JP2001019889A - 筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents

筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具

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JP2001019889A
JP2001019889A JP2000133429A JP2000133429A JP2001019889A JP 2001019889 A JP2001019889 A JP 2001019889A JP 2000133429 A JP2000133429 A JP 2000133429A JP 2000133429 A JP2000133429 A JP 2000133429A JP 2001019889 A JP2001019889 A JP 2001019889A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙に筆記して得られる筆跡が消しゴムで容易
に消去でき、前記筆跡は通常の指や紙同士の擦過程度で
は消去されない筆跡保持性を共に満足すると共に、加熱
によって前記筆跡を定着できる筆記用消しゴム消去性水
性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具を提供する。 【解決手段】 インキ組成物中に、粒子分布が2〜20
μmの範囲に70重量%以上含まれる熱可塑性着色樹脂
粒状体及び粘着性樹脂粒状体を含有する、或いは、粒子
分布が2〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる粘
着性着色樹脂粒状体及び熱可塑性樹脂粒状体を含有する
筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵
した筆記具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は筆記用消しゴム消去
性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具に関す
る。更に詳細には、紙に筆記して得られる筆跡が消しゴ
ムで容易に消去でき、且つ、前記筆跡は通常の指や紙同
士の擦過程度では消去されない筆跡保持性を有すると共
に、加熱することにより永久的に強い擦過を加えても消
去されない筆跡定着性を示す筆記用消しゴム消去性水性
インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、消しゴムにより消去できる筆
跡をもたらすインキ組成物について多くの提案が開示さ
れている。前記インキ組成物は主に着色剤と樹脂を含む
ビヒクルとからなり、前記ビヒクルとしては有機溶剤を
主溶剤とした油性インキ及び水を主溶剤とした水性イン
キの2種類に大別できる。油性インキの典型的な例とし
ては特公平2−47512号公報に記載されている、顔
料と、特定の有機溶剤と、ゴム弾性を有するエラストマ
ー樹脂とからなるボールペン筆記用消去性油性インキ組
成物が挙げられる。前記インキ組成物は分子量の大きい
樹脂を用いたインキ粘度の高いものであり、顔料が溶剤
と共に紙内部へ深く浸透することを防止して、顔料とエ
ラストマー樹脂により形成された紙面上の筆跡を消しゴ
ムで消去しようとする試みである。しかしながら、筆記
後の時間の経過と共に徐々に消去性が低下する欠点を有
する。更に別の問題点として、溶剤が難揮発性であるこ
とから一般的に筆跡が遅乾性であり、筆記直後において
指や手等で軽く擦過すると、筆跡上の未乾燥部分のイン
キが空白部分(筆跡周辺部)に移行して紙面を顕著に汚
染すると共に、筆跡に触れた指や手、更には衣類までも
汚染する欠点を有する。概して、有機溶剤を主溶剤とし
た油性の消去性インキ組成物は前記したボールペン筆記
用消去性油性インキ組成物と共通する問題点を有してお
り、未だ消しゴム消去性と筆跡保持性のバランスに優れ
たものは得られていない。
【0003】一方、水を主溶剤とした筆記用消しゴム消
去性水性インキ組成物としては、近年多くの提案がなさ
れている。その一例として特開平4−332776号公
報には、インキ全重量に占める顔料が1〜50%、40
℃以上の造膜温度を有する樹脂が3〜50%、有機溶剤
が0.5〜50%、及び、水が7〜60%の割合である
消しゴムにより消去し得るインキ組成物が開示されてい
る。前記インキ組成物は汎用の顔料を使用しているた
め、前記顔料が紙の内部に浸透し易く、消しゴムでの良
好な消去性が得られない。又、室温下で造膜性を有さな
いため、皮膜(筆跡)の保存性が悪い。更に別の例とし
て、溶解された着色剤を含む少なくとも一種の乳化重合
性モノマーを乳化重合条件下で重合させることにより得
られる水不溶性ポリマー・カプセル化着色剤を用いた消
去性インキ組成物が開示されている(米国特許第5,6
61,197号)。当該インキ組成物は乳化重合条件下
で水不溶性ポリマーに内包したカプセル化着色剤を調製
するため、得られるカプセル化着色剤の粒子は1μm以
下の微細粒子となる。その結果、筆記時においては紙の
内部に微細な着色剤が浸透してトラップされるため、消
しゴム消去性に乏しい。
【0004】更に別の例として、0℃以下の造膜温度も
しくは0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂と、粒子
径1μm〜20μmの着色樹脂粒子及び水を含有し、イ
ンキ粘度が5〜35mPa・sである消去性インキが提
案されている(特開平5−279614号公報)。当該
技術においては、着色樹脂粒子の粒径を大きくすること
により紙内部への浸透を低減させて消去後に筆跡の痕跡
を残さないようにする試みがなされているものの、適用
される樹脂は粒子径が小さいため紙面内部に浸透し易
く、よって、紙と紙面上の着色樹脂粒子間の接着性が強
固になり、紙質によって消しゴム消去性が大きく異なる
問題点があった。また、前記樹脂として水分散性のラテ
ックス類を用いた場合も、その粒子が微細であるため前
記と同様の問題を生じる。換言すれば、目の粗い紙では
殆ど消去できないといった欠点があった。また、前記し
た従来の消しゴム消去性インキ組成物は、改ざんを不可
とする公式文書、期日や金額を表記した文書等、重要性
の高い書類には使用が制限されるものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記し
た従来の消しゴム消去性インキ組成物の不具合を解消で
きるインキ組成物、即ち、消しゴム消去性と筆跡の保持
性を同時に満足でき、更に加熱により筆跡が消去されな
い永久定着性を示すインキ組成物について鋭意検討した
結果、消しゴム消去性については従来のインキ組成物が
着色要素と接着要素に関わる粒子の粒子径に関して、少
なくとも1つの要素について粒子径が概略1μm以下の
微粒子を適用していることが消しゴム消去性に悪影響を
及ぼしている点に着目した。前記着色要素と接着要素に
関わる粒子は、粒子径が大きければ紙内部への浸透を低
減又は防止し易い。従って、粒子を調製する際の粒子径
の分布を考慮した場合、2μm〜20μmの範囲に粒子
が分布していれば、概ね紙内部への浸透が防止できる。
かかる条件の設定は着色粒子と接着粒子の両方、或い
は、着色性と接着性を共に有する粒子に適用すればよい
と本発明者らは考えた。即ち、着色剤の粒子径が2〜2
0μmであっても、同時に使用する接着剤粒子の粒子径
が乳化重合法で調製される汎用の樹脂ディスパージョン
の如く0.1μm〜1μmである場合には、接着剤粒子
が紙内部に浸透し背後から紙面上にある着色剤粒子を強
く固着するため良好な消しゴム消去性は得られない。一
方、着色剤粒子が0.1μm〜1μmであれば、接着剤
粒子の粒子径に関わらず、着色剤粒子自体が紙内部に浸
透するため、良好な消しゴム消去性は得られない。要す
るに、微細な着色剤粒子及び/又は接着剤粒子が紙の内
部に浸透するために、従来のインキ組成物はいずれも良
好な消しゴム消去性と耐擦過性を満足させていないと本
発明者らは考察する。前述したことに基づいて検討した
結果、紙内部への粒子の浸透性と粒子径との関係につい
て、着色要素と接着要素に関わるそれぞれの粒子、或い
は、着色要素と接着要素を備えた粒子の粒子径が概略2
μm以上であれば、紙の内部への浸透を低減又は防止で
き、又、20μm以下であれば各種筆記具への適用が可
能であるという知見を得た。
【0006】更に、本発明における大きな特徴として
(1)着色剤粒子と接着剤粒子を含むインキ組成物の着
色剤粒子に「感熱要素」を導入するか、或いは(2)着
色性と接着性を備えた粒子を含むインキ組成物に、2μ
m〜20μmの範囲に粒子が分布した「感熱要素」を有
する粒子を加えることによって、筆跡を加熱処理するこ
とにより永久的に定着した筆跡を得られるという従来に
は無い知見を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性着色
樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状体と水とから少なくともな
り、前記熱可塑性着色樹脂粒状体及び粘着性樹脂粒状体
の粒子分布がいずれも2〜20μmの範囲に70重量%
以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を
要件とする。更には、前記熱可塑性着色樹脂粒状体は、
軟化点が60〜180℃であり、メルトフローインデッ
クス(MI)値が0.1〜30であること、前記熱可塑
性着色樹脂粒状体は、着色剤とラジカル重合性モノマー
とから少なくともなる重合性組成物を懸濁重合条件下に
おいて重合した粒状体であること、前記熱可塑性着色樹
脂粒状体は、熱可塑性樹脂と着色剤を溶融混合し、粉砕
法によって粉砕した粒状体であること、前記熱可塑性着
色樹脂粒状体を形成する着色剤と熱可塑性樹脂の重量比
率が、着色剤1に対して熱可塑性樹脂が2〜40である
こと、前記粘着性樹脂粒状体は、懸濁重合法、分散重合
法、シード重合法から選ばれる重合法により調製された
粒状体であること、熱可塑性着色樹脂粒状体を5〜30
重量%、粘着性樹脂粒状体を0.5〜15重量%含んで
なり、且つ、熱可塑性着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状
体の重量比率が100:2〜200であること、前記粘
着性樹脂粒状体は、紙面上に形成された乾燥後の筆跡中
で粒子相互間及び粒子と紙面との間で点接着状態で存在
してなり、加熱により熱可塑性着色樹脂粒状体が溶融し
て筆跡が紙面に定着すること等を要件とする。
【0008】更に本発明は、着色剤と粘着性樹脂とから
なる表面の少なくとも一部が粘着性を有する粘着性着色
樹脂粒状体と熱可塑性樹脂粒状体と水とから少なくとも
なり、前記粘着性着色樹脂粒状体及び熱可塑性樹脂粒状
体の粒子分布がいずれも2〜20μmの範囲に70重量
%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物
を要件とする。更には、前記粘着性着色樹脂粒状体は、
着色剤とラジカル重合性モノマーとから少なくともなる
重合性組成物を懸濁重合条件下において重合した粒状体
であること、前記熱可塑性樹脂粒状体は、軟化点が60
〜180℃であり、メルトフローインデックス(MI)
値が0.1〜30であること、前記熱可塑性樹脂粒状体
は、ラジカル重合性モノマーを懸濁重合、分散重合、シ
ード重合から選ばれる重合法により調製された粒状体で
あること、前記熱可塑性樹脂粒状体は、熱可塑性樹脂を
粉砕法によって粉砕した粒状体であること、前記粘着性
着色樹脂粒状体を形成する着色剤と粘着性樹脂の重量比
率が、着色剤1に対して粘着性樹脂が2〜40であるこ
と、前記粘着性着色樹脂粒状体を5〜30重量%、熱可
塑性樹脂粒状体を1〜15重量%含んでなり、且つ、、
粘着性着色樹脂粒状体と熱可塑性樹脂粒状体の重量比率
が100:2〜50であること、前記粘着性着色樹脂粒
状体は、紙面上に形成された乾燥後の筆跡中で粒子相互
間及び粒子と紙面との間で点接着状態で存在してなり、
加熱により熱可塑性樹脂粒状体が溶融して筆跡が紙面に
定着すること等を要件とする。
【0009】更に、筆記用消しゴム消去性水性インキ組
成物を内蔵してマーキングペンを得ること、インキ組成
物中に剪断減粘性付与剤を含んでなり、100rpmで
の粘度が25〜160mPa・s(EMD型粘度計25
℃の値)であり、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7
を示すボールペン筆記用消しゴム消去性水性インキ組成
物、前記ボールペン筆記用消しゴム消去性インキ組成物
中に含まれる全粒状体の粒子分布が2μm〜10μmの
範囲に80重量%以上含まれること、粘着性樹脂粒状体
又は粘着性着色樹脂粒状体の安定化剤を含んでなるこ
と、前記ボールペン筆記用消しゴム消去性水性インキ組
成物を内蔵してボールペンを得ること等を要件とする。
【0010】本発明における筆記用消しゴム消去性水性
インキ組成物により得られる筆跡は概して鉛筆で筆記し
た筆跡特性に類似するものであり、消しゴムにて消去が
可能であり、しかも、筆記した筆跡は通常時の紙同士の
摩擦や筆記時における手や指の擦過動作に対する軽擦過
にも耐えうるものである。なお、通常時の筆跡の保持性
や耐軽擦過性とは、「HB」又は「H」の硬度を示す鉛
筆により得られる筆跡が示す保持性及び耐擦過性と同程
度の性能を意味する。
【0011】本発明の第1の特徴は、前述した紙への粒
状体の浸透を低減又は防止するために、インキ組成物中
の粒状体が2〜20μmの粒子分布にある粒状体を用い
ることにより、良好な消しゴム消去性と耐軽擦過性を同
時に満たすことを可能としたことである。第2の特徴と
しては筆跡をアイロン等の加熱器具やコピー機等の熱ロ
ーラーで加熱することによって、消しゴムや指の擦過で
は消去されない永久定着性を付与するため、粒状体に感
熱接着性を付与させたことである。
【0012】以下に本発明を説明する。本発明は大別す
ると二つの構成を異にする発明からなり、一方は、熱可
塑性着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状体と水とから少な
くともなり、前記熱可塑性着色樹脂粒状体及び粘着性樹
脂粒状体の粒子分布がいずれも2〜20μmの範囲に7
0重量%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ
組成物である。
【0013】前記熱可塑性着色樹脂粒状体は目視可能な
筆跡を与えるための着色された粒状体であり、且つ、紙
への浸透を防ぐためにその粒子分布が2μm〜20μm
の範囲に70重量%以上含まれることを必要とする。し
かも、形成する樹脂に熱可塑性樹脂を適用することによ
って、所定の熱処理により筆跡を永久定着化させること
ができる。前記熱可塑性着色樹脂粒状体は、熱可塑性樹
脂粒子を染料により染着した着色樹脂粒状体、熱可塑性
樹脂粒子中に顔料が均質に分散された着色樹脂粒状体、
熱可塑樹脂粒子の表面が顔料で被覆されている着色樹脂
粒状体等が挙げられる。
【0014】前記熱可塑性着色樹脂粒状体に用いられる
樹脂類としては、具体的にはスチレン樹脂、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アク
リル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ウレタ
ン樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリオール樹脂、
アクリル−ウレタン共重合体、フェノール樹脂、ポリエ
チレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の
熱可塑性樹脂が挙げられる。前記熱可塑性着色樹脂粒状
体に用いられる樹脂はこれらに限定されるものではな
く、電子写真用トナーの樹脂成分に使われるものであれ
ばすべて適用が可能である。熱可塑性着色樹脂粒状体を
着色する染料としては、塩基性染料、分散染料、油溶性
染料等が挙げられるが非水溶性の染料であれば全て適用
可能である。熱可塑性を有する着色樹脂粒状体を着色す
る顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、群青、黒
鉛、酸化クロムグリーン、酸化チタン等の無機顔料、ア
ゾ系、アンスラキノン系、縮合ポリアゾ系、チオインジ
ゴ系、フタロシアニン系、金属錯塩系、ペリノン系、ペ
リレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系等の有機顔
料が挙げられる。これらの顔料は適宜必要に応じて1種
類又は2種類以上を混合して用いることができる。更に
は、特殊な顔料として蛍光顔料、金属粉顔料、パール顔
料、蓄光顔料、可逆性熱変色顔料、導電性顔料等も適用
できる。なお、前記顔料類は、該樹脂類への分散性を向
上する目的で、従来公知の種々の方法により表面処理さ
れたものであってもよい。
【0015】前述の熱可塑性着色樹脂粒状体は着色手段
として染料や顔料が用いられるが、着色剤として染料を
用いると、樹脂粒状体から染料が紙に転移して紙を染着
する傾向がある。染料により紙が染着すると消しゴムで
の擦過によっても消去でき難くなるため、着色剤として
は顔料類が好適に用いられる。前記熱可塑性着色樹脂粒
状体は、従来より公知の電子写真用トナーの製造方法を
利用でき、粉砕法、重合法及びスプレードライ法等の製
造方法が挙げられる。前記重合法としては懸濁重合法、
懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、分散重合法、マイクロ
カプセル化法等が挙げられる。特に、本発明に適用され
る粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上
含まれる熱可塑性着色樹脂粒状体を得るためには、粉砕
法、懸濁重合法、懸濁重縮合法及び分散重合法が好適に
用いられる。乳化重合法は粒子径分布のほとんどが1μ
m以下の微細粒子として得られるため熱可塑性着色樹脂
粒状体の調製には適さない。
【0016】次に熱可塑性着色樹脂粒状体の熱的性質に
ついて詳しく説明する。本発明の着色樹脂粒状体は熱可
塑性を有し、加熱により紙面に定着化する。前記熱可塑
性着色樹脂粒状体に用いられる熱可塑性樹脂、或いは、
熱可塑性着色樹脂粒状体自体は、得られた筆跡を加熱に
よって消しゴムで消去されない状態とするために、軟化
点が60℃〜180℃であり、且つ、メルトフローイン
デックス(MI)値が0.1〜30.0であり、より好
ましくは0.1〜20である。前記熱可塑性着色樹脂粒
状体の軟化点及びMI値と加熱による熱融着性には密接
な関係があり、軟化点が60℃未満では筆跡上に別の紙
を重ねた際、重ねた紙側に筆跡が転移したり、筆跡によ
り紙同士が接着する不具合(ブロッキング現象)を起こ
しやすくなる。一方、軟化点が180℃を越えると高温
の加熱器具や熱ローラー等を用いる必要があり、紙の材
質劣化が生じる恐れがあり好ましくない。更に、前記軟
化点の範囲内で前述したMI値を示すことが必要とな
る。MI値が0.1未満では加熱時の流動性が少ないた
めに、十分な定着性を得ることができない。一方、MI
値が30を越えると、前記加熱器具に筆跡が転移して筆
跡が薄くなったり、加熱器具を汚染し易くなり、更には
加熱によって紙面に浸透し易くなるため、定着性の低下
や筆跡の鮮明性を損なう。前記軟化点はJIS規格K2
531環球法軟化点試験により測定され、MI値はJI
S規格K7210のA法に従って測定し、測定条件は1
25℃、荷重10kgが適用される。
【0017】前記熱可塑性着色樹脂粒状体の調製に関
し、着色剤とラジカル重合性モノマーとから少なくとも
なる重合性組成物を懸濁重合条件下において粒子状に調
製する方法について説明する。懸濁重合法とは、親油性
の開始剤を用い、水不溶のモノマーやオリゴマーを分散
剤の存在下で微小な油滴として水中に乳化又は分散させ
て懸濁重合条件下で重合させる方法をいう。懸濁重合法
においては乳化剤や分散安定剤及び粘度調整剤を適宜選
択することにより、本発明に好適な2μm〜20μmの
粒子径分布をもつ粒状体を合成することができる。
【0018】前記熱可塑性着色樹脂粒状体を懸濁重合条
件下において調製するためのラジカル重合性モノマーに
ついて以下説明する。反応性モノマー類は実質上水に不
溶性乃至難溶性のものが使用できる。ラジカル重合性の
一官能性モノマーとしては、エチルアクリレート、メチ
ルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロ
ピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチ
ルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアク
リレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オク
チルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリ
レート、ウンデシルアクリレート、ラウリルアクリレー
ト、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ス
テアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレー
ト、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジ
ルアクリレートのようなアクリル酸エステル類、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピル
メタクリレート、i−プロピルメタクリート、n−ブチ
ルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブ
チルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシル
メタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリ
レート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレー
ト、ウンデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、ミリスチルメタクリレート、セチルメタクリレー
ト、ステアリルメタクリレート、2−メトキシエチルメ
タクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベ
ンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、グリシジルメタクリレートのようなメタクリル
酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、β−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、
クロロスチレン、ビニルベンジルクロリド、ビニルピリ
ジンのような芳香族系モノマー類、アクリロニトリルな
どの不飽和ニトリル類、ビニルアセテートのような飽和
カルボン酸の不飽和エステル類等が挙げられる。前記し
たモノマーのnはノルマル、iはイソ、tはターシャリ
ーを示す。
【0019】ラジカル重合性の多官能性モノマーとして
はエチレングリコ─ルジメタクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ
メタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
エチレングリコ─ルジアクリレート、ジエチレングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルベン
ゼン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタ
ジエン、イソプレン等が挙げられる。これらの一官能性
モノマー及び多官能性モノマーは所望の粘着性に応じて
1種類もしくは2種類以上を混合して適宜選択して用い
ることができる。また、アクリル酸やメタクリル酸のよ
うな親水性のモノマーは懸濁粒子の分散安定性を付与さ
せるため、必要に応じて全モノマー中、5重量%以下の
割合で添加できる。上記化合物の中から、熱可塑性を有
する着色樹脂粒状体の樹脂又は熱可塑性を有する着色樹
脂粒状体の軟化点が60℃〜180℃であり且つMI値
が0.1〜30.0となるように適宜選択組み合わせて
用いられる。
【0020】前記重合方法で適用される開始剤としては
以下の実質的に水不溶性乃至難溶性化合物が例示でき
る。水溶性の開始剤は乳化重合反応を招く結果、1μm
以下の微細粒子が形成されるので本発明の熱可塑性着色
樹脂粒状体の調製には適さない。前記開始剤としては、
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルベンゾエート、
ラウロイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシピバレート、クミルパーオキ
シネオデカノエート、オクタノイルパーオキサイド、デ
カノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネートのような有機過酸化物、2,2′−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾ
ビスプロピオニトリル、2,2′−アゾビスバレロニト
リル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)のようなアゾ化合物、及び他の一般的なフ
リーラジカル発生化合物が挙げられる。
【0021】次に、熱可塑性樹脂と着色剤を溶融混合し
た後、粉砕して熱可塑性着色樹脂粒状体を調製する粉砕
法について説明する。粉砕法とは、粉砕機を用いて被粉
砕物に衝撃、圧縮、摩擦、剪断などの力を及ぼして固体
を破壊に導く方法をいう。本発明においては、着色剤と
熱可塑性樹脂を熱ロールやエクストルーダー等を用いて
溶融混合し、更にチップ状に粗く加工した後、粉砕機に
よって微粒子化する方法が挙げられる。具体的には従来
より公知の電子写真用の粉砕法トナーの調製方法を用い
ることができる。トナーと異なる点は、本発明の熱可塑
性着色樹脂粒状体は、少なくとも着色剤と熱可塑性樹脂
の二成分のみでも十分に必要な機能を発揮できる点であ
り、通常トナーに必要な各種添加剤、例えば電荷調整
剤、磁性材料などは必ずしも必要としない。
【0022】次に、熱可塑性着色樹脂粒状体を形成する
着色剤と熱可塑性樹脂の重量比率について説明する。熱
可塑性着色樹脂粒状体を形成する着色剤と熱可塑性樹脂
の重量比率は、着色剤1に対して熱可塑性を有する樹脂
が2〜40であることが好ましい。2未満では良好な定
着性を示さない。一方、40を越えると着色濃度が薄く
なり良好な色濃度を示す筆跡が得られ難い。
【0023】次に、前記熱可塑性着色樹脂粒状体と併用
してインキ組成物中に添加される粘着性樹脂粒状体につ
いて説明する。前記粘着樹脂粒状体は、紙面に対し接着
又は粘着性を示さない前記熱可塑性着色樹脂粒状体を紙
面に接着させ、耐軽擦過性を付与すると共に消しゴムで
の消去性を付与する役割を有する。粘着樹脂粒状体自体
の粘着力とインキ組成中における配合量は消しゴム消去
性と耐軽擦過を満たす良好な範囲で決定される。粘着性
樹脂粒状体についても紙面への浸透を防止、低減させる
ためにその粒子分布は2μm〜20μmの範囲に70重
量%以上含まれることを必要とする。前記粘着性樹脂粒
状体は、少なくとも表層部が粘着性を有していれば特に
製造方法に制約を受けるものではなく、従来公知の樹脂
粒子合成方法を用いることができる。
【0024】粘着性樹脂粒状体の具体的な形態として
は、粘着性樹脂粒状体を形成する樹脂の全体が粘着性を
有する均質ポリマー組成物であるもの、粘着性樹脂粒状
体の全表面が粘着性を有するポリマー組成物で被覆され
たもの、粘着性樹脂粒状体が多層構造状のもので、少な
くとも表面の一部が粘着性を有するもの、粘着性樹脂粒
状体の少なくとも表面の一部が連続又は非連続状態の粘
着性を有するポリマー組成物で構成されたものが挙げら
れる。
【0025】前記の粘着性樹脂粒状体を得る方法として
は、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シー
ド重合法、分散重合法、液中溶媒蒸発法等が適用でき
る。粒状体を形成する樹脂の全部が粘着性を有する均質
ポリマー組成のものを得るには、主として懸濁重合法、
分散重合法、シード重合法、液中溶媒蒸発法が適用で
き、一方、粒状体が多層構造状であるものを得るには、
懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重
合法、分散重合法、液中溶媒蒸発法を適宜組み合わせた
り、二次処理的な表面改質の手段を適用することができ
る。前記多層構造の例としては、中心部が硬質で表層部
が粘着性を有するものが挙げられる。粘着性付与のため
の二次処理とは、粘着性の有無に関わらず得られた一次
粒子に対して、更に前記一次粒子を改質して粘着性を付
与する処理をいう。
【0026】以下に粘着性樹脂粒状体を得る各種方法に
ついて説明する。懸濁重縮合法及び懸濁付加反応法はそ
れぞれ重縮合性や付加反応性のモノマーやプレポリマー
を、親水性の分散剤の存在下で微小な油滴として水中に
乳化又は分散させて重縮合反応又は付加反応によりポリ
マー化させた粒子を調製する方法である。シード重合法
とはあらかじめ合成された種又は核としての樹脂微粒子
に対し、さらに同種又は異種のモノマーを吸収させて更
に重合を繰り返し所望の粒子径まで肥大化させる方法を
いう。分散重合法とは分散安定剤の存在下、モノマーは
溶解するがポリマーを溶解しない溶媒中で重合を行い、
生成ポリマーの析出によって粒子を得る方法をいう。液
中溶媒蒸発法とは、溶剤に溶解したポリマー溶液を水中
に親水性の分散剤の存在下にて懸濁乳化させ、溶剤を加
温又は減圧下で留去することによってポリマー粒子を得
る方法をいう。なお、粘着性樹脂粒状体を調製する方法
としては懸濁重合法、分散重合法、シード重合法から選
ばれる少なくとも1つの重合法より調製されることが好
ましく、より好ましくはシード重合法、分散重合法が挙
げられ、鋭敏(鋭角的)な粒子分布曲線を示す粒状体
(粒子分布の狭い粒状体)を得ることができるため、反
応後の分級処理を実質上省略することもできる。
【0027】前記粘着性樹脂粒状体が示す粘着性とは、
それ自体が消しゴムでの摩擦により除去可能であり、且
つ、軽擦過に対して必要最低限の粘着力を示す程度を意
味する。即ち、粘着力が強すぎれば消しゴムでの消去性
が低下したり、あるいは消去時に消しゴムでの強い摩擦
力を要する。逆に、粘着力が弱すぎれば軽擦過により粘
着性樹脂粒状体は容易に剥離するため、良好な消しゴム
消去性と耐軽擦過性を満たすように粘着力を調整するこ
とが必要である。粘着性樹脂粒状体に好適な粘着性を付
与する指標として、得られた粘着性樹脂粒状体のガラス
転移点が20℃未満であることが好ましい。ガラス転移
点が20℃を越える粘着性樹脂を用いると概して室温条
件下において粘着性の程度が弱く、耐軽擦過性を伴ない
難くなる。
【0028】粘着性樹脂粒状体の調製に用いられるポリ
マー類としては粘着性を有していれば特に限定されない
が、具体的なポリマーを例示すると、アクリル酸エステ
ル樹脂、アクリルスチレン共重合樹脂、アクリル酸エス
テル共重合樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリ
ル酸エステル共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エ
チレンアクリル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエス
テル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
【0029】粘着性樹脂粒状体を懸濁重合法、シード重
合法、分散重合法等のラジカル重合を利用して調製する
場合の反応性モノマー類やラジカル開始剤としては前述
した熱可塑性着色樹脂粒状体を調製する材料から選択す
ることができる。
【0030】次に懸濁重縮合法、懸濁付加反応法によっ
て粘着性樹脂粒状体を調製する方法について説明する。
前記方法には反応性のモノマー、オリゴマー、プレポリ
マーが適用可能であり、かかる化合物としては、アクリ
ル樹脂、アクリルポリオール、エポキシ樹脂、ウレタン
樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂から選ば
れた樹脂であって、反応後に粘着性を有する樹脂が適用
できる。前記反応性樹脂を含む溶液中に、必要に応じて
架橋剤を添加した後、分散剤を含む分散媒中に所望の粒
子径に乳化し、その後、昇温操作によって反応を促進し
粘着性樹脂粒状体が得られる。
【0031】次に液中溶媒蒸発法によって粘着性樹脂粒
状体を得る方法について説明すると、液中溶媒蒸発法は
予め粘着性を有するポリマーを水不溶性の溶剤に溶解
し、親水性の分散剤を含む分散媒体中に添加して所望の
粒子径に成るように乳化した後、昇温や減圧等の手段に
よって溶剤を蒸発留去することによって、粘着性樹脂粒
状体を得ることができる。なお、必要に応じて、乳化の
前後に架橋剤を添加して、元のポリマーの物性を改質し
てもよい。液中溶媒蒸発法に適用できるポリマー類とし
ては前述のポリマー類を挙げることができる。
【0032】本発明の粘着性樹脂粒状体の粘着性の調整
方法としては、(1)粘着性を有するモノマー類の種類
を変えたり、二種以上のモノマーを混合したり、(2)
多官能性モノマー(架橋性モノマー)の量を調整するこ
とによって所望の粘着性を有する樹脂を得ることができ
るが、更に、粘着性を調節するためにロジン、ロジン誘
導体、クマロン・インデン樹脂、ポリテルペン樹脂、非
反応性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂等の粘着性
付与剤を添加することもできる。また、ミネラルオイ
ル、液状ポリブテン、ラノリン、二塩基酸エステル等の
可塑剤、顔料や体質顔料等を適宜加えてもよい。
【0033】次に前記熱可塑性着色樹脂粒状体と粘着性
樹脂粒状体を前述した粒子分布に調整する方法について
説明する。熱可塑性着色樹脂粒状体は湿式分級法や乾式
分級法によって所望の粒子分布に調整することができ
る。湿式分級法としては、水等の媒体中に前記粒状体を
分散した後、遠心沈降法、又は、自然沈降法により粒子
を分級する方法が適用できる。又、粗大粒子の除去に
は、ろ紙、フィルター等によるろ過処理も効果的であ
る。一方、乾式分級法は、乾燥状態にした粒状体をバリ
アブルインパクター、サイクロン、クラシクロン、ター
ボクラシファイアー、ミクロンセパレーター等の機具を
用いて分級する方法が適用できる。所望の粒度分布が得
られるように分級を複数回繰り返し行ってもよい。な
お、乾式分級法は電子写真用のコピー用トナーの分級方
法にも用いられている。かかる分級方法から単一或いは
複数の方法を用いて粒子分布が2μm〜20μmの範囲
に70重量%以上が含まれる粒状体が得られる。更に、
狭い粒径範囲内に粒子の量を集中させた、粒子径がより
均一な粒状体を得るためには、上記分級をくり返した
り、不要な粒子範囲部分を拡大する方法が挙げられる。
【0034】一方、粘着性樹脂粒状体は室温下で粘着性
を有するため、乾式分級は概して適用が困難である。そ
のためできるかぎり粒子調製段階で2μm〜20μmの
範囲に70重量%以上が含まれるように前記粒状体を調
製することが好ましい。仮に分級が必要な場合は、湿式
分級法が適用でき、ろ紙、フィルター等によるろ過処
理、及び遠心沈降法などが適している。
【0035】次にインキ組成中における、熱可塑性着色
樹脂粒状体及び粘着性樹脂粒状体の配合重量及びこれら
の重量比率について説明する。インキ組成物中のそれぞ
れの粒状体の配合量は、熱可塑性着色樹脂粒状体が5〜
30重量%、粘着性樹脂粒状体が0.5〜15重量%で
あり、且つ、熱可塑性着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状
体の重量比率が熱可塑性着色樹脂粒状体100に対して
粘着性樹脂粒状体2〜200であることが好ましい。熱
可塑性着色樹脂粒状体が5重量%未満では良好な色濃度
が得られず、30重量%を越えるとインキ組成物中での
固形分比率が高くなり、円滑なインキの吐出を妨げ易く
なる。粘着性樹脂粒状体が0.5重量%未満では良好な
耐軽擦過性が得られず、15重量%を越えると良好な消
しゴム消去性が得られ難くなることがある。又、熱可塑
性着色樹脂粒状体との配合比率が2未満では、良好な耐
軽擦過性が得られず、200を越えると良好な消しゴム
消去性が得られ難くなることがある。
【0036】インキ組成物の調製方法としては、水を含
むビヒクル中に熱可塑性着色樹脂粒状体及び粘着性樹脂
粒状体を均質に混合分散することによって調製すること
ができる。更に所望に応じてインキ中に以下の添加物を
加えることができる。水溶性極性溶剤としては水に相溶
性のある従来汎用の溶剤が全て有効であり、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、チ
オジエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、
ポリエチレングリコール等の多価アルコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロ
リドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルム
アミド等を一種又は二種以上併用して用いることがで
き、添加量はインキ組成物中2〜35重量%が好まし
い。
【0037】また、湿潤剤、防腐剤、消泡剤、酸化防止
剤、安定剤、PH調製剤、界面活性剤等の慣用の添加剤
を適宜必要に応じて添加することもでき、インキの流動
性の向上や分散安定化、粘着性の微調整の目的で水溶性
樹脂や、水性樹脂エマルジョンを添加することもでき
る。また、消去性に影響のない範疇で一般の汎用着色剤
を添加してもよい。更に、加熱による熱定着性を補うた
めに、熱可塑性樹脂粒状体(未着色)を添加してもよい
し、前記粘着性樹脂粒状体は粘着性、粒子分布の異なる
2種類以上の粘着性樹脂粒状体を所望に応じて混合して
使用することもできる。また、必要に応じて粘着性樹脂
粒状体を着色して筆跡濃度を向上させたり、別途着色し
た粘着性樹脂粒状体を添加して筆跡濃度の向上及び耐軽
擦過性を増強させることもできる。
【0038】次に、他方の発明である樹脂と着色剤とか
らなる表面の少なくとも一部が粘着性を有する粘着性着
色樹脂粒状体と熱可塑性樹脂粒状体と水とから少なくと
もなり、且つ、前記粘着性着色樹脂粒状体及び熱可塑性
樹脂粒状体の粒子分布がいずれも2μm〜20μmの範
囲に70重量%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性
インキ組成物について説明する。
【0039】前記粘着性着色樹脂粒状体はそれ自体が着
色要素と接着要素を有し、紙への浸透を防ぐためにその
粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含
まれ、消しゴム消去性と耐軽擦過性を同時に満たす粘着
性を示すように調製される。粘着性着色樹脂粒状体は、
着色剤を含む着色樹脂粒子の表面の少なくとも一部が粘
着性を有していれば特に製造方法に制約を受けるもので
はなく、公知の樹脂粒子の合成技術を用いることができ
る。
【0040】前記粘着性着色樹脂粒状体の形態として
は、着色樹脂粒状体を形成する樹脂の全部が粘着性を有
する均質ポリマー組成物であるもの、着色樹脂粒状体の
全表面部分のみが粘着性を有するポリマー組成物で被覆
されたもの、着色樹脂粒状体の表面の一部に連続又は非
連続状態の粘着性を有するポリマー組成物で構成された
ものが挙げられる。
【0041】前記の粘着性着色樹脂粒状体を得る方法と
しては、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、
シード重合法、分散重合法、液中乾燥法が適用できる。
粘着性着色樹脂粒状体を形成する樹脂の全部が粘着性を
有する粒状体を得るには、主として懸濁重合法、液中溶
媒蒸発法が適用でき、一方、着色粒状体の全表面又は表
面の一部が連続又は非連続状態の粘着部分を有する粒状
体を得るには、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反
応法、シード重合法、分散重合法、液中溶媒蒸発法を適
宜組み合わせたり、二次処理的な表面改質の手段を適用
することができる。前記粘着性着色樹脂粒状体の調製方
法において懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の
ラジカル重合を利用して調製する場合の反応性モノマー
類、ラジカル開始剤としては前述した粘着性樹脂粒状体
を調製するための原料から選択することができる。懸濁
重縮合法、懸濁付加反応法、液中溶媒蒸発法についても
前述の粘着性樹脂粒状体の調製に用いられるモノマー、
オリゴマー、ポリマー類を適用することができる。粘着
性着色樹脂粒状体の調製方法のうち好適に用いられる方
法は懸濁重合法であり、より好ましくは、少なくとも着
色剤とラジカル重合性モノマーからなる組成物を懸濁重
合条件下において調製する方法である。なお、前記液中
溶媒蒸発法の乳化段階において転相法を用いてもよい。
【0042】粘着性着色樹脂粒状体を着色する着色剤と
しては、前述した熱可塑性着色樹脂粒状体の調製に適用
される着色剤と同様のものを適用することができ、顔料
類が好適に用いられる。粘着性着色樹脂粒状体を着色す
る方法としては、着色剤をモノマー、オリゴマー、プレ
ポリマー又はポリマー中に、所望に応じて溶剤を加えて
溶解又は分散して、各々の反応に従って着色剤を含む粘
着性着色樹脂粒状体が調製される。なお、着色剤は粒状
体中に均一に存在していてもよいし、粒状体中で局在化
した不均一なものであってもよい。更に、粘着性を調整
するために粘着性樹脂粒状体(未着色)を添加してもよ
いし、前記粘着性着色樹脂粒状体は粘着性、粒子分布の
異なる2種類以上の粘着性着色樹脂粒状体を所望に応じ
て混合して使用することもできる。
【0043】次に粘着性着色樹脂粒状体を形成する着色
剤と粘着性樹脂の重量比率について説明する。粘着性着
色樹脂粒状体を形成する着色剤と粘着性樹脂の重量比率
は、着色剤1に対して粘着性樹脂が2〜40であること
が好ましい。前記重量比率が2未満では粒状体の調製、
特に粒子径の調整が困難となり、一方、40を越えると
良好な色濃度を示す筆跡が得られ難い。前記粘着性着色
樹脂粒状体が示す粘着性とは、前述の粘着性樹脂粒状体
と同様の粘着力を示し、同様にガラス転移点が20℃以
下であることが好ましい。
【0044】次に熱可塑性樹脂粒状体について説明す
る。熱可塑性樹脂粒状体は紙への浸透を防ぐためにその
粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含
まれることを必要とする。更には、樹脂粒状体に熱可塑
性を付与することによって、所定の熱処理後に筆跡を永
久定着化させることができる。前記熱可塑性樹脂粒状体
を構成する樹脂類としては、前述した熱可塑性着色樹脂
粒状体の調製に用いられる樹脂類と同様のものが用いら
れる。前記熱可塑性樹脂粒状体は、従来より公知の電子
写真用トナーの製造方法を利用でき、粉砕法、重合法等
の製造方法が挙げられる。前記重合法としては熱可塑性
着色樹脂粒状体で説明した方法が挙げられる。本発明に
適用される2〜20μmの範囲に70重量%以上含まれ
る熱可塑性樹脂粒状体を得るためには粉砕法、懸濁重合
法、懸濁重縮合法、分散重合法が好適に用いられる。乳
化重合法は、粒子径分布のほとんどが1μm以下の微細
粒子が形成されるので本発明の樹脂粒状体の調製には適
さない。なお、熱可塑性樹脂粒状体を前述の熱可塑性着
色樹脂粒状体の調製に適用する着色剤を用いて着色して
筆跡濃度を向上させたり、別途着色した熱可塑性樹脂粒
状体を添加して筆跡濃度の向上及び定着性を増強させる
こともできる。次に熱可塑性樹脂粒状体の熱的性質につ
いて説明すると、好ましい熱的物性としては前述の熱可
塑性着色樹脂粒状体と同様に軟化点が60℃〜180℃
であり、且つ、メルトフローインデックス(MI)値が
0.1〜30であり、より好ましくは0.1〜20であ
る。
【0045】次に熱可塑性樹脂粒状体を重合法で調製す
る場合について説明する。前記熱可塑性樹脂粒状体はラ
ジカル重合性モノマーを懸濁重合、分散重合、シード重
合から選ばれる少なくとも1つの重合法により調製され
ることが好ましい。前記熱可塑性樹脂粒状体を懸濁重合
法、シード重合法、分散重合法等のラジカル重合を利用
して調製する場合の反応性モノマー類、ラジカル開始剤
としては前述した熱可塑性着色樹脂粒状体を調製するた
めの原料から選択することができる。熱可塑性樹脂粒状
体を粉砕法にて調製する場合は、前述の熱可塑性樹脂を
熱ロール又はエクストルーダー等を用いて溶融混合し、
更にチップ状に粗く加工した後、粉砕機によって微粒子
化して調製する。具体的には従来より公知の電子写真用
の粉砕法トナーの調製方法を利用することができる。
【0046】次に、熱可塑性樹脂粒状体及び粘着性着色
樹脂粒状体の分級について述べる。熱可塑性樹脂粒状体
は湿式分級及び、又は乾式分級法によって所望の粒子分
布をもつように粒度の分布を調整することができる。湿
式分級法としては、前述の方法が適用できる。又、粗大
粒子の除去にはろ紙、フィルター等によるろ過処理も効
果的である。乾式分級法も前述の方法が適用でき、所望
の粒度分布が得られるように分級を複数回繰り返して行
っても良い。かかる分級方法から単一或いは複数の方法
を用いて2μm〜20μmの範囲に70重量%以上が含
まれる粒状体が得られる。更に、狭い粒径範囲内に粒子
の量を集中させた、粒子径がより均一な粒子を得るため
には、前記分級をくり返したり、不要な粒子範囲部分を
拡大する方法が挙げられる。一方、粘着性着色樹脂粒状
体は室温下で粘着性を有するため、乾式分級は概して困
難である。このため極力粒子調製段階で2μm〜20μ
mの範囲に70重量%以上が含まれるように前記粒状体
が調製されることが好ましい。仮に分級が必要な場合
は、湿式分級法が適用でき、ろ紙、フィルター等による
ろ過処理、及び遠心沈降法などが適している。
【0047】次にインキ組成物中における粘着性着色樹
脂粒状体と熱可塑性樹脂粒状体の配合重量及びこれらの
重量比率について説明する。インキ組成物中のそれぞれ
の粒状体の配合量は、粘着性着色樹脂粒状体が5〜30
重量%、熱可塑性樹脂粒状体が1〜15重量%であり、
且つ、粘着性着色樹脂粒状体と熱可塑性樹脂粒状体の重
量比率が粘着性着色樹脂粒状体100に対して熱可塑性
樹脂粒状体が2〜50であることが好ましい。粘着性着
色樹脂粒状体が5重量%未満では良好な色濃度が得られ
ないと共に、良好な耐軽擦過性が得られなくなる。30
重量%を越えるとインキ組成物中での固形分比率が高く
なり、円滑なインキの吐出を妨げ易くなる。熱可塑性樹
脂粒状体が1重量%未満では良好な熱定着性が得られ
ず、15重量%を越えると耐軽擦過性が弱くなることが
ある。又、粘着性着色樹脂粒状体との配合比率において
も2未満では良好な熱定着性が得られず、50を越える
と耐軽擦過性が弱くなることがある。
【0048】インキ組成物の調製方法としては、水を含
むビヒクル中に粘着性着色樹脂粒状体及び熱可塑性樹脂
粒状体を均質に混合分散することによって調製すること
ができる。更に所望に応じて前述の水溶性極性溶剤、湿
潤剤、防腐剤、消泡剤、酸化防止剤、安定剤、PH調製
剤、界面活性剤等の慣用の添加剤、水溶性樹脂や水性樹
脂エマルジョンを添加することもでき、更には、消去性
に影響のない範囲で一般の汎用着色剤を添加してもよ
い。
【0049】次に、本発明の筆記用消しゴム消去性水性
インキ組成物を用いて筆記された紙面上の筆跡に関する
形態的な特徴を説明する。前記インキ組成物によって得
られる紙面上に形成された乾燥後の筆跡はインキ組成中
に含まれていた粒状体が粒子相互間及び紙面と粒子の間
で点接着状態で接着している。
【0050】熱可塑性着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状
体を含むインキ組成物の筆跡は、粘着性樹脂粒状体が熱
可塑性着色樹脂粒状体に対して粘着力により点接着する
と同時に紙面に対しても点接着する(図1)。かかる作
用により粘着性樹脂粒状体を核とする二次元的な網目構
造が紙面に連続状又は不連続状に形成される。この形態
的な特徴が良好な消しゴム消去性と耐軽擦過性を同時に
満足させている。更に加熱処理後の筆跡は、熱可塑性着
色樹脂粒状体の加熱前にみられた独立的粒子の形状から
溶融変形することによって筆跡中の粒状体全体を団塊化
すると共に、紙内部への溶融による浸透効果によって消
しゴムで擦過しても消去できない強固な定着性を示す
(図2)。
【0051】一方、粘着性着色樹脂粒状体と熱可塑性樹
脂粒状体を含むインキ組成物の筆跡の形態的な特徴も同
様であるが、この場合は粘着性着色樹脂粒状体が紙面及
び熱可塑性樹脂粒状体に対し点接着性を示すことによ
り、紙面上に点接着状で連結された網目構造を紙面に連
続状又は不連続状に形成し(図3)、筆跡を加熱処理し
た後は熱可塑性樹脂粒状体が溶融変形することによっ
て、筆跡中の粒状体全体を団塊化すると共に、紙面への
溶融浸透効果によって紙との接着効果を増大させ消しゴ
ムで擦過しても消去できない強固な定着性の筆跡が得ら
れる(図4)。
【0052】次に、筆記用消しゴム消去性水性インキ組
成物を内蔵する筆記具について説明する。本発明の筆記
用消しゴム消去性水性インキ組成物は、繊維チップ、フ
ェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着
し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体に
前記インキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する
構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ
流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介
在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機
構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構
造のマーキングペンが挙げられる。
【0053】次に、本発明の筆記用消しゴム消去性水性
インキ組成物をボールペンに内蔵する場合について説明
する。ボールペンに好適に用いられるインキ組成物は剪
断減粘性付与剤を含んでなり、100rpmでの粘度が
25〜160mPa・s(EMD型粘度計25℃の値)
であり、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7を示す組
成物である。 ボールペンに内蔵する場合、一般の汎用
着色剤と異なり比較的大きな粒径の熱可塑性着色樹脂粒
状体と粘着性樹脂粒状体、或いは、粘着性着色樹脂粒状
体と熱可塑性樹脂粒状体を用いるために、前記粒状体が
沈降等の分離が生じやすい傾向にある。かかる理由から
インキ組成物中に剪断減粘性付与剤を添加して、得られ
るインキ組成物の25℃におけるEMD型粘度計を用い
た100rpmの粘度が25〜160mPa・sであ
り、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7であれば粒状
体の沈降、分離もなく経時的に安定なボールペンを得る
ことができる。前記100rpmにおけるインキ粘度が
160mPa・sを越えるとボールペン先端部からのイ
ンキ吐出性が低下して、筆記不能になったり、かすれを
生じる。また、25mPa・s未満では粒状体が沈降、
分離して安定性に乏しくなる。即ち、剪断減粘指数が前
記範囲外では剪断減粘性による効果が適正でなく、粒状
体の分離防止、インキ吐出性及び筆跡性能に支障を来
す。なお、前記におけるインキの剪断減粘指数は、剪断
応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による
流動学的測定から得られる実験式(T=Kjn :K及び
nは計算された定数である)にあてはめることによって
計算されるn値である。
【0054】前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知
の化合物を用いることが可能であり、キサンタンガム、
ウエランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの
有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均
分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカス
トビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロ
ース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸の
アルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万
の重合体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻
より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデ
ンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれ
らの誘導体、架橋性アクリル酸重合体等を例示でき、単
独或いは混合して使用することができる。更に、剪断減
粘性付与剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエ
チレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレ
ンヒマシ油類、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリン
アルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、
脂肪酸アミド類等から選ばれるHLB値が8〜12の範
囲のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニ
ルスルホコハク酸の中和物、N−アルキル−2−ピロリ
ドンとアニオン系活性剤の混合物、ポリビニルアルコー
ルとアクリル系樹脂の混合物等を例示でき、単独或いは
混合して使用することができる。前記剪断減粘性付与剤
はインキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いるこ
とが好ましい。
【0055】次に、ボールペン筆記用消しゴム消去性水
性インキ組成物に適用される粒状体の粒子径について説
明すると、インキ組成物中に含まれる全粒状体の粒子分
布が2μm〜10μmの範囲に80重量%以上含まれる
ことが好ましく、より好ましくは、2μm〜10μmの
範囲に90重量%以上含まれることである。ボールペン
筆記用のインキ組成物中の粒子分布はボールペンチップ
部におけるボール収容部近傍の狭い間隙を粒状体が円滑
に通過するために、粒子サイズについて他の筆記具に比
べてより大きな制約を必要とする。ボールペンチップの
構造にもよるが、2μm〜10μmの範囲に80重量%
以上含まれるような粒状体を適用するのが好ましい。更
に好ましくは、2μm〜10μmの範囲に90重量%以
上含まれる粒子分布の粒状体が適用される。10μm以
上の粒子の割合が多くなると、前記ボール収容部近傍で
粗大な粒子が通過することなく累積し、筆記不良になる
場合があるためである。
【0056】次に、ボールペン筆記用消しゴム消去性水
性インキ組成物を調製する際の粘着性樹脂粒状体、或い
は、粘着性着色樹脂粒状体の安定化剤について説明す
る。前記粒状体は、筆記時のボールの回転に伴い、ボー
ル収容部近傍における極圧作用により粘着性粒状体間で
凝集、又は団塊化する傾向がある。このためインキ組成
物中に粘着性粒状体の安定化剤を配合することが好まし
い。前記安定化剤としては、アニオン性界面活性剤や両
性界面活性剤が挙げられ、好適には両性界面活性剤、或
いは、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の併用で
あり、粘着粒状体表面に配向してボール収容部近傍で粘
着性粒状体同士が凝集や団塊化することを防止する著し
い効果を有する。
【0057】前記アニオン性界面活性剤としては、アル
キル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
塩、スルホコハク酸塩、スルホン酸塩、タウリン誘導
体、サルコシン誘導体、アマイドエーテルサルフェ−
ト、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル燐酸塩、脂肪酸塩、アルキルエーテル脂肪酸塩等が
挙げられ、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリ
エタノールアミン塩、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールア
ミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリ
ルスルホ酢酸ナトリウム、N−ラウロイルメチルタウリ
ンナトリウム、N−ミリストイルメチルタウリントリエ
タノールアミン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、
オレイルサルコシンカリウム、ミリストイルサルコシン
ナトリウム、ポリオキシヤシ油脂肪酸モノエタノールア
ミド硫酸ナトリウム、ラウリル燐酸ナトリウム、ポリオ
キシエチレンセチルエーテル燐酸ナトリウム、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル燐酸トリエタノール
アミン塩、ジポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸
トリエタノールアミン塩、トリポリオキシエチレンラウ
リルエーテル燐酸トリエタノールアミン塩、ヤシ油脂肪
酸トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル酢酸ナトリウム等を例示できる。
【0058】前記両性界面活性剤としては、アルキルベ
タイン型、アルキルアミノベタイン型、イミダゾリン
型、グリシン型、エーテルアミンオキシド型の界面活性
剤が挙げられ、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイ
ン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル
−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダ
ゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイ
ン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、ラウリル
ジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油ア
ルキルジメチルアミンオキシド等を例示できる。
【0059】次にボールペン筆記用消しゴム消去性水性
インキ組成物を充填するボールペンについて説明する。
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものでは
なく、従来より汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内
にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該イン
キ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通して
おり、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接
しているボールペンが例示できる。前記インキ組成物を
充填するボールペンについて更に詳しく説明すると、筆
記先端部(チップ)の構造は、従来より汎用の機構が有
効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に
押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチ
ップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工によ
り形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチッ
プ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工によ
り形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方
に付勢させたもの等を適用できる。
【0060】前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、
ルビー、セラミック等の0.3〜1.2mm径程度のも
のが適用できる。前記インキ組成物を収容するインキ収
容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形
体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられ
る。又、前記インキ収容管は、2.5〜10mmの内径
を有するものが好適に用いられる。更に、前記インキ収
容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用
いることにより、インキ色やインキ残量等を確認でき
る。前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接
続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結しても
よい。尚、前記インキ収容管は、ボールペン用レフィル
の形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するもので
もよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ
収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよ
い。前記軸筒内に収容するレフィルの内径は、2.5〜
5mmのものが好適に用いられ、インキを直接収容する
軸筒の内径は、4〜10mmのものが好適に用いられ
る。
【0061】前記インキ収容管に収容したインキ組成物
の後端にはインキ逆流防止体を充填することが好まし
い。前記インキ逆流防止体としては、液状または固体の
いずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止
体としては、ポリブテン、シリコーン油等の不揮発性媒
体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸ア
ルミニウム等を添加することもできる。また、固体のイ
ンキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。更
に、前記液状及び固体のインキ逆流防止体を併用するこ
ともできる。
【0062】
【発明の実施の形態】本発明の筆記用消しゴム消去性水
性インキ組成物は、水を含むビヒクル中に着色樹脂粒状
体及び粘着性樹脂粒状体、或いは、粘着性着色樹脂粒状
体及び熱可塑性樹脂粒状体を添加し、添加剤が配合され
る場合には適宜添加剤を投入して攪拌して分散すること
により調製され、ボールペン、サインペンやフェルトペ
ン等のマーキングペン、万年筆、筆ペン等の形態の筆記
具に充填して使用される。
【0063】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実
施例によって何ら限定されるものではない。又、実施例
における粒子径分布の測定にはレーザー回折式粒度分布
測定機〔(株)島津製作所製;SALD 1100〕を
用いた。尚、実施例中の配合数字は重量部を示す。
【0064】実施例1 熱可塑性着色樹脂粒状体の調製 スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸共重合体(モ
ノマー比70:20:10)80部、ポリスチレン10
部、カーボンブラック〔商品名;MA−100、三菱化
成(株)製〕10部を混合し、熱ロールミルで溶融混練
して冷却した後、ハンマーミルで粗粉砕し、更にジェッ
トミルで微粉砕し、風力分級機で分級を行なって熱可塑
性黒色樹脂粒状体Aを得た。前記熱可塑性黒色樹脂粒状
体Aの平均粒子径は8.2μmであり2μm〜20μm
の範囲に全粒状体の78重量%が含まれるものであり、
軟化点は130℃、MI値は3.0であった。
【0065】粘着性樹脂粒状体の調製 撹拌機付きセパラブルフラスコ(2リットル)に水60
0部を入れ、更にラウリル硫酸ナトリウム0.2部、メ
チルセルロース(商品名メトローズ90SH−100、
信越化学(株)製)20部を溶解して分散媒とした。前
記分散媒にブチルアクリレート120部、メタクリル酸
メチル10部、エチレングリコールジメタクリレート2
部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0部か
らなる油相溶液を加え、400rpmの回転数で平均粒
子径が約6μmとなるよう撹拌を続けた。ついで、窒素
雰囲気下で懸濁液を70℃に昇温して撹拌を6時間続け
て懸濁重合を行なった。その後室温まで冷却し、水10
00部を加えて希釈した後、遠心分離法によって固液分
離し、水で固形分を40%に調製して粘着性樹脂粒状体
分散液Aを得た。前記粘着性樹脂粒状体分散液A中の粒
状体の平均粒子径は5.8μmであり、粒子は2μm〜
20μmの範囲に全粒状体の85重量%が含まれるもの
であった。
【0066】インキ組成物の調製 熱可塑性黒色樹脂粒状体A20部、粘着性樹脂粒状体分
散液A10部、エチレングリコール10.0部、浸透剤
〔商品名:アセチノールEH、川研ファインケミカル
(株)製〕0.3部、シリコーン変性消泡剤0.1部、
水59.6部を混合しディスパーにて均質になるまで撹
拌してインキ組成物を得た。得られたインキ組成物の粘
度は6.7mPa・s(ELD型粘度計、25℃)であ
った。
【0067】実施例2 熱可塑性着色樹脂粒状体の調製 ポリオキシプロピレン(2・2)−2・2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン2000部及びグリセリ
ン28部を、撹拌棒、温度計、導入管、コンデンサーを
備えた4つ口丸底フラスコに投入した後、導入管より窒
素ガスを導入してフラスコ内を窒素雰囲気に保った。前
記フラスコをマントルヒーターで加熱して混合物を52
℃まで昇温させた後、フマル酸750部、ハイドロキノ
ン1.2部を添加し、更に200℃まで加熱して反応水
を除去しつつ約10時間反応を続けた。前記混合物を室
温まで冷却し、固液分離後乾燥して熱可塑性のポリエス
テル樹脂を得た。前記ポリエステル樹脂100部、フタ
ロシアニン系青色有機顔料〔商品名ファーストゲンブル
ー5007、大日本インキ(株)製〕20部を混合し、
熱ロールミルで溶融混練して冷却した後、ハンマーミル
で粗粉砕し、更にジェットミルで微粉砕し、風力分級機
で分級を行なって熱可塑性青色樹脂粒状体Bを得た。前
記のようにして得られた熱可塑性青色樹脂粒状体Bの平
均粒子径は6.3μmであり2μm〜10μmの範囲に
全粒状体の96.0重量%が含まれるものであり、軟化
点は140℃、MI値は2.0であった。
【0068】粘着性樹脂粒状体の調製 実施例1の粘着性樹脂粒状分散液Aの油相溶液を2−エ
チルヘキシルアクリレート110部、ブチルメタクリレ
ート20部、ジビニルベンゼン1部、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル2部とする以外は実施例1と同様
の手順で反応を行った。但し、回転数を500rpmに
して平均粒子径が4μmとなるように調整した。得られ
た粘着性樹脂粒状体の固形分を水で40%に調整して粘
着性樹脂粒状体分散液Bを得た。前記粘着性樹脂粒状体
分散液B中の粒状体の平均粒子径は4.2μmであり、
粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の98重量%
が含まれるものであった。
【0069】インキ組成物の調製 熱可塑性青色樹脂粒状体B20部、粘着性樹脂粒状体分
散液B7部、エチレングリコール10部、尿素5部、シ
リコーン変性消泡剤0.1部、防腐剤(商品名:プロキ
セルXL−2、ゼネカ製)1部、サクシノグリカン(有
機酸修飾ヘテロ多糖体、平均分子量約100万乃至80
0万)0.2部、リン酸エステル系界面活性剤〔商品
名:プライサーフM208B、第一工業製薬(株)製〕
0.2部、ポリオキシラウリルエーテル硫酸トリエタノ
ールアミン塩〔商品名:SBL−4T、日光ケミカルズ
(株)製〕1部、水55.5部を混合しディスパーにて
均質になるまで撹拌してインキ組成物を得た。得られた
インキ組成物の粘度(25℃、EMD型粘度計による1
00rpmでの粘度)は53mPa・sであり、剪断減
粘指数(n)は0.251であった。
【0070】実施例3 熱可塑性着色樹脂粒状体の調製 セパラブルフラスコ(2リットル)に水600部を投入
し、更にラウリル硫酸ナトリウム0.2部、メチルセル
ロース〔商品名:メトローズ90SH−100(信越化
学(株)製〕20部を加えて分散媒とした。前記分散媒
に赤色有機顔料(商品名:CINQUASIA Sca
rletRT−787−D、チバガイギー社製)20
部、スチレン115部、ブチルアクリレート25部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.05部、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3部、トルエン
30部からなる油相溶液を加え、400rpmで平均粒
子径が約6μmの液滴となるよう撹拌を続けた。つい
で、窒素雰囲気下で懸濁液を70℃に昇温して撹拌を6
時間続けて懸濁重合を行った。100℃まで昇温してト
ルエン及び残存モノマーを共沸留去した後、室温まで冷
却して2000部の水を加えて洗浄して遠心分離によっ
て固液分離した後、水で固形分を調整して固形分50%
の熱可塑性赤色樹脂粒状体分散液Cを得た。前記熱可塑
性赤色樹脂粒状体分散液C中の粒状体の平均粒子径は
6.1μmであり、粒子は2μm〜10μmの範囲に全
粒状体の85重量%が含まれるものであり、軟化点14
6℃、MI値2.0であった。
【0071】粘着性樹脂粒状体の調製 実施例1の粘着性樹脂粒状体分散液Aの油相をブチルア
クリレート78部、エチルメタクリレート52部、t−
ブチルパーオキピバレート1部とする以外は実施例1と
同様の手順で反応を行った。但し回転数を500rpm
として平均粒子径が4μmとなるように調整した。得ら
れた粘着性樹脂粒状体の固形分を水で40%に調整して
粘着性樹脂粒状体分散液Cを得た。前記粘着性樹脂粒状
体分散液C中の粒状体の平均粒子径は4.8μmであ
り、粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の90重
量%が含まれるものであった。
【0072】インキ組成物の調製 エチレングリコール10部にスルホコハク酸ジオクチル
ナトリウム〔商品名:OTP−100、日光ケミカルズ
(株)製〕5.2部、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメ
チルアミノ酢酸ベタイン〔商品名:AM−3130N、
日光ケミカルズ(株)製〕7.7部を加えた後、ディス
パーにて撹拌しながら熱可塑性赤色樹脂粒状体分散液C
36部、粘着性樹脂粒状体分散液C8部、水32.5部
を添加し、更にシリコーン変性消泡剤0.1部、防腐剤
(商品名:プロキセルXL−2、ゼネカ製)0.5部を
加え、撹拌してインキ組成物を得た。得られたインキ組
成物の粘度(25℃、EMD型粘度計による100rp
mでの粘度)は81mPa・sであり、剪断減粘指数
(n)は0.283であった。
【0073】実施例4 粘着性樹脂粒状体の調製 実施例1の粘着性樹脂粒状体分散液Aの油相をブチルア
クリレート95部、メタクリル酸メチル31部、エチレ
ングリコールジメタクリレート6部、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル2部とする以外は実施例1と同様
の手順で反応を行った。但し回転数を600rpmとし
て平均粒子径が3μmとなるように調整した。 得られ
た粘着性樹脂粒状体の固形分を水で40%に調整して粘
着性樹脂粒状体分散液Dを得た。前記粘着性樹脂粒状体
分散液D中の粒状体の平均粒子径は3.6μmであり、
粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の87重量%
が含まれるものであった。
【0074】インキ組成物の調製 熱可塑性黒色樹脂粒状体A10部、粘着性樹脂粒状体分
散液D25部、エチレングリコール6部、グリセリン6
部、シリコーン変性消泡剤0.1部、防腐剤(商品名:
プロキセルXL−2、ゼネカ製)1部、サクシノグリカ
ン(有機酸修飾ヘテロ多糖体、平均分子量約100万乃
至800万)0.28部、分散剤〔商品名:ニッコール
NP−15、日光ケミカルズ(株)製〕2部、水49.
6部を混合しディスパーにて均質になるまで撹拌してイ
ンキ組成物を得た。得られたインキ組成物の粘度(25
℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘度)は5
7mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は0.261
であった。
【0075】実施例5 粘着性着色樹脂粒状体分散液の調製 セパラブルフラスコ(2リットル)に水480部を入
れ、更にポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセノール
GL−03、日本合成(株)製〕20部を溶解して分散
媒とした。前記分散媒にカーボンブラック(商品名:P
rintex L、デグサ社製)8部、ブチルアクリレ
ート45部、スチレン45部、ジビニルベンゼン2部、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2部からなる油
相溶液を加え、400rpmの回転数で平均粒子径が約
8μmとなるよう撹拌を続けた。ついで、400rpm
で平均粒子径が約6μmの液滴となるよう撹拌を続け、
更に窒素雰囲気下で懸濁液を70℃に昇温して撹拌を6
時間続けて懸濁重合を行った。室温まで冷却して水10
00部を加えて希釈し、遠心分離法によって固液分離し
た後、水で固形分を50%に調整して粘着性黒色樹脂粒
状体分散液Aを得た。前記粘着性黒色樹脂粒状体分散液
A中の粒状体の平均粒子径は9.1μmであり、粒子は
2μm〜20μmの範囲に全粒状体の82重量%が含ま
れるものであった。
【0076】熱可塑性樹脂粒状体の調製 ポリオキシプロピレン(2・2)−2・2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン2000部及びポリオキ
シプロピレン(6)ソルビトール45部を、撹拌棒、温
度計、導入管、コンデンサーを備えた4つ口丸底フラス
コに投入した後、導入管より窒素ガスを導入してフラス
コ内を窒素雰囲気に保った。前記フラスコをマントルヒ
ーターで加熱して混合物を52℃まで昇温させた後、フ
マル酸730部、ハイドロキノン1.2部を添加し、更
に200℃まで加熱して反応水を除去しつつ約10時間
反応を続けた。前記混合物を室温まで冷却し、固液分離
した後充分に乾燥させ、ハンマーミルで粗粉砕し、更に
ジェットミルで微粉砕した後、風力分級機で分級を行な
って熱可塑性樹脂粒状体Aを得た。前記のようにして得
られた熱可塑性樹脂粒状体Aの平均粒子径は7.4μm
であり2μm〜20μmの範囲に全粒状体の78重量%
が含まれるものであり、軟化点は130℃、MI値は
6.0であった。
【0077】インキ組成物の調製 粘着性黒色樹脂粒状体分散液A40部、熱可塑性樹脂粒
状体A8部、エチレングリコール10部、浸透剤〔商品
名:アセチノールEH、川研ファインケミカル(株)
製〕0.3部、シリコーン変性消泡剤0.1部、水4
1.6部を混合しディスパーで均質になるまで撹拌して
インキ組成物を得た。得られたインキ組成物の粘度は
7.2mPa・s(ELD型粘度計、25℃)であっ
た。
【0078】実施例6 粘着性着色樹脂粒状体の調製 セパラブルフラスコ(2リットル)に水475部を入
れ、更にポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセノール
GL−03、日本合成(株)製〕25部を加えて分散媒
とした。前記分散媒に赤色有機顔料(商品名:CINQ
UASIA ScarletRT−787−D、チバガ
イギー社製)11部、ブチルアクリレート80部、メチ
ルメタクリレート4部、エチレングリコールジメタクリ
レート5部、t−ブチルパーオキシピバレート2部から
なる油相溶液を加え、400rpmで平均粒子径が約6
μmの液的となるよう撹拌を続けた。ついで、窒素雰囲
気下で懸濁液を70℃に昇温して撹拌を6時間続けて懸
濁重合を行った。室温まで冷却して水1000部を加え
て希釈し、遠心分離法によって固液分離した後、水で固
形分を50%に調整して粘着性赤色樹脂粒状体分散液B
を得た。前記粘着性赤色樹脂粒状体分散液B中の粒状体
の平均粒子径は5.8μmであり、粒子は2μm〜10
μmの範囲に全粒状体の97重量%が含まれるものであ
った。
【0079】熱可塑性樹脂粒状体の調製 セパラブルフラスコ(2リットル)に水600部を入
れ、更にラウリル硫酸ナトリウム0.2部、メトローズ
90SH−100(信越化学(株)製、メチルセルロー
ス)20部を加えて分散媒とした。前記分散媒にスチレ
ン134部、アクリル酸ブチル6部、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル3部からなる混合物を加え、40
0rpmで平均粒子径が約6μmの液滴となるよう撹拌
を続けた。ついで、窒素雰囲気下で懸濁液を70℃に昇
温して撹拌を6時間続けて懸濁重合を行った。室温まで
冷却して2000部の水を加えて洗浄し、遠心分離によ
って固液分離した後、水で固形分を調整して固形分50
%の熱可塑性樹脂粒状体分散液Bを得た。前記熱可塑性
樹脂粒状体分散液B中の粒状体の平均粒子径は6.4μ
mであり、粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の
93重量%が含まれるものであり、軟化点は125℃、
MI値は15.0であった。
【0080】インキ組成物の調製 粘着性赤色樹脂粒状体分散液B36部、熱可塑性樹脂粒
状体分散液B10部、エチレングリコール10部、尿素
5部、シリコーン変性消泡剤0.1部、防腐剤(商品
名:プロキセルXL−2、ゼネカ製)1部、サクシノグ
リカン(有機酸修飾ヘテロ多糖体、平均分子量約100
万乃至800万)0.2部、リン酸エステル系界面活性
剤〔商品名:プライサーフM208B、第一工業製薬
(株)製〕0.2部、ラウリル硫酸ナトリウム〔商品
名:SLS、日光ケミカルズ(株)製〕1部、水36.
5部を混合しディスパーにて均質になるまで撹拌してイ
ンキ組成物を得た。得られたインキ組成物の粘度(25
℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘度)は5
1mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は0.224
であった。
【0081】実施例7 粘着性着色樹脂粒状体の調製 セパラブルフラスコ(2リットル)に水485部を入
れ、更にラウリル硫酸ナトリウム0.2部、メトローズ
90SH−100(信越化学(株)製、メチルセルロー
ス)15部を加えて分散媒とした。前記分散媒にカーボ
ンブラック(商品名:Printex L、デグサ社
製)10部、ブチルアクリレート81部、メチルメタク
リレート5.4部、エチレングリコールジメタクリレー
ト3.6部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2
部からなる着色組成物を加え、400rpmで平均粒子
径が約5μmとなるよう撹拌を続け、窒素雰囲気下で懸
濁液を70℃に昇温して撹拌を6時間続けて懸濁重合を
行った。室温まで冷却して水1000部を加えて希釈
し、遠心分離法によって固液分離した後、水で固形分を
50%に調整して粘着性黒色樹脂粒状体分散液Cを得
た。前記粘着性黒色樹脂粒状体分散液C中の粒状体の平
均粒子径は5.4μmであり、粒子は2μm〜10μm
の範囲に全粒状体の84重量%が含まれるものであっ
た。
【0082】インキ組成物の調製 実施例3の熱可塑性赤色樹脂粒状体分散液C、粘着性樹
脂粒状体分散液C、水を、粘着性黒色樹脂粒状体分散液
C36部、熱可塑性樹脂粒状体分散液B16部、水2
4.5部とする以外は実施例3と同様にしてインキ組成
物を得た。得られたインキ組成物の粘度(25℃、EM
D型粘度計による100rpmでの粘度)は79mPa
・sであり、剪断減粘指数(n)は0.291であっ
た。
【0083】比較例1 熱可塑性着色樹脂粒状体の調製 実施例1の熱可塑性黒色樹脂粒状体Aを更に微粉砕して
熱可塑性黒色樹脂粒状体A’を得た。前記のようにして
得られた熱可塑性黒色樹脂粒状体A’の平均粒子径は
3.0μmであり2μm未満に全粒状体の39重量%を
含み、2μm〜20μmの範囲に全粒状体の61重量%
が含まれるものであり、軟化点は130℃、MI値は
9.0であった。
【0084】インキ組成物の調製 実施例1の熱可塑性黒色樹脂粒状体Aにかえて熱可塑性
黒色樹脂粒状体A’を用いる以外は実施例1と同様の配
合、同様の方法にてインキ組成物を得た。得られたイン
キ組成物の粘度は7.1mPa・s(ELD型粘度計、
25℃)であった。
【0085】比較例2 実施例2の粘着性樹脂粒状体分散液Bにかえてアクリル
エマルジョン〔商品名:ボンコートST−372、大日
本インキ化学工業(株)製、固形分40%、平均粒子径
0.2μm、2μm〜10μmの範囲に2重量%を含
む〕を用いる以外は実施例2と同様の配合、同様の方法
にてインキ組成物を得た。得られたインキ組成物の粘度
(25℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘
度)は52mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は
0.248であった。
【0086】比較例3 実施例2の熱可塑性青色樹脂粒状体Bにかえて、黒色熱
硬化性樹脂粒状体〔商品名:アートパールC−800、
根上工業(株)製、平均粒子径6.1μm、2μm〜1
0μmの範囲に87重量%を含む〕を用いる以外は実施
例2と同様の配合、同様の方法にてインキ組成物を得
た。得られたインキ組成物の粘度(25℃、EMD型粘
度計による100rpmでの粘度)は54mPa・sで
あり、剪断減粘指数(n)は0.254であった。
【0087】比較例4 熱可塑性を有する着色樹脂粒状体の調製 実施例3の熱可塑性赤色樹脂粒状体分散液Cの調製に用
いたスチレン115部、アクリル酸ブチル25部、1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート0.05部をスチ
レン112部、アクリル酸ブチル28部、ジビニルベン
ゼン0.6部とする以外は実施例2と同様の方法で固形
分40重量%の熱可塑性赤色樹脂粒状体分散液C’を得
た。前記赤色樹脂粒状体分散液C’中の粒状体の平均粒
子径は5.8μmであり、粒子は2μm〜10μmの範
囲に全粒状体の92重量%が含まれるものであり、軟化
点は210℃、MI値は0.05であった。
【0088】インキ組成物の調製 実施例3の熱可塑性赤色樹脂粒状体分散液C36部を熱
可塑性赤色樹脂粒状体C’36部とする以外は実施例3
と同様の配合、同様の方法にてインキ組成物を調製し
た。得られたインキ組成物は粘度(25℃、EMD型粘
度計による100rpmでの粘度)85mPa・sであ
り、剪断減粘指数(n)は0.292であった。
【0089】比較例5 実施例5で作成した粘着性黒色樹脂粒状体分散液Aを高
速撹拌により約2μmの液滴とした以外は同様の方法に
より固形分50重量%の粘着性黒色樹脂粒状体分散液
A’を得た。得られた粒状体の平均粒子径は2.1μm
であり、粒子は2μm未満の粒子を45重量%含んでお
り、2μm〜20μmの範囲に全粒状体の55重量%が
含まれるものであった。
【0090】インキ組成物の調製 実施例5の粘着性黒色樹脂粒状体分散液A40部を粘着
性黒色樹脂粒状体分散液A’40部に替える以外は実施
例4と同様にしてインキ組成物を得た。得られたインキ
組成物の粘度は7.9mPa・s(ELD型粘度計、2
5℃)であった。
【0091】比較例6 熱可塑性樹脂粒状体の調製 実施例6で作成した熱可塑性樹脂粒状体分散液Bを高速
撹拌により約2μmの液滴とした以外は同様の方法によ
り固形分50重量%の熱可塑性樹脂粒状体分散液B’を
得た。前記樹脂粒状体分散液B’中の粒状体の平均粒子
径は2.2μmであり粒子は2μm未満の粒子を47重
量%含んでおり、2μm〜10μmの範囲に全粒状体の
53重量%が含まれるものであり、軟化点は125℃、
MI値は15.0であった。
【0092】インキ組成物の調製 実施例6の熱可塑性樹脂粒状体分散液B10部を、熱可
塑性樹脂粒状体分散液B’10部に替える以外は実施例
6と同様にしてインキ組成物を得た。得られたインキ組
成物の粘度(25℃、EMD型粘度計による100rp
mでの粘度)は58mPa・sであり、剪断減粘指数
(n)は0.241であった。
【0093】比較例7 熱可塑性樹脂粒状体の調製 実施例6の熱可塑性樹脂粒状体分散液Bの調製に用いた
スチレン134部、ブチルアクリレート6部をスチレン
136部、ブチルアクリレート4部、ジビニルベンゼン
0.08部とする以外は実施例6と同様の方法で固形分
50重量%の熱可塑性樹脂粒状体分散液B”を得た。前
記樹脂粒状体分散液B”中の粒状体の平均粒子径は6.
7μmであり、粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状
体の91重量%が含まれるものであり、軟化点は190
℃、MI値は0.3であった。
【0094】インキ組成物の調製 実施例7の熱可塑性樹脂粒状体分散液B16部を熱可塑
性樹脂粒状体分散液B”16部に替える以外は実施例7
と同様にしてインキ組成物を得た。得られたインキ組成
物の粘度(25℃、EMD型粘度計による100rpm
での粘度)は83mPa・sであり、剪断減粘指数
(n)は0.298であった。
【0095】試料マーキングペンの作成 実施例1、5比較例1、5のインキ組成物をアルミニウ
ム製軸筒内に弁機構を有し、筆記先端部に設けた繊維チ
ップを筆記面に押しつけて前記弁を開き、軸筒内のイン
キをチップに導出するタイプのマーキングペンに各々充
填して試料マーキングペンとした。
【0096】試料ボールペンの作成 実施例2、3、6、7及び比較例2、3、4、6、7の
インキ組成物を直径0.7mmの超硬合金ボールを抱持す
るステンレススチール製チップがポリプロピレン製軸筒
一端に嵌着されたボールペンに充填し、更に、前記イン
キ後端面に密接させてインキ逆流防止体(シリコーング
リース系)を充填して遠心処理を施した後、尾栓を嵌着
するタイプのボールペンに各々充填して試料ボールペン
とした。実施例4については、インキ組成物を直径0.
6mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製
チップがポリプロピレン製軸筒一端に嵌着されたボール
ペンに充填し、更に、前記インキ後端面に密接させてイ
ンキ逆流防止体(ポリブテン系)を充填して遠心処理を
施した後、尾栓を嵌着するタイプのボールペンに充填し
て試料ボールペンとした。
【0097】消去性試験、耐軽擦過性試験及び加熱定着
性試験 前記各試料ペンを用いてレポート用紙(コクヨ製、品番
レ−116AN)の紙面に直径約2cmの円を連続して
描き、得られた筆跡を筆記から5秒後及び1日後に消し
ゴム〔シードゴム工業(株)製、商品名:STAR R
adar〕の端面(面積1.7cm2 )に2.0kgの
加重をかけて10回擦過して消去性を目視により観察し
た。耐軽擦過性については、筆跡を1時間放置した後、
ろ紙(ADVANTEC製、No.2ろ紙)を平滑面が
筆跡側になるように載置し、その上方から45.5g/
cm2 の荷重をかけて10回スライドさせて、耐軽擦過
性を目視により観察した。加熱定着性については、レポ
ート用紙(コクヨ製、品番レ−116AN)の紙面に直
径約2cmの円を連続して描き、複写機(キャノン製、
NP6045)の複写紙吸入口(手差しトレイ)にセッ
トし、原稿台上に原稿を置かない状態で複写の操作を行
なうことにより、前記筆跡を描いた紙が複写機内の熱ロ
ーラー部と接触するようにして加熱を行なった。前記加
熱後の紙面上の筆跡を消しゴム〔シードゴム工業(株)
製、商品名:STAR Radar〕の端面(面積1.
7cm2 )に2.0kgの加重をかけて10回擦過して
定着性を目視により観察した。以下の表に実施例及び比
較例の消去性試験、耐軽擦過性試験及び加熱定着性試験
結果、筆記具の形態、筆跡の色調を示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】表中の消去性試験、耐軽擦過性試験、加熱
定着性試験の判定記号は以下のとおりである。 消去性試験 ○:容易に消去できる。 ×:10回までの擦過では消去できない。 耐軽擦過性試験 ○:殆ど筆跡が剥離しない。 △:やや筆跡が剥離するものの、筆跡を十分に判別でき
る。 ×:殆ど筆跡が剥離して判別できない。 加熱定着性試験 〇:殆ど筆跡が剥離しない。 △:やや筆跡が剥離するものの、筆跡を十分に判別でき
る。 ×:殆ど筆跡が剥離して判別できない。
【0101】
【発明の効果】本発明は、粒子分布が2μm〜20μm
の範囲に70重量%以上含まれる着色樹脂粒状体と粘着
性樹脂粒状体、或いは、粘着性着色樹脂粒状体及び熱可
塑性樹脂粒状体を媒体中に分散させたインキ組成物であ
って、適用する各粒状体の紙内部への浸透性が極めて低
く、しかも、粘着性樹脂粒状体又は粘着性着色樹脂粒状
体は消しゴム消去性と耐軽擦過性の両方の性質を同時に
満たす粘着性を有するため、紙に筆記して得られる筆跡
が消しゴムで容易に消去できる。しかも、前記筆跡は通
常の指や紙同士の擦過程度では消去されない筆跡保持性
を共に満足させることができ、更には、加熱によって消
しゴムの擦過によって消去されない筆跡とすることが可
能な、永久定着性を有する筆記用消しゴム消去性水性イ
ンキ組成物及びそれを内蔵した筆記具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成
物を用いて筆記した筆跡の拡大縦断面説明図である。
【図2】図1の筆跡を加熱処理した後の拡大縦断面説明
図である。
【図3】本発明の他の筆記用消しゴム消去性水性インキ
組成物を用いて筆記した筆跡の拡大縦断面説明図であ
る。
【図4】図3の筆跡を加熱処理した後の拡大縦断面説明
図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性着色樹脂粒状体 2 粘着性樹脂粒状体 3 粘着性着色樹脂粒状体 4 熱可塑性樹脂粒状体

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒
    状体と水とから少なくともなり、前記熱可塑性着色樹脂
    粒状体及び粘着性樹脂粒状体の粒子分布がいずれも2〜
    20μmの範囲に70重量%以上含まれることを特徴と
    する筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性着色樹脂粒状体は、軟化点
    が60〜180℃であり、メルトフローインデックス
    (MI)値が0.1〜30である請求項1記載の筆記用
    消しゴム消去性水性インキ組成物。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性着色樹脂粒状体は、着色剤
    とラジカル重合性モノマーとから少なくともなる重合性
    組成物を懸濁重合条件下において重合した粒状体である
    請求項1又は2記載の筆記用消しゴム消去性水性インキ
    組成物。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性着色樹脂粒状体は、熱可塑
    性樹脂と着色剤を溶融混合し、粉砕法によって粉砕した
    粒状体である請求項1又は2記載の筆記用消しゴム消去
    性水性インキ組成物。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性着色樹脂粒状体を形成する
    着色剤と熱可塑性樹脂の重量比率が、着色剤1に対して
    熱可塑性樹脂が2〜40である請求項1乃至4記載のい
    ずれかの筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  6. 【請求項6】 前記粘着性樹脂粒状体は、懸濁重合法、
    分散重合法、シード重合法から選ばれる重合法により調
    製された粒状体である請求項1記載の筆記用消しゴム消
    去性水性インキ組成物。
  7. 【請求項7】 熱可塑性着色樹脂粒状体を5〜30重量
    %、粘着性樹脂粒状体を0.5〜15重量%含んでな
    り、且つ、熱可塑性着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状体
    の重量比率が100:2〜200である請求項1乃至6
    記載のいずれかの筆記用消しゴム消去性水性インキ組成
    物。
  8. 【請求項8】 前記粘着性樹脂粒状体は、紙面上に形成
    された乾燥後の筆跡中で粒子相互間及び粒子と紙面との
    間で点接着状態で存在してなり、加熱により熱可塑性着
    色樹脂粒状体が溶融して筆跡が紙面に定着する請求項1
    乃至7記載のいずれかの筆記用消しゴム消去性水性イン
    キ組成物。
  9. 【請求項9】 着色剤と粘着性樹脂とからなる表面の少
    なくとも一部が粘着性を有する粘着性着色樹脂粒状体と
    熱可塑性樹脂粒状体と水とから少なくともなり、前記粘
    着性着色樹脂粒状体及び熱可塑性樹脂粒状体の粒子分布
    がいずれも2〜20μmの範囲に70重量%以上含まれ
    ることを特徴とする筆記用消しゴム消去性水性インキ組
    成物。
  10. 【請求項10】 前記粘着性着色樹脂粒状体は、着色剤
    とラジカル重合性モノマーとから少なくともなる重合性
    組成物を懸濁重合条件下において重合した微粒状体であ
    る請求項9記載の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成
    物。
  11. 【請求項11】 前記熱可塑性樹脂粒状体は、軟化点が
    60〜180℃であり、メルトフローインデックス(M
    I)値が0.1〜30である請求項9又は10記載の筆
    記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性樹脂粒状体は、ラジカル
    重合性モノマーを懸濁重合、分散重合、シード重合から
    選ばれる重合法により調製された粒状体である請求項9
    乃至11記載のいずれかの筆記用消しゴム消去性水性イ
    ンキ組成物。
  13. 【請求項13】 前記熱可塑性樹脂粒状体は、熱可塑性
    樹脂を粉砕法によって粉砕した粒状体である請求項9乃
    至11記載のいずれかの筆記用消しゴム消去性水性イン
    キ組成物。
  14. 【請求項14】 前記粘着性着色樹脂粒状体を形成する
    着色剤と粘着性樹脂の重量比率が、着色剤1に対して粘
    着性樹脂が2〜40である請求項9乃至13記載のいず
    れかの筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  15. 【請求項15】 前記粘着性着色樹脂粒状体を5〜30
    重量%、熱可塑性樹脂粒状体を1〜15重量%含んでな
    り、且つ、粘着性着色樹脂粒状体と熱可塑性樹脂粒状体
    の重量比率が100:2〜50である請求項9乃至14
    記載のいずれかの筆記用消しゴム消去性水性インキ組成
    物。
  16. 【請求項16】 前記粘着性着色樹脂粒状体は、紙面上
    に形成された乾燥後の筆跡中で粒子相互間及び粒子と紙
    面との間で点接着状態で存在してなり、加熱により熱可
    塑性樹脂粒状体が溶融して筆跡が紙面に定着する請求項
    9乃至15記載のいずれかの筆記用消しゴム消去性水性
    インキ組成物。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至16記載のいずれかの筆
    記用消しゴム消去性水性インキ組成物を内蔵してなるマ
    ーキングペン。
  18. 【請求項18】 剪断減粘性付与剤を含んでなり、10
    0rpmでの粘度が25〜160mPa・s(EMD型
    粘度計25℃の値)であり、且つ、剪断減粘指数が0.
    1〜0.7を示す請求項1乃至16記載のいずれかのボ
    ールペン筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  19. 【請求項19】 インキ組成物中に含まれる全粒状体の
    粒子分布が2μm〜10μmの範囲に80重量%以上含
    まれる請求項18記載のボールペン筆記用消しゴム消去
    性水性インキ組成物。
  20. 【請求項20】 粘着性樹脂粒状体又は粘着性着色樹脂
    粒状体の安定化剤を含んでなる請求項18又は19記載
    のボールペン筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  21. 【請求項21】 請求項18乃至20記載のいずれかの
    ボールペン筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を内
    蔵してなるボールペン。
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