JP2001010693A - 基板輸送容器 - Google Patents

基板輸送容器

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JP2001010693A
JP2001010693A JP11182128A JP18212899A JP2001010693A JP 2001010693 A JP2001010693 A JP 2001010693A JP 11182128 A JP11182128 A JP 11182128A JP 18212899 A JP18212899 A JP 18212899A JP 2001010693 A JP2001010693 A JP 2001010693A
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JP
Japan
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substrate
thermoplastic polyester
expanded particles
container body
container
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Application number
JP11182128A
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English (en)
Inventor
Yoshio Hirobe
義男 広部
Takaaki Hirai
孝明 平井
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Plastics Co Ltd filed Critical Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量でかつ緩衝機能や耐薬品性にすぐれると
ともに高強度で、しかも耐摩耗性にもすぐれるため粉塵
の発生を抑制することが可能な、新規な基板輸送容器を
提供する。 【解決手段】 基板輸送容器のうち容器本体1の、少な
くとも、基板Sと直接に接触する基板保持部12を、熱
可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成
形により、摩耗度が、0.1g/100cm2以下の範
囲内となるように形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板を衝撃やほこ
り、静電気などから保護しつつ輸送するための基板輸送
容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえばガラス基板(素板ガラス、また
はこの素板ガラスの表面に電極、回路素子、フィルタ層
などを積層するなどして形成された、液晶表示用、プラ
ズマ表示用、蛍光表示用、サーマルヘッド用、カラーフ
ィルタ用などの各種用途用のガラス基板)、ハイブリッ
ドIC用セラミックス基板、半導体ウエハ、各種ボード
用基板や、あるいはこれらの基板を用いて製造された液
晶表示パネル、プラズマ表示パネルその他の中間部品や
完成品など(以下、これらを総称して「基板」とする)
を、衝撃やほこりや静電気などから保護しつつ輸送する
ために、容器本体と蓋体とを備えた基板輸送容器が多用
されている。
【0003】上記容器本体や蓋体としては従来、合成樹
脂の射出成形体やその組み立て体などの、非発泡あるい
は低発泡のものが一般的に使用されてきた。しかし近
時、上記液晶表示パネルなどの、輸送すべき基板の大型
化にともなって容器自体も大型化する傾向にあり、とく
にその重量の増加が、輸送作業などの妨げとなりつつあ
るため、基板輸送容器のとくに容器本体を、合成樹脂の
高発泡の発泡成形体で形成して軽量化することが検討さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、合成樹脂の
発泡成形体として現在、最も汎用されている、ポリスチ
レン樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して製造される
発泡成形体は耐薬品性が悪いために、たとえば有機溶剤
などを用いて洗浄することができず、繰り返し使用でき
ないという問題がある。
【0005】そこでポリスチレン樹脂に比べて耐薬品性
がよいと考えられているポリエチレン、ポリプロピレン
などのポリオレフィン系樹脂の発泡成形体、好ましくは
ポリオレフィン系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形し
て形成された発泡成形体によって、基板輸送容器のとく
に容器本体を形成することが検討された。たとえば特許
第2552625号公報には、容器本体および蓋体の全
体を、それぞれポリオレフィン系樹脂の予備発泡粒子の
型内発泡成形によって形成するとともに、上記容器本体
および蓋体の内表面および外表面に、それぞれ内部の発
泡層よりも緻密な、すなわち発泡倍率の低いスキン層を
形成して、当該表面を強化した基板輸送容器が記載され
ている。
【0006】しかし一般に、ポリオレフィン系樹脂の発
泡成形体は耐摩耗性が不十分で、たとえば基板の角など
の鋭利な部位によって繰り返し、切り裂くような衝撃を
受けると摩耗による粉塵が多量に発生するという問題が
あり、たとえ上記のようにスキン層を形成してその表面
を強化、補強しても、かかる粉塵の発生を十分に抑制で
きていないのが現状であった。
【0007】ちなみに発明者らが、発泡成形体の耐摩耗
性を、下記に規定した摩耗度M(g/100cm2)で
評価したところ、上記ポリオレフィン系樹脂の発泡成形
体は、後述する比較例の結果から明らかなように、かか
る摩耗度Mが0.1g/100cm2を超えており、多
量の粉塵を発生することが判明した。 摩耗度M:直径13cmの円形状とされた180番の紙
やすりを、5kgの荷重をかけつつ、それより広い平ら
な試料平面に圧接しながら、円の中心を回転中心として
30rpmの回転速度で100回転させて摩耗させた際
の摩耗量(g)を、摩耗面積100cm2あたりに換算
した数値。
【0008】本発明の目的は、軽量でかつ緩衝機能や耐
薬品性などにすぐれた合成樹脂の発泡成形体にて形成さ
れ、しかも耐摩耗性にもすぐれるため、粉塵の発生をこ
れまでよりもさらに低減することが可能な、新規な基板
輸送容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは、発泡成形体を形成する原料としての合
成樹脂について種々検討を行った。その結果、たとえば
テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合反応させ
るなどして合成されるポリエチレンテレフタレート(P
ET)に代表される、熱可塑性ポリエステル系樹脂の発
泡成形体が、軽量でかつ緩衝機能や耐薬品性などにすぐ
れる上、耐摩耗性にとくにすぐれており、基板の角など
の鋭利な部位によって繰り返し、切り裂くような衝撃を
受けても、粉塵の発生をこれまでよりもさらに低減でき
ることがわかった。
【0010】すなわち上記熱可塑性ポリエステル系樹脂
の発泡成形体の耐摩耗性を、前述した摩耗度Mで評価す
ると0.1g/100cm2以下の範囲内であり、これ
までよりも粉塵の発生を抑制できることが確認された。
したがって本発明は、内部に設けた基板保持部によって
基板を保持しつつ輸送するための容器本体を備えた基板
輸送容器であって、上記容器本体のうち少なくとも基板
保持部が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子
を型内発泡成形して形成された、下記式: 摩耗度M≦0.1g/100cm2 〔ただし摩耗度Mは、直径13cmの円形状とされた1
80番の紙やすりを、5kgの荷重をかけつつ、それよ
り広い平らな試料平面に圧接しながら、円の中心を回転
中心として30rpmの回転速度で100回転させて摩
耗させた際の摩耗量(g)を、摩耗面積100cm2
たりに換算した値である〕を満足する発泡成形体からな
ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】〈基板輸送容器〉以下に本発明の
基板輸送容器を、その実施の形態の一例を示す図面を参
照しつつ説明する。まず、図1および図2に示した例の
基板輸送容器について説明する。
【0012】これらの図にみるようにこの例の基板輸送
容器は、基板Sを1枚ないし複数枚、保持しつつ輸送す
るための容器本体1と、当該容器本体1の上部の開口1
aを塞いで、容器を密閉するための蓋体2とを備えてい
る。このうち容器本体1は、その全体が、前記のように
熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡
成形して一体に形成されたもので、 ・ 矩形状の底板10と、 ・ この底板10の4辺から上方へ立ち上げられた、そ
れぞれ矩形状の4枚の側板11a〜11dと、 ・ 当該側板11a〜11dのうち短辺側の側板11
a、11cの内面から底板10の上面にかけての角部
に、これらの部材と一体に設けられた、基板Sを保持す
るための、断面略L字状の一対の基板保持部12、12
とを備えるとともに、その上部に前記開口1aを有する
直方体状に形成されている。
【0013】また、上記のうち各基板保持部12はそれ
ぞれ、側板11a(または11c)の内面に、当該側板
と一体に形成された、「L字」の縦軸に相当する側部1
2aと、底板10の上面に、当該底板と一体に形成され
た、「L字」の横軸に相当する底部12bとを備えると
ともに、上記側部12aの、もう一方の基板保持部12
の側部12aと対向する内側面と、底部12bの上面と
に、当該両面を連通して、基板Sの縁部を受容して保持
するための複数状の保持溝12c…を形成することで構
成されている。
【0014】さらに、各保持溝12cはそれぞれ、側部
12aの内側面では、基板Sの挿抜方向である側板11
b、11dの高さ方向と平行に、また底部12bの上面
では、上記側板11b、11dの長さ方向と平行に、そ
して隣り合うもの同士が所定間隔を離して互いに平行に
配置されている。それとともに、一対の基板保持部1
2、12上の各保持溝12c…はそれぞれ、1枚の基板
Sを左右から挟んで保持するために、それぞれの基板保
持部12、12上の1本ずつ、計2本が対をなすよう
に、それぞれ側板11b、11dの長さ方向と平行方向
に、一直線状に配置されている。
【0015】そしてこれらのことによって基板保持部1
2、12は、複数状の保持溝12c…のうち、上記のよ
うに互いに対応する一対の保持溝12c、12cによっ
て、基板Sの、両側縁部S1、S1から底縁部S2にか
けての部位を受容して、図1に2点鎖線で示すように側
板11b、11dと平行に、しかも隣り合うもの同士が
互いに接触しないように離間させた状態で、左右から保
持するように構成されている。
【0016】また図の例では、とくに図2に見るように
側部12aの内側面が、開口1a側より少し下の位置で
最も内方へ突出した略く字状に形成されており、それに
ともなって基板保持部12、12の、互いに対応する一
対の保持溝12c、12cの底面間の間隔が、上記突出
部で最も狭く、そこから上下へ離れるほど徐々に広くな
るように構成されている。
【0017】このように構成すると、開口1aにおいて
は、一対の保持溝12c、12cの底面間の間隔が広い
ために基板Sの挿抜が容易となり、しかも挿入された基
板Sは、上記の間隔が最も狭い突出部で、基板保持部1
2、12の一対の側部12a、12aによって左右から
弾性的に挟持されるために、輸送中の振動などによって
がたつくといったことがより確実に防止される。
【0018】また図の例では上記基板Sを、保持溝12
cのうち底部12bの上面に形成した部分の底までしっ
かり挿入した保持状態において、当該基板Sの底縁部S
2と底板10の上面との間に間隔が形成され、かつ基板
Sの上部が容器本体1の開口1aより上方に突出するよ
うに、底部12bの厚みと、保持溝12cの深さと、そ
して容器本体1の深さとが設定されている。
【0019】このように設定すると、とくに前者の設定
によって、たとえば容器本体1内にごみなどの異物が入
ってもそれが基板Sと接触する機会をできるだけ減らす
ことができる上、後者の設定によって、基板Sの、容器
本体1への挿抜作業が容易になるという利点がある。な
お、これらの図において符号1bは、開口1aを塞いで
容器を密閉すべく、蓋体2を容器本体1に被せた際に、
後述する蓋体2の段部2bと嵌め合わされて、当該蓋体
2を容器本体1に対して位置決めするための段部であ
る。
【0020】熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒
子を型内発泡成形することで一体に形成された、上記各
部からなる容器本体1は、前述したように摩耗度Mが
0.1g/100cm2以下の範囲内である必要があ
る。摩耗度Mがこの範囲を超えた場合には、基板の角な
どの鋭利な部位によって繰り返し、切り裂くような衝撃
を受けた際に、摩耗による粉塵が多量に発生して、基板
の不良や故障が多発する原因となる。
【0021】なお摩耗度Mは小さければ小さいほど好ま
しく、とくに0.07g/100cm2以下、なかんず
く0.04g/100cm2以下であるのが好ましい。
下限値は、いうまでもなく0g/100cm2である。
つまり、全く粉塵が発生しないのが最も理想的である
が、粉塵が発生しても上記の範囲内であれば、実用上、
差し支えはない。
【0022】容器本体1の、その他の特性についてはと
くに限定されないが、全体の発泡倍率は3〜50倍(密
度で表して0.45〜0.027g/cm3、以下同様
に密度を発泡倍率のあとにカッコ書きで示す)程度であ
るのが好ましい。容器本体1の発泡倍率が3倍未満(密
度0.45g/cm3以上)である場合には軽量化の効
果が十分に得られず、とくに大型の基板Sに対応した大
型の容器本体1の場合に、重くなって輸送などの妨げと
なるおそれがある。また、発泡成形体内部のガスによ
る、基板を衝撃から保護する緩衝機能が低下するおそれ
もある。
【0023】一方、発泡倍率が50倍を超える(密度
0.027g/cm3未満)場合には全体の強度が低下
して、とくに重量のある基板Sを運搬する際などに重さ
に耐え切れずに、容器本体1が破損するといった問題を
生じるおそれがある。なお、容器本体1の軽量化と緩衝
機能と強度とのバランスなどを考慮すると、その発泡倍
率は、上記の範囲内でもとくに5〜40倍(密度0.2
7〜0.033g/cm3)程度であるのが好ましく、
その中でもとくに10〜30倍(密度0.13〜0.0
45g/cm3)程度であるのがさらに好ましい。
【0024】容器本体1の発泡倍率、および密度を上記
の範囲内に調整するには、かかる発泡倍率や密度が、通
常の型内発泡成形では、原料である予備発泡粒子の発泡
倍率および嵩密度とほぼ等しくなるので、予備発泡粒子
を製造する際に、樹脂に加える発泡剤の種類や量、ある
いは予備発泡粒子の製造条件などを調整して、かかる予
備発泡粒子の発泡倍率と嵩密度とを、前記範囲内の目的
とする所定の値に調整してやればよい。
【0025】また、同じく容器本体1の強度と緩衝機能
とのバランスなどを考慮すると、当該容器本体1の、最
大曲げ強度時の撓み量は2〜25mm程度であるのが好
ましい。また、粒子同士の融着性の基準となる融着率は
40%以上、とくに50%以上、なかんずく60%以上
であるのが好ましく、融着率がこの範囲で、格別に優れ
た融着性を示すといえる。なお融着率の上限は、いうま
でもなく100%である。
【0026】上記容器本体1とともに基板輸送容器を構
成する蓋体2は、矩形状の天板20と、この天板20の
4辺から下方へ垂下された、それぞれ矩形状の4枚の側
板21a〜21dとを備え、かつその下部に開口2aを
有する薄い直方体状に形成されている。そして上記各側
板21a〜21dの下部に、前述した容器本体1の段部
1bと嵌め合わされて、蓋体2を容器本体1に対して位
置決めするための段部2bが、開口2aを囲繞するよう
に形成されている。
【0027】かかる蓋体2を上記のように容器本体1に
被せて、両段部1b、2bの嵌め合わせによって容器本
体1に対して位置決めした状態においては、当該蓋体2
の天板20の下面が、容器本体1に収容した基板Sの上
縁部S3と接触しないように、蓋体2の深さを設定する
のが好ましい。このように設定すると、蓋体2が基板S
によって衝撃を受けることが防止されるので、たとえば
以下に述べるように蓋体2を、従来同様にポリスチレン
樹脂やポリオレフィン系樹脂の発泡成形体にて形成した
場合でも、当該蓋体2から粉塵が発生するのを確実に防
止できるという利点がある。
【0028】蓋体2は、容器本体1と同様に、熱可塑性
ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して
形成してもよいし、上記のようにポリスチレン樹脂やポ
リオレフィン系樹脂の発泡成形体によって形成してもよ
い。また、輸送中の振動などによって基板Sが接触する
おそれのある天板20の下面などを選択的に、熱可塑性
ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子の型内発泡成形によ
って形成し、あとは他の樹脂の発泡成形体や、あるいは
非発泡、低発泡の射出成形体やその組み立て体などで形
成してもよい。
【0029】あるいはまた蓋体2は、その全体を、低発
泡の射出成形体やその組み立て体などで形成しても構わ
ない。なお容器本体1は、上記例のようにその全体を、
熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子の型内発泡
成形によって一体に形成してもよいが、とくに基板Sの
大型化に対応した大型の容器本体1の場合は、いくつか
の部品に分割して型内発泡成形したものを組み立てて構
成してもよい。
【0030】たとえば図3は、容器本体1を、 ・ 各側板11a〜11dと、一対の基板保持部12、
12のうち側部12a、12aとを備えた側体11と、 ・ 一対の基板保持部12、12のうち底部12b、1
2bを備えた底板10と、に分割して、それぞれ熱可塑
性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子の型内発泡成形に
よって形成した場合を示している。
【0031】また図示していないが、上記側体11を、
それぞれ側部12a、12aと一体形成された側板11
aおよび11cと、その他の側板11bおよび11dと
に分割形成してもよい。各部の組み立てには接着剤を使
用してもよいし、熱接着してもよい。あるいは図示して
いないが、各部に係合用の構造(突起と凹部など)を設
けて、それを利用して各部を組み立ててもよい。
【0032】このように容器本体1を分割形成した場合
には、大型化した容器本体1の全体を一度に型内発泡成
形する場合に比べて、発泡成形時の熱分布による内部構
造の不均一化を抑制して、内部構造の均一な、したがっ
て強度や緩衝機能などの特性も均一な容器本体1を製造
することが可能となる。また、型内発泡成形用の個々の
金型の構造を簡略化し、かつ小さくすることができるた
め、取り扱いが容易になるという利点もある。
【0033】あるいはまた、上記と逆に、容器本体1を
構成する各部で意図的に発泡倍率などを変更して、それ
ぞれの部位に適した強度や緩衝機能などを有する容器本
体1を製造することも可能となる。さらに、基板Sと直
接に接触する部位については、前記のとおり熱可塑性ポ
リエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して形
成する必要があるが、基板Sと直接に接触しない部位、
たとえば図3の例では側板11b、11dなどは、ポリ
スチレン樹脂やポリオレフィン系樹脂の発泡成形体、あ
るいは非発泡、低発泡の射出成形体やその組み立て体な
どで形成してもよい。
【0034】この場合には、それぞれの材料のもつ特
性、たとえばポリスチレン樹脂やポリオレフィン系樹脂
の発泡成形体であれば軽量化や低コスト化など、また非
発泡、低発泡の射出成形体やその組み立て体であればさ
らなる高強度化などの特性を、容器本体1に付与するこ
とが可能となる。この考えをさらに敷衍して、基板と直
接に接触する基板保持部のみを、前記熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の予備発泡粒子の型内発泡成形によって形成
してもよい。
【0035】すなわち図4に示すように、断面略L字状
の一対の基板保持部12、12を、熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂の予備発泡粒子の型内発泡成形によって、容器
本体1と別体に形成し、それを容器本体1と組み合わせ
て使用することもできる。底板10と側板11a〜11
dとを備えた容器本体1は、場合によっては、基板保持
部12、12と同じく熱可塑性ポリエステル系樹脂の予
備発泡粒子の型内発泡成形によって形成してもよいが、
前記と同じ理由で、ポリスチレン樹脂やポリオレフィン
系樹脂の発泡成形体、あるいは非発泡、低発泡の射出成
形体やその組み立て体などで形成するのがよい。
【0036】またさらに容器本体1を、たとえば図5に
示すように、 ・ 側板11a〜11dを備えた側体11と、 ・ 底板10とに分割形成してもよい。また図示してい
ないが上記側体11を、さらに各側板11a〜11dご
となどに分割形成しても構わない。これらの理由も前述
したとおりである。
【0037】上記のように、一対の基板保持部12、1
2のみを熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子の
型内発泡成形によって形成する場合には、当該基板保持
部12、12の発泡倍率の範囲を、先の、容器本体1の
全体を熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子の型
内発泡成形によって一体形成する場合に比べてより低
め、具体的には3〜30倍(密度0.45〜0.045
g/cm3)程度に設定するのが好ましい。
【0038】これは、上記の構成であれば容器の軽量化
は容器本体1の他の部位に任せて、基板保持部12、1
2については、とくに耐摩耗性と緩衝作用とのバランス
を重視して、発泡倍率を低く抑えるのが望ましいからで
ある。なお基板保持部12、12の発泡倍率は、上記耐
摩耗性と緩衝作用とのバランスを考慮すると、上記の範
囲内でもとくに5〜20倍(密度0.27〜0.067
g/cm3)程度であるのが好ましく、その中でもとく
に10〜20倍(密度0.13〜0.067g/c
3)程度であるのがさらに好ましい。
【0039】その他の特性値は前記と同程度であるのが
好ましい。以上で説明した各例の基板輸送容器はいずれ
も、静電気による基板の破損や、ほこりの付着による基
板の汚染などを防止するために、基板保持部12を含む
容器本体1の表面(内外両表面)の表面固有抵抗が1×
1013Ω以下の範囲内、とくに1×1012Ω以下の範囲
内の帯電防止性能を有しているのが好ましい。
【0040】容器本体1の表面に、かかる帯電防止性能
を付与するには、たとえば予備発泡粒子の製造時にスル
ホン酸金属塩、とくに二級アルカンスルホン酸ナトリウ
ム塩などの帯電防止剤を添加するなどの、従来公知の種
々の方法を採用することができる。またとくに静電気に
よって破損を受けやすい、液晶表示パネルの半完成品な
どの基板を輸送する容器本体1の表面は、表面固有抵抗
1×107Ω以下、とくに1×102〜1×106Ωの導
電性を有しているのが好ましい。
【0041】容器本体1の表面に、かかる導電性を付与
するには、たとえば導電性塗料を塗布して導電性被膜を
形成するなどの、従来公知の種々の方法を採用すること
ができる。また容器本体1が、前記のように複数の部品
を組み立てて形成される場合には、各部品間の導通を維
持する必要がある。このため、たとえば上記のように導
電性被膜を形成して表面固有抵抗を調整する方法を採用
する場合には、組み立て前の各部品の表面に導電性被膜
を形成したのち、容器本体1を組み立てるようにするの
が好ましい。
【0042】なお蓋体2については、容器本体1と同様
に、表面の表面固有抵抗を調整してもよいし、調整しな
くてもよい。導電性被膜を形成するための導電性塗料と
しては、とくに容器本体1などの圧縮変形に柔軟に追従
して、割れたり剥離したりしない被膜を形成できるもの
が好ましい。かかる導電性塗料としては、とくに熱可塑
性ポリエステル系樹脂との接着性にすぐれることから、
アクリル樹脂系塗料やウレタン変成アクリル樹脂系塗料
などが好適に使用される。その具体例としては、たとえ
ば神東塗料社製の商品名Sintron(シントロン)
D−4200シリーズなどがあげられる。
【0043】基板保持部12をはじめとする容器本体
1、および蓋体2の各部の形状や構造は、以上で説明し
た各図の例には限定されず、種々の設計変更を施すこと
ができる。たとえば基板保持部12は断面略L字状以外
の種々の形状とすることができる。
【0044】また、基板保持部12において基板Sを保
持する構造は保持溝12cには限定されず、その他の、
従来公知の種々の構造に変更することができる。容器本
体1や蓋体2には、把手のための凹部や、あるいは両部
を固定するためのベルトをかけるための凹部などを形成
してもよい。基板Sを搬送する際には、蓋体2で密閉さ
れた容器本体1内に不活性ガスなどを充てんさせておく
場合があり、そのため容器本体1や蓋体2に、ガスを注
入するバルブなどを設けてもよい。
【0045】その他、本発明の要旨を変更しない範囲で
種々の設計変更を施すことができる。 〈熱可塑性ポリエステル系樹脂〉以上で説明した各例に
おいて容器本体1の全体、またはそのうちの少なくとも
基板保持部12などの発泡成形体を形成する熱可塑性ポ
リエステル系樹脂としては、前記PETに代表される、
従来公知の種々の熱可塑性ポリエステル系樹脂が、いず
れも使用可能である。
【0046】ただし、上記PETなどの従来の熱可塑性
ポリエステル系樹脂は一般にガスバリヤー性が高く、発
泡剤を含浸するのに多大な時間を要するために、樹脂に
発泡剤を含浸させ〔含浸工程〕、ついで加熱して予備発
泡させるとともに、粒子化して予備発泡粒子を得たのち
〔一次発泡工程〕、この予備発泡粒子を型内に充てん
し、加熱膨張させて発泡成形〔型内(二次)発泡工程〕
する従来の発泡成形方法によって発泡成形体、すなわち
この場合は容器本体1や、そのうちの基板保持部12な
どを製造したのでは時間、コストおよび手間がかかるお
それがある。
【0047】さらに上記従来の熱可塑性ポリエステル系
樹脂は加熱によって結晶化しやすい、すなわち結晶化の
速度が速いために、上記含浸時や予備発泡時の加熱によ
って予備発泡粒子の結晶化度が過度に高くなって、型内
発泡成形時に発泡粒同士の発泡融着性の低下をまねくと
いう問題もある。このため、とくに汎用の発泡成形機を
使用して、たとえばスチームのゲージ圧が5kg/cm
2(0.49MPa)以下といった通常の成形条件で発
泡成形したのでは、耐熱性にすぐれた発泡成形体が得ら
れるものの、発泡粒同士が高い融着率でもって良好に融
着、一体化した、強度にすぐれた発泡成形体を製造する
ことはできない。
【0048】したがってPETなどの従来の熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を用いて、高い融着率を有する発泡成
形体を製造するには、たとえば多量のスチームを型内に
均一に供給できるなどの特殊な機能を付与した特殊な発
泡成形機を用いて、ゲージ圧が5kg/cm2(0.4
9MPa)を超えるような特殊な成形条件で成形を行う
必要を生じる。
【0049】しかしながらこのような特殊な成形条件ゆ
えに、製造される発泡成形体は、たとえば40%を超え
るような、過度に結晶化度の高いものとなってしまい、
脆くなってかえって耐摩耗性が低下してしまうおそれが
ある。それゆえ本発明においては、上記熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂として、とくにその結晶化の速度が抑制さ
れたものを使用するのが好ましい。
【0050】すなわち結晶化の速度が抑制された熱可塑
性ポリエステル系樹脂は、従来のPETなどと比べて、
たとえ加熱によって高温にさらされても、予備発泡粒子
の結晶化度が過度に高くなることがなく、二次発泡成形
時の発泡融着性が著しく低くなることが防止される。し
たがって二次発泡成形時の発泡融着性にすぐれ、かつ耐
摩耗性や機械的強度にもすぐれた発泡成形体を、特殊な
発泡成形機を使用することなく、汎用の発泡成形機を使
用した通常の成形条件によって、容易に製造することが
可能となる。
【0051】熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化の速
度は、示差走査熱量計(DSC)を使用して、日本工業
規格JIS K7121所載の測定方法に準じて測定し
た樹脂の結晶化のピーク温度(昇温時に結晶化が起こる
ピークの温度)によって評価することができる。すなわ
ち結晶化のピーク温度が高いほど樹脂は、結晶化を促進
させるのに多量の熱を必要とする、つまり結晶化の速度
が遅いと言える。
【0052】具体的には、測定試料としての所定量の熱
可塑性ポリエステル系樹脂をDSCの測定容器に充てん
して、10℃/分の昇温速度で昇温しながら、上記結晶
化ピーク温度が測定される。このようにして測定された
熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度の範囲
がおよそ130℃以上であれば、前記のように結晶化の
速度が抑制された、好適な熱可塑性ポリエステル系樹脂
であるといえる。
【0053】なお結晶化ピーク温度は、上記の範囲内で
もとくに180℃以下であるのが好ましい。結晶化ピー
ク温度が180℃を超えた場合には、樹脂のガラス転移
点が高くなるために二次発泡成形の条件幅が狭くなって
却って成形が容易でなくなる上、二次発泡成形時に、成
形体の表面に収縮が発生しやすくなって外観の良好な発
泡成形体が得られないという問題を生じるおそれもあ
る。また、製造された発泡成形体が脆くなってしまうと
いう問題も生じうる。
【0054】なお上記各特性のバランスを考慮して、良
好な予備発泡粒子、ならびに良好な発泡成形体を製造す
ることを考慮すると、熱可塑性ポリエステル系樹脂のピ
ーク温度は、上記の範囲内でもとくに132〜175℃
程度であるのが好ましく、135〜170℃程度である
のがさらに好ましい。かかる特性を満足する熱可塑性ポ
リエステル系樹脂としては、これに限定されないがたと
えば、その全成分中に、イソフタル酸、およびシクロヘ
キサンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも
1種の成分を、総量で0.5〜10重量%の範囲で含有
するものがあげられる。
【0055】すなわち、ジカルボン酸として、式(1):
【0056】
【化1】
【0057】で表されるイソフタル酸を使用するか、あ
るいはジオールとしてシクロヘキサンジメタノールを使
用するか、またはこの両者を併用するとともに、いずれ
か一方を単独で使用する場合はその単独での含有割合
を、また両者を併用する場合はその合計の含有割合を、
それぞれ全成分中の、0.5〜10重量%の範囲内とし
た上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、イソフタル酸
および/またはシクロヘキサンジメタノールの持つ、樹
脂の結晶化を抑制する作用によって、結晶化ピーク温度
が130〜180℃の範囲内となるため、前記のような
種々の問題を生じない良好な発泡成形体を製造すること
が可能となる。
【0058】なおイソフタル酸および/またはシクロヘ
キサンジメタノールの含有割合は、上記各特性のバラン
スを考慮して、良好な予備発泡粒子、ならびに良好な発
泡成形体を製造することを考慮すると、上記の範囲内で
もとくに0.6〜9.5重量%程度であるのが好まし
く、0.7〜9重量%程度であるのがさらに好ましい。
上記のうちシクロヘキサンジメタノールとしては、基本
的に、2つのメタノール部分がそれぞれシクロヘキサン
環の1位と4位に置換した、式(2):
【0059】
【化2】
【0060】で表される1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールが使用されるが、2つのメタノール部分がシクロ
ヘキサン環の他の位置に置換した異性体も、少量であれ
ば併用可能である。上記イソフタル酸、およびシクロヘ
キサンジメタノールとともに熱可塑性ポリエステル系樹
脂を構成する他の成分のうちジカルボン酸としては、た
とえばテレフタル酸やフタル酸などがあげられる。
【0061】またジオール成分としては、たとえばエチ
レングリコール、α−ブチレングリコール(1,2−ブ
タンジオール)、β−ブチレングリコール(1,3−ブ
タンジオール)、テトラメチレングリコール(1,4−
ブタンジオール)、2,3−ブチレングリコール(2,
3−ブタンジオール)、ネオペンチルグリコールなどが
あげられる。
【0062】また熱可塑性ポリエステル系樹脂の原料に
は、上記の各成分に加えて、たとえば酸成分として、ト
リメリット酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸な
どのテトラカルボン酸などの、三価以上の多価カルボン
酸やその無水物、あるいはアルコール成分として、グリ
セリンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどの
テトラオールなどの、三価以上の多価アルコールなど
を、前述した、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶性や
結晶化の速度などに影響を及ぼさない範囲で少量、含有
させてもよい。
【0063】上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂は、上
記の各成分を所定の割合、つまり前記のようにイソフタ
ル酸および/またはシクロヘキサンジメタノールを、総
量で0.5〜10重量%の範囲で含有した原料を、従来
同様に重縮合反応させることによって製造される。また
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、イソフタル酸およ
び/またはシクロヘキサンジメタノールの含有割合の異
なる2種以上の熱可塑性ポリエステル系樹脂を、その全
成分中に占めるイソフタル酸および/またはシクロヘキ
サンジメタノールの含有割合が、総量で0.5〜10重
量%の範囲内となるように配合し、たとえば押出機など
を用いて、加熱下で溶融、混合することによっても製造
できる。
【0064】この方法によれば、予備発泡粒子の製造段
階で、イソフタル酸および/またはシクロヘキサンジメ
タノールの含有割合の異なる2種以上の熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の配合割合を変更するだけで、製造された
予備発泡粒子における上記両成分の含有割合を調整でき
る。このため、樹脂の合成段階で両成分の含有割合を調
整する場合に比べて調整作業を簡略化でき、仕様の変更
などに柔軟に対応できるようになるという利点がある。
【0065】また、たとえば配合する熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の1種として、使用済みのペットボトルなど
から回収、再生した材料などを使用することにより、資
源の有効な再利用化とゴミの減量化、ならびに予備発泡
粒子の低コスト化を図ることが可能となるという利点も
ある。なお上記の方法においては、2種以上の熱可塑性
ポリエステル系樹脂間でのエステル交換反応により各樹
脂がアロイ化して均一な熱可塑性ポリエステル系樹脂と
なるように、加熱下で十分に溶融、混合してやるのが好
ましい。
【0066】なお予備発泡粒子を、後述するように押出
機などを用いて、高圧溶融下、発泡剤と混合したのち予
備発泡させ、ついで切断して製造する場合には、上記の
ように2種以上の樹脂の溶融、混合による均一な熱可塑
性ポリエステル系樹脂の作製を、発泡剤の混合に先だっ
て上記の押出機中で行い、ついで連続して、上記の製造
方法を実施するのが、効率的であり好ましい。
【0067】ただし、あらかじめ別の装置を用いて2種
以上の樹脂を溶融、混合して作製しておいた均一な熱可
塑性ポリエステル系樹脂を押出機に投入して、上記の製
造方法により予備発泡粒子を製造しても構わない。なお
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂は、予備
発泡粒子を製造する際の溶融、混合性や、製造された予
備発泡粒子を用いて、型内発泡成形によって発泡成形体
を製造する際の成形性などを考慮すると、その固有粘度
(測定温度:35℃、溶媒:オルソクロロフェノール)
が0.6〜1.5程度であるのが好ましい。 〈予備発泡粒子〉予備発泡粒子は、従来同様に、上記の
熱可塑性ポリエステル系樹脂に発泡剤を含浸させたの
ち、加熱して予備発泡させるとともに粒子化して製造し
てもよい。
【0068】ただし、熱可塑性ポリエステル系樹脂に発
泡剤を含浸させる工程を省略して時間、コストおよび手
間を省くとともに、製造される予備発泡粒子の結晶化度
をさらに低くして、二次発泡成形時の発泡融着性の低下
をさらに抑制するためには、前述したように、上記熱可
塑性ポリエステル系樹脂を高圧溶融下、発泡剤と混合
し、予備発泡させて予備発泡体を得たのち、これを切断
して予備発泡粒子を製造するのが好ましい。
【0069】熱可塑性ポリエステル系樹脂を高圧溶融
下、発泡剤と混合して予備発泡させる方法としては、押
出機を用いた押出発泡法が効率的であり、好適に採用さ
れる。使用できる押出機はとくに限定されず、通常この
種の押出発泡成形に使用される単軸押出機、二軸押出機
などであり、さらにはこれらを連結したタンデム型であ
っても良いが、十分な溶融、混合能力を有する押出機が
好ましい。
【0070】押出機の口金としてはいろいろなものを使
用することができる。たとえば、円環状の口金、フラッ
ト口金、ノズル口金、さらには複数のノズルが配置され
たマルチノズル口金などがあげられる。これらの口金を
使用して、シート状、板状、ロッド状などの、種々の形
状の予備発泡体を作ることができる。予備発泡体を、上
述した所定の形状とするためには、いろいろな方法が採
用される。
【0071】たとえばシート状の予備発泡体を得るに
は、円環状の口金から押し出された円筒状の予備発泡体
を、マンドレル上を進行させてシート状としたり、フラ
ット口金より押し出された厚みのある板状の予備発泡体
を、チルロールによりシート状としたりすればよい。ま
た厚みのある板状の予備発泡体を得るためには、一対の
金属板に密接させながら発泡を進行させて、所定の厚み
とする方法などが採用される。
【0072】予備発泡体の冷却方法としては、空冷や水
冷のほか、温度調整された冷却装置に接触させるなど、
いろいろな方法を用いることができる。予備発泡体の冷
却はできる限り速やかに行い、結晶化が過度に進行する
のを抑制することが重要である。このようにして製造し
た各種形状の予備発泡体を適宜、切断して円柱状、角
状、チップ状などとすることで予備発泡粒子が完成す
る。
【0073】上記予備発泡体の冷却と切断は、適宜のタ
イミングで行うことができる。たとえば、口金より押し
出された予備発泡体を、発泡中ないし発泡完了後の任意
の時点で水中に通すなどして冷却した後、ペレタイザ−
などを用いて所定の形状、大きさに切断してもよい。ま
た口金から押し出された、発泡完了直前もしくは発泡完
了直後でかつ冷却前の予備発泡体をすぐさま切断したの
ち、冷却してもよい。
【0074】さらに、シ−ト状に押し出された予備発泡
体は、一旦巻き取り機などによってロール状に巻き取っ
て保管した後、粉砕機や切断機にて切断してもよい。か
くして製造される予備発泡粒子の大きさは、平均粒径で
表しておよそ0.5〜5mm程度が好ましい。また予備
発泡粒子の結晶化度は、前記のように汎用の発泡成形機
を使用して、通常の成形条件で発泡成形した際に、粒子
同士の融着性にすぐれた、機械的強度の高い発泡成形体
を得ることを考慮するとおよそ9%以下程度であるのが
好ましい。
【0075】また、予備発泡粒子をつくる際に、まだ余
熱をもっている予備発泡粒子同士が合着しやすくなるの
を防止するためには、上記結晶化度は、およそ1%以上
であるのが好ましい。なお予備発泡粒子の結晶化度は、
上記の範囲内でもとくに1〜7%程度であるのが好まし
く、1〜6%程度であるのがさらに好ましい。
【0076】結晶化度(%)は、先に述べた結晶化ピー
ク温度の測定と同様に、示差走査熱量計(DSC)を使
用して、日本工業規格JIS K7121所載の測定方
法に準じて測定した冷結晶化熱量と融解熱量とから、次
式によって求められる。
【0077】
【数1】
【0078】なお式中の、完全結晶PETのモルあたり
の融解熱量は、高分子データハンドブック〔培風館発
行〕の記載から26.9kJとする。具体的には、測定
試料としての所定量の予備発泡粒子をDSCの測定容器
に充てんして、10℃/分の昇温速度で昇温しながら冷
結晶化熱量と融解熱量とを測定し、その測定結果から、
上記式に基づいて予備発泡粒子の結晶化度が求められ
る。
【0079】予備発泡粒子の発泡倍率、および嵩密度
は、当該予備発泡粒子を二次発泡成形して製造される発
泡成形体の発泡倍率、および密度などに応じて適宜、調
整できるが、通常は、先に述べたように発泡成形体とほ
ぼ等しい発泡倍率、および嵩密度であるのが好ましい。
予備発泡粒子には、いろいろな添加剤を添加してもよ
い。
【0080】添加剤としては、発泡剤の他に、たとえば
気泡調整剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤などがあげら
れる。また、熱可塑性ポリエステル系樹脂の溶融特性を
改良するために、グリシジルフタレートのようなエポキ
シ化合物、ピロメリット酸二無水物のような酸無水物、
炭酸ナトリウムのようなIa、IIa族の金属化合物など
を改質剤として単体、もしくは二種以上混合して添加す
ることができる。とくにこれらの改質剤は、予備発泡粒
子の発泡性を改善するだけでなく、得られた発泡粒子の
独立気泡率を向上するため、予備発泡粒子の膨張力を大
きくできるので有効である。
【0081】本発明で使用できる発泡剤としては、大別
すると、熱可塑性ポリエステル系樹脂の軟化点以上の温
度で分解してガスを発生する固体化合物、加熱すると熱
可塑性ポリエステル系樹脂内で気化する液体、加圧下で
熱可塑性ポリエステル系樹脂に溶解させ得る不活性な気
体などに分類されるが、このいずれを用いてもよい。こ
のうち固体化合物としては、たとえばアゾジカルボンア
ミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾ
ルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどがあげられ
る。また気化する液体としては、たとえばプロパン、n
−ブタン、イソブタン、n−ぺンタン、イソペンタン、
へキサンのような飽和脂肪族炭化水素、べンゼン、キシ
レン、トルエンのような芳香族炭化水素、塩化メチル、
フレオン(登録商標)のようなハロゲン化炭化水素、ジ
メチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテルの
ようなエーテル化合物などがあげられる。さらに不活性
な気体としては、たとえば二酸化炭素、窒素などがあげ
られる。
【0082】なお予備発泡粒子を、前述したように押出
機を用いて高圧溶融下、発泡剤と混合し、押し出して予
備発泡させたのち、切断して熱可塑性ポリエステル系樹
脂予備発泡粒子を製造する場合には、押出機の口金から
押し出された瞬間に気化して溶融樹脂を発泡させるとと
もに、当該溶融樹脂の熱を奪う発泡剤、たとえば飽和脂
肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを使用するのが
好ましい。これらの発泡剤は、溶融した熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂を冷却する作用をし、予備発泡粒子の結晶
化度を低く抑える効果があるため好ましい。
【0083】また予備発泡粒子には、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の結晶性や結晶化の速度に大きな影響を及ぼ
さない範囲で、たとえばポリプロピレン系樹脂などのポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系などの熱可塑性エ
ラストマー、ポリカーボネート、アイオノマーなどを添
加してもよい。予備発泡粒子を用いて本発明の発泡成形
体を製造する方法としては、閉鎖しうるが密閉し得ない
金型に予備発泡粒子を充てんし、さらに加熱媒体として
スチームを導入して二次発泡成形する方法が好ましい。
【0084】このときの加熱媒体としては、スチーム以
外にも熱風やオイルなどを使用することができるが、効
率的に成形を行う上ではスチームが最も有効である。成
形した発泡成形体は、冷却したのち金型から取り出せば
よい。スチームで二次発泡成形する場合には、前述した
ように汎用の発泡成形機を使用して、通常の成形条件で
発泡成形すればよい。すなわち予備発泡粒子を金型へ充
てんした後、まず低圧〔たとえばゲージ圧0.4kg/
cm2(0.04MPa)程度〕で一定時間、スチーム
を金型内ヘ吹き込んで、粒子間のエアーを外部ヘ排出す
る。ついで、吹き込むスチームの圧を昇圧〔たとえば
0.8kg/cm 2(0.08MPa)程度〕して、予
備発泡粒子を二次発泡させるとともに粒子同士を融着せ
しめて発泡成形体とすることができる。
【0085】また予備発泡粒子を、あらかじめ密閉容器
に入れて、炭酸ガス、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを
圧入した後、金型での二次発泡成形に使用する直前ま
で、圧入したガスの雰囲気下に保持することで、予備発
泡粒子の、金型での二次発泡成形時の膨張力をより大き
くして、良好な発泡成形体を得ることもできる。かくし
て得られた、容器本体1やそのうちの基板保持部12な
どの発泡成形体は、基板輸送に使用した後、予備発泡粒
子などとして再利用することが可能である。使用済みの
発泡成形体をこのように再利用することにより、資源の
有効な再利用化とゴミの減量化に貢献できるとともに、
上記基板輸送容器などの発泡成形体の低コスト化を図る
こともできる。
【0086】
【実施例】以下、実施例、比較例をあげて、この発明の
すぐれている点を具体的に説明する。なお、使用した熱
可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化ピーク温度、
ならびに予備発泡粒子とそれを用いて製造した発泡成形
体の結晶化度は、いずれも前述したように日本工業規格
JIS K7121所載の測定方法に準じて測定した結
果より求めた。
【0087】また、イソフタル酸および/またはシクロ
ヘキサンジメタノールの含有割合、発泡倍率および密度
は、それぞれ下記の方法で測定した。 イソフタル酸の含有割合の測定 試料約100mgを耐圧テフロン容器中に秤量後、和光
純薬工業社製の吸光分析用ジメチルスルホキシド10m
lと、5N水酸化ナトリウム−メタノール溶液6mlと
を加えたのち、上記耐圧テフロン容器をSUS製の耐圧
加熱容器に入れて確実に密閉後、100℃で15時間加
熱した。
【0088】つぎに、加熱後の耐圧加熱容器を室温冷却
し、完全に冷却した状態で、耐圧テフロン容器を取り出
し、内容物を200mlビーカーに移して150ml程
度まで蒸留水を加えた。つぎに、内容物が完全に溶解し
たことを確認後、塩酸にてpH6.5〜7.5に中和
し、中和後200mlまでメスアップしたものをさらに
蒸留水で10倍に希釈して試料溶液とした。
【0089】つぎにこの試料溶液と、イソフタル酸標準
溶液とを用いて、高速液体クロマトグラフ(HPLC)
装置にて下記の条件で測定を行った。イソフタル酸標準
溶液としては、東京化成工業社製のイソフタル酸試薬を
蒸留水で溶解したものを使用した。 装置:Waters HPLC LC−module1 カラム:GL社製 Inertsil ODS−2 5
μm(4.6×250) カラム温度:常温 ポンプ温度:常温 移動相:0.1%リン酸/アセトニトリル=80/20 流速:0.5ml/min 分析時間:50分 注入量:50μl 検出波長:210nm つぎに、標準溶液から得たイソフタル酸のピーク面積を
X軸に、濃度をY軸にとって検量線を作成し、得られた
検量線を使用して、試料溶液中のイソフタル酸の濃度
(μg/ml)を算出した。
【0090】そして上記濃度から、次式を使用して熱可
塑性ポリエステル系樹脂中のイソフタル酸(IPA)の
含有割合(重量%)を計算した。
【0091】
【数2】
【0092】シクロヘキサンジメタノールの含有割合の
測定 試料約100mgを耐圧テフロン容器中に秤量後、和光
純薬工業社製の吸光分析用ジメチルスルホキシド10m
lと、5N水酸化ナトリウム−メタノール溶液6mlと
を加えたのち、上記耐圧テフロン容器をSUS製の耐圧
加熱容器に入れて確実に密閉後、100℃で15時間加
熱した。
【0093】つぎに、加熱後の耐圧加熱容器を室温冷却
し、完全に冷却した状態で、耐圧テフロン容器を取り出
し、内容物を100mlビーカーに移して70ml程度
まで特級試薬メタノールを加えた。つぎに、内容物が完
全に溶解したことを確認後、塩酸にてpH6.5〜7.
5に中和し、中和後100mlまでメスアップしたもの
を特級試薬アセトンで10倍に希釈して試料溶液とし
た。
【0094】つぎにこの試料溶液と、シクロヘキサンジ
メタノール標準溶液とを、それぞれ別個に10ml遠沈
管中に採取し、遠心分離しながら溶媒を蒸発乾固させた
のち、東京化成工業社製のTMS化剤0.2mlを加え
て60℃で1時間、加熱した。そして加熱後の液を、ガ
スクロマトグラフ(GC)装置を用いて、下記の条件で
測定した。
【0095】装置:Perkin Elmer GC
AutoSystem カラム:DB−5(0.25mmφ×30m×0.25
μm) オーブン温度:100℃(2分間)〜R1〜200℃〜
R2〜320℃(5分間) 昇温速度:R1=10℃/分、R2=40℃/分 分析時間:20分間 注入温度:300℃ 検出器:FID(300℃) ガス圧力:18psi つぎに、標準溶液から得たシクロヘキサンジメタノール
のTMS化物のピーク面積をX軸に、濃度をY軸にとっ
て検量線を作成し、得られた検量線を使用して、試料溶
液中のシクロヘキサンジメタノールの濃度(μg/m
l)を算出した。
【0096】そして上記濃度から、次式を使用して熱可
塑性ポリエステル系樹脂中のシクロヘキサンジメタノー
ル(CHDM)の含有割合(重量%)を計算した。
【0097】
【数3】
【0098】発泡倍率および密度の測定 日本工業規格JIS K6767に所載の方法に準拠し
て、次式により、予備発泡粒子の嵩密度(g/c
3)、および発泡成形体としての容器本体1の密度
(g/cm3)を求めた。
【0099】
【数4】
【0100】また上記発泡粒子の嵩密度、および容器本
体1の密度をそれぞれ、使用した熱可塑性ポリエステル
系樹脂の密度で割って得た数値を、予備発泡粒子および
容器本体1の発泡倍率とした。また、以下の実施例、比
較例で製造した容器本体1について、下記の試験を行っ
て、その特性を評価した。
【0101】融着率の測定 各実施例、比較例の容器本体1から切り出した底板10
を折り曲げて厚み方向に破断させたのち、破断面に存在
する全ての発泡粒子の個数と、そのうち粒子自体が材料
破壊した発泡粒子の個数とを計数した。そして次式によ
り、粒子同士の融着性の基準となる融着率(%)を求め
た。
【0102】
【数5】
【0103】耐摩耗性の評価 を試料として、直径13cmの円形状とされた180番
の紙やすりを、5kgの荷重をかけつつ、各実施例、比
較例の容器本体1の、上記紙やすりより広い平らな平面
に圧接しながら、円の中心を回転中心として30rpm
の回転速度で100回転させて摩耗させた際の摩耗量
(g)を、容器本体1の試験前後の重量変化から求め
た。そしてこの摩耗量(g)を摩耗面積100cm2
たりに換算した摩耗度M(0.1g/100cm2)を
求めて、耐摩耗性を評価した。
【0104】表面固有抵抗ρs(Ω)の測定 各実施例、比較例の容器本体1の、平らな部分の表面の
表面固有抵抗ρs(Ω)を、日本工業規格JIS K6
911所載の測定方法に準じて測定した。 実施例1 エチレングリコールと、イソフタル酸およびテレフタル
酸とを重縮合反応させて合成された熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂〔イソフタル酸の含有割合:1.7重量%、
1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有割合:0重
量%、結晶化ピーク温度:135.0℃、IV値:0.
80〕100重量部と、ピロメリット酸二無水物0.3
重量部と、炭酸ソーダ0.03重量部とを押出機〔口
径:65mm、L/D比:35〕に供給し、スクリュー
の回転数50rpm、バレル温度270〜290℃の条
件で溶融、混合しながら、バレルの途中に接続した圧入
管から、発泡剤としてのブタン(n−ブタン/イソブタ
ン=7/3)を、混合物に対して1.2重量%の割合で
圧入した。
【0105】つぎに、溶融状態の混合物を、バレルの先
端に接続したマルチノズル金型〔直線上に、直径0.8
mmのノズルが15個、配置されたもの〕の、各ノズル
を通して押し出して予備発泡させたのち、直ちに冷却水
槽で冷却した。そして、冷却されたストランド状の発泡
体を十分に水切りしたのち、ぺレタイザーを用いて小粒
状に切断して予備発泡粒子を製造した。
【0106】得られた予備発泡粒子の発泡倍率は10
倍、嵩密度は0.12g/cm3、結晶化度は4.6
%、形状は、長径2.0mm×短径1.5mm×長さ
2.0mmの楕円柱状であった。つぎにこの予備発泡粒
子を製造後、直ちに、図1に示す外形を有し、縦300
mm、横350mm、高さ350mmの容器本体1を製
造するための金型に充てんして型締めし、この型内に、
ゲージ圧0.04MPaのスチームを15秒間、ついで
ゲージ圧0.08MPaのスチームを20秒間、導入し
て予備発泡粒子を加熱膨張させると同時に融着させた。
【0107】そしてスチームの導入が終了した後の金型
を直ちに水冷して、上記の寸法を有する容器本体1を製
造した。得られた容器本体1の発泡倍率は10倍、密度
は0.12g/cm3、結晶化度は、表皮部で7.4
%、中心部で8.8%であり、また融着率は95%で良
好な融着性を示した。また摩耗度は0.034g/10
0cm2で、良好な耐摩耗性を有することも確認され
た。
【0108】また、上記容器本体1の表面にまずプライ
マー〔大橋化学工業社製の商品名オーフレックスプライ
マーSL、特殊ポリオレフィン樹脂系〕をスプレー塗布
し、常温で5分間、乾燥させて厚み1〜2μmのプライ
マー層を形成した上に、導電性塗料〔前出の神東塗料社
製の商品名シントロン D−4200、ウレタン変成ア
クリル樹脂系〕をスプレー塗布し、常温で1時間、乾燥
させて、厚み20μmの導電性被膜を形成したのち、そ
の表面固有抵抗ρs(Ω)を前記の方法で測定したとこ
ろ、1.0×105〜1.0×106Ωと良好な導電性を
示すことが確認された。
【0109】実施例2 熱可塑性ポリエステル系樹脂として、エチレングリコー
ルと1,4−シクロヘキサンジメタノールとテレフタル
酸とを重縮合反応させて合成された熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂〔イソフタル酸の含有割合:0重量%、1,4
−シクロヘキサンジメタノールの含有割合:0.9重量
%、結晶化ピーク温度:136.7℃、IV値:0.8
0〕100重量部を使用したこと以外は実施例1と同様
にして予備発泡粒子を製造するとともに、容器本体1を
製造した。
【0110】得られた予備発泡粒子の発泡倍率は9.6
倍、嵩密度は0.14g/cm3、結晶化度は2.8
%、形状は、2.0mm×1.5mmの略円柱状であっ
た。また容器本体1の発泡倍率は9.6倍、密度は0.
14g/cm3、結晶化度は、表皮部で4.5%、中心
部で5.3%であり、また融着率は63%で良好な融着
性を示した。また摩耗度は0.030g/100cm2
で、良好な耐摩耗性を有することも確認された。
【0111】また、上記容器本体1の表面に、実施例1
と同様にして導電性被膜を形成したのち、その表面固有
抵抗ρs(Ω)を前記の方法で測定したところ、1.0
×105〜1.0×106Ωと良好な導電性を示すことが
確認された。 実施例3 熱可塑性ポリエステル系樹脂として、下記第1ないし第
3の樹脂を、重量比で10:5:85の割合で配合した
のち溶融、混合してエステル交換させたもの〔イソフタ
ル酸の含有割合:0.7重量%、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールの含有割合:0.9重量%、結晶化ピー
ク温度:136.9℃〕100重量部を使用したこと以
外は実施例1と同様にして予備発泡粒子を製造するとと
もに、容器本体1を製造した。なおエステル交換のため
の溶融、混合は、押出発泡用のバレル中で、発泡剤とし
てのブタンの圧入に先だって行った。
【0112】第1の樹脂:エチレングリコールと、イソ
フタル酸およびテレフタル酸とを重縮合反応させて合成
されたもの〔イソフタル酸の含有割合:7.3重量%、
1,4−シクロへキサンジメタノールの含有割合:0重
量%、IV値:0.72〕 第2の樹脂:1,4−シクロヘキサンジメタノールおよ
びエチレングリコールと、テレフタル酸とを重縮合反応
させて合成されたもの〔イソフタル酸の含有割合:0重
量%、1,4−シクロへキサンジメタノールの含有割
合:17.4重量%、IV値:0.75〕 第3の樹脂:ペットボトル回収ペレット〔エチレングリ
コールとテレフタル酸とを重縮合反応させて合成された
もの、イソフタル酸の含有割合:0重量%、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールの含有割合:0重量%〕 得られた予備発泡粒子の発泡倍率は9.6倍、嵩密度は
0.14g/cm3、結晶化度は4.7%、形状は、
2.0mm×1.5mmの略円柱状であった。
【0113】また容器本体1の発泡倍率は9.6倍、密
度は0.14g/cm3、結晶化度は、表皮部で7.5
%、中心部で8.6%であり、また融着率は68%で良
好な融着性を示した。また摩耗度は0.032g/10
0cm2で、良好な耐摩耗性を有することも確認され
た。また、上記容器本体1の表面に、実施例1と同様に
して導電性被膜を形成したのち、その表面固有抵抗ρs
(Ω)を前記の方法で測定したところ、1.0×105
〜1.0×106Ωと良好な導電性を示すことが確認さ
れた。
【0114】比較例1 プロピレン系ランダム共重合体粒子(エチレンの含有割
合:2.5重量%、融点:143℃)100重量部と、
リン酸三カルシウムの10重量%水溶液15重量部と、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部
と、水290重慮部と、ドライアイス状の二酸化炭素4
重量部とを、密閉容器内でかく拌しながら148℃まで
昇温し、この温度で30分間、保持した。この時、容器
内のゲージ圧は2.2MPaであった。
【0115】つぎに、炭酸ガスによって圧を維持しなが
ら容器の一端を開放し、内容物を大気圧下に放出して発
泡させることで、嵩倍率が10倍の予備発泡粒子を製造
した。そしてこの予備発泡粒子を、実施例1で使用した
のと同じ金型に充てんして型締めし、この型内に、ゲー
ジ圧0.3MPaのスチームを導入して予備発泡粒子を
加熱膨張させると同時に融着させて、発泡倍率10倍の
容器本体1を製造した。
【0116】得られた容器本体1の摩耗度は0.113
g/100cm2であり、耐摩耗性が不充分であること
が確認された。
【0117】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
軽量でかつ緩衝機能や耐薬品性にすぐれるとともに高強
度で、しかも耐摩耗性にもすぐれるため粉塵の発生を抑
制することが可能な、新規な基板輸送容器を提供できる
という特有の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板輸送容器の、実施の形態の一例を
示す斜視図である。
【図2】上記基板輸送容器の断面図である。
【図3】基板輸送容器のうち容器本体の変形例を示す斜
視図である。
【図4】容器本体の他の変形例を示す斜視図である。
【図5】容器本体のさらに他の変形例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 容器本体 10 底板 11a〜11d 側板 12 基板保持部 S 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E096 AA06 BA15 CA02 CC02 DA04 DA17 DC01 DC04 EA03X EA03Y FA03 FA07 FA16 FA20 GA04 GA05 GA11 4F074 AA65 AA66 BA37 BA38 CA22 CA23 CA38 CC04Y CC34Y CC45 CE13 CE56 CE94 DA02 DA34 4J002 CF001 CF041 EA016 FD090 FD100 FD130 FD326 GG01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に設けた基板保持部によって基板を保
    持しつつ輸送するための容器本体を備えた基板輸送容器
    であって、上記容器本体のうち少なくとも基板保持部
    が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内
    発泡成形して形成された、下記式: 摩耗度M≦0.1g/100cm2 〔ただし摩耗度Mは、直径13cmの円形状とされた1
    80番の紙やすりを、5kgの荷重をかけつつ、それよ
    り広い平らな試料平面に圧接しながら、円の中心を回転
    中心として30rpmの回転速度で100回転させて摩
    耗させた際の摩耗量(g)を、摩耗面積100cm2
    たりに換算した値である〕を満足する発泡成形体からな
    ることを特徴とする基板輸送容器。
  2. 【請求項2】予備発泡粒子を形成する熱可塑性ポリエス
    テル系樹脂が、その全成分中に、イソフタル酸、および
    シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれた少
    なくとも1種の成分を、総量で0.5〜10重量%の範
    囲で含有するものである請求項1記載の基板輸送容器。
  3. 【請求項3】基板保持部を含む容器本体の全体が、上記
    熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡
    成形することで、一体に形成されている請求項1または
    2記載の基板輸送容器。
  4. 【請求項4】容器本体の発泡倍率が3〜50倍、密度が
    0.45〜0.027g/cm3である請求項3記載の
    基板輸送容器。
  5. 【請求項5】基板保持部が、上記熱可塑性ポリエステル
    系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形することで、容器
    本体と別体に形成されている請求項1または2記載の基
    板輸送容器。
  6. 【請求項6】容器本体が、少なくとも1個の部材からな
    る側体と、底板とを組み合わせて形成されている請求項
    1〜5のいずれかに記載の基板輸送容器。
  7. 【請求項7】容器本体の表面が、表面固有抵抗1×10
    13Ω以下の帯電防止性能を有している請求項1〜6のい
    ずれかに記載の基板輸送容器。
  8. 【請求項8】容器本体の表面が、表面固有抵抗1×10
    7Ω以下の導電性を有している請求項1〜6のいずれか
    に記載の基板輸送容器。
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