JP2002327041A - 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料 - Google Patents

繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料

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JP2002327041A
JP2002327041A JP2002030690A JP2002030690A JP2002327041A JP 2002327041 A JP2002327041 A JP 2002327041A JP 2002030690 A JP2002030690 A JP 2002030690A JP 2002030690 A JP2002030690 A JP 2002030690A JP 2002327041 A JP2002327041 A JP 2002327041A
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epoxy resin
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weight
component
fiber
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Hideki Okita
英樹 沖田
Shunsaku Noda
俊作 野田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】その硬化物が、塑性変形能力に優れる繊維強化
複合材料のマトリックス樹脂となるエポキシ樹脂組成
物、及びこれを用いてなるプリプレグ、さらにこれを用
いて得られる各種物性に優れた繊維強化複合材料、管状
体を提供すること。 【解決手段】次の構成要素(A)、(B)を含んでな
り、 (A)平均エポキシ当量が250〜350であるエポキ
シ樹脂 (B)硬化剤 加熱硬化せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tg
(℃)と、該硬化物のゴム状態の弾性率G'r(MP
a)が次式(1)と(2)をそれぞれ満足するエポキシ
樹脂組成物。 80℃≦Tg≦200℃ (1) 1≦G'r≦8 (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用途、航
空宇宙用途、一般産業用途に適した繊維強化複合材料、
及び該複合材料のマトリックス樹脂として用いるエポキ
シ樹脂組成物、並びにプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからな
る、いわゆるプリプレグを中間基材として製造される繊
維強化複合材料は、スポーツ用途をはじめとして航空宇
宙用途、一般産業用途等に広く用いられている。中で
も、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニ
スやバトミントン等のラケット、ホッケー等のスティッ
ク等が重要な用途である。
【0003】スポーツ用途では、強化繊維としての炭素
繊維にマトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂組成物を
組み合わせたプリプレグが部材(繊維強化複合材料)の
製造に用いられることが多い。
【0004】プリプレグは、シート状などの形態の中間
基材であり、これを積層して管状の積層体とし、含浸樹
脂を加熱により硬化せしめ、繊維強化複合材料とする。
【0005】スポーツ用途用の繊維強化複合材料、例え
ば、ゴルフシャフト、釣り竿等では、特に軽量化が要求
され、同時に材料の強度を高めることも強く要求され
る。
【0006】そのために、強化繊維、特に炭素繊維の強
度向上を目的とする研究開発がなされているが、ゴルフ
シャフトや釣り竿において、特に軽量品種の破壊現象を
精密に解析すると、単に炭素繊維の強度を向上させるこ
とのみでは、材料全体の強度は十分に高められないこと
が判明している。
【0007】これまでにも、マトリックス樹脂の改良に
よる繊維強化複合材料の強度向上については、例えば、
特開平9−25393号公報に開示されるゴム微粒子配
合や、WO98/44017号公報に開示される特定の
エポキシ樹脂成分配合、あるいはWO99/19407
号公報に開示されるような極性官能基を有する反応性モ
ノマーを配合する手法などが開示されるが、近年の材料
軽量化においては必ずしも強度特性、あるいはプリプレ
グの取り扱い性について満足できるものでは無かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の持つ課題を解決し、優れた強度特性を有す
る繊維強化複合材料およびこれを得るためのエポキシ樹
脂組成物、さらにはかかる樹脂組成物を用いて得られる
取り扱い性の優れたプリプレグを提供せんとするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によるエポキシ樹脂組成物は、次の構成を採
用する。即ち、次の構成要素(A)、(B)を含んでな
るエポキシ樹脂組成物であって、 (A)平均エポキシ当量が250〜350であるエポキ
シ樹脂 (B)硬化剤 加熱硬化せしめて得られる硬化物(以下、硬化物とい
う)のガラス転移温度Tg(℃)と、該硬化物のゴム状
態の弾性率G'r(MPa)が次式(1)と(2)をそ
れぞれ満足するエポキシ樹脂組成物である。
【0010】80℃≦Tg≦200℃ (1) 1≦G'r≦8 (2) また、本発明によるプリプレグはかかるエポキシ樹脂組
成物と強化繊維とを含んでなるものであり、さらには、
かかるプリプレグを加熱硬化した層を含む繊維強化複合
材料である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、平均エポキシ当量を適
切な範囲としながら、硬化物のガラス転移温度Tgおよ
びゴム状態弾性率G'rを特定の範囲に制御するという
手法により、プリプレグの優れた取り扱い性を良好なレ
ベルに保ちながら、繊維強化複合材料に従来にない高度
な強度特性を発現させ、しかも耐熱性も従来と比べてほ
とんど低下しないという、極めて顕著な効果を引き出せ
ることを見出したものである。
【0012】本発明において、構成要素(A)は、分子
内に1個以上のエポキシ基を有する成分で構成されるも
のであって、平均エポキシ当量が250〜350であれ
ば特に限定されず、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等のグリシジ
ルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポ
キシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ゴム変性
エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独または複数組
み合わせて用いることができる。
【0013】本発明の構成要素(A)は、分子内に2個
のエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を70〜1
00重量%含むことが好ましい。これにより、硬化物の
耐熱性と塑性変形能力をさらに高いレベルで両立させ、
かつ、プリプレグの良好な加工性、取扱い性を実現する
ことができるようになる。
【0014】ここで「塑性変形能力」とは硬化物の特性
を表すものであり、外力に対して脆性破壊することな
く、塑性変形しながらエネルギーを吸収する能力のこと
を言う。かかる「塑性変形能力」を高めることで、繊維
強化複合材料の内部においてマトリックス樹脂が応力を
受けた際、破壊に至り難くなり、繊維強化複合材料の強
度が向上すると考えられる。
【0015】硬化物の「塑性変形能力」を高めるために
は、一般に硬化物中のポリマーネットワークにおける架
橋点の密度、すなわち架橋密度を低下させることが有効
である。
【0016】架橋密度を低下させるための手法として
は、例えば鎖長延長剤として働く成分としてビスフェノ
ール化合物を配合する方法などが知られるが、かかる手
法によれば、室温においてビスフェノール化合物とエポ
キシ樹脂との反応が徐々に進行し、プリプレグとした場
合の保存安定性が充分でない、あるいは樹脂組成物の粘
度が高くなってプリプレグの取り扱い性が損なわれるな
ど、実用的には問題が多かった。
【0017】また、別の手法としては、特開平11−1
71976号公報に開示されるように、エポキシ樹脂と
して架橋点となるエポキシ基を2個だけ有するものを主
成分として用いる手法が知られ、確かにある程度の強度
向上効果を発現する。
【0018】しかし、本発明においては単に2官能性エ
ポキシ樹脂を主成分として用いるだけでなく、さらに平
均エポキシ当量を特定の範囲としながら、硬化物のTg
とゴム状態の弾性率G'rを特定の範囲に制御すること
で、硬化物にさらに高いレベルの塑性変形能力を付与し
た点で、かかる公知の手法とは異なる。
【0019】本発明の構成要素(A)は2官能性エポキ
シ樹脂を70〜100重量%含むことが好ましく、85
〜100重量%含むことがさらに好ましく、90〜10
0重量%含むことが特に好ましい。
【0020】かかる2官能性エポキシ樹脂の配合比が7
0重量%未満であると硬化物の塑性変形能力は十分でな
い場合がある。
【0021】本発明では、構成要素(A)は、硬化物の
架橋密度が適度なものとなるように、エポキシ樹脂を1
種のみ用いても良いが、エポキシ当量の異なる2種以上
のエポキシ樹脂を混合するのが好ましく、かつ、得られ
る混合物の平均エポキシ当量が250〜350となるよ
うにすることが必要であり、好ましくは270〜330
となるようにするのが良い。350を越えると、弾性
率、耐熱性が低下したり、樹脂組成物の粘度が高くなり
すぎる場合があり、250未満であると、「塑性変形能
力」が低下し、充分な強度特性が得られない。
【0022】かかるエポキシ当量を指標にして、前記し
た架橋密度を制御できる。即ち、エポキシ当量が大きい
ほど架橋点となるエポキシ基の密度が低下し、硬化物の
架橋密度は小さくなる。
【0023】ここで、エポキシ当量は、エポキシ樹脂の
質量(g)を、樹脂に含まれる全エポキシ基のモル数
(mole)で除した値である。樹脂の混合物のエポキシ当
量は、混合物の直接滴定により定量化出来るが、各エポ
キシ樹脂原料のそれぞれのエポキシ当量から理論計算に
より求めた値により概算することもできる。
【0024】本発明の樹脂組成物は、130℃で少なく
とも90分間、好ましくは2時間熱処理することで加熱
硬化せしめて得られる硬化物について、周波数を1.0
Hzとした動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率
G'−温度曲線において、ガラス状態に由来する平坦領
域と転移状態に由来する線状領域の各領域を延長する直
線の交点の温度であるガラス転移温度Tgと、転移状態
に由来する線状領域と、ゴム状態に由来する平坦領域を
延長する直線の交点の貯蔵弾性率であるゴム状態の弾性
率G'r(MPa)が、それぞれ次式を満たすことが必要
である。
【0025】80℃≦Tg≦200℃ (1) 1≦G'r≦8 (2) G'rは架橋密度の程度を表す指標として知られるもの
であり、一般にはその値が低いほど硬化物の架橋密度は
低いと言われる。本発明者らは、このG'rの値を「塑
性変形能力」の指標と見なし、その値をかかる特定の範
囲に制御することで、繊維強化複合材料のマトリックス
樹脂として使用した場合に予想外の優れた強度特性が得
られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0026】本発明においてはG'rは式(2)の範囲
であることが必要であり、2〜6MPaであることがよ
り好ましい。G'rが8MPaを超えると硬化物の塑性
変形能力は充分でなく、1MPa未満の場合、ガラス状
態での弾性率低下や、耐熱性の低下を損なう場合があ
る。
【0027】また、Tgは式(1)の範囲であることが
必要であり、90℃〜200℃であることがより好まし
く、90℃〜150℃であることが特に好ましい。Tg
が200℃を超えると、繊維強化複合材料に残留する熱
応力が大きくなったり、硬化物が脆くなりがちであり、
得られる繊維強化複合材料の強度特性が低下する場合が
ある。Tgが80℃未満であると、繊維強化複合材料に
成形後、表面を研磨するとき、熱により軟化した樹脂が
研磨機に目詰まりを起こさせる場合があったり、材料と
して使用時に熱による変形を起こしやすくなる場合があ
る。
【0028】本発明の構成要素(A)に用いる2官能性
エポキシ樹脂、即ち、分子内にエポキシ基を2個有する
エポキシ樹脂は特に限定されないが、ビスフェノールA
から得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂およびそ
の水素添加物、ビスフェノールFから得られるビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフ
ェノールSから得られるビスフェノールS型エポキシ樹
脂、テトラブロモビスフェノールAから得られるテトラ
ブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂、ビスフェノールADから得られる
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリ
シジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’、5,5’−テトラ
メチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6−ジヒ
ドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、アニリン
のジグリシジルアミン、o−トルイジンのジグリシジル
アミン、9,9−ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルエ
オレンのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂とトリレンジイソシアネートなどのジイソシ
アネート類との反応で得られるイソシアネート変性エポ
キシ、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジ
グリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジ
ルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエ
ステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、1,4−ジ
−tert−ブチル−2,5−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)−ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,
4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジ−tert−ブチル
ジフェニルスルフィドとクロロメチルオキシランとの反
応生成物、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチル
フェノール)とクロロメチルオキシランとの反応生成
物、分子内に2個の2重結合を有する化合物を酸化して
得られるポリエポキシド等が挙げられ、これらを単独あ
るいは複数種組み合わせて用いることができる。
【0029】ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品
としては、例えば、“エピコート”828(エポキシ当
量184〜194)、“エピコート”1001(エポキ
シ当量450〜500)、“エピコート”1004(エ
ポキシ当量875〜975)(以上、ジャパン エポキ
シ レジン(株)製)等が使用できる。
【0030】ここに“ ”で表示した名称は、登録商
標、商標、又は商品名を示すものとする(以下、同様と
する)。
【0031】ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品
としては、例えば、“エピコート”807(エポキシ当
量160〜175)、“エピコート”4002P(エポ
キシ当量610)、“エピコート”4004P(エポキ
シ当量930)(以上、ジャパン エポキシ レジン
(株)製)等が使用できる。
【0032】ビスフェノールS型エポキシ樹脂の市販品
としては、例えば、“エピクロン”EXA−1514
(大日本インキ工業(株)、エポキシ当量310)等が
使用できる。テトラブロモビスフェノールA型エポキシ
樹脂の市販品としては、例えば、“エピコート”505
0(エポキシ当量380〜410)、“エピコート”5
051(エポキシ当量600〜650)(以上、ジャパ
ン エポキシ レジン(株)製)等が使用できる。
【0033】本発明の構成要素(A)に含まれる2官能
性エポキシ樹脂中には、硬化物の塑性変形能力向上を主
な目的として、分子量が1400〜10000である高
分子量成分(以下、高分子量成分という)を、2官能性
エポキシ樹脂100重量%中5〜50重量%、より好ま
しくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜35
重量%含ませることが出来る。
【0034】かかる高分子量成分とは、例えばビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂の場合、下記一般式(I)にお
いて重合度nが4〜33(エポキシ当量約740〜49
00)の範囲にある成分である。
【0035】
【化2】
【0036】かかる高分子量成分が構成要素(A)中に
含まれている割合は、樹脂組成物についてGPC、また
は逆相モードなどでのHPLC分析を行い、そのクロマ
トグラムにおける各ピークの面積比、あるいは各成分ご
とに分取して測定できるそれらの重量比などから定量す
ることが可能である。この時、クロマトグラムにおける
各ピークに対応する成分の化学構造を1H−NMR、13
C−NMR、IR等の分析により同定することで、各ピ
ーク毎の分子量を決定できる。
【0037】また、高分子量成分が構成要素(A)中に
含まれる割合を定量する別の手法としては、樹脂組成物
についてのMALDI−TOFMS法による分析によっ
て各成分の分子量とその比率を定量することもできる。
【0038】または逆に、2官能性エポキシ樹脂として
複数のエポキシ樹脂原料を混合して用いる場合、それら
原料の中に高分子量成分が含まれる割合を定量した上
で、混合後の2官能性エポキシ樹脂に含まれる前記範囲
の高分子量成分の割合を概算することができる。
【0039】一般に、かかる高分子量成分を含むような
2官能性エポキシ樹脂は、重合度の異なる成分の混合物
として得られる場合が多い。例えば、一般式(I)で表
されるビスフェノールA型エポキシ樹脂の場合、重合度
nが異なる、即ち分子量の異なる複数の成分の混合物と
して通常得られ、市販されている。
【0040】ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例とし
て“エポトート”YD128(東都化成(株)製)、
“エピコート”1004(ジャパンエポキシレジン
(株)製)、“エピコート”1009(ジャパンエポキ
シレジン(株)製)について、カラムは昭和電工(株)
製“Shodex”K801,K802,K803を連
結し、移動相クロロホルム、流速0.6ml/分、検出
波長280nmで得たGPCクロマトグラムを図1、
2、3にそれぞれ示す。ビスフェノールA型エポキシ樹
脂の場合、分子量が1400〜10000であるのは重
合度n=4〜33のものであるが、nが33を超える成
分はほとんど含まれず無視できると考えられるので、全
ピークの面積に対するn=4以上の成分のピーク面積の
割合を計算することで、各エポキシ樹脂原料に含まれる
分子量が1400〜10000の範囲の成分の割合を比
較的精度良く定量できる。図に示したクロマトグラムか
ら各樹脂原料に含まれる高分子量成分の割合を計算する
と、YD128が0重量%、“エピコート”1004が
約75重量%、“エピコート”1004が約90重量%
となる。
【0041】もちろん、ビスフェノールF型など他のエ
ポキシ樹脂原料の場合でも同様に定量できる。
【0042】本発明の構成要素(A)の2官能性エポキ
シ樹脂には、上述したような分子量の範囲の成分を含ま
せるために、市販のエポキシ樹脂原料のうち、平均のエ
ポキシ当量が700を超え、分子量が1400〜100
00の成分を50重量%以上含むような高分子量のタイ
プのものを好適に用いることができる。そのようなエポ
キシ樹脂原料としては、例えばビスフェノールA型エポ
キシ樹脂である“エピコート”1003(エポキシ当量
670〜770)、“エピコート”1004(エポキシ
当量875〜975)、“エピコート”1009(エポ
キシ当量2400〜3300)、“エピコート”101
0(エポキシ当量3000〜5000)、ビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂である“エピコート”4004P
(エポキシ当量880)、“エピコート”4007P
(エポキシ当量2270)、“エピコート”4010P
(エポキシ当量4400)、“エピコート”4110
(エポキシ当量3500〜4000)(以上、ジャパン
エポキシレジン(株)製)等が好適に使用でき、これら
を構成要素(A)中10〜50重量%含むような樹脂
は、分子量が1400〜10000の成分を構成要素
(A)中に5〜50重量%の範囲内で含むことになる。
【0043】本発明の構成要素(A)には、樹脂組成物
の粘弾性を制御し、プリプレグの取り扱い性を優れたも
のとするために、25℃における粘度が0.01〜10
Pa・sの低粘度成分を含ませることができる。かかる
成分を含ませることで、樹脂組成物を適度に低粘度化
し、強化繊維へ樹脂組成物を含浸してプリプレグを得る
際、その含浸が行いやすくなったり、プリプレグに適度
な柔軟性を付与し、プリプレグを積層して繊維強化複合
材料を成形する際、様々な形状に沿わせることが容易に
なるなど、プリプレグの取り扱い性が向上する。特に、
強化繊維として炭素繊維などの高弾性率のものを用いる
場合、あるいは強化繊維の含有率が高い場合、プリプレ
グの柔軟性が損なわれる傾向が強く、かかる低粘度成分
を含ませることが重要になる。
【0044】特に2官能性エポキシ樹脂として高分子量
の成分を多く含ませる樹脂の場合、粘度が高くなりすぎ
る傾向が有り、かかる低粘度成分を含ませることが重要
になる。
【0045】かかる低粘度成分は構成要素(A)100
重量%中2〜50重量%含ませることが好ましく、より
好ましくは10〜40重量%含ませることができる。低
粘度成分の割合が2重量%未満であるとその低粘度化効
果が充分でない場合があり、50重量%を超えると耐熱
性が低下したり、過度に低粘度化して逆にプリプレグの
取り扱い性が低下したりする場合がある。
【0046】かかる低粘度成分としては上述の粘度範囲
のものであれば特に限定されないが、特に、2官能性の
エポキシ樹脂であることが耐熱性や硬化物の物性とのバ
ランスの点から好ましい。
【0047】構成要素(A)に含ませることができる低
粘度成分としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂で
ある“エピコート”807(ジャパンエポキシレジン
(株)製、25℃での粘度:3.0〜4.0Pa・
s)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
であるYED216(ジャパンエポキシレジン(株)
製、25℃での粘度:0.015〜0.025Pa・
s)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル
である“ヘロキシ”68(ジャパンエポキシレジン
(株)製、25℃での粘度:0.013〜0.018P
a・s)、ジグリシジルアニリンであるGAN(日本化
薬(株)製、25℃での粘度:0.10〜0.16Pa
・s)、o−トルイジンのジグリシジルアニリンである
GOT(日本化薬(株)製、25℃での粘度:0.03
0〜0.080Pa・s)、ヘキサヒドロフタル酸のジ
グリシジルエステルであるAK−601(日本化薬
(株)製、25℃での粘度:0.25〜0.35Pa・
s)、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルで
ある“リカレジン”HBE−100(新日本理化(株)
製、25℃での粘度:1.8〜2.5Pa・s)、1,
4−シクロヘキサンジメタノールである“リカレジン”
DME−100(新日本理化(株)製、25℃での粘
度:0.05〜0.1Pa・s)などが挙げられ、これ
らを単独又は複数種組み合わせて用いることができる。
【0048】これらの中でも、耐熱性と低粘度化効果と
のバランスに優れるビスフェノールF型エポキシ、ヘキ
サヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水素化ビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリ
ンを特に好ましく用いることが出来る。
【0049】本発明の構成要素(A)には、得られる繊
維強化複合材料の耐熱性の向上等のため、硬化物の塑性
変形能力を著しく損なわない程度に、分子内に2個を超
えるエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を0〜25
重量%含ませることができる。
【0050】多官能エポキシ樹脂としては、トリス(p-
ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテ
ル、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンのテト
ラグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエ
ーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエー
テル、フェノールやアルキルフェノール、ハロゲン化フ
ェノール等のフェノール誘導体から得られるノボラック
のグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフ
ェニルメタン、テトラグリシジルm-キシリレンジアミ
ン、トリグリシジル-m-アミノフェノール、トリグリシ
ジル-p-アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌ
レート等が挙げられる。
【0051】さらに、構成要素(A)には、下記部分構
造を有する成分を2〜50重量%含ませることができ
る。これにより、塑性変形能力を高いレベルに保ちなが
ら、得られる繊維強化複合材料の耐熱性をさらに高める
ことができる。
【0052】
【化3】
【0053】(ただし、Rはそれぞれ独立に任意の有機
残基を表す) かかる構造を有する成分を含むエポキシ樹脂としては、
2官能性エポキシ樹脂でもある旭化成エポキシ(株)製
のXAC4151、AER4152が挙げられ、これら
を好適に用いることができる。
【0054】その他、本発明の構成要素(A)には、樹
脂組成物の粘度制御、樹脂組成物の熱安定性の改善、あ
るいは繊維強化複合材料の強度向上のため、N−グリシ
ジルフタルイミド等の単官能エポキシ樹脂を好適に含ま
せることができる。
【0055】本発明において、構成要素(B)である硬
化剤は、加熱により樹脂組成物を硬化する働きを有する
ものであれば特に限定されないが、アミン系硬化剤、酸
無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤を好ましく用いる
ことができる。
【0056】アミン系硬化剤としては、例えば、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルス
ルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジア
ミンのような芳香族アミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(ア
ミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘ
キシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エス
テルのような脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、
ジシアンジアミド、アジピン酸ヒドラジドやナフタレン
ジカルボン酸ヒドラジドのような有機酸ジヒドラジド、
あるいはこれらの活性水素を有するアミンにエポキシ化
合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒ
ド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性ア
ミンが挙げられ、これらを単独あるいは複数種配合して
用いることができる。
【0057】酸無水物系硬化剤としては、1−ヘキサヒ
ドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メ
チルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無
水物のようなカルボン酸無水物などが挙げられ、これら
を単独あるいは複数種配合して用いることができる。
【0058】フェノール系硬化剤としては、ノボラック
樹脂などのポリフェノール化合物、4,4’−イソプロ
ピリデンジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノ
ールなどのビスフェノール化合物等が挙げられ、これら
を単独あるいは複数種配合して用いることができる。
【0059】本発明の構成要素(B)は、樹脂調合工程
での安定性や室温での保存安定性、あるいは強化繊維へ
樹脂組成物を含浸する工程で受ける熱履歴に対する安定
性などのため、熱活性型の潜在性を有することが好まし
い。
【0060】ここで熱活性型の潜在性とは、そのままで
は活性の低い状態であるが、一定の熱履歴を受けること
により相変化や化学変化などを起こして、活性の高い状
態に変わるという性質を意味する。なお、以下の記述に
おいては潜在性という用語は熱活性型の潜在性を示すも
のとする。
【0061】本発明において潜在性をもたせるための方
法として、粒子状の硬化剤をエポキシ樹脂に溶解させず
に分散させた状態で配合する方法が好ましく用いられ
る。これらは、一定の熱履歴を受けることによりエポキ
シ樹脂に溶解して均一相となり、活性の高い状態にな
る。
【0062】粒子状の潜在性硬化剤は、融点が80℃〜
300℃であることが好ましく、100℃〜250℃で
あることがより好ましい。融点が80℃未満であると充
分な潜在性が得られない場合があり、300℃を超える
と硬化温度において充分な活性が得られない場合があ
る。
【0063】粒子状の潜在性硬化剤としては、ジシアン
ジアミド(融点:209℃)、サリチル酸ヒドラジド
(融点:152℃)、アジピン酸ジヒドラジド(融点:
177〜183℃)、テレフタル酸ジヒドラジド(融
点:194℃)、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド(融
点:224℃)、イソフタル酸ジヒドラジド(融点:1
94℃)、セバシン酸ジヒドラジド(融点:186〜1
88℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−
5−イソプロピルヒダントイン(融点:118〜124
℃)、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカル
ボヒドラジド(融点:160℃)、エイコサン二酸ジヒ
ドラジド(融点:180℃)、4,4’−ジアミノジフ
ェニルスルホン(融点:175℃)、3,3’−ジアミ
ノジフェニルスルホン(融点:170℃)、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン(融点:92℃)、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(融
点:189℃)、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
(融点:216〜218℃)、4,4’−イソプロピリ
デンジフェノール(融点:158〜159℃)、4,
4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビス
フェノール(融点:135〜139℃)、4,4’−
(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノ
ール(融点:193〜195℃)、4,4’−スルホニ
ルジフェノール(融点:245〜247℃)、4,4’
−ビフェノール(融点:282〜284℃)などが挙げ
られ、これらを単独あるいは複数種配合して用いること
ができる。
【0064】本発明の構成要素(B)には、硬化活性を
高めるため、前記した成分に加え、3級アミノ基を有す
る化合物、イミダゾール誘導体、尿素誘導体などの成分
を含ませることができる。特に、室温の安定性などの面
から、室温で固体のイミダゾール誘導体または尿素誘導
体を樹脂組成物中に分散させて用いることが好ましい。
【0065】構成要素(B)に含ませることができる3
級アミノ基を有する化合物としては、ジメチルアニリ
ン、ベンジルジメチルアニリン、トリエタノールアミ
ン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,8−ジアザビ
シクロ(5,4,0)ウンデセン−1、ピリジン、ピコ
リンなどが挙げられる。
【0066】構成要素(B)に含ませることができるイ
ミダゾール誘導体としては、2−メチルイミダゾール、
2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル
イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニ
ルイミダゾール、あるいはイミダゾール誘導体とグリシ
ジル化合物の付加物、イミダゾール誘導体のトリメリッ
ト酸、イソシアヌル酸などの有機酸との塩などが挙げら
れる。
【0067】構成要素(B)に含ませることができる尿
素誘導体としては、1−(3,4−ジクロロフェニル)
−3,3−ジメチルウレア、1−(4−クロロフェニ
ル)−3,3−ジメチルウレア、1,1−ジメチル−3
−フェニルウレア、1−(3,4−ジメチルフェニル)
−3,3−ジメチルウレア、1−(2−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3−ジメチルウレア、2,4−ビス(N,
N−ジメチルウレイド)−トルエン、4,4’−メチレ
ンビス(フェニルジメチルウレア)などが挙げられる。
【0068】本発明の構成要素(B)としては、硬化温
度が100〜150℃の場合、ジシアンジアミドと尿素
誘導体を併用するのが、樹脂組成物が比較的低温で硬化
するようになり、かつ、その室温での保存安定性が優れ
るため好ましい。
【0069】さらに低い硬化温度で加熱硬化する必要が
ある場合は、アミンアダクト型の硬化剤である味の素
(株)製の“アミキュア”PN−23、MY−24、分
子内に活性水素部と触媒部位とをもつものとして富士化
成工業(株)製の“フジキュアー”FXE−1000、
FXR−1030、ACR(株)製のH3615、H4
070、H3293、H3366、H3849、H36
70、四国化成工業(株)製の“キュアダクト”P−0
505、“キュアゾール”2E4MZ−CMS、CZ−
CNS、C11Z−A、マイクロカプセル型硬化剤であ
る旭化成(株)製の“ノバキュア”HX3721、HX
3722等が挙げられ、これらを単独又は複数組み合わ
せて用いることが出来る。
【0070】本発明の樹脂組成物には、その粘弾性の制
御のため、熱可塑性樹脂を含ませることができる。該熱
可塑性樹脂は樹脂組成物100重量%中好ましくは0.
5〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%含ませ
ることが出来る。かかる熱可塑性樹脂の配合比が0.5
重量%未満であるとその粘弾性制御の効果は十分でない
ことがあり、20重量%を超えると過度に粘度が高まっ
てプリプレグの取り扱い性を逆に損なう場合がある。
【0071】本発明で用いる熱可塑性樹脂としては特に
限定されないが、構成要素(A)に溶解可能な熱可塑性
樹脂が好ましく、繊維強化複合材料中での強化繊維とマ
トリックス樹脂との接着性を高めるため、水素結合性の
官能基を有する熱可塑性樹脂が特に好ましく使用でき
る。ここに水素結合性の官能基としては、例えば、アル
コール性水酸基、アミド結合、スルホニル基等が挙げら
れる。
【0072】アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂
としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラー
ル等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、アミド結
合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイ
ミド、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポ
リスルホン等が使用できる。ポリアミド、ポリイミド及
びポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基等
の官能基を有するものでも良い。ここにポリアミドは、
アミド基の窒素原子に置換基を有するものでも良い。
【0073】本発明の樹脂組成物にはさらに、得られる
繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させるため、ゴム成
分を0.5〜20重量%含ませることができる。
【0074】本発明に好適に含ませることができるゴム
成分としては特に限定されないが、耐熱性とのバランス
の点から、架橋ゴム粒子、あるいは架橋ゴム粒子の表面
に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子
を好ましく使用できる。
【0075】架橋ゴム粒子の市販品としては、例えば、
カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重
合体の架橋物からなるXER-91(日本合成ゴム工業(株)
製)、アクリルゴム微粒子からなるCX-MNシリーズ(日
本触媒(株)製)、YR-500シリーズ(東都化成(株)
製)等が使用できる。
【0076】コアシェルゴム粒子の市販品としては、例
えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共
重合物からなる“パラロイド”EXL-2655(呉羽化学工業
(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステ
ル共重合体からなる“スタフィロイド”AC−335
5、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリ
ル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PA
RALOID”EXL−2611、EXL−3387(Rohm &
Haas社製)等が使用できる。
【0077】本発明の樹脂組成物は、強化繊維と組み合
わせてプリプレグとした場合に、適度な粘着力及び柔軟
性を発現させるために、測定周波数0.5Hzでの動的
粘弾性測定において、T=50℃における未硬化樹脂の
貯蔵弾性率G'T[T=50℃](Pa)が200〜500
0Paの範囲であることが好ましく、さらには500〜
5000Paが好ましく、500〜4000Paの範囲
内であるのが特に好ましい。200Pa未満であるとプ
リプレグの形態保持性が低下したり、粘着力が不足し、
これにより、プリプレグを積層する工程にて作業性が低
下することがある。一方、5000Paを越えると、プ
リプレグの柔軟性が不足してその取り扱い性が低下する
ことがある。
【0078】本発明の樹脂組成物を用いてプリプレグを
得る工程において、樹脂組成物をホットメルト法にて樹
脂フィルムを作成する際の良好なプロセス性や、樹脂組
成物を強化繊維に含浸する際の含浸性などを確保するた
め、測定周波数0.5Hzでの動的粘弾性測定におけ
る、未硬化樹脂のT=80℃での貯蔵弾性率G'T[T=
80℃](Pa)が2〜30Pa、好ましくは5〜20P
aの範囲内であるのが良い。2Pa未満であると、樹脂
フィルムを作製する際に、樹脂目付(g/m2)を安定
化できなかったり、強化樹脂をマトリックス樹脂に含浸
させる際に適正なプリプレグの目付(g/m2)が得ら
れないことがある。一方、30Paを越えると、樹脂フ
ィルムを作製する際に適正な樹脂目付(g/m2)のフ
ィルムが得られなかったり、成形物にボイド(空隙)が
発生して力学物性が低下することがある。
【0079】本発明の樹脂組成物を130℃、少なくと
も90分間、好ましくは2時間熱処理して得られる硬化
物は、曲げ弾性率、モードI破壊靭性値GICが特定の範
囲であることが好ましい。
【0080】硬化物の曲げ弾性率は、2.8GPa以
上、好ましくは3.1GPa以上であるのが良い。かか
る範囲から外れると得られる複合材料の曲げ強度や圧縮
強度が低下することがある。
【0081】硬化物のGICは200〜1000J/m2
であることが好ましく、400〜1000J/m2であ
ることがより好ましい。かかる範囲から外れると得られ
る繊維強化複合材料の耐衝撃性が不十分となることがあ
る。
【0082】本発明のプリプレグは、未硬化のエポキシ
樹脂組成物と強化繊維とを含んでなるものであるが、樹
脂組成物は必ずしも強化繊維束の内部まで含浸されてい
る必要はなく、シート状に一方向に引き揃えた強化繊維
や、強化繊維織物の表面付近に樹脂組成物を局在化させ
ておいても良い。
【0083】本発明のプリプレグに用いる強化繊維とし
ては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊
維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊
維、および炭化ケイ素繊維などを用いることができる。
これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。強
化繊維の形態や配列については限定されず、例えば、一
方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニッ
ト、不織布、マット、および組み紐などの繊維構造物が
用いられる。
【0084】特に材料の軽量化や高強度化の要求が高い
用途においては、その優れた比弾性率、比強度のため、
炭素繊維を好適に用いることができる。
【0085】本発明のプリプレグに含ませる強化繊維
は、取り扱い性向上のため、その表面に一定量のサイジ
ング剤を付着してなることが好ましい。特に、水素結合
性の官能基を有する成分を含んでなるサイジング剤を付
着した強化繊維を好適に用いることが出来る。
【0086】本発明では、強化繊維表面に付着するサイ
ジング剤には、水素結合性の官能基としてアルコール性
水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、酸無水
物基、アミド基、ウレタン基、ウレア基からなる群から
選ばれる官能基を有するものを含ませることができる。
特に、熱安定性が優れる点や安価なものが入手しやすい
点などから、アルコール性水酸基あるいはアミド基を有
する化合物をサイジング剤に含ませることが好ましい。
【0087】本発明において、サイジング剤に含ませる
ことができる化合物について、水素結合性官能基として
アルコール性水酸基を有する化合物としては特に限定さ
れないが、ポリエチレングリコールやポリプロピレング
リコールなどのポリアルキレングリコール、ヘキサンジ
オールなどのアルキレンジオール、ポリエーテルポリオ
ール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルアルコールを部分的にアセタ
ール化したポリビニルアセタールなどの化合物、または
これらの化合物が有するアルコール性水酸基を部分的に
エピクロルヒドリンなどと反応させて修飾した化合物、
あるいは複数のビスフェノール骨格を有するオリゴマー
タイプのビスフェノールA型エポキシ樹脂などを好適に
用いることができる。
【0088】本発明において、サイジング剤に含ませる
ことができる化合物について、水素結合性官能基として
アミド基を有する化合物としては特に限定されないが、
アクリルアミド、ジメチルアクリルアミドなどのアクリ
ルアミド誘導体およびこれらを重合して得られる重合
体、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
セトアミドなどを用いることができる。
【0089】本発明のプリプレグから得られる繊維強化
複合材料はゴルフクラブ用シャフト、釣竿ロッドなどの
スポーツ用品に好適に用いられるが、その軽量化を実現
し、好適なフィーリングを得るためには、強化繊維とし
てはその目的とする用途の設計に合わせてストランド引
張弾性率の適切な炭素繊維を選択すると良い。
【0090】強度が重視される場合は、ストランド引張
弾性率が200〜290GPaである炭素繊維を適用す
ることが好ましい。このような標準弾性率領域から中弾
性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、高弾性率領
域の炭素繊維を用いたプリプレグに比べて、炭素繊維の
ストランド引張強度、圧縮強度が高いため、複合材料管
状体の曲げ強度が高い。その上、上記の関係式を満たす
ことにより、さらに、ねじり強さが向上する。従って、
例えばハードヒッター向けゴルフクラブ用シャフト、ジ
ギング用釣竿ロッド、磯竿ロッドなどに好適に用いられ
る。また、撓りと強度が要求される竿の穂先等に好適で
ある。
【0091】強度と軽量化のバランスが必要とされる場
合は、ストランド引張弾性率が230〜350GPaで
ある炭素繊維を適用することが好ましい。このような中
弾性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、適度な曲
げ強度と剛性を発現し、かつ上記式を満たすことにより
ねじり強さも向上するのでさらに軽量化を図ることがで
きる。従って例えばウッドタイプのゴルフクラブ用シャ
フト、ルアー用釣竿ロッドなどに好適に用いられる。
【0092】軽量化を特に必要とする場合、ストランド
引張弾性率が320GPa〜800GPaの炭素繊維を
用いることが好ましい。このような中弾性率から高弾性
率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、材料を少量使
用しただけで充分な剛性を発現することができる。その
ため軽量化を必要とする、長尺ゴルフクラブ用シャフ
ト、女性用・高齢者向けゴルフクラブ用シャフト、鮎竿
用ロッドなどに好適に用いられる。
【0093】炭素繊維が強化繊維として用いられる場
合、得られる繊維強化複合材料の強度と弾性率は、炭素
繊維の含有量に大きく依存する。従って、一定量の強化
繊維を含有する場合、含浸させるマトリックス樹脂の量
を少なくするほど、繊維強化複合材料や最終製品の性能
をほぼ一定に維持したままで、製品重量を軽量化するこ
とができる。このような目的のため、本発明におけるプ
リプレグおよび繊維強化複合材料全重量に対する強化繊
維の含有量は60〜90重量%であることが好ましく、
さらには70〜85重量%であることがより好ましい。
強化繊維の含有量が60重量%未満の場合は、軽量化効
果が十分でない場合があり、90重量%を越えると樹脂
量が少ないため複合材料中にボイドが残存し、機械特性
が低下する場合がある。
【0094】本発明のプリプレグは、樹脂組成物をメチ
ルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度
化し、含浸させるウエット法と、加熱により低粘度化
し、含浸させるホットメルト法等によって製造できる。
【0095】ウェット法は、強化繊維を樹脂組成物の溶
液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を
蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
【0096】ホットメルト法は、加熱により低粘度化し
た樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、又は樹
脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィル
ムを作製しておき、次に強化繊維の両側、又は片側から
そのフィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂を含
浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメ
ルト法では、プリプレグ中に残留する溶媒が実質的に皆
無となるため好ましい。
【0097】また、本発明の繊維強化複合材料は、この
ような方法により製造されたプリプレグを積層後、得ら
れた積層体に熱及び圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化
させる方法等により製造できる。
【0098】熱及び圧力を付与する方法としては、プレ
ス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、
ラッピングテープ法、内圧成形法等が使用され、特にス
ポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法、内圧成形
法が好ましく使用できる。
【0099】ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯
金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状
体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の
棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的に
は、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固
定及び圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹
脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブ
ン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状
体を得る方法である。
【0100】また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチ
ューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォ
ームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気
体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せし
め、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、
バット、テニスやバトミントン等のラケットの如き複雑
な形状物を成形する際に特に好ましく使用できる。
【0101】本発明の繊維強化複合材料は、前記した樹
脂組成物を用いて、プリプレグを経由しない方法によっ
ても製造することができる。
【0102】かかる方法としては、例えば、本発明のエ
ポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後加熱硬
化する方法、即ち、ハンド・レイアップ法、フィラメン
ト・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・
インジェクション・モールディング法、レジン・トラン
スファー・モールディング法等が使用できる。これら方
法では、構成要素Aからなる主剤と硬化剤との2液を使
用直前に混合して樹脂組成物を調製する方法が好ましく
採用できる。
【0103】本発明の管状体は主に繊維強化複合材料で
構成されるものであり、ゴルフシャフト、釣り竿などに
好適に用いることができるものである。
【0104】本発明の管状体は、上記の樹脂組成物を加
熱硬化せしめて得られる硬化物と強化繊維、特に好まし
くは炭素繊維とからなる層を10〜100体積%含むこ
とが必要であり、40〜100体積%含むことがより好
ましい。かかる割合が10%未満であると、強度向上効
果は充分でない場合が多い。
【0105】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。各種物性の測定は次の方法によった。なお、
これら物性は、特に断りのない限り、温度23℃、相対
湿度50%の環境で測定した。 (1)硬化物 樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、13
0℃の熱風乾燥機中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの
樹脂硬化板を作製した。 A.ガラス転移温度Tg 得られた樹脂硬化板から、SACMA SRM18R-94に従い、D
MA法により、ガラス転移温度Tgを求めた。
【0106】具体的には、得られた貯蔵弾性率G'−温
度曲線において、図4に示すように、ガラス状態に由来
する線状領域と転移状態に由来する線状領域の各領域を
延長する直線の交点の温度をガラス転移温度Tgとし
た。
【0107】尚、ここでは、測定装置としてRheometric
Scientific社製、粘弾性測定システム拡張型“ARE
S”を使用し、条件を昇温速度5℃/分、周波数1Hz
とした。 B.ゴム状態の弾性率G'r 前記貯蔵弾性率G'−温度曲線において、図4に示すよ
うに、転移状態に由来する線状領域と、ゴム状態に由来
する平坦領域を延長する直線の交点の弾性率をゴム状態
の弾性率G'rとした。
【0108】また、ゴム状態に由来する平坦領域が明確
でなく、ガラス転移後徐々にG'が上昇するような場合
は、G'の最低値をG'rとして代用した。 (2)動的粘弾性 半径25mmの平行平板を使用し、測定周波数0.5H
z、昇温速度1.5℃/分、測定開始温度25℃の条件
下で昇温測定を行い、50℃及び80℃の貯蔵弾性率
G'(Pa)を求めることによって動的粘弾性を評価し
た。
【0109】尚、ここでは測定装置として、上記(1)
と同じRheometric Scientific社製、粘弾性測定システ
ム拡張型“ARES”を使用した。 (3)プリプレグの作製 樹脂組成物をリバースロールコーターを使用し離型紙上
に塗布し、樹脂フィルムを作製した。
【0110】次に、シート状に一方向に整列させた炭素
繊維“トレカ”M40JB−6K(東レ(株)製)に樹
脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱し、加
圧して樹脂組成物を含浸させ、炭素繊維目付116g/
2、樹脂重量分率25%の一方向プリプレグを作製し
た。
【0111】同様にして、“トレカ”T800HB−1
2K(東レ(株)製)を使用し、炭素繊維目付125g
/m2、樹脂重量分率24%の一方向プリプレグを作製
した。 (4)一方向複合材料の作製と物性 A.面内剪断強度 炭素繊維の配列方向が±45度になるよう、一方向プリ
プレグ20枚を交互に積層し、オートクレーブ中で13
5℃、290Paで2時間加熱加圧して硬化し、繊維強
化複合材料を作製した。得られた複合材料から、JIS
K7079に従い、物性を測定した。 B.90度引張強度 炭素繊維の配列方向が90度になるよう、一方向プリプ
レグ10枚を積層し、上記と同様にして、オートクレー
ブ成形により繊維強化複合材料を作製し、ASTM D
3039に従い、物性を測定した。 (5)複合材料製管状体の作製 次の(a)〜(e)の操作により、円筒軸方向に対して
[03/±453]の積層構成を有し、内径が10mmの
複合材料製管状体を作製した。ここでは、マンドレルと
して、直径10mm、長さ1000mmのステンレス製
丸棒を使用した。 (a)“トレカ”M40JBを使用して作製した一方向
プリプレグから、縦800mm×横103mmの長方形
形状(長辺方向に対し繊維軸方向が45度となるよう
に)に2枚切り出した。この2枚のプリプレグを繊維の
方向を繊維方向が互いに交差するように、かつ横方向に
16mm(この長さはマンドレル半周分に対応する)、
シフトして貼り合わせた。 (b)貼り合わせたプリプレグを、離型処理したマンド
レルに長方形形状の長辺とマンドレル軸の方向が同一方
向になるように、マンドレルに捲回した。 (c)その上に、”トレカ”T800HBを使用して作
製した縦800mm×横112mmの長方形形状(長辺
方向が繊維軸方向となる)に切り出した一方向プリプレ
グを、その繊維の方向がマンドレル軸の方向と同一方向
となるように、マンドレルに捲回した。 (d)さらに、その上から、ラッピングテープ(耐熱性
フィルムテープ)を巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉
中、130℃で90分間、加熱成形した。 (e)この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテー
プを除去して複合材料製管状体を得た。 (6)複合材料製管状体の物性 A.曲げ破壊荷重 上記手順で得られた、円筒複合材料(内径10mm)を
使用し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準
確認方法」(製品安全協会編、通商産業大臣承認5産第
2087号、1993年)に記載された、3点曲げ試験
方法に準じて曲げ破壊荷重を測定した。ここでは、支点
間距離は300mm、試験速度は5mm/分とした。 B.ねじり強さ 上記した円筒複合材料から長さ400mmの試験片を切
り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準
確認方法」(製品安全協会編、通商産業大臣承認5産第
2087号、1993年)に記載された、ねじり試験方
法に準じて測定した。
【0112】ここでは、試験片ゲージ長は300mmと
し、試験片両端の50mmを固定治具で把持して測定し
た。尚、ねじり強さは、次式により算出した。
【0113】ねじり強さ(N・m・deg.)=破壊トルク(N・
m)×破壊時のねじれ角(deg.) (実施例1〜5、比較例1〜2)樹脂組成物の原料とし
て次のものを使用した。 <エポキシ樹脂> ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“エピコート”8
28、ジャパン エポキシ レジン(株)製) ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“エピコート”1
001、ジャパン エポキシ レジン(株)製) ・イソシアネート変性エポキシ樹脂(XAC4151、
旭化成エポキシ(株)製) ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“エピコート”1
004、ジャパン エポキシ レジン(株)製) ・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピコート”8
07、ジャパン エポキシ レジン(株)製) ・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピコート”E
4004P、ジャパン エポキシ レジン(株)製) ・フェノールノボラック型エポキシ樹脂(“エピコー
ト”154、ジャパン エポキシ レジン(株)製) <硬化剤> ・ジシアンジアミド(DICY7、ジャパン エポキシ
レジン(株)製) <硬化助剤> ・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチ
ル尿素(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製) <熱可塑性樹脂> ・ポリビニルホルマール(“ビニレック”H、チッソ
(株)製) これら樹脂組成物を使用し、表1に示す処方にて樹脂組
成物をニーダーで混練して調製し、さらに前記した方法
に従い、各種物性を測定した。
【0114】表1に、これら結果を示す。尚、プリプレ
グの取り扱い性については、極めて良好なものを◎、良
好なものを○、やや不良なものを△、不良なものを×で
それぞれ示す。
【0115】表1より、比較例では、一方向複合材料の
面内剪断強度、90度引張強度、及び円筒複合材料のね
じり強さは、いずれも実施例1〜6と比べ劣ったもので
あることが判る。
【0116】
【表1】
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、塑性変形能力に優れた
硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる。
【0118】かかる樹脂組成物により、面内剪断強度と
90#引張強度に優れる繊維強化複合材料が得られ、さ
らに複合材料製管状体に成形すると、ゴルフクラブシャ
フトや釣り竿に適した、捻り強度と曲げ強度の両者に優
れる部材が安定かつ容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】“エポトート”YD128のGPCクロマトグ
ラム
【図2】“エピコート”1004のGPCクロマトグラ
【図3】“エピコート”1009のGPCクロマトグラ
【図4】DMAによるTg、G'r測定の概念図
【符号の説明】
1:貯蔵弾性率G' 2:ガラス状領域 3:ガラス転移温度 4:ゴム状領域 5:ガラス転移温度Tg 6:ゴム状態の貯蔵弾性率G'r 7:温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 63/00 C08L 21:00 21:00) Fターム(参考) 4F072 AB06 AB08 AB09 AB10 AB11 AC05 AD02 AD23 AD28 AD54 AE06 AG03 AL05 4J002 AC102 BN162 CD041 CD051 CD101 CD111 CD141 GN00 4J036 AD08 AD20 DC25 DC31 DC38 FB01 JA11

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構成要素(A)、(B)を含んでな
    り、 (A)平均エポキシ当量が250〜350であるエポキ
    シ樹脂 (B)硬化剤 加熱硬化せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tg
    (℃)と、該硬化物のゴム状態の弾性率G'r(MP
    a)が次式(1)と(2)をそれぞれ満足するエポキシ
    樹脂組成物。 80℃≦Tg≦200℃ (1) 1≦G'r≦8 (2)
  2. 【請求項2】次の構成要素(A)、(B)を含んでな
    り、 (A)平均エポキシ当量が250〜350であるエポキ
    シ樹脂 (B)硬化剤 130℃で2時間硬化して得られる硬化物のガラス転移
    温度Tg(℃)と、該硬化物のゴム状態の弾性率G'r
    (MPa)が次式(3)と(4)をそれぞれ満足するエ
    ポキシ樹脂組成物。 90℃≦Tg≦150℃ (3) 1≦G'r≦8 (4)
  3. 【請求項3】構成要素(A)100重量%中、2官能性
    エポキシ樹脂を70〜100重量%含んで成ることを特
    徴とする請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂を含んで成ることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂組成物100
    重量%中0.5〜20重量%含んでなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】2官能性エポキシ樹脂100重量%中に、
    分子量が1400〜10000である成分を5〜50重
    量%含んでなることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】25℃における粘度が0.01〜10Pa
    ・sであってビスフェノールA型以外のエポキシ樹脂
    を、構成要素(A)100重量%中2〜50重量%含ん
    でなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】構成要素(A)100重量%中、下記部分
    構造を有する成分を2〜50重量%含んでなることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂
    組成物。 【化1】 (ただし、Rはそれぞれ独立に任意の有機残基を表す)
  9. 【請求項9】樹脂組成物100重量%中、ゴム成分を
    0.5〜20重量%含んでなることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 【請求項10】周波数0.5Hzでの動的粘弾性を測定
    して得られる、貯蔵弾性率G'T[T=50℃](Pa)
    と貯蔵弾性率G'T[T=80℃](Pa)が、次式を満
    足することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂組成物。 200≦G'T[T=50℃]≦5000 (5) 2≦G'T[T=80℃]≦30 (6)
  11. 【請求項11】周波数0.5Hzでの動的粘弾性を測定
    して得られる、貯蔵弾性率G'T[T=50℃](Pa)
    と貯蔵弾性率G'T[T=80℃](Pa)が、次式を満
    足することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂組成物。 500≦G'T[T=50℃]≦5000 (7) 2≦G'T[T=80℃]≦30 (8)
  12. 【請求項12】構成要素(B)が、熱活性型の潜在性硬
    化剤であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか
    に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 【請求項13】構成要素(B)が、ジシアンジアミドと
    尿素誘導体を含んでなるものである請求項1〜11のい
    ずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  14. 【請求項14】請求項1〜13のいずれかに記載のエポ
    キシ樹脂組成物と強化繊維とを含んでなるプリプレグ。
  15. 【請求項15】請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂
    組成物を加熱硬化して得られる硬化物と、強化繊維とを
    含んでなることを特徴とする繊維強化複合材料。
  16. 【請求項16】請求項15記載の繊維強化複合材料から
    なる層を10〜100体積%含んでなることを特徴とす
    る管状体。
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