JPWO2017033683A1 - 複合材料形成用組成物、複合材料の製造方法および複合材料 - Google Patents

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Abstract

官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含み、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基は、反応することにより第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成しうるものである、複合材料形成用組成物。この組成物を用いれば、炭素材料を重合体中に均一に分散させることができるとともに、炭素材料に化学修飾を行わなくても、炭素材料と重合体とを強く接着することができ、機械的強度に優れた複合材料を形成できる。

Description

本発明は、炭素材料と重合体を複合化した複合材料、および、その複合材料の形成に用いられる複合材料形成用組成物に関する。
炭素材料と樹脂材料を複合化した複合材料の開発が盛んに行われている。この複合材料では、炭素材料が荷重を受け持つために、樹脂材料単独よりも遥かに高い強度と弾性率を得ることができる。例えば、その代表例である、炭素繊維とエポキシ樹脂を複合化した炭素繊維強化複合材料(Carbon Fiber Reinforced Plastic:CFRP)では、その最もグレードが高いもので、弾性率が295GPaであり、プラスチック材料の中で最も強度が高いとされる合成繊維ザイロン(東洋紡社製 商品名)の弾性率270GPaを遥かに凌駕している。そのため、こうした炭素材料を用いた複合材料は、航空機をはじめとする様々な領域への利用が拡大しており、さらなる機械的強度の改善を目指して研究が進められている。
例えば、複合材料の炭素材料として、カーボンナノチューブが注目されている。カーボンナノチューブは、弾性率が270〜950GPa、引張強度が11〜63GPaであり、炭素繊維(弾性率:200〜700、引張強度:3〜7GPa)に比べて遥かに優れた機械的強度を有する。このため、カーボンナノチューブを利用した複合材料に関して多数の報告がなされている。
非特許文献1〜3には、界面活性剤を用いて、カーボンナノチューブをエポキシ樹脂中に分散させ複合化した複合材料が提案され、非特許文献4には、表面を酸化したカーボンナノチューブを用いた複合材料が提案されている。これらの複合材料は、界面活性剤や酸化処理によりカーボンナノチューブに濡れ性を付与することで、エポキシマトリックス中におけるカーボンナノチューブの分散性を改善し、カーボンナノチューブの凝集に起因した応力集中を回避しようとするものである。
非特許文献5には、カーボンナノチューブの表面に化学修飾を行って、共有結合で結合する官能基を導入し、その官能基にエポキシ樹脂を結合させた複合材料が提案されている。ここでは、カーボンナノチューブがエポキシ樹脂中に均一に分散し、エポキシ樹脂とカーボンナノチューブとの界面相互作用も確保できるとされている。
非特許文献6には、エポキシ基を有するピレン誘導体をカーボンナノチューブの表面に非共有結合性吸着させ、そのエポキシ基とエポキシマトリックスとを反応させることで複合化した複合材料が提案されている。ここでは、エポキシ基を有するピレン誘導体を介して、カーボンナノチューブをエポキシマトリックスに接着することにより、複合材料が補強されるとされている。
非特許文献1:Carbon, 43, 1378-1385 (2005)
非特許文献2:Compos, Sci. Technol., 71, 466-470 (2011)
非特許文献3:Polymer, 50, 4753-4759. (2009)
非特許文献4:Compos, Sci. Technol., 67, 3331-3337 (2007)
非特許文献5:Nano, Lett., 3, 1 107-1 1 13 (2003)
非特許文献6:J. Mater. Chem., 22, 1928-1936 (2012)
上記のように、非特許文献1〜3には、界面活性剤を用いてカーボンナノチューブをエポキシ樹脂中に分散させた複合材料が記載され、非特許文献4〜6には、カーボンナノチューブに何らかの処理や修飾を行って、カーボンナノチューブの分散性やカーボンナノチューブとエポキシ樹脂との界面相互作用を制御した複合材料が記載されている。しかし、本発明者らが、これらの複合材料の機械的強度を評価したところ、非特許文献1〜4に記載の複合材料は、カーボンナノチューブとエポキシ樹脂との界面相互作用が弱いために、十分な機械的強度が得られないことが判明した。また、引用文献5に記載の複合材料は、カーボンナノチューブとエポキシ樹脂の界面相互作用は確保されているものの、カーボンナノチューブに共有結合で結合する官能基を導入しているために、カーボンナノチューブが損傷を受け、その強度が低下していることが判明した。さらに、引用文献6に記載の複合材料は、ピレン誘導体が低分子であるために分子間力が弱く、カーボンナノチューブから容易に遊離する現象が生じる。このため、ピレン誘導体が所期の機能を果たせずに、カーボンナノチューブがエポキシ樹脂中で凝集してしまうことが判明した。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、炭素材料を重合体中に均一に分散させることができるとともに、炭素材料に化学修飾を行わなくても、炭素材料と重合体とを強く接着することができ、機械的強度に優れた複合材料を形成できる複合材料形成用組成物を提供することを目指して研究を重ねた。また、炭素材料が本来有する強度を維持しつつ、その炭素材料を重合体中に均一に分散させて重合体に強く接着することができ、高い機械的強度が得られる複合材料を提供することを目的として研究を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、官能基を有する第1の重合体を炭素材料の表面に非共有結合性吸着させ、この第1の重合体の官能基と、第2の重合体の官能基とを反応させて共有結合を形成させることにより、炭素材料を第2の重合体中に均一に分散させることができるとともに、炭素材料を第2の重合体に強く接着することができ、機械的強度に優れた複合材料が得られることを見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含み、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基は、反応することにより第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成しうるものである、複合材料形成用組成物。
[2] 前記炭素材料が炭素繊維である、[1]に記載の複合材料形成用組成物。
[3] 前記炭素材料がカーボンナノチューブである、[1]に記載の複合材料形成用組成物。
[4] 前記炭素材料が化学修飾されていない、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
[5] 前記第1の重合体がイミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)を有しており、前記第2の重合体がイミノ基またはアミノ基(−NH)と反応して共有結合を形成する官能基を有している、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
[6] 前記第2の重合体の前記官能基がエポキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボキシル基、またはハロゲン原子である、[5]に記載の複合材料形成用組成物。
[7] 前記第2の重合体の前記官能基がエポキシ基である、[5]に記載の複合材料形成用組成物。
[8] 前記第1の重合体が環員として窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロ環を含む構成単位を有する、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
[9] 環員である窒素原子の少なくとも1つがイミノ基(−NH−)を構成している、[8]に記載の複合材料形成用組成物。
[10] 前記ヘテロ環は、ベンズイミダゾール環である、[8]または[9]に記載の複合材料形成用組成物。
[11] 前記第1の重合体が下記一般式(1)で表される構成単位の繰り返し構造を有する、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
(一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表し、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。Lは単結合または2価の連結基を表す。n1およびn2は0〜3の整数を表し、n3は1〜100の整数を表す。)
[12] 前記第2の重合体が、エポキシ基と置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば置換もしくは無置換のフェニレン基)とを有するエポキシ樹脂である、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
[13] 前記第2の重合体が、下記一般式(2−2)で表されるエポキシ樹脂である、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
(一般式(2−2)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表し、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n4およびn5は0〜4の整数を表し、n6は0〜100の整数を表す。)
[14] 官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含む組成物を、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基が反応する条件下に置くことにより反応させ、第1の重合体と第2の重合体とを連結する共有結合を形成する、複合材料の製造方法。
[15] [1]〜[13]のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物における第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基を反応させることにより、第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成する、複合材料の製造方法。
[16] [14]または[15]に記載の製造方法により製造される複合材料。
[17] 炭素材料と、前記炭素材料の表面に非共有結合性吸着している第1の重合体と、前記第1の重合体に共有結合で結合している第2の重合体とを有する、複合材料。
[18] 前記第1の重合体が窒素原子を有しており、前記第2の重合体が前記第1の重合体の窒素原子に結合する結合部位を有する、[16]または[17]に記載の複合材料。
[19] 前記第1の重合体が、下記一般式(3)で表される構造を有する構成単位を有する、[16]〜[18]のいずれか1項に記載の複合材料。
(一般式(3)において、R11は置換基を表し、R11が複数存在するとき、R11同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。n11は0〜3の整数を表す。*および*は第1の重合体を構成する他の部分との結合部位を表し、*は第2の重合体との結合部位を表す。)
[20] 前記第1の重合体と前記第2の重合体が、−N(R21)−、−N(R22)CO−、または−N(R23)CON(R24)−[ここで、R21〜R22は各々独立に水素原子または置換基(例えば置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基)を表す。]で表される連結基で結合している、[16]〜[19]のいずれか1項に記載の複合材料。
本発明の複合材料形成用組成物によれば、炭素材料を重合体中に均一に分散させることができるとともに、炭素材料に化学修飾を行わなくても、炭素材料と重合体とを強く接着することができ、機械的強度に優れた複合材料を形成することができる。
また、本発明の複合材料は、炭素材料が本来有する強度を保ちつつ、その炭素材料を重合体中に均一に分散させて重合体と接着させることができるため、高い機械的強度を得ることができる。
[図1]2,2-メタフェニレンビスベンズイミダゾールとフェニルグリシジルエーテルの反応により得られた生成物のMALDI−TOF質量スペクトルである。
[図2]図2(a)は、実施例1で調製した複合材料形成用組成物の光学顕微鏡写真であり、図2(b)は、比較例1で調製した複合材料形成用組成物の光学顕微鏡写真であり、図2(c)は、比較例2で調製した複合材料形成用組成物の光学顕微鏡写真であり、図2(d)は、PBI被覆カーボンナノチューブ、酸素プラズマ処理を行ったカーボンナノチューブ、いずれの処理も行っていないカーボンナノチューブを、それぞれN,N-ジメチルアセトアミドに分散して調製した分散液の写真である。
[図3]、実施例1および比較例1、2で製造した複合材料の応力−ひずみ曲線である。
[図4]図4(c)は、比較例2で製造した複合材料の破断面を倍率2500倍で撮影したSEM写真であり、図4(d)は、比較例2で製造した複合材料の破断面を倍率15000倍で撮影したSEM写真であり、図4(e)は、実施例1で製造した複合材料の破断面を倍率2500倍で撮影したSEM写真であり、図4(f)は、実施例1で製造した複合材料の破断面を倍率15000倍で撮影したSEM写真である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本発明に用いられる化合物の分子内に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば分子内の水素原子がすべてHであってもよいし、一部または全部がH(デューテリウムD)であってもよい。
[複合材料形成用組成物]
本発明の複合材料形成用組成物は、炭素材料と重合体を含む複合材料の形成に用いられるものであり、官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含み、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基は、反応することにより第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成しうるものである。
この複合材料形成用組成物による複合材料の形成は、複合材料形成用組成物を、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基が反応する条件下に置くことにより反応させ、第1の重合体と第2の重合体とを連結する共有結合を形成することにより行うことができる。このようにして形成された複合材料は、引張強度や弾性率が高く、優れた機械的強度を有する。これは以下の理由による。
すなわち、本発明で用いる第1の重合体は、低分子化合物に比べて分子間力が大きく、炭素材料に対して強く非共有結合性吸着することができる。また、第1の重合体と第2の重合体との間の共有結合は、化学結合の中で最も強さが大きい結合である。このため、第1の重合体は、炭素材料と第2の重合体を結び付ける、いわば接着剤として効果的に機能し、この第1の重合体の機能により、炭素材料が第2の重合体からなるマトリックス中に均一に分散するとともに、第2の重合体に強く接着することができる。また、非共有結合性の吸着は、化学修飾を行わなくても実現することができるため、炭素材料が本来有する強度を損なうことがない。これにより、本発明の複合材料形成用組成物により形成された複合材料は高い機械的強度を有する。
以下において、本発明の複合材料形成用組成物を構成する材料について詳述する。
(炭素材料)
炭素材料は、複合材料に強度を付与する機能を有する。炭素材料は、第2の重合体中に均一に分散した状態で存在していることが好ましい。
本発明の複合材料形成用組成物で用いる炭素材料は、特に限定されないが、例えばポリアクリルニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、植物由来炭素繊維等の炭素繊維、フラーレン類、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維類(ナノファイバ)、ダイヤモンド、グラフェンシート等のナノ炭素材料を挙げることができる。中でも、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンシートが好ましく、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンナノチューブがより好ましい。
これらの炭素材料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素材料に炭素繊維を用いる場合、その炭素繊維の平均繊維径は0.5〜100000nmであることが好ましい。炭素繊維の平均繊維径の下限は1.0nm以上であることがより好ましく、
10nm以上であることがさらに好ましい。
炭素繊維の平均繊維径は、電子顕微鏡観察法により測定することができる。
炭素材料にカーボンナノチューブを用いる場合、そのカーボンナノチューブは、単層構造のものであってもよいし、単層のカーボンナノチューブが入れ子状に複数積層した積層構造を有するものであってもよい。
カーボンナノチューブの平均直径は、0.5〜500nmであることが好ましい。また、カーボンナノチューブの平均直径の下限は1.0nm以上であることがより好ましい。カーボンナノチューブの平均直径の上限は200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
カーボンナノチューブの長軸長さは、50〜1000000000nmであることが好ましい。また、カーボンナノチューブの長軸長さの下限は100nm以上であることがより好ましく、500nm以上であることがさらに好ましい。
カーボンナノチューブの平均直径は、電子顕微鏡観察法により測定することができ、長軸長さは、電子顕微鏡観察法により測定することができる。
炭素材料にグラフェンシートを用いる場合、炭素材料は単層のグラフェンシートからなるものであってもよいし、複数のグラフェンシートが積層した積層構造を有するものであってもよい。
グラフェンシートの全体の厚さは、0.1〜1000nmであることが好ましい。グラフェンシートの全体の厚さの上限は100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
積層構造を構成するグラフェンシートの積層数は、1〜10000であることが好ましく、1〜
1000であることがより好ましく、1〜100であることがさらに好ましい。
グラフェンシートの1層当たりの厚さおよび全体の厚さは、電子顕微鏡観察法または原子間力顕微鏡観察法により測定することができる。
炭素材料の弾性率は100GPa以上であることが好ましく、200GPa以上であることがより好ましく、500GPa以上であることがさらに好ましい。また、炭素材料の弾性率は、材料の入手の容易さの点から、1000GPa以下であることが好ましい。
炭素材料の引張強度は1.0GPa以上であることが好ましく、2.0GPa以上であることがより好ましく、3.0GPa以上であることがさらに好ましい。また、炭素材料の引張強度は、材料の入手の容易さの点から、10.0GPa以下であることが好ましい。
炭素材料の弾性率は引張試験法により測定することができ、引張強度は引張試験法により測定することができる。
本発明の複合材料形成用組成物に用いる炭素材料は、化学修飾されていないことが好ましい。本発明の複合材料形成用材料では、炭素材料に化学修飾を行わなくても、炭素材料と第2の重合体を強く接着することができ、また、化学修飾を行わないことにより、炭素材料が本来有する強度を維持することができる。その結果、機械的強度に優れた複合材料を形成することができる。
また、炭素材料におけるCOOH基とOH基の合計官能基量は3.0×10−6mol/g以下であることが好ましく、1.0×10−6mol/g以下であることがより好ましく、1.0×10−5mol/g以下であることがさらに好ましい。これにより、第1の重合体や第2の重合体が、炭素材料のCOOH基やOH基と反応して共有結合を形成してしまうことが抑制され、炭素材料への第1の重合体の非共有結合性吸着、および、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基の反応を効率よく行うことができる。
炭素材料におけるCOOH基とOH基の合計官能基量は、中和滴定法により測定することができる。
(第1の重合体)
第1の重合体は、第2の重合体の官能基と反応して第1の重合体と第2が重合体との間に共有結合を形成しうる官能基を有しており、炭素材料の表面に非共有結合性吸着している。こうした第1の重合体は、炭素材料と第2の重合体を結び付ける接着剤として機能する。
本発明における「非共有結合性吸着」とは、共有結合以外の吸着力に起因した吸着のことをいう。共有結合以外の吸着力としては、イオン結合、配位結合、水素結合、双極子−双極子相互作用、ファン・デル・ワールス力、疎水結合、π―π相互作用、CH−π相互、酸塩基相互作用等を挙げることができる。本発明における「非共有結合性吸着」は、これらのうちの、いずれか1つの吸着力による吸着であってもよいし、2種類以上の吸着力の組み合わせによる吸着であってもよい。また、第1の重合体は、炭素材料に非共有結合性吸着している限り、炭素材料との間に共有結合が形成されていてもよいが、炭素材料との間に共有結合が形成されていないことが好ましい。
炭素材料に第1の重合体が非共有結合性吸着していることは、N,N-ジメチルアセトアミド等の第1の重合体に対する良溶媒による洗浄後の元素分析により判定することができる。
第1の重合体は、第2の重合体が有する官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基を有する。官能基の具体例として、イミノ基(−NH−)、アミノ基(−NH)、酸無水物(CO−O−CO)、エポキシ基、チオール基(-SH)等を挙げることができ、イミノ基(−NH−)、アミノ基(−NH)であることが好ましい。
また、第1の重合体は、モノマーに由来する構成単位が2つ以上連結した構造を有する。第1の重合体は、1種類のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種類以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。また、第1の重合体は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよいし、鎖状構造同士の間に架橋構造が形成されていてもよいが、5個以上の構成単位が直鎖状に連なった鎖状構造を有することが好ましい。
第2の重合体と反応して共有結合を形成しうる官能基は、末端に存在していても、末端以外の部分に含まれていてもよいが、末端以外の部分に含まれていることが好ましく、繰り返し構造を構成している構成単位に含まれていることがより好ましい。この場合、第2の重合体と反応して共有結合を形成しうる官能基は、こうした構成単位の全てに含まれていてもよいし、一部の構成単位に含まれていてもよいが、構成単位の全てに含まれていることが好ましい。
第1の重合体はベンゼン環と窒素原子を含むことが好ましく、ベンゼン環と窒素原子を構成単位の中に含むことがより好ましい。
また、第1の重合体は、環員として窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロ環を含むことも好ましく、そのようなヘテロ環を繰り返し構造を構成している構成単位の中に含むことがより好ましい。ヘテロ環は、環員として窒素原子を含むヘテロ5員環とベンゼン環とが縮合した多環縮合構造を有するものであることが好ましく、ベンズイミダゾール環であることがより好ましい。ここで、ヘテロ環の環員である窒素原子の少なくとも1つがイミノ基(−NH−)を構成しているか、環員の少なくとも1つがアミノ基(−NH)で置換されていることが好ましい。この場合、このイミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)を、第2の重合体が有する官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基として機能させることができる。
第1の重合体は、下記一般式(1)で表される構成単位の繰り返し構造を有することが好ましい。
一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表す。RとRは同一であっても異なっていてもよい。また、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
およびRがとりうる置換基として、例えば炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばフルオロアルキル基等のハロゲン化アルキル基)、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは、この置換基群から選択される基により置換されていてもよい。
は単結合または2価の連結基を表す。Lがとりうる連結基として、例えば炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば置換もしくは無置換のフェニレン基)、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基(例えば置換もしくは無置換のピリジレン基)、ジアゾ基、エステル基、アミド基、スルホニル基、ケトン基またはエーテル基等が挙げられる。これらの基は、さらに炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばフルオロアルキル基等のハロゲン化アルキル基)、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、またはハロゲン原子(例えばフッ素原子)で置換されていてもよい。
n1およびn2は0〜3の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。n1とn2は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
n3は1〜100の整数を表し、5〜100の整数であることが好ましく、20〜100の整数であることがより好ましい。n3が2以上であるとき、各構成単位は同一の構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
また、第1の重合体は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
複合材料形成用組成物における第1の重合体の含有量は、炭素材料の含有量に対して0.1〜50質量%であることが好ましい。
(炭素材料における第1の重合体の被覆状態)
本発明の複合材料形成用組成物では、第1の重合体が炭素材料の表面に非共有結合性吸着している。これにより、第1の重合体が炭素材料の少なくとも一部の表面を覆った状態になっている。
第1の重合体は、層状をなして炭素材料の表面を覆っていることが好ましい。この場合、第1の重合体の層の厚さは0.1nm以上であることが好ましい。また、第1の重合体の層の厚さは、100nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましく、3nm以下であることが特に好ましい。
第1の重合体の層の厚さは、電子顕微鏡観察法により測定することができる。
また、炭素材料の1つの面のうち、第1の重合体で覆われている領域の割合は、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが特に好ましく、99.9%以上であることが最も好ましい。
さらに、炭素材料の全表面のうち、第1の重合体で覆われている領域の割合は、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが特に好ましく、99.9%以上であることが最も好ましい。
(第2の重合体)
第2の重合体は、第1の重合体の官能基と反応して第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成しうる官能基を有する。第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合が形成されると、第1の重合体を介して、炭素材料が第2の重合体に強く接着された状態になり、機械的強度に優れた複合材料が形成される。
第1の重合体の官能基と反応して第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成しうる官能基は、第1の重合体の官能基によって異なり、例えば第1の重合体がイミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)を有する場合には、イミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)と反応して共有結合を形成しうる官能基であり、加熱処理によりイミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)と反応して共有結合を形成しうる官能基であることが好ましい。イミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)と反応して共有結合を形成しうる官能基の具体例として、エポキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボキシル基、またはハロゲン原子を挙げることができ、エポキシ基であることが好ましい。
すなわち、本発明の複合材料形成用組成物では、第1の重合体がイミノ基またはアミノ基(−NH)を有しており、第2の重合体がエポキシ基を有しており、加熱処理により、第1の重合体のイミノ基またはアミノ基(−NH)と第2の重合体のエポキシ基が反応して、第1の重合体と第2の重合体の間に共有結合が形成されることが好ましい。
また、第2の重合体は、モノマーに由来する構成単位が2つ以上連結した構造を有する。第1の重合体は、1種類のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種類以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。また、第2の重合体は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよいし、鎖状構造同士の間に架橋構造が形成されていてもよい。
第1の重合体と反応して共有結合を形成しうる官能基は、第2の重合体の末端に存在していても、末端以外の部分に含まれていてもよいが、末端に存在することが好ましい。第1の重合体と反応して共有結合を形成しうる官能基が末端以外の部分に含まれている場合、繰り返し構造を構成している構成単位に含まれていることが好ましい。
エポキシ基を有する第2の重合体として、エポキシ基と置換もしくは無置換のアリーレン基を有するエポキシ樹脂を挙げることができ、エポキシ基と置換もしくは無置換のフェニレン基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。このエポキシ樹脂は、さらに置換もしくは無置換のオキシアルキレン基を有することが好ましく、置換もしくは無置換のオキシエチレン基、置換もしくは無置換のオキシプロピレン基を有することがより好ましい。
第2の重合体は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンの縮合物であることが好ましい。
また、第2の重合体は、下記一般式(2−1)で表されるエポキシ樹脂であることも好ましい。
一般式(2−1)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表す。RとRは同一であっても異なっていてもよい。また、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
およびRがとりうる置換基として、例えば炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばフルオロアルキル基)、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアリール基、またはハロゲン原子(例えばフッ素原子)等が挙げられる。
およびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。RおよびRは、一方が水素原子であって他方が置換基であってもよいし、両方が水素原子であるか、両方が置換基であってもよいが、両方が水素原子であるか、両方が置換基であることが好ましい。
およびRがとりうる置換基として、例えば炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばフルオロアルキル基)、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアリール基、またはハロゲン原子(例えばフッ素原子)等が挙げられ、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10の無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
n4およびn5は0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。n4とn5は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
n6は1〜100の整数を表し、1〜50の整数であることが好ましく、1〜10の整数であることがより好ましい。n6が2以上であるとき、各構成単位は同一の構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
また、第2の重合体は、下記一般式(2−2)で表されるエポキシ樹脂であることも好ましい。
一般式(2−2)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表し、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n4およびn5は0〜4の整数を表し、n6は0〜100の整数を表す。
〜R、n4〜n6の好ましい範囲と具体例については、一般式(2−1)のR〜R、n4〜n6の好ましい範囲と具体例を参照することができる。
第1の重合体が一般式(1)で表される構成単位の繰り返し構造を有する場合、第2の重合体は一般式(2−1)または一般式(2−2)で表されるエポキシ樹脂であることが好ましく、一般式(2−2)で表されるエポキシ樹脂であることがより好ましい。
以下において、一般式(2−2)で表されるエポキシ樹脂の具体例を例示する。ただし、本発明において用いることができる第2の重合体は、この具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
式において、nは0〜100の整数を表す。
また、第2の重合体は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(この他の成分)
本発明の複合材料形成用組成物は、炭素材料と第1の重合体と第2の重合体のみから構成されていてもよいし、さらに、この他の成分を含んでいてもよい。
この他の成分として、第2の重合体に架橋構造を形成しうる硬化剤を挙げることができる。複合材料形成用組成物が硬化剤を含むことにより、より機械的強度が高い複合材料を形成することができる。架橋剤は、特に限定されないが、芳香族アミン系硬化剤であることが好ましい。
また、架橋剤は、複合材料形成用組成物の加熱処理により第2の重合体に架橋構造を形成しうるものであることが好ましい。具体的には、第1の重合体がイミノ基またはアミノ基(−NH)を有し、第2の重合体がエポキシ基を有する場合、加熱処理により、第1の重合体のイミノ基またはアミノ基(−NH)と第2の重合体のエポキシ基が反応して、第1の重合体と前記第2の重合体の間に結合が形成されるとともに、第2の重合体のエポキシ基と硬化剤の官能基が反応して第2の重合体に架橋構造が形成されることが好ましい。
さらに、本発明の複合材料形成用組成物が含んでもよい他の成分として、硬化促進触媒、
可塑剤等を挙げることができる。
[複合材料の製造方法]
本発明の複合材料の製造方法は、官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含む組成物を、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基が反応する条件下に置くことにより反応させ、第1の重合体と第2の重合体とを連結する共有結合を形成する。
組成物には、本発明の複合材料形成用組成物を用いることが好ましい。組成物が含む炭素材料、第1の重合体、第2の重合体、炭素材料における第1の被覆状態については、複合材料形成用組成物の対応する記載を参照することができる。
第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基が反応する条件としては、各官能基に、その活性化エネルギー以上のエネルギーを付与しうる条件であればよい。具体的には、組成物を加熱することにより各官能基にエネルギーを供給してもよいし、触媒を添加して各官能基の活性化エネルギーを下げてもよいし、両方を併用してもよいが、操作が容易であるとともに、形成される複合材料に触媒が残留することを避けるため、触媒を用いずに組成物を加熱することで各官能基を反応させることが好ましい。
組成物を加熱して第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基を反応させる場合、加熱温度は、各官能基の種類や濃度によっても異なるが、25〜300℃にすることが好ましい。
第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基の反応は溶媒を用いずに行ってもよいし、溶媒中で行い、反応により形成される複合材料を析出させてもよい。こうした反応は、第1の重合体を非共有結合性吸着させた炭素材料と第2の重合体を同一の溶媒中に存在させて攪拌し、官能基同士を接触させることにより行うことができる。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に制限されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒および水が挙げられ、これらの混合溶媒も使用できる。
[複合材料]
本発明の複合材料は、炭素材料と、炭素材料の表面に非共有結合性吸着している第1の重合体と、第1の重合体に共有結合で結合している第2の重合体とを有するものである。この複合材料は、例えば、本発明の複合材料の製造方法により製造することができる。
本発明の複合材料では、第1の重合体が炭素材料の表面に非共有結合性吸着しているとともに、その第1の重合体に第2の重合体が共有結合で結合していることにより、第1の重合体が炭素材料と第2の重合体を結び付ける接着剤として効果的に機能し、炭素材料が第2の重合体中に均一に分散した状態で強く保持される。このため、優れた機械的強度を得ることができる。
本発明の複合材料が有する炭素材料の説明と好ましい範囲、具体例については、上記の複合材料形成用組成物が有する炭素材料の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
(第1の重合体)
第1の重合体は、第2の重合体の官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基の代わりに、第2の重合体と共有結合で結合している結合部位を有すること以外は、上記の複合材料形成用組成物が含む第1の重合体と同じ構造の重合体により構成することができる。この場合、第1の重合体の結合部位以外の説明と好ましい範囲、具体例については、複合材料形成用組成物における第1の重合体の官能基以外の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
また、第1の重合体は、上記の複合材料形成用組成物が含む第1の重合体同士が反応して生成した重合体、架橋剤等の他の成分と第1の重合体が反応して生成した重合体であってもよい。ただし、上記の複合材料形成用組成物が含む第1の重合体の、第2の重合体の官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基に対応する部位は、第2の重合体と共有結合で結合している結合部位である。
ここで、上記の複合材料形成用組成物が含む第1の重合体の、第2の重合体の官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基に対応する部位は、少なくとも一部が第2の重合体と共有結合で結合していればよく、未反応の官能基が残っているか、他の構造との結合に供されていてもよいが、全てが第2の重合体と共有結合で結合していることが好ましい。
第1の重合体が有する第2の重合体への結合部位は、第1の重合体の前駆体が有する官能基と、第2の重合体の前駆体が有する官能基との反応により形成されたものであることが好ましい。ここで、本発明の複合材料を、本発明の複合材料形成用組成物で形成する場合には、複合材料形成用組成物が含む第1の重合体が、複合材料の第1の重合体の「前駆体」に対応し、複合材料形成用組成物が含む第2の重合体が、複合材料の第2の重合体の「前駆体」に対応する。
第1の重合体は窒素原子を含むことが好ましく、その窒素原子の少なくとも1つが、第2の重合体と共有結合で結合する結合部位であることが好ましい。また、第1の重合体は、ベンゼン環と窒素原子を含むことが好ましく、ベンゼン環と窒素原子を構成単位の中に含むことがより好ましい。
また、第1の重合体は、環員として窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロ環を含むことも好ましく、そのようなヘテロ環を繰り返し構造を構成している構成単位の中に含むことがより好ましい。ヘテロ環は、環員として窒素原子を含むヘテロ5員環とベンゼン環とが縮合した多環縮合構造を有するものであることが好ましく、ベンズイミダゾール環であることがより好ましい。ここで、ヘテロ環の環員である窒素原子の少なくとも1つは、第2の重合体と共有結合で結合する結合部位であることが好ましい。
ヘテロ環の環員である窒素原子が第2の重合体との結合部位を構成している構造として、下記一般式(3)で表される構造を挙げることができる。
一般式(3)において、R11は置換基を表し、R11が複数存在するとき、R11同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。n11は0〜3の整数を表す。*および*は第1の重合体を構成する他の部分との結合部位を表し、*は第2の重合体との結合部位を表す。
11、n11は、一般式(1)のRまたはR、n1またはn2と同義であり、その説明と好ましい範囲、具体例については、一般式(1)のRまたはR、n1またはn2についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
一般式(3)において、−*または−*が付された炭素原子は第1の重合体を構成する他の部分と共有結合で結合しており、−*が付された窒素原子は、共有結合で第2の重合体と結合している。
一般式(3)で表される構造を含む構成単位の繰り返し構造として、下記一般式(4)で表される構造を挙げることができる。
一般式(4)において、R11およびR12は、それぞれ独立に置換基を表し、R11、R12が複数存在するとき、R11同士およびR12同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。L11は単結合または2価の連結基を表す。n11およびn12は0〜3の整数を表し、n13は1〜100の整数を表す。*は第2の重合体との結合部位を表す。
11、R12、n11、n12は、それぞれ、一般式(1)のR、R、n1、n2と同義であり、その説明と好ましい範囲、具体例については、一般式(1)のR1、R2、n1、n2についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。*は一般式(3)の*と同義であり、その説明については一般式(3)の*の説明を参照することができる。
また、複合材料における第1の重合体の含有量の好ましい範囲については、複合材料形成用材料における第1の重合体の含有量の好ましい範囲を参照することができる。
(第2の重合体)
第2の重合体は、第1の重合体の官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基の代わりに、第1の重合体と共有結合で結合している結合部位を有すること以外は、上記の複合材料形成用組成物が含む第2の重合体と同じ構造の重合体により構成することができる。この場合、第2の重合体の結合部位以外の説明と好ましい範囲、具体例については、複合材料形成用組成物における第1の重合体の官能基以外の説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。
また、第2の重合体は、上記の複合材料形成用組成物が含む第2の重合体同士が反応して生成した重合体、架橋剤等の他の成分と第2の重合体が反応して生成した重合体であってもよい。ただし、上記の複合材料形成用組成物が含む第2の重合体の、第1の重合体の官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基に対応する部位は、第1の重合体と共有結合で結合している結合部位である。
ここで、上記の複合材料形成用組成物が含む第2の重合体の、第1の重合体の官能基と反応して共有結合を形成しうる官能基に対応する部位は、少なくとも一部が第1の重合体と共有結合で結合していればよく、未反応の官能基が残っているか、他の構造との結合に供されていてもよいが、全てが第1の重合体と共有結合で結合していることが好ましい。
第2の重合体が有する第1の重合体への結合部位は、第1の重合体の前駆体が有する官能基と、第2の重合体の前駆体が有する官能基との反応により形成されたものであることが好ましい。ここで、「第1の重合体の前駆体」、「第2の重合体の前駆体」の説明について、第1の重合体の項に記載した説明を参照することができる。
第2の重合体の第1の重合体への結合部位は、第1の重合体の結合部位によっても異なるが、炭素原子であることが好ましく、下記一般式(5)で表される構造の水酸基(−OH)が結合している炭素原子の隣の炭素原子、カルボニル基(−C(=O)−)を構成している炭素原子、アリールオキシカルボニル基(−Ar−O−C(=O)−:Arはアリール基である)のカルボニル基を構成している炭素原子であることが好ましく、一般式(5)で表される部分構造の水酸基(−OH)が結合している炭素原子の隣の炭素原子であることがより好ましい。
一般式(5)において、*は第2の重合体を構成する他の部分との結合部位を表し、*は第1の重合体への結合部位を表す。すなわち、一般式(5)において、−*が付された炭素原子は、第2の重合体を構成する他の部分と結合しており、−*が付された炭素原子は、第1の重合体と共有結合で結合している。一般式(5)で表される構造は、*において一般式(3)で表される構造の*に共有結合で結合していることがさらに好ましい。
これらの結合部位は、イミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)を官能基として有する第1の重合体の前駆体と、エポキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボキシル基、またはハロゲン原子を官能基として有する第2の重合体の前駆体の官能基同士の反応により形成することができる。この場合、第1の重合体の第2の重合体への結合部位は窒素原子になる。
第2の重合体は、置換もしくは無置換のアリーレン基を有することが好ましく、置換もしくは無置換のフェニレン基を有することがより好ましい。第2の重合体は、さらに、置換もしくは無置換のオキシアルキレン基を有することが好ましく、置換もしくは無置換のオキシエチレン基、置換もしくは無置換のオキシプロピレン基を有することがより好ましい。
第2の重合体は、下記一般式(6−1)で表される構成単位の繰り返し構造を有することが好ましい。
一般式(6−1)において、R13およびR14は、それぞれ独立に置換基を表し、R13、R14が複数存在するとき、R14同士およびR14同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。R15およびR16は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n14およびn15は0〜4の整数を表し、n16は1〜100の整数を表す。*は第1の重合体との結合部位を表す。
13〜R16、n14〜n16は、一般式(2−1)のR〜R、n4〜n6と同義であり、その説明と好ましい範囲、具体例については、一般式(2−1)のR〜R、n4〜n6についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。また、−*が付された炭素原子は第1の重合体と共有結合で結合している。
また、第2の重合体は、下記一般式(6−2)で表される構成単位の繰り返し構造を有することも好ましい。
一般式(6−2)において、R13およびR14は、それぞれ独立に置換基を表し、R13、R14が複数存在するとき、R14同士およびR14同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。R15およびR16は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n14およびn15は0〜4の整数を表し、n16は0〜100の整数を表す。*は第1の重合体との結合部位を表す。
13〜R16、n14〜n16は、一般式(2−1)のR〜R、n4〜n6と同義であり、その説明と好ましい範囲、具体例については、一般式(2−1)のR〜R、n4〜n6についての説明と好ましい範囲、具体例を参照することができる。*は一般式(6−1)の*と同義であり、その説明については一般式(6−1)の*の説明を参照することができる。
特に、第1の重合体が一般式(4)で表される構成単位の繰り返し構造を有する場合、第2の重合体は一般式(6−1)または一般式(6−2)で表される構成単位の繰り返し構造を有することが好ましく、一般式(6−2)で表される構成単位の繰り返し構造を有することがより好ましい。
複合材料における第2の重合体の含有量の好ましい範囲については、複合材料形成用材料における第2の重合体の含有量の好ましい範囲を参照することができる。
(第1の重合体と第2の重合体の連結構造)
第1の重合体と第2の重合体は、それぞれの結合部位付近を一体として見たとき、−N(R21)−、−N(R22)CO−、または−N(R23)CON(R24)−で表される連結基が構成されていることが好ましい。R21〜R22は各々独立に水素原子または置換基を表す。R21〜R22がとりうる置換基として、例えば置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基等が挙げられる。こうした連結基は、イミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)を官能基として有する第1の重合体の前駆体と、エポキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボキシル基、またはハロゲン原子を官能基として有する第2の重合体の前駆体の官能基同士の反応により形成することができる。
(複合材料の全体的な構成)
本発明の複合材料は、第1の重合体が炭素材料の表面に非共有結合性吸着している。これにより、第1の重合体が炭素材料の少なくとも一部の表面を覆った状態になっている。炭素材料における第1の重合体の被覆状態については、複合材料形成用組成物の対応する記載を参照することができる。
さらに、本発明の複合材料では、炭素材料の少なくとも一部の表面を覆っている第1の重合体に第2の重合体が共有結合で結合している。ここで、第2の重合体は、炭素材料の少なくとも一部の表面を覆う第1の重合体の被覆層の、少なくとも一部の表面を覆うように存在していることが好ましく、層状をなして炭素材料の表面を覆っていることが好ましい。
また、第2の重合体は、第1の重合体が非共有結合性吸着した炭素材料を支持するマトリックスを構成していることが好ましく、このマトリックス中に、第1の重合体が非共有結合性吸着した炭素材料が均一に分散した状態で存在していることが好ましい。
本発明の複合材料は、その窒素原子含有率が0.001〜50原子%であることが好ましい。また、複合材料の窒素原子含有率の上限は、10原子%以下であることがより好ましく、1.0原子%以下であることがさらに好ましい。
複合材料の窒素原子含有率は、元素分析法により測定することができる。
本発明の複合材料の外形は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。本発明の複合材料は、第1の重合体と第2の重合体を含むため、公知の樹脂成形方法により容易に成形することができ、成形体の材料として広い分野に適用することができる。
(複合材料の機械的特性)
本発明の複合材料は、上記のように優れた機械的特性を有している。
具体的には、本発明の複合材料は、その引張強度が10MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがより好ましく、1000MPa以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の複合材料は、そのヤング率が1GPa以上であることが好ましく、10GPa以上であることがより好ましく、100GPa以上であることがさらに好ましい。
複合材料の引張強度は、引張試験法により測定することができ、複合材料のヤング率は、
引張試験法により測定することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、H−NMRおよびFT−IRスペクトルの測定には、分光計(ブルカー・バイオスピン社製 AV300M)と分光光度計(パーキンエルマー社製 Spectrum 65 FT−IR)を使用し、質量分析には、MALDI−TOF質量分析計(ブルカー社製 Autoflex)を使用し、複合材料の破断面の観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 SU9000)を使用した。
引張試験およびフラグメンテーション試験には、試験機(島津製作所社製 オートグラフAG5000)を使用した。引張試験は、60mm×8mm×1mmの試験片について、伸長速度:1mm/分、ゲージ長さ:1mmの条件で行った。フラグメンテーション試験はjournal of composite material, vol.36,No.15/2002に記載された方法により行い、フラグメンテーション試験で測定された破断繊維長を用いて、下記式により界面強度を求めた。
また、本実施例では、炭素材料として多層カーボンナノチューブ(保土ヶ谷化学工業社製 純度:>95%、直径:40〜90nm)または炭素繊維(三菱レイヨン社製 ピッチ系繊維ダイアリードK63712)を使用し、第1の重合体として、下記式で表されるPBI(佐藤ライト工業社製)またはPyPBI(発明者合成)を使用し、第2の重合体としてエポキシ樹脂(三菱化学社製 jER807 ビスフェノールFのジグリシジルエーテル)を使用して複合材料形成用組成物を調製した。
1.予備実験
本実施例では、炭素材料に非共有結合性吸着させたPBIまたはPyPBIとエポキシ樹脂とを反応させ、PBIまたはPyPBIとエポキシ樹脂との間に共有結合を形成する。
ここでは、PBIとエポキシ樹脂との間に共有結合が形成しうることを確認するため、2,2-メタフェニレンビスベンズイミダゾ-ル(BI)とグリシジルフェニルエーテルとの反応をモデルにした予備実験1およびPBIとエポキシ樹脂との反応をモデルにした予備実験2を行った。
(予備実験1)
N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に2,2-メタフェニレンビスベンズイミダゾ-ル(0.31g,1mmol)を溶解して調製した溶液を、グリシジルフェニルエーテル(0.3g,2mmol)に加え、窒素雰囲気下、90℃で50時間攪拌した。この混合物に水に加え、生じた沈殿物をろ過により回収した。この沈殿物を、酢酸エチルを展開溶媒に用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。そのフラクションから得られた固体を80℃で24時間乾燥させたところ、橙色固体を収量0.22g、収率36%で得た。
IR(ATR):v=1587(vC=N),1440(δC−N),1243(δC−O):MALDI−TOF MS m/z for C3834,[M+H];calcd 611.26,found 611.49;m/z for C2424,[M+H];calcd 461.19,found 461.24.
得られた橙色固体のMALDI−TOF質量スペクトルを図1に示す。
図1において、m/z=461.24に観測されたピークはモノ付加体(461.54)に対応し、m/z=611.49に観測されたピークはジ−付加体(611.26)に対応する。この結果から、N,N-ジメチルホルムアミドとグリシジルフェニルエーテルを加熱して反応させることにより、グリシジルフェニルエーテルのエポキシ基が開環し、その開環部分のOHが結合している炭素原子の隣の炭素原子と、2,2-メタフェニレンビスベンズイミダゾ-ルの窒素原子の間に共有結合が形成されることを確認することができた。
(予備実験2)
N,N-ジメチルアセトアミド(2.0mL)にPBI(100mg)を溶解して調製したPBI溶液を、エポキシ樹脂(20mg)に加えて攪拌した。この混合物をガラス皿上に塗布し、80℃で4時間乾燥して溶媒を除去した後、150℃で4時間加熱して硬化反応を行い、PBIとエポキシ樹脂の複合膜を得た。
この複合膜と、比較として調製したエポキシ樹脂を含まないPBI単独膜について、N,N-ジメチルアセトアミドに対する溶解性を調べたところ、PBI単独膜がN,N-ジメチルアセトアミドに容易に溶解するのに対して、PBIとエポキシ樹脂の複合膜はN,N-ジメチルアセトアミドに不溶であった。このことは、PBIとエポキシ樹脂の混合物の塗膜を加熱することにより、膜中でPBIとエポキシ樹脂の反応が進行して、PBIの鎖状構造同士の間にエポキシ樹脂に由来する架橋構造が形成され、不溶性の物質が生じたことを意味している。この結果から、PBIとエポキシ樹脂を共存させて加熱することにより、PBIとエポキシ樹脂を反応させうることを確認することができた。
2.複合材料形成用組成物の調製、複合材料の製造と評価
(実施例1)
以下のようにして、PBIで被覆されたカーボンナノチューブ(PBI被覆カーボンナノチューブ)を調製した。
N,N-ジメチルアセトアミド(20mL)にPBI(4.0mg)を溶解して調製したPBI溶液に、カーボンナノチューブ(20mg)を加え、バス型ソニケーター(BRANSON社製 5510)を用いて3時間超音波処理を行った。混合物を濾過し、ジメチルアセトアミドで洗浄することにより、カーボンナノチューブに結合していないPBIを除去した。残った固体を80oCで24時間真空乾燥することにより、PBI被覆カーボンナノチューブを得た。
得られたPBI被覆カーボンナノチューブについて、PBIの被覆状態を調べたところ、PBIによってカーボンナノチューブの表面が均一に被覆されており、PBI被覆層の厚さは約1nmであった。また、遊離のPBIは検出されなかった。
次に、エポキシ樹脂(3.164グラム)に硬化剤(0.835グラム)を加えて15分間混合し、コンディショニングミキサー(シンキー社製 AR−100)を用いて5分間脱気した。この混合物に、PBI被覆カーボンナノチューブを0.7重量%になるように添加し、高せん断混合用のホモジナイザー(ポリトロン社製 2500E)を用いて室温で30分間混合し、さらに、真空下、70℃で3時間攪拌することにより、複合材料形成用組成物を得た。
この複合材料形成用組成物を、テフロン(登録商標)製のモールド(60mm×30mm×10mm)上に塗布し、100℃で2時間加熱し、さらに、150℃で4時間加熱して硬化させ、フィルム状の複合材料を得た。
(比較例1)
PBI被覆カーボンナノチューブの代わりに、PBIで被覆していないカーボンナノチューブを用いること以外は、実施例1と同様にして複合材料形成用組成物を調製し、これを用いてフィルム状の複合材料を得た。
(比較例2)
PBI被覆カーボンナノチューブの代わりに、低圧RFプラズマシステムにて酸素プラズマ処理を行ったカーボンナノチューブを用いること以外は、実施例1と同様にして複合材料形成用組成物を調製し、これを用いてフィルム状の複合材料を得た。
実施例1および各比較例で調製した複合材料形成用組成物について、光学顕微鏡による観察を行った。その光学顕微鏡写真を図2に示す。図2(a)は、実施例1で調製した複合材料形成用組成物の光学顕微鏡写真であり、その挿入図は、顕微鏡を通さずに撮影した複合材料形成用組成物の写真である。図2(b)は、比較例1で調製した複合材料形成用組成物の光学顕微鏡写真であり、図2(c)は、比較例2で調製した複合材料形成用組成物の光学顕微鏡写真である。図2(d)は、右から順に、PBI被覆カーボンナノチューブ、酸素プラズマ処理を行ったカーボンナノチューブ、いずれの処理も行っていないカーボンナノチューブを、それぞれN,N-ジメチルアセトアミドに分散して調製した分散液の写真である。図2(a)〜(c)中のスケールバーの幅は200μmに相当する。
図2(a)と(b)を比較してわかるように、比較例1で調製した複合材料形成用組成物では凝集体が顕著に認められるのに対して、実施例1で調製した複合材料形成用組成物では、凝集体が全く観察されず、PBI被覆カーボンナノチューブがエポキシ樹脂中に均一に分散していることを確認することができた。また、その分散状態が、カーボンナノチューブに酸素プラズマ処理を行って濡れ性を改善した比較例2の複合材料形成用組成物(図2(c))と類似することから、実施例1の複合材料形成用組成物で分散状態が改善されたのは、カーボンナノチューブに被覆したPBIがエポキシ樹脂に対する濡れ性を改善したためであることが示唆された。
また、実施例1および各比較例で製造した複合材料について、引張試験を行って測定した応力−ひずみ曲線を図3に示し、引張強度およびヤング率の測定値を表1に示す。また、実施例1および比較例2で製造した複合材料の引張試験後の破断面を、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真(SEM写真)を図4に示す。図4(c)は、比較例2で製造した複合材料の破断面を倍率2500倍で撮影したSEM写真であり、図4(d)は、比較例2で製造した複合材料の破断面を倍率15000倍で撮影したSEM写真であり、図4(e)は、実施例1で製造した複合材料の破断面を倍率2500倍で撮影したSEM写真であり、図4(f)は、実施例1で製造した複合材料の破断面を倍率15000倍で撮影したSEM写真である。図4(d)、(f)の挿入図は、各複合材料の試験片が引張試験により破断した後の様子を示す模式図である。図4(c)〜(f)中のスケールバーの幅は5μmに相当する。
表1に示したように、PBI被覆カーボンナノチューブを用いた実施例1の複合材料は、カーボンナノチューブをそのまま用いた比較例1の複合材料、カーボンナノチューブに酸素プラズマ処理を行った比較例2の複合材料に比べて、引張強度およびヤング率がともに高く、優れた機械的強度を有することがわかった。また、実施例1の複合材料の機械的強度が、比較例2の複合材料の機械的強度よりも高いことから、PBIはカーボンナノチューブの分散性を改善するだけでなく、カーボンナノチューブをエポキシ樹脂に結びつける接着剤として効果的に機能し、PBI被覆カーボンナノチューブとエポキシ樹脂の界面の荷重伝達を改善する効果も有することを確認することができた。
また、図4を見ると、比較例2で製造した複合材料には、その破断面に長軸長が長い長繊維構造が観察されるのに対して(図4(c)、(d))、実施例1で製造した複合材料の破断面には、短繊維しか認められず、長繊維構造は観察されなかった(図4(e)、(f))。この結果は、実施例1の複合材料では、比較例2の複合材料よりも荷重伝達が効率よく行われることを意味するものであり、このことからも、PBIの効果を確認することができた。
(実施例2)
以下のようにして、PyPBIで被覆された炭素繊維(PyPBI被覆炭素繊維)を調製した。
炭素繊維をアセトンで洗浄してサイジング剤を除去した。N,N-ジメチルアセトアミド(20mL)にPyPBI(10mg)を溶解して調製したPyPBI溶液に、洗浄後の炭素繊維(100mg)を投入して1時間攪拌した。混合物を濾過し、N,N-ジメチルアセトアミドで洗浄することにより、炭素繊維に結合していないPyPBIを除去した。洗浄後の固体を、さらにメタノールで洗浄してジメチルアセトアミドを洗い流し、乾燥することにより、PyPBI被覆炭素繊維を得た。
ここで、炭素繊維にPyPBIが被覆されていることは、X線光電子分光分析によりN1sに由来するピークが観測されたことで確認した。
このようにして調製したPyPBI被覆炭素繊維を、PBI被覆カーボンナノチューブの代わりに用いること以外は、実施例1と同様にして複合材料を得た。
(比較例3)
PyPBI被覆炭素繊維の代わりに、PyPBIを被覆していない炭素繊維を用いること以外は、実施例2と同様にして複合材料を得た。
実施例2、比較例3で製造した複合材料について、フラグメンテーション試験を行い、界面せん断強度を求めた結果を表2に示す。
表2に示したように、PyPBI被覆炭素繊維を用いた実施例2の複合材料は、炭素繊維にPyPBIを被覆していない比較例3の複合材料よりも高い界面せん断強度を有していた。このことから、炭素材料に炭素繊維を用い、第1の重合体にPyPBIを用いた系においても、第1の重合体の機械的強度を改善する効果を確認することができた。
本発明の複合材料形成用組成物によれば、機械的強度に優れた複合材料を形成することができる。このため、本発明の複合材料形成用組成物を用いれば、航空機をはじめとする様々な領域で、各種部材の機械的強度を上げることができる。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。

Claims (20)

  1. 官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含み、
    第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基は、反応することにより第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成しうるものである、複合材料形成用組成物。
  2. 前記炭素材料が炭素繊維である、請求項1に記載の複合材料形成用組成物。
  3. 前記炭素材料がカーボンナノチューブである、請求項1に記載の複合材料形成用組成物。
  4. 前記炭素材料が化学修飾されていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
  5. 前記第1の重合体がイミノ基(−NH−)またはアミノ基(−NH)を有しており、前記第2の重合体がイミノ基またはアミノ基(−NH)と反応して共有結合を形成する官能基を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
  6. 前記第2の重合体の前記官能基がエポキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボキシル基、またはハロゲン原子である、請求項5に記載の複合材料形成用組成物。
  7. 前記第2の重合体の前記官能基がエポキシ基である、請求項5に記載の複合材料形成用組成物。
  8. 前記第1の重合体が環員として窒素原子を含む置換もしくは無置換のヘテロ環を含む構成単位を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
  9. 環員である窒素原子の少なくとも1つがイミノ基(−NH−)を構成している、請求項8に記載の複合材料形成用組成物。
  10. 前記ヘテロ環は、ベンズイミダゾール環である、請求項8または9に記載の複合材料形成用組成物。
  11. 前記第1の重合体が下記一般式(1)で表される構成単位の繰り返し構造を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
    (一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表し、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。Lは単結合または2価の連結基を表す。n1およびn2は0〜3の整数を表し、n3は1〜100の整数を表す。)
  12. 前記第2の重合体が、エポキシ基と置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば置換もしくは無置換のフェニレン基)とを有するエポキシ樹脂である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
  13. 前記第2の重合体が、下記一般式(2−2)で表されるエポキシ樹脂である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物。
    (一般式(2−2)において、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表し、R、Rが複数存在するとき、R同士およびR同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n4およびn5は0〜4の整数を表し、n6は0〜100の整数を表す。)
  14. 官能基を有する第1の重合体が表面に非共有結合性吸着している炭素材料と、官能基を有する第2の重合体とを含む組成物を、第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基が反応する条件下に置くことにより反応させ、第1の重合体と第2の重合体とを連結する共有結合を形成する、複合材料の製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合材料形成用組成物における第1の重合体の官能基と第2の重合体の官能基を反応させることにより、第1の重合体と第2の重合体との間に共有結合を形成する、複合材料の製造方法。
  16. 請求項14または15に記載の製造方法により製造される複合材料。
  17. 炭素材料と、前記炭素材料の表面に非共有結合性吸着している第1の重合体と、前記第1の重合体に共有結合で結合している第2の重合体とを有する、複合材料。
  18. 前記第1の重合体が窒素原子を有しており、前記第2の重合体が前記第1の重合体の窒素原子に結合する結合部位を有する、請求項16または17に記載の複合材料。
  19. 前記第1の重合体が、下記一般式(3)で表される構造を有する構成単位を有する、請求項16〜18のいずれか1項に記載の複合材料。
    (一般式(3)において、R11は置換基を表し、R11が複数存在するとき、R11同士は互いに同じであっても異なっていてもよい。n11は0〜3の整数を表す。*および*は第1の重合体を構成する他の部分との結合部位を表し、*は第2の重合体との結合部位を表す。)
  20. 前記第1の重合体と前記第2の重合体が、−N(R21)−、−N(R22)CO−、または−N(R23)CON(R24)−[ここで、R21〜R22は各々独立に水素原子または置換基(例えば置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基)を表す。]で表される連結基で結合している、請求項16〜19のいずれか1項に記載の複合材料。
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