JP2001026221A - 駆動装置用制御装置 - Google Patents

駆動装置用制御装置

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JP2001026221A
JP2001026221A JP11220517A JP22051799A JP2001026221A JP 2001026221 A JP2001026221 A JP 2001026221A JP 11220517 A JP11220517 A JP 11220517A JP 22051799 A JP22051799 A JP 22051799A JP 2001026221 A JP2001026221 A JP 2001026221A
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torque
control
speed
transmission
engine
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JP11220517A
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Atsushi Tabata
淳 田端
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力源のアイドルアップ時におけるクリープ
力の増大を防止することのできる駆動装置用制御装置を
提供することを目的とする。 【解決手段】 アイドリング回転数の可変な動力源の出
力側に、伝達トルク容量を増減できる伝動機構を介して
駆動力を出力する駆動装置用制御装置であって、前記動
力源のアイドリング回転数に応じて前記伝動機構の伝達
トルク容量を制御する伝達トルク容量制御手段(ステッ
プS5,S6)を備えている。その伝達トルク容量制御
手段は、アイドリング回転数が相対的に増大させられて
いる場合に、前記伝達トルク容量を低下させる構成、あ
るいは動力源の出力側に連結された入力クラッチの伝達
トルク容量を増減する構成であってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関などの
所定の動力源から出力した動力を、伝達トルク容量を増
減できる伝動機構を介して出力するように構成した駆動
装置のための制御装置に関し、特に動力源が停車状態で
アイドリング回転することによりクリープトルクを発生
するように構成された駆動装置用の制御装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】燃料を燃焼させて動力を出力する内燃機
関は、外力によって回転させて始動する必要があり、ま
た動作状態を維持するためには所定の回転数以上で回転
する必要がある。その内燃機関が安定して自律回転を維
持するほぼ最低の回転数でのアイドリング状態は、例え
ばスロットルバルブをバイパスするように配置したアイ
ドルスピードコントロールバルブを介して吸気をおこな
うことによって維持される。内燃機関がこのようなアイ
ドリング状態にある場合であっても、燃料を燃焼してい
るのであるから動力を出力しており、車両の停車状態で
その動力源である内燃機関の回転を可能にするために、
内燃機関と変速機との間のクラッチを解放したり、ある
いはそのクラッチをスリップ状態に維持し、さらには内
燃機関と変速機との間にトルクコンバータなどの流体伝
動機構を配置している。
【0003】前記クラッチをスリップ状態に維持した
り、流体伝動機構を用いたりすれば、その入力側の部材
と出力側の部材との相対回転を許容できるので、内燃機
関を継続して回転させることができ、これに加えて、駆
動力を生じさせることができる。これは、クリープ力あ
るいはクリープトルクと称され、制動を解除するのみで
車両をゆっくり発進させることができ、あるいは坂道で
の発進の際に車両の後退を防止できるなど車両の操作を
容易にする要因でもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、内燃機関
は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であるから、
安定して動作するためには、所定の温度範囲にあること
が必要であり、内燃機関の温度が低い冷機状態から始動
する場合には、可及的速やかに安定した運転状態となる
ように暖機運転をおこなっている。これは、内燃機関の
アイドリング回転数を、暖機完了後の通常のアイドリン
グ回転数より高い回転数に維持しておこなわれる。
【0005】一方、前述したクリープ力は、内燃機関に
連結されている入力側の部材と、出力軸あるいは駆動輪
に連結されている出力側の部材との相対的な滑りあるい
は相対回転によって生じる。そのため、上記のように内
燃機関のアイドリング回転数を高くした暖機運転時に
は、入力側の部材の回転数が高くなることにより、クリ
ープ力が大きくなる。したがって車両を停止状態に維持
するためには、フットブレーキの踏力を大きくする必要
があるなど、通常の運転時とは異なる操作が要求され、
運転者に違和感を与える可能性がある。このような不都
合を回避するために暖機運転時のアイドリング回転数を
低くするとすれば、内燃機関の暖機が終了するまでに要
する時間が長くなってしまう。このように従来では、迅
速な暖機完了とクリープ力の抑制とを両立させることが
難しかった。
【0006】この発明は、上記の技術的な課題に着目
し、動力源のアイドルアップ時におけるクリープ力の増
大を防止することのできる駆動装置用制御装置を提供す
ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】請求項1
の発明は、上記の目的を達成するために、動力源から駆
動輪に伝達されるトルクを、動力源のアイドリング回転
数に基づいて制御するように構成したことを特徴とする
ものである。より具体的には、アイドリング回転数の可
変な動力源の出力側に、伝達トルク容量を増減できる伝
動機構を介して駆動力を出力する駆動装置用制御装置で
あって、前記動力源のアイドリング回転数に応じて前記
伝動機構の伝達トルク容量を制御する伝達トルク容量制
御手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0008】その伝達トルク容量制御手段は、請求項2
に記載してあるように、前記アイドリング回転数が相対
的に増大させられている場合に、前記伝達トルク容量を
低下させる構成とすることができる。
【0009】また、前記伝動機構は、請求項3に記載し
てあるように、前記動力源の出力側に連結された伝達ト
ルク容量を増減できる入力クラッチと、その入力クラッ
チの出力側に連結された流体伝動機構とを備えた構成と
し、かつ前記伝達トルク容量制御手段は、その入力クラ
ッチの伝達トルク容量を増減する機能を有するように構
成することができる。
【0010】したがって請求項1ないし3の発明の制御
装置では、動力源のアイドリング回転数が高い場合に
は、その動力源の出力側に配置された伝動機構による伝
達トルク容量を低下させることができるので、動力源の
暖機運転時などのアイドリング回転数が高い場合におけ
る駆動力すなわちクリープ力を相対的に低下させること
ができる。すなわち、アイドルアップ時であっても停車
状態に維持するための制動操作力を大きくする必要がな
く、また暖機の際には、クリープ力を増大させずにアイ
ドリング回転数を高くして暖機を促進させることができ
る。
【0011】また、請求項4の発明は、アイドリング回
転数の可変な動力源の出力側に、トルク吸収手段が連結
された駆動装置用制御装置において、前記アイドリング
回転数の増大量に応じて前記トルク吸収手段によるトル
クの吸収量を増大させるクリープトルク制御手段を備え
ていることを特徴とする制御装置である。
【0012】したがって請求項4の発明では、動力源の
アイドリング回転数が高くなることによってその出力ト
ルクが増大した場合、その出力側に連結されているトル
ク吸収手段によるトルクの吸収量が増大する。その結
果、動力源で発生したトルクがそのまま駆動輪に伝達さ
れずに途中で吸収されるので、アイドリング回転数が高
い場合であっても駆動輪に生じるクリープトルクの増大
が防止もしくは抑制される。
【0013】請求項5の発明は、アイドリング回転数の
可変な動力源から駆動トルクが伝達される駆動輪の制動
をおこなうホイールブレーキを備えた駆動装置用制御装
置において、前記アイドリング回転数の増大に基づいて
前記ホイールブレーキによる前記駆動輪の制動力を増大
させるクリープトルク制御手段を備えていることを特徴
とする制御装置である。
【0014】したがって請求項5の発明では、動力源の
アイドリング回転数が高くなることによってその出力ト
ルクが増大した場合、その出力トルクが伝達される駆動
輪に対する制動力が増大させられる。そのため、駆動力
に生じるクリープトルクは、アイドリング回転数の増大
に伴う出力トルクの増大分を、制動力の増大分で相殺し
たトルクになり、結局、アイドリング回転数が高い場合
であっても駆動輪に生じるクリープトルクの増大が防止
もしくは抑制される。
【0015】そして、請求項6の発明は、アイドリング
回転数の可変な動力源と、人為的に操作される制動手段
と、車両の自重による後進を防止するために車輪の回転
を止めるヒルホールドブレーキ手段とを備えた駆動装置
用制御装置において、前記制動手段によって制動がおこ
なわれて停車していることを検出する停車検出手段と、
この停車検出手段によって停車が検出されている間は前
記ヒルホールドブレーキ手段によって、駆動輪に生じる
クリープトルクを実質的に零にするクリープトルク制御
手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0016】したがって請求項6の発明では、制動操作
をおこなって停車している間は、ヒルホールドブレーキ
によって駆動輪の制動がおこなわれ、クリープトルクが
零となる。これは、動力源のアイドリング回転数を増大
させた場合であっても同様であり、したがって動力源の
アイドリング回転数の増大によるクリープトルクの増大
が未然に回避される。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図に示す具体例
に基づいて説明する。図3はこの発明で対象とする車両
における駆動装置およびその制御系統の一例を示してお
り、内燃機関1の出力側に入力クラッチ2を介して電動
機3が接続されている。さらにその電動機3の出力側に
トルクコンバータ4を介して自動変速機5が連結されて
いる。すなわちここに示す例はハイブリッド車として構
成されている。
【0018】その内燃機関1は、要は、燃料を燃焼させ
て動力を出力する装置であって、ガソリンエンジンやデ
ィーゼルエンジン、液化石油ガスや天然ガスもしくは水
素などのガス燃料を使用するエンジンなどを採用するこ
とができ、またその形式は、レシプロタイプのもの以外
にタービン型のエンジンであってもよい。したがってエ
ンジン1は、外力によって強制的に回転させ、その状態
で燃料を供給することにより始動することができ、また
所定のアイドリング回転数以上の回転数で自律回転を継
続しておこない、さらに安定した燃焼(運転)をおこな
うためにアイドリング回転数を高くする暖機運転をおこ
なうように構成されている。さらに、出力を電気的に制
御できるようにするために、内燃機関1には電子スロッ
トルバルブ7が設けられている。また、特には図示して
いないが、アイドリング回転数を制御するためのアイド
ルスピードコントロールバルブ(ISC)が、電子ロッ
トルバルブ7をバイパスして吸気をおこなうように設け
られている。なお、以下の説明では、内燃機関1をエン
ジン1と記す。
【0019】エンジン1の出力側に設けられている入力
クラッチ2は、エンジン1の出力を電動機3もしくはト
ルクコンバータ4に選択的に伝達するためのものであ
り、言い換えれば、エンジン1を電動機3以降の駆動系
統から選択的に遮断し、あるいは伝達するトルクを増減
するためのものである。そして入力クラッチ2として
は、乾式あるいは湿式のクラッチや単板もしくは多板の
クラッチを採用することができ、さらにまた電磁クラッ
チなどの電気的に係合・解放を制御することのできるク
ラッチを採用することができる。なお、単板式あるいは
多板式のクラッチであっても、電気的に制御できるアク
チュエータ(図示せず)によって係合・解放の制御をお
こなうように構成することができる。
【0020】また、電動機3は、要は、電力が供給され
てトルクを出力する動力装置であり、直流モータや交流
モータを採用することができ、さらには固定永久磁石型
同期モータなどの発電機能を兼ね備えたいわゆるモータ
・ジェネレータを使用することができる。なお、以下の
説明では、電動機3をモータ・ジェネレータ3と記す。
このモータ・ジェネレータ3を入力クラッチ2およびト
ルクコンバータ4に連結する構造は、入力クラッチ2の
出力側の部材にトルクコンバータ4の入力軸などの入力
側の部材を連結し、そのトルクコンバータ4の入力側の
部材に、モータ・ジェネレータ3のロータを一体に回転
するように連結した構成とすればよい。入力クラッチ2
を係合した状態でモータ・ジェネレータ3に電力が供給
されていなければ、エンジン1の出力トルクによってモ
ータ・ジェネレータ3を回転させることによるから、エ
ンジン1の出力トルクの一部がこのモータ・ジェネレー
タ3によって吸収される。したがってモータ・ジェネレ
ータ3がエンジン1の出力トルクの吸収手段もしくはリ
ターダとして機能するように構成されている。
【0021】自動変速機5の入力側に配置されているト
ルクコンバータ4は、流体を介してトルクの伝達をおこ
なう伝動機構であって、その入力側の部材と出力側の部
材との速度比(回転数の比)に応じて入力トルクが増幅
されて出力される。また、その入力側の部材と出力側の
部材とを直接、機械的に連結するロックアップクラッチ
8が内蔵されている。このロックアップクラッチ8は、
いわゆる摩擦クラッチであり、滑りのない完全な係合状
態と、滑りを伴ってトルクを伝達するいわゆる半係合状
態とに制御することができる。そしてこのロックアップ
クラッチ8が半係合状態を含めて係合している状態で
は、流体を介したトルクの伝達が減じられるので、その
分、トルクの増幅作用が少なくなる。
【0022】自動変速機5は、要は、車両の走行状態に
応じて変速比を自動的に設定する変速機であって、トル
クの伝達経路を変更して変速比を所定の値に設定する歯
車変速機部9と、その歯車変速機部9および前記トルク
コンバータ4を制御する油圧制御部10とを備えてい
る。その歯車変速機部9は、複数組の遊星歯車機構を主
体として構成されているギヤトレーンにおけるトルクの
伝達経路を替えて複数段の変速比を設定する構成のも
の、常時噛み合っている複数対のギヤ対を選択的に入力
軸と出力軸とに連結して所定の変速比を設定する構成の
ものなどを採用することができる。
【0023】上記のようにエンジン1が出力した動力
は、入力クラッチ2およびトルクコンバータ4を介して
歯車変速機部9に伝達され、その変速比に応じて増大も
しくは減少させられたトルクが歯車変速機部9から出力
される。そしてその歯車変速機部9に対して入力される
動力は、入力クラッチ2およびトルクコンバータ4で設
定されている伝達トルク容量に応じたものとなり、した
がってこれら入力クラッチ2およびトルクコンバータ4
がこの発明における伝動機構に相当している。
【0024】これらトルクコンバータ4および自動変速
機5を駆動および制御するための油圧は、従来の自動変
速機と同様に、主に、トルクコンバータ4と歯車変速機
部9との間に配置された油圧ポンプ11を、トルクコン
バータ4の入力側の部材と共に回転させることにより発
生させるように構成されている。したがってこの油圧ポ
ンプ11をエンジン1もしくはモータ・ジェネレータ3
によって駆動することになるが、これらエンジン1およ
びモータ・ジェネレータ3が停止している場合であって
も所定の油圧を発生させるために電動オイルポンプ12
が設けられている。これは、例えばトルクコンバータ4
の外周側で油圧制御部10に接近した位置に配置されて
いる。
【0025】エンジン1の前端側(前記入力クラッチ2
とは反対側)に伝動機構13が設けられ、この伝動機構
13によって動力を伝達されて回転する第2の電動機と
してのモータ・ジェネレータ14が、エンジン1の先端
側の側部に取り付けられている。その伝動機構13は、
例えば一対のプーリーとこれらに巻き掛けたベルトとか
らなる巻き掛け伝動機構や互いに噛合した複数の歯車か
らなる歯車伝動機構などからなるものであって、その駆
動側の部材がクラッチ15を介してエンジン1のクラン
クシャフト(図示せず)に連結されている。
【0026】また、この第2のモータ・ジェネレータ1
4は、電流が供給されてトルクを出力する電動機として
の機能と、エンジン1によって回転させられて起電力を
生じる発電機としての機能とを備えたものであって、前
述したモータ・ジェネレータ3と同様に、固定永久磁石
型同期モータなどが採用されている。したがってこの第
2のモータ・ジェネレータ14は、エンジン1をモータ
リングして始動するスタータとしての機能と、エアコン
などの補機類を駆動するための電動機としての機能とを
備えている。
【0027】つぎに制御のためのシステムについて説明
すると、前記エンジン1を制御するために電子制御装置
(E/G−ECU)16が設けられている。この電子制
御装置16は、マイクロコンピュータ(マイクロプロセ
ッサ)を主体として構成されており、エンジン回転数や
アクセル開度、変速信号、エンジン水温、始動のための
信号などの入力信号に基づいて演算をおこない、エンジ
ン1の始動のための信号や電子スロットルバルブ7のス
ロットル開度信号、燃料噴射信号、点火時期信号、バル
ブタイミング信号などの制御信号を出力するように構成
されている。
【0028】また、前記入力クラッチ2の係合・解放を
制御するための入力クラッチ用電子制御装置(CL−E
CU)17が設けられている。この入力クラッチ用電子
制御装置17は、マイクロコンピュータ(マイクロプロ
セッサ)を主体として構成されたものであって、エンジ
ン回転数信号や車速信号、アクセル開度信号などの適宜
の入力信号に基づいて、入力クラッチ2を係合もしくは
解放させる制御信号を出力するように構成されている。
なお、その制御は、入力クラッチ2の完全解放と完全係
合との制御以外に、トルクの伝達を制限した滑りを伴う
いわゆる半係合状態での制御も含む。
【0029】前記モータ・ジェネレータ3には、交流−
直流の変換およびモータ・ジェネレータ3に供給する電
流や周波数、モータ・ジェネレータ3で発生した電力の
制御などをおこなうインバータ18が接続され、さらに
このインバータ18にバッテリ19が接続されている。
そしてこれらのインバータ18やバッテリ19を制御す
るための電子制御装置(MG−ECU)20が設けられ
ている。すなわちこの電子制御装置20は、マイクロコ
ンピュータ(マイクロプロセッサ)を主体として構成さ
れたものであって、モータ・ジェネレータ3についての
上記の制御に加え、バッテリ19の充電状態(SOC:
State of Charge )を制御するように構成されている。
【0030】さらに、前記自動変速機5を制御するため
に、マイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)を主
体とする自動変速機用電子制御装置(A/T−ECU)
21が設けられている。この電子制御装置21は、車速
やアクセル開度、エンジン回転数、油温などの入力信号
に基づいて演算をおこない、走行状態に応じた変速比の
設定やエンジンブレーキ状態の設定、ロックアップクラ
ッチ8の係合・解放ならびにスリップ状態の制御などを
おこなうように構成されている。
【0031】前記電動オイルポンプ12には、インバー
タ22を介してバッテリ23が接続されており、これら
のインバータ22およびバッテリ23を制御するための
マイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)を主体と
した電子制御装置(O/P−ECU)24が設けられて
いる。すなわち、エンジン1およびモータ・ジェネレー
タ3が停止している状態で前記歯車変速機部9での摩擦
係合装置を係合させ、あるいはロックアップクラッチ8
を解放させるなどのために必要とする油圧を、電動オイ
ルポンプ12によって発生させるように構成されてい
る。
【0032】そして、前記第2のモータ・ジェネレータ
14にインバータ25を介してバッテリ26が接続さ
れ、さらにこれらのインバータ25およびバッテリ26
を制御するために、マイクロコンピュータ(マイクロプ
ロセッサ)を主体とした電子制御装置(MG2−EC
U)27が設けられている。そしてこの電子制御装置2
7によって、第2のモータ・ジェネレータ14の出力ト
ルクや回転数あるいは起電力やバッテリ25に対する充
電電力などを制御するように構成されている。なお、こ
の電子制御装置27によって前記伝動機構13における
クラッチ15の係合・解放の制御を実行することができ
る。
【0033】上述したエンジン1やモータ・ジェネレー
タ3および自動変速機5などを含む駆動系統は、全体と
して相互に関連させて制御され、そのために上記の各電
子制御装置16,17,20,21,24,27が、総
合制御装置(G−ECU)28に接続され、かつ相互に
データを送受信できるようになっている。この総合制御
装置28はマイクロコンピュータ(マイクロプロセッ
サ)を主体として構成されたものであって、走行のため
の動力源の選択や減速時のエネルギの回生などのハイブ
リッド車としての制御に加えて、一時的な停車時におけ
るエンジン1の停止およびその後のエンジン1の始動な
どのいわゆる自動再始動制御と、二輪駆動および四輪駆
動との切換制御をおこなうように構成されている。
【0034】図4に上記の自動変速機5の具体的な構成
を示し、またその各変速段を設定するための摩擦係合装
置の係合・解放の作動表を図5に示してある。図4にお
いて、トルクコンバータ4は、入力クラッチ2における
出力側の部材もしくはモータ・ジェネレータ3のロータ
に連結されたフロントカバー40と一体のポンプインペ
ラ41を備えており、このポンプインペラ41とフロン
トカバー40との間にポンプインペラ41と対向してタ
ービンランナ42が配置されている。これらポンプイン
ペラ41とタービンランナ42との間でその回転中心側
の部分には、一方向クラッチ43によって保持されたス
テータ44が配置されている。
【0035】さらに、タービンランナ42とフロントカ
バー40との間には、フロントカバー40の内面に向け
て押圧されてフロントカバー40に係合するロックアッ
プクラッチ8が配置され、このロックアップクラッチ8
は、タービンランナ42を取り付けてあるハブに一体化
されている。そしてこのフロントカバー40およびポン
プインペラ41によって形成される密閉容器の内部に、
作動油としてオートマチック・トランスミッション・フ
ルード(以下、ATFと略記する)が封入されている。
【0036】したがってポンプインペラ41がフロント
カバー40と共に回転してATFの螺旋流を生じさせ、
これがタービンランナ42に作用してタービンランナ4
2を回転させ、このようにして両者の間でトルクを伝達
するようになっている。すなわちポンプインペラ41が
入力要素として機能し、またタービンランナ42が出力
要素として機能する。さらに、ロックアップクラッチ8
が係合することにより、ATFを介さずにタービンラン
ナ42に対して直接動力を伝達するようになっている。
なお、ロックアップクラッチ8を所定の係合圧で滑らせ
るスリップ制御をおこなうことも可能である。
【0037】自動変速機5における歯車変速機部は、副
変速部46および主変速部47から構成されている。副
変速部46は、オーバドライブ用の遊星歯車機構48を
備えており、前記トルクコンバータ4におけるタービン
ランナ42と一体となって回転する入力軸50が、遊星
歯車機構48のキャリヤ49に連結されている。この遊
星歯車機構48を構成するキャリヤ49とサンギヤ51
との間には、多板クラッチC0 と一方向クラッチF0 と
が設けられている。
【0038】この一方向クラッチF0 は、サンギヤ51
がキャリヤ49に対して相対的に正回転、つまり、入力
軸50の回転方向に回転した場合に係合するようになっ
ている。そして、副変速部46の出力要素であるリング
ギヤ52が、主変速部47の入力要素である中間軸53
に接続されている。また、サンギヤ51の回転を選択的
に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
【0039】したがって、副変速部46は、多板クラッ
チC0 もしくは一方向クラッチF0が係合した状態で遊
星歯車機構48の全体が一体となって回転する。このた
め、中間軸53が入力軸50と同速度で回転し、低速段
となる。また、ブレーキB0を係合させてサンギヤ51
の回転を止めた状態では、リングギヤ52が入力軸50
に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0040】他方、主変速部47は、三組の遊星歯車機
構54,55,56を備えており、三組の遊星歯車機構
54,55,56を構成しているそれぞれの回転要素
が、以下のように連結されている。すなわち、第1遊星
歯車機構54のサンギヤ57と、第2遊星歯車機構55
のサンギヤ58とが互いに一体的に連結されている。ま
た、第1遊星歯車機構54のリングギヤ59と、第2遊
星歯車機構55のキャリヤ60と、第3遊星歯車機構5
6のキャリヤ61とが連結されている。さらに、キャリ
ヤ61に出力軸62が連結されている。さらにまた、第
2遊星歯車機構55のリングギヤ63が、第3遊星歯車
機構56のサンギヤ64に連結されている。
【0041】この主変速部47の歯車列においては、後
進側の1つの変速段と、前進側の4つの変速段とを設定
することができる。このような変速段を設定するための
摩擦係合装置、つまりクラッチおよびブレーキが、以下
のように設けられている。先ずクラッチについて述べる
と、リングギヤ63およびサンギヤ64と、中間軸53
との間に第1クラッチC1 が設けられている。また、互
いに連結されたサンギヤ57およびサンギヤ58と、中
間軸53との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0042】つぎにブレーキについて述べると、第1ブ
レーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機
構54のサンギヤ57、および第2遊星歯車機構55の
サンギヤ58の回転を止めるように配置されている。ま
たこれらのサンギヤ57,38とケーシング65との間
には、第1一方向クラッチF1 と、多板ブレーキである
第2ブレーキB2 とが直列に配列されている。第1一方
向クラッチF1 はサンギヤ57,38が逆回転、つまり
入力軸50の回転方向とは反対方向に回転しようとする
際に係合するようになっている。
【0043】また、第1遊星歯車機構54のキャリヤ6
9とケーシング65との間に、多板ブレーキである第3
ブレーキB3 が設けられている。そして第3遊星歯車機
構56はリングギヤ66を備えており、リングギヤ66
の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第
4ブレーキB4 と、第2一方向クラッチF2 とが設けら
れている。第4ブレーキB4 および第2一方向クラッチ
F2 は、ケーシング65とリングギヤ66との間に相互
に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッ
チF2 はリングギヤ66が逆回転しようとする際に係合
するように構成されている。さらに、歯車変速機部の入
力回転数を検出する入力回転数センサ(タービン回転数
センサ)67と、出力軸62の回転数を検出する出力回
転数センサ(車速センサ)68とが設けられている。
【0044】上記のように構成された自動変速機5にお
いては、各クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を、
図5の係合作動表に示すように係合・解放することによ
り、前進5段・後進1段の変速段を設定することができ
る。なお、図5おいて○印は摩擦係合装置が係合するこ
とを示し、◎印は、エンジンブレーキ時に摩擦係合装置
が係合することを示し、△印は摩擦係合装置が係合・解
放のいずれでもよいこと、言い換えれば、摩擦係合装置
が係合されてもトルクの伝達には無関係であることを示
し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを示してい
る。
【0045】図5に示すP(パーキング)、R(リバー
ス:後進段)、N(ニュートラル)ならびに第1速(1
st)ないし第5速(5th)の各シフト状態は、図示
しないシフト装置のレバーをマニュアル操作することに
より設定される。そのシフトレバーによって設定される
各シフトポジションの配列は、図6に示すとおりであ
り、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジ
ション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライ
ブ)ポジションが、ここに挙げた順序で車両の前後方向
に沿って配列され、そのDポジションに対して車両の幅
方向に隣接する位置に“4”ポジションが配置され、そ
の“4”ポジションに対して車両後方側に隣接して
“3”ポジションが配置され、さらにこの“3”ポジシ
ョンの位置から車両の斜め後方に“2”ポジションおよ
びLポジションが順に配列されている。
【0046】ここで、Dポジションは車速やアクセル開
度などの車両の走行状態に基づいて前進第1速ないし第
5速を設定するためのポジションであり、また“4”ポ
ジションは、第1速ないし第4速、“3”ポジションは
第1速ないし第3速、“2”ポジションは第1速および
第2速、Lポジションは第1速をそれぞれ設定するため
のポジションである。なお、“3”ポジションないしL
ポジションは、エンジンブレーキレンジを設定するポジ
ションであり、それぞれのポジションで設定可能な変速
段のうち最も高速側の変速段でエンジンブレーキを効か
せるように構成されている。
【0047】また、DポジションないしLポジションの
いずれかをシフトレバーによって選択することにより、
そのポジションに応じた変速段を設定することができる
ようになっている。すなわち、マニュアル操作によって
変速段を設定する変速モードであって、これがスポーツ
モードである。このスポーツモードを選択するスポーツ
モードスイッチ70がインストルメントパネルもしくは
センターコンソール(それぞれ図示せず)などに設けら
れている。このスイッチ70をオン操作した状態で、シ
フトレバーをDポジションに設定すると前進第5速とな
り、また“4”ポジションに設定すると前進第4速、
“3”ポジションに設定すると前進第3速、“2”ポジ
ションに設定すると前進第2速、Lポジションに設定す
ると前進第1速の各変速段が設定される。
【0048】エンジンによって走行する場合、車速が低
いほど、またアクセル開度が大きいほど、エンジンの回
転が不安定になって排ガスの悪化や燃費の悪化が生じる
傾向が強くなる。そのため、エンジンとモータ・ジェネ
レータとを搭載しているハイブリッド車では、発進時お
よびその直後はモータ・ジェネレータによって走行し、
車速が増大するに従って動力源をエンジンに切り換える
制御を実行する。エンジン1とモータ・ジェネレータ3
との運転領域は、基本的には上記のように設定されてい
るが、エンジン回転数は自動変速機5で設定されている
変速比によって異なるので、上記のシフトポジションご
とにエンジン1とモータ・ジェネレータ3との運転領域
が設定されている。その例を図7ないし図10に模式的
に示してある。
【0049】図7は、Dポジションが設定されている場
合に使用されるマップであって、横軸に車速を採り、縦
軸にアクセル開度を採ってあり、低アクセル開度側およ
び低車速側に実線で囲んだ領域がモータ・ジェネレータ
3を運転して動力源とする領域であり、そのモータ・ジ
ェネレータ領域の外側がエンジン1によって走行するエ
ンジン領域である。また、破線は、変速段の領域を示し
ている。したがってこれらの各シフトポジションでは、
第3速までは、低車速側でモータ・ジェネレータ3によ
って走行し、第4速以上では、エンジン1を動力源とし
て走行をおこなうことになる。
【0050】以下同様に、図8は“2”ポジションが選
択された場合に設定されるマップを示し、図9はLポジ
ションが選択された場合に使用されるマップを示し、さ
らに図10はRポジションが選択された場合に使用され
るマップを示している。これらの図から知られるよう
に、低車速側のシフトポジションほど、モータ・ジェネ
レータ領域が低車速側に設定され、またRポジションで
は低アクセル開度側にモータ・ジェネレータ領域が設定
されている。
【0051】また、前述したようにエンジン1をモータ
・ジェネレータ3もしくはトルクコンバータ4に選択的
に連結する入力クラッチ2が設けられており、この入力
クラッチ2が油圧を介して電気的に制御されるようにな
っている。そのための油圧回路の一例を図11に示して
ある。オイルパン80からオイルを吸引かつ加圧するオ
イルポンプ11の吐出側にプライマリーレギュレータバ
ルブ81が接続されている。このプライマリーレギュレ
ータバルブ81は、従来の自動変速機におけるプライマ
リーレギュレータバルブと同様であって、エンジン出力
あるいはモータ・ジェネレータ3の出力に応じたライン
圧を発生させるように構成されている。
【0052】このプライマリーレギュレータバルブ81
から吐出されたライン圧がマニュアルバルブ82に入力
されている。このマニュアルバルブ82は、シフトレバ
ー83によって切り換えられるバルブであって、シフト
レバー83を前述した各シフトポジションに設定するこ
とにより、各シフトポジションに応じたポートからライ
ン圧を出力させるように構成されている。そのライン圧
の供給箇所の一例が前述した歯車変速機部9における第
1クラッチC1 および第2クラッチC2 であり、シフト
レバー83がRポジションに設定されている場合には、
第1クラッチC1 にはライン圧が供給されず、Pポジシ
ョンとNポジションとの非走行ポジションでは、いずれ
のクラッチC1 ,C2 にもライン圧が供給されず、さら
にDポジションなどの走行のためのためのポジションに
設定されている場合には、変速段に応じて第1クラッチ
C1 と第2クラッチC2 とにライン圧が供給されるよう
になっている。
【0053】一方、入力クラッチ2を制御するためのソ
レノイドバルブ84が設けられており、前記プライマリ
ーレギュレータバルブ81から吐出したライン圧をこの
ソレノイドバルブ84を介して入力クラッチ2に供給す
るようになっている。そのソレノイドバルブ84は、オ
ン/オフの二位置に切り換えられる単純な切換バルブで
あってもよいが、好ましくは、出力圧を連続的に変化さ
せることのできるリニアソレノイドバルブあるいはデュ
ーティソレノイドバルブである。この種の出力圧を連続
的に変化させることのできるソレノイドバルブを使用す
ることにより、入力クラッチ2の係合圧すなわち伝達ト
ルクを連続的に変化させ、入力クラッチ2をいわゆるス
リップ制御することができる。
【0054】なお、入力クラッチ2に供給する係合油圧
を調圧する調圧弁を設け、前記ソレノイドバルブ84の
出力圧をその調圧弁のパイロット圧とすることにより、
入力クラッチ2の係合圧を制御するように構成してもよ
い。また、ソレノイドバルブ84と入力クラッチ2との
間にアキュームレータ(図示せず)介在させ、そのアキ
ュームレータによって入力クラッチ2の係合油圧を滑ら
かに変化させるようにしてもよい。さらに、前記プライ
マリーレギュレータバルブ81には、前述した電動オイ
ルポンプ12が接続されており、オイルポンプ11が停
止しかつライン圧を必要とする場合に、電動オイルポン
プ12が発生させた油圧をプライマリーレギュレータバ
ルブ81に供給するようになっている。
【0055】上述した車両におけるハイブリッド走行お
よびエコラン走行の各制御は、それぞれの電子制御装置
16,17,20,21,24,27の間で前記総合制
御装置(G−ECU)28を介してデータ送信しつつ実
行される。またその総合制御装置28が所定の電子制御
装置16,17,20,21,24,27に制御信号を
出力する。
【0056】そこで、この総合制御装置28に入出力さ
れる信号を例示すれば、図12のとおりである。先ず、
入力信号の例を挙げれば、ミリ波レーダからの信号、A
BS(アンチロックブレーキ)コンピュータからの信
号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータから
の信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッ
ションスイッチからの信号、バッテリSOC(State of
Charge:充電状態)、ヘッドライトのオン・オフ信
号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オ
フ信号、車速信号、自動変速機(AT)油温、シフトポ
ジション、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブ
レーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度、
アクセル開度、カム角センサからの信号、スポーツシフ
ト信号、車両加速度センサからの信号、駆動力源ブレー
キ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサか
らの信号、レゾルバ信号などである。なお、第1番目に
挙げたミリ波レーダとは、ミリ波によって前方の車両を
検出し、その前方の車両に追従して走行する制御をおこ
なうためのレーダである。いわゆるレーダクルーズ制御
のためのシステムである。また、最後に挙げてあるレゾ
ルバ信号は、モータ・ジェネレータ3におけるロータの
回転方向での位置を検出するためのレゾルバから出力さ
れる信号である。
【0057】また、出力信号の例を挙げると、点火信
号、噴射(燃料の噴射)信号、入力クラッチ用ソレノイ
ドバルブに対する信号、モータ・ジェネレータ3の電子
制御装置20に対する信号、ATソレノイドへの信号、
ATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABS
アクチュエータへの信号、スポーツモードインジケータ
への信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロック
アップコントロールソレノイドバルブへの信号、AT電
動オイルポンプへの信号などである。
【0058】上述した駆動装置および制御系統を備えた
車両は、従来一般の車両と同様に、フットブレーキやハ
ンドブレーキ(サイドブレーキ)などの人為的に操作す
ることのできる制動装置(図示せず)を備えている。ま
た、制動をおこなうための機構として前述したアンチ・
ロック・ブレーキ・システム(ABS)が設けられてい
る。これは、車速と車輪速とから車輪のスリップ状態を
検出し、その検出結果に基づいて車輪毎に設けてあるホ
イールブレーキ(図示せず)を制動動作もしくは制動解
除動作させてスリップを回避するシステムである。その
ホイールブレーキによる制動動作は、電気的に制御でき
るので、アンチ・ロック制御以外にも使用することがで
きる。その例は、後述する。
【0059】上述した駆動装置では、入力側の部材と出
力側の部材とを相対回転させることのできるトルクコン
バータ4がエンジン1から自動変速機5の出力軸に到る
駆動系統に配置されているので、自動変速機5をドライ
ブポジションやリバースポジションなどの走行のための
ポジションに設定した状態でもエンジン1を駆動し続け
ることができる。その場合、入力クラッチ2およびトル
クコンバータ4はエンジン1から入力されたトルクを伝
達しているから、自動変速機5の出力軸には入力トルク
および変速比に応じたトルクが発生し、車両の全体とし
てはこれがクリープトルクとなる。車両を停止状態に維
持するためにはそのクリープトルクに応じた制動操作を
おこなう必要があるが、クリープトルクはエンジン1の
回転数に応じて大きくなるので、停止状態を維持するの
に要する人為的操作による制動力をほぼ一定にするため
に、あるいは増大させることを避けるために、この発明
に係る制御装置では以下の制御が実行される。
【0060】図1はその制御例を説明するためのフロー
チャートであって、先ず、データの読み込みなどの入力
信号の処理がおこなわれる(ステップS1)。ついでア
イドルアップ状態か否かが判断される(ステップS
2)。すなわちエンジン1が冷機状態であることによ
り、あるいはエアコンなどの補機類を駆動するための動
力を出力するために、スロットルバルブと並列に配置さ
れているアイドルスピードコントロールバルブがエンジ
ン水温に応じて開かれてアイドリング回転数が高められ
ているか否かが判断される。これは、エンジン用電子制
御装置16からの指令信号の出力状態に基づいて判断す
ることができる。
【0061】エンジン1の暖機が完了していることによ
り、あるいは補機類が駆動されていないことにより、ア
イドリング回転数が通常の回転数となっており、その結
果、ステップS2で否定判断された場合には、入力クラ
ッチ2について通常の制御を実行する(ステップS
3)。この制御は、例えば、エンジン1を停止している
ときには入力クラッチ2を解放するとともに、エンジン
1を駆動しているときもしくはモータ・ジェネレータ3
によってエンジン1を始動するときに入力クラッチ2を
係合させ、さらに減速時に動力源制動力(エンジンブレ
ーキ力)が不足する場合に入力クラッチ2を係合させ
る。
【0062】これに対してステップS2で肯定判断され
た場合には、車両が停止しているか否かが判断される
(ステップS4)。このステップS3で肯定判断された
場合には、エンジン1のアイドリング回転数を高くした
状態で走行している状態であって、エンジン1の出力す
る動力を走行のために使用している状態であるから、ス
テップS3に進んで入力クラッチ2についての通常の制
御を実行する。
【0063】これとは反対にステップS4で否定判断さ
れた場合には、エンジン1がアイドルアップされていて
クリープトルクが大きくなる状態であるから、入力クラ
ッチ2の伝達トルク容量を決定(ステップS5)すると
ともに、その決定された入力クラッチ2の伝達トルク容
量となるように制御をおこなう(ステップS6)。
【0064】すなわち入力クラッチ2の伝達トルク容量
を通常の状態よりも低くする。具体的には、図2に実線
で示すように、アイドル回転数が、アイドルアップをお
こなっていない通常の回転数N1 より高い場合には、ア
イドル回転数が高いほど、入力クラッチ2の伝達トルク
容量を低下させる。これは、例えば、入力クラッチ2の
係合力を低下させてスリップ状態とする制御であり、し
たがって入力クラッチ2に対する入力トルクが増大して
も入力クラッチ2の伝達トルク容量が低下するために、
入力クラッチ2から自動変速機5に対して伝達されるト
ルクが、通常の状態でのトルク程度に抑制され、あるい
はそれより低くなる。その結果、エンジン1のアイドル
アップ状態であってもクリープトルクが増大することが
なく、通常時と同様の制動操作で車両を停車状態に維持
することができる。
【0065】なお、上記の制御は、アイドルアップ時の
クリープトルクの増大を防止する制御であるから、入力
クラッチ2の伝達トルク容量の低下の度合いによっては
駆動輪での駆動トルクが通常より低下することが考えら
れる。その場合には、図2に鎖線で示すように、入力ク
ラッチ2の伝達トルク容量の低下に応じてホイルブレー
キトルク容量を増大させる。この制御は、具体的には、
アンチ・ロック・ブレーキ・システム(ABS)を利用
し、各車輪に設けてあるブレーキの油圧を高くする。こ
のように制御することにより、クリープトルクおよび制
動操作力が低くても、登坂路での発進時に車両が後退す
るなどの事態を防止することができる。これは、いわゆ
るヒルホールド制御である。
【0066】ここで上記の具体例とこの発明との関係を
説明すると、図1に示すステップS5,S6の制御を実
行する機能的手段が、請求項1ないし3の発明における
伝達トルク容量制御手段に相当する。
【0067】上記の具体例では、入力クラッチ2をスリ
ップ制御して伝達トルク容量を低下させる例を説明した
が、この発明は上記の具体例に限定されないのであり、
入力クラッチ2の伝達トルク容量を低下させる替わり
に、トルクコンバータ4のトルク比を低下させるなど、
要は、アイドルアップ時に内燃機関が出力するトルクを
低下させて伝達する制御を実行するように構成してあれ
ばよい。
【0068】上記の具体例から知られるように、この発
明の制御装置は、エンジン1のアイドルアップをおこな
っている際の出力トルクの増大分を、何らかの手段で吸
収もしくは低減させ、これによって、停車状態を維持す
るために要求される人為的な制動力の増大、すなわちク
リープトルクの増大を回避するための装置である。この
ような機能は、エンジン1から駆動輪に到る動力伝達系
統に介在された伝動装置のトルク伝達容量を低下させて
達成する以外に、トルクを吸収することによって達成す
ることもできる。
【0069】図13にその制御の一例をフローチャート
で示してある。先ず、信号の読み込みなどの入力信号の
処理(ステップS11)をおこない、ついでシフト装置
によって駆動ポジションが選択されているか否かが判断
される(ステップS12)。この駆動ポジションとは、
走行のためのシフトポジションであり、前述したDポジ
ション、“4”ポジション、“3”ポジション、“2”
ポジション、Lポジションのいずれかである。これに加
えてRポジションであってもよい。
【0070】駆動ポジションが選択されていることによ
りステップS12で肯定判断された場合には、エンジン
1のアイドル回転数を高くするアイドルアップ制御が実
行されているか否かが判断される(ステップS13)。
前述したように、アイドル回転数を高くするのは、エン
ジン1の暖機時、およびエアコンなどの補機類が駆動さ
れている場合、第2のモータ・ジェネレータ14を駆動
して発電をおこなっている場合のいずれかである。そし
て、このアイドルアップは、前述したアイドルスピード
コントロールバルブの開度を増大させて実行されるの
で、そのアイドルスピードコントロールバルブに対する
制御信号の出力の状態に基づいてステップS13の判断
をおこなうことができる。
【0071】アイドルアップ状態であることによりステ
ップS13で肯定判断された場合には、バッテリの充電
状態(SOC)が予め定めた基準値Fu %以上か否かが
判断される(ステップS14)。この基準値Fu %は、
バッテリが満充電状態か否かの判断のためのしきい値と
なる値であり、したがってSOCがその基準値Fu %以
上であれば、満充電状態になっていることになり、反対
にその基準値Fu %未満であれば、未だ充電が可能な状
態になっていることになる。
【0072】バッテリの充電が可能なことによりステッ
プS14で否定判断された場合には、モータ・ジェネレ
ータ3による発電量が計算される(ステップS15)。
モータ・ジェネレータ3の発電量は、そのロータの回転
数とトルクと発電効率とに基づいて演算できるので、そ
の発電に伴うモータ・ジェネレータ3のトルクが、エン
ジン1のアイドルアップに伴う出力トルクの増大分に相
当するように発電量が決定される。すなわちアイドル回
転数が増大するのに伴ってエンジン1の出力トルクが増
大するので、図14に示すように、モータ・ジェネレー
タ3の発電量すなわちトルク(MGトルク)が、アイド
ル回転数の増大に応じて増大するように決定される。こ
うして決定されたトルクとなるようにモータ・ジェネレ
ータ3の発電量が制御される(ステップS16)。これ
は、例えば前述した電子制御装置(MG−ECU)20
によってインバータ18およびバッテリ19を制御する
ことにより実行され、バッテリに充電される。
【0073】したがって、エンジン1の出力トルクがア
イドル回転数を高くすることにより増大するが、それに
応じてモータ・ジェネレータ3によって発電がおこなわ
れてエンジン1の出力トルクの一部がモータ・ジェネレ
ータ3によって吸収される。その結果、アイドルアップ
に伴うエンジン1の出力トルクの増大が、駆動トルクす
なわちクリープトルクとして現れず、停車状態を維持す
るための制動力を増大する必要がなくなり、あるいは減
速のための制動力を増大させる必要がなくなる。
【0074】一方、バッテリのSOCが基準値Fu %以
上であることによりステップS14が肯定判断された場
合には、入力クラッチ2の伝達トルク容量をアイドルア
ップに応じて決定する(ステップS17)。すなわち、
バッテリが満充電状態であってそれ以上に充電をおこな
うことができないために、モータ・ジェネレータ3で発
電をおこなってトルクを吸収できないので、入力クラッ
チ2の伝達トルク容量を低下させることにより、クリー
プトルクの増大を防止する。具体的には、図15に示す
ように、アイドル回転数の増大に応じて入力クラッチ2
の伝達トルク容量を低下させる。その低下の程度は、ア
イドル回転数の増大に伴うエンジントルクの増大分に見
合った量である。そして、これに続くステップS18で
は、入力クラッチ2の伝達トルク容量の制御を実行す
る。なお、このステップS17およびステップS18の
制御は、図1に示すステップS5およびステップS6の
制御と同様である。
【0075】したがって駆動輪に現れる駆動トルクすな
わち停車状態でのクリープトルクは、アイドルアップに
よるエンジン1の出力トルクの増大分を、入力クラッチ
2の伝達トルク容量を低下させることにより減じたトル
クになり、これは、アイドルアップをおこなっていない
状態でのクリープトルクとなる。そのため、アイドル回
転数を高くしていても、車両を停止状態に維持するため
の制動力を大きくする必要がなくなり、あるいは減速の
ための制動力を増大させる必要がなくなる。
【0076】なお、シフトポジションが非駆動ポジショ
ンであることによりステップS12で否定判断された場
合、およびアイドルアップ状態ではないことによりステ
ップS13で否定判断された場合には、入力クラッチ2
の通常の制御を実施する(ステップS19)。これは、
図1に示す具体例におけるステップS3と同様の制御で
ある。
【0077】ここで上記の具体例とこの発明との関係を
説明すると、図13に示すステップS15,S16の制
御を実行する機能的手段が、請求項4の発明におけるク
リープトルク制御手段に相当する。
【0078】ところで上述した車両は、人為的な操作に
よらずに車輪の制動をおこなうことのできるアンチ・ロ
ック・ブレーキ・システム(ABS)を備えているの
で、これを利用してクリープトルクの増大を防止もしく
は抑制することができる。その例を図16にフローチャ
ートで示してある。図16において、先ず、入力信号の
処理(ステップS21)を実行し、ついでシフトポジシ
ョンとして駆動ポジションが選択されているか否かが判
断される(ステップS22)。このステップS22で肯
定判断された場合には、アイドルアップ状態か否かが判
断される(ステップS23)。これらステップS21,
S22,S23の各制御は、図13に示す例におけるス
テップS11,S12,S13と同様の制御である。
【0079】アイドルアップ状態であることによりステ
ップS23で肯定判断された場合には、アイドル回転数
が予め決めた基準回転数Ne1以上か否かが判断される
(ステップS24)。この基準回転数Ne1は、アイドル
回転数の増大に伴うエンジン1の出力トルクが大きいこ
とにより、クリープトルクの抑制のために制動制御以外
の制御を必要とする判断の基準として定められた回転数
である。したがってこのステップS24で肯定判断され
た場合には、モータ・ジェネレータ3の発電量が計算さ
れる(ステップS25)。具体的には、モータ・ジェネ
レータ3によって発電をおこなうことにより、モータ・
ジェネレータ3で吸収もしくは消費されるトルクが、ア
イドルアップによるエンジン出力トルクの増大分うちの
制動により低下させられるトルクを上回っているトルク
に相当するように、モータ・ジェネレータ3の発電量が
計算される。そして、そのモータ・ジェネレータ3によ
る発電が実行される(ステップS26)。これは、図1
3に示す制御例におけるステップS16と同様に、電子
制御装置(MG−ECU)20によってインバータ18
およびバッテリ19を制御することにより実行され、バ
ッテリに充電される。
【0080】このモータ・ジェネレータ3によってエン
ジン出力トルクの一部を吸収もしくは消費する制御と併
せてホイールブレーキによるトルク制御が実行される
(ステップS27)。この制御は、前述したアンチ・ロ
ック・ブレーキ・システム(ABS)に信号を送って車
輪に付設してあるブレーキを動作させ、これにより制動
をおこなって駆動トルク(クリープトルク)を低下させ
る制御である。
【0081】図17は、上記の制御を実行した場合のア
イドル回転数と各トルクとの関係を示す線図であり、ア
イドル回転数が通常の回転数N1 を超えて高くなると、
それに応じてホイールブレーキトルクが増大させられ
る。そのホイールブレーキによるトルクは、エンジン1
のアイドルアップによるエンジントルクの増大分に相当
するトルクである。したがって、アイドルアップによる
エンジントルクの増大分がホイールブレーキトルクによ
って相殺され、クリープトルクが一定に維持される。
【0082】アイドル回転数が更に高くなって前述した
基準回転数Ne1を超えると、ホイールブレーキによるト
ルク制御に加えて、モータ・ジェネレータ3によるトル
ク制御が実行される。すなわちホイールブレーキによる
制動力がその上限値に維持される一方、モータ・ジェネ
レータ3による発電に伴うトルク(MG発電トルク)が
アイドル回転数の増大に応じて増大させられる。そし
て、このホイールブレーキによる制動トルクとMG発電
トルクとの和が、アイドルアップによるエンジン出力ト
ルクの増大分に相当するように制御される。したがっ
て、アイドルアップによるエンジントルクの増大分がホ
イールブレーキトルクとMG発電トルクとによって相殺
され、クリープトルクが一定に維持される。なお、車両
が停止している場合には、図17に実線で示すように、
入力クラッチ2の伝達トルク容量を低下させる制御を併
用してもよい。また、バッテリが満充電状態であること
により、モータ・ジェネレータ3による発電に伴う充電
をおこなうことができない場合には、ホイールブレーキ
による制動トルクを更に増大させる制御を実行する。
【0083】図16に示す制御例においてステップS2
2あるいはステップS23で否定判断された場合、すな
わちシフトポジションとして駆動ポジションが選択され
ていない場合、あるいはアイドルアップ状態にない場合
には、入力クラッチ2およびモータ・ジェネレータ3な
らびにホイールブレーキについて通常の制御が実行され
る(ステップS28)。
【0084】ここで上記の具体例とこの発明との関係を
説明すると、図16に示すステップS27の制御を実行
する機能的手段が、請求項5の発明におけるクリープト
ルク制御手段に相当する。
【0085】つぎに車両が停止している場合にヒルホー
ルド制御を利用してクリープトルクを抑制する制御例に
ついて説明する。図18はその制御例を示すフローチャ
ートであり、入力信号の処理(ステップS31)をおこ
なった後、エンジン1を駆動した状態で車両が停止して
いるか否かが判断される(ステップS32)。このステ
ップS32で肯定判断された場合、人為的に制動操作が
おこなわれているか否か、すなわちフットブレーキある
いはサイドブレーキが操作されてオン状態となっている
か否かが判断される(ステップS33)。これは、車両
を停止させる意志の有無を判断するための制御プロセス
であり、例えばブレーキランプスイッチによって出力さ
れる信号に基づいて判断することができる。
【0086】人為的な制動操作がおこなわれていてステ
ップS33で肯定判断された場合には、ヒルホールド制
御が実行される(ステップS35)。すなわちアンチ・
ロック・ブレーキ・システム(ABS)によってホイー
ルブレーキをロック状態に動作させ、車輪を固定し、ク
リープトルクを零にする。この制御と併せて入力クラッ
チ2の伝達トルク容量を決定する(ステップS36)。
これは、ホイールブレーキによる制動トルクとの関係で
決定される。その例を図19および図20に示してあ
る。
【0087】図19に示す例は、ホイールブレーキによ
る制動トルクを一定とした場合の例であり、アイドル回
転数が増大すると、それに伴ってエンジン出力トルクが
増大するので、その増大分のトルクが駆動輪に掛からな
いように、入力クラッチ2の伝達トルク容量を、アイド
ル回転数の増大に応じて低下させる。これとは反対に図
20に示す例は、ホイールブレーキによる制動トルクを
アイドル回転数の増大に応じて増大させる例である。こ
の場合、入力クラッチ2の伝達トルク容量は予め定めた
一定値に維持される。このようにして決定された伝達ト
ルク容量となるように入力クラッチ2が制御される(ス
テップS37)。
【0088】したがってこのように制御することにより
車輪が完全にロックされてクリープトルクが生じないの
で、車両を停止状態に維持するための人為的な制動力と
して大きい制動力が要求されることはない。
【0089】一方、アイドルアップ状態ではないことに
よりステップS34で否定判断された場合には、ホイー
ルブレーキによって車輪を完全にロックする(ステップ
S38)。これは、上記のステップS35と同様の制御
である。すなわち登坂路での自重による後退移動を阻止
するヒルホールド制御が実行される。そしてこの場合、
アイドルアップ状態にないので、入力クラッチ2につい
て通常の制御が実行される(ステップS39)。具体的
には入力クラッチ2の伝達トルク容量を低下させるなど
の制御は実行されない。
【0090】また、車両が走行していることによりステ
ップS32で否定判断された場合、あるいは停車の意志
がないことによりステップS33で否定判断された場合
には、ホイールブレーキによる車輪のロックが解除され
る(ステップS40)。走行するためであり、したがっ
てクリープトルクが発生する。その場合、クリープトル
クが急激に増大してショックが発生することを防止する
ために、ホイールブレーキによる車輪のロックは、徐々
に解除することが好ましい。そして、入力クラッチ2に
ついて通常の制御が実行される(ステップS41)。具
体的には入力クラッチ2の伝達トルク容量を低下させる
などの制御は実行されない。
【0091】ここで上記の具体例とこの発明との関係を
説明すると、図19に示すステップS32の制御を実行
する機能的手段が、請求項6の発明における停車検出手
段に相当し、またステップS35の制御を実行する機能
的手段が、請求項6の発明におけるクリープトルク制御
手段に相当する。
【0092】なお、上述した具体例では、エンジン1の
出力側に配置されたモータ・ジェネレータ3をトルク吸
収手段とした例を説明したが、この発明におけるトルク
吸収手段は、上記のモータ・ジェネレータ3に限定され
ないのであって、フライホイールなどの他の適宜の手段
を採用することができる。また、上記の具体例では、ヒ
ルホールドブレーキ手段としてアンチ・ロック・ブレー
キ・システムによって動作させられて車輪を制動するホ
イールブレーキを使用した例を説明したが、この発明で
は、例えば自動変速機の歯車変速機部を構成している適
宜のブレーキもしくはクラッチをヒルホールドブレーキ
手段として使用することもできる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし3の
発明によれば、動力源のアイドリング回転数が高い場合
には、その動力源の出力側に配置された伝動機構による
伝達トルク容量を低下させることができるので、動力源
の暖機運転時などアイドリング回転数が高い場合におけ
る駆動力すなわちクリープ力を相対的に低下させること
ができ、その結果、アイドルアップ時であっても停車状
態に維持するための制動操作力を大きくする必要がな
く、また暖機の際には、クリープ力を増大させずにアイ
ドリング回転数を高くして暖機を促進させることができ
る。
【0094】また、請求項4の発明によれば、動力源の
アイドリング回転数が高くなることによってその出力ト
ルクが増大した場合、その出力側に連結されているトル
ク吸収手段によるトルクの吸収量が増大するので、動力
源で発生したトルクがそのまま駆動輪に伝達されずに途
中で吸収され、したがって、アイドリング回転数が高い
場合であっても駆動輪に生じるクリープトルクの増大を
防止もしくは抑制することができる。また、このトルク
吸収手段が、モータ・ジェネレータなどのエネルギを回
収する構成であれば、トルクを低下させるために吸収し
たエネルギを走行などのために有効利用して燃費の向上
を図ることができる。
【0095】さらに、請求項5の発明によれば、動力源
のアイドリング回転数が高くなることによってその出力
トルクが増大した場合、その出力トルクが伝達される駆
動輪に対する制動力が増大させられるので、駆動輪に生
じるクリープトルクは、アイドリング回転数の増大に伴
う出力トルクの増大分を、制動力の増大分で相殺したト
ルクになり、結局、アイドリング回転数が高い場合であ
っても駆動輪に生じるクリープトルクの増大を防止もし
くは抑制することができる。また、クリープトルクを低
下させるための制動力は、既存のホイールブレーキなど
を使用して発生させることができるので、ブレーキやア
クチュエータなどを追加することなく実行でき、その結
果、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0096】そして、請求項6の発明によれば、制動操
作をおこなって停車している間は、ヒルホールドブレー
キによって駆動輪の制動がおこなわれ、クリープトルク
が零となるから、動力源のアイドリング回転数の増大に
よるクリープトルクの増大を未然に回避でき、その結
果、停車状態に維持するための制動力を増大させるなど
の違和感を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置で実行される制御例を説
明するためのフローチャートである。
【図2】 アイドル回転数に応じて入力クラッチの伝達
トルク容量を低下させる制御特性を示す線図である。
【図3】 この発明で対象とするパワートレーンおよび
制御系統の一例を模式的に示すブロック図である。
【図4】 その自動変速機における歯車変速機部を主に
示すスケルトン図である。
【図5】 その自動変速機の各変速段を設定するための
クラッチおよびブレーキの係合・解放を示す図表であ
る。
【図6】 図3に示す自動変速機を制御するシフトレバ
ーの操作により選択されるシフトポジションの配列およ
びスポーツモードスイッチを示す概念図である。
【図7】 Dポジションおよび“4”ポジションならび
に“3”ポジションで使用される、エンジンおよびモー
タ・ジェネレータの駆動領域を定めたマップである。
【図8】 “2”ポジションで使用される、エンジンお
よびモータ・ジェネレータの駆動領域を定めたマップで
ある。
【図9】 Lポジションで使用される、エンジンおよび
モータ・ジェネレータの駆動領域を定めたマップであ
る。
【図10】 Rポジションで使用される、エンジンおよ
びモータ・ジェネレータの駆動領域を定めたマップであ
る。
【図11】 入力クラッチと自動変速機における入力の
ためのクラッチとに対する油圧の供給経路を概略的に示
すブロック図である。
【図12】 この発明の一例で使用される総合制御装置
における入出力信号を示す図である。
【図13】 請求項4の発明の装置で実施される制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図14】 そのモータ・ジェネレータによってトルク
を吸収した場合のモータ・ジェネレータのトルクとアイ
ドル回転数との関係を示す線図である。
【図15】 そのモータ・ジェネレータでトルクを吸収
できない場合の入力クラッチの伝達トルク容量とアイド
ル回転数との関係を示す線図である。
【図16】 請求項5の発明の装置で実施される制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図17】 そのホイールブレーキによる制動トルクと
アイドル回転数ならびにモータ・ジェネレータのトルク
および入力クラッチの伝達トルク容量との関係を示す線
図である。
【図18】 請求項6の発明の装置で実施される制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図19】 そのヒルホールドブレーキトルクとアイド
ル回転数ならびに入力クラッチの伝達トルク容量との関
係を示す線図である。
【図20】 同じくヒルホールドブレーキトルクとアイ
ドル回転数ならびに入力クラッチの伝達トルク容量との
他の関係を示す線図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…入力クラッチ、 4…トルクコン
バータ、 8…ロックアップクラッチ、 16,17,
20,21,24,27…電子制御装置、 28…総合
制御装置。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アイドリング回転数の可変な動力源の出
    力側に、伝達トルク容量を増減できる伝動機構を介して
    駆動力を出力する駆動装置用制御装置において、 前記動力源のアイドリング回転数に応じて前記伝動機構
    の伝達トルク容量を制御する伝達トルク容量制御手段を
    備えていることを特徴とする駆動装置用制御装置。
  2. 【請求項2】 前記伝達トルク容量制御手段が、前記ア
    イドリング回転数が相対的に増大させられている場合
    に、前記伝達トルク容量を低下させる手段を含むことを
    特徴とする請求項1の駆動装置用制御装置。
  3. 【請求項3】 前記伝動機構が、前記動力源の出力側に
    連結された伝達トルク容量を増減できる入力クラッチ
    と、その入力クラッチの出力側に連結された流体伝動機
    構とを含み、かつ前記伝達トルク容量制御手段が、前記
    入力クラッチの伝達トルク容量を増減する手段を含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載の駆動装置用制御装置。
  4. 【請求項4】 アイドリング回転数の可変な動力源の出
    力側に、トルク吸収手段が連結された駆動装置用制御装
    置において、 前記アイドリング回転数の増大量に応じて前記トルク吸
    収手段によるトルクの吸収量を増大させるクリープトル
    ク制御手段を備えていることを特徴とする駆動装置用制
    御装置。
  5. 【請求項5】 アイドリング回転数の可変な動力源から
    駆動トルクが伝達される駆動輪の制動をおこなうホイー
    ルブレーキを備えた駆動装置用制御装置において、 前記アイドリング回転数の増大に基づいて前記ホイール
    ブレーキによる前記駆動輪の制動力を増大させるクリー
    プトルク制御手段を備えていることを特徴とする駆動装
    置用制御装置。
  6. 【請求項6】 アイドリング回転数の可変な動力源と、
    人為的に操作される制動手段と、車両の自重による後進
    を防止するために車輪の回転を止めるヒルホールドブレ
    ーキ手段とを備えた駆動装置用制御装置において、 前記制動手段によって制動がおこなわれて停車している
    ことを検出する停車検出手段と、 この停車検出手段によって停車が検出されている間は前
    記ヒルホールドブレーキ手段によって、駆動輪に生じる
    クリープトルクを実質的に零にするクリープトルク制御
    手段とを備えていることを特徴とする駆動装置用制御装
    置。
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