JP2003269618A - プラスチックシール - Google Patents
プラスチックシールInfo
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- F16C33/76—Sealings of ball or roller bearings
- F16C33/78—Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members
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Abstract
での耐性および耐候性を改善する。 【解決手段】シール材料として、ポリアミド樹脂と熱安
定剤と強化繊維とカーボンブラックを含有する樹脂組成
物を用いる。
Description
チックシールに関する。
に示す。この転がり軸受は玉軸受1であり、外輪2と内
輪3との間に複数個のボール4が配置されている。これ
らのボール4は、保持器5により内外輪の周方向に沿っ
て略等間隔に保持されている。また、外部からの異物の
進入を防止するとともに、潤滑のためのグリースが外部
に流出することを防止するために、軸受の片面または両
面にシール6が装着されている。
れるが、外輪2に固定されるのが一般的である。また、
シール6は環状で、一般的に、外輪2に設けられた嵌合
溝7に装着するための取付嵌合部(外周縁部)8と、内
輪3に設けられたシール溝9に係合させるリップ部10
とが、連結部11で連結された形状となっている。リッ
プ部10のシール溝9に対する係合状態は、摺接状態、
或いは両者の間に僅かな隙間をもたせてラビリンスが形
成された状態である。
ものや、取付嵌合部とリップ部とがゴム等で形成され、
金属製のリングを補強材として備えたもの(複合型シー
ル)が知られている。図3に全体が金属製のシール61
の一例を、図4に複合型シール62の一例を示す。複合
型シール62は、金属製のリング62aとゴム部材62
bとからなる。また、プラスチックや熱可塑性エラスト
マーのみからなるシール(以下、これらのシールを「プ
ラスチックシール」と称する。)も知られている。
とシール取付嵌合部(外周縁部)との密着性に劣る。複
合型シールは、金属製リングの表面処理剤及びゴム材料
の添加剤が、使用環境に影響を与える恐れがある。プラ
スチックシールにはこのような問題はないが、金属製シ
ールや複合型シールと比較して、温度や湿度等の影響に
よる寸法変化が大きい。そのため、プラスチックシール
を組み込んだ転がり軸受では密封性を向上させることが
課題となる。
機械的強度に優れ、温度や湿度等の影響による寸法変化
が小さいプラスチックシールを提案した(特開2001
−140905号公報参照)。このプラスチックシール
は、ポリアミド樹脂にガラス繊維を含む樹脂組成物で形
成されている。
チックシールを取り付けた軸受を高温条件下で使用する
ことには、以下のような課題がある。先ず、高温条件下
では、潤滑油が酸化されてその酸性度が上昇するため、
軸受内部は高温酸性雰囲気となる。すなわち、プラスチ
ックシールが熱酸化され易い環境となるため、高温酸性
雰囲気での耐性が低いプラスチックシールは熱酸化によ
り劣化して、靱性および耐クリープ性が低下する。
は、弾性変形した状態で外輪の嵌合溝に押し込まれてい
るため、耐クリープ性が低下するとクリープ変形を起こ
して密封性が低下する。また、靭性の低下も押し付け力
を弱くするため密封性の低下をもたらす。したがって、
高温条件下で使用するプラスチックシールには高温酸性
雰囲気での耐性が高いことが求められるが、上記公報に
記載のプラスチックシールにはこの点で改善の余地があ
る。また、上記公報に記載のプラスチックシールには、
紫外線の影響を受ける位置に取り付けた場合の耐候性の
点でも改善の余地がある。
耐候性に優れた軸受用プラスチックシールを提供するこ
とを目的とする。
め、本発明は、ポリアミド樹脂と熱安定剤と強化繊維と
を含有する樹脂組成物からなることを特徴とするプラス
チックシールを提供する。本発明のプラスチックシール
によれば、熱安定剤と強化繊維の相乗効果によりポリア
ミド樹脂の耐熱性(強度)が高くなるため、高温酸性雰
囲気でも酸化され難い。すなわち、このプラスチックシ
ールは、高温条件下で使用されても、靱性および耐クリ
ープ性が高く、良好な密封性が得られる。
は、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン46、ナイロン
66、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。特
に、耐熱性、耐油性、吸水率、及び価格等を考慮する
と、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン6を用いる
ことが好ましい。熱安定剤としては、銅系安定剤および
有機系安定剤のいずれを使用してもよい。使用可能な銅
系安定剤としては、フェノールおよびビスフェノール
類、含イオウ化合物、亜リン酸塩類、多価アルコール類
等の各種化合物の銅塩やハロゲン化銅等が挙げられる。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して
もよい。使用可能な有機系安定剤としては、従来公知の
種々の有機系安定剤のうち銅を含まないものが挙げられ
る。特に、芳香族アミン類等の有機アミン系安定剤が好
適に使用される。これらは単独で使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。
機系のいずれか1種類を単独で使用する場合は、0.5
〜1.5質量%の範囲が好ましい。0.5質量%未満で
は耐熱効果が不足し、安定剤を単独で1.5質量%を超
えて添加しても、それ以上の効果は得られず、シール初
期強度が低下する恐れがある。初期強度の低下を避ける
ためには0.5〜1.0質量%の範囲がより好ましい。
には、両者の配合比を銅系安定剤:有機系安定剤=1:
2〜2:1の範囲とすることが好ましく、1:1で両者
を配合するのことがより好ましい。銅系安定剤と有機系
安定剤の配合比が上記範囲を外れると、両安定剤の相乗
効果によるポリアミド樹脂の耐熱性向上効果が十分に得
られず、高温酸性雰囲気での熱酸化による強度低下が大
きくなる恐れがある。
には、両者の合計添加率を、全成分に対して0.5〜
2.0質量%の範囲内とすることが好ましく、1質量%
前後とすることがより好ましい。両安定剤の合計添加率
が0.5質量%未満では、その添加効果が十分に得られ
ず、高温酸性雰囲気での熱酸化による強度低下が大きく
なる恐れがある。また、両安定剤の合計添加率が2.0
質量%を超えても、それ以上の添加効果が得られないだ
けでなく、初期強度が低下する恐れがある。
ラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維及び各種ウィス
カー等が挙げられるが、強度、価格等の点から特にガラ
ス繊維を使用することが好ましい。また、強化繊維の繊
維径としては、平均繊維径が0.2〜30μmのものが
好ましい。平均繊維径が0.2μm未満の繊維を使用す
ると、母材であるポリアミド樹脂と混合した際に繊維間
の凝集が起こり、繊維の分散が不均一になる恐れがあ
る。また、平均繊維径が30μmを超えると、シール表
面の平滑性が低下する恐れがある。より好ましい平均繊
維径の範囲は0.3〜15μmである。
5〜50質量%とすることが好ましい。15質量%未満
では、強化繊維の効果が十分に得られず、機械的強度、
粘性、熱変形温度(耐クリープ性)が低下する。また、
50質量%を超えて含有させると、柔軟性が低下して組
み込み時にシールに割れが生じ易いとともに、流動性が
低下して射出成形時に樹脂が完全に充填されない可能性
がある。より好ましい強化繊維含有率の範囲は20〜4
0質量%である。
の目的を損なわない範囲で、粉末状の強化材を配合して
も良い。粉末状の強化材としては、ガラス粉末、ガラス
ビーズ、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これ
らの粉末状強化材を添加することにより、強化繊維の配
向性による影響が小さくなって、成形精度が向上する効
果が得られる。
とカーボンブラックとを含有する樹脂組成物からなり、
前記カーボンブラックにより黒色に着色されていること
を特徴とするプラスチックシールを提供する。プラスチ
ックの耐候性を向上させる対策としては、光安定剤(紫
外線吸収剤や紫外線遮蔽剤)を添加する方法があるが、
有機系の光安定剤は、安全性の面から使用される種類や
添加量に制限がある。また、紫外線を吸収する際の物性
(色、臭い、溶解性、乳化性、使用感等)の点からも添
加量を多くできないため、十分な紫外線吸収効果が得ら
れない。また、耐熱性が低く、揮発し易いという問題も
ある。
いずれも半導体であり、紫外線を吸収して熱等のエネル
ギーに変換すると考えられているが、紫外線吸収効率の
向上のために超微粒子化して使用すると、粒子表面で大
気中の酸素及び水と反応し、「・OH」や「・OOH」
等のラジカルが生成して、樹脂の分散や劣化が生じる場
合がある。また、配合量が多くなると、微粒子化による
表面活性が著しく強くなり、触媒作用を引き起こして他
の配合成分の変質を招くことがある。さらに、二次凝集
が発生しやすいために、分散性の点でも問題がある。
シールをカーボンブラックにより黒色に着色することで
耐候性を向上させている。カーボンブラックは、前述の
有機系および無機系の光安定剤と比較して、紫外線を吸
収する際の物性、他の配合成分の変質、および分散性の
いずれの点でも、問題を生じさせる可能性が極めて少な
い。
は、顔料用のカーボンブラックを用いることが好まし
い。カーボンブラックの添加率は、樹脂組成物の0.5
〜7.0質量%であることが好ましい。カーボンブラッ
クの添加率が0.5質量%未満であると、カーボンブラ
ックによる紫外線吸収量が不足して耐候性が十分に得ら
れない。7.0質量%を超えると成形時の樹脂の流れが
悪くなったり、分散不良が生じて、シールの寸法精度が
低下したりシールにクラックが発生する可能性がある。
より好ましいカーボンブラックの添加率は、樹脂組成物
の1.0〜5.0質量%の範囲である。
分を含有する樹脂組成物を溶融混練した後、ペレット状
等の射出成形材料として使用可能な形状にし、射出成形
機で射出成形することにより製造される。
説明する。 [実施例1]実施例1−1〜1−5、および比較例1−
1として、各組成の樹脂組成物を用いて、「ISO52
7−2」の試験法に準じた試験片を成形し、この試験片
を用いて耐熱試験を行った。耐熱試験は次の方法で行っ
た。
度:H0)を測定する。次に、グリースを入れた容器内
に各試験片を入れて、試験片全体がグリースに埋まるよ
うにする。次に、この容器を150℃の雰囲気中に置
き、1000時間放置した後と2000時間放置した後
に、各試験片の引張り強度(H1000,H2000)を測定す
る。
ナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラ
ス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を、
有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジフェニルア
ミンを用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:
ガラス繊維:CuI+KI:4,4’−ジオクチルジフ
ェニルアミン=64.0:35.0:0.5:0.5と
なるように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、こ
の実施例では、熱安定剤として銅系安定剤と有機系安定
剤の両方を用いた。
ナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラ
ス繊維を、有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジ
フェニルアミンを用意した。これらを、質量比で、ナイ
ロン66:ガラス繊維:4,4’−ジオクチルジフェニ
ルアミン=64.5:35.0:0.5となるように混
合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例で
は、熱安定剤として銅系安定剤を使用せず有機系安定剤
のみを用いた。
ナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラ
ス繊維を、有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジ
フェニルアミンを用意した。これらを、質量比で、ナイ
ロン66:ガラス繊維:4,4’−ジオクチルジフェニ
ルアミン=64.0:35.0:1.0となるように混
合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例で
は、熱安定剤として銅系安定剤を使用せず有機系安定剤
のみを用いた。
ナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラ
ス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を用
意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊
維:CuI+KI=64.5:35.0:0.5となる
ように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実
施例では、熱安定剤として有機系安定剤を使用せず銅系
安定剤のみを用いた。
ナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラ
ス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を用
意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊
維:CuI+KI=64.0:35.0:1.0となる
ように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実
施例では、熱安定剤として有機系安定剤を使用せず銅系
安定剤のみを用いた。
に、ナイロン66と繊維径10μmのガラス繊維を、質
量比で、ナイロン66:ガラス繊維=65.0:35.
0となるように混合して、樹脂組成物を得た。この試験
結果を、樹脂組成物の熱安定剤含有率とともに下記の表
1に示す。
使用していない比較例1−1は熱安定剤を使用した実施
例1−1〜1−5と比較して、150℃のグリース中で
長時間(1000時間、2000時間)保持することに
より、引張り強度が大きく低下している。実施例1−1
〜1−5では、引張り強度の低下量が2000時間後で
も初期の3割程度であるのに対して、比較例1−1で
は、引張り強度が1000時間後に初期の半分以下に、
2000時間後には初期の1/4以下になっている。
は、高温の潤滑油に対する耐性に優れていることが分か
る。さらに、銅系安定剤または有機系安定剤を単独で使
用するよりも両方を併用した方が好ましいことが分か
る。 [実施例2]JIS呼び番号「6203」の玉軸受(内
径16mm、外径40mm、幅12mm)用のシール
を、実施例1−1〜1−5および比較例1−1と同じ組
成の各樹脂組成物を用い、射出成形を行うことにより作
製した。このシール6は、図1に示すように、リップ部
10が内輪3に接触する形状である。
封入し、各樹脂組成物からなるシールを取り付けて、外
輪の嵌合溝とシールとの固定力(初期値)を調べた。次
に、この玉軸受を150℃の雰囲気中に置き、2000
時間放置した後に、外輪の嵌合溝とシールとの固定力を
調べた。その試験結果を、樹脂組成物の熱安定剤含有率
とともに下記の表2に示す。
使用した実施例2−1〜2−5は、150℃で2000
時間放置後でも外輪の嵌合溝との固定力に変化がなかっ
た。これに対して、熱安定剤を使用していない比較例2
−1では、シールと外輪の嵌合溝との間に隙間ができ
て、ガタガタの状態であった。 [実施例3]実施例1と同じ形状の試験片を、以下に示
す各組成の樹脂組成物を用いて作製し、各試験片を用い
て耐候性試験を行った。耐候性試験は、サンシャインカ
ーボンアーク灯が照射光源として設置された耐候性試験
機を用い、機内温度を63℃に保持し、60分毎に12
分間降雨させる条件で、2000時間行った。所定時間
毎に試験機から試験片を取り出して乾燥させた後に、そ
の試験片を用いて引張り試験を行った。
ナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラ
ス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を、
有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジフェニルア
ミンを、カーボンブラックとして顔料用のカーボンブラ
ックを用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:
ガラス繊維:CuI+KI:4,4’−ジオクチルジフ
ェニルアミン:カーボンブラック=61.0:35.
0:0.5:0.5:3.0となるように混合して、樹
脂組成物を得た。
6:ガラス繊維:CuI+KI:カーボンブラック=6
1.0:35.0:1.0:3.0となるように混合し
て、樹脂組成物を得た。比較例3−1では、カーボンブ
ラックを使用せず、質量比で、ナイロン66:ガラス繊
維:CuI+KI:4,4’−ジオクチルジフェニルア
ミン=64.0:35.0:0.5:0.5となるよう
に混合して、樹脂組成物を得た。
このグラフは、試験時間と引張り強度との関係を示す。
この結果から分かるように、カーボンブラックを配合し
ていない樹脂組成物からなる比較例3−1の試験片で
は、100時間経過後から引張り強度の低下がみられ、
その低下量は2000時間経過後で、カーボンブラック
を配合した樹脂組成物からなる実施例3−1,3−2の
試験片の6倍以上であった。また、実施例3−1,3−
2の試験片では、1000時間経過以降にほとんど強度
低下が進んでいない。なお、実施例3−1,3−2の試
験片は黒色に着色されていた。
ミド樹脂に熱安定剤とガラス繊維とカーボンブラックと
からなる樹脂組成物を射出成形して得られ、黒色に着色
された試験片である。したがって、この結果から、前記
樹脂組成物を使用することによって、耐熱性および耐候
性に優れたプラスチックシールが得られることが分か
る。
は図1に示す形状に限定されず、例えば、リップ部が内
輪に接触しない非接触形のシールであってもよい。ま
た、本発明のプラスチックシールは玉軸受以外の各種転
がり軸受にも適用可能である。
高温酸性雰囲気での耐性に優れたプラスチックシールお
よび耐候性に優れたプラスチックシールが提供される。
したがって、本発明のプラスチックシールを使用するこ
とにより、長期に渡って軸受の密封性能を良好に維持す
ることができる。
面図である。
の関係で示すグラフである。
面図である。
面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリアミド樹脂と熱安定剤と強化繊維と
を含有する樹脂組成物からなることを特徴とするプラス
チックシール。 - 【請求項2】 ポリアミド樹脂と強化繊維とカーボンブ
ラックとを含有する樹脂組成物からなり、前記カーボン
ブラックにより黒色に着色されていることを特徴とする
プラスチックシール。
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