JP2014098461A - 電動オイルポンプのシール構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動オイルポンプと変速機とをスリーブを介して接合する際に、容易に嵌入作業を行なうことができる電動オイルポンプのシール構造を提供する。
【解決手段】停車時にエンジンを停止するアイドリングストップシステムを搭載した車両の変速機と電動オイルポンプとの接合部におけるシール構造であって、上記シール構造は、円筒状のスリーブ2の外周に形成されたシール溝2aと、この溝に嵌入されるシール部材とからなり、シール部材は、複合ステップカットの合い口を有する断面矩形の合成樹脂製のシールリング1であり、このシールリング1が縮径および拡径可能な構造を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、信号待ち等の停車時にエンジンを停止させるアイドリングストップシステムを搭載した車両において、アイドリングストップ時に油圧を発生させる電動オイルポンプのシール構造に関する。
近年、燃費の向上などを図るために、信号待ち等の停車時にエンジンを自動的に停止させるアイドリングストップ車やハイブリッド車が実用化されている。これらには、エンジンの自動停止に伴う機械式オイルポンプの停止中に、変速機の油圧の低下を防止するために、電動モータで駆動される電動オイルポンプを用いて油圧を変速機に供給するものが提供されている。
このような変速機の一例として、特許文献1には、電動オイルポンプを変速機ハウジングの外部に設けることで、従来の変速機ユニットの基本的レイアウトを変えることなく変速機ユニットの構成をコンパクトにすることを可能とする技術が開示されている。図5に示すように、この変速機ユニットでは、電動オイルポンプ11と変速機の油圧コントロールバルブユニットのユニットハウジング12との接合部に、電動オイルポンプ11とハウジング12の両方に嵌入する円筒状のスリーブ13を有し、スリーブ13の両方の嵌入部分(外周部)にそれぞれOリング14、15を配した円筒シール構造によって油圧がシールされている。
特開2001−260674号公報
しかしながら、スリーブ外周にOリングを配した円筒シール構造とした場合、このスリーブに電動オイルポンプを嵌入するにあたり、Oリングが破損または破断するという問題がある。Oリングが破損または破断した場合、オイル洩れを生じ変速機の油圧の低下が生じ、アイドリングストップ機能が有効に機能しないおそれがある。組み立て時の僅かな破損などは、その確認が困難であり、信頼性を損ねるおそれがある。また、破損、破断をしない場合でも、嵌入作業に非常に手間取るという問題がある。
これらの問題は、高圧な油圧をシールするため、Oリングの潰し代が多く、スリーブと嵌合部との嵌合隙間が小さいことが要因となっている。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、電動オイルポンプと変速機とをスリーブを介して接合する際に、容易に嵌入作業を行なうことができる電動オイルポンプのシール構造を提供することを目的とする。
本発明の電動オイルポンプのシール構造は、停車時にエンジンを停止するアイドリングストップシステムを搭載した車両の変速機と電動オイルポンプとの接合部におけるシール構造であって、上記シール構造は、円筒状のスリーブの外周に形成されたシール溝と、該シール溝に嵌入されるシール部材とからなり、上記シール部材は、複合ステップカットの合い口を有する断面矩形の合成樹脂製のシールリングであることを特徴とする。
また、上記複合ステップカットの合い口は、相互に対向する合い口端部からなり、一方の合い口端部は、リング内周面側に突き合わせ面と、リング外周面側に上記突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケットとを有し、他方の合い口端部は、上記突き合わせ面、上記リップおよびポケットと相補的に嵌合するように形成された、突き合わせ面、ポケットおよびリップを有し、上記シール部材は、上記シール溝に嵌入した状態において、上記突き合わせ面間に周方向の隙間を有し、かつ、リング内周面と上記シール溝の溝底との間に隙間を有することを特徴とする。
上記シール部材が、合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を射出成形してなる成形体であることを特徴とする。
上記合成樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKと記す)樹脂またはポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと記す)樹脂であることを特徴とする。
上記スリーブは、上記接合部において上記変速機および上記電動オイルポンプの少なくとも一方のスリーブ嵌入部に嵌入され、該嵌入部と上記スリーブとの嵌合隙間が0.015mm〜0.10mm(径差としては0.03mm〜0.20mm)であることを特徴とする。
本発明は、停車時にエンジンを停止するアイドリングストップシステムを搭載した車両の変速機と電動オイルポンプとの接合部におけるシール構造において、該シール構造を、円筒状のスリーブの外周に形成されたシール溝と、このシール溝に嵌入されるシール部材とから構成し、このシール部材として複合ステップカットの合い口を有する断面矩形の合成樹脂製のシールリングを用いるので、Oリングのように潰し代を多くする等の必要がなく、容易に嵌入作業を行なうことができる。
特に、上記複合ステップカットの合い口において、対向する合い口端部の構造を、相補的に嵌合する突き合わせ面、ポケットおよびリップからなる上記の所定構造とし、シールリングをシール溝に嵌入した状態で、突き合わせ面間に周方向の隙間を有し、かつ、リング内周面とシール溝の溝底との間に隙間を有するので、縮径、拡径を自在に行なうことができる。このため、スリーブに電動オイルポンプを嵌入させる際には縮径状態にしておくことで、容易に嵌入作業が行なえる。また、Oリングのように噛み込むことが生じず、スリーブに電動オイルポンプを嵌入するにあたり、Oリングのように破損または破断するという問題が生じない。さらに、上記の所定構造により、合い口からのオイル洩れも生じず、電動オイルポンプと変速機との接合部からオイル洩れが生じるおそれがない。
上記シール部材が、合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を射出成形してなる成形体であるので、ゴム成形体と比べて低摩擦であり、嵌入作業が容易になる。また、射出成形されたものであるので、上記した複雑な形状の複合ステップカットの合い口を容易に形成することができる。
また、上記合成樹脂が、PEEK樹脂またはPPS樹脂であるので、耐熱性、機械的強度、耐薬品性などに優れ、オイルが高温になっても、また、オイルに各種添加剤が含まれていても、融解や分解などのおそれがない。また、曲げ弾性率が高く、シール溝に組み込む際に拡径しても割れることがない。
また、上記樹脂組成物に固体潤滑剤を含むことで、スリーブに電動オイルポンプを嵌入するときの作業性がさらに優れる。また、上記樹脂組成物に繊維状補強材を含むことで、嵌入の際に、縮径および拡径してもゲート部からの割れや合い口の破損などを防止できる。特に、合い口リップの破損防止に顕著な効果がある。
上記シール部材において、全長の中央部に射出成形時のゲート痕を有することで、両合い口端部における樹脂の充填バランスが優れる。また、上記射出成形時のゲート痕がリング内周面にあることで、後加工が不要であり、シール特性にも悪影響を与えない。
本発明の電動オイルポンプのシール構造の一例を示すスリーブ軸方向断面図(スリーブの半分)である。 シール構造に用いるシールリングの斜視図である。 複合ステップカットの合い口を示す斜視図である。 実施例および比較例に用いた試験部材を示す図である。 従来の電動オイルポンプのシール構造を示す図である。
本発明の電動オイルポンプのシール構造は、停車時にエンジンを停止するアイドリングストップシステムを搭載した車両の変速機と電動オイルポンプとの接合部におけるシール構造である。より詳細には、変速機における油圧コントロールユニットのユニットハウジングと、電動オイルポンプとの接合部などにおけるシール構造である。
本発明の電動オイルポンプのシール構造の一例を図1に基づいて説明する。図1は、該シール構造のスリーブ軸方向断面図(スリーブの半分)である。図1に示すように、このシール構造は、円筒状のスリーブ2の外周に形成された環状のシール溝2aと、シール溝2aに嵌入されるシール部材であるシールリング1とからなる。図1に示す例では、スリーブ2は、変速機のハウジング3のスリーブ嵌入部3aと電動オイルポンプ4のスリーブ嵌入部4aの両方に嵌入されている。スリーブ2の外周面2bと、スリーブ嵌入部3aの内周面3bおよびスリーブ嵌入部4aの内周面4bとの間の環状隙間に断面矩形のシールリング1が介在し、電動オイルポンプからの吐出オイルをシールしている。
ここで、スリーブ2は、変速機ハウジング3、電動オイルポンプ4のいずれか一方において、円筒部分として一体に設けられていてもよい。スリーブ2は、変速機と電動オイルポンプとの接合部において、変速機および電動オイルポンプの少なくとも一方のスリーブ嵌入部に嵌入される構成であればよい。図1に示す構成では、スリーブ2は単体で形成され、両方のスリーブ嵌入部に嵌入されている。スリーブが一方と一体に設けられるような場合は、他方のスリーブ嵌入部に嵌入される。本発明のシール構造では、両方のスリーブ嵌入部に嵌入される場合でも、容易に嵌入作業を行なうことができる。
図2は、該シール構造に用いるシールリング1の斜視図である。図2に示すように、シールリング1は、断面矩形の円環状リングであり、一箇所に複合ステップカットの合い口1aを有する。
複合ステップカットの合い口を図3に基づき説明する。図3は、図2の合い口1aを広げた状態の斜視図である。シールリングの合い口1aは、相互に対向する合い口端部5および5’より形成される。合い口端部5は、シールリングの略矩形断面における側面二辺を結んでリング内周面側5aとリング外周面側5bとに二分割するとき、リング内周面側5aの矩形断面の先端部分に突き合わせ面6が形成される。また、リング外周面側の矩形断面部分5bには、この部分をさらに径方向に二分割する一方の矩形断面部分に突き合わせ面6から所定の長さ(L)だけ突出したリップ7と、他方の矩形断面部分に突き合わせ面6から所定の長さだけ後退したポケット8とが形成される。リップ7およびポケット8の内外周面はシールリングの所定の曲率をもつように形成される。一方、他方の合い口端部5’は、突き合わせ面6、リップ7およびポケット8と、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面6’、ポケット8’およびリップ7’とを有している。すなわち、突き合わせ面6および6’が衝合したとき、リップ7とポケット8’とが、ポケット8とリップ7’とがそれぞれ嵌合する。リップ7、7’の長さは、ポケット8’、8の長さより若干短く形成され、突き合わせ面6、6’が衝合してもリップ7、7’が突っ支えないように設計されている。
シールリングに外力を加えていない自由状態において、突き合わせ面6および6’間で周方向に隙間を有しつつ、一方の合い口端部のリップが他方の合い口端部のポケットにそれぞれ嵌合しており、シールリングはほぼ真円状になっている。このため、弾性変形による縮径が可能な構造であり、合い口1aの突き合せ面6および6’が衝合した状態の外径が、自由状態の外径よりも小径となる。また、合い口1aを広げることで拡径が可能である。このような複合ステップカットの合い口とすることで、縮径および拡径を可能としながら、シール性にも優れる。
図1に示すシール構造において、シールリング1をスリーブ2のシール溝2aに取り付ける際には、合い口を広げて拡径しながら該溝に嵌入させる。シール溝2aの溝底外径は、シールリング1の自由状態の内径よりも小さい。このため、シールリング1をスリーブ2のシール溝2aに嵌入し、このスリーブ2を電動オイルポンプ等に嵌入させていない状態では、シールリング1は上記自由状態であり、突き合わせ面間に周方向の隙間を有し、かつ、リング内周面1dとシール溝2aの溝底との間に隙間を有する。よって、この状態において、シールリングは、突き合わせ面が衝合するまで、または、リング内周面がシール溝の溝底に接触するまでは、縮径が可能である。
シールリング1を組み込んだスリーブ2に、電動オイルポンプ4等を嵌入させる際には、シールリング1を縮径した状態でスリーブ嵌入部4aに嵌入させる。縮径した状態にする方法としては、例えば、スリーブ嵌入部の組み込み側端部の内径部に面取り等によりテーパ部分を設けることで、嵌入しつつ該テーパ部分に沿って縮径させることができる。縮径状態で嵌入することで、Oリングのように噛み込むことが生じず、Oリングのように破損または破断するという問題が生じない。
シールリング1の自由状態の外径寸法は、スリーブ嵌入部の内径寸法より大きく形成されている。そのため、シールリング1を組み込んだスリーブ2に電動オイルポンプ4等を嵌入させると、油圧が掛かっていない状態であってもシールリング1の外径はスリーブ嵌入部の内径に密着しており、オイル漏れが生じない。
シールリング1の内外径寸法およびシール溝2aの溝深さは、電動オイルポンプ4等を嵌入可能な範囲とし、シールリング1をスリーブ2のシール溝2aに嵌入した状態での最大縮径時のリング外径が、スリーブ嵌入部の内径以下となるようにする。
また、図1に示すように、シールリング1の軸方向幅を、シール溝2aの軸方向幅よりも小さく設定することで、使用時にオイルが軸方向の一方からシール溝に入り込み、油圧によりシールリングを他方側の溝側面に押し付けるとともに、内径側から外周面をスリーブ嵌入部の内径に押し付ける。これにより、リング外周面1cがスリーブ嵌入部4aの内周面4b等に密着し、側面がシール溝の溝側面に密着して、オイルがシールされる。その他、リング内周面1dは、リング側面との角部に面取りが設けられていてもよく、段部が設けられていてもよい。
電動オイルポンプからの吐出オイルは、例えば、30〜500kPa程度の高圧である。また、シール性および組み込み性を確保するため、変速機のハウジング3のスリーブ嵌入部3aおよび電動オイルポンプ4のスリーブ嵌入部4aと、スリーブ2との嵌合隙間は、0.015mm〜0.1mmであり、ハウジング3のスリーブ嵌入部3aの内径寸法の0.15〜1%の径差である。
本発明のシール構造は、円筒状のスリーブを介在させて接合部のシールを行なうものであれば、公知(例えば、上記特許文献1)の変速機および電動オイルポンプの接合部において適用可能である。
本発明におけるシール部材の材質は特に限定されないが、弾性変形により拡径および縮径して装着・嵌入すること、複合ステップカットの合い口にすること等を考慮すれば、エンジニアリングプラスチック等をベース樹脂とする樹脂組成物であることが好ましい。
シール部材を形成する樹脂組成物のベース樹脂としては、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(以下、PEKEKKと記す)樹脂、ポリエーテルケトン(以下、PEKと記す)樹脂、PEEK樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、PPS樹脂、ポリアミドイミド(以下、PAIと記す)樹脂、ポリアミド(以下、PAと記す)樹脂などが挙げられる。なお、これらの樹脂は単独で使用しても、2種類以上混合したポリマーアロイとしてもよい。
複合ステップカットの合い口を有するシールリングの製造が容易であり低コストであること等から、シールリングは、樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体にすることが好ましい。このため、合成樹脂としては、射出成形が可能である熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。その中でも特に、熱可塑性ポリイミド樹脂、PEKEKK樹脂、PEK樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂、PAI樹脂、PA樹脂などの結晶性の樹脂が、摩擦摩耗特性に優れるので好ましい。
このような結晶性の熱可塑性樹脂の中でも、曲げ弾性率、耐熱性、耐薬品性などに優れることから、特に、PEEK樹脂またはPPS樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は高い弾性率を有し、シール溝に組み込む際に拡径しても割れることがなく、シールするオイルの油温が高くなる場合でも使用でき、また、オイル添加剤によるソルベントクラックの心配もない。
また、必要に応じて上記樹脂組成物に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状充填材、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。
上記樹脂組成物としては、ベース樹脂にPEEK樹脂またはPPS樹脂を用い、これに繊維状補強材である炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを含むものが、本発明におけるシール部材に要求される特性を得やすいので好ましい。炭素繊維を配合することで、曲げ弾性率等の機械的強度の向上が図れる。また、PTFE樹脂の配合により摺動特性が向上し、スリーブに電動オイルポンプ等を嵌入するときの作業性の向上が図れる。
炭素繊維としては、原材料から分類されるピッチ系またはPAN系のいずれのものであってもよい。また、炭素繊維の平均繊維径は20μm以下、好ましくは5〜15μmである。この範囲をこえる太い炭素繊維では、摺動相手材の摩耗損傷が大きくなるため好ましくない。また、炭素繊維は、チョップドファイバー、ミルドファイバーのいずれであってもよい。また、炭素繊維とベース樹脂との密着性を高め、シールリングの機械的特性を向上させるために、これらの炭素繊維の表面をエポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂などを含有した処理剤や、シラン系カップリング剤などにより表面処理を施してもよい。
炭素繊維の配合割合は、樹脂組成物全体に対して5〜30重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜20重量%である。炭素繊維の配合割合が5重量%未満では、補強効果が乏しく、所望の耐クリープ性や耐摩耗性が得られない場合がある。一方、炭素繊維の配合割合が30重量%をこえると、溶融流動性が著しく低下し、複合ステップカットの合い口形状の成形が困難になるとともに、嵌入時に電動オイルポンプ等のスリーブ嵌入部を摩耗損傷するおそれがある。
PTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよい。PEEK樹脂等の流動性を安定させるためには、成形時のせん断により繊維化し難く、溶融粘度を増加させ難い再生PTFEを採用することが好ましい。
再生PTFEとは、熱処理(熱履歴が加わったもの)粉末、γ線または電子線などを照射した粉末のことである。例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプがある。再生PTFEの中でも、凝集せず、PEEK樹脂等の溶融温度おいて、全く繊維化せず、内部潤滑効果があり、PEEK樹脂等の流動性を安定して向上させることが可能なことから、γ線または電子線などを照射したPTFE樹脂を採用することがより好ましい。
PTFE樹脂の配合割合は、樹脂組成物全体に対して5〜35重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜30重量%である。PTFE樹脂の配合割合が5重量%未満では、嵌入時の作業性向上の効果が少ない。一方、PTFE樹脂の配合割合が35重量%をこえると、耐クリープ性などが低下するおそれがある。
以上の諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではなく、粉末原料をヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレット(顆粒)を得ることができる。また、充填材等の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。成形方法としては、上述したように射出成形が好ましい。また、物性改善のためにアニール処理等の処理を採用してもよい。
シールリングを射出成形により製造する場合、その射出成形時のゲート位置(ゲート痕)1bは特に限定されないが、シール性の確保の観点および後加工が不要になることから、図2に示すようにリング内周面1dに設けることが好ましい。特に、サブマリンゲートとすることで、ゲート痕を目立たなくできる。また、ゲート位置(ゲート痕)1bは、リング全長の中央部、すなわち合い口1aの対向部に設けることが、射出成形時における流動バランスの面から好ましい。
図4に示す方法により、変速機と電動オイルポンプとの接合部に見立てた組み込み試験を行なった。
[実施例]
図4(a)に示すように、外径φ22.00mmの円筒部材の外周面に形成したシール溝(幅2.50mm×深さ2.00mm)に、シール部材(自由状態の形状が外径φ22.10mm×内径φ18.40mm×幅2.45mm)を組み込んだ(図中[1])。ここで、シール部材(シールリング)は、炭素繊維10重量%とPTFE10重量%とPPS樹脂80重量%からなるPPS材(実施例1)と、炭素繊維10重量%とPEEK樹脂90重量%からなるPEEK材(実施例2)を用い、射出成形により製作した。シール部材の合い口形状は、図2および図3に示す複合ステップカットである。
そのシール部材の組み込まれた円筒部材に、内径φ22.05mmのケース(円筒部材の外周面とのクリアランス0.05mm、組み込み側内径部に0.5mmの面取り有り)を一度嵌入させた(図中[2])。嵌入させた後、ケースを円筒部材から取り外して、シール部材の外観状態を確認した(図中[3])。これを100個の試験部材について行なった。
試験終了後のシール部材の外観を目視により観察したところ、まったく傷、破損等が生じていなかった。
[比較例]
図4(b)に示すように、外径φ22.00mmの円筒部材の外周面に形成したシール溝(幅2.50mm×深さ2.00mm)に、NBR製のOリング(太さ2.5mm×外径23mm×内径18mm)を組み込んだ(図中[1])。そのOリングの組み込まれた円筒部材に、内径φ22.05mmのケース(円筒部材の外周面とのクリアランス0.05mm、組み込み側内径部に0.5mmの面取り有り)を一度嵌入させた(図中[2])。嵌入させた後、ケースを円筒部材から取り外して、Oリングの外観状態を確認した(図中[3])。これを100個の試験部材について行なった。
試験後のOリングの外観を目視により観察したところ、100個中、5個のOリングに破損が認められた。
本発明の電動オイルポンプのシール構造は、停車時にエンジンを停止するアイドリングストップシステムを搭載した車両の変速機と電動オイルポンプとをスリーブを介して接合する際のシール構造として好適に利用できる。
1 シールリング
1a 合い口
1b ゲート位置(ゲート痕)
1c リング外周面
1d リング内周面
2 スリーブ
2a シール溝
2b スリーブ外周面
3 変速機のハウジング
3a スリーブ嵌入部
3b スリーブ嵌入部の内周面
4 電動オイルポンプ
4a スリーブ嵌入部
4b スリーブ嵌入部の内周面
5、5’ 合い口端部
6、6’ 突き合わせ面
7、7’ リップ
8、8’ ポケット
11 電動オイルポンプ
12 ユニットハウジング
13 スリーブ
14、15 Oリング

Claims (5)

  1. 停車時にエンジンを停止するアイドリングストップシステムを搭載した車両の変速機と電動オイルポンプとの接合部におけるシール構造であって、
    前記シール構造は、円筒状のスリーブの外周に形成されたシール溝と、該シール溝に嵌入されるシール部材とからなり、
    前記シール部材は、複合ステップカットの合い口を有する断面矩形の合成樹脂製のシールリングであることを特徴とする電動オイルポンプのシール構造。
  2. 前記複合ステップカットの合い口は、相互に対向する合い口端部からなり、
    一方の合い口端部は、リング内周面側に突き合わせ面と、リング外周面側に前記突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケットとを有し、
    他方の合い口端部は、前記突き合わせ面、前記リップおよびポケットと相補的に嵌合するように形成された、突き合わせ面、ポケットおよびリップを有し、
    前記シール部材は、前記シール溝に嵌入した状態において、前記突き合わせ面間に周方向の隙間を有し、かつ、リング内周面と前記シール溝の溝底との間に隙間を有することを特徴とする請求項1記載の電動オイルポンプのシール構造。
  3. 前記シール部材が、合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を射出成形してなる成形体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動オイルポンプのシール構造。
  4. 前記合成樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂またはポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項3記載の電動オイルポンプのシール構造。
  5. 前記スリーブは、前記接合部において前記変速機および前記電動オイルポンプの少なくとも一方のスリーブ嵌入部に嵌入され、該嵌入部と前記スリーブとの嵌合隙間が0.015mm〜0.1mmであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の電動オイルポンプのシール構造。
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