JP2001020995A - 防振装置及び防振装置のバルブ - Google Patents

防振装置及び防振装置のバルブ

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JP2001020995A
JP2001020995A JP19416299A JP19416299A JP2001020995A JP 2001020995 A JP2001020995 A JP 2001020995A JP 19416299 A JP19416299 A JP 19416299A JP 19416299 A JP19416299 A JP 19416299A JP 2001020995 A JP2001020995 A JP 2001020995A
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vibration
orifice
liquid chamber
valve
opening
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JP19416299A
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Katsumi Someya
勝己 染谷
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低減可能な振動の周波数の範囲を広げる。 【解決手段】 外筒金具16の内側に中間筒22及び中
間ブロック24が配置され、中間ブロック24と弾性体
28とで区画された空間が主液室30を構成し、シェイ
クオリフィス64及びアイドルオリフィス60で主液室
30と第1の副液室32との間が連通される。こもり用
オリフィス62で主液室30と第2の副液室96との間
が連通され、ロータリバルブ36でアイドルオリフィス
60及びこもり用オリフィス62が開閉される。この
際、ロータリバルブ36の円筒部36Aに、内外を貫通
する開口部38が円筒部36Aの外周面から下側の端面
である底面にわたった大きさで、形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動を発生する部
材からの振動の伝達を防止する防振装置及びこのような
防振装置に用いられる防振装置のバルブに関し、例えば
車両に搭載されるエンジンからの振動の伝達を防止する
場合等に適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、振動発生部となる車両のエンジ
ンと振動受部となる車体との間にエンジンマウントとし
ての防振装置が配設されていて、エンジンが発生する振
動をこの防振装置が吸収し、振動が車体側に伝達される
のを阻止するような構造が知られている。すなわち、こ
の防振装置の一例として、筒状に形成される外筒の内側
に内筒が配置されるだけで無く、外筒の内部に主液室及
び副液室を設けると共に、オリフィスとなる制限通路で
これらの液室を互いに連通した構造のブッシュタイプの
ものがある。そして、搭載されたエンジンが作動して振
動が発生した場合には、これら液室を連通する制限通路
内の液体の液柱共振等で低動ばねとして振動を吸収した
り振動を減衰したりして、振動の伝達を阻止するように
なっている。
【0003】一方、車両状態の変化と共にエンジン回転
数が幅広く変化し、このエンジンの幅広い作動状態に伴
って振動周波数も広範囲なものとなる。従って、このよ
うな広範囲な周波数の振動それぞれにおいても防振特性
を維持するべく、長さ及び内径を種々相違させた制限通
路であるオリフィスを複数有し、バルブでこれらのオリ
フィスを開閉するようにした防振装置が、近年案出され
るようになった。
【0004】この防振装置の一例として図10及び図1
1に示す構造のものがあり、これらの図に基づき従来の
防振装置を以下に具体的に説明する。つまり、この防振
装置の外枠となる外筒112の内側にゴム製の弾性体1
16を介して内筒114が配置されるだけで無く、外筒
112の内側に主液室118及びこの主液室118と一
対のオリフィス124、126を介してそれぞれ連通さ
れる一対の副液室120、122がある。そして、これ
ら一対のオリフィス124、126を切り替えるバルブ
として、円筒のコップ状に形成されて周面に開口部12
8Aを有したロータリバルブ128が用いられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の構造の防振装置
によって、より高周波数の振動を低減しようとする場
合、オリフィスの断面積を広げることにより、液柱共振
のチューニングを高周波数側にずらし、より高周波数の
振動を低減することが考えられる。しかし、オリフィス
の断面積を広げるのに合わせて、ロータリバルブ128
の開口部128Aを広げなければ、主液室118と副液
室120、122との間の連通部分に狭隘部分が残り、
結局、高周波数側の振動を低減できない。
【0006】この為、ロータリバルブ128の開口部1
28Aを広げることが考えられるが、ロータリバルブ1
28の周方向に沿って開口部128Aを広げただけでは
十分な広さが得られず、ロータリバルブ128の開口部
128Aによって、低減可能な周波数の範囲が制限され
てしまうことになる。本発明は上記事実を考慮し、低減
可能な振動の周波数の範囲を広げ得る防振装置及び防振
装置のバルブを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1による防振装置
は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される第1の
取付部材と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され
る第2の取付部材と、これら取付部材間に配置されて弾
性変形し得る弾性体と、弾性体を内壁の一部として液体
が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主
液室と、液体が封入され且つ内壁の少なくとも一部が弾
性変形可能とされる副液室と、主液室と副液室との間を
連通して振動を低減し得るオリフィスと、オリフィスに
対応して設置され且つオリフィスを開放する開口部が複
数面間にわたるように形成されるバルブと、バルブを動
作して開口部の位置を変えることでオリフィスを開閉す
るアクチュエータと、を有することを特徴とする。
【0008】請求項1に係る防振装置の作用を以下に説
明する。第1の取付部材或いは第2の取付部材のいずれ
かに連結された振動発生部側から振動が伝達された場
合、弾性体が変形してこの弾性体により振動が減衰され
る。さらに、この弾性体の変形により主液室の内容積が
変化するのに伴って、オリフィスに対応して設置された
バルブの開口部により開放されている状態のオリフィス
を介して、内壁の少なくとも一部が弾性変形可能とされ
る副液室側とで積極的に液体が流動するようになって、
このオリフィス内の液体に圧力変化等が生じる。
【0009】つまり、振動発生部側から振動が伝達され
ると、弾性体の変形だけでなく、主液室と副液室との間
を繋ぐオリフィス内の液体によって動ばね定数が低下し
て、この振動が吸収され、第2の取付部材或いは第1の
取付部材のいずれかに連結された振動受部側に振動が伝
達され難くなる。
【0010】また、オリフィスを開放する開口部がバル
ブの複数面間にわたるようにバルブに形成され、アクチ
ュエータがバルブを動作してバルブの開口部の位置を変
えることで、このオリフィスが開閉される。従って、オ
リフィスを開放する開口部がバルブの複数面間にわたる
ように形成されているので、開口部の断面積をより大き
くすることが可能となり、これに伴って、液柱共振のチ
ューニングポイントを従来の防振装置よりも高い周波数
に設定することができ、防振装置の設計の自由度が広が
る。この結果として、防振装置の低減可能な振動の周波
数の範囲を広げることが可能となった。
【0011】請求項2に係る防振装置の作用を以下に説
明する。本請求項では請求項1と同様に作用するが、さ
らに、バルブが円筒形に形成され、この円筒形を構成す
る周面から端面にわたって開口部を形成したので、バル
ブを回転し得るロータリバルブとでき、このロータリバ
ルブを回転することでオリフィスを開閉可能となり、バ
ルブの開閉の切替がより迅速にできるようになる。
【0012】請求項3に係る防振装置の作用を以下に説
明する。本請求項では請求項1と同様に作用するが、さ
らに、バルブが円筒形に形成され、この円筒形を構成す
る周面から端面にわたって開口部が形成されると共に、
アクチュエータがバルブを回転することで、オリフィス
を開閉することとしたので、請求項2と同様にロータリ
バルブを採用できるだけでなく、回転する軸を有したモ
ータ等の低コストなアクチュエータを採用できる。この
為、バルブの開閉の切替がより迅速にできるだけでな
く、防振装置の製造コストを削減できるようになる。
【0013】請求項4に係る防振装置の作用を以下に説
明する。本請求項では請求項1と同様に作用するが、さ
らに、バルブの開口部の大きさをオリフィスの断面の大
きさに合わせるようにしたので、主液室と副液室との間
の通路に狭隘部分がなくなり、防振装置の低減可能な振
動の周波数の範囲を広げることが、より確実にできるよ
うになった。
【0014】請求項5による防振装置のバルブは、弾性
体を内壁の一部として液体が封入される主液室と内壁の
少なくとも一部が弾性変形可能な副液室との間を連通す
るオリフィスに対応して設置されると共に、オリフィス
を開閉する開口部が複数面間にわたるように形成された
ことを特徴とする。
【0015】請求項5に係る防振装置のバルブの作用を
以下に説明する。弾性体を内壁の一部として液体が封入
される主液室と内壁の少なくとも一部が弾性変形可能な
副液室との間を連通するオリフィスに対応してバルブが
設置され、このオリフィスを開放する開口部がバルブの
複数面間にわたるように形成された。従って、開口部の
断面積をより大きくすることが可能となり、これに伴っ
て、液柱共振のチューニングポイントを従来の防振装置
よりも高い周波数に設定することができ、請求項1と同
様に防振装置の設計の自由度が広がる。この結果とし
て、請求項1と同様に防振装置の低減可能な振動の周波
数の範囲を広げることが可能となった。
【0016】請求項6及び請求項7に係る防振装置のバ
ルブの作用を以下に説明する。請求項6は請求項2と同
様に作用し、さらに、請求項7は開口部がバルブに一対
形成されたので、バルブの開閉の切替がより一層迅速に
できるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る防振装置及び防振装
置のバルブの第1の実施の形態を図1から図7に示し、
これらの図に基づき本実施の形態を説明する。図1から
図4に示すように、この所謂ブッシュタイプの防振装置
10には図示しない車体への連結用のリング状で下部に
脚部12Aを有したブラケット12が備えられており、
このブラケット12内には円筒状の外筒金具16が嵌合
されて配設されている。また、ゴム製で薄肉の弾性膜で
ある第1ダイヤフラム20の外周部分が支持フレーム1
4に加硫接着されて、この第1ダイヤフラム20が外筒
金具16の内周面側の図1及び図2において上部寄りに
配置される。
【0018】一方、外筒金具16内には中間筒22及び
中間ブロック24が挿入されており、これら中間筒22
及び中間ブロック24が仕切部材を構成することとな
る。この中間ブロック24は、外筒金具16の軸方向か
ら見て略半円形のブロック状とされており、図1に示す
ように、中間ブロック24の外周面が外筒金具16の内
周面に密着している。図2に示すように、中間筒22の
軸方向両端部には、それぞれフランジ部22Aが形成さ
れており、これら一対のフランジ部22A間であって中
間筒22の下部側寄りに中間ブロック24が嵌入される
こととなる。また、一対のフランジ部22Aの外周面は
外筒金具16の内周面へ密着されている。
【0019】これに伴って、一対のフランジ部22A間
であって中間筒22の上部側寄りに支持フレーム14が
嵌入されることで、第1ダイヤフラム20の外周部分が
外筒金具16の上部寄りの内周面側と中間筒22との間
で支持されつつ固定されることになる。
【0020】また、図1及び図2に示すように、この第
1ダイヤフラム20と外筒金具16との間の空間は第1
空気室31とされており、外筒金具16の第1空気室3
1に対応する部分に貫通孔18が設けられている。そし
て、この貫通孔18と重なるブラケット12の位置に孔
部12Bが貫通して設けられている。この為、第1空気
室31は、外筒金具16の貫通孔18及びブラケット1
2の孔部12Bを介して外部と連通され、第1空気室3
1内の空気はこれら貫通孔18及び孔部12Bを介して
外部と行き来できるようなっている。
【0021】尚、図1及び図3に示すように、貫通孔1
8の他にこの外筒金具16には、防振装置10の内部を
封止する為のリベット78用のリベット孔82及び、後
述のモータ70の回転軸71を入れる為の孔部84がそ
れぞれ貫通して設けられている。
【0022】図1及び図2に示すように、中間ブロック
24の上面となる平面部24Bに対向した中間筒22の
部分は、切り欠かれると共に内部が空洞とされており、
この空洞内を図示しないエンジンに連結される内筒金具
26が貫通している。この内筒金具26は外筒金具16
と平行に配置され、中間筒22との間にゴム材等で形成
される弾性体28が掛け渡されている。これによって内
筒金具26は外筒金具16に対して相対移動可能となっ
ている。つまり、振動発生部であるエンジンに連結され
る内筒金具26が第1の取付部材とされ、振動受部であ
る車体にブラケット12を介して連結される外筒金具1
6が第2の取付部材とされる。
【0023】さらに、弾性体28は中間筒22のフラン
ジ部22A間の外周面にも延設されており、中間ブロッ
ク24の両端部にそれぞれ突出して円弧状に形成された
部分の内周側の内周円弧面24Aに、弾性体28の一部
が密着している。また、弾性体28の中間部であって内
筒金具26の下側には、弾性体28の下面を凹ますよう
に切欠部28Aが形成されており、この切欠部28Aと
中間ブロック24との間の空間が主液室30とされてい
る。
【0024】一方、中間筒22の一対のフランジ部22
A間には、中間筒22及び第1ダイヤフラム20によっ
て囲まれた第1の副液室32が形成されており、第1ダ
イヤフラム20が第1の副液室32の隔壁の一部を弾性
変形可能に構成している。また、図7に示すように、中
間ブロック24の外周面には、U字状に溝部46が形成
されている。この溝部46の一端は、中間ブロック24
の図1において右側の端部に開口して第1の副液室32
に連結されている。この溝部46の他端は、中間ブロッ
ク24内を貫通して形成される貫通孔48を介して、主
液室30と連通している。そして、これら溝部46及び
貫通孔48は、シェイク振動吸収用の制限通路としての
シェイクオリフィス64となる。
【0025】さらに、中間ブロック24の平面部24B
側には円穴34が形成されており、円穴34の底部に
は、円穴34よりも細径とされると共に中間ブロック2
4の外周面に貫通する円形貫通孔35が、円穴34と同
軸的に形成されている。また、中間ブロック24の外筒
金具16側には、円形貫通孔35と同軸的に座ぐり部3
9が設けられており、さらに座ぐり部39の外側にシー
ル用のOリング41が嵌め込まれている。
【0026】これら円穴34及び円形貫通孔35には、
図5及び図6に示すようなバルブである円筒形に形成さ
れたロータリバルブ36が回転可能に挿入されている。
このロータリバルブ36の主液室30側は上面側が開放
された円筒状の円筒部36Aとされており、円筒部36
Aと反対側の部分には回転軸としての細軸部36Bが円
筒部36Aと同軸的に設けられている。さらに、中間ブ
ロック24の平面部24B側には座金を兼ねた蓋板40
が固定され、ロータリバルブ36の抜け出しを防止して
いる。
【0027】また、細軸部36Bの外周には一対のOリ
ング44がそれぞれ嵌め込まれている。従って、このO
リング44によって液体は円形貫通孔35を介して中間
ブロック24の外方へ漏れ出ることはない。さらに、ロ
ータリバルブ36の円筒部36Aには、円筒部36Aの
内外を貫通して連通する開口部38が、円筒形のロータ
リバルブ36の複数面間にわたるように、円筒部36A
の外周面から下側の端面である底面にわたった大きさ
で、形成されている。一方、中間ブロック24には、一
端側が円穴34に連結されると共に図2において紙面に
垂直となる方向に延びるように通路56が形成されてい
る。すなわち、この通路56の一端は円穴34の内周に
開口されている。
【0028】図6及び図7に示すように、この通路56
の他端は中間ブロック24の外周に周方向に沿って形成
される溝部である通路58の一端と連通されており、こ
の通路58の他端は第1の副液室32と連通されてい
る。従って、ロータリバルブ36が回転して、図1に示
すように開口部38がこの通路56と対向すると、主液
室30と第1の副液室32との間が通路56、58によ
り連通されることになる。つまり、これら通路56、5
8により、主液室30と第1の副液室32とを連通して
アイドル振動吸収用の制限通路とされるアイドルオリフ
ィス60が構成されることになる。
【0029】さらに、このアイドルオリフィス60を構
成する通路56は従来技術のオリフィス124より大き
く形成されているが、開口部38の大きさをアイドルオ
リフィス60の通路56の断面の大きさに合わせるよう
に、開口部38をロータリバルブ36の複数面間にわた
って形成したので、主液室30と第1の副液室32との
間の通路内に狭隘部分がなくなる。
【0030】他方、図1及び図3に示すように、中間ブ
ロック24には、さらに円穴34の半径方向に沿い且つ
通路56と逆方向に向かうこもり用穴部92が、通路5
6より遙に短いものの、形成されている。このこもり用
穴部92の開口端に対応する中間ブロック24の部分に
は、円弧状の空間とされる第2の副液室96が形成され
ており、こもり用穴部92の端部が第2の副液室96に
開口されている。従って、ロータリバルブ36が回転し
て、図3に示すように開口部38がこのこもり用穴部9
2と対向すると、主液室30と第2の副液室96との間
が連通されることになる。つまり、高周波数の振動を吸
収するように通路56より遙に短く形成されたこもり用
穴部92により、主液室30と第2の副液室96とを連
通してアイドル振動より高周波数の振動である中低速こ
もり音を吸収する為の制限通路とされるこもり用オリフ
ィス62が構成されることになる。
【0031】この第2の副液室96に対して中間ブロッ
ク24の外周側の部分には、ゴム製で肉薄の第2ダイヤ
フラム94が、その外周部分を外筒金具16と中間ブロ
ック24との間に挟まれて配置されていて、この第2ダ
イヤフラム94が第2の副液室96の弾性変形可能な隔
壁とされている。この為、この第2ダイヤフラム94と
外筒金具16の内周面側との間の空間が、外筒金具16
に内蔵されて内部に気体が封入された第2空気室98と
され、この第2空気室98が第2ダイヤフラム94の変
形を可能としている。
【0032】従って、第2ダイヤフラム94が第2の副
液室96の隔壁の一部を構成することになるが、図1に
示すように、この第2ダイヤフラム94の面積は第1の
副液室32の隔壁の一部を構成する第1ダイヤフラム2
0の面積より小さく、また第2ダイヤフラム94の厚み
は第1ダイヤフラム20とほぼ同等とされているので、
第2ダイヤフラム94は第1ダイヤフラム20より剛性
が高いことになる。そして、これら主液室30、第1の
副液室32及び第2の副液室96には、エチレングリコ
ール等の液体が充填されるように封入されている。
【0033】一方、ブラケット12の外側には、アクチ
ュエータとしてのモータ70が配設されており、このモ
ータ70の回転軸71の先端は、ロータリバルブ36の
細軸部36Bの先端側に嵌入されている。また、モータ
70にはフランジ部70Aが設けられており、このフラ
ンジ部70Aは、ブラケット12の外径に沿った円弧状
に形成されている。この為、フランジ部70Aを挿通し
たビス(図示せず)がブラケット12に設けられた図示
しないねじ部に螺入されることによって、モータ70が
ブラケット12に固定されることになる。
【0034】以上のような構造より、オリフィス60、
62に対応して設置されるロータリバルブ36がモータ
70により動作されて回転され、開口部38の位置を変
える。そして、図1に示すように、円筒部36Aの開口
部38がアイドルオリフィス60を開放すると、アイド
ルオリフィス60を介して主液室30と第1の副液室3
2とが連通される。また、この位置からロータリバルブ
36がモータ70により180°回転されて、図3に示
すように、円筒部36Aの開口部38がこもり用オリフ
ィス62を開放すると、こもり用オリフィス62を介し
て主液室30と第2の副液室96とが連通される。
【0035】そして、この位置からロータリバルブ36
がモータ70によりさらに180°回転されると、上記
のようにアイドルオリフィス60が再度開放されること
になり、以下上記と同様に順次オリフィスが開放される
ことになる。従って、低周波数域の振動であるアイドル
振動と高周波数域の振動である走行時の振動をも低減し
得るように、これらのオリフィス60、62をロータリ
バルブ36が開閉してオリフィスを切り換えることとな
る。
【0036】以上より、ロータリバルブ36が、図1に
示すようにアイドルオリフィス60を介して主液室30
と第1の副液室32との間を連通する配置と、図3に示
すようにこもり用オリフィス62を介して主液室30と
第2の副液室96との間を連通する配置とを選択的に採
るように、モータ70によってこのロータリバルブ36
が回転される。このモータ70は制御手段であるコント
ローラ72に連結されており、コントローラ72よって
その回転が制御されるようになっている。コントローラ
72は車両電源によって作動し、少なくとも車速センサ
74及びエンジン回転数検出センサ76からの検出信号
を受け、車速及びエンジン回転数を検出し、アイドル振
動発生時かシェイク振動発生時かを判断できるようにな
っている。
【0037】次に、本実施の形態の作用を説明する。内
筒金具26と連結されて防振装置10に搭載されるエン
ジンが作動すると、Y方向を主振動方向とするエンジン
の振動が内筒金具26を介して弾性体28に伝達され
る。弾性体28は吸振主体として作用し、弾性体28の
内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収すること
ができる。さらに、弾性体28及び第1ダイヤフラム2
0の変形に伴って内容積が変化する主液室30及び第1
の副液室32の中の液体がシェイクオリフィス64或い
はアイドルオリフィス60を介して相互に流動等し、ま
た、弾性体28及び第2ダイヤフラム94の変形に伴っ
て内容積が変化する主液室30及び第2の副液室96の
中の液体がこもり用オリフィス62を介して相互に流動
等し、これらオリフィス空間に生ずる液体流動の粘性抵
抗及び液柱共振等に基づく減衰作用で防振効果を向上す
ることができる。
【0038】そして、常時開放されているシェイクオリ
フィス64の他に、アイドルオリフィス60及びこもり
用オリフィス62を設けると共に、これらアイドルオリ
フィス60とこもり用オリフィス62との間で通路を切
り換えるロータリバルブ36をこれらオリフィス60、
62に対応して設置した。さらに、オリフィスを開放す
るロータリバルブ36の開口部38の大きさをアイドル
オリフィス60の断面の大きさに合わせるべく、この開
口部38がロータリバルブ36の複数面である外周面か
ら底面間にわたるようにこのロータリバルブ36に形成
し、モータ70がロータリバルブ36を回転し、ロータ
リバルブ36の開口部38の位置を変えることで、この
オリフィス60、62が開閉される構造とした結果とし
て、以下のように作用する。
【0039】例えば、エンジンがアイドリング運転の場
合や車速が5km/h以下の場合には、アイドル振動(2
5Hz程度)が生じる。コントローラ72は車速センサ7
4、エンジン回転数検出センサ76によりアイドル振動
発生時か否かを判断する。コントローラ72がアイドル
振動発生時であると判断すると、コントローラ72はモ
ータ70を回転させて、図1に示すように、ロータリバ
ルブ36の開口部38をアイドルオリフィス60と対応
させ、こもり用オリフィス62とは対応しない配置にす
る。
【0040】これによってこもり用オリフィス62は閉
止され、アイドルオリフィス60を介して主液室30と
第1の副液室32との間を液体が行き来することにな
り、このアイドルオリフィス60内で液柱共振して動ば
ね定数が低下し、アイドル振動が吸収される。
【0041】他方、車両が例えば70〜80km/h以上
の高速で走行するとシェイク振動(10Hz程度)が生じ
る。前記コントローラ72は車速センサ74、エンジン
回転数検出センサ76によりシェイク振動発生時か否か
を判断する。コントローラ72がシェイク振動発生時で
あると判断すると、コントローラ72はモータ70を作
動させてロータリバルブ36を回転し、図3に示すよう
に、開口部38をこもり用オリフィス62と対応させ、
アイドルオリフィス60とは対応しない配置にする。
【0042】これによってアイドルオリフィス60は閉
止され、常時開放されているシェイクオリフィス64が
主液室30と第1の副液室32とを連通すると共に、こ
もり用オリフィス62が主液室30と第2の副液室96
とを連通する。この結果、主液室30内に生じるエンジ
ン振動に基づく圧力変化がシェイクオリフィス64及び
こもり用オリフィス62内の液体に伝達されると共にこ
の液体の抵抗等を受けシェイク振動が吸収される。さら
に、シェイク振動と共に生じることがある高周波で小振
幅の振動である中低速こもり音(80Hz程度)に対して
は、長さの短いこもり用オリフィス62内で液柱共振し
て動ばね定数が低下し、このこもり音が吸収される。
【0043】以上より、主液室30と副液室32、96
との間をそれぞれ連通して振動を低減し得る2つのオリ
フィス60、62の一端とそれぞれ対向して配置される
ロータリバルブ36が、モータ70により回転されるの
に合わせて、これら2つのオリフィス60、62を選択
的に開閉することになり、これに伴って、相互に異なる
2段階の周波数の振動をそれぞれ低減し得るようになっ
た。
【0044】一方、オリフィス60、62を開放する開
口部38がロータリバルブ36の複数面間にわたるよう
に形成されているので、開口部38の断面積をより大き
くすることが可能となり、これに伴って、アイドル振動
時における液柱共振のチューニングポイントを従来の防
振装置よりも高い周波数に設定することができ、防振装
置10の設計の自由度が広がる。この結果、いずれの振
動周波数においても適切に振動が吸収されるだけでな
く、防振装置10の低減可能な振動の周波数の範囲を大
きく広げることが可能となった。
【0045】さらに、本実施の形態では、バルブが円筒
形に形成されて回転し得るロータリバルブ36とされ、
この円筒形の周面から端面にわたって開口部38が形成
され、モータ70によりロータリバルブ36が回転され
るのに伴って、オリフィス60、62を開閉することと
した。この為、このロータリバルブ36を回転すること
でこれらオリフィス60、62を開閉可能となって、ロ
ータリバルブ36の開閉の切替がより迅速にできるよう
になるだけでなく、回転する軸を有したモータ70等の
低コストなアクチュエータを採用でき、防振装置10の
製造コストを削減できるようになった。
【0046】一方、ロータリバルブ36の開口部38の
大きさをアイドルオリフィス60の断面の大きさに合わ
せるようにしたので、主液室30及び第1の副液室32
との間の通路に狭隘部分がなくなり、防振装置10の低
減可能な振動の周波数の範囲を広げることが、より確実
にできるようになった。
【0047】次に、本発明に係る防振装置の第2の実施
の形態を図8及び図9に示し、この図に基づき本実施の
形態を説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材
と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明を省
略する。本実施の形態では、図8に示すように、ロータ
リバルブ36の中心軸廻りに相互に180°回転する位
置に、開口部38を一対形成した。この為、図9に示す
ようにオリフィス60、62の開口端を配置すれば、ロ
ータリバルブ36を90°の角度回転する毎に、図9
(A)、(B)のごとくアイドルオリフィス60とこも
り用オリフィス62とを交互に開放でき、ロータリバル
ブ36によるオリフィス60、62の開閉の切替がより
一層迅速にできるようになる。
【0048】尚、上記実施の形態において車体に外筒金
具16側が取り付けられ、エンジンに内筒金具26側が
取り付けられる構成としたが、この逆の構成としても良
く、また、副液室を第1の副液室と第2の副液室の2つ
設けたが1つの副液室としても良い。一方、上記実施の
形態において、車両に搭載されるエンジンの防振を目的
としたが、本発明の防振装置は他の用途にも用いられる
ことはいうまでもなく、また、形状等も実施の形態のも
のに限定されるものではない。他方、上記実施の形態に
おいて、ロータリバルブをモータによって回転させる構
成としたが、本発明はこれに限らず、ロータリバルブを
回転させるアクチュエータはモータ以外のものであって
も良く、バルブもロータリバルブ以外の弁等を用いるこ
ととしても良く、バルブの材質も合成樹脂、金属材等の
種々のものが考えられる。
【0049】
【発明の効果】本発明の防振装置及び防振装置のバルブ
は、以上のように説明した構成とした結果、低減可能な
振動の周波数の範囲を広げることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態を示
す断面図(但し脚部は省略する)であって、アイドルオ
リフィスが開放された状態を示す図である。
【図2】図1及び図3の2−2矢視線図(但し脚部は省
略する)である。
【図3】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態を示
す断面図(但し脚部は省略する)であって、こもり用オ
リフィスが開放された状態を示す図である。
【図4】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態を示
す斜視図である。
【図5】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態のロ
ータリバルブを示す下方よりの斜視図である。
【図6】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態に適
用される中間ブロック及びロータリバルブの分解斜視図
である。
【図7】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態に適
用される中間ブロックを表す図であって、(A)は左側
面図であり、(B)は底面図であり、(C)は右側面図
である。
【図8】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態のロ
ータリバルブを示す下方よりの斜視図である。
【図9】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態のロ
ータリバルブの開口部とオリフィスの関係を示す図であ
って、(A)はアイドルオリフィスが開放された状態を
示し、(B)はこもり用オリフィスが開放された状態を
示す。
【図10】従来技術に係る防振装置の横断面図である。
【図11】図10の11−11矢視線図である。
【符号の説明】
10 防振装置 16 外筒金具 26 内筒金具 28 弾性体 30 主液室 32 第1の副液室 36 ロータリバルブ 38 開口部 60 アイドルオリフィス 70 モータ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動発生部及び振動受部の一方に連結さ
    れる第1の取付部材と、 振動発生部及び振動受部の他方に連結される第2の取付
    部材と、 これら取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体
    と、 弾性体を内壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の
    変形により内容積が変化する主液室と、 液体が封入され且つ内壁の少なくとも一部が弾性変形可
    能とされる副液室と、 主液室と副液室との間を連通して振動を低減し得るオリ
    フィスと、 オリフィスに対応して設置され且つオリフィスを開放す
    る開口部が複数面間にわたるように形成されるバルブ
    と、 バルブを動作して開口部の位置を変えることでオリフィ
    スを開閉するアクチュエータと、 を有することを特徴とする防振装置。
  2. 【請求項2】 バルブが円筒形に形成され、この円筒形
    を構成する周面から端面にわたって開口部が形成された
    ことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
  3. 【請求項3】 バルブが円筒形に形成され、この円筒形
    を構成する周面から端面にわたって開口部が形成される
    と共に、アクチュエータがバルブを回転することで、オ
    リフィスが開閉されることを特徴とする請求項1記載の
    防振装置。
  4. 【請求項4】 バルブの開口部の大きさをオリフィスの
    断面の大きさに合わせたことを特徴とする請求項1記載
    の防振装置。
  5. 【請求項5】 弾性体を内壁の一部として液体が封入さ
    れる主液室と内壁の少なくとも一部が弾性変形可能な副
    液室との間を連通するオリフィスに対応して設置される
    と共に、オリフィスを開閉する開口部が複数面間にわた
    るように形成されたことを特徴とする防振装置のバル
    ブ。
  6. 【請求項6】 円筒形に形成されて、この円筒形を構成
    する周面から端面にわたって開口部が形成されたことを
    特徴とする請求項5記載の防振装置のバルブ。
  7. 【請求項7】 開口部が一対形成されたことを特徴とす
    る請求項5記載の防振装置のバルブ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI643974B (zh) * 2014-01-17 2018-12-11 美商蘭姆研究公司 氣相沉積膜中用以減輕瑕疵狀態之方法及設備

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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