JP4202490B2 - 加飾成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば射出成形同時加飾方法に使用する加飾シートとして、樹脂成形物等の被着体の色調に左右され難い加飾が可能な加飾シートと、該シートで加飾した加飾成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂成形物の表面を加飾した加飾成形品が各種用途で使用されている。例えば、特公昭50−19132号公報等に開示の射出成形同時加飾方法では、樹脂成形物の成形と同時にその表面に加飾シートを積層一体化する事で、表面が加飾された成形品が得られる。なお、加飾シートには、ラミネートタイプと転写タイプとがあり、前者では加飾シート全体を樹脂成形物に積層させて加飾し、後者では加飾シート全体を積層後、基材シートのみを剥離して基材シート上の転写層のみを樹脂成形物側に残して転写することで加飾する。
【0003】
通常、この様な樹脂成形物等の被着体表面を加飾する為の加飾シートには、表面から順に、基材シートからなる第1層1と、印刷形成されたインキからなる絵柄層を有する第二層2と、全面に印刷(或いは塗工)形成された着色インキ(或いは着色塗液)からなる全ベタ層の第三層3とが、積層さた層構成のシートを使用する事が多い〔図1参照〕。そして、例えば、ラミネ−トタイプの加飾シートの場合の一例を述べれば、基材シートからなる第一層1には透明樹脂シートを使用して、その第二層2が第三層3に対して表側となる様に、着色剤で着色された樹脂成形物6等からなる被着体の表面に射出成形同時加飾方法等で積層し、第一層1は表面保護や塗装感等の付与に利用した加飾成形品Pとする〔図2(A)参照〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来は、上記絵柄層及び全ベタ層に用いる着色剤とてしは、全て有機顔料を用いるか、或いは全て無機顔料を用いるか、どちらかであった。
この為に、絵柄層及び全ベタ層を全て無機顔料を用いたインキや塗液を用いて印刷・塗工形成すると、着色剤の発色が悪く、いわゆる沈んだ感じの加飾しか出来なかった。これは、無機顔料では高彩度の色が出ない為であった。
一方、絵柄層及び全ベタ層に全て有機顔料を使用すると、上記発色の問題は解決するが、隠蔽性が劣る為に、加飾シートの積層又は転写で被着体を加飾した時に、被着体が着色している場合では、被着体の色の影響が出てしまう事があった。従って、樹脂成形物等の被着体の色も考慮した絵柄層及び全ベタ層とする必要があった。特に、被着体の色が黒色等と濃色の場合は、なおさらであった。また、被着体の加飾面が平面では無く三次元的な凹凸面の場合、射出成形同時加飾方法等によれば加飾できるが、この様な加飾シートが加飾面凹凸形状に伸ばされ成形される場合には、被着体の色の影響を受けやすかった。それは、伸ばされた加飾シートの部分では、絵柄層や全ベタ層の厚みが薄くなりその隠蔽性が低下する為であった。
そこで、上記絵柄層及び全ベタ層の着色剤を、有機顔料及び無機顔料の両者の混合物とすることも試みられたが、発色、隠蔽とも中途半端になり、やはり良好なものは得られ無かった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、隠蔽性により被着体の色調に影響されずに、加飾シート独自の所望の色調で、発色良く加飾できる加飾シートを提供する事である。また、この加飾シートを用いる等して、被着体の色調に影響され無い加飾成形品を提供する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の加飾成形品に用いる加飾シートでは裏刷り仕様の場合では、表面から順に、基材シートからなる第一層と、有機顔料を着色剤として含む絵柄層を有する第二層と、全面に形成された無機顔料を着色剤の主成分として含む全ベタ層からなる第三層とが、積層されている構成とした。この様に、絵柄層とその下となる全ベタ層とで含有させる着色剤の種類を変えて、全ベタ層からなる第三層には着色剤を無機顔料を主成分として使用する為に隠蔽性に優れ、樹脂成形物等の被着体の色調の影響を無くす事ができ、しかも、絵柄層には有機顔料を含有させる為に発色も良く、発色と隠蔽性とが両立する。
【0007】
なお、上記構成の加飾シートに対して更に、最裏面に、接着剤層が第四層として積層されている構成としても良い。第三層と被着体との接着性が不足する場合に接着性を向上できる。
【0008】
また、本発明の加飾成形品は、着色剤で着色された樹脂成形物の表面が、上記いずれかの加飾シートの積層により、該加飾シートの第三層が第二層よりも樹脂成形物側となる様にして、加飾されてなる成形品とした。この様な構成とする事で、加飾成形品の表現する色調が、被着体である樹脂成形物の色調の影響を受けず発色が良い成形品となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、図1は、本発明の加飾シートの代表的な形態例を例示する断面図(但し、従来技術の加飾シートの断面図とも兼用する)、図2及び図3本発明の加飾成形品を例示する断面図である。また、図4は、加飾成形品を得る方法として、射出成形同時加飾方法を或る一形態で説明する概念図である。更に、図5は、本発明の加飾シート、及び加飾成形品の別の形態を例示する断面図である。
【0010】
加飾シート
本発明の加飾シートSは、図1(A)に基本的な一形態を例示する如く、基材シートからなる第一層1と、有機顔料を着色剤として含む絵柄層を有する第二層2と、全面に形成された無機顔料を着色剤の主成分として含む全ベタ層の第三層3とが、この順に積層されている構成のシートである。そして、第一層1と第二層2との間を離型性として、第二層2及び第三層3を転写層5として、被着体に加飾シートを積層後に基材シートは剥離する形態で用いれば、転写タイプの加飾シートとなる。また、これら全ての層間密着性が有るシートとして、加飾シート全層を被着体に永久的に積層する形態で用いれば、ラミネ−トタイプの加飾シートとなる。図1の上方が表面側、すなわち樹脂成形物等の被着体上に加飾した際の最外層である。また、図で下方が裏面側、すなわち被着体と接着する側である。なお、図1(A)及び下記する図1(B)の加飾シートSでは、図示簡略化の為に便宜上、ラミネ−トタイプと転写タイプとの加飾シートを同時に表してある。
また、本発明の加飾シートは、図1(B)に例示する如く、図1(A)の構成に対して更に、第三層3の次(裏面側)に、接着剤層が第四層4として積層されている構成としても良い。被着体との接着性を向上させる構成として好ましい。
【0011】
〔第一層:基材シート〕
第一層1となる基材シートとしては、成形性の有る樹脂シートが代表的には用いられる。なお、成形性は必ずしも必須では無いが、射出成形同時加飾方法等によって加飾シートを伸ばす事で、凹凸面を加飾する際には必要である。
該樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートイソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味〕等のアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)樹脂、ウレタン系等のその他の熱可塑性エラストマー、等の熱可塑性樹脂のシートの単層又は異種材料の2層以上の積層体が用いられる。
なお、基材シートの厚みは特に限定されないが、一般的にはラミネ−トタイプでは30〜200μm程度であり、転写タイプでは20〜100μm程度である。
【0012】
基材シートは、図1の如く、絵柄層と全ベタ層が基材シートの裏面側に位置するラミネ−トタイプの場合は、透明又は半透明とするが、図5の如く、絵柄層と全ベタ層が基材シートの表面側に位置するラミネ−トタイプの場合、及び転写タイプの場合はもちろん不透明でも良い。なお、ラミネ−トタイプで図5の如き加飾シートが被着体に積層された状態で、絵柄層及び全ベタ層よりも基材シートが被着体側となる様に使用する加飾シート(いわゆる表刷り仕様)では、基材シートの透明性は問わ無いが、これでは基材シートを絵柄層等の保護層として利用できない。これに対して、図1の如き加飾シートでは、被着体に積層され状態で、基材シートが絵柄層及び全ベタ層の保護層として利用出来る。
【0013】
なお、図1の如きラミネートタイプの加飾シートでは、基材シートの樹脂中に顔料等の着色剤を練り込んで、基材シートを着色透明とする装飾処理を施しても良い。
また、図1の如きラミネートタイプの加飾シートでは、基材シートの樹脂中には、必要に応じて、適宜、ワックス等の滑剤、シリカ、球状α−アルミナ等の粒子からなる減磨剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、微粒子酸化セリウム系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、可塑剤、安定剤、等の各種添加剤を、物性調整の為に添加しても良い。
【0014】
なお、転写タイプの加飾シートでは、基材シートには転写層との離型性を有するシートを用いることになる。この為に必要に応じて、基材シートは、その転写層側に、転写層との離型性を向上させる為、離型層を設けた構成の基材シートとする。離型層は基材シート剥離時に基材シートの一部として、転写層から分離し剥離除去される。離型層には、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又は2種以上の混合物が用いられる。離型層は、上記樹脂を含むインキ(又は塗液)を用いたグラビア印刷(又はロールコート)等の公知の印刷法(又は塗工法)等で基材上に形成すれば良い。
また、転写タイプの加飾シートでの基材シートでは、不透明でも良いので、成形性次第では、紙、金属、不織布、織布等の樹脂シート以外のシート、或いはこれらに上記離型層や前記した樹脂からなる層を設けた積層体等でも良い。
【0015】
〔第二層:絵柄層〕
第二層2となる絵柄層は、通常は模様や文字等とパターン状の絵柄を表現する層であるが、全ベタ層となっていても良い。絵柄層の絵柄は任意であるが、絵柄としては、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄である。
絵柄層としては、有機顔料を着色剤の少なくとも一部として使用する他は、基本的には特に制限は無い。絵柄層は、通常は、印刷インキでグラビア印刷等の公知の印刷法により形成する。印刷インキのバインダーの樹脂は公知の物で良い。
【0016】
上記有機顔料は、表現すべき色調に合わせて公知の有機顔料を適宜選択使用すれば良く、基本的には特に制限は無い。例えば、例えば赤色では、キナクリドン、ペリレン、或いは、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等の各種アゾ顔料等、黄色では、イソインドリノン、或いは、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等の各種アゾ顔料等、青色では、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS等、黒色ではアニリンブラック等である。これらの有機顔料を絵柄層に含有させる事で、彩度が高く発色を良くできる。
なお、有機顔料の含有量は、絵柄層全量(バインダーの樹脂等を含む全て)に対して、通常は15重量%程度以上とするが、特に制限は無い。表現する色調に応じたものとすれば良い。
また、絵柄層に含有させる着色剤は、少なくとも有機顔料を使用するが、必要に応じて適宜、無機顔料も着色剤として併用しても良い。この無機顔料には、後述する全ベタ層で述べる物等を使用できる。
【0017】
なお、前記印刷インキのバインダーの樹脂は特に限定は無く、基材シートとの接着性、印刷適性、耐候性等の要求物性等に応じて選択すれば良いが、例えば、アクリル樹脂、熱可塑性又は2液硬化性ウレタン樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等の1種単独又は2種以上の混合物が使用される。基材シートにアクリル樹脂又は塩化ビニル樹脂を用いたラミネ−トタイプの加飾シートでの具体例としては、バインダーの樹脂として、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物を主成分として用いると、基材シートとの密着性、印刷適性、成形適性に優れる。なお、ここで、絵柄層に用いるアクリル樹脂としては、前記の基材シートのところで列記したものと同様のものの中から適宜選択する他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることも出来る。アクリルポリオールは、必要に応じて、更にスチレンを共重合させたアクリルポリオールにしても良い。また、上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20重量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。必要に応じ、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体に更にマレイン酸、フマル酸等のカルボン酸を共重合させても良い。アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合比は、アクリル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=1/9〜9/1(重量比)程度である。
【0018】
〔第三層:全ベタ層〕
第三層3となる全ベタ層は、無機顔料で着色された着色層であり、樹脂成形物等による被着体の下地色を隠蔽する着色隠蔽層である。この全ベタ層によって、加飾シートが樹脂成形物等の被着体にラミネ−トされた時、或いは転写にて絵柄層及び全ベタ層等の転写層のみが被着体に積層された時に、得られる加飾成形品等の加飾物の加飾面の色調を樹脂成形物等の被着体の色調に影響されずに、加飾シート独自で表現できる様になる。この為、全ベタ層に含有させる着色剤としては、隠蔽性に優れている無機顔料を主成分として使用する。全ベタ層は、無機顔料を着色剤の主成分として使用する他は、基本的には特に制限は無い。全ベタ層は、例えばインキを用いたグラビア印刷等の公知の印刷法、或いは塗液を用いたロールコート等の公知の塗工法により形成する。インキ或いは塗液のバインダーの樹脂は公知の物で良い。
【0019】
上記無機顔料としては、表現すべき色調に合わせて公知の無機顔料のなかから適宜選択使用すれば良く、特に制限は無い。例えば、赤色では、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等、黄色では、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等、青色では、紺青、群青、コバルトブルー等、黒色ではカーボンブラック等、白色では二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等であり、或いは光輝性顔料では、二酸化チタン被覆雲母、酸塩化ビスマス、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなるパール顔料等である。
なお、着色剤としては、隠蔽性の点から無機顔料のみを使用するのが好ましいが、所望の色調が得られない場合には、有機顔料を副成分としての範囲内で併用しても良い。この場合、使用する有機顔料は、表現すべき色調に合わせて公知の有機顔料のなかから適宜選択使用すれば良く、基本的には特に制限は無い。例えば、上記絵柄層で述べた様な有機顔料を使用する。また、全ベタ層を2層構成として、絵柄層に近い方の全ベタ層は、遠い方の全ベタ層に対して、副成分である有機顔料の割合をより多くする等しても良い。
また、無機顔料の含有量は、全ベタ層全量(バインダーの樹脂等を含む全て)に対して、通常は50重量%程度以上とすることが好ましい。添加量がこれよりも少ないと、隠蔽性が低下し、また添加量がこれよりも多いと、印刷適性等が低下する。
【0020】
全ベタ層形成に使用するインキ又は塗液のバインダーの樹脂としては、特に限定は無く、用途に応じた物を使用すれば良い。例えば、前記絵柄層で列記した様な樹脂の等の1種単独又は2種以上の混合物を使用すれば良い。例えば、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の混合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の単独樹脂等を用いる。
なお、全ベタ層の厚みは隠蔽性を出す事から、通常は塗布量で3〜5g/m2 程度とするが、これに限定されるものでは無い。塗布量が少なすぎると隠蔽性が十分に得られず、また逆に多すぎでもコスト高となるだけである。
【0021】
〔転写層〕
なお、加飾シートを転写タイプとするは場合には、上記絵柄層からなる第二層2及び全ベタ層からなる第三層3とが、少なくとも転写層5を構成する。しかし、転写層5としては、後述する接着剤層の他に、図示はしないが、基材シートと絵柄層との離型性を適度な度合いに調整する為に、剥離層を基材シートに接する層として設けても良い。この剥離層は、絵柄層を有する第二層に属する層とみる事もできる。もちろん、剥離層は転写層であるので、基材シート剥離後は、被着体側に残る層である。剥離層には、前記した絵柄層で列記した樹脂等が使用され、公知の印刷又は塗工法で形成する。
【0022】
〔第四層:接着剤層〕
加飾シートと樹脂成形物等の被着体との接着性が不足する場合には、加飾シートの被着体と接する側の面(裏面)に、接着性向上の為、コロナ放電処理、公知の各種プライマー塗工等の易接着処理を該裏面に施したり、或いは、この接着剤層をグラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工法で、第四層4として設けても良い。
接着剤層には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の公知の樹脂が用いられる。例えば、熱可塑性樹脂では、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン樹脂又はスチレン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム等のゴム系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。また、熱硬化性樹脂では、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。例えば、被着体がABS樹脂からなる場合で、全ベタ層がアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物が主成分の場合では、接着剤層もアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物が好ましい。接着剤層中に着色剤が不要なので、同類の樹脂系でも接着性が向上する。また、被着体がポリオレフィン樹脂からなる場合は、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
【0023】
なお、接着剤層の厚みは要求物性等に応じて適宜厚さとすれば良いが、通常1〜100μm程度である。また、接着剤層の形成方法は特に限定は無いが、通常は、上記樹脂を希釈溶剤で希釈した樹脂液からなるインキ又は塗液として、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工手段により形成する。
また、接着剤層中には、更に、インキ(又は塗液)の印刷(又は塗工)適性等の諸物性を調整、向上させる為に、必要に応じて、その他の副材料、例えば、体質顔料等の各種添加剤を添加しても良い。
【0024】
加飾シートの被着体
なお、上記した本発明の加飾成形品に用いる加飾シートによって、ラミネ−ト又は転写で加飾する被着体としては、代表的には樹脂成形物があり、その結果物が下記する本発明の加飾成形品である。しかし、該加飾シートの被着体としては、樹脂以外の材料からなる物品、例えばMDF(中密度繊維板)等の木質系、鉄等の金属系、或いはセラミックス等の非金属無機質系等の物品でも良い。
【0025】
加飾成形品
本発明の加飾成形品は、図2及び図3に例示する加飾成形品Pの如く、前述した本発明の加飾シートSのラミネ−ト又は転写により、その第三層3を第二層2よりも樹脂成形物6側にして、着色剤で着色された樹脂成形物が加飾された成形品である。図2の加飾成形品Pは、ラミネ−トにより加飾シートSの全層が樹脂成形物6に積層した構成の成形品であり、図3の加飾成形品Pは、転写により加飾シートSの転写層5のみが樹脂成形物6に積層した構成の成形品である。
【0026】
ちなみに、図2(A)の加飾成形品Pは、表側面から順に、基材シートからなる第一層1、有機顔料を着色剤として含む印刷等により形成された絵柄層を有する第二層2と、全面に印刷、塗工等により形成された無機顔料を着色剤の主成分として含む全ベタ層からなる第三層3が、着色剤で着色された樹脂成形物6に積層した構成である。一方、図2(B)の加飾成形品Pは、第三層3と樹脂成形物6との間に接着剤層が第四層4として介在する構成である。この接着剤層は、図2(B)では加飾シートSの構成要素として図示したが、樹脂成形物6側に施してから供給される事もある。図2(A)の加飾成形品Pに使用される加飾シートSは、図1(A)の加飾シートSに対応し、図2(B)の加飾成形品Pに使用される加飾シートSは、図1(B)の加飾シートSに対応する。
【0027】
次に、転写で得られる図3(A)の加飾成形品Pは、表側面から順に、有機顔料を着色剤として含む印刷等により形成された絵柄層を有する第二層2と、全面に印刷、塗工等により形成された無機顔料を着色剤の主成分として含む全ベタ層からなる第三層3が、着色剤で着色された樹脂成形物6に積層した構成である。一方、図3(B)の加飾成形品Pは、図2(B)同様に、第三層3と樹脂成形物6との間に接着剤層が第四層4として介在する構成である。この接着剤層も、図2(B)同様に、図3(B)では加飾シートSの構成要素として図示したが、樹脂成形物6側に施してから供給される事もある。
【0028】
なお、加飾成形品は、通常、加飾シートの積層又は転写による加飾面が凹凸面等と非平面の立体物である。しかし、本発明の加飾成形品としては、加飾面は平面だが他の面が非平面の立体物、加飾面が平面となる板状物を排除するものではない。
【0029】
なお、本発明の加飾成形品は、前述した加飾シートを使用する事によって容易に得られるが、構成が同一であれば、前記本発明の加飾シートを使用せずに製造された物を排除するものでは無い。例えば、樹脂成形物上の各層を塗装や手描きで形成した加飾成形品である。但し、もちろん、前述本発明の加飾シートを使用するのが、製造も容易で好ましい。また、この様な加飾シートで樹脂成形物を加飾して加飾成形品を製造する方法は、いわゆる射出成形同時加飾方法が好適である。しかし、本発明の加飾成形品を得る方法は、この射出成形同時加飾方法に限定されるものでは無い。例えば、被着体である樹脂成形物(に於ける加飾シートによる加飾面の形状)、用意できる製造設備等に応じて、適宜他の加飾方法で得る事も出来る。例えば、特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載の所謂真空成形積層方法等でも良い。もちろん、射出成形同時加飾方法を採用する事が、成形と加飾とを同時に1工程で出来、生産効率も良い等の点で好ましい。
【0030】
〔樹脂成形物〕
樹脂成形物6は、射出成形同時加飾方法で加飾成形品を得る場合では、該加飾成形品の成形と同時に形を成す成形物であるが、上記真空成形積層方法等で加飾成形品を得る場合には、加飾成形品の製造の前に既に形を成す成形物である。樹脂成形物を成す樹脂としては、着色剤で着色された樹脂であれば、特に制限はなく公知の樹脂で良い。樹脂は製品の要求物性やコスト等に応じて選定すれば良い。例えば、熱可塑性樹脂であれば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、或いはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂等である。また、硬化性樹脂であれば、2液硬化型の樹脂、例えば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の未硬化樹脂液等である。なお、射出成形同時加飾方法に於いては、熱可塑性樹脂は加熱熔融して流動状態でキャビティ内に射出し冷却固化させる。また硬化性樹脂は(その未硬化物を)室温又は適宜加熱して流動状態で射出し、架橋、重合を行い固化させる。
また、樹脂を着色する着色剤としては、特に制限は無く公知の着色剤で良く、無機顔料でも有機顔料でも、或いは染料等でも良い。例えば、無機顔料や有機顔料は前記絵柄層や全ベタ層で列記した顔料が使用できる。
【0031】
射出成形同時加飾方法
次に、本発明の加飾成形品を得る好ましい一つの方法である、いわゆる射出成形同時加飾方法について、ここで説明しておく。
【0032】
射出成形同時加飾方法は、ラミネ−トと転写で大別すれば、▲1▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、ラミネ−トタイプの加飾シートを用いて、樹脂成形物の成形と同時にその表面に加飾シートを永久的に積層させる、所謂射出成形同時絵付ラミネ−ト法、▲2▼或いは、特開平6−315950号公報、特公平2−42080号公報等に記載されるように、転写タイプの加飾シートを用いて、樹脂成形物の成形と同時にその表面に加飾シートから転写層のみを転写で積層させる、所謂射出成形同時絵付転写法がある。ラミネ−トと転写は、加飾成形品の用途や要求仕様等に応じて選択する。
【0033】
射出成形同時加飾方法では、従来公知の各種形態をとり得る。例えば、加飾シートの予備成形を行う形態でも行わない形態でも、いずれでも良い。また、加飾シートの予熱を行っても良く、行わなくても良い。なお、予備成形時には通常は加飾シートは予熱する。もちろん、加飾シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、加飾シートの絞りが少ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧のみで加飾シートを成形できる。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧で加飾シートを成形する事もある。また、樹脂圧で加飾シートを成形する場合でも、加飾シートは予熱せずに射出樹脂の熱を利用する事もある。また、加飾シートの予備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用するが、型間に加飾シートを供給する前に、型外部で別の真空成形型で加飾シートを真空成形する様な予備成形でも良い。なお、真空成形とは真空圧空成形も包含する。
【0034】
図4の概念図によって、射出成形同時加飾方法を、その或る一形態で説明する。なお、ここで説明する形態は、型締めする前に、加飾シートを型間で加熱し軟化させて射出成形型で真空成形により予備成形した後に、型締めして樹脂を射出する形態である。また、この形態は、上記した加飾シートの予備成形、予熱の各種組合わせ形態の中で、加飾シートの絞りが深い場合に、より好ましい形態である。
【0035】
先ず、図4(A)の如く、射出成形型としては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有する型Maと、キャビティ面に吸引孔41を有しシートの予備成形型を兼用する型Mbの一対の成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に加飾シートSを供給し、型Mbに加飾シートSを枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、加飾シートはその第二層よりも第三層をを、図面右側の射出樹脂側に近い様にする事はもちろんである。次いで、適宜、両型間に挿入したヒータ(図示略)で加飾シートを加熱軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、接触加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成形して、加飾シートを型Mbのキャビティ面に沿わせ予備成形する。なお、真空成形は圧空も併用する真空圧空成形でも良く、これも包含する。次いで、ヒータを両型間から退避させ、図4(B)の如く両型を型締めし、両型で形成さるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって固化した後、型開きして成形物を取り出す。
加飾シートがラミネ−トシートの場合は、加飾シートの不要部分があれば適宜トリミングすれば、例えば図2の様な、樹脂成形物6に加飾シートSが積層され加飾された加飾成形品Pが得られる。また、加飾シートが転写シートの場合は、基材シートを型Mb側に残した状態で成形物を取り出すか、或いは、加飾シート全体が積層された状態で成形物を取り出し後、基材シートを剥離すれば、例えば図3の様な、転写層のみが積層されて加飾された加飾成形品Pが得られる。
【0036】
その他の形態例
なお、本発明の加飾シート及び加飾成形品としては、基材シートの表面側に、全ベタ層及び絵柄層を形成した構成(表刷り仕様)のものを採用することも出来る。その代表的な例を図5に図示する。図5(A)の加飾シートSは、表面から順に、有機顔料を着色剤として含む絵柄層を有する第二層2、全面に形成された無機顔料を着色剤の主成分として含む全ベタ層からなる第三層3、及び、基材シートからなる第一層1を、この順に積層して成る構成である。各層の材料、形成方法等は図1(A)の場合と同様である。図5(B)は、図5(A)の加飾シートSを樹脂成形物6の表面に積層してなる加飾成形品Pである。樹脂成形物6は図2の場合と同様である。更に、図5(A)、図5(B)の構成のものに接着剤層からなる第四層4を、全ベタ層からなる第三層3の裏面側に形成することも出来る(図示略)。
また、図5(A)の構成の加飾シートSを転写シートとして用いる場合は、図5(C)の如く、加飾シートSの表面側に離型性の或るシートを支持体シート7として、一旦積層したものを用い、図5(D)の如く樹脂成形物6に積層した後、支持体シート7のみを剥離除去して加飾成形品Pを得る。第二層2、第三層3、及び第一層1が、転写移行する転写層5となる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
【0038】
〔実施例〕
次の様にして、図1(B)の如き構成の本発明の加飾シートSを得た。第一層1となる基材シートとして、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体系からなる透明なアクリル樹脂シート(厚さ125μm)を用意した。該基材シートの片面に第二層2として3色刷りによる木目柄の絵柄層、第三層3として隠蔽性の(1層からなる)全ベタ層、第四層4として接着剤層をこの順にグラビア印刷して形成した。絵柄層の着色剤には、有機顔料としてキナクリドンとイソインドリノンを使用し、さらにこれに無機顔料であるカーボンブラック及び二酸化チタン被覆雲母箔片からなるパール顔料を併用した。絵柄層の有機顔料比率(有機顔料が全着色剤に占める比率)は35重量%であった。全ベタ層の着色剤には、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン及びカーボンブラックを使用した。なお、全ベタ層の有機顔料比率は0重量%である。そして、絵柄層、全ベタ層及び接着剤層には、それぞれアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1重量比の混合樹脂系を用いた。また、印刷形成した層厚は全体で10μmであった。
【0039】
そして、図4の概念図に示した様な射出成形同時加飾方法によって、上記加飾シートを樹脂成形物からなる被着体の成形と同時にその表面に積層して一体化し、図2(B)に示す如き、加飾シートS(の全層)が樹脂成形物6に積層された構成の本発明の加飾成形品Pを得た。
なお、射出成形同時加飾方法は、加飾シートは射出成形型を真空成形型として、型間に供給後、シート温度110℃まで加熱し軟化させて真空成形で予備成形する形態によった。また、射出成形金型には、車両内装用のパネルで、幅40mm、長さ400mm、肉厚3mmの樹脂成形物が得られる金型で、雌型側にシート予備成形の為の吸引孔を有する型を用いた。また、射出樹脂には、着色剤としてカーボンブラックを添加した黒色のABS樹脂を使用した。そして、射出樹脂温度240℃、金型温度70℃の条件で樹脂を射出した。
【0040】
〔比較例1〕
実施例において、絵柄層の着色剤を、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、二酸化チタン被覆雲母箔片からなるパール顔料、及びカーボンブラックと全て無機顔料に変更し、有機顔料比率0重量%とした他は、実施例と同様にして加飾シートを作製した。そして、この加飾シートを用いて、実施例同様に、射出成形同時加飾を行って加飾成形品を得た。
【0041】
〔比較例2〕
実施例において、全ベタ層の着色剤には、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルーの有機顔料を使用(有機顔料比率は100重量%)した他は、実施例と同様にして加飾シートを作製した。そして、この加飾シートを用いて、実施例同様に、射出成形同時加飾を行って加飾成形品を得た。
【0042】
〔性能比較〕
加飾成形品の外観を実施例と各比較例を比較した。その結果、実施例では他の比較例1及び2に比べて、樹脂成形物の黒色の影響によって絵柄が黒ずむ事も無く、(主として全ベタ層による)隠蔽性は良好で、絵柄は高彩度であった。優れた意匠感の加飾成形品が得られた。一方、比較例1では、樹脂成形物の黒色による絵柄の黒ずみは無かったものの、絵柄自体が全体的に沈んだ発色となってしまい低彩度であった。また、比較例2では、下地の樹脂成形物の黒色が透けて見え、絵柄は全体として暗くなった。特に加飾シートが伸びた部分で被着体の色の影響が大きく、絵柄の色が加飾シート単体(伸びる前の加飾シート)と大きく変化してしまった。
【0043】
【発明の効果】
(1)本発明の加飾成形品に用いる加飾シートによれば、絵柄層とその下となる全ベタ層とで含有させる着色剤の種類を変えて、全ベタ層からなる第三層には着色剤を無機顔料を主成分として使用する為に隠蔽性に優れ、樹脂成形物等の被着体の色調の影響を無くす事が出来る上、絵柄層には有機顔料を含有させる為に発色も良く、発色と隠蔽性とが両立する。樹脂成形物等の被着体は例えば黒色等であっても、その色調に影響されずに、高彩度の意匠表現が可能である。また、接着剤層も第四層として設けておけば、被着体との接着性が不足する場合に接着性を向上できる。
(2)本発明の加飾成形品によれば、表現する色調が被着体である樹脂成形物の色調の影響を受けず発色が良い成形品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加飾シートの形態例を示す断面図。
【図2】本発明の加飾成形品(ラミネ−トの場合)の形態例を例示する断面図。
【図3】本発明の加飾成形品(転写の場合)の形態例を例示する断面図。
【図4】射出成形同時加飾方法を或る一例で説明する概念図。
【図5】本発明の加飾シート及び加飾成形品の別の形態例を説明する断面図。
【符号の説明】
1 第一層(基材シート)
2 第二層(絵柄層等)
3 第三層(全ベタ層)
4 第四層(接着剤層)
5 転写層
6 樹脂成形物
7 支持体シート
41 吸引孔
42 シートクランプ
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
P 成形品
S 加飾シート
Claims (4)
- 型開き状態の一対の射出成形型に加飾シートを供給し、加飾シートを型間で加熱し軟化させて、一方の射出成形型からの真空引きにより加飾シートを一方の射出成形型のキャビティ面に沿わせ予備成形した後に、射出成形型を型締めしてキャビティに熔融状態の樹脂を射出して加飾シートと樹脂とを接着する射出成形同時加飾方法において、表面から順に、透明基材シートからなる第一層と、有機顔料を着色剤として含む絵柄層を有する第二層と、全面に形成された無機顔料を着色剤の主成分として含む全ベタ層からなる第三層とが、積層されている加飾シートと着色剤が含有されている樹脂とを用いて射出成形同時加飾方法により成形された三次元形状の加飾成形品。
- 前記加飾シートが、前記全ベタ層からなる第三層面に接着剤層からなる第四層が積層されてなることを特徴とする請求項1記載の加飾成形品。
- 前記加飾シートの全ベタ層からなる第三層が、2層からなると共に副成分として有機顔料を含有するものであり、該第三層の前記絵柄層を有する第二層に近い方の全ベタ層が遠い方の全ベタ層に対して、有機顔料の含有割合が多いことを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾成形品。
- 前記絵柄層を有する第二層、前記全ベタ層からなる第三層及び前記接着剤層からなる第四層が、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1重量比の混合樹脂系であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾成形品。
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