JP2001009980A - 成形用加飾シート及び加飾成形品 - Google Patents

成形用加飾シート及び加飾成形品

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JP2001009980A JP11183381A JP18338199A JP2001009980A JP 2001009980 A JP2001009980 A JP 2001009980A JP 11183381 A JP11183381 A JP 11183381A JP 18338199 A JP18338199 A JP 18338199A JP 2001009980 A JP2001009980 A JP 2001009980A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートが伸びた部分での色調の変化を目立ち
難くする。 【解決手段】 成形用加飾シートSは、裏刷り仕様で
は、熱可塑性樹脂基材シート1に、少なくとも、樹脂中
に着色剤を含有する隠蔽層2と、樹脂中に着色剤を含有
し前記隠蔽層と同色相で且つ隠蔽層よりも濃い色を持っ
た着色層3とを、この順に積層する。絵柄インキ層4、
接着剤層等を設けても良い。熱可塑性樹脂基材シート1
を離型性とすれば、隠蔽層、着色層、絵柄インキ層、接
着剤層等は転写層5となる。表刷り仕様として、熱可塑
性樹脂基材シートの表側に、着色層、隠蔽層をこの順に
形成しても良い。加飾成形品は、この加飾シートによる
ラミネート又は転写によって、射出成形同時加飾方法等
で、樹脂成形物等の被着体を加飾すれば得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形同時加飾
方法等によってシートを成形して立体物の非平面を加飾
できる成形用加飾シートと、それを用いた加飾成形品に
関する。詳しくは、伸びた部分でも色調の変化が目立ち
難い成形用加飾シートと、それを用いた加飾成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、樹脂成形物等の被着体の表面
を加飾した加飾成形品が各種用途で使用されている。例
えば、特公昭50−19132号公報等に開示の射出成
形同時加飾方法では、樹脂成形物の成形と同時にその表
面に成形用加飾シートを積層一体化する事で、表面が加
飾された加飾成形品が得られる。なお、成形用加飾シー
トには、ラミネートタイプと転写タイプとがあり、前者
では成形用加飾シートの全層を樹脂成形物に積層させて
加飾し、後者では成形用加飾シートの全層を積層後、基
材シートのみを剥離して基材シート上の転写層のみを樹
脂成形物側に残して転写することで加飾する。
【0003】また、既に成形済み(つまり形状を有す
る)樹脂成形物等に対して、成形用加飾シートの積層や
転写で加飾して加飾成形品とする方法としては、特公昭
56−45768号公報、特公昭60−58014号公
報等に開示の所謂真空成形積層法を用いる加飾方法があ
る。この方法では、樹脂成形物等の被着体上に成形用加
飾シートを載置し、被着体側からの真空吸引による圧力
差により成形用加飾シートを成形して積層し、転写の場
合はその後、基材シートのみを剥離する事で、加飾成形
品が得られる。
【0004】そして、上記いずれの場合に於いても、成
形用加飾シートはシートを伸ばして加飾する事から、伸
びた部分は厚みが薄くなる為に、得られる加飾成形品は
(シートが伸びた部分で)被着体の色の影響を受けやす
かった。それは、伸ばされた成形用加飾シートの部分で
は、その着色した絵柄インキ層等の厚みが薄くなりその
隠蔽性が低下する為であった。例えば、図7の概念的な
断面図で示す如く、被着面が凹凸面の被着体7に成形用
加飾シートSを積層して加飾成形品Pとすると、矢印で
示す凸角や凹角の部分が、延伸大となり、シートの隠蔽
性の低下が大きい。その為、被着体自体の色が、成形用
加飾シートの隠蔽性が低下した部分を透過して見える
為、周囲と色が異なってしまう。この為、この様な色の
変化を避ける為に、成形用加飾シートの基材シートに顔
料等の着色剤を添加したり、絵柄インキ層として顔料等
の着色剤を含む着色隠蔽層等を設けたりしていた。或い
は、逆に基材シートの隠蔽性を落として、その代わり樹
脂成形物等の被着体の色で加飾成形品の全体の色を表現
する、すなわち表現すべき色に樹脂成形物の色を合わせ
る等していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の様に
して成形用加飾シートの隠蔽性をいくら上げても、成形
によって不均一に伸びると、大きく伸びた部分と伸びて
いない部分との色差が出てしまう事が多かった。また、
基材シート自体に着色剤を添加して隠蔽性を付与する方
法は、基材シートの表面側に絵柄インキ層を設ける、所
謂表刷りラミネ−ト加飾シートには適用可能であるが、
基材シートの裏面に絵柄インキ層を設ける、所謂裏刷り
ラミネ−ト加飾シートには、絵柄の透視が不能となる
為、適用不可である。その為、この手法の適用範囲には
大きな制約が有った。また、樹脂成形物の色を、加飾成
形品で表現する全体の色に合わせる場合では、色差は小
さくなるが、種々の色を表現するために、樹脂成形物の
樹脂の色調整(色合わせ)が必要となり、また、加飾成
形品の品番が変(替)わる毎に、樹脂の配色と色調整が
必要となり、生産効率が低下し、コトスアップに繋がっ
た。また、被着体が樹脂成形物の場合にはこの様な色調
整もできるが、被着体が木質板等では、ベースコートを
設ける等しない限り色調整は不可能であった。
【0006】そこで、本発明の課題は、実質的な隠蔽性
により、伸びた部分でも被着体の色調に影響されず、色
調の変化が目立ち難い成形用加飾シートを提供する事で
ある。また、この成形用加飾シートにより、シートが伸
びた部分でも被着体の色調に影響されずに色調の変化が
目立ち難い加飾成形品を提供する事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の成形用加飾シートでは、透明熱可塑性
樹脂基材シートに、少なくとも、樹脂中に着色剤を含有
する隠蔽層と、樹脂中に着色剤を含有し前記隠蔽層と同
色相で且つ隠蔽層よりも濃い色を持った着色層とを、こ
の順に積層してなる構成とした。この様な構成におい
て、成形用加飾シートの全層を被着体に積層一体化する
様に使用すれば裏刷り仕様(被着体積層時は、隠蔽層よ
りも透明熱可塑性樹脂基材シートが表側となる)のラミ
ネ−トシートとなり、(透明)熱可塑性樹脂基材シート
を離型性として、積層一体化後、該基材シートのみを剥
離する様に使用すれば、転写シートとなる。そして、ラ
ミネ−ト及び転写のいずれの場合でも、成形用加飾シー
トが伸びた事により隠蔽層の隠蔽性が落ちた部分では、
その下側となる着色層が見え出すので、着色層の色によ
り補佐され、色調の変化を抑えることができる。従っ
て、色調の変化が目立ち難くなる。
【0008】また、本発明の成形用加飾シートの別の形
態では、表側から順に、少なくとも、樹脂中に着色剤を
含有する隠蔽層と、樹脂中に着色剤を含有し前記隠蔽層
と同色相で且つ隠蔽層よりも濃い色を持った着色層と
が、熱可塑性樹脂基材シートに積層してなる構成とし
た。この構成は表刷り仕様(被着体積層時は熱可塑性樹
脂基材シートよりも隠蔽層が表側)のラミネ−トシート
となり、上記形態の場合と同様に、伸びた事により隠蔽
層の隠蔽性が落ちた部分では、その下側となる着色層が
見え出すので、着色層の色により補佐され、色調の変化
を抑えることができる。従って、色調の変化が目立ち難
くなる。
【0009】また、本発明の加飾成形品は、上記いずれ
かの成形用加飾シートの積層又は転写により、該成形用
加飾シートの着色層が隠蔽層よりも被着体側となる様
に、少なくとも該着色層及び隠蔽層が被着体に積層して
なる構成とした。この様な構成とする事で、加飾成形品
の表現する色が、成形用加飾シートが伸ばされた部分で
隠蔽層の隠蔽性が落ちた部分では、隠蔽層の下側の着色
層が見え出すので、着色層の色により補佐され、色調の
変化を抑えることができる。従って、色調の変化が目立
ち難くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明する。なお、図1は、本発明の成形
用加飾シートの代表的な形態例を例示する断面図、図2
は本発明の成形用加飾シートの別の形態例を例示する断
面図、図3は本発明の加飾成形品を例示する断面図であ
る。また、図4は、加飾成形品を得る方法として射出成
形同時加飾方法を或る一形態で説明する概念図である。
図5は、加飾成形品を得る別の方法として真空成形積層
法を或る一形態で説明する概念図である。また、図6
は、表刷り使用のラミネ−トとなる本発明の成形用加飾
シートの形態例を例示する断面図である。また、図7
は、成形用加飾シートを被着体に積層時に延伸が大きい
部分を概念的に例示する断面図である。
【0011】成形用加飾シート:本発明の成形用加飾シ
ートSは、図1及び図6にその代表的な一形態を例示す
る如く、(透明)熱可塑性樹脂基材シート1乃至は1a
に、少なくとも、樹脂中に着色剤を含有する隠蔽層2
と、樹脂中に着色剤を含有し前記隠蔽層と同色相で且つ
隠蔽層よりも濃い色を持った着色層3との2層が、この
順に積層してなる構成のシートであり、更に図1に例示
するものは、透明熱可塑性樹脂基材シート1と隠蔽層2
との間に絵柄インキ層4も積層した構成のシートであ
る。なお、もちろんの事、用途次第では、絵柄インキ層
無しの、隠蔽層と着色層と熱可塑性樹脂基材シートの必
須構成要素のみの成形用加飾シートで、被着体を加飾す
る事もできる。
【0012】そして、透明熱可塑性樹脂基材シート1を
離型性として、隠蔽層2と、着色層3と、更に図1の様
に絵柄インキ層4等も有する場合は該絵柄インキ層4等
も含めた層を転写層5として、被着体に成形用加飾シー
トを積層後に透明熱可塑性樹脂基材シート1は剥離除去
する形態で用いれば、転写タイプの成形用加飾シートと
なる。また、これら全ての層間密着性を有するシートと
して、成形用加飾シート全層を被着体に永久的に積層す
る形態で用いれば、(裏刷り仕様の)ラミネ−トタイプ
の成形用加飾シートとなる。なお、図1では上方が表面
側、すなわち樹脂成形物等の被着体上に加飾した際の最
外層である。また、図1では下方が裏面側、すなわち被
着体と接着する側である。なお、図1及び下記する図2
の成形用加飾シートSでは、図示簡略化の為に便宜上、
ラミネ−トタイプ(ラミネ−トシート)と転写タイプ
(転写シート)との成形用加飾シートを同時に表してあ
る。
【0013】また、本発明の成形用加飾シートは、図2
に例示する如く、図1の構成に対して更に、着色層の次
(裏面側)に、接着剤層6を積層した構成としても良
い。接着剤層を設けた構成は、被着体との接着性を向上
させる構成として好ましい。また、図6に例示する如
く、熱可塑性樹脂基材シート1aの表側に、該基材シー
ト側から順に着色層3と、隠蔽層2とを少なくとも積層
すれば、表刷り仕様のラミネ−トとしての成形用加飾シ
ートSとなる。なお、同図の構成は、更に絵柄インキ層
4を最表面に、接着剤層6を最裏面に積層した構成であ
る。
【0014】〔熱可塑性樹脂基材シート〕透明熱可塑性
樹脂基材シート1又は熱可塑性樹脂基材シート1a(以
下、両方を総称して単に(透明)熱可塑性樹脂基材シー
トとも言う)としては、成形性を有する基材シートとす
る為に、(透明)熱可塑性樹脂からなる樹脂シートであ
れば特に制限は無い。(透明)熱可塑性樹脂基材シート
としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−
イソフタレート共重合体等の熱可塑性ポリエステル樹
脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アク
リル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重
合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体
〔但し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタ
クリル酸の意味〕等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブ
テン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の
オレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、塩化
ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、A
BS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合
体)樹脂、ウレタン系等のその他の熱可塑性エラストマ
ー、等の熱可塑性樹脂のシートの単層又は異種樹脂の2
層以上の積層体が用いられる。なお、(透明)熱可塑性
樹脂基材シートの厚みは特に限定されないが、一般的に
はラミネ−トタイプでは30〜200μm程度であり、
転写タイプでは20〜100μm程度である。
【0015】(透明)熱可塑性樹脂基材シートは、図1
及び図2の如く、隠蔽層と着色層が熱可塑性樹脂基材シ
ートの裏面側に位置するラミネ−トタイプ(裏刷り仕様
のラミネートシート)の場合は、隠蔽層による装飾効果
を出す為に、当然に透明又は半透明とするが、逆に隠蔽
層と着色層が熱可塑性樹脂基材シートの表面側に位置す
るラミネ−トタイプ(表刷り仕様のラミネ−トシート)
の場合、及び転写タイプの場合はもちろん不透明でも良
い。但し、後者の場合、すなわち、表刷り仕様のラミネ
−トシートの場合では(図6参照)、熱可塑性樹脂基材
シートの透明性は有っても無くても良いが、成形用加飾
シートを被着体に積層一体後、隠蔽層及び着色層よりも
熱可塑性樹脂基材シートが被着体側となるので、これで
は熱可塑性樹脂基材シートを隠蔽層及び着色層等の保護
層として利用できない。これに対して、図1及び図2の
如き成形用加飾シートでは、被着体に積層され状態で、
熱可塑性樹脂基材シートが隠蔽層及び着色層の保護層と
して利用出来る利点がある。
【0016】また、表刷り仕様の場合は、熱可塑性樹脂
基材シート中に顔料等の着色剤を添加して、該基材シー
ト自体を隠蔽性(隠蔽層)とすれば、容易に厚く出来る
該基材シートによって、伸びても隠蔽性が低下しない隠
蔽層として利用でき、本発明の様に別に隠蔽層及び着色
層を設ける必要もなくなる場合もある。しかし、樹脂及
びロット数量等の点から、熱可塑性樹脂基材シートとし
て着色剤無添加の無着色の樹脂シートしか容易に入手で
きない場合もあり、この様な場合では、本発明の様な隠
蔽層と着色層を設ける構成が活きてくる。
【0017】もちろん、表刷り仕様のラミネートシート
の場合であっても、熱可塑性樹脂基材シートの表側とす
る面に着色層、隠蔽層、(或いは更に絵柄インキ層等)
をこの順に設け、更に最外層として透明樹脂等からなる
保護層を設けても良い。また、熱可塑性樹脂基材シート
がその樹脂自体の性質により透明性が十分でなかった
り、不透明であったりして、熱可塑性樹脂基材シートの
裏側に絵柄インキ層、隠蔽層等の装飾目的の層を設けら
れない時は、耐擦傷性等の表面物性の問題がでる可能性
はあるが、表刷り仕様の方が良い。
【0018】なお、図1、図2の如き裏刷り仕様でラミ
ネートタイプの成形用加飾シートでは、透明熱可塑性樹
脂基材シート1の樹脂中に顔料等の着色剤を練り込ん
で、熱可塑性樹脂基材シートを着色透明とする装飾処理
を施しても良い。また、図1及び図2の如き裏刷り仕様
でラミネートタイプの成形用加飾シートでは、透明熱可
塑性樹脂基材シートの樹脂中には、必要に応じて、適
宜、ワックス、シリコーン樹脂等の滑剤、シリカ、球状
α−アルミナ等の粒子からなる減磨剤、ベンゾトリアゾ
ール系、ベンゾフェノン系、微粒子酸化セリウム系等の
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の
光安定剤、可塑剤、熱安定剤、等の各種添加剤を、物性
調整の為に添加しても良い。
【0019】また、図6の如き表刷り仕様のラミネ−ト
タイプの成形用加飾シートの場合では、熱可塑性樹脂基
材シートの樹脂中に顔料等の着色剤が練り込こまれて、
着色された熱可塑性樹脂基材シート1aを使用しても良
い。この場合、着色は不透明でも良い。また、樹脂中に
は上記各種添加剤を物性調整の為に添加しても良い。
【0020】なお、転写タイプの成形用加飾シートで
は、熱可塑性樹脂基材シートには転写層との離型性を有
するシートを用いることになる。この為に必要に応じ
て、熱可塑性樹脂基材シートは、その転写層側に、転写
層との離型性を向上させる為、離型層を設けた構成の熱
可塑性樹脂基材シートとする。離型層は熱可塑性樹脂基
材シート剥離時に該基材シートの一部として、転写層か
ら分離し剥離除去される。離型層には、例えば、シリコ
ーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹
脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又は2種以
上の混合物が用いられる。離型層は、上記樹脂を含むイ
ンキ(又は塗液)を用いたグラビア印刷(又はロールコ
ート)等の公知の印刷法(又は塗工法)等で(離型性が
不足する)熱可塑性樹脂基材シート上に形成すれば良
い。
【0021】〔隠蔽層〕隠蔽層2としては、顔料や染料
等の着色剤を樹脂中に含有させた隠蔽性の層として形成
すれば良い。例えば、上記熱可塑性樹脂基材シートと同
様の樹脂に着色剤を混練して成膜した樹脂シートを、熱
可塑性樹脂基材シートの裏面側に接着剤(例えば2液硬
化型ウレタン樹脂等)を用いたドライラミネーション、
熱プレス融着、熔融押出塗工(エクストルージョンコー
ト)等で積層するか、或いは、バインダー樹脂等からな
るビヒクル中に着色剤を添加したインキ(乃至は塗料)
を、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷(乃至
は塗工)法で層形成しても良い。なお、表刷り仕様のラ
ミネ−トシートの場合には、後述する着色層が形成され
た後の熱可塑性樹脂基材シートに対して、上記と同様に
して形成すれば良い。
【0022】着色剤としては、二酸化チタン、アンチモ
ン白、カーボンブラック、アルミニウム箔粉、真鍮箔粉
など、良く知られた隠蔽用顔料から適宜選択したもの用
いれば良く、特に制限は無い。また、これらに更に必要
に応じて、所望の色相を付与する為、弁柄、黄鉛、群
青、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニン
ブルー等の各種顔料を添加しても良い。
【0023】バインダーの樹脂としては、ポリ(メタ)
アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポ
リ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチ
ル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アク
リル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸
メチル−2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アク
リル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチル−スチレン共重合体等
のアクリル樹脂〔但し、(メタ)アクリル酸とは、アク
リル酸又はメタクリル酸の意味〕、塩化ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を用いる。
なお、これら樹脂は単独又は2種以上の混合物として用
いる。
【0024】隠蔽層は、樹脂成形物等による被着体の下
地色等の裏側を隠蔽する事を目的とした層である。この
隠蔽層によって、成形用加飾シートが樹脂成形物等の被
着体にラミネ−トされた時、或いは転写にて隠蔽層及び
着色層等からなる転写層のみが被着体に積層された時
に、得られる加飾成形品の加飾面の色調を、被着体の色
調等の裏側に影響されずに、後述の着色層との協同作用
によって、成形用加飾シート独自で表現できる様にする
層である。隠蔽層の厚さは、1〜100μm程度であ
る。薄すぎても隠蔽効果が得られず、また厚すぎれば、
少々伸ばされた程度では隠蔽性が低下せず、なにも着色
層を設ける必要が無くなり、その厚い隠蔽層によってコ
スト高となってしまう。本発明では、隠蔽層をさほど厚
くせずに着色層で実質的な隠蔽性を持たせる点に意味が
あるからである。
【0025】〔着色層〕着色層3としては、顔料や染料
等の着色剤を樹脂中に含有させて着色された層として、
隠蔽層2と同色相で且つ濃い色(すなわち、高彩度、低
明度、又はこれら両方)に形成すれば良い。なお、本発
明で言う同色相とは、全く同一の色相ではなくても良
い。あくまでも、隠蔽層の隠蔽性の不足を補うことが目
的だからである。その為、多少の着色層と隠蔽層との色
差は許容できる。隠蔽層と着色層との色差は、CIE
(国際照明委員会)規定のL* * * 表色系による色
差値で評価して、{(Δa* 2 +(Δb* 2 1/2
≦10程度であれば良い。層形成は、前記隠蔽層で述べ
たと同様の方法で形成すれば良い。すなわち、樹脂シー
トのドライラミネーション、熱プレス融着、或いは熔融
押出塗工(エクストルージョンコート)等によって(上
記隠蔽層形成済みの)透明熱可塑性樹脂基材シートの裏
面側に積層、或いは、インキ(乃至は塗料)を公知の印
刷(乃至は塗工)法で層形成すれば良い。なお、表刷り
仕様のラミネ−トシートの場合は、隠蔽層形成前の熱可
塑性樹脂基材シートの表側面に対して、上記同様に形成
すれば良い。
【0026】着色層に用いる着色剤としては、隠蔽層と
同色相で且つ濃い色となる様な着色剤を使用すれば良
く、この他は特に制限は無い。また、隠蔽性も必ずしも
必要では無い。従って、使用する着色剤としては、前記
隠蔽層のところで列記した如き着色剤を用いても良い
し、その他の着色剤を用いても良い。また、着色層の厚
さは、1〜100μm程度である。薄すぎると着色層自
体の色が薄くなって、伸ばされたときの隠蔽層を補佐す
る効果が十分に得られない。また厚すぎても、過剰性能
となりコスト高となるだけである。この様な着色層を
(加飾成形品に於いて)隠蔽層の下側となる様に設ける
ことで、隠蔽層が伸ばされて隠蔽性が低下した時に、下
から濃い色の着色層が見え始めて、隠蔽性の低下が着色
層の色によって補佐されて、色調の見た目の変化を抑え
ることが可能となる。
【0027】〔その他の層:絵柄インキ層〕図1及び図
2で例示する絵柄インキ層4は、通常は模様や文字等と
パターン状の絵柄を表現する層である。絵柄インキ層
は、必要に応じて、熱可塑性樹脂基材シートの表面、裏
面、表裏両面に、公知のインキと印刷法等によって形成
する。(裏刷り仕様のラミネ−トシートとしての成形用
加飾シートの場合、隠蔽層と着色層は熱可塑性樹脂基材
シートの裏側に形成されるが、絵柄インキ層は該基材シ
ートの表側に形成しても良い。本明細書での裏刷りと表
刷りとは、絵柄の形成面を指すのでは無く、隠蔽層と着
色層の形成面を指す。)なお、転写シートの場合、絵柄
インキ層の形成面はもちろん裏側のみである。絵柄イン
キ層の絵柄は用途に応じたものとすれば良く、例えば、
木目柄、石目柄、布目柄、砂目柄、文字、幾何学模様等
のパターン柄である。なお、本発明では隠蔽層を全面ベ
タ柄として使用できるので、絵柄インキ層として全面ベ
タ柄の全ベタ層は無くても良いが、全ベタ層を設けても
良い。絵柄インキ層としての全ベタ層は、表現する絵柄
の発色を考慮した着色剤を使用し、隠蔽層には隠蔽性を
考慮した顔料等の着色剤を使用する等、目的により着色
剤を使い分けたりする等の場合である。
【0028】〔その他の層:接着剤層〕接着剤層6は、
成形用加飾シートと樹脂成形物等の被着体との接着性が
不足する場合に、成形用加飾シートの被着体と接する側
の面(裏面)に、必要に応じ適宜設ける。また、接着向
上には、コロナ放電処理等の公知の各種易接着処理をこ
の接着剤層と併用、又は併用せずに単独処理しても良
い。接着剤層は、用途に応じて、公知の材料及び方法で
形成すれば良い。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩素化ポリプロ
ピレン等の樹脂を、ロールコート等の公知の塗工法で、
厚さ1〜10μm程度に、例えば熱融着層として形成す
れば良い。
【0029】〔転写層〕なお、成形用加飾シートを転写
タイプとする場合には、上記隠蔽層2及び着色層3と
が、少なくとも転写層5を構成する。しかし、転写層5
としては、図1及び図2でも例示した如く、絵柄インキ
層4や上記接着剤層6の他に、図示はしないが、熱可塑
性樹脂基材シート1と転写層5との離型性を適度な度合
いに調整する為、転写後の表面保護の為等に、剥離層を
熱可塑性樹脂基材シート1に接する層として設けても良
い。剥離層は、転写後は転写層として被着体側に残る。
剥離層は、アクリル樹脂等の公知の材料及び印刷法等の
公知の形成方法で形成すれば良い。
【0030】加飾成形品 本発明の加飾成形品は、図3に例示する加飾成形品Pの
如く、前述した本発明の成形用加飾シートSのラミネ−
ト又は転写により、その着色層3を隠蔽層2よりも被着
体7側にして、被着体7の表面が加飾された成形品であ
る。図3に例示の加飾成形品Pは、図1に例示の成形用
加飾シートSをラミネ−トシートとして、その全層が被
着体7に積層した構成の成形品である。なお、図1の成
形用加飾シートSを転写シートとして用いる場合には、
図3の加飾成形品Pに於いて、熱可塑性樹脂基材シート
1が剥離除去された構成となる。なお、加飾成形品は、
通常、成形用加飾シートの積層又は転写による加飾面が
凹凸面等と非平面の立体物である。しかし、本発明の加
飾成形品としては、加飾面は平面だが他の面が非平面の
立体物、加飾面が平面となる板状物を排除するものでは
ない。
【0031】被着体7は、射出成形同時加飾方法で加飾
成形品を得る場合では、該加飾成形品の成形と同時に形
を成す樹脂成形物であるが、真空成形積層方法等で加飾
成形品を得る場合には、加飾成形品の製造の前に既に形
を成す立体物であり、該立体物は樹脂成形物の他、例え
ばMDF(中密度繊維板)等の木質系、鉄等の金属系、
或いはセラミックス等の非金属無機質系等の立体物が可
能である。
【0032】被着体となる樹脂成形物を成す樹脂として
は、特に制限はなく公知の樹脂で良い。樹脂は製品の要
求物性やコスト等に応じて選定すれば良い。例えば、熱
可塑性樹脂であれば、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、アク
リル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、或
いはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
メチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可
塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂等である。
また、硬化性樹脂であれば、2液硬化型の樹脂、例え
ば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ
樹脂等の未硬化樹脂液等である。なお、射出成形同時加
飾方法に於いては、熱可塑性樹脂は加熱熔融して流動状
態でキャビティ内に射出し冷却固化させる。また硬化性
樹脂は(その未硬化物を)室温又は適宜加熱して流動状
態で射出し、架橋、重合を行い固化させる。また、樹脂
は公知の着色剤で着色しても良い。
【0033】加飾成形品の製造方法:次に、本発明の加
飾成形品を得る好ましい方法として、いわゆる射出成形
同時加飾方法と真空成形積層方法とを、ここで説明して
おく。
【0034】本発明の加飾成形品を製造する方法として
は、前述本発明の成形用加飾シートが使用する方法とし
て、いわゆる射出成形同時加飾方法は好適な方法の一つ
である。しかし、この他、用意できる製造設備、被着体
の種類等に応じて、適宜他の加飾方法で得る事も出来
る。例えば、木質系立体物等で既に形状が出来上がって
いる被着体に対する加飾法である。具体的には、特公昭
56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭6
0−58014号公報(真空プレス法)等に記載の所謂
真空成形積層方法等でも良い。もちろん、射出成形同時
加飾方法を採用する事が、成形と加飾とを同時に1工程
で出来、生産効率も良い等の点で好ましい。
【0035】〔射出成形同時加飾方法〕射出成形同時加
飾方法は、ラミネ−トと転写で大別すれば、特公昭5
0−19132号公報、特公昭43−27488号公報
等に記載されるように、ラミネ−トタイプの成形用加飾
シートを用いて、樹脂成形物の成形と同時にその表面に
成形用加飾シートを永久的に積層させる、所謂射出成形
同時絵付ラミネ−ト法、或いは、特開平6−3159
50号公報、特公平2−42080号公報等に記載され
るように、転写タイプの成形用加飾シートを用いて、樹
脂成形物の成形と同時にその表面に成形用加飾シートか
ら転写層のみを転写で積層させる、所謂射出成形同時絵
付転写法がある。ラミネ−トと転写は、加飾成形品の用
途や要求仕様等に応じて選択する。
【0036】射出成形同時加飾方法では、従来公知の各
種形態をとり得る。例えば、成形用加飾シートの予備成
形を行う形態でも行わない形態でも、いずれでも良い。
また、成形用加飾シートの予熱を行っても良く、行わな
くても良い。なお、予備成形時には通常は成形用加飾シ
ートは予熱する。もちろん、成形用加飾シートの絞りが
大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、成
形用加飾シートの絞りが少ない場合は、射出される流動
状態の樹脂の樹脂圧のみで成形用加飾シートを成形でき
る。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出
と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧で成
形用加飾シートを成形する事もある。また、樹脂圧で成
形用加飾シートを成形する場合でも、成形用加飾シート
は予熱せずに射出樹脂の熱を利用する事もある。また、
成形用加飾シートの予備成形は、通常は、射出成形型を
真空成形型と兼用するが、型間に成形用加飾シートを供
給する前に、型外部で別の真空成形型で成形用加飾シー
トを真空成形する様な予備成形でも良い。なお、真空成
形とは真空圧空成形も包含する。
【0037】図4の概念図によって、射出成形同時加飾
方法を、その或る一形態で説明する。なお、ここで説明
する形態は、型締めする前に、成形用加飾シートを型間
で加熱し軟化させて射出成形型で真空成形により予備成
形した後に、型締めして樹脂を射出する形態である。ま
た、この形態は、上記した成形用加飾シートの予備成
形、予熱の各種組合わせ形態の中で、成形用加飾シート
の絞りが深く伸びが大ききなる場合に、より好ましい形
態である。
【0038】先ず、図4(A)の如く、射出成形型とし
ては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口
(ゲート)を有する型Maと、キャビティ面に吸引孔4
1を有しシートの予備成形型を兼用する型Mbの一対の
成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラ
ミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb
間に成形用加飾シートSを供給し、型Mbに成形用加飾
シートSを平面視(図の右方からみた)形状が枠状のシ
ートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、
成形用加飾シートはその裏面側を、図面右側の射出樹脂
側に向ける事はもちろんである。次いで、適宜、両型間
に挿入したヒータ(図示略)で成形用加飾シートを加熱
軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、
接触加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成
形して、成形用加飾シートを型Mbのキャビティ面に沿
わせ予備成形する。なお、真空成形は圧空も併用する真
空圧空成形でも良く、これも包含する。次いで、ヒータ
を両型間から退避させ、図4(B)の如く両型を型締め
し、両型で形成さるキャビティに加熱熔融状態等の流動
状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって
固化した後、型開きして成形物を取り出す。
【0039】成形用加飾シートがラミネ−トシートの場
合は、成形用加飾シートの不要部分があれば適宜トリミ
ングすれば、例えば図3の様な、樹脂成形物(被着体
7)に成形用加飾シートSが積層され加飾された加飾成
形品Pが得られる。また、成形用加飾シートが転写シー
トの場合は、熱可塑性樹脂基材シートを型Mb側に残し
た状態で成形物を取り出すか、或いは、成形用加飾シー
ト全体が積層された状態で成形物を取り出し後、熱可塑
性樹脂基材シートを剥離すれば、転写層のみが積層され
て加飾された加飾成形品が得られる。
【0040】〔真空成形積層法の利用〕次に、本発明の
加飾成形品を得る別の一方法として、いわゆる真空成形
積層法を利用して、積層(ラミネ−ト)又は転写を行う
方法についても、ここで説明しておく。
【0041】真空成形積層法は、特公昭56−4576
8号公報、特公昭60−58014号公報等に開示の如
く、被着体上に成形用加飾シートを載置し、少なくとも
被着体側からの真空吸引による圧力差によって、成形用
加飾シートを被着体に押圧して成形して積層し、転写の
場合はその後、熱可塑性樹脂基材シートのみを剥離する
事で、加飾成形品を得る方法である。
【0042】図5は、この真空成形積層法の中でも、真
空プレス法の説明図である。真空プレス法は、オーバー
レイ法(真空ラミネート法)と似ているが、成形用加飾
シートの被着体への押圧に空気の圧力差以外に、弾性体
膜としてゴム状弾性膜の収縮力(収縮圧)も利用する
点、成形用加飾シートの加熱をヒータにより加熱された
ゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異なり、成形用加
飾シートの均一加熱とより強い押圧力等に特徴がある。
【0043】同図の概略構成図に示す真空プレス装置3
0は、上方には流体圧シリンダー等の上下動作手段13
によって上下に移動可能な上室11があり、上室11に
対面して下方に下室21がある。上室11の内部には赤
外線輻射型のヒータ12が配置されている。また上室1
1の下部開口面はゴム状弾性膜15にて全面が覆われて
いる。ゴム状弾性膜15には通常シリコーンゴム等が用
いられる。下室21はその上面が複数の排気孔23を有
する置き台22となっている。上室11及び下室21に
は、それぞれ給排気ポート14、24があり、それぞれ
の内部圧を独立に調整できる。真空プレス法では、先
ず、上室11が上方に移動して下室21と分離した状態
で、被着体Bを置き台22に配置し、さらに成形用加飾
シートSを被着体Bの上から配置する。その際、成形用
加飾シートSの接着側(裏面)が被着体Bと向き合う様
にする。接着剤を成形用加飾シートや被着体の外表面に
施しておく場合には、この段階で塗布等しておく。また
接着剤が溶剤を含む場合は、この段階で乾燥させてお
く。
【0044】次いで、上室11を下方に移動し下室21
に圧接し、上室11及び下室21を密閉する。図5はこ
の状態を示している。次に、給排気ポート24から排気
して下室21内を減圧し、上室11内を給排気ポート1
4から加圧する。さらに、ヒータ12を用いてゴム状弾
性膜15を通して成形用加飾シートSを加熱軟化させ成
形可能状態とする。この結果、成形用加飾シートSは上
室11と下室21との空気の圧力差及びゴム状弾性膜1
5の収縮圧により押圧されて、被着体Bの外表面に沿っ
て変形圧接され、成形用加飾シートSが被着体Bへ密着
していく。最後に、下室21の減圧を解除するとともに
上室11の加圧を解除して両室を大気圧にし、上室11
を上方に移動し上室11及び下室21を分離し、成形用
加飾シートSが貼着した被着体Bを取り出す。ラミネ−
トの場合は、成形用加飾シートSが積層した被着体Bが
そのまま加飾成形品となる。一方、転写の場合は、成形
用加飾シートの熱可塑性樹脂基材シートを剥離すると、
転写層が被着体に転写した加飾成形品が得られる。
【0045】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
詳述する。
【0046】〔実施例〕次の様にして、裏刷り仕様のラ
ミネートシートとして、図1の如き成形用加飾シートS
を得た。熱可塑性樹脂基材シート1としては、ポリメチ
ルメタクリレート系の透明なアクリル樹脂シート(厚さ
125μm)を用意した。この熱可塑性樹脂基材シート
の裏側とする面に、絵柄インキ層4として、グラビア3
色刷りによる木目柄の柄パターン層と、木目の色調を表
現する為の薄い茶色の全ベタ層とをこの順にグラビア印
刷で形成した。なお、柄パターン層及び全ベタ層に用い
たインキは、バインダーの樹脂がアクリル樹脂と塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体との1対1重量比の混合物
で、着色剤には、弁柄、カーボンブラック、及びインイ
ンドリノンを主体とするインキを用いた。
【0047】次に、隠蔽層2として、バインダーの樹脂
がアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との
1対1重量比の混合物で、着色剤はチタン白(ルチル
型)、弁柄、カーボンブラック、及び黄鉛を主体とする
インキをグラビア印刷して、薄い茶色の厚さ4μmの層
を全面に形成した。
【0048】次に、着色層3として、バインダーの樹脂
は上記隠蔽層と同じだが、着色剤は弁柄、カーボンブラ
ック、及び黄鉛を主体(チタン白は無し)とするインキ
をグラビア印刷して、濃い茶色の厚さ4μmの層を全面
に形成して、本発明の成形用加飾シートとした。
【0049】そして、図4の概念図に示した様な射出成
形同時加飾方法によって、上記成形用加飾シートを樹脂
成形物の図7の如き形状の被着体7の成形と同時にその
表面に積層して一体化し、図3に示す如き、成形用加飾
シートS(の全層)がABS樹脂の樹脂成形物からなる
被着体7に積層された構成の本発明の加飾成形品Pを得
た。なお、射出樹脂には、着色剤としてカーボンブラッ
クが添加されており、被着体は黒色である。
【0050】〔比較例〕実施例に於いて、着色層の形成
を省略した他は、実施例と同様にして、成形用加飾シー
トを作成した。そして、実施例同様に、加飾成形品を作
成した。
【0051】〔性能評価〕成形用加飾シートの延伸率が
50%と100%に伸びた各々の部分について、加飾成
形品の外観の色調変化を目視で観察して評価した。その
結果、実施例では、延伸率が50%では、成形用加飾シ
ートの伸びは少なく、特に伸びた部分が伸び無い部分に
対して色調が変化する事はなかった。但し、後で説明す
る比較例でも分かる様に、実際には隠蔽層の隠蔽性が幾
分低下して、下の着色層の色が外観に影響しているが、
全く分からない程度である。更に、延伸率100%まで
伸ばした部分では、隠蔽層の隠蔽効果が1/2となり、
下地の着色層の濃い色が見え初めて、伸びた部分の色変
化による伸びない部分との色調差を、着色層が補正する
役割を発揮して、色調差は目立たなかった。しかし、比
較例では、下地としては着色層が無く、隠蔽層を単純に
持つだけで伸びた部分の隠蔽層は隠蔽効果が無くなった
ままとり、延伸率50%でも下地の樹脂成形物の黒色の
色が見え始め、伸びた部分と伸びていない部分とで色調
の差が付いてしまった。
【0052】
【発明の効果】本発明の成形用加飾シートによれば、
伸びたことにより隠蔽層の隠蔽性が落ちた部分では、そ
の下側となる着色層が見え出すので、着色層の色により
補佐され、色調の変化を抑える事ができる。従って、色
調の変化が目立ち難くなる。 本発明の加飾成形品によれば、上記本発明の成形用加
飾シートによって加飾してあるので、上記同様の効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形用加飾シートの一形態を例示する
断面図。
【図2】本発明の成形用加飾シートの他の形態例を例示
する断面図。
【図3】本発明の加飾成形品(ラミネ−トの場合)の形
態例を例示する断面図。
【図4】射出成形同時加飾方法を或る一例で説明する概
念図。
【図5】真空成形積層法を或る一例(真空プレス法)で
説明する概念図。
【図6】本発明の成形用加飾シートの他の形態例(表刷
り仕様)を例示する断面図。
【図7】成形用加飾シートを被着体に積層時に延伸が大
きい部分を概念的に例示する断面図。
【符号の説明】
1 透明熱可塑性樹脂基材シート 1a 熱可塑性樹脂基材シート 2 隠蔽層 3 着色層 4 絵柄インキ層 5 転写層 6 接着剤層 7 被着体(樹脂成形物等) 11 上室 12 ヒータ 13 上下動作手段 14 給排気ポート 15 ゴム状弾性膜 21 下室 22 置き台 23 排気孔 24 給排気ポート 30 真空プレス装置 41 吸引孔 42 シートクランプ Ma 射出成形型(雄型) Mb 射出成形型(雌型) M 加飾成形品 S 成形用加飾シート
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK01C AK25 AT00 AT00A AT00D BA04 BA07 BA10A BA10D CA13 CA13B CA13C EH36 GB16 GB71 GB81 HB01 HB31 JB16A JL01 JL10 JL10B JL10C JN01A JN02B JN02C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明熱可塑性樹脂基材シートに、少なく
    とも、樹脂中に着色剤を含有する隠蔽層と、樹脂中に着
    色剤を含有し前記隠蔽層と同色相で且つ隠蔽層よりも濃
    い色を持った着色層とを、この順に積層してなる、成形
    用加飾シート。
  2. 【請求項2】 表側から順に、少なくとも、樹脂中に着
    色剤を含有する隠蔽層と、樹脂中に着色剤を含有し前記
    隠蔽層と同色相で且つ隠蔽層よりも濃い色を持った着色
    層とが、熱可塑性樹脂基材シートに積層してなる、成形
    用加飾シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の成形用加飾
    シートの積層又は転写により、該成形用加飾シートの着
    色層が隠蔽層よりも被着体側となる様に、少なくとも該
    着色層及び隠蔽層が被着体に積層してなる加飾成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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