JP2001032422A - Ａｌｃコーナーパネル及びその取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄骨躯体にＡＬＣパネルを取り付けて、外壁
を構成する場合に、出隅部の柱に固着する必要がなく、
無足場で施工できる上に、製造が比較的容易で建築物の
外観を良くするＡＬＣコーナーパネルと、耐震性に優れ
た取付け構造を提供する。 【解決手段】 上下端角部には、双方のＡＬＣパネル１
１、１２の小口面と裏面に跨る直角なアングル１４が、
裏面側に埋設されたナットに取り付けられ、また中間の
入隅部に当接したＬ字状金具１６が、ＡＬＣパネル１
１、１２裏面側に埋設されたナットに取り付けられる。
さらに、前記アングル１４の入隅部に三角形のリブ１４
ａを固着する。上記ＡＬＣコーナーパネル１０の裏面四
隅部に埋設したアンカー１１ｅ、１２ｅに、ボルトによ
り、該ボルトが貫通する上下方向に長い長孔を有する取
付け金物で、それぞれ取り付ける（図示せず）。各取付
け金物を、それぞれ建築物の躯体梁に固着させた取付け
金具に固着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、鉄骨躯体に軽量
気泡コンクリート（ＡＬＣ）パネルを取り付けて、外壁
を構成する場合の出隅部に取り付けるＡＬＣコーナーパ
ネルと、その取付け構造に関し、特に、幅が４００ｍｍ
を超える幅広なＡＬＣコーナーパネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築物の壁面を構成する場合に
は、一般に、鉄骨躯体の梁に様々な金具類を使用してＡ
ＬＣパネルを取り付けている。また、建築物の出隅部に
は、図７に横断面図を示したように、横断面がＬ字状で
一体に形成されたＡＬＣコーナーパネル３を取り付ける
際には、該ＡＬＣコーナーパネル３にネジ止めしたコー
ナープレート５を柱１に固着する。該ＡＬＣコーナーパ
ネル３の両端には、柱１に固着した受け金具６に、下端
小口面の一部を担持させた状態の矩形状の平面パネル４
を配置し、該平面パネル４の裏面上下端部近辺にネジ止
めした金具８を、梁２に固着されている定規アングル７
の垂直面に固着する。

【０００３】しかし、図７に示したＡＬＣコーナーパネ
ル３は、製造上の理由から幅が４００ｍｍ以下に制限さ
れ、柱１やＡＬＣパネル４が大きい場合には、目地位置
がアンバランスとなって外観が制約される問題があっ
た。

【０００４】また、他の方法としては図８に示すよう
に、矩形状の平面パネル４の端部を他の平面パネル４の
裏面端部に突き付けた状態で、柱１に固着した受け金具
６に、下端小口面の一部を担持させ、平面パネル４の裏
面上下端部近辺にネジ止めした金具８を、梁２に固着さ
れている定規アングル７の垂直面に固着する。

【０００５】図８に示した従来例では、出隅部に目地が
できるので、やはり外観上の問題があった。

【０００６】さらにいずれの場合でも、柱１にコーナー
プレート５や自重受け金具６を固着するために、屋外に
足場を仮説する必要があり、手数と費用がかかる問題ば
かりでなく、隣接する構造物との間隔が狭くスペースが
ない場合には、施工できない問題があった。

【０００７】なお、図示していないが、２枚のＡＬＣパ
ネルの相対する長辺小口面を４５度に切断し、双方の切
断面の先端部に目地溝を加工してから、両者を直角に組
み合わせて接着し、目地溝を含む目地部に耐火材やシー
リング材を充填する方法もある。しかし、この方法で
は、ＡＬＣパネルの加工や組立てに熟練を要する問題
や、また建築物の出隅部に目地部が露出するので外観を
損なう問題があった。

【０００８】また、図８に示した従来例のように、２枚
のＡＬＣパネル４の一方の長辺小口面が、他方の裏面端
部に突き付けられて、直角に形成されているＡＬＣコー
ナーパネルを使用し、該ＡＬＣコーナーパネルの出隅部
にコーナータイル１７ａを貼着し、その両側の全面にタ
イル１７を貼着したタイル貼着ＡＬＣコーナーパネルが
ある。該タイル貼着ＡＬＣコーナーパネルに、定型のタ
イル１７を使用すると、使用したＡＬＣパネル４の幅に
よっては、その幅方向に過不足が生じるため、幅の異な
るタイルを特注する必要があり、高価になるばかりでな
く、外壁全体の意匠が制約される問題があった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉄骨躯体に
ＡＬＣパネルを取り付けて、外壁を構成する場合に、出
隅部の柱に固着する必要がなく、無足場で施工できる上
に、製造が比較的容易で建築物の外観を良くするＡＬＣ
コーナーパネルと、耐震性に優れた取付け構造を提供す
るものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明のＡＬＣコーナー
パネルは、裏面に開口するように複数のナットが埋設さ
れた同じ長さの矩形状の第１ＡＬＣパネルおよび第２Ａ
ＬＣパネルと、少なくとも１つのＬ字状固定金具と、１
つまたは２つのアングルとからなるＡＬＣコーナーパネ
ルであり、第１ＡＬＣパネルの長辺小口面が、第２ＡＬ
Ｃパネルの裏面端部に突き付けられて配置され、前記Ｌ
字状固定金具は、入隅部に配置されて、少なくとも１つ
の前記ナットに固定され、前記アングルは、第１ＡＬＣ
パネルの裏面に当接させる第１平板部と、第２ＡＬＣパ
ネルの裏面に当接させる第２平板部と、第１ＡＬＣパネ
ルおよび第２ＡＬＣパネルの短辺小口面に当接させる第
３平板部とを有し、第１平板部と第２平板部が、少なく
とも１つの前記ナットに固定される。

【００１１】前記アングルの第１平板部および第２平板
部のそれぞれに、２つ以上の孔が設けられ、該孔は、Ａ
ＬＣパネルの長さ方向に隔てて設けられ、該孔の少なく
とも１つに、該孔よりも大きい頭部のボルトを、前記Ａ
ＬＣパネル側からネジ部を貫通させて配置する。

【００１２】ＡＬＣパネルの長さ方向に長い長孔を備
え、建築物の躯体に固着させる取付け金物を有し、該長
孔に前記ボルトを貫通させ、該取付け金物を取り付け
る。

【００１３】出隅側にタイルを貼着し、出隅角部にはコ
ーナータイルを貼着し、第１ＡＬＣパネルおよび第２Ａ
ＬＣパネルを突き合わせた外縁部には、切欠きが設けら
れ、該切欠きに弾性シーリング材または弾性接着剤が充
填され、一部のタイルが、一方のＡＬＣパネルおよび該
弾性シーリング材または弾性接着剤の表面に跨って貼着
されるとよい。

【００１４】本発明のＡＬＣコーナーパネルの取付け構
造は、裏面に開口するように複数のナットが埋設された
同じ長さの矩形状の第１ＡＬＣパネルおよび第２ＡＬＣ
パネルを、第１ＡＬＣパネルの長辺小口面が、第２ＡＬ
Ｃパネルの裏面端部に突き付けられて配置させ、少なく
とも１つのＬ字状固定金具を、入隅部に配置させて、少
なくとも１つの前記ナットに固定させ、第１ＡＬＣパネ
ルの裏面に当接させる第１平板部と、第２ＡＬＣパネル
の裏面に当接させる第２平板部と、第１ＡＬＣパネルお
よび第２ＡＬＣパネルの短辺小口面に当接させる第３平
板部とを有する１つまたは２つのアングルを、短辺小口
面に配置させて、第１平板部と第２平板部を少なくとも
１つの前記ナットに固定させる。

【００１５】前記アングルの第１平板部および第２平板
部のそれぞれに、２つ以上の孔が設けられ、該孔は、Ａ
ＬＣパネルの長さ方向に隔てて設けられ、該孔の少なく
とも１つに、該孔よりも大きい頭部のボルトを、前記Ａ
ＬＣパネル側からネジ部を貫通させて配置し、ＡＬＣパ
ネルの長さ方向に長い長孔を備え、建築物の躯体に固着
させる取付け金物を、該長孔を貫通させた前記ボルトに
取り付ける。

【００１６】出隅側にタイルを貼着し、出隅角部にはコ
ーナータイルを貼着し、第１ＡＬＣパネルおよび第２Ａ
ＬＣパネルを突き合わせた外縁部には、切欠きが設けら
れ、該切欠きに弾性シーリング材または弾性接着剤が充
填され、一部のタイルが、一方のＡＬＣパネルおよび該
弾性シーリング材または弾性接着剤の表面に跨って貼着
されるとよい。

【００１７】

【発明の実施の形態】本発明の第１のＡＬＣコーナーパ
ネルは、上下端角部には、双方のＡＬＣパネルの小口面
と裏面に跨る直角なアングルが、各パネルの裏面側に埋
設されたナットに取り付けられ、また中間の入隅部に当
接したＬ字状金具が、ＡＬＣパネル裏面側に埋設された
ナットに取り付けられる。

【００１８】従って、強固に固定した幅広なＡＬＣパネ
ルも変形することがない。さらに、前記アングルの入隅
部に三角形のリブを固着すれば、一層好適である。

【００１９】なお、前記アングルやＬ字状金具は、ＡＬ
Ｃパネルに埋設された複数のナットに直接ネジ止めして
もよいが、ナットの位置精度がよくない場合には、アン
グルやＬ字状金具の孔を大きくして、大きな座金を介し
てボルト止めしたり、ナットにネジ止めしたイナズマプ
レートにアングルやＬ字状金具を固着すれば、容易に取
り付けることができて好都合である。また、矩形状の２
枚のＡＬＣパネルの一方の長辺小口面を、他方のＡＬＣ
パネルの裏面端部に突き付けて、直角なＡＬＣコーナー
パネルを形成するので、小口面を正確に４５度にする切
断加工や、角部のシール溝加工は不要であり、接合部の
接着やシールの必要がなく、熟練を要せず手数がかから
ない。その上、建築物の出隅部に目地が露出しないの
で、外観を損なうこともない。

【００２０】本発明の第２のＡＬＣコーナーパネルは、
前記上下端アングルの垂直面の両端部近辺に、パネル裏
面の直角方向に突出するボルトを、基部位置が調整可能
となるように取り付ける。

【００２１】そのため、躯体の上下梁に固着された定規
アングルの間隔が多少異なっても、ボルトの位置を調整
することにより、所望位置に取付け金具をネジ止めする
ことができる。

【００２２】さらに、前記上端アングルの水平面の両端
部近辺と、下端アングルの垂直面の両端部近辺のそれぞ
れに、一対のネジ孔を設けるとよい。このネジ孔にアイ
ボルトをネジ止めすれば、ＡＬＣコーナーパネルを躯体
に取り付ける際に、上端小口面を吊具で懸架した状態
で、前記アイボルトにレバーブロックのフックなどを係
合して、ＡＬＣパネルを躯体側に引き込んだり、左右方
向に移動させて容易に位置決めし、躯体側に固着された
取付け金具に取り付けることができる。

【００２３】本発明の第３のＡＬＣコーナーパネルは、
ＡＬＣパネルの長さ方向に長い長孔を備え、建築物の躯
体に固着させる取付け金物により、該長孔に前記ボルト
を貫通させ、該取付け金物を取り付ける。

【００２４】そのため、ボルトによる前述の位置調整を
さらに好適に行うことができる。

【００２５】本発明の第４のＡＬＣコーナーパネルは、
前記ＡＬＣコーナーパネルの出隅側にタイルを貼着し、
出隅角部にはコーナータイルを貼着し、第１ＡＬＣパネ
ルおよび第２ＡＬＣパネルを突き合わせた外縁部には、
切欠きが設けられ、該切欠きに弾性シーリング材または
弾性接着剤が充填され、一部のタイルが、一方のＡＬＣ
パネルおよび該弾性シーリング材または弾性接着剤の表
面に跨って貼着される。

【００２６】そのため、定型タイルだけを使用しても、
壁面がアンバランスとはならず、タイルが剥落すること
がないので経済的であり、外壁の意匠が制約されること
がない。なお、一方のＡＬＣパネル面に少なくともタイ
ル面積の７０％程度以上を貼着することが望ましい。

【００２７】次に、本発明の取付け構造では、上記ＡＬ
Ｃコーナーパネルの裏面四隅部にアンカーを埋設し、該
アンカーに、上下方向に長い長孔を有するそれぞれ１個
の取付け金物を、該長孔を貫通するボルトでネジ止めす
る。

【００２８】あるいは、上下端にネジ止めされたアング
ルに取り付けられた２対のボルトに、それぞれ１個の取
付け金物をネジ止めする。

【００２９】そして各取付け金物を、それぞれ建築物の
躯体梁に固着された取付け金具に固着する。ＡＬＣコー
ナーパネルは、上下方向同一位置で前記取付け金具に取
り付けられるので、地震や強風のため躯体が揺動した場
合にも、ＡＬＣコーナーパネルは、他の外壁パネルと同
様に遊動するので破損することがなく、優れた耐震性が
得られる。その上、本発明の取付け構造では、ＡＬＣコ
ーナーパネルが、隣接する外壁パネル同様に、屋内側か
ら取り付け作業ができるので、屋外に足場を仮設する必
要がなく、手数と費用が節減できるばかりでなく、障害
物が近接している敷地にも建設することができる。

【００３０】（実施例）以下、本発明の一実施例を図面
によって説明する。

【００３１】図１は、本発明のＡＬＣコーナーパネルの
第１実施例を示す斜視図であり、ＡＬＣコーナーパネル
１０の表面にタイル１７が貼着されており、厚さは１２
５ｍｍ、長さ４２００ｍｍで、幅が１２００ｍｍと１０
７５ｍｍの２枚のＡＬＣパネル１１、１２を組み合わせ
た。各ＡＬＣパネル１１、１２の裏面上下端部にはそれ
ぞれ２か所に、中央部には１か所に、アンカーナットが
埋設され、ＡＬＣパネル１１、１２の対称的な位置に開
口している。

【００３２】また、上端小口面のそれぞれ１か所にも、
埋設されたアンカーナット１１ｄ、１２ｄが相対する位
置に開口している。さらに、各ＡＬＣパネル１１、１２
の裏面上下角部近辺には、２対の金具取り付け用ナット
１１ｅ、１２ｅが開口している。そして、パネル１２の
長辺小口面が、パネル１１の裏面の一方の端部に突き付
けられた状態で、長さ４２００ｍｍ、一辺の幅が１２０
０ｍｍ、厚さ１２５ｍｍの直角なＡＬＣコーナーパネル
１０が形成される。

【００３３】そして、このＡＬＣコーナーパネル１０の
上下端角部には、双方のＡＬＣパネル１１、１２の小口
面と裏面に跨って５０×７０ｍｍ、長さ４５０ｍｍ、厚
さ７ｍｍの直角なアングル１４が、各ＡＬＣパネル１
１、１２の裏面側に埋設されたナットにボルト１５でネ
ジ止めされたイナズマプレート１３に、固着されてい
る。また、前記各アングル１４の入隅部には、高さ２５
ｍｍ、厚さ６ｍｍの直角三角形の一対のリブ１４ａが、
上下に平行に固着されている。

【００３４】また中間の入隅部に、７５×７５ｍｍ、長
さ３００ｍｍ、厚さ９ｍｍのＬ字状金具１６の外面が当
接した状態で、パネル裏面側に埋設されたナットにボル
ト１５でネジ止めされた１対のイナズマプレート１３で
固着されている。また、ＡＬＣパネル１１、１２の接合
目地部は、図２に示したように、ＡＬＣパネル１１の長
辺小口面に設けられた溝１１ａに、バックアップ材１８
ａとシーリング材１８ｂが充填されて形成され、この目
地部はＡＬＣパネル１１の縁に貼着されている幅１１５
×１１５ｍｍ、高さ４５ｍｍ、厚さ７ｍｍのコーナータ
イル１７ａの一方の目地を兼ねており、コーナータイル
１７ａの他方の目地部と外観上同じになっている。

【００３５】このようなコーナーパネル１０を製作する
には、予め所望寸法に切断され、所望位置にアンカーナ
ットが埋設されているＡＬＣパネル１１、１２の裏面
に、それぞれ５個の前記イナズマプレート１３の基部
を、ボルト１５で仮にネジ止めしておく。そして、この
ＡＬＣパネル１１の端部裏面に、ＡＬＣパネル１２の長
辺小口面を突き付けて、直角に位置決めする。

【００３６】その後、上下端部に、直角なアングル１４
を配設し、前記イナズマプレート１３のボルト１５をネ
ジ止めしてから、イナズマプレート１３の先端部をアン
グル１４に溶接する。また両者の入隅部に、Ｌ字状金具
１６の裏面を当接させた状態で配設し、Ｌ字状金具１６
を前記イナズマプレート１３の先端部とＡＬＣパネルと
で狭持した状態で、イナズマプレート１３の先端部をＬ
字状金具１６の表面に溶接固着すればよい。なお、パネ
ル表面のタイル１７は、このＡＬＣコーナーパネル１０
の組み立て前か、組み立て後に貼着すればよい。

【００３７】次に、図３は、前述のＡＬＣコーナーパネ
ル１０の取り付け構造を示す一部破断縦断面図である。
この取り付け構造に使用する金具集成体４０は、定規ア
ングルピース４１、自重受け金具４２、Ｌ型プレート４
３、イナズマプレート４４とからなる。前記定規アング
ルピース４１の両端部にはスチフナー４１ａが固着さ
れ、また前記自重受け金具４２を固着する上向き垂直面
４１ｂの下端部には、前記Ｌ型プレート４３の水平部４
３ｃを挿通する切り欠き４１ｃを設けてある。

【００３８】そして、躯体梁２に固着する水平部４１ｄ
の上面には、前記Ｌ型プレート４３の水平部４３ｃをネ
ジ止めするボルト４１ｅの基部が固着されている。ま
た、前記自重受け金具４２の垂直面４２ａから、反躯体
側に前記コーナーパネル１０の下端を支承する水平面４
２ｂが突出し、また前記垂直面４２ａの両端部は、躯体
側に直角に折り曲げられていて、その外面に、高さ調整
用ボルト４２ｃに適合する長ナット４２ｄが固着されて
いる。

【００３９】また、矩形板を直角に折り曲げた形状の前
記Ｌ型プレート４３は、下向き垂直面４３ａに設けた上
下方向に長い長孔４３ｂに、ＡＬＣコーナーパネル１０
の上端部に埋設したアンカーナットに締着させるボルト
１５を貫通させて取り付ける。水平面４３ｃには、前記
定規アングル４１のボルト４１ｅを挿通させるように、
パネル面に垂直な方向に長い長孔４３ｄが配設されてい
る。また矩形の鉄板を段状に折り曲げたイナズマプレー
ト４４の一方の面には、その長手方向に長い長孔４４ａ
が穿孔されている。

【００４０】前記金具集成体４０を使用した本発明のＡ
ＬＣコーナーパネルの取付構造と工法について、以下に
説明する。

【００４１】先ず、建築物の出隅を形成する柱１に直交
する梁２の相対する位置に、一対の前記金具集成体４０
の定規アングル４１の垂直面４１ｂが所望出幅になるよ
うにその水平部４１ｄを固着し、自重受け金具４２の水
平面４２ｂが所望高さになるように、高さ調整用ボルト
４２ｃを回転させて調整してから、垂直面４２ａの両端
部を定規アングル４１の垂直面４１ｂに溶接する。

【００４２】一方、ＡＬＣコーナーパネル１０の下端部
に埋設したナット１２ｃに、イナズマプレート４４をそ
の長孔４４ａを貫通するボルト１５で空転防止座金１５
ａを介して仮にネジ止めしておき、上端部のナット１２
ｃには、Ｌ型プレート４３の下向き垂直面４３ａの長孔
４３ｂを貫通するボルト１５で、空転防止座金１５ａを
介してネジ止めしておく。次にこのコーナーパネル１０
の上端小口面のナット１２ｄ（図１参照）に、図示して
いない吊具を取り付けておいて、クレーンなどで所望位
置に吊り込み、その下端小口面を自重受け金具４２の水
平面４２ｂに担持させる。

【００４３】それから、Ｌ型プレート４３の水平面４３
ｃを定規アングル４１の切り欠き４１ｃに挿通して、長
孔４３ｄにボルト４１ｅを挿通し、外面を所望出幅に位
置決めし、ナットで締着する。その後、イナズマプレー
ト４４をボルト１５で締着し、その下端部を自重受け金
具４２の垂直面４２ａに溶接すればよい。

【００４４】この取り付け構造では、ＡＬＣコーナーパ
ネル１０にボルト１５でネジ止めしたイナズマプレート
４４やＬ型プレート４３は、躯体に対し固定されている
が、各ボルト１５は前記各金具４３、４４の上下方向の
長孔４３ｂ、４４ａに沿って昇降可能なので、コーナー
パネル１０の四隅部が躯体に対し遊動可能で、耐震性の
優れた構造となる。

【００４５】このＡＬＣコーナーパネル１０の両側に隣
接する外壁パネルとの目地部は、図示していないが、ガ
スケットでシールするか、シーリング材を充填すれば外
壁が完成する。そして、これらの作業はいずれも屋内側
から作業できるし、外壁パネルの取付け作業と並行して
進めることができるので、足場の仮設が必要なく作業工
程が制約されることがない。なお、上記の各ＡＬＣコー
ナーパネル、取付け金具、タイルなどの寸法形状は必要
に応じ適宜選定すればよい。

【００４６】次に、図４は、本発明のＡＬＣコーナーパ
ネルの第２実施例を示す斜視図である。このＡＬＣコー
ナーパネル２０を形成する２枚のＡＬＣパネル２１、２
２の寸法やアンカー位置などは、前実施例のＡＬＣパネ
ル１１、１２と同様であるが、ＡＬＣパネル２１の裏面
の一方の端部に突き付けるＡＬＣパネル２２の長辺小口
面の外壁側に、幅２０ｍｍ、深さ２０ｍｍの面取り２８
が加工されている。また、各ＡＬＣパネル２１、２２の
下端部はシャクリ加工されており、後述するアングル２
３が当接する裏面の上下端部分は、その厚さだけ切り欠
かれている。

【００４７】そしてこれらのＡＬＣパネル２１、２２の
中央入隅部に、前実施例とほぼ同様なアングル２４が角
座金２５を介してボルト１５で固定されている。またこ
のＡＬＣパネル２１、２２の上下端角部の全長にわたっ
て、小口面と裏面に跨るように、各パネル２１、２２に
埋設されて裏面側に開口したナットに、角座金２５を介
してボルト１５で、アングル２３がネジ止めされてい
る。該アングル２３は５５×１７０ｍｍ、厚さ９ｍｍの
直角な形状であり、入隅部に三角形の一対のリブ２３ａ
が上下に平行に固着される。

【００４８】また、上下のアングル２３の両端部近辺の
垂直面には、それぞれ３個のネジ孔２３ｂが上下方向に
一列に配設されており、上方のアングル２３の中央のネ
ジ孔２３ｂ、および下方のアングル２３の下側のネジ孔
２３ｂには、裏面からボルト２６がねじ込まれ、その頭
部はＡＬＣパネルの座繰り穴に埋没させている。さら
に、このアングル２３の水平部両端には、ネジ孔２３ｃ
が設けられている。

【００４９】以上のように、長さ４２００ｍｍで一辺の
幅が１２００ｍｍの直角なコーナーパネル２０が形成さ
れている。

【００５０】そして、一方のＡＬＣパネル２２の前記切
り欠き部２８には、弾性のあるシーリング材２８ａが充
填されていて、ＡＬＣパネル２２の表面と同一な平坦面
が形成されている。さらに、ＡＬＣパネル２１の角部に
は一辺の長さが４５ｍｍと９５ｍｍで、幅４５ｍｍ、厚
さ７ｍｍのコーナータイル２７ａが接着剤を介して貼着
され、このコーナータイル２７ａの両側に隣接して長さ
９５ｍｍ、幅４５ｍｍ、厚さ７ｍｍの平タイル２７が貼
着されているが、パネル２２側の平タイル２７の一方の
端部が前記切り欠き部２８のシーリング材２８ａ面に貼
着され、パネル２２の表面には直接接着されていない。

【００５１】そのため、もしＡＬＣパネル２１、２２の
相互位置が一時若干ずれることがあっても、シーリング
材２８ａが緩衝材となるので、平タイル２７が剥離する
ことがない。また、前記コーナータイル２７ａに隣接す
る両側の平タイル２７が同一寸法なので、経済性、作業
性、意匠性に優れたＡＬＣコーナーパネル２０が形成さ
れる。

【００５２】次に、図５、図６は、前述のコーナーパネ
ル２０の取り付け構造を示す一部平面図と一部破断縦断
面図である。この取り付け構造に使用する金具集成体５
０は定規アングルピース５１、自重受け金具５２、プレ
ート５３、イナズマプレート５４とからなる。

【００５３】前記定規アングルピース５１の両端部には
スチフナー５１ａが固着されている。また、前記自重受
け金具５２は、垂直面から外方に水平部５２ａが固着さ
れ、その両翼５２ｂは直角に折り曲げられ、その下端部
には前記定規アングルピース５１とイナズマプレート５
４を挟持する切り欠き５２ｃが設けられている。

【００５４】また、この自重受け金具５２の前記垂直面
の上端には、切り込み５２ｅが設けられており、前記２
つの折り曲げ部５２ｂの下端に跨るように連結部を設
け、該連結部に２つのナットが固着され、該ナットに合
わせた孔を備え、該ナットに適合したボルト５２ｄが配
設されている。そして、このボルト５２ｄを正逆回転さ
せることにより、自重受け金具５２の高さが調整可能に
なっている。プレート５３は矩形の平板で、その幅は自
重受け金具５２の前記折り曲げ部５２ｂの間隔よりもや
や小さい寸法になっている。

【００５５】前記金具集成体５０を使用し、このＡＬＣ
コーナーパネル２０の取り付け構造と工法について以下
に説明する。

【００５６】先ず、前実施例と同様に建築物の出隅を形
成する柱１に直交する梁２の相対する位置に、一対の前
記定規アングル５１の垂直面５１ｂが所望出幅になるよ
うに、その水平部５１ｄを固着する。次に自重受け金具
５２の切り欠き５２ｃで、定規アングルピース５１の垂
直面５１ｂと下段コーナーパネル２０のイナズマプレー
ト５４を挟持し、水平面５２ａが所望高さになるよう
に、高さ調整用ボルト５２ｄを回転させて調整して仮止
めしておく。

【００５７】一方、ＡＬＣコーナーパネル２０の上端部
のボルト２６を、イナズマプレート５４の長孔５４ａに
貫通させ、空転防止用座金５５ａを介してナット５５で
ネジ止めしておく。また、このコーナーパネル２０の上
下端部のアングル２３のネジ孔２３ｃにはアイボルト
（図示せず）をネジ止めしておく。

【００５８】そしてこのコーナーパネル２０の上端小口
面のナット２１ａ、２２ａ（図４参照）に図示していな
い吊具を取り付けてクレーンなどで所望位置に吊込み、
前記アイボルトにレバーブロックのフックを掛けて、屋
内側に引き入れる。そして、ＡＬＣコーナーパネル２０
の下端ボルト２６を前記自重受け金具５２の上端切り込
み５２ｅに挿入した状態で、下端小口面のアングル２３
を自重受け金具５２の水平面５２ａに担持させる。ま
た、上端のイナズマプレート５４を上階の定規アングル
５１に当接させ、上階の自重受け金具５２の切り欠き５
２ｃで、定規アングルピース５１の垂直面５１ｂと共に
挟持させる。

【００５９】それから、前記下端ボルト２６にプレート
５３を貫通させ、空転防止座金５５ａを介して、ナット
５５でネジ止めする。この状態で、前述のようなレバー
ブロックを使用して、自重受け金具５２を左右にずらし
てＡＬＣコーナーパネル２０の横方向を位置決めした
ら、下端の切り欠き５２ｃを定規アングル５１の垂直面
５１ｂに溶接固着すれば取り付けは完了する。

【００６０】この取り付け構造は、前実施例と同様に、
ＡＬＣコーナーパネル２０の四隅部のボルト２６が前記
自重受け金具５２の上端切り込み５２ｅと、イナズマプ
レート５４の長孔５４ａに沿って昇降可能なので、ＡＬ
Ｃコーナーパネル２０が躯体に対し遊動可能で、耐震性
の優れた構造となる。

【００６１】

【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
第１のＡＬＣコーナーパネルは、上下端角部には、双方
のＡＬＣパネルの小口面と裏面に跨る直角なアングル
が、各ＡＬＣパネルの裏面側に埋設されたナットに取り
付けられ、また中間の入隅部に当接したＬ字状金具を、
パネル裏面側に埋設させたナットに取り付けたので、強
固に固定した幅広なＡＬＣパネルも、変形することがな
い。さらに、前記アングルの入隅部に三角形のリブを固
着すれば一層好適である。

【００６２】なお、前記アングルやＬ字状金具はＡＬＣ
パネルに埋設された複数のナットに直接ネジ止めしても
よいが、ナットの位置精度がよくない場合には、アング
ルやＬ字状金具の孔を大きくして大きな座金を介してボ
ルト止めしたり、ナットにネジ止めしたイナズマプレー
トに、アングルやＬ字状金具を固着すれば容易に取り付
けることができて、好都合である。

【００６３】また、矩形状の２枚のＡＬＣパネルの一方
の長辺小口面を、他方のパネル裏面端部に突き付けて、
直角なＡＬＣコーナーパネルを形成するので、パネル小
口面を正確に４５度にする切断加工や、角部のシール溝
加工は不要であり、接合部の接着やシールの必要がな
く、熟練を要せず手数がかからない。その上、建築物の
出隅部角に目地が露出しないので、外観を損なうことも
ない。

【００６４】また、本発明の第２のＡＬＣコーナーパネ
ルは、前記上下端アングルの垂直面の両端部近辺に、パ
ネル裏面の直角方向に突出するボルトを、基部位置が調
整可能に取り付けた。そのため、躯体の上下梁に固着さ
れた定規アングルの間隔が多少異なっても、ボルトの位
置を調整することにより、所望位置に取付け金物をネジ
止めすることができる。

【００６５】本発明の第３のＡＬＣコーナーパネルは、
ＡＬＣパネルの長さ方向に長い長孔を備え、建築物の躯
体に固着させる取付け金物により、該長孔に前記ボルト
を貫通させ、該取付け金物を取り付けた。そのため、ボ
ルトによる前述の位置調整をさらに好適に行うことがで
きる。

【００６６】次に、本発明の第４のＡＬＣコーナーパネ
ルは、前記ＡＬＣコーナーパネルの出隅側にタイルを貼
着し、出隅角部にはコーナータイルを貼着し、第１ＡＬ
Ｃパネルおよび第２ＡＬＣパネルを突き合わせた外縁部
には、切欠きが設けられ、該切欠きに弾性シーリング材
または弾性接着剤が充填され、一部のタイルが、一方の
ＡＬＣパネルおよび該弾性シーリング材または弾性接着
剤の表面に跨って貼着される。そのため、定型タイルだ
けを使用しても、壁面がアンバランスとはならず、タイ
ルが剥落することがないので経済的であり、外壁の意匠
が制約されることがない。

【００６７】本発明の取付け構造では、ＡＬＣコーナー
パネルの裏面四隅部に配置した取付け金物を、該取付け
金物の上下方向に長い長孔に貫通するボルトでネジ止め
し、この各取付け金物をそれぞれ、建築物の躯体梁に固
着された取付け金具に固着した。従って、ＡＬＣコーナ
ーパネルが、前記取付け金物に対し上下方向に遊動可能
なので、地震や強風のため躯体が揺動した場合にも、Ａ
ＬＣコーナーパネルは他の外壁パネルと同様に遊動し、
破損することがなく、優れた耐震性が得られる。

【００６８】その上、本発明の取付け構造では、ＡＬＣ
コーナーパネルが、隣接する外壁パネルと同様に、屋内
側から取付け作業ができるので、屋外に足場を仮設する
必要がなく、手数と費用が節減できるばかりでなく、障
害物が近接している敷地にも建設することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施例を示す斜視図である。

【図２】 図１の一部拡大平面図である。

【図３】 第１の実施例の取付け構造を示す一部破断縦
断面図である。

【図４】 本発明の第２の実施例を示す斜視図である。

【図５】 第２の実施例の取付け構造を示す横断面図で
ある。

【図６】 第２の実施例の取付け構造を示す一部破断縦
断面図である。

【図７】 従来の取付け構造を示す横断面図である。

【図８】 従来の他の取付け構造を示す横断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 柱 ２ 梁 ３、１０、２０ ＡＬＣコーナーパネル ４、１１、１２、２１、２２ ＡＬＣパネル ５ コーナープレート ６ 受け金具 ７ 定規アングル ８ 金具 １１ａ 溝 １１ｄ、１２ｄ アンカーナット １１ｅ、１２ｅ、２１ａ、２２ａ ナット １２ｃ ナット １３ イナズマプレート １４、２３、２４ アングル １４ａ、２３ａ リブ １５、２６ ボルト １５ａ 空転防止座金 １６ Ｌ字状金具 １７、２７、２７ａ タイル １７ａ、２７ａ コーナータイル １８ 目地溝 １８ａ バックアップ材 １８ｂ、２８ａ シーリング材 ２３ｂ、２３ｃ ネジ孔 ２５ 角座金 ２８ 面取り ４０、５０ 金具集成体 ４１、５１ 定規アングルピース ４１ａ、５１ａ スチフナー ４１ｂ、５１ｂ 垂直面 ４１ｃ、５２ｃ 切り欠き ４１ｄ、５１ｄ 水平部 ４１ｅ、５２ｄ ボルト ４２、５２ 自重受け金具 ４２ａ 垂直面 ４２ｂ、５２ａ 水平面 ４２ｃ、５２ｄ 高さ調整用ボルト ４２ｄ 長ナット ４３ Ｌ型プレート ４３ａ 垂直面 ４３ｂ、４３ｄ、５４ａ 長孔 ４３ｃ 水平部 ４４、５４ イナズマプレート ４４ａ 長孔 ５２ｂ 折り曲げ部 ５２ｅ 切り込み ５３ プレート ５５ ナット ５５ａ 空転防止座金

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黍野 和彦 神奈川県横浜市瀬谷区五貫目町14番地10 住友金属鉱山株式会社住宅・建材事業本部 建材技術センター内 Ｆターム(参考） 2E002 NA01 NB06 PA04 PA08 RA02 RB00 RB01 RB03 RB07 SA01 SA02 TA01 TA03 UA01 UA02 UB04 WA01 XA03 XA18

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 裏面に開口するように複数のナットが埋
   設された同じ長さの矩形状の第１ＡＬＣパネルおよび第
   ２ＡＬＣパネルと、少なくとも１つのＬ字状固定金具
   と、１つまたは２つのアングルとからなるＡＬＣコーナ
   ーパネルであり、第１ＡＬＣパネルの長辺小口面が、第
   ２ＡＬＣパネルの裏面端部に突き付けられて配置され、
   前記Ｌ字状固定金具は、入隅部に配置されて、少なくと
   も１つの前記ナットに固定され、前記アングルは、第１
   ＡＬＣパネルの裏面に当接させる第１平板部と、第２Ａ
   ＬＣパネルの裏面に当接させる第２平板部と、第１ＡＬ
   Ｃパネルおよび第２ＡＬＣパネルの短辺小口面に当接さ
   せる第３平板部とを有し、第１平板部と第２平板部が、
   少なくとも１つの前記ナットに固定されることを特徴と
   するＡＬＣコーナーパネル。
2. 【請求項２】 前記アングルの第１平板部および第２平
   板部のそれぞれに、２つ以上の孔が設けられ、該孔は、
   ＡＬＣパネルの長さ方向に隔てて設けられ、該孔の少な
   くとも１つに、該孔よりも大きい頭部のボルトを、前記
   ＡＬＣパネル側からネジ部を貫通させて配置することを
   特徴とする請求項１に記載のＡＬＣコーナーパネル。
3. 【請求項３】 ＡＬＣパネルの長さ方向に長い長孔を備
   え、建築物の躯体に固着させる取付け金物を有し、該長
   孔に前記ボルトを貫通させ、該取付け金物を取り付ける
   ことを特徴とする請求項２に記載のＡＬＣコーナーパネ
   ル。
4. 【請求項４】 出隅側にタイルを貼着し、出隅角部には
   コーナータイルを貼着し、第１ＡＬＣパネルおよび第２
   ＡＬＣパネルを突き合わせた外縁部には、切欠きが設け
   られ、該切欠きに弾性シーリング材または弾性接着剤が
   充填され、一部のタイルが、一方のＡＬＣパネルおよび
   該弾性シーリング材または弾性接着剤の表面に跨って貼
   着されることを特徴とする請求項１から３のいずれかに
   記載のＡＬＣコーナーパネル。
5. 【請求項５】 裏面に開口するように複数のナットが埋
   設された同じ長さの矩形状の第１ＡＬＣパネルおよび第
   ２ＡＬＣパネルを、第１ＡＬＣパネルの長辺小口面が、
   第２ＡＬＣパネルの裏面端部に突き付けられて配置さ
   せ、少なくとも１つのＬ字状固定金具を、入隅部に配置
   させて、少なくとも１つの前記ナットに固定させ、第１
   ＡＬＣパネルの裏面に当接させる第１平板部と、第２Ａ
   ＬＣパネルの裏面に当接させる第２平板部と、第１ＡＬ
   Ｃパネルおよび第２ＡＬＣパネルの短辺小口面に当接さ
   せる第３平板部とを有する１つまたは２つのアングル
   を、短辺小口面に配置させて、第１平板部と第２平板部
   を少なくとも１つの前記ナットに固定させることを特徴
   とするＡＬＣコーナーパネルの取付け構造。
6. 【請求項６】 前記アングルの第１平板部および第２平
   板部のそれぞれに、２つ以上の孔が設けられ、該孔は、
   ＡＬＣパネルの長さ方向に隔てて設けられ、該孔の少な
   くとも１つに、該孔よりも大きい頭部のボルトを、前記
   ＡＬＣパネル側からネジ部を貫通させて配置し、ＡＬＣ
   パネルの長さ方向に長い長孔を備え、建築物の躯体に固
   着させる取付け金物を、該長孔を貫通させた前記ボルト
   に取り付けることを特徴とする請求項５に記載のＡＬＣ
   コーナーパネルの取付け構造。
7. 【請求項７】 出隅側にタイルを貼着し、出隅角部には
   コーナータイルを貼着し、第１ＡＬＣパネルおよび第２
   ＡＬＣパネルを突き合わせた外縁部には、切欠きが設け
   られ、該切欠きに弾性シーリング材または弾性接着剤が
   充填され、一部のタイルが、一方のＡＬＣパネルおよび
   該弾性シーリング材または弾性接着剤の表面に跨って貼
   着されることを特徴とする請求項５または６に記載のＡ
   ＬＣコーナーパネルの取付け構造。