JP2001004032A - 樹脂製シールリング - Google Patents
樹脂製シールリングInfo
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Abstract
リップ3、3´が折れにくく、その結果オイルリークを
少なくすることができる。 【解決手段】 相互に対向する合い口を有する矩形断面
の射出成形できる樹脂製シールリングであって、一方の
合い口が、シールリング内径面側に突き合わせ面と、外
径面側に突き合わせ面から突出したリップおよび後退し
たポケットとを有し、他方の合い口が、上記一方の合い
口の突き合わせ面、リップおよびポケットと、相補的に
嵌合するように形成された突き合わせ面、ポケットおよ
びリップとを有し、それぞれのリップの長さが、シール
リング矩形断面における短辺の長さの 50〜200%であ
る。
Description
に関する。
チなどの自動車等の自動変速機には作動油を密封するた
めのオイルシールリングが要所に取り付けられている。
このようなオイルシールリングは軸とシリンダー間で回
転可能で、充分なオイルシール性が要求される。オイル
シールリングは、鋳鉄製シールリングやフッ素樹脂シー
ルリングが従来用いられたが、耐摩耗性、オイルシール
性の向上およびコスト低減のため、射出成形法により相
互に対向する合い口を有する合成樹脂製シールリング、
例えばポリエーテルエーテルケトン(以下PEEKと称
する)樹脂製シールリングが多用されるようになってい
る。シールリングの合い口は、ストレートカット形状、
ステップ形状、複合ステップ形状等あるが、オイルリー
クを少なくできる合い口として複合ステップ形状が知ら
れている(例えば、特開平8−75007号公報)。
シールリングについて図1により説明する。図1は合い
口を広げた状態(a)および嵌合した状態(b)を示す
シールリングの合い口の斜視図である。樹脂製シールリ
ングの合い口は、相互に対向する合い口1および1´よ
り形成される。合い口1は、樹脂製シールリングの矩形
断面における側面二辺を結んでリング内径面側1aとリ
ング外径面側1bとに二分割するとき、リング内径面側
1aの矩形断面の先端部分に突き合わせ面2が形成され
る。また、リング外径面側の矩形断面部分1bには、こ
の部分をさらに径方向に二分割する一方の矩形断面部分
に突き合わせ面2から突出したリップ3と、他方の矩形
断面部分を削除して突き合わせ面2から後退したポケッ
ト4とが形成される。なお、リップ3およびポケット4
の周面は樹脂製シールリングの所定の曲率をもつように
形成される。また、他方の合い口1´は、突き合わせ面
2、リップ3およびポケット4と、相補的に嵌合するよ
うに形成された突き合わせ面2´、ポケット4´および
リップ3´とを有している。合い口の嵌合時(図1
(b))には、合い口1のリップ3が合い口1´のポケ
ット4´に嵌合し、樹脂製シールリングはほぼ真円形と
なる。
リークを少なくできる上述の複合ステップ形状合い口の
場合、フッ素系樹脂に比較して高弾性率を有する、PE
EK樹脂などに炭素繊維を配合した樹脂組成物などで射
出成形で製造しようとすると次のような問題が生じる。
まず、射出成形時の成形バリを除去するために通常バレ
ル研磨がなされるが、その際、リップ3、3´が折れや
すいという問題がある。特にPEEK樹脂組成物のよう
に、例えば、弾性率 5000 MPa 以上の高弾性率を有する
樹脂からなるシールリングの場合、折れやすくなるとい
う問題がある。リップ3、3´が折れた樹脂製シールリ
ングは、オイルリークが多くなるという問題がある。次
に、リップ3、3´を折れにくくするために、リップ
3、3´を短く、あるいは太くすることは、樹脂製シー
ルリング自体の所定の幅や厚さがあるため、シールリン
グの設計上困難であったり、オイルリークが多くなると
いう問題がある。
になされたもので、高弾性率の樹脂製シールリングにお
いても、リップ3、3´が折れにくく、その結果オイル
リークを少なくすることができる樹脂製シールリングを
提供することを目的とする。
ングは、相互に対向する合い口を有する矩形断面の射出
成形できる樹脂製シールリングであって、一方の合い口
が、シールリング内径面側に突き合わせ面と、外径面側
に突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケ
ットとを有し、他方の合い口が、上記一方の合い口の突
き合わせ面、リップおよびポケットと、相補的に嵌合す
るように形成された突き合わせ面、ポケットおよびリッ
プとを有し、それぞれのリップの長さが、シールリング
矩形断面における短辺の長さの 50〜200%であることを
特徴とする。
ることを特徴する。
長さをシールリング矩形断面における短辺の長さの 50
〜200%とすることにより、バレル研磨時においてもリ
ップの折れを防ぐことができ、その結果、生産性に優
れ、また、オイルリークを効果的に抑えることができ
る。
い口の構造を図1を援用して説明する。複合ステップ形
状における一方の合い口1は、樹脂製シールリングの矩
形断面における側面二辺を結んでリング内径面側1aと
リング外径面側1bとに二分割するとき、リング内径面
側1aの矩形断面の先端部分に突き合わせ面2が形成さ
れる。矩形断面は所定の幅(w)および厚さ(t)を有
しており、幅(w)および厚さ(t)の長さは、シール
リングの種類や径によって変化する。例えば、幅(w)
と厚さ(t)の長さが同じ場合、幅(w)が厚さ(t)
よりも長い場合、あるいはその逆の場合がある。
には、この部分をさらに径方向に二分割する一方の矩形
断面部分に突き合わせ面2から所定の長さ(l)だけ突
出したリップ3と、他方の矩形断面部分を削除して突き
合わせ面2から所定の長さ(m)だけ後退したポケット
4とが形成される。なお、リップ3およびポケット4の
周面は樹脂製シールリングの所定の曲率をもつように形
成される。
2、リップ3およびポケット4と、相補的に嵌合するよ
うに形成された突き合わせ面2´、ポケット4´および
リップ3´とを有している。すなわち、突き合わせ面2
および2´が衝合したとき、リップ3とポケット4´と
が、ポケット4とリップ3´とがそれぞれ嵌合する。こ
のように、リップ3とポケット4´との長さ、およびポ
ケット4とリップ3´との長さが略同一となるように形
成される。合い口の嵌合時(図1(b))には、合い口
1のリップ3が合い口1´のポケット4´に嵌合し、樹
脂製シールリングはほぼ真円形となる。
す複合ステップ形状の合い口において、リップ3の長さ
(l)またはリップ3´の長さ(l´)は、シールリン
グ矩形断面における短辺の長さの 50〜200%、好ましく
は 80〜150%である。ここで、短辺の長さとは、シール
リング矩形断面における幅(w)、厚さ(t)の中で、
短いほうの長さをいう。リップ3、3´の長さ(lまた
はl´)が短辺の長さの 50%未満であると、シールリ
ングとして用いたときにシール長さが短くなるためオイ
ルリークが多くなり、200%を越えるとバレル研磨時あ
るいは組み込み時にリップの折れが増加する。
の高弾性率の樹脂組成物、特にPEEK樹脂組成物を用
いて射出成形する場合にリップの長さの範囲が重要とな
る。PEEK樹脂組成物が高弾性率の樹脂組成物であっ
て、耐熱性、摺動性に優れ、シールリング材料として適
するためである。PEEK樹脂組成物としては、PEE
K樹脂に、繊維状強化材、ポリテトラフルオロエチレン
などのフッ素樹脂を配合してなるものが、複合ステップ
カット型シールリングの複雑な形状を容易に成形でき、
上記樹脂製シールリングに要求される特性を得やすいの
で好ましい。PEEK樹脂としては、ビクトレックス・
エムシー社製:PEEK150Pを例示することができ
る。繊維状強化材としては、ピッチ系またはPAN系の
炭素繊維等を挙げることができる。PEEK樹脂組成物
の配合割合は、PEEK樹脂 90〜50重量%、繊維状強
化材 10〜50重量%である。また、必要に応じて配合さ
れるフッ素系樹脂は、樹脂組成物全体量に対して 2〜25
重量%である。
明する。可動型板と固定型板との衝合時に形成される複
合ステップカット形状の合い口が分離した形態を有する
キャビティ内にPEEK樹脂組成物を注入する。射出成
形したPEEK樹脂組成物を金型から取り出した後、バ
レル研磨を行ない、金型衝合面に発生した微小バリをバ
レル研磨により取る。バレル研磨は、バレル研磨機内に
金型から取り出した試料を投入して、微小粒子とともに
振動させてバリを取る方法である。その後、樹脂製また
はゴム製の円柱体とリングゲージとからなる治具を用い
て、そのリングゲージ内にシールリングを挿入固定し、
シールリングを形成するベース樹脂のガラス転移点以上
の温度で加熱する熱固定を行うことにより、前述の複合
ステップカット型のシールリングを得ることができる。
較例2 PEEK樹脂(ビクトレックス・エムシー社製:PEE
K150P) 60重量%と、炭素繊維(呉羽化学工業社
製:M101S) 25重量%およびポリテトラフルオロ
エチレン樹脂(喜多村社製:KT400H) 15重量%
からなる樹脂組成物を用いて、図1に示す、複合ステッ
プカット型シールリングを射出成形した。表1にシール
リングの形状を示す。射出成形後、振動バレル機に、1
ロットに対し試料 700個を投入して 30 分間バレル研磨
を施し、合計 3ロット実施した。バレル研磨後、複合ス
テップカット型シールリングのリップの折れを目視で検
査した。バレル研磨後のリップ折れ率を表1に示す。リ
ップ折れ率はバレル研磨機に投入した供試数に対するパ
ーセントで表した。
嵌合するように強制変形させ、その治具のまま電気炉に
いれて 200℃で 2時間の熱固定を行ない樹脂製シールリ
ングを得た。得られた樹脂製シールリングの特性を、図
2に示す回転試験機によりオイルリーク性で評価した。
図2は回転試験機の要部断面図である。オイルリーク性
は、図2に示す回転試験機を用いて、容器5内の樹脂製
シールリング6により密封された空間7にオイル(自動
車オートマチック・トランスミッション用オイル)を油
圧 1MPa 、温度 120℃で満たし、回転数 4000rpmで軸8
を回転させたとき、空間7から漏れる時間当たりのオイ
ルの量をメスシリンダー9により測定して評価した。1
0は温度計、11は油圧計である。結果を表1に示す。
を越える比較例1は、バレル研磨後のリップ折れ率が大
きかった。一方 50%未満の比較例2はオイルリーク量
が非常に多かった。上記に比較して、リップの長さが 5
0〜200%となる実施例1から実施例4は、いずれもリッ
プ折れ率が非常に小さいか、または0で、かつオイルリ
ーク量が少なかった。
におけるリップの長さが、シールリング矩形断面におけ
る短辺の長さの 50〜200%であるので、バレル研磨時に
おいてもリップの折れを防ぐことができる。その結果、
生産性に優れる。また、オイルリークを効果的に抑える
ことができる。特に、弾性率 5000 MPa 以上のPEEK
樹脂組成物の場合において、上記効果がより発揮され
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 相互に対向する合い口を有する矩形断面
の射出成形できる樹脂製シールリングであって、 一方の合い口は、前記樹脂製シールリング内径面側に突
き合わせ面と、外径面側に前記突き合わせ面から突出し
たリップおよび後退したポケットとを有し、 他方の合い口は、前記突き合わせ面、前記リップおよび
ポケットと、相補的に嵌合するように形成された突き合
わせ面、ポケットおよびリップとを有し、 前記それぞれのリップの長さが、前記矩形断面における
短辺の長さの 50〜200%であることを特徴とする樹脂製
シールリング。 - 【請求項2】 前記樹脂がポリエーテルエーテルケトン
樹脂組成物であることを特徴する請求項1記載の樹脂製
シールリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11173301A JP2001004032A (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 樹脂製シールリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11173301A JP2001004032A (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 樹脂製シールリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001004032A true JP2001004032A (ja) | 2001-01-09 |
Family
ID=15957917
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11173301A Pending JP2001004032A (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 樹脂製シールリング |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2001004032A (ja) |
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- 1999-06-18 JP JP11173301A patent/JP2001004032A/ja active Pending
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