JP2006281601A - 加飾成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより硬化させることができる加飾成形品の製造方法を提供する
【解決手段】 加飾成形品の製造方法は、加飾成形用シートLは基材シート2と前記基材シート2の表面に形成された樹脂模様層1、装飾層3とを含み、かつ、樹脂模様層1は紫外線阻害性物質と電子線硬化性樹脂とを含み、樹脂模様層150に電子線171を照射して樹脂模様層1をより硬化させた後に加飾成形用シートを成形機内のキャビティ部に挿入し、流動状態の樹脂で前記キャビティ部を充填し、流動状態の樹脂を固化させて樹脂成形物とし、前記樹脂成形物と前記加飾成形用シートとを一体化させることで加飾成形品を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、加飾成形品の製造方法、特に流動状態の樹脂を加飾成形用シートと一体化させて製造する加飾成形品の製造方法に関する。
従来から、樹脂成形物の表面を加飾した加飾成形品が各種用途で使用されている。このような加飾成形品は以下のような課題などを解決しやすい利点がある。
(1)射出成形で得られた成形品に対して更に、2頭スプレーガンで吹付塗装し、表面に模様の付いた塗装を施すことは出来るが、形状が決まった柄は出来ない。(2)或いは、筆、ハケ等を用い手書きで絵付けすれば、上記(1)の問題は解決し所望の絵柄は得られるが、製造原価、工程時間も更にかかり、量産には向かない。また、(1)や(2)では、射出成形工程の他に更に別工程が必要となりコストがかかる上、後から設ける模様は平面的で凹凸感(テクスチュア)、立体感、奥行感等が乏しい。
そこで、下記特許文献1には、成形版胴法による加飾成形品の製造方法が用いられている。この方法は、装飾層を有する熱可塑性樹脂から成る基材シートの表面に、硬化した樹脂模様層を有する加飾成形用シートを用意し、該加飾成形用シートを射出成形機のキャビティ内に挿入し、射出成型機のキャビティ内に流動状態の樹脂を充填し、該樹脂を固化させて樹脂成形物とすると共に、該樹脂成形物の表面に前記加飾成形用シートを接着して一体化させて加飾成形品とする方法である。
成形版胴法は、基材シートに電子線硬化性樹脂(の未硬化物)を成形版胴の凹部に充填させると共に該樹脂に基材シートを接触させ、該樹脂が基材シートと成形版胴との間に保持されている状態で電子線を照射して該樹脂を硬化させた後、基材シートを成形版胴から剥離する事で、基材シート上に該樹脂の硬化物からなる樹脂模様層を部分的に形成するという方法である。
具体的には、(1)表面に目的とする樹脂模様層自体による凹凸と該層表面の凹凸模様とによる凹凸形状と同形状且つ逆凹凸の凹凸形状を表面上に形成した円筒形状の成形版胴を用意し、これを軸芯の回りに回転させる。(2)連続帯状の基材シートを、該版胴の周速度と同速度で供給する。(3)該基材シートと該版胴とを、その間に電子線硬化性樹脂の未硬化液状組成物を介して重ね合わせて密着させ、該液状組成物が該版胴の少なくとも凹部を完全に充填する様にする。(4)その状態のままで電子線を照射して、該液状組成物を硬化させる。(5)而る後に、基材シートを、それに接着し且つ成形版胴上の凹凸形状が賦形された電子線硬化性樹脂の硬化物(樹脂模様層)と共に剥離除去するというものである。
基材シートと成形版胴とを、その間に電子線硬化性樹脂の未硬化液状組成物を介して重ね合わせて密着させる態様としては、先ず基材シート上に液状組成物を塗布し、次いで該塗布面が成形版胴表面に向くようにして、該基材シートを該版胴に重ね合わせる態様が挙げられる。成形版胴と基材シート間にある未硬化液状組成物への電子線の照射の態様としては、例えば、電子線に対して透明である基材シート側から照射する。
このようにして製造する成形版胴法による方式を図7に示す。図7の方式では、連続帯状の基材シート2は、巻出しロール100から、一対の送りニップローラ110を通して巻き出して、押圧ローラ120によって、成形版胴130に供給する。一方、成形版胴130の版面には、吐出口を上に向けたTダイ型の吐出ノズル140よって、電子線硬化性樹脂の未硬化樹脂液(未硬化液状組成物)150を塗布した後、版面上の凹部131からはみ出した余分な未硬化樹脂液150はドクターブレード160にて掻き取る。この後、先に説明した基材シート2が、押圧ローラ120によって成形版胴130の版表面に押し付けられる様にして供給される。そして、成形版胴130の版面周辺に設置した電子線照射器170から電子線171を、基材シート2を透して照射して、未硬化樹脂液150を硬化させて硬化物として樹脂模様層1を基材シート2上に形成するという方式である。そして、版面上で未硬化樹脂液150が硬化して樹脂模様層1となった後、剥離ローラ180によって成形版胴130から基材シート2を剥離すれば、基材シート2と、該基材シート2表面に部分的に形成された電子線硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂模様層1とからなる構成の積層シートLが得られる。この積層シートLは、接着剤層等を更に設ける等して、成形に用いられる加飾成形用シートとする。
特開2002−240078号公報
しかし、上記特許文献1に記載される成形版胴法では幾つかの課題が生じる場合がある。以下一例を説明する。近年、加飾成形品は多彩な意匠表現を要求され、樹脂模様の加飾性能を出すためさまざまな着色剤を導入する必要性が出てきている。また、装飾層と合わせて全体の意匠感を出すことが要求されている。さらに立体感のある意匠感としては装飾層に比較的明るい色(シルバーのようなメタリック等金属柄を含む)でベタ印刷を行い、樹脂模様層に黒色で凸状の印刷を行う場合がある。
このような意匠表現を出す際は上記特許文献1に記載されたような成形版胴法を用いると予め印刷されている装飾層が存在することによって樹脂模様層を硬化させるための電離放射線が遮蔽または減衰させられたり、電離放射線による基材シートの劣化をより促進させることもあった。
特に紫外線で樹脂模様層を硬化させる場合については、樹脂模様層に紫外線阻害性物質として着色剤が入ることにより樹脂模様層の硬化について樹脂模様層の内部の深い部分、すなわち電離放射線の照射元から遠い樹脂模様層の樹脂の硬化がより不十分になることがあった。
予め印刷されている装飾層に樹脂模様層を硬化させるための電離放射線が遮蔽または減衰させられ、硬化する前の樹脂模様層に紫外線を妨害する紫外線阻害性物質が含有されていると、樹脂模様層の樹脂の硬化がより不十分になり、樹脂模様層が完全に硬化しない場合がある。そのような不完全硬化状態により樹脂模様層が不完全硬化状態のまま加飾シートが形成され、不完全硬化状態のままの状態の加飾シートが成形機のキャビティへと加飾シートが挿入されると、樹脂模様層中の着色剤または不完全硬化状態の樹脂自体によって、成形機のキャビティ内部表面が汚染される場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより硬化させることができる加飾成形品の製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明は基材シートと、装飾層と、前記基材シートの表面に形成され、紫外線阻害性物質と電子線硬化性樹脂とを含む樹脂模様層と、を含む加飾成形用シートと、流動状態の樹脂と、を成形により一体化させて製造する加飾成形品の製造方法であって、前記樹脂模様層に対して電子線を照射して前記樹脂模様層を硬化させる樹脂模様層硬化工程と、前記硬化後に前記加飾成形用シートを成形機内のキャビティ部に挿入する挿入工程と、前記挿入後に前記流動状態の樹脂で前記キャビティ部を充填する充填工程と、前記流動状態の樹脂を固化させて樹脂成形物とし、前記樹脂成形物と前記加飾成形用シートとを一体化させる一体化工程とを含むことを特徴とする。
前記充填は、前記キャビティ部に前記流動状態の樹脂を射出して充填させると好適である。
前記紫外線阻害性物質は有色物質であると好適である。
前記紫外線阻害性物質は黒色物質であると好適である。
前記加飾成形用シートは、前記樹脂模様層が形成される面と形成されない面の両面を含むと好適である。
前記加飾成形用シートは、前記樹脂模様層の表面に凹凸模様が形成されてなると好適である。
前記加飾成形用シートは、前記樹脂模様層がその厚みの少なくとも一部以上が基材シート中に埋没してなると好適である。
前記加飾成形用シートは、前記基材シートに更に装飾処理が施されてなると好適である。
前記加飾成形用シートは、前記流動状態の樹脂と一体化される面に前記基材シートよりも前記樹脂成形物との密着性が大きい密着性樹脂層が形成されると好適である。
本発明によれば、加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより硬化させることができる加飾成形品の製造方法を提供することができる。
本発明者は、基材シートと、装飾層と、前記基材シートの表面に形成され、紫外線阻害性物質と電子線硬化性樹脂とを含む樹脂模様層と、を含む加飾成形用シートと、流動状態の樹脂とを成形により一体化させて製造する加飾成形品の製造方法加飾成形品の製造方法において、加飾成形用シートにおける樹脂模様層が紫外線阻害性物質を含有している場合について、鋭意検討した結果、樹脂模様層を硬化させるのに十分な量の電子線硬化性樹脂を含有させ、電子線による硬化を独自にまたは紫外線硬化と併用して行うことで加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより完全な硬化状態へと近づけることができ、その不完全硬化状態を原因として、成形機のキャビティ内部表面が汚染される不具合を与えてしまうことを防止することができることを見いだした。
すなわち、電子線であれば紫外線阻害性物質が含有されていたとしても、紫外線よりも紫外線阻害性物質に阻害されることが少なくなり、不完全硬化状態をより解消させ、加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより硬化させることができる。
「加飾成形品の製造方法」
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態については、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
「加飾成形用シート」
図1は、本実施形態で用いる加飾成形用シートの一形態を例示する平面図(図1(A))と断面図(図1(B))である。
図1(A)の平面図は、加飾成形用シートSを表側から見た図であり、電子線硬化性樹脂の硬化物から成る樹脂模様層1が、熱可塑性樹脂から成る基材シート2の表側面に部分的に形成されている様子を例示している。また、同図の加飾成形用シートでは、基材シート2の裏側には絵柄表現等の為の装飾層3もパターン状に部分的に形成されている。装飾層3は基材シートが透明な場合は基材シートを透視して見える。なお、同図では樹脂模様層1が成す平面視形状は全て正方形で、複数描いてあるが、もちろんのこと、その他の形状でも良く、また樹脂模様層は加飾成形用シートの成形性の点では分離独立して形成するのが好ましいが、部分的に形成されているが複数個に分離独立させずに連続していても良い。
そして、図1(B)の断面図では、加飾成形用シートSは、電子線硬化性樹脂と紫外線阻害性物質とを含みの硬化物から成る樹脂模様層1が、基材シート2の表面側に部分的に形成され、且つ基材シート2の裏面側には、更なる装飾処理として、絵柄表現等の為の装飾層3として基材シート2側から部分的に形成された柄層3Aと全面に形成された全ベタ層3Bとが形成され、更に接着剤層4がこの順に形成された構成例である。
装飾層3も有する形態は、加飾成形品をより高意匠に出来る点で好ましい形態である。また接着剤層4も有する形態は、加飾成形用シートと樹脂成形物との密着性をより確実に出来る点で、好ましい形態である。なお、装飾層3は基材シート2の表側でも良いが、同図の如く裏側とすれば、その耐久性も優れたものとなる。
(樹脂模様層)
樹脂模様層1は、紫外線阻害性物質を含有し、かつ、電子線硬化性樹脂の硬化物として基材シート2の表側面に部分的に形成される。用いる電子線硬化性樹脂としては、電子線で硬化する樹脂を用途に応じて使用すれば良い。
電子線硬化性樹脂は、樹脂模様層1を電子線で硬化させることができる十分な量があれば足りる。例えば、樹脂模様層1は、電子線硬化性樹脂意外に紫外線硬化性樹脂を含有し、紫外線硬化による硬化と電子線硬化による硬化とを相互に補助するようにしてもよい。
電子線硬化性樹脂は、電子線により硬化可能な組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電子線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いる。また、硬化は通常は架橋硬化であり、また耐摩耗性等の耐久性の点からも架橋硬化が好ましい。
上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオールとしては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等がある。
また、上記電子線硬化性樹脂には、更に必要に応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。また、上記電子線硬化性樹脂には、更に必要に応じ、各種添加剤を添加する事もできる。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)等である。
なお、電子線硬化性樹脂を架橋性樹脂に用いる時には、硬化剤と反応する官能基を有するのが好ましく、官能基としてOH基、SH基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。しかし、これらの官能基を有していない場合でも、重合性不飽和二重結合を有していれば、重合により硬化させて用いることができる。つまり、架橋性樹脂は、硬化剤を用いて架橋される樹脂と、硬化剤を用いずにラジカル重合により硬化される樹脂を含んでおり、例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレートやアクリルポリオール等を用いる場合には、OH基やエポキシ基は硬化剤による架橋反応を起こして硬化が進み、さらに、アクリル基の二重結合はラジカル重合を起こして各々硬化する。従って硬化後の架橋性樹脂は、架橋反応生成物と重合生成物が別々に生成している場合があり、また、同一分子中に架橋により生じる構造と重合により生じる構造が存在する場合もある。また、架橋反応生成物と重合生成物の各々に重合性二重結合が存在すれば、両反応生成物が重合反応を起こして1分子を形成することもある。
なお、電子線としては、電子線硬化性樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
そして、樹脂模様層は、上記の様な電子線硬化性樹脂を含む液状組成物を用いて、シルクスクリーン印刷、グラビア盛上印刷、塗工法、クラビア、フレキソ、シルクスクリーン印刷、他、公知の各種方法により、基材シート上に形成することができる。
樹脂模様層の模様としては、ベタ柄、多角形、線画、水玉、縞、格子等の幾何学模様、文字、木目柄、石目柄、タイル貼柄、煉瓦積層柄、布目柄、皮絞柄等の1種又は2種以上を用途に合わせて用いる。
また、図2の断面図に例示する加飾成形用シートSの如く、樹脂模様層1は、該層自体の表面を凹凸面として凹凸模様5を設けても良い。該凹凸模様としては、例えば、砂目、梨地、ヘアライン、万線、布目テクスチュア(織目)、皮絞等である。この様な凹凸模様は、それが砂目や梨地等のランダムな柄であれば樹脂模様層中に艶消し剤を添加したり、或いはこれら砂目や梨地も含めて、ヘアライン、万線、布目テクスチュア(織目)、皮絞等の規則性を有する柄であれば、後述する成形版胴法で形成することができる。なお、上記艶消し剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウム等の無機物、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)等の有機高分子等、から成る粒子が用いられる。粒子の平均粒径は1〜10μm程度、添加量は5〜30質量%程度である。なお、粒子の形状は、多面体、球形、鱗片状等である。
樹脂模様層は、紫外線阻害性物質を含有している。ここで紫外線阻害性物質とは、有色物質であると好適であるが、これに限られず無色物質、例えば紫外線吸収剤などの紫外線を吸収する成分であってもよい。紫外線を吸収する成分としては例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系及びシアノアクリレ−ト系のものなどが挙げられる。
有色物質にするには、着色剤を含有させる。着色剤としては染料、顔料、いずれであってもよく、黒などの濃色であると紫外線を吸収する度合いが大きいので本実施形態を適用すると未硬化状態であることをより好適に防止できる。
着色剤は、例えば顔料であれば、アルミニウム、真鍮、蒸着粉、パール顔料(ホワイト、ゴールド等各色)等の光輝性顔料、ローダミンレーキB、不溶性アゾ系赤色顔料(ナフトール系)(例、ブリリアントカーメルBS、レイクカーメルFB、レイクレッド4B、ファーストレッドFGR、レイクボルド5B、トルイジンマーロン)、不溶性アゾ系赤色顔料(アニライド系)(例、ピラゾールレッド)、溶性アゾ系赤色顔料(例、レイクオレンジ、ブリリアントカーメル3B、ブリリアントカーメル6B、ブリリアントスカーレットG、レイクレッドC、レイクレッドD、レイクレッドR、レイクボルド10B、ボンマーロンL、ボンマーロンM)などの赤色顔料、ハイザイエローA、不活性アゾ系黄色顔料(アニリド系)(例、ファーストイエローG、ファーストイエロー10G、ジアゾオレンジ)、染料レーキ系黄色顔料(例、イエローレイク)などの顔料などの黄色顔料、フタロシアニン系青色顔料(例、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー)、染色レーキ系青色顔料(例、バイオレットレイク、ブルーレイク)、その他の顔料(例、アルカリブルー)などの青色顔料、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック、鉄、チタン系黒色顔料などの黒色顔料、ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンのいずれでもよい酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤、酸化亜鉛等の白色顔料などを挙げることができる。
ここで濃色である上記カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック、鉄、チタン系黒色顔料などの黒色顔料による着色が紫外線を吸収する度合いが大きいので本実施形態を適用すると未硬化状態をより好適に防止できる。黒色には他の顔料を含有させた色の形態も含まれ、これら黒と他の色との含有色を得るには、例えば上記黒色顔料と他の色の顔料とを混合して用いることなどが挙げられる。
樹脂模様層の厚みは特に制限は無いが、通常1〜200μm程度である。特に凹凸感、立体感を視覚的に強調する場合は10μm以上設けることが好ましい。また、樹脂模様層が形成される面と形成されない面の両面を含むようにして、部分的に形成される樹脂模様層が、加飾成形用シート全面積中に於ける面積率(面積割合)は、加飾成形用シート成形時の亀裂防止の観点からは、50%以下が好ましい。
また、樹脂模様層は、その厚みの少なくとも一部以上、すなわち、一部(図5参照)又は全部(図4(B)参照)で基材シート中に埋没していても良い。樹脂模様層が、その厚みの全部を基材シート中に埋没し、且つ基材シート面と樹脂模様層面(或いはその包絡面)とが同一面となって、基材シート及び樹脂模様層の成す面が連続的な平坦面を成す場合は、基材シート面と樹脂模様層面とは、その表面凹凸状態、屈折率、光沢、或いは色等が異なる面とする。さもないと、基材シートと樹脂模様層との区別ができず意匠上の効果が得られないからである(但し、電子線硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂模様層による表面耐久性の向上と言う物理的効果は得られる)。
樹脂模様層を基材シート中に埋没させるには、例えば、一旦、樹脂模様層を基材シート上に部分的に模様上に(凸部を成す様に)形成した後、次いで、(1)熱プレスで樹脂模様層を基材シート中に圧入するか、(2)加飾成形用シートの段階では埋没していないが、射出成形同時加飾の際に成形樹脂を射出時の型温度・射出樹脂の温度及び圧力、射出時間等の条件を調整し、樹脂射出時に樹脂模様層を基材シート中に圧入して、樹脂模様層が基材シート中に埋没した加飾成形品とすれば良い。但し、圧力を完全且つ再現性良く加えられる点、及び射出成形工程を律速しない点からは、(2)の方が好ましい。なお、樹脂模様層の基材シート中への埋没は、一般的には、基材シートをその軟化点(ビッカト軟化温度等で評価する)以上、融点(乃至は溶融温度)未満の温度に加熱し、上記(1)であれば、加圧板(金属等らなる平板、或いは円筒)で表裏面を加圧、上記(2)であれば、射出成形型と射出樹脂とで表裏面を加圧する。
(基材シート)
次に、基材シート2としては、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを用いる。基材シートは紙などであってもよく特に限られないが、熱可塑性樹脂を用いると加飾成形用シートを成形して使用する際に、成形性を得やすく好適である。基材シートに用いる熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体)、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、或いは、ポリエチレンテレフタレート、成形性ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、或いは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。
加飾成形品に要求される物性にもよるが、樹脂模様層が形成されて無い部分の物性を基材シートが受け持つことになるが、なかでも、アクリル樹脂、成形性ポリエステル樹脂等が好ましい。
なお、アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂(但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味)を単体で又は2種以上混合して用いる。
また、成形性ポリエステル樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、非晶性ポリエステル等が使用できる。上記ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントに高結晶で高融点の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントにはガラス転移温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテル等を使用したブロックポリマー等があり、該高結晶性で高融点の芳香族ポリエステルには、例えばポリブチレンテレフタレートが使用され、該非晶性ポリエーテルには、ポリテトラメチレングリコール等が使用される。また、前記非晶質ポリエステルとしては、代表的には、エチレングリコール−1,4−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸共重合体がある。
なお、本発明で用いる加飾成形用シートとしては、その成形性は必ずしも必須では無い。それは、例えば、射出成形型面に(未成形の)加飾成形用シートを取り付けておいて射出成形する所謂インサート成形方式で本発明の射出成形同時加飾を行う場合には、加飾成形用シートは伸ばさず、すなわち成形せずに用いる態様もあるからである。従って、この様な場合の加飾成形用シートの基材シートには成形性は無くても良い。なお、この様なインサート成形方式で用いる場合、加飾成形用シートの基材シートとしては、成形性の為に厚みを抑える必要は無く射出樹脂との密着性等の点から、その射出樹脂側(つまり裏面側)には、射出樹脂に応じて、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の0.1〜0.5mm程度のシートを貼り合わせた積層体を用いるのも良い。
基材シートは、例えば上記の様な樹脂からなる単層又は多層構成の樹脂シートを使用する。また、基材シート中には、必要に応じて適宜、安定剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、体質顔料等の各種添加剤を、物性調整の為に添加しても良い。なお、基材シートを着色する場合は、透明、不透明いずれでも良いが、基材シートの裏面側に目視する装飾層を設ける場合は、それが視認できる程度以上の透明とする。着色には、例えば、後述する装飾層で列記する如きの公知の着色剤を使用できる。
なお、基材シートの厚みは、コスト面、加飾成形品に対する要求性能、加飾成形用シートの成形適性等の観点から、通常50〜300μm程度(多層の場合は総厚)が好ましいが、特に限定されない。
また、基材シートの表面、裏面、或いは表裏両面には、基材シートに接する他層との密着性向上の為に、必要に応じ適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理、ウレタン樹脂等によるプライマー層形成等の公知の易接着処理を施しても良い。
(装飾層)
装飾層3は、例えば代表的には模様や文字等の絵柄を表現する層である。装飾層3は加飾成型用シートに形成されていればよく、樹脂模様層に対して後述の硬化工程で照射される電子放射線源に近い位置に設けられてもよく、略同距離や、遠い位置に設けられてもよい。
装飾層3を形成する絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等が、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。装飾層の形成は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の印刷法等の従来公知の形成方法、材料で形成すれば良い。また、アルミニウム、クロム等の金属を公知の蒸着法等で部分又は全面に形成した金属薄膜層等も装飾層として使用される。
なお、装飾層形成用のインキは、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなるが、バインダーの樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等より選択される1種単独の樹脂、又は2種以上の混合樹脂が用いられる。また、着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド等の有機顔料(或いは染料も含む)、或いは、アルミニウム、真鍮、等の鱗片状箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等を使用する。
なお、装飾層としては、木目柄等の絵柄表現目的の層の他に、導電体層、磁性体層等の機能性付与層でも良い。すなわち、本発明に於ける装飾処理とは機能性付与も包含する。例えば、導電体層では、着色剤の代わりに銀粉等の導電性粉末をバインダー樹脂中に分散させる。また、磁性体層の場合には、着色剤の代わりに酸化鉄等から成る磁性体粉末をバインダー樹脂中に分散させる。また、装飾層の絵柄としては、目視不可能な絵柄模様として、例えば可視光に対しては透明で紫外線照射で蛍光を発する蛍光インキで印刷した絵柄、赤外線吸収性インキで印刷したバーコード等でも良い。
(密着性樹脂層)
加飾成形用シートの裏面側は、必要に応じ適宜、樹脂成形物との接着性をより向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー塗工等の易接着処理を施すが、これら易接着処理を処理後或いは処理せずに、更に樹脂成形物と基材シートよりも密着性が大きい密着性樹脂層4を設けても良い。密着性樹脂層4としては、例えば感熱型の接着剤として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の公知の樹脂が、加飾成形用シートの被着体となる樹脂成形物の樹脂材料等に応じて用いられる。熱可塑性樹脂では、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。また、熱硬化性樹脂では、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。ここで、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン構造の主鎖(幹)に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単量体或いはプレポリマーの側鎖(枝)をグラフト重合させたものが挙げられる。具体的には、例えば、特開平3−139542号公報に開示のもの等が用いられる。そして、樹脂成形物の樹脂が、例えば、ポリオレフィン系樹脂である場合には、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が好ましく、更に耐熱性の点では前者のアクリル変性ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。なお、接着剤層中には、更に、印刷(或いは塗工)適性等の諸物性を調整・向上させる為に、必要に応じて適宜、体質顔料、保存安定剤等の公知の各種添加剤を添加しても良い。また、接着剤層は、上記樹脂等からなる接着剤を、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工法により形成する。また、接着剤層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜100μm程度である。
上記加飾成形用シートの各層には、ワックス成分、着色剤、導電剤、酸化防止剤、熱安定剤、レベリング剤、カップリング剤等の添加剤、改質剤を必要に応じ、添加する層あるいは化粧シート全体の特性を損なわない範囲で添加することもできる。
(加飾成形品の製造方法)
本実施形態に係る加飾成形品の製造方法では、上述した加飾成形用シートを用いて、所謂加飾成形品の製造方法を利用して、樹脂成形物の表面に加飾成形用シートを積層する事で、該加飾成形用シートが、その樹脂模様層を表側にして樹脂成形物表面の表面に積層一体化した加飾成形品を得る方法である。
所謂加飾成形品の製造方法とは、特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、加飾成形用シートを雌雄両型間に挿入した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し固化させて、樹脂成形物の成形と同時にその表面に加飾成形用シートを積層一体化して加飾成形品を得る方法である。
本発明の加飾成形品の製造方法は、用いる加飾成形用シートとして上述した加飾成形用シートを用いる事以外は、従来公知の所謂加飾成形品の製造方法に於ける各種形態をとり得るものである。例えば、基本的には、加飾成形用シートの予備成形を行う形態でも行わない形態でも、いずれでも良い。また、加飾成形用シートの予熱を行っても良く、行わなくても良い。なお、予備成形時には通常は加飾成形用シートは予熱する。また、加飾成形用シートは成形された状態で樹脂成形物に積層しても良いが、全く成形されない状態で樹脂成形物に積層しても良い。
なお、加飾成形用シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、加飾成形用シートの絞りが少ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧で加飾成形用シートを成形しても良い。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧のみで加飾成形用シートを成形しても良い。また、樹脂圧で加飾成形用シートを成形する場合でも、加飾成形用シートは予熱せずに射出樹脂の熱を利用する事もある。また、加飾成形用シートの予備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用して行うが、型間に加飾成形用シートを供給する前に、射出成形型外部で別の真空成形型で加飾成形用シートを真空成形する様な予備成形(オフライン予備成形)でも良い。但し、予備成形は、射出成形型と真空成形型とを兼用して行う形態が効率的且つ精度良く加飾成形用シートを積層できる点で好ましい。しかし、予備成形済みの加飾成形用シートを予め別の場所で纏めて製造しておく場合等では、予備成形はオフライン予備成形の形態が好ましい。なお、本願において真空成形とは真空圧空成形も包含する。
図6は加飾成形品の製造方法を或る一形態で説明する概念図である。図6に示す形態では、型締めする前に、加飾成形用シートを型間で加熱し軟化させて射出成形型で真空成形により予備成形した後に、型締めして樹脂を射出する形態である。そこで次に、図6を用いて、加飾成形品の製造方法をより具体的に説明する。また、この形態は、前記した加飾成形用シートの予備成形、予熱の各種組合わせ形態の中で、加飾成形用シートの絞りが深い場合に、より好ましい形態である。なお、本発明の加飾成形品の製造方法で用いる加飾成形用シートは、枚葉、連続帯状のどちらでも良い事はもちろんである。
先ず、図6(A)の如く、射出成形型としては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有する型(雄型)Maと、キャビティ面に吸引孔41を有しシートの予備成形型を兼用する型(雌型)Mbの一対の成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に加飾成形用シートSを供給し、型Mbに加飾成形用シートSを平面視枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、加飾成形用シートの(樹脂模様層に対して)基材シート側は、図面右側の射出樹脂側を向く様にする事はもちろんである。次いで、適宜、両型間に挿入したヒータ(図示略)で加飾成形用シートを加熱軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、接触による伝導加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成形して、加飾成形用シートを型Mbのキャビティ面に沿わせ予備成形する。次いで、ヒータを両型間から退避させ、図6(B)の如く両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって固化した後、型開きして成形物を取り出す。そして、加飾成形用シートの不要部分がある場合は適宜トリミングすれば、樹脂成形物の表面に加飾成形用シートが積層一体化された構成の加飾成形品が得られる。なお充填は、前記キャビティ部に前記流動状態の樹脂を射出して充填させる射出成形を用いると好適であるが他の成形方法を用いた場合などには射出成形以外の成形方法であってもよい。
ここで、図3の断面図で、上記の様な本発明の加飾成形品の製造方法で得られる加飾成形品の一例を示す。同図の加飾成形品Pは、樹脂成形物6の凹凸表面に、加飾成形用シートSとして、樹脂成形物6側から順に、接着剤層4、装飾層3、熱可塑性樹脂から成る基材シート2、電子線硬化性樹脂の硬化物から成り部分的に形成されて成る樹脂模様層1が積層された構成の成形品である。この加飾成形用シートSは、例えば、図1、図2で例示した如き構成の加飾成形用シートである。
(樹脂成形物となる樹脂射出樹脂)
本発明の加飾成形品の製造方法に於いて、樹脂成形物となる樹脂としては、基本的には特に制限はなく公知の樹脂で良い。製品の要求物性やコスト等に応じて選定すれば良い。例えば、熱可塑性樹脂であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、或いは、ABS樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等である。また、硬化性樹脂であれば、2液硬化型の樹脂、例えば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の未硬化樹脂液等である。熱可塑性樹脂は加熱熔融して流動状態で射出し、また硬化性樹脂は(その未硬化物を)室温又は適宜加熱して流動状態で射出する。
なお、射出樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述装飾層で述べた如き公知の着色剤を使用すれば良い。また、射出樹脂には、必要に応じ適宜、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機物粉末、ガラス繊維等の充填剤、安定剤、滑剤、エラストマー等の公知の各種添加剤を含有させる。
本実施形態では、装飾層を有する加飾成形用シートにおいて、樹脂模様層を硬化させるのに十分な量の電子線硬化性樹脂を含有させ、電子線による硬化を独自にまたは紫外線硬化と併用して行うことで加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより完全な硬化状態へと近づけることができ、その不完全硬化状態を原因として、成形機のキャビティ内部表面が汚染される不具合を与えてしまうことを防止することができる。これにより本実施形態では、電子線であれば装飾層があり、かつ、紫外線阻害性物質が含有されていたとしても、紫外線よりも紫外線阻害性物質に阻害されることが少なくなり、不完全硬化状態をより解消させ、加飾成形用シートにおける樹脂模様層をより硬化させることができる。
なお、電子線硬化性樹脂の硬化樹脂100重量部に対して、紫外線阻害性物質10重量部以上入っている場合、特に本製造方法が有効である。現実的な添加量の上限は50重量部である場合が多い。
以下、実施例により本発明を更に詳述する。
〔実施例1〕
先ず、加飾成形用シートを次の様にして作製し用意した。ポリメチルメタクリレートを主成分とする厚さ125μmの無着色透明なアクリル樹脂シートからなる基材シートの裏側とする面に、グラビア印刷によって、シルバー全面ベタの装飾層3を印刷形成した。アクリル樹脂6質量部と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体4質量部との混合物をバインダー樹脂とし、酸化アルミ二ウムを主とした着色剤に用いた着色インキを使用した。そして、絵柄印刷後に同じくグラビア印刷で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる接着剤を全面に施して厚さ4μmの接着剤層4を形成して印刷シートを得た。
次に、上記印刷シートの印刷面とは反対側の面(すなわち、表側とする面)に、3官能ウレタンアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートとからなる電離放射線硬化性樹脂の硬化樹脂100重量部に対してカーボンブラック40重量部を(dry)配合したインキにより、グラビア印刷にて、2mmの円形ドット状の印刷した。その後、上記表側とする面方向から電子線(加速電圧170keV、線量30kGy)を照射して、印刷された架橋硬化させて、厚さ5μmで基材シート2上に突出した樹脂模様層1を形成して、加飾成形用シートSとした。樹脂模様層1は、加飾成形用シート中に於ける面積率は6%であった。
そして、図6の概念図に示した様な射出成形同時加飾方法によって、上記加飾成形用シートを樹脂成形物の成形と同時にその表面に積層一体化して、成形された加飾成形用シートで樹脂成形物表面が加飾された加飾成形品を得た。なお、射出成形同時加飾は、射出成形の雌型を真空成形型として、加飾成形用シートをその樹脂模様層が雌型側を向く様にして雌雄両型間に挿入後、予備成形として、赤外線輻射型のヒータでシート温度120℃まで加熱して軟化させた後、雌型に設けた溝状の吸引孔から真空吸引することで真空成形して、加飾成形用シートを雌型キャビティ形状に沿わせた。その結果、加飾成形用シートは、樹脂模様層の部分は伸びないが、樹脂模様層が形成されてない部分の基材シート部分が加飾成形用シート全体としての伸びを補って分担して、真空成形は完全に行うことが出来、且つ樹脂模様層の亀裂発生も無く出来た。
この後、雌雄両型を型締めした後、ABS樹脂を雄型のゲートから射出し、加飾成形用シートが樹脂成形物の表面に積層一体化した加飾成形品を得た。得られた加飾成形品は、模様が電子線により未硬化な部分が観測されず、十分な強度耐性がある樹脂模様層が形成され、加飾成型の型(かた)内面には未硬化の樹脂模様層による汚れもなかった。
本発明で用いる加飾成形用シートの或る形態例を示す平面図と断面図である。 本発明で用いる加飾成形用シートの別の形態例を示す断面図である。 本発明で得られる加飾成形品の一例を示す断面図である。 本発明で用いる加飾成形用シートの別の形態例をその製造過程も含めて示す断面図である。 本発明で得られる加飾成形品の別の例を示す断面図である。 本発明の加飾成形品の製造方法をその一形態で説明する概念図である。 背景技術で用いる加飾成形用シートにて、樹脂模様層の形成法の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 樹脂模様層
2 基材シート
3 装飾層
3A 柄層
3B 全ベタ層
4 接着剤層
5 (樹脂模様層上の)凹凸模様
6 樹脂成形物
41 吸引孔
42 シートクランプ
100 巻出しロール
110 送りニップローラ
120 押圧ローラ
130 成形版胴
131 (成形版胴の)凹部
140 吐出ノズル
150 未硬化樹脂液
160 ドクターブレード
170 電子線照射器
171 電子線
180 剥離ローラ
L 積層シート
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
P 加飾成形品
S 加飾成形用シート

Claims (9)

  1. 基材シートと、装飾層と、前記基材シートの表面に形成され、紫外線阻害性物質と電子線硬化性樹脂とを含む樹脂模様層と、を含む加飾成形用シートと、流動状態の樹脂と、を成形により一体化させて製造する加飾成形品の製造方法であって、
    前記樹脂模様層に対して電子線を照射して前記樹脂模様層を硬化させる樹脂模様層硬化工程と、
    前記硬化後に前記加飾成形用シートを成形機内のキャビティ部に挿入する挿入工程と、
    前記挿入後に前記流動状態の樹脂で前記キャビティ部を充填する充填工程と、
    前記流動状態の樹脂を固化させて樹脂成形物とし、前記樹脂成形物と前記加飾成形用シートとを一体化させる一体化工程とを含む加飾成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記充填は、前記キャビティ部に前記流動状態の樹脂を射出して充填させる加飾成形品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記紫外線阻害性物質は有色物質である加飾成形品の製造方法。
  4. 請求項3に記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記紫外線阻害性物質は黒色物質である加飾成形品の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記加飾成形用シートは、前記樹脂模様層が形成される面と形成されない面の両面を含む加飾成形品の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記加飾成形用シートは、前記樹脂模様層の表面に凹凸模様が形成されてなる加飾成形品の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記加飾成形用シートは、前記樹脂模様層がその厚みの少なくとも一部以上が基材シート中に埋没してなる加飾成形品の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記加飾成形用シートは、前記基材シートに更に装飾処理が施されてなる加飾成形品の製造方法。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載の加飾成形品の製造方法であって、
    前記加飾成形用シートは、前記流動状態の樹脂と一体化される面に前記基材シートよりも前記樹脂成形物との密着性が大きい密着性樹脂層が形成される加飾成形品の製造方法。
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