上記(3)項に示す方法で作製した一方向プリプレグ
を、強化繊維の方向が同一になるよう所定枚数積層し、
オートクレーブを用いて温度135℃、圧力290Pa
で2時間、加熱加圧して硬化させ、一方向複合材料を作
製した。 (7)一方向複合材料の物性測定 A.90度引張強度、90度引張伸度の測定 一方向プリプレグを22枚積層して得られる一方向複合
材料から、ASTMD3039に従い、幅25.4m
m、長さ38.1mmの試験片を作製し、引張試験を行
い、90度引張伸度及び90度引張強度を測定した。
【0116】B.0度引張弾性率の測定 一方向プリプレグを11枚積層して得られた一方向複合
材料から、ASTMD3039に従い、幅6.4mm、
長さ14mmの試験片を作製し、0度引張弾性率を測定
した。
【0117】以下、実施例、比較例について説明する。
実施例、比較例の表中に記載の樹脂組成物の減量の単位
はすべて重量部を表す。実施例、比較例の内容は表1〜
4に纏めて示した。 (実施例1〜8)それぞれの実施例について、下記原料
を表1と表2に示した組成でニーダーにより混合し、エ
ポキシ樹脂組成物を調製した。上述した方法に従い、そ
の樹脂硬化物の引張伸度、曲げ弾性率を測定した。 ・構成要素[A] “エピコート”828(登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製) (ビスフェノールA型エポキシ樹脂、2官能、エポキシ
当量184〜194) “エピコート”807 (登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製) (ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2官能、エポキシ
当量160〜175) “エピコート”1001(登録商標、油化シェルエポキ
シ(株)製) (ビスフェノールA型エポキシ樹脂、2官能、エポキシ
当量450〜500) “デナコ−ル”EX−201(登録商標、ナガセ化成工
業(株)製) (レゾルシノール型エポキシ樹脂、2官能、エポキシ当
量118) “エピコート”YX4000H(登録商標、油化シェル
エポキシ(株)製) (ビフェニル型エポキシ樹脂、2官能、エポキシ当量1
80〜192) “エピクロン”152(登録商標、大日本インキ化学工
業(株)製) (臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、2官能、エポ
キシ当量340〜380) XAC4151(型番、旭チバ社製) (オキサゾリドン型エポキシ樹脂、2官能、エポキシ当
量412) “スミエポキシ”ELM434(登録商標、住友化学工
業(株)製) (グリシジルアミン型エポキシ樹脂、4官能、エポキシ
当量110〜130) “エピコート”154(登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製) (ノボラック型エポキシ樹脂、多官能、エポキシ当量1
76〜181) ・構成要素[B] “エピキュア”DICY−7(ジシアンジアミド、硬化
剤) (登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ・構成要素[C] DMAA(型番、(株)興人製、ジメチルアクリルアミ
ド) ・構成要素[D] PANDEX T−5205(商標、大日本インキ化学
工業(株)、分子内に芳香環を有するポリエステル系ポ
リウレタン) その他 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル
ウレア(硬化助剤) DCMU−99(型番、保土谷化学工業(株)製) (3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチ
ルウレア、硬化助剤) “ビニレック”K(登録商標、チッソ(株)製) (熱可塑性樹脂:ポリビニルホルマール)次いで、乾湿
式紡糸法により製造した引張弾性率が377GPa炭素
繊維を用いて、上述した方法に従い、一方向プリプレグ
を作製し、これらを積層、硬化させて、上述した方法に
従い、一方向複合材料及び円筒複合材料を作製し、その
0度引張強度、90度引張強度、円筒の曲げ強度、シャ
ルピー衝撃強度、圧壊強度変位量を測定した。結果を表
1と表2に示す。 (比較例1〜3)それぞれの比較例について、表3に示
すようなエポキシ樹脂組成物を調製し、上述した方法に
従い、その樹脂硬化物の引張伸度、曲げ弾性率を測定し
た。次いで、実施例1と同様の炭素繊維を用いて、実施
例1と同様に上述した方法に従い、一方向プリプレグを
作製し、これらを積層、硬化させて、上述した方法に従
い、一方向複合材料及び円筒複合材料を作製し、その0
度引張強度、90度引張強度、円筒の曲げ強度、シャル
ピー衝撃強度、圧壊強度、変位量を測定した。結果を表
3に示す。 (実施例9〜14)それぞれの実施例について、実施例
1と同様のエポキシ樹脂組成物を調製し、表4に示すよ
うな弾性率の炭素繊維を用いて上述した方法に従い、一
方向プリプレグを作製し、これらを積層、硬化させて、
上述した方法に従い、一方向複合材料及び円筒複合材料
を作製し、その0度引張強度、90度引張強度、円筒の
曲げ強度、シャルピー衝撃強度、圧壊強度、変位量を測
定した。結果を表4に示す。 (比較例4〜9)それぞれの比較例について、比較例1
と同様のエポキシ樹脂組成物を調製し、それぞれ表5に
示す通り実施例9〜14と同様の炭素繊維を用いて上述
した方法に従い、一方向プリプレグを作製し、これらを
積層、硬化させて、上述した方法に従い、一方向複合材
料及び円筒複合材料を作製し、その0度引張強度、90
度引張強度、円筒の曲げ強度、シャルピー衝撃強度、圧
壊強度、変位量を測定した。結果を表5に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
【表5】
【0123】
【発明の効果】本発明によれば、繊維方向の引張弾性率
及び繊維と樹脂との接着性に優れた良質なプリプレグを
作製することができ、さらにこのプリプレグを積層して
成形することにより、機械強度特性に優れた繊維強化複
合材料を製造することができる。
【0124】本発明による繊維強化複合材料は、0度引
張弾性率と90度引張強度に優れたものとなる。
【0125】本発明による繊維強化複合材料は、シャル
ピー衝撃破壊強度に代表される耐衝撃性に優れたものと
なる。
【0126】本発明による繊維強化複合材料は、スポー
ツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミ
ントン、スカッシュなどのラケット用途、ホッケーなど
のスティック用途、スキーポール用途などに好適に用い
られる。また、航空宇宙用途では、主翼、尾翼、フロア
ビームなどの航空機一次構造材用途、フラップ、エルロ
ン、カウル、フェアリング、内装材などの二次構造材用
途、ロケットモーターケース、人工衛星構造材用途など
に好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自動
車、船舶、鉄道車両などの移動体の構造材、ドライブシ
ャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイ
ール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、補修
補強材料などの土木・建築材料用途などに好適に用いら
れる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張弾性率が290GPa以上である強化
    繊維に次の構成要素[A]、[B]、並びに[C]及び
    /又は[D]を含んでなるエポキシ樹脂組成物が含浸さ
    れているプリプレグ。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤 [C]エポキシ樹脂又は硬化剤と反応しうる官能基1
    個、及び次式(1)〜(4)より選ばれる部分構造を含
    む化合物 −CO−N< (1) −CS−N< (2) −SO2−N< (3) >PO−N< (4) [D]分子中に芳香環を有するポリエステルポリウレタ
  2. 【請求項2】前記エポキシ樹脂組成物が2官能エポキシ
    樹脂を含んでなり、該2官能エポキシ樹脂の配合量が全
    構成要素[A]100重量部に対して、70〜100重
    量部である請求項1記載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】エポキシ当量が450以上の2官能エポキ
    シ樹脂が、全2官能エポキシ樹脂100重量部に対し
    て、15〜70重量部である請求項2記載のプリプレ
    グ。
  4. 【請求項4】前記構成要素[C]の配合量が全構成要素
    [A]100重量部に対して0.5〜20重量部である
    請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 【請求項5】前記強化繊維の引張弾性率が340GPa
    以上である請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレ
    グ。
  6. 【請求項6】前記強化繊維が炭素繊維である請求項1〜
    5に記載のプリプレグ。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレ
    グが硬化されてなる繊維強化複合材料。
  8. 【請求項8】0゜引張弾性率が170GPa以上である
    請求項7記載の繊維強化複合材料。
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