JP2001026636A - 被膜形成用樹脂及びそれから得られる塗工液 - Google Patents

被膜形成用樹脂及びそれから得られる塗工液

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JP2001026636A
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polyarylate
bisphenol
film
solvent
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Shinya Takagi
伸哉 高木
Akihiko Hasegawa
明彦 長谷川
Masaaki Fujiwara
正明 藤原
Junko Nomura
純子 野村
Sadami Nanjo
定美 南城
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビスフェノールAポリアリレートの機械的特
性、電気的特性、透明性及び経済性等を兼ね備えつつ、
汎用溶媒への溶解性が改善されたポリアリレートからな
る被膜形成用樹脂、並びにこの樹脂を用いた塗工液を提
供する。 【解決手段】 ポリアリレートからなる被膜形成用樹脂
であって、ポリアリレートを構成する二価フェノール成
分のうち60〜95モル%が2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンであり、25℃でモノクロロベ
ンゼン又はテトラヒドロフランに10重量%以上の濃度
で溶解することを特徴とする被膜形成用樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安価な原料から製
造でき、汎用溶媒への溶解性が改善されたポリアリレー
トからなる被膜形成用樹脂、並びに保存安定性に優れた
塗工液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン[ビスフェノールAと記すことがある]の
残基とテレフタル酸及びイソフタル酸の残基とよりなる
非晶性ポリアリレート[ビスフェノールAポリアリレー
トと記す]はエンジニアリングプラスチックとして既に
よく知られている。ビスフェノールAポリアリレートは
耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法
安定性に優れ、加えて非晶性で透明であるためにその成
形品は電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く使
用されている。
【0003】また、ビスフェノールAポリアリレート
は、電気的特性(絶縁性、誘電特性等)、耐摩耗性に優
れていることを利用して、コンデンサー用のフィルム等
の電子部品に、また透明性や耐摩耗性と耐擦傷性に優れ
ていることを利用して、液晶表示装置の各種フィルムや
コーティング樹脂の様な被膜を形成する用途への応用が
行われている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】一般的に被膜を形成する用途においては、
樹脂と溶媒からなる塗工液を被覆対象物や基板等に塗工
後、溶媒を蒸発させて被膜が形成される。この塗工液を
調製する際には、塗工の手間や形成される被膜の均一性
の点から、樹脂濃度を10重量%以上とすることが望ま
れる。
【0005】ビスフェノールAポリアリレートの溶媒と
しては、塩化メチレンやクロロホルム、あるいは1,
1,2,2−テトラクロロエタンが知られているが、こ
れらの溶媒は、その毒性や環境に及ぼす問題のために、
工業的な使用が制限される傾向にある。また、塩化メチ
レンの場合、沸点が40℃程度であるために、これを溶
媒とする塗工液においては、蒸発により樹脂濃度が変化
しやすく、形成される被膜の均一性という点では、必ず
しも十分とはいえなかった。
【0006】そのような問題が少ない他の溶媒として
は、特殊で極めて高価なもの(例:ヘキサフルオロイソ
プロパノールのようなフッ素系溶媒)を除けば、沸点が
132℃と高いモノクロロベンゼンや、工業的な汎用溶
媒としてよく知られる沸点が65℃のテトラヒドロフラ
ン(THFと略記する)が挙げられる。しかしながら、
モノクロロベンゼンやTHFに対するビスフェノールA
ポリアリレートの溶解性は低く、5重量%程度の低濃度
では溶解するが、10重量%以上に溶解させた塗工液を
得ようとした場合には、不溶物(沈殿)が残ったり、白
濁したり、ゲル化したりする。
【0007】そこで、ビスフェノールAポリアリレート
の溶媒として、塩化メチレン/モノクロロベンゼン混合
溶媒ならびに塩化メチレン/THF混合溶媒を使用する
ことが考えられた。しかし、これら混合溶媒系において
も、上記したような塩化メチレンに起因する問題を解決
するためにモノクロロベンゼンやTHFの混合比を高く
すると、ビスフェノールAポリアリレートの溶解性を十
分に高めることはできなかった。
【0008】上記のような実状に鑑み、本発明の課題
は、ビスフェノールAポリアリレートの機械的特性、電
気的特性、透明性及び経済性等を兼ね備えつつ、汎用溶
媒への溶解性が改善されたポリアリレートからなる被膜
形成用樹脂、並びにこの樹脂を用いた塗工液の提供にあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアリレー
トを形成する二価フェノール成分として、ビスフェノー
ルA以外に特定の二価フェノールを、ビスフェノールA
に対して少量の割合で共重合させることにより、上記問
題を解決し、モノクロロベンゼンやTHFへの溶解性が
飛躍的に向上したポリアリレートが得られることを見出
し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、第1に、ポリ
アリレートからなる被膜形成用樹脂であって、ポリアリ
レートを構成する二価フェノール成分のうち60〜95
モル%が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パンであり、25℃でモノクロロベンゼン又はテトラヒ
ドロフランに10重量%以上の濃度で溶解することを特
徴とする被膜形成用樹脂である。
【0011】第二に、上記の被膜形成用樹脂とこの樹脂
を溶解する溶媒とからなることを特徴とする塗工液であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、第1発明の被膜形成用樹脂について説明する。本
発明の被膜形成用樹脂は、二価フェノール成分と芳香族
二価カルボン酸成分よりなる特定のポリアリレートから
なる。このポリアリレートを構成する二価フェノール成
分としては、ビスフェノールAを含むことが必須であ
り、二価フェノール成分に占めるビスフェノールAの割
合としては、60〜95モル%でなければならず、65
〜85モル%が好ましい。ビスフェノールAの割合が9
5モル%を超えると、ポリアリレートのモノクロロベン
ゼンやTHF等の溶媒に対する溶解性が不足する。一
方、60モル%未満では、ビスフェノールAポリアリレ
ートの溶解性を改善するという本発明の目的に合致せ
ず、また、通常ビスフェノールAより高価な他の二価フ
ェノール成分の割合が増すことにより、経済性が損なわ
れる場合がある。なお、本明細書中でフェノール成分
(又はカルボン酸成分)と言う時、例えば、二価フェノ
ール成分がビスフェノールAであるとは、二価フェノー
ル残基がビスフェノールA残基であることを意味するも
のである。
【0013】本発明におけるポリアリレートを構成する
ビスフェノールA以外の二価フェノール成分としては、
ビスフェノールAポリアリレートの機械的特性、電気的
特性及び透明性を低下させることなく、モノクロロベン
ゼンやTHF等の溶媒に対する溶解性を向上させる点に
おいて、ビスフェノールCと称される2,2−ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テトラ
メチルビスフェノールAと称される2,2−ビス(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビ
スフェノールアセトフェノンと称される4,4−(1−
フェニルエチリデン)ビスフェノールが好ましい。
【0014】なお、二価フェノール成分としては、本発
明におけるポリアリレートの特性が損なわれない範囲内
で、上記した二価フェノール以外のものが共重合されて
いてもよい。
【0015】また本発明におけるポリアリレートを構成
する芳香族二価カルボン酸成分としては、テレフタル酸
10〜90モル%とイソフタル酸90〜10モル%より
なることが好ましく、等量のテレフタル酸とイソフタル
酸よりなることがより好ましい。このとき、テレフタル
酸が10モル%未満では、塗工液の保存安定性が悪くな
る傾向があり、90モル%を超えると樹脂の耐摩耗性が
低下する傾向があるので好ましくない。
【0016】なお、本発明におけるポリアリレートの末
端は一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコー
ル、一価カルボン酸などで封止されていてもよい。その
ような末端封止剤として用いられる一価フェノールとし
ては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチル
フェノール、o−フェニルフェノールなどが挙げられ、
一価酸クロライドとしては、安息香酸クロライド、メタ
ンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートな
どが挙げられ、一価アルコールとしては、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサ
ノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、
ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが挙げ
られ、一価カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、
オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、ト
ルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香
酸、p−メトキシフェニル酢酸などが挙げられる。
【0017】また、本発明におけるポリアリレートの分
子量としては、1,1,2,2−テトラクロロエタンを
溶媒として濃度1g/dl、温度25℃で測定したイン
ヘレント粘度よって表わせば、このインヘレント粘度と
しては、0.50dl/g以上であることが好ましく、
0.60〜2.5dl/gがより好ましく、0.70〜
2.0dl/gが特に好ましい。インヘレント粘度が
0.50dl/g未満では、樹脂の耐摩耗性が不足する
場合や、塗工液としたときの溶液粘度が低すぎて塗工が
困難になる場合があるので好ましくない。一方、インヘ
レント粘度が2.5dl/gを超えると、塗工液として
用いるときに、曳糸性が生じたり、粘度が上昇して取扱
いが困難になる傾向があるので好ましくない。本発明に
おけるポリアリレートの分子量は、製造時において、前
記した末端封止剤の添加量によってコントロールするこ
とができる。
【0018】本発明におけるポリアリレートの製造方法
としては、水と相溶しない有機溶剤に溶解させた二価カ
ルボン酸ハライドと、アルカリ水溶液に溶解させた二価
フェノールとを混合する界面重合法(W.M.EARE
CKSON J.Poly.Sci.XL399 19
59年、特公昭40−1959号公報)を応用して行う
ことができる。界面重合法は、溶液重合法と比較して反
応が速く、そのためカルボン酸ハライドの加水分解を最
小限に抑えることが可能であり、特に後述する重合触媒
を選ぶことにより、高分子量のポリアリレートを得る場
合には有利である。
【0019】上記の界面重合法によって製造する方法の
例をさらに詳細に説明すると、まず二価フェノールのア
ルカリ水溶液を調製し、これに重合触媒を添加する。こ
こで用いることができるアルカリには、水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウムなどがある。また、重合触媒として
は、高分子量のポリアリレートが得られる点において、
トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラメチ
ルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニ
ウムハライド、テトラメチルホスホニウムハライド、
トリエチルベンジルアンモニウムハライド、テトラエチ
ルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニ
ウムハライド、テトラエチルホスホニウムハライド ト
リプロピルベンジルアンモニウムハライド、テトラプロ
ピルアンモニウムハライド、トリプロピルベンジルホス
ホニウムハライド、テトラプロピルホスホニウムハライ
ド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ
ブチルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホス
ホニウムハライド、テトラメチブチルホスホニウムハラ
イド等の第四級アンモニウム塩または第四級ホスホニウ
ム塩が好ましく用いられ、入手しやすい点でトリメチル
ベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジル
アンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニ
ウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライ
ド、テトラブチルアンモニウムブロマイドが特に好まし
い。
【0020】一方、水と相溶せず、かつポリアリレート
を溶解する様な溶媒、例えば塩化メチレン等に二価カル
ボン酸ハライドを溶解させた溶液を先のアルカリ溶液に
混合した後、25℃以下の温度で1時間〜5時間撹拌し
ながら重合反応を行うことによって所望のポリアリレー
トを得ることができる。このようにして得られるポリア
リレートは、電気的特性と耐摩耗性に優れ、実質的に非
晶性で透明な被膜形成用樹脂である。なお、非晶性であ
るかどうかは、公知の方法例えば示差走査熱量分析(D
SC)や動的粘弾性測定等により融点が存在しているか
どうかを調べて確認すればよい。
【0021】本発明の被膜形成用樹脂の溶解性として
は、25℃でモノクロロベンゼン又はテトラヒドロフラ
ンに10重量%以上の濃度で溶解することが必要であ
り、15重量%以上の濃度で溶解することがより好まし
い。上記のモノクロロベンゼン及びTHFに対する溶解
性が共に10重量%未満では、塩化メチレンを使用しな
いかあるいは使用量を減じた汎用溶媒系で高濃度の塗工
液を得るという本発明の目的を達することができない。
【0022】なお、本発明の被膜形成用樹脂の溶解性を
確認するには、例えば300ml容のフラスコに溶媒を
150g程度投入し、これを攪拌機で200rpm程度
に攪拌しつつ、10重量%以上の濃度に相当する樹脂粉
末を1分間に1g程度の割合で加え、恒温槽もしくは恒
温室中で温度を25℃に保ちつつ(必要に応じてシール
や冷却管を用いる等、溶媒の蒸発を防ぐための措置を施
す)、5時間以上攪拌して得られた溶液の状態を肉眼で
観察する。この溶液中に不溶物(沈殿)、濁り、及びゲ
ル化のいずれもが認められない状態であれば、10重量
%以上の濃度で溶解したと確認される。このとき、本来
なら溶解する樹脂であっても、樹脂粉末の大きさや微構
造によっては溶解しないように見える場合があるので、
そのような場合には樹脂粉末を100μm以下の大きさ
に粉砕したうえで再度確認すればよい。
【0023】また、本発明の被膜形成用樹脂には、その
特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒ
ンダードアミン系、チオエーテル系、燐系等各種酸化防
止剤を添加してもよい。
【0024】本発明の被膜形成用樹脂は、バインダー用
樹脂やフィルム用樹脂として用いられ、後述するように
塗工液を調製して、ソルベントキャスト法等によって被
覆物やフィルムを製造することができ、特に電子材料分
野へ好適に応用することができる。
【0025】次に、第1発明の被膜形成用樹脂とこれを
溶解する溶媒からなる、第2発明の塗工液について説明
する。塗工液における溶媒としては、上記したモノクロ
ロベンゼン又はTHFが好ましく用いられるが、さらに
その他の溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロ
ロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,2,2
−テトラクロロエタンならびに1,1,1−トリクロロ
エタンの塩素系溶媒が挙げられる。塗工液における溶媒
としては、上記の溶媒から1種類もしくは2種類以上を
適宜選択して用いることができる。
【0026】塗工液とする際には、本発明の被膜形成用
樹脂を上記の溶媒に溶解させるが、塗工液における樹脂
濃度としては、10重量%以上が好ましく、さらには1
5〜20重量%が好ましい。塗工液の樹脂濃度が10重
量%未満では、均一な厚さの被膜を形成することが困難
な傾向にあるので好ましくない。なお、塗工液には、必
要に応じて各種添加物を含有させてもよい。
【0027】上記のようにして得られる本発明の塗工液
は、これを基材上に塗工して被膜を形成させ、被覆物と
してあるいは基材から剥離してフィルムとして用いるこ
とができる。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形及
び応用が可能である。
【0029】なお、実施例及び比較例における各種の特
性については、次に述べる方法により測定、評価した。 イ)インヘレント粘度 粘度測定溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタ
ンを用い、樹脂濃度1g/dl、温度25℃の条件で測
定した。 ロ)溶媒への溶解性 300ml容のフラスコに溶媒(モノクロロベンゼン又
はTHF)148.5gを入れて攪拌機を用いて200
rpmで攪拌しつつ、これに粉末状の樹脂16.5g
(濃度10重量%相当)を1分間に1gの割合で加えた
後、恒温槽で温度を25℃に保って6時間攪拌を続け、
得られた溶液の状態を観察して評価した。また、同様
に、溶媒153gに粉末状の樹脂27g(濃度15重量
%相当)を加えた場合の溶解性についても評価した。な
お、上記の操作においては、シールと冷却管を用いて溶
媒の蒸発を防ぐ措置を取った。
【0030】ハ)耐摩耗性 実施例及び比較例で得られた塗工液から、ソルベントキ
ャスト法によって厚み100μmのキャストフィルムを
作製した。このフィルムを測定用フィルムとして、東洋
精機社製テーバー摩耗試験機(摩耗輪CS−10F)を
用い、荷重250gで10,000サイクル試験後の重
量減少(摩耗量)を測定し、耐摩耗性の指標とした。 二)絶縁破壊電圧 実施例及び比較例で得られた塗工液から、ソルベントキ
ャスト法によって厚み50μmのキャストフィルムを作
製した。このフィルムを測定用フィルムとして用い、A
STM D−149の方法に基づいて測定を行なった。
【0031】実施例1 撹拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分と
してのビスフェノールA(以下、BPAと略記する)を
80重量部とビスフェノールC(以下、BPCと略記す
る)を20重量部(BPAを82モル%とBPCを18
モル%に相当する)、末端停止剤としてのパラ−ter
t−ブチルフェノール(以下、PTBPと略記する)を
1.29重量部、水酸化ナトリウムを39.9重量部、
重合触媒としてのトリメチルベンジルアンモニウムクロ
ライド(以下、TMBACと略記する)を0.54重量
部仕込み、水3000重量部に溶解させて水相を調製し
た。これとは別に、芳香族二価カルボン酸成分としての
テレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1
/1混合物(以下、MPCと略記する)88重量部を塩
化メチレン1800重量部に溶解させて有機相を調製し
た。この有機相を先に調製した水相中に強撹拌下で添加
し、20℃で3時間重合反応を行なった後、酢酸15重
量部を添加して重合反応を停止させることにより、ポリ
アリレートを合成した。そして、このポリアリレートが
含まれる有機相をデカンテーションによって水相と分離
し、さらにこの有機相が中性になるまで水洗を繰り返し
行った。水洗後の有機相をメタノール中に添加してポリ
マーを沈澱させ、この沈殿を分離、乾燥させることによ
り、粉末状の樹脂を得た。さらに、モノクロロベンゼン
に上記で得られた樹脂を樹脂濃度が15重量%となるよ
うに加えて溶解させ、塗工液を調製した。
【0032】実施例2〜7、比較例1,2 二価フェノールの種類及び使用量、並びにテレフタル酸
クロライドとイソフタル酸クロライドの使用量を変化さ
せて、下記表1に示す仕込み条件で実施例1と同様の方
法で樹脂を製造し、塗工液を調製した。なお、実施例及
び比較例における樹脂製造時の仕込み条件並びに樹脂の
物性値を下記表1に示す。また、得られた樹脂及び塗工
液を用いて、樹脂の特性を測定、評価した結果を下記表
2に示す。このとき、実施例1〜7で調製した塗工液か
らは、均一で透明なフィルムが得られたが、比較例1,
2においては、樹脂が溶解せず、樹脂濃度を10重量%
として試みた場合でも所望の測定用フィルムを形成させ
ることができなかった。したがって、比較例1,2につ
いては、摩耗量及び絶縁破壊電圧の測定は行わなかっ
た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】比較例3 塩化メチレンを溶媒として、比較例1で得られた樹脂を
樹脂濃度が15重量%となるように加えて塗工液を調製
し、上記の実施例と同様に摩耗量と絶縁破壊電圧を測定
したところ、摩耗量は5.1mg、絶縁破壊電圧は25
0kv/mmであった。
【0036】以上の実施例及び比較例から明らかなよう
に、本発明の被膜形成用樹脂は、ビスフェノールAポリ
アリレートと比較して機械的特性及び電気的特性が低下
することなく、モノクロロベンゼンやTHFへの溶解性
が大きく改善されている。
【0037】
【発明の効果】以上のように構成されているので、本発
明の被膜形成用樹脂は、ビスフェノールAポリアリレー
トの持つ優れた機械的特性、電気的特性、透明性並びに
経済性を損なうことなく、モノクロロベンゼンやTHF
等の溶媒に対する溶解性が改善されている。したがっ
て、それらの溶媒へ溶解させて容易に塗工液を調製する
ことができ、各種バインダー用樹脂として、またソルベ
ントキャストフィルム用樹脂として好適に利用でき、電
気機器、モータ、発電機、相間絶縁等の絶縁材料、変圧
器、電線の被覆、コンデンサなどの誘電体フィルム、液
晶の表示板や各種基板などへ応用が可能である。また、
表面被覆材など被膜を形成する分野に用いることができ
る。さらに、本発明の塗工液は、モノクロロベンゼンや
THF等を溶媒として用いることにより、従来のビスフ
ェノールAポリアリレートの溶媒である塩化メチレン、
クロロホルムや1,1,2,2−テトラクロロエタンを
用いた場合に問題となっていた、溶媒の蒸発による樹脂
濃度の変動や、環境衛生上の問題を解決できるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 純子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 南城 定美 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA06 AB01 AB07 AC02 AD01 AD10 AE11 BB13A BB13B BB16C CB05A CB06A HA01 HB01 JB063 JB233 4J038 DD051 HA066

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリレートからなる被膜形成用樹脂
    であって、ポリアリレートを構成する二価フェノール成
    分のうち60〜95モル%が2,2−ビス(4−ヒドロ
    キシフェニル)プロパンであり、25℃でモノクロロベ
    ンゼン又はテトラヒドロフランに10重量%以上の濃度
    で溶解することを特徴とする被膜形成用樹脂。
  2. 【請求項2】請求項1記載の被膜形成用樹脂とこの樹脂
    を溶解する溶媒とからなることを特徴とする塗工液。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024043270A1 (ja) * 2022-08-24 2024-02-29 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂、樹脂溶液およびフィルム

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