JP2001031783A - プリプレグ及び繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグ及び繊維強化複合材料

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JP2001031783A
JP2001031783A JP2000140473A JP2000140473A JP2001031783A JP 2001031783 A JP2001031783 A JP 2001031783A JP 2000140473 A JP2000140473 A JP 2000140473A JP 2000140473 A JP2000140473 A JP 2000140473A JP 2001031783 A JP2001031783 A JP 2001031783A
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epoxy resin
prepreg
fiber
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JP2000140473A
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English (en)
Inventor
Mutsuko Fujino
睦子 藤野
Hiroyuki Takagishi
宏至 高岸
Shinya Fujioka
信也 藤岡
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、その
硬化物が、良好な引張伸度、曲げ弾性率と耐熱性を備
え、さらには強化繊維との接着性にも優れるマトリック
ス樹脂となるエポキシ樹脂組成物が使用されてなる、取
り扱い性や生産性に優れるプリプレグ、さらに該プリプ
レグを用いて得られる各種特性に優れた繊維強化複合材
料を提供せんとするものである。 【解決手段】次の構成要素[A]及び[B]を含んでな
るエポキシ樹脂組成物が、強化繊維に含浸されてなるプ
リプレグであって、該構成要素[A]において、全エポ
キシ樹脂100重量%中、2官能エポキシ樹脂が70〜
100重量%であり、かつ該強化繊維の目付が5〜10
0g/m2の範囲であることを特徴とするプリプレグ。 [A]:エポキシ樹脂 [B]:硬化剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用途、航
空宇宙用途、一般産業用途に適した繊維強化複合材料、
及びこれを得るためのプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】強化繊維と樹脂よりなる繊維強化複合材
料は、機械強度に優れるために、スポーツ用途をはじ
め、航空宇宙用途、一般産業用途に広く用いられてい
る。特にスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、
テニスやバトミントン等のラケット、ホッケー等のステ
ィックなどが主要な用途として挙げられる。
【0003】繊維強化複合材料を製造するに当たって
は、各種の方式が適用されるが、強化繊維に樹脂を含浸
させたシート状の中間基材であるプリプレグを用いる方
法が広く用いられている。この方法ではプリプレグを複
数枚積層した後、加熱することによって成形体、即ち繊
維強化複合材料が得られる。
【0004】かかる繊維強化複合材料は、一般に軽量で
あり、かつ機械強度に優れるために、スポーツ用途をは
じめ、航空宇宙用途、一般産業用途に広く用いられてい
る。特にスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、
テニスやバトミントン等のラケット、ホッケー等のステ
ィックなどが主要な用途として挙げられる。
【0005】プリプレグにおいて、使用される繊維の量
が多くなり、プリプレグシートの厚みが過大となると、
繊維強化複合材料の単位重量を増大させるばかりでな
く、釣り竿のような、外径が細い成形物を製造する場合
に、金型に巻き付けが困難になったり、強化繊維の目付
が大き過ぎると均質に積層して巻き難くなることや、炭
素繊維に代表される強化繊維は一般に高価であり、プリ
プレグのコスト低減に障害となることなどが背景とな
り、スポーツ用途、特にゴルフシャフト、釣り竿などで
は、繊維強化複合材料に対してより高度の軽量性が要求
されており、厚みがより薄く、使用される繊維の量がよ
り少ない薄物状プリプレグに対する需要が増加しつつあ
る。
【0006】軽量性と機械強度を高いレベルで両立させ
るためには、まず材料の機械強度を高めることが必要に
なる。そのために、強化繊維、中でも炭素繊維の強度特
性の向上技術が継続して検討されてきた。
【0007】しかし、ゴルフシャフトや釣り竿など軽量
性が求められる品種の破壊現象の精密な解析によると、
必ずしも強化繊維自体の強度を向上させるのみでは不充
分であることが明らかになってきた。
【0008】ゴルフシャフトや釣り竿などに使用される
繊維強化複合材料は、通常、繊維方向が引き揃えられた
一方向プリプレグをその繊維の方向を変えて数層捲回し
積層することにより構成される。かかる複合材料が破壊
する場合は、材料構成や外力のかかり方(曲げ、捻り、
圧壊など)に依存して破壊モードが変化するが、いずれ
かの層の0゜(強化繊維と平行な方向)圧縮又は90゜
(強化繊維と直交する方向)引張のいずれかの破壊モー
ドが支配要因であることが多く、次いで剪断破壊が支配
要因となる。
【0009】このうち、0゜圧縮の破壊モードに関し
て、0゜圧縮強度は、強化繊維の圧縮強度に依存する
が、同時にマトリックス樹脂の曲げ弾性率と、強化繊維
とマトリックス樹脂との接着性にも依存し、これらの値
を高めることにより繊維強化複合材料の0゜圧縮強度を
高めることができる。
【0010】一方、90゜引張の破壊モードに関して、
90゜引張強度は、マトリックス樹脂の引張強度、マト
リックス樹脂の曲げ弾性率と引張伸度、及び強化繊維と
マトリックス樹脂との接着性に依存し、これらの値を高
めることにより繊維強化複合材料の90゜引張強度を高
めることができる。
【0011】マトリックス樹脂の引張強度は、同樹脂の
引張伸度と曲げ弾性率に依存し、これらの値を高めるこ
とによりマトリックス樹脂の引張強度を高めることがで
きる。マトリックス樹脂の引張伸度は樹脂の架橋密度を
低下させることで高めうるが、単に架橋密度を低下させ
ることのみでは、マトリックス樹脂の曲げ弾性率や耐熱
性が低下してしまうといった副作用がある。
【0012】また、マトリックス樹脂の引張強度を高め
ても、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性が不充分
であると、強化繊維とマトリックス樹脂との間で相剥離
が起こり、結果として得られる繊維強化複合材料に充分
な機械強度が得られなかった。
【0013】従って、材料構成や外力のかかり方に依存
せず、得られる繊維強化複合材料に高い機械強度を定常
的に得るためには、マトリックス樹脂の引張強度を高め
ると共に強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を高め
ることは極めて有効である。かかる接着性を高めると、
得られる成形体において、圧縮強度や引張強度など静的
な機械強度ばかりではなく、耐衝撃性など動的な機械強
度をも高めることができる。
【0014】強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を
高めるには、例えば、ガラス繊維に対するシランカップ
リング剤処理、炭素繊維に対する電解酸化などの繊維の
表面処理が知られているが、電解酸化によって、前記接
着性は、ある程度は向上するものの、同時に強化繊維の
強度特性の低下を招いていた。
【0015】また、強化繊維の処理だけでは、前記接着
性を向上させるには限界があり、その他、樹脂の改質に
よる接着性向上手法もとるべきである。現在のところ、
繊維強化複合材料のマトリックス樹脂の主流であるエポ
キシ樹脂について、樹脂の改質により強化繊維とマトリ
ックス樹脂との接着性を高める手法としては、ある種の
熱可塑性樹脂を配合するのが有効であるという知見はあ
るものの、依然として充分な効果が得られていない。
【0016】前述したように、マトリックス樹脂を薄肉
化して得られる薄物状プリプレグは、昨今その需要が増
大している。しかし、薄物状プリプレグは、強化繊維の
目付が100g/m2を越える通常のプリプレグに比
べ、強化繊維をより均一に拡幅せねばならず、また強化
繊維の含有率を一定値とするために、マトリックス樹脂
の粘弾性を、より厳密に調整し適正化する必要がある。
さらに、マトリックス樹脂の粘弾性は、タック性など、
プリプレグの取り扱い性にも大きな影響を与えることか
ら、マトリックス樹脂の粘弾性を適性化することは、従
来は極めて困難であった。
【0017】また、従来はマトリックス樹脂の含有量に
よっても、プリプレグのタック性が影響を受けるため、
マトリックス樹脂の含有量に応じて樹脂の組成を適宜変
更する必要があり、プリプレグの生産性は悪いものであ
った。
【0018】以上より、マトリックス樹脂の曲げ弾性率
や引張伸度などの強度特性を高めながら、同時に取り扱
い性や生産性にも優れるプリプレグ、特に薄物状プリプ
レグを得ることは従来は困難であった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、その硬化物が、良好な引張伸度、曲
げ弾性率と耐熱性を備え、さらには強化繊維との接着性
にも優れるマトリックス樹脂となるエポキシ樹脂組成物
が使用されてなる、取り扱い性や生産性に優れるプリプ
レグ、さらに該プリプレグを用いて得られる各種特性に
優れた繊維強化複合材料を提供せんとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を有する。即ち、次の構成要素
[A]及び[B]を含んでなるエポキシ樹脂組成物が、
強化繊維に含浸されてなるプリプレグであって、該構成
要素[A]において、全エポキシ樹脂100重量%中、
2官能エポキシ樹脂が70〜100重量%であり、かつ
該強化繊維の目付が5〜100g/m2の範囲であること
を特徴とするプリプレグである。 [A]:エポキシ樹脂 [B]:硬化剤
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前記課題につい
て、鋭意検討し、特定のエポキシ樹脂、硬化剤、さらに
は、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基1
個及び特定の部分構造を含んでなるエポキシ樹脂組成物
を、繊維の目付が特定範囲にある強化繊維に含浸させて
得られるプリプレグにより、かかる課題を一挙に解決す
ることを究明したものである。
【0022】かかる特定のエポキシ樹脂は、引張伸度、
曲げ弾性率及び耐熱性を両立させるために、以下に詳述
する特徴を備えることが必要である。尚、本発明におい
て、エポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基
を有するもの、即ち2官能以上のエポキシ樹脂を意味す
る。
【0023】本発明によるプリプレグに用いる強化繊維
としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロ
ン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが用いられ
る。さらにこれらの繊維を2種以上混合して用いても構
わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形体を得る
ために、炭素繊維を用いるのが好ましい。
【0024】本発明において、構成要素[A]は、エポ
キシ樹脂である。樹脂組成物の硬化物、即ちマトリック
ス樹脂の引張伸度を高めるためには、樹脂硬化物の架橋
密度を低くすることと、架橋点間距離を大きくすること
が有効である。かかる観点から、架橋密度を低くするた
めに、2官能エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂の主成分と
して用いることが有効である。また、本発明において
は、マトリックス樹脂により優れた引張伸度を得るため
に、構成要素[A]は、全エポキシ樹脂100重量%に
対して、2官能エポキシ樹脂が、70〜100重量%で
あることが必要であり、好ましくは80〜100重量%
であるのが良い。また、架橋点間距離を大きくするには
エポキシ当量が450以上、好ましくは600以上の高
分子量2官能エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。かか
るエポキシ当量は、4000有れば本発明の効果を奏す
るに当たり、充分である。
【0025】本発明においては、前記高分子量2官能エ
ポキシ樹脂が、構成要素[A]における全2官能エポキ
シ樹脂100重量%に対して、15〜70重量%、好ま
しくは15〜55重量%であるのが良い。15重量%未
満であると引張伸度の向上効果が不足することがあり、
70重量%を越えると曲げ弾性率、耐熱性が低下した
り、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎることが
ある。
【0026】本発明において、2官能エポキシ樹脂で好
ましく用いられるものとしては、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂(ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの
反応により得られるエポキシ樹脂)、ビスフェノールF
型エポキシ樹脂(ビスフェノールFとエピクロロヒドリ
ンの反応により得られるエポキシ樹脂)、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂(ビスフェノールSとエピクロロヒ
ドリンの反応により得られるエポキシ樹脂)、臭素化ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェ
ノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるエ
ポキシ樹脂)、レゾルシノール型エポキシ樹脂(レゾル
シノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるエ
ポキシ樹脂)、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(ジヒ
ドロキシナフタレンとエピクロロヒドリンの反応により
得られるエポキシ樹脂)、ビフェニル型エポキシ樹脂
(ジヒドロキシビフェニル又はその置換基誘導体とエピ
クロロヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂)、
フルオレン型エポキシ樹脂(ビスヒドロキシフェニルフ
ルオレンとエピクロロヒドリンの反応により得られるエ
ポキシ樹脂)、オキサゾリドン型エポキシ樹脂(ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのエポキ
シ化合物とジイソシアネートとの反応により得られるエ
ポキシ樹脂)などが挙げられる。
【0027】これらのうち、レゾルシノール型エポキシ
樹脂、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型
エポキシ樹脂、及びフルオレン型エポキシ樹脂から選ば
れた少なくとも1種を配合することはマトリックス樹脂
の曲げ弾性率を高めるため有効である。また、オキサゾ
リドン型エポキシ樹脂は曲げ弾性率や耐熱性を損なわず
引張伸度を向上させる効果が大きく好適に使用できる。
これは、かかる2官能エポキシ樹脂が、分子内のウレタ
ン構造が樹脂硬化物中で水素結合を形成することによ
り、架橋密度の低下や架橋点間の距離の増加による曲げ
弾性率や耐熱性の低下を補償しているためと推定され
る。
【0028】本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、2
官能エポキシ樹脂以外の任意の成分として、3官能以上
のエポキシ樹脂、即ち、分子内に3個以上のエポキシ基
を有するエポキシ樹脂を含ませることができる。尚、3
官能以上のエポキシ樹脂としては、その官能基数が多過
ぎると、マトリックス樹脂の引張伸度の向上を妨げるの
で、6官能以下のエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0029】3官能以上のエポキシ樹脂は、マトリック
ス樹脂の曲げ弾性率及び耐熱性を向上させるために有効
であるが、配合量が多過ぎるとエポキシ樹脂の硬化物の
架橋密度が高くなり過ぎ、高い引張伸度が得られないと
きがあるため、3官能以上のエポキシ樹脂の配合量は、
全エポキシ樹脂100重量%に対して、0〜40重量%
であるのが好ましい。
【0030】本発明において、3官能以上のエポキシ樹
脂を配合する場合は、ノボラック型エポキシ樹脂(ノボ
ラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるエポ
キシ樹脂)やテトラキス(グリシジルオキシフェニル)
エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタンのような多
官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及びテトラグ
リシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルア
ミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テ
トラグリシジルキシリレンジアミンのような多官能グリ
シジルアミン型エポキシ樹脂などを用いるのが好まし
い。
【0031】本発明において、構成要素[B]は硬化剤
である。硬化剤としては、例えば、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスル
ホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フ
ェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような活
性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス
(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸
エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これ
らの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリ
ロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素
などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチ
ルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−置換イ
ミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジ
シアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒド
ロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチ
ルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水
物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドや
ナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボ
ン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフェノール
化合物、チオグリコール酸とポリオールのエステルのよ
うなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯
体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム塩などを
使用することができる。
【0032】これらの硬化剤には、硬化活性を高めるた
めに適当な硬化助剤を組合わせ使用することができる。
好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−フェニ
ル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフ
ェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−
(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチ
ル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)ト
ルエンのような尿素誘導体を硬化助剤として組合わせる
例、カルボン酸無水物やノボラック樹脂に第三アミンを
硬化助剤として組合わせる例などが挙げられる。
【0033】エポキシ樹脂組成物を上述したような組成
とすることにより、繊維強化複合材料におけるマトリッ
クス樹脂、ここでは、エポキシ樹脂組成物を130℃で
2時間加熱し硬化させて得られる樹脂硬化物の引張伸度
を、8%以上、好ましくは10%以上とすることができ
る。また、同樹脂硬化物の曲げ弾性率を、少なくとも
3.2GPa以上、好ましくは3.5GPa以上とする
こともできる。これにより、得られる繊維強化複合材料
の90゜引張強度と0゜圧縮強度を効果的に高めること
ができる。
【0034】さらに、本発明においては、以下に詳述す
る構成要素[C]を配合することにより、これら特性と
共同させて、得られる繊維強化複合材料の性能をさらに
高めることができる。
【0035】本発明において、構成要素[C]は、分子
内に、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基
1個、及び下記式(1)〜(4)より選ばれる部分構造
(以下、単に部分構造Aと略記)を含む化合物である。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】前記部分構造Aは、強化繊維と相互作用
し、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性(以下、単
に接着性と略記)を高めるものである。これは、強化繊
維の表面に−OHや−NHなどの官能基が存在する場合
に有効である。2つめは強化繊維と樹脂に含まれる双極
子間の電気的引力である。ここでは部分構造Aは強力な
永久双極子として作用する。かかる永久双極子により誘
起双極子が生じ、強化繊維とマトリックス樹脂との間に
電気的引力が生じる。この電気的引力は、炭素繊維のよ
うに表面官能基が少ない強化繊維において、接着性を向
上させるに当たり、特に有効である。
【0041】部分構造Aが、強化繊維と有効に相互作用
するためには、強化繊維表面と接触する必要があるた
め、構成要素[C]は、分子内に、エポキシ樹脂又はそ
の硬化剤と反応しうる官能基を1個有することが必要で
ある。これは、分子内に、エポキシ樹脂又はその硬化剤
と反応しうる官能基を2個以上有する場合は、部分構造
Aがポリマーネットワーク構造の内部に取り込まれるよ
うになり、強化繊維表面と実質的に接触し難くなり、強
化繊維と有効に相互作用し難くなるが、分子内に、エポ
キシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基を1個有す
る場合は、部分構造Aがポリマーネットワークに拘束さ
れず、強化繊維表面と接触し易くなるためと推定され
る。
【0042】また、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応
しうる官能基は、エポキシ樹脂とその硬化剤の反応に比
して相対的に遅い反応性を有することが好ましい。この
場合、主反応である硬化反応に対し、その初期段階で
は、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基の
反応進行量が小さく、後になって反応が進行するように
なり、その結果、ポリマーネットワーク構造の末端部分
に部分構造Aが多く存在するようになり、構成要素
[C]の配合量が少なくても、本発明の効果を奏するに
当たり充分となるためと推定される。
【0043】構成要素[C]は、接着性を高めるだけで
はなく、マトリックス樹脂の曲げ弾性率を高める作用も
ある。この作用の原因としては、部分構造Aと、マトリ
ックス樹脂中に存在する−OHや−NHなどの官能基が
水素結合を形成し、マトリックス樹脂の分子運動を拘束
するためと推定される。
【0044】エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる
官能基の具体例としては、カルボキシル基、フェノール
性水酸基、アミノ基、2級アミン構造、メルカプト基、
エポキシ基、及びカルボニル基と共役した二重結合から
なる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。分子
内に、エポキシ樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基
を1個有する化合物としては、次の一般式(5)又は
(7)で表される化合物が挙げられる。
【0045】
【化9】
【0046】(ここで、Xは、
【0047】
【化10】
【0048】のいずれかであり、R4はアルキル基又は
アリール基である。
【0049】Yは−O−、−NR5−のいずれかであ
り、R5はアルキル基又はアリール基であり、nは0又
は1である。
【0050】R1は、炭化水素より誘導される2価基で
あり、mは0又は1である。
【0051】Zは、カルボキシル基、フェノール性水酸
基、アミノ基、メルカプト基、次の一般式(6)で表さ
れる基、
【0052】
【化11】
【0053】のいずれかであり、R6、R7、R8、R9
水素、アルキル基、アリール基のいずれかである。R2
は水素、アルキル基、アリール基のいずれかであり、R
3は水素、アルキル基、アリール基、−WR10、−W−
OR11、−W−NR1213のいずれかであり、R10、R
11はアルキル基又はアリール基であり、R12、R13は水
素、アルキル基、アリール基のいずれかであり、Wは−
CO−又は−SO2−である。
【0054】上記のアルキル基、アリール基、及びR1
は、アルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基
より選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R1
2、R 3、R5、R6のいずれか2つが環を形成しても良
い。)
【0055】
【化12】
【0056】(ここで、Xは、
【0057】
【化13】
【0058】のいずれかであり、R17はアルキル基又は
アリール基である。また、R15はアルキル基又はアリー
ル基であり、R16は水素、アルキル基、アリール基、ア
シル基のいずれかであり、nは0又は1である。
【0059】R14は、炭化水素より誘導される2価基で
あり、mは0又は1である。
【0060】Zは、カルボキシル基、フェノール性水酸
基、アミノ基、メルカプト基、次の一般式(8)で表さ
れる基、
【0061】
【化14】
【0062】のいずれかであり、R18、R19、R20、R
21は水素、アルキル基、アリール基、アシル基のいずれ
かである。
【0063】上記のアルキル基、アリール基、及びR14
はアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基よ
り選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R14
15、R 16、R18のいずれか2つが環を形成しても良
い。) カルボキシル基を1個有し、一般式(5)で表される化
合物の具体例としては、オキサミン酸、スクシンアミド
酸、2-(フェニルカルバモイルオキシ)プロピオン酸、5-
ヒダントイン酢酸などが挙げられる。
【0064】カルボキシル基を1個有し、一般式(7)
で表される化合物の具体例としては、N-アセチルグリシ
ン、N-アセチルアラニン、4-アセトアミド安息香酸、N-
アセチルアントラニル酸、4-アセトアミド酪酸、6-アセ
トアミドヘキサン酸、馬尿酸、ピログルタミン酸、N-ト
シルグリシン、N-ジメチルホスフィノイルグリシンなど
が挙げられる。
【0065】フェノール性水酸基を1個有し、一般式
(5)で表される化合物の具体例としては、サリチルア
ミド、4-ヒドロキシベンズアミド、4-ヒドロキシフェニ
ルアセトアミドなどが挙げられる。
【0066】フェノール性水酸基を1個有し、一般式
(7)で表される化合物の具体例としては、4-ヒドロキ
シアセトアニリド、3-ヒドロキシアセトアニリド、N-ア
セチルチラミンなどが挙げられる。
【0067】アミノ基を1個有し、一般式(5)で表さ
れる化合物の具体例としては、4-アミノベンズアミド、
3-アミノベンズアミド、4-アミノブチルアミド、6-アミ
ノヘキサンアミド、3-アミノフタルイミド、4-アミノフ
タルイミド、スルファニルアミド、1-ブチル-3-スルフ
ァニリル尿素、アシュラム、ファーストレッドITRベ
ース、FGLベース、2-アミノ-N-エチル-N-フェニルベ
ンゼンスルホンアミドなどが挙げられる。
【0068】アミノ基を1個有し、一般式(7)で表さ
れる化合物の具体例としては、4'-アミノアセトアニリ
ド、4'-アミノ-N-メチルアセトアニリド、3'-アミノプ
ロピオンアニリド、などが挙げられる。
【0069】2級アミン構造を1個有し、一般式(5)
で表される化合物の具体例としては、ニペコタミド、N,
N-ジエチルニペコタミド、イソニペコタミドなどが挙げ
られる。
【0070】2級アミン構造を1個有し、一般式(7)
で表される化合物の具体例としては、1-アセチルピペラ
ジン、1-トシルピペラジンなどが挙げられる。
【0071】メルカプト基を1個有し、一般式(7)で
表される化合物の具体例としては、4-アセトアミドチオ
フェノール、N-(2-メルカプトエチル)アセトアミドな
どが挙げられる。
【0072】エポキシ基を1個有し、一般式(5)で表
される化合物の具体例としては、グリシダミド、N-フェ
ニルグリシダミド、N,N-ジエチルグリシダミド、N-メト
キシメチルグリシダミド、N-ヒドロキシメチルグリシダ
ミド、2,3-エポキシ-3-メチルブチルアミド、2,3-エポ
キシ-2-メチルプロピオンアミド、9,10-エポキシステア
ラミドなどが挙げられる。
【0073】エポキシ基を1個有し、一般式(7)で表
される化合物の具体例としては、N-グリシジルフタルイ
ミドなどが挙げられる。
【0074】一般式(5)又は(7)で表される化合物
の他に、アミノ基を1個有する化合物として、ヒドラジ
ド類、具体的には、アセトヒドラジド、ベンゾヒドラジ
ド、3-アミノローダニン、ベンゼンスルホヒドラジドな
どが挙げられる。
【0075】硬化剤と反応しうる官能基としては、さら
にカルボニル基と共役した二重結合が挙げられる。カル
ボニル基と共役した二重結合は、硬化剤中のアミノ基や
メルカプト基とマイケル型の付加反応を行う。
【0076】カルボニル基と共役した二重結合を1個有
する化合物としては、次の一般式(9)又は(10)に
表される化合物を用いることができる。
【0077】
【化15】
【0078】(ここで、Xは、
【0079】
【化16】
【0080】のいずれかであり、R28はアルキル基又は
アリール基である。
【0081】Yは−O−、−NR29−のいずれかであ
り、R29はアルキル基又はアリール基であり、nは0又
は1である。
【0082】R22は、炭化水素より誘導される2価基で
ある。
【0083】R23、R24、R25は水素、アルキル基、ア
リール基のいずれかである。
【0084】R26は水素、アルキル基、アリール基のい
ずれかであり、R27は水素、アルキル基、アリール基、
−WR30、−W−OR31、−W−NR3233のいずれか
であり、R30、R31はアルキル基又はアリール基であ
り、R32、R33は水素、アルキル基、アリール基のいず
れかであり、Wは−CO−又は−SO2−である。
【0085】上記のアルキル基、アリール基、及びR22
はアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基か
ら選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R22
23、R 24、R25、R26、R27、R29のいずれか2つが
環を形成しても良い。)
【0086】
【化17】
【0087】(ここで、Xは、
【0088】
【化18】
【0089】のいずれかであり、R40はアルキル基又は
アリール基であり、nは0又は1である。
【0090】R34は、炭化水素より誘導される2価基で
ある。
【0091】R35、R36、R37は水素、アルキル基、ア
リール基のいずれかである。
【0092】R38はアルキル基、アリール基のいずれか
であり、R39は水素、アルキル基、アリール基、アシル
基のいずれかである。
【0093】上記のアルキル基、アリール基、及びR34
は、アルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基
より選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R34、R
35、R36、R37、R38、R39のいずれか2つが環を形成
しても良い。) さらに、カルボニル基と共役した二重結合を1個有する
化合物は、二重結合と共役するカルボニル基が前記式
(1)の構造のカルボニル基と同一であっても良い。即
ち、下記式(11)で表される部分構造Bを有するもの
でも良い。
【0094】
【化19】
【0095】上式(11)で表される部分構造Bを有す
る化合物としては、次の一般式(12)で表される化合
物を用いることができる。
【0096】
【化20】
【0097】(ここで、R41、R42、R43は水素、アル
キル基、アリール基のいずれかである。R44は水素、ア
ルキル基、アリール基のいずれかであり、R45は水素、
アルキル基、アリール基、−WR46、−W−OR47、−
W−NR4849のいずれかであり、R46、R47はアルキ
ル基又はアリール基であり、R48、R49は水素、アルキ
ル基、アリール基のいずれかであり、Wは−CO−又は
−SO2−である。
【0098】上記のアルキル基、アリール基は、アルキ
ル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基より選ばれ
る置換基を有しても良い。さらに、R41、R42、R43
44、R45のいずれか2つが環を形成しても良い。) 前記式(11)で表される部分構造Bを有する化合物と
しては、さらにマレイミド及びアルキル基又はアリール
基を置換基として有するマレイミド誘導体を用いること
ができる。
【0099】一般式(9)で表される化合物の具体例と
しては、2-(フェニルカルバモイルオキシ) エチルメタ
クリレート、2-(メタクリロイルオキシ)プロピオンアミ
ド、2-(フェニルウレイド)エチルメタクリレード、ラ
クタミドアクリレート、ラクタミドメタクリレート、2-
(ジメチルチオカルバモイルオキシ)エチルメタクリレ
ート、2-(トシルカルバモイルオキシ)エチルメタクリ
レートなどが挙げられる。
【0100】一般式(10)で表される化合物の具体例
としては、2-(メトキシカルボニルアミノ)エチルメタ
クリレート、2-(フェノキシカルボニルアミノ)エチル
メタクリレートなどが挙げられる。
【0101】一般式(11)で表される化合物の具体例
としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロト
ンアミド、シンナムアミド、N,N-ジメチルアクリルアミ
ド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジブチルアクリ
ルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N-tert-ブ
チルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、
N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、
N-t-オクチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアク
リルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ブト
キシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアク
リルアミド、ジアセトンアクリルアミド、1-アクリロイ
ルモルホリン、1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド、ナ
ジイミドなどが挙げられる。
【0102】アルキル基又はアリール基を置換基として
有するマレイミド誘導体としては、N-エチルマレイミ
ド、N-イソプロピルマレイミド、N-フェニルマレイミド
などが挙げられる。
【0103】前記部分構造Aは、より大きな構造の一部
でも良い。例えば、前記式(1)で表されるアミド結合
を有する化合物としては、カルボン酸アミドがあるが、
それ以外にも環の一部にアミド結合を有するものでも良
い。この場合、特に大きく接着性を向上させるため好ま
しい。部分構造Aは、さらに大きな構造、例えば、イミ
ド、ウレタン、ウレア、ビウレット、ヒダントイン、カ
ルボン酸ヒドラジド、ヒドロキサム酸、セミカルバジ
ド、セミカルバゾンなどの構造の一部でも良い。
【0104】アミド結合のカルボニル酸素は、強化繊維
としてのガラス繊維表面の水酸基、アラミド繊維表面の
アミド基、炭素繊維表面のカルボキシル基や水酸基など
の水素原子との水素結合を形成し、接着性を高める。
【0105】さらに、アミド結合におけるカルボニル基
は、前述したとおり、強い永久双極子でもあるため、炭
素繊維のように分極率の高い強化繊維に誘起双極子を作
り、双極子−双極子の電気的引力により、接着性を高め
る。
【0106】構成要素[C]は、1種配合しても複数種
配合しても良い。構成要素[C]の配合量は、全エポキ
シ樹脂100重量%に対して、0.5〜15重量%、好
ましくは0.5〜10重量%であるのが良い。0.5重
量%未満であると、得られる複合材料において弾性率の
向上効果が充分に発現されず、15重量%を越えると得
られる複合材料において耐熱性の低下などの弊害が生じ
る恐れがある。
【0107】構成要素[C]は、室温25℃で液体状の
ものでも固体状のものでも良い。固体状のものを用いる
場合は、エポキシ樹脂組成物に配合した後、加熱撹拌し
て溶解させても良く、未溶解の状態で配合しても良い。
未溶解の状態で配合する場合は、粒径10μm以下に粉
砕したものを用いるのが好ましい。
【0108】本発明において、構成要素[D]は、分子
内に芳香環を有するポリエステルポリウレタンである。
この化合物は、硬化物の引張伸度を低下させることなく
弾性率を高めるための化合物として配合される。
【0109】即ち、構成要素[D]の分子中に存在する
ウレタン構造がエポキシ樹脂中に存在する水酸基と強い
水素結合を形成して分子運動を拘束するため、樹脂硬化
物の弾性率が高められるようになると推定される。
【0110】また、構成要素[D]は、分子中のエステ
ル構造が硬化剤中のアミノ基、メルカプト基、フェノー
ル性水酸基等と求核置換反応により反応してエポキシ樹
脂硬化物のネットワークの一部となることから、相分離
が生じず、樹脂硬化物の弾性率が低下し難いという特徴
も備える。
【0111】本発明において、構成要素[D]として
は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合
によって得られるポリエステルポリオールにイソシアネ
ート基を2個以上有するポリイソシアネート及び必要に
応じて連鎖延長剤を用いてワンショット法やプレポリマ
ー法といった従来公知の方法を適用して得られるポリエ
ステルポリウレタンが使用できる。尚、本発明におい
て、構成要素[D]は、1種又は複数種、樹脂組成物に
配合することができる。
【0112】多価カルボン酸としては、マロン酸、コハ
ク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、フタル酸、無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、無水ナジック酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、中でもコハ
ク酸やアジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が好ましく
用いられる。
【0113】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピ
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4
−ブチレングリコール、1,5−ブチレングリコール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェ
ノールAプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が
挙げられ、中でも1,2−プロピレングリコール、1,
4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等
が好ましく用いられる。
【0114】ポリイソシアネートとしては、合成される
ポリエステルポリウレタンが、分子内に芳香環を有する
ことにより、エポキシ樹脂組成物が加熱硬化されて得ら
れる硬化物の弾性率がより高まることから、芳香族ポリ
イソシアネートが好ましく用いられる。例えば、2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−
フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチル
キシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイ
ソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオ
ホスフェート、及びこれらのオリゴマーが挙げられ、中
でも2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネートが好ましく用いられる。
【0115】連鎖延長剤としては、1,2−プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールや、これらの混合物が用いられる。
【0116】本発明において、構成要素[D]は、全エ
ポキシ樹脂100重量部に対して1〜15重量部、好ま
しくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部配
合するのが良い。1重量部未満であると樹脂硬化物の弾
性率の向上効果が不充分となり、15重量部を超えると
樹脂硬化物の耐熱性が低下することがある。
【0117】なお、構成要素[C]と構成要素[D]
は、勿論、同時に配合することもできるが、この場合
は、樹脂硬化物の耐熱性等を確保するため、構成要素
[C]と構成要素[D]の配合量の合計を、全エポキシ
樹脂100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは
1〜10重量部とするのが良い。
【0118】本発明におけるエポキシ樹脂組成物には、
改質剤として、高分子化合物、有機粒子、無機粒子、そ
の他の成分を配合することができる。
【0119】本発明におけるエポキシ樹脂組成物に配合
する高分子化合物としては、熱可塑性樹脂が好ましく使
用される。熱可塑性樹脂を配合することにより、強化繊
維に含浸させる際の樹脂組成物の粘度制御、プリプレグ
とした際の取り扱い性、及び接着性改善などの効果が高
められる。
【0120】ここで使用する熱可塑性樹脂は、接着性向
上のために、相乗効果が期待できる水素結合性の官能基
を有する熱可塑性樹脂が特に好ましい。水素結合性の官
能基の具体例としては、アルコール性水酸基、アミド結
合、スルホニル基などが挙げられる。
【0121】アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂
としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラー
ルなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコ
ール、フェノキシ樹脂など、アミド結合を有する熱可塑
性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミドなど、スルホ
ニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンな
どがそれぞれ挙げられる。ポリアミド、ポリイミド及び
ポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基など
の官能基を有しても良い。ポリアミドは、アミド基の窒
素原子に置換基を有しても良い。
【0122】水素結合性官能基を有し、さらにエポキシ
樹脂に可溶な熱可塑性樹脂の市販品としては、ポリビニ
ルアセタール樹脂であるビニレック(登録商標、チッソ
(株)製)、フェノキシ樹脂であるUCARPKHP
(型番、ユニオンカーバイド社製)、ポリアミド樹脂と
してマクロメルト(登録商標、ヘンケル白水(株)
製)、アミランCM4000(登録商標、東レ(株)
製)、ポリイミドであるウルテム(登録商標、ジェネラ
ル・エレクトリック社製)、Matrimid5218
(登録商標、チバ社製)、ポリスルホンとしてVict
rex(登録商標、三井東圧化学(株)製)、UDEL
(登録商標、ユニオン・カーバイド社製)などを使用す
ることができる。
【0123】これら熱可塑性樹脂は、マトリックス樹脂
に適度な粘弾性を与え、得られる複合材料に良好な機械
強度を得るために、全エポキシ樹脂100重量%に対し
て1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%配合する
のが良い。
【0124】本発明におけるエポキシ樹脂組成物に配合
する有機粒子としては、ゴム粒子及び熱可塑性樹脂粒子
などが好ましく使用される。これらの粒子はマトリック
ス樹脂の靭性や、繊維強化複合材料の耐衝撃性を高める
作用を有する。
【0125】ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、及び架
橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコ
アシェルゴム粒子が好ましく使用される。
【0126】架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキ
シル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架
橋物からなるXER−91(型番、日本合成ゴム工業
(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシ
リーズ(型番、日本触媒(株)製)、YR−500シリ
ーズ(型番、東都化成(株)製)などを使用することが
できる。
【0127】コアシェルゴム粒子の市販品としては、ブ
タジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物か
らなるパラロイドEXL−2655(登録商標、呉羽化
学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸
エステル共重合体からなるスタフィロイドAC−335
5、TR−2122(登録商標、型番、武田薬品工業
(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共
重合物からなるPARALOIDEXL−2611、E
XL−3387(登録商標、Rohm&Haas社製)などを使
用することができる。
【0128】熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミドあ
るいはポリイミドの粒子が好ましく使用される。ポリア
ミド粒子の市販品として、SP−500(型番、東レ
(株)製)、オルガソール(登録商標、ATOCHEM
社製)などを使用することができる。
【0129】無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ス
メクタイト、合成マイカなどが好ましく使用される。こ
れらの無機粒子は、主としてレオロジー制御、即ち樹脂
の増粘や揺変性付与のために配合できる。
【0130】上述したような組成のエポキシ樹脂組成物
は、前記各種改質剤の配合量を適正化することにより、
その50℃環境下における粘度が10〜3000Pa・
s、好ましくは20〜2000Pa・s、より好ましく
は30〜1000Pa・sの範囲とすることができる。
10Pa・s未満であると、エポキシ樹脂組成物が強化
繊維の間に沈みこんでしまい、プリプレグの表面に樹脂
が必要量残存しないため、プリプレグの表面におけるタ
ック性を確保するのが困難となることがある。3000
Pa・sを越えると、エポキシ樹脂組成物を強化繊維に
含浸する際、強化繊維が充分に拡幅せず、強化繊維の使
用量が少ない薄物状プリプレグの製造が困難となること
がある。
【0131】また、本発明において、プリプレグは、取
り扱い性向上の観点から、後述するタック係数が0.3
〜2kgf、好ましくは0.3〜1.5kgfの範囲で
あるのが良い。
【0132】また、本発明におけるエポキシ樹脂組成物
は、使用する硬化助剤と硬化時間を適正化することによ
り、硬化のための温度を80〜180℃の範囲に設定で
きるが、通常130℃、2時間程度の条件が採用される
ことが多く、かかる条件で硬化されて得られる成形体が
良好な機械強度を発現することが好ましい。
【0133】本発明においては、強化繊維に、前述した
ようなエポキシ樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグ
を積層し、加熱し硬化させることにより、繊維強化複合
材料を得ることができる。この方法によれば、ゴルフシ
ャフト、釣り竿、ラケットなどのスポーツ用品の製造に
適した繊維強化複合材料を得ることができる。
【0134】前述したように、本発明によるプリプレグ
に用いる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ア
ラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊
維などが用いられるが、さらに軽量なゴルフシャフト、
釣り竿などのスポーツ用品に適用するためには、少量の
材料で充分な製品の剛性を発現させ得るように、引張弾
性率の高い炭素繊維を強化繊維として用いるのが好まし
い。かかる炭素繊維は、その引張弾性率が、200〜8
00GPa、好ましくは225〜800GPaの範囲で
あるのが良い。
【0135】また、本発明においては、品質の良好なプ
リプレグ、特に、品質の良好な薄物状プリプレグを得る
ために、強化繊維の目付を5〜100g/m2の範囲とす
ることが必要であり、好ましくは8〜95g/m2、より
好ましくは10〜92g/m2の範囲とするのが良い。5g
/m2未満であると強化繊維を均一に拡幅することが困難
となることがある。100g/m2を越えるとプリプレグ
の厚みが増大し過ぎ、軽量化の効果や使用上の利便性が
損なわれることがある。
【0136】また、本発明においては、強化繊維に炭素
繊維を使用する場合は、その繊度を1g/m以下とする
のが好ましい。繊度が1g/mを越えると、充分に強化
繊維が拡がらず品質の良好なプリプレグが得られないこ
とがある。なお、繊度は、0.05g/m程度有れば、
本発明の効果を奏するに当たり充分である。
【0137】本発明においてプリプレグは、マトリック
ス樹脂をメチルエチルケトン、メタノールなどの溶媒に
溶解して低粘度化し、含浸させるウエット法と、加熱に
より低粘度化し、含浸させるホットメルト法などの方法
により製造される。
【0138】ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組
成物からなる溶液に浸漬した後引き上げ、オーブンなど
を用いて溶媒を蒸発させてプリプレグを製造する方法で
ある。
【0139】ホットメルト法は、加熱により低粘度化し
たエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方
法、あるいは一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙などの上
にコーティングしたフィルムを作成しておき、ついで強
化繊維の両側あるいは片側から該フィルムを重ね、加熱
加圧することにより樹脂を含浸させたプリプレグを製造
する方法である。本方法は、プリプレグ中に残留する溶
媒がないため好ましく採用できる。
【0140】プリプレグに用いる強化繊維の形態や配列
は特に限定されず、例えば、一方向に引き揃えた長繊
維、単一のトウ、織物、マット、ニット、組み紐などが
用いられる。
【0141】プリプレグを用いた繊維強化複合材料は、
プリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂
を加熱し硬化させて成形する方法などにより作製でき
る。
【0142】熱及び圧力を付与する方法には、プレス成
形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッ
ピングテープ法、内圧成形法などがあり、特にスポーツ
用品に関しては、ラッピングテープ法、内圧成形法が好
ましく採用される。
【0143】ラッピングテープ法は、マンドレルなどの
芯金にプリプレグを巻いて、円筒状物を成形する方法で
あり、ゴルフシャフト、釣り竿などの棒状体を作製する
際に好適である。具体的には、マンドレルにプリプレグ
を巻き付け、プリプレグの固定及び圧力付与のために、
プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッ
ピングテープを巻き付け、オーブン中で樹脂を加熱し硬
化させた後、芯金を抜き去って円筒状成形体を得る。
【0144】また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂のチュ
ーブなどの内圧付与体にプリプレグを巻きつけたプリフ
ォームを金型中に設置し、次いで内圧付与体に高圧の気
体を導入して圧力をかけると同時に金型を加熱し成形す
る方法である。ゴルフシャフト、バット、テニスやバト
ミントンなどのラケットのような複雑な形状物を成形す
る際に好適に用いられる。
【0145】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。樹脂硬化物の物性測定、プリプレグの作製、円筒複
合材料の作製、プリプレグのタック性の指標となるタッ
ク係数の測定は次に示す方法で行った。なお、特に断ら
ない限り、物性は全て気温23℃、相対湿度50%の環
境で測定した。 (1)樹脂硬化物(板)の物性 A.曲げ弾性率 エポキシ樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入
し、130℃に温調した熱風乾燥機中で2時間加熱し硬
化させて厚さ2mmの樹脂硬化物板を作成した。次に、
樹脂硬化物板から幅10mm、長さ60mmの試験片を
切り出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで
3点曲げ試験を行い、JIS K7203に従い曲げ弾
性率を求めた。 B.引張伸度 上記A項と同様にして作成した樹脂硬化物板より、JI
S K7113に従い、小型1(1/2)号形試験片を
切り出し、引張伸度を求めた。 (2)エポキシ樹脂組成物の粘度 B型回転粘度計(東京計器(株)製)を用い、60rp
mにおける見かけ粘度を測定し、樹脂組成物の粘度とし
た。 (3)プリプレグの作製 エポキシ樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて
離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作成した。次に、シ
ート状に一方向に整列させた炭素繊維に樹脂フィルム2
枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧してエポキシ樹
脂組成物を含浸させ、各実施例に示すようなプリプレグ
を作製した。 (4)円筒複合材料の作製 下記(a)〜(f)の操作により、円筒軸方向に対して
[90#/0#/0#/90#]の積層構成を有し、内径が
16mmの円筒複合材料を作製した。マンドレルには直
径16mm(いずれも長さ1000mm)のステンレス
製丸棒を使用した。 (a)薄物状プリプレグを繊維に対して90゜方向が縦
方向になるように、縦800mm×横52mmの長方形
(以下、単に90#材と略記)に切り出した。 (b)離型処理したマンドレルに、上記薄物状プリプレ
グをプリプレグの縦方向とマンドレル軸方向が一致する
ように巻き付けた。 (c)その上に、繊維の方向が縦方向になるように、縦
800mm×横104mmの長方形に切り出したプリプ
レグ(以下、ストレート材と略記)をプリプレグの縦方
向とマンドレル軸方向が一致するように巻き付けた。
【0146】ここで、以下の実施例1〜8と比較例1、
2では、ストレート材として、強化繊維(炭素繊維)の
引張弾性率377GPa、引張強度4.4GPaで、強
化繊維目付が150g/m2、強化繊維含有量Wfが80
%のプリプレグを使用した。
【0147】一方、実施例9、10と比較例3、4で
は、ストレート材として、強化繊維(炭素繊維)の引張
弾性率294GPa、引張強度5.49GPaで、強化
繊維目付が150g/m2、強化繊維含有量Wfが80%
のプリプレグを使用した。 (d)更にその上に、薄物状プリプレグを繊維に対して
90゜方向が縦方向になるように、縦800mm×横5
4mmの長方形に切り出したものをプリプレグの縦方向
とマンドレル軸方向が一致するように巻き付けた。 (e)ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻
きつけ、硬化炉中で130℃、2時間加熱成形した。 (f)成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテー
プを除去して円筒複合材料を得た。 (5)円筒複合材料の圧壊強度 上記(4)で作製した円筒複合材料から長さ15mmの
試験片を切り出し、ステンレス平板を介して円筒の半径
方向に圧縮荷重を加えて破壊し、破壊時の荷重を圧壊強
度とした。ここで、試験速度は5mm/分とした。 (6)プリプレグのタック係数 プリプレグを幅100mm、長さ200mmにカット
し、表面が平らなプラスチック板に両面テープで測定中
に剥がれないようにしっかりと貼り付けする。プリプレ
グの表面に18mm×18mmのガラスを0.4kgf
の荷重で5秒間押しつけた後、該ガラスを30mm/分
の速度で、プラスチック板に対して垂直な方向に引き剥
がすときの剥離力を測定し、プリプレグのタック係数と
した。 (7)プリプレグのワレ数 プリプレグにおいて、強化繊維の拡幅が不均一で、強化
繊維間の幅が1mm以上、長さが3mm以上の部分を
「ワレ」として、プリプレグ100m2当たりの個数を
目視で数えた。
【0148】また、実施例においては、各構成要素やそ
の他の化合物の市販品として次に示すものを使用した。 (1)構成要素[A] (i)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能) エピコート828(登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製、エポキシ当量184〜194) エピコート1001(登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製、エポキシ当量450〜500) (ii)ビスフェノールF型エポキシ樹脂(2官能) エピコート807(登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製、エポキシ当量160〜175) (iii)オキサゾリドン型エポキシ樹脂(2官能) XAC4151(型番、旭チバ社製、エポキシ当量41
2) (iv)レゾルシノール型エポキシ樹脂(2官能) デナコールEX−201(登録商標、ナガセ化成工業
(株)製、エポキシ当量118) (v)ビフェニル型エポキシ樹脂(2官能) エピコートYX4000H(登録商標、油化シェルエポ
キシ(株)製、エポキシ当量180〜192) (vi)臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官
能) エピクロン152(登録商標、大日本インキ化学工業
(株)製、エポキシ当量340〜380) (vii)グリシジルアミン型エポキシ樹脂(4官能) スミエポキシELM434(登録商標、住友化学(株)
製、エポキシ当量110〜130) (viii)ノボラック型エポキシ樹脂(多官能) エピコート154(登録商標、油化シェルエポキシ
(株)製、エポキシ当量176〜181) (2)構成要素[B](硬化剤) エピキュアDICY−7(登録商標、油化シェルエポキ
シ(株)製、ジシアンジアミド) (3)構成要素[C] DMAA(型番、(株)興人製、カルボニル基と共役し
た二重結合を1個有し、アミド結合を有する化合物、ジ
メチルアクリルアミド) (4)構成要素[D] PANDEX T−5205(登録商標、大日本インキ
化学工業(株)、分子内に芳香環を有するポリエステル
系ポリウレタン) (5)その他 (i)硬化助剤 DCMU−99(登録商標、保土谷化学工業(株)製、
3-(3,4-シ゛クロロフェニル)-1,1-シ゛メチルウレア) (ii)エポキシ樹脂に可溶で、水素結合性官能基を有す
る熱可塑性樹脂 ビニレックK(登録商標、チッソ(株)製、ポリビニル
アセタール樹脂) (実施例1〜11)各実施例について、表1又は2に示
すようなエポキシ樹脂組成物を調製し、前記方法に従
い、その硬化物の曲げ弾性率と引張伸度を測定した。次
に、前記方法に従い、繊度0.066g/mの炭素繊維
を用いて、強化繊維の目付が20g/m 2、強化繊維含有
率Wfが57%の薄物状プリプレグを作製し、そのタッ
ク係数など品位を評価した。さらに、これらを積層、硬
化させて、前記方法に従い、円筒複合材料を作製し、そ
の圧壊強度を測定した。結果を表1又は2に示す。 (比較例1、2)各比較例について、表3に示すような
エポキシ樹脂組成物を調製し、前記方法に従い、その硬
化物の曲げ弾性率と引張伸度を測定した。次に、実施例
1〜11と同様にして薄物状プリプレグを作製し、その
タック係数など品位を評価した。さらに、さらに、これ
らを積層、硬化させて、前記方法に従い、円筒複合材料
を作製し、その圧壊強度を測定した。結果を表3に示
す。 (実施例12)実施例1と同じエポキシ樹脂組成物を調
製し、前記方法に従い、その硬化物の曲げ弾性率と引張
伸度を測定した。次に、前記方法に従い、繊度0.4g
/mの炭素繊維を用いて、強化繊維の目付が55g/
2、強化繊維含有率Wfが76%の薄物状プリプレグ
を作製し、そのタック係数など品位を評価した。さら
に、これらを積層、硬化させて、前記方法に従い、円筒
複合材料を作製し、その圧壊強度を測定した。結果を表
4に示す。 (比較例3)比較例1と同じエポキシ樹脂組成物を調整
し、前記方法に従い、その硬化物の曲げ弾性率と引張伸
度を測定した。次に、実施例9と同様にして薄物状プリ
プレグを作製し、そのタック係数など品位を評価した。
さらに、これらを積層、硬化させて、前記方法に従い、
円筒複合材料を作製し、その圧壊強度を測定した。結果
を表4に示す。 (実施例13)実施例1と同じエポキシ樹脂組成物を調
整し、前記方法に従い、その硬化物の曲げ弾性率と引張
伸度を測定した。次に、前記方法に従い、繊度0.4g
/mの炭素繊維を用いて、強化繊維の目付が27.5g/
2、強化繊維含有率Wfが61%の薄物状プリプレグ
を作製し、そのタック係数など品位を評価した。さら
に、これらを積層、硬化させて、前記方法に従い、円筒
複合材料を作製し、その圧壊強度を測定した。結果を表
5に示す。 (比較例4)比較例1と同じエポキシ樹脂組成物を調整
し、前記方法に従い、その硬化物の曲げ弾性率と引張伸
度を測定した。次に、実施例13と同様にして薄物状プ
リプレグを作製し、そのタック係数など品位を評価し
た。さらに、これらを積層、硬化させて、前記方法に従
い、円筒複合材料を作製し、その圧壊強度を測定した。
結果を表5に示す。 (比較例5)実施例2と同じエポキシ樹脂組成物を調整
し、前記方法に従い、その硬化物の曲げ弾性率と引張伸
度を測定した。次に、実施例2と同じ炭素繊維を用い
て、強化繊維の目付が4g/m2、強化繊維含有率Wfが
70%の薄物状プリプレグを作製し、そのタック係数な
ど品位を評価した。このとき、薄物状プリプレグにはワ
レが多く、品位が悪いために、円筒複合材料を作製する
ことはできなかった。結果を表6に示す。 (比較例6)実施例2と同じエポキシ樹脂組成物を調整
し、前記方法に従い、その硬化物の曲げ弾性率と引張伸
度を測定した。次に、実施例2と同じ炭素繊維を用い
て、強化繊維の目付が200g/m2、強化繊維含有率W
fが57%のプリプレグを作製し、そのタック係数など
品位を評価した。さらに、これらを積層、硬化させて、
前記方法に従い、円筒複合材料を作製し、その圧壊強度
を測定した。結果を表6に示す。本プリプレグは、強化
繊維の目付が高く、厚みが過大となり、巻き終わりの段
差が大きくなるなど品質面で不満足なものとなった。さ
らに軽量性に劣り、円筒複合材料を作製することもでき
なかった。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【表3】
【0152】
【表4】
【0153】
【表5】
【0154】
【表6】
【0155】
【発明の効果】本発明によれば、強化繊維とマトリック
ス樹脂との接着性、及びマトリックス樹脂の引張伸度と
曲げ弾性率に優れるエポキシ樹脂組成物が得られる。こ
の樹脂組成物と、目付が特定範囲にある強化繊維とか
ら、タック性など取り扱い性に優れるプリプレグ、特に
薄物状プりプレグを作製でき、さらにこの薄物状プリプ
レグを積層して成形することにより、0゜圧縮強度と9
0゜引張伸度に優れる繊維強化複合材料を製造すること
ができる。
【0156】本発明による繊維強化複合材料は、曲げ強
度、捻り強度、圧壊強度、面内剪断強度、及びEnd Notc
hed Flexure法で測定したモードII層間靭性に優れたも
のとなる。これは、マトリックス樹脂の引張伸度が高い
場合に顕著である。この原因としては、引張伸度が高い
マトリックス樹脂は、局所的な繊維破断による微小亀裂
の伝搬を防ぐとともに、強化繊維とマトリックス樹脂と
の相剥離を防ぐ効果を有するためと推定される。
【0157】本発明による繊維強化複合材料は、0゜層
間剪断強度(ILSS)にも優れたものとなる。この効
果は、マトリックス樹脂の曲げ弾性率が高い場合に顕著
である。この原因としては、曲げ弾性率が高いマトリッ
クス樹脂は、強化繊維のオイラー座屈を防ぐ効果を有す
るためと推定される。
【0158】本発明による繊維強化複合材料は、シャル
ピー衝撃破壊強度に代表される耐衝撃性に優れたものと
なる。
【0159】本発明による繊維強化複合材料は、その優
れた機械強度から、スポーツ用途では、ゴルフシャフ
ト、釣り竿、テニス、バトミントン、スカッシュなどの
ラケット、ホッケーなどのスティック、スキーポールな
どに好適に用いられる。また、航空宇宙用途では、主
翼、尾翼、フロアビームなどの航空機一次構造材、フラ
ップ、エルロン、カウル、フェアリング、内装材などの
二次構造材、ロケットモーターケース、人工衛星構造材
などに好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自
動車、船舶、鉄道車両などの移動体の構造材、ドライブ
シャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホ
イール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、補
修補強材料など土木・建築材料などに好適に用いられ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AB06 AB08 AB09 AB10 AD23 AD27 AD28 AD43 AE01 AE06 AF12 AF23 AF24 AF26 AF27 AF28 AF29 AF30 AF31 AG03 AG12 AK05 AL04 AL05 4J036 AA01 AC01 AD01 AD08 AD21 AF01 AF07 DA01 DB15 DC02 DC19 DC35 DC48 FA10 FA11 FA12 FB07 FB10 JA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の構成要素[A]及び[B]を含んでな
    るエポキシ樹脂組成物が、強化繊維に含浸されてなるプ
    リプレグであって、該構成要素[A]において、全エポ
    キシ樹脂100重量%中、2官能エポキシ樹脂が70〜
    100重量%であり、かつ該強化繊維の目付が5〜10
    0g/m2の範囲であることを特徴とするプリプレグ。 [A]:エポキシ樹脂 [B]:硬化剤
  2. 【請求項2】前記構成要素[A]が、エポキシ当量が4
    50以上の高分子量2官能エポキシ樹脂を含んでなるも
    のであり、該高分子量2官能エポキシ樹脂が、全2官能
    エポキシ樹脂100重量%に対して、15〜70重量%
    であることを特徴とする請求項1記載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】前記エポキシ樹脂組成物が、次の構成要素
    [C]及び/又は[D]を含んでなることを特徴とする
    請求項1又は2記載のプリプレグ。 [C]:分子内に、エポキシ樹脂又は硬化剤と反応しう
    る官能基1個、及び下記式(1)〜(4)より選ばれる
    部分構造を含む化合物 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 [D]:分子中に芳香環を有するポリエステルポリウレ
    タン
  4. 【請求項4】前記エポキシ樹脂組成物の50℃環境下に
    おける粘度が10〜3000Pa・sの範囲にあること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレ
    グ。
  5. 【請求項5】プリプレグのタック係数が0.3〜2kg
    fの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載のプリプレグ。
  6. 【請求項6】前記強化繊維が、繊度が1g/m以下の炭
    素繊維を含んでなることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載のプリプレグ。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレ
    グが加熱され、硬化されてなることを特徴とする繊維強
    化複合材料。
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