JP4389428B2 - プラスチックシール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種軸受用プラスチックシールに関する。
【0002】
【従来の技術】
シールを備えた転がり軸受の一例を図1に示す。この転がり軸受は玉軸受1であり、外輪2と内輪3との間に複数個のボール4が配置されている。これらのボール4は、保持器5により内外輪の周方向に沿って略等間隔に保持されている。また、外部からの異物の進入を防止するとともに、潤滑のためのグリースが外部に流出することを防止するために、軸受の片面または両面にシール6が装着されている。
【0003】
シール6は、外輪2または内輪3に固定されるが、外輪2に固定されるのが一般的である。また、シール6は環状で、一般的に、外輪2に設けられた嵌合溝7に装着するための取付嵌合部(外周縁部)8と、内輪3に設けられたシール溝9に係合させるリップ部10とが、連結部11で連結された形状となっている。リップ部10のシール溝9に対する係合状態は、摺接状態、或いは両者の間に僅かな隙間をもたせてラビリンスが形成された状態である。
【0004】
シールの材質に関しては、全体が金属製のものや、取付嵌合部とリップ部とがゴム等で形成され、金属製のリングを補強材として備えたもの(複合型シール)が知られている。図3に全体が金属製のシール61の一例を、図4に複合型シール62の一例を示す。複合型シール62は、金属製のリング62aとゴム部材62bとからなる。また、プラスチックや熱可塑性エラストマーのみからなるシール(以下、これらのシールを「プラスチックシール」と称する。)も知られている。
【0005】
金属製シールは、外輪に設けられた嵌合溝とシール取付嵌合部(外周縁部)との密着性に劣る。複合型シールは、金属製リングの表面処理剤及びゴム材料の添加剤が、使用環境に影響を与える恐れがある。プラスチックシールにはこのような問題はないが、金属製シールや複合型シールと比較して、温度や湿度等の影響による寸法変化が大きい。そのため、プラスチックシールを組み込んだ転がり軸受では密封性を向上させることが課題となる。
【0006】
この課題を解決するために、本出願人は、機械的強度に優れ、温度や湿度等の影響による寸法変化が小さいプラスチックシールを提案した(特開2001−140905号公報参照)。このプラスチックシールは、ポリアミド樹脂にガラス繊維を含む樹脂組成物で形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラスチックシールを取り付けた軸受を高温条件下で使用することには、以下のような課題がある。
先ず、高温条件下では、潤滑油が酸化されてその酸性度が上昇するため、軸受内部は高温酸性雰囲気となる。すなわち、プラスチックシールが熱酸化され易い環境となるため、高温酸性雰囲気での耐性が低いプラスチックシールは熱酸化により劣化して、靱性および耐クリープ性が低下する。
【0008】
そして、プラスチックシールの取付嵌合部は、弾性変形した状態で外輪の嵌合溝に押し込まれているため、耐クリープ性が低下するとクリープ変形を起こして密封性が低下する。また、靭性の低下も押し付け力を弱くするため密封性の低下をもたらす。
したがって、高温条件下で使用するプラスチックシールには高温酸性雰囲気での耐性が高いことが求められるが、上記公報に記載のプラスチックシールにはこの点で改善の余地がある。また、上記公報に記載のプラスチックシールには、紫外線の影響を受ける位置に取り付けた場合の耐候性の点でも改善の余地がある。
【0009】
本発明は、高温酸性雰囲気での耐性および耐候性に優れた軸受用プラスチックシールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ポリアミド樹脂と熱安定剤と強化繊維とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とするプラスチックシールを提供する。
本発明のプラスチックシールによれば、熱安定剤と強化繊維の相乗効果によりポリアミド樹脂の耐熱性(強度)が高くなるため、高温酸性雰囲気でも酸化され難い。すなわち、このプラスチックシールは、高温条件下で使用されても、靱性および耐クリープ性が高く、良好な密封性が得られる。
【0011】
本発明で使用可能なポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。特に、耐熱性、耐油性、吸水率、及び価格等を考慮すると、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン6を用いることが好ましい。
熱安定剤としては、銅系安定剤および有機系安定剤のいずれを使用してもよい。使用可能な銅系安定剤としては、フェノールおよびビスフェノール類、含イオウ化合物、亜リン酸塩類、多価アルコール類等の各種化合物の銅塩やハロゲン化銅等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。使用可能な有機系安定剤としては、従来公知の種々の有機系安定剤のうち銅を含まないものが挙げられる。特に、芳香族アミン類等の有機アミン系安定剤が好適に使用される。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
熱安定剤の添加量としては、銅系または有機系のいずれか1種類を単独で使用する場合は、0.5〜1.5質量%の範囲が好ましい。0.5質量%未満では耐熱効果が不足し、安定剤を単独で1.5質量%を超えて添加しても、それ以上の効果は得られず、シール初期強度が低下する恐れがある。初期強度の低下を避けるためには0.5〜1.0質量%の範囲がより好ましい。
【0013】
銅系安定剤と有機系安定剤を併用する場合には、両者の配合比を銅系安定剤:有機系安定剤=1:2〜2:1の範囲とすることが好ましく、1:1で両者を配合するのことがより好ましい。銅系安定剤と有機系安定剤の配合比が上記範囲を外れると、両安定剤の相乗効果によるポリアミド樹脂の耐熱性向上効果が十分に得られず、高温酸性雰囲気での熱酸化による強度低下が大きくなる恐れがある。
【0014】
銅系安定剤と有機系安定剤を併用する場合には、両者の合計添加率を、全成分に対して0.5〜2.0質量%の範囲内とすることが好ましく、1質量%前後とすることがより好ましい。両安定剤の合計添加率が0.5質量%未満では、その添加効果が十分に得られず、高温酸性雰囲気での熱酸化による強度低下が大きくなる恐れがある。また、両安定剤の合計添加率が2.0質量%を超えても、それ以上の添加効果が得られないだけでなく、初期強度が低下する恐れがある。
【0015】
本発明で使用可能な強化繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維及び各種ウィスカー等が挙げられるが、強度、価格等の点から特にガラス繊維を使用することが好ましい。
また、強化繊維の繊維径としては、平均繊維径が0.2〜30μmのものが好ましい。平均繊維径が0.2μm未満の繊維を使用すると、母材であるポリアミド樹脂と混合した際に繊維間の凝集が起こり、繊維の分散が不均一になる恐れがある。また、平均繊維径が30μmを超えると、シール表面の平滑性が低下する恐れがある。より好ましい平均繊維径の範囲は0.3〜15μmである。
【0016】
強化繊維の樹脂組成物中での含有率は、15〜50質量%とすることが好ましい。15質量%未満では、強化繊維の効果が十分に得られず、機械的強度、粘性、熱変形温度(耐クリープ性)が低下する。また、50質量%を超えて含有させると、柔軟性が低下して組み込み時にシールに割れが生じ易いとともに、流動性が低下して射出成形時に樹脂が完全に充填されない可能性がある。より好ましい強化繊維含有率の範囲は20〜40質量%である。
【0017】
本発明で使用する樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、粉末状の強化材を配合しても良い。粉末状の強化材としては、ガラス粉末、ガラスビーズ、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの粉末状強化材を添加することにより、強化繊維の配向性による影響が小さくなって、成形精度が向上する効果が得られる。
【0018】
本発明はまた、ポリアミド樹脂と強化繊維とカーボンブラックとを含有する樹脂組成物からなり、前記カーボンブラックにより黒色に着色されていることを特徴とするプラスチックシールを提供する。
プラスチックの耐候性を向上させる対策としては、光安定剤(紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤)を添加する方法があるが、有機系の光安定剤は、安全性の面から使用される種類や添加量に制限がある。また、紫外線を吸収する際の物性(色、臭い、溶解性、乳化性、使用感等)の点からも添加量を多くできないため、十分な紫外線吸収効果が得られない。また、耐熱性が低く、揮発し易いという問題もある。
【0019】
無機系の光安定剤として使用される物質はいずれも半導体であり、紫外線を吸収して熱等のエネルギーに変換すると考えられているが、紫外線吸収効率の向上のために超微粒子化して使用すると、粒子表面で大気中の酸素及び水と反応し、「・OH」や「・OOH」等のラジカルが生成して、樹脂の分散や劣化が生じる場合がある。また、配合量が多くなると、微粒子化による表面活性が著しく強くなり、触媒作用を引き起こして他の配合成分の変質を招くことがある。さらに、二次凝集が発生しやすいために、分散性の点でも問題がある。
【0020】
これに対して、本発明では、プラスチックシールをカーボンブラックにより黒色に着色することで耐候性を向上させている。カーボンブラックは、前述の有機系および無機系の光安定剤と比較して、紫外線を吸収する際の物性、他の配合成分の変質、および分散性のいずれの点でも、問題を生じさせる可能性が極めて少ない。
【0021】
本発明で使用するカーボンブラックとしては、顔料用のカーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックの添加率は、樹脂組成物の0.5〜7.0質量%であることが好ましい。カーボンブラックの添加率が0.5質量%未満であると、カーボンブラックによる紫外線吸収量が不足して耐候性が十分に得られない。7.0質量%を超えると成形時の樹脂の流れが悪くなったり、分散不良が生じて、シールの寸法精度が低下したりシールにクラックが発生する可能性がある。より好ましいカーボンブラックの添加率は、樹脂組成物の1.0〜5.0質量%の範囲である。
【0022】
本発明のプラスチックシールは、上記各成分を含有する樹脂組成物を溶融混練した後、ペレット状等の射出成形材料として使用可能な形状にし、射出成形機で射出成形することにより製造される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[実施例1]
実施例1−1〜1−5、および比較例1−1として、各組成の樹脂組成物を用いて、「ISO527−2」の試験法に準じた試験片を成形し、この試験片を用いて耐熱試験を行った。耐熱試験は次の方法で行った。
【0024】
先ず、各試験片の引っ張り強度(初期強度:H0)を測定する。次に、グリースを入れた容器内に各試験片を入れて、試験片全体がグリースに埋まるようにする。次に、この容器を150℃の雰囲気中に置き、1000時間放置した後と2000時間放置した後に、各試験片の引張り強度(H1000,H2000)を測定する。
【0025】
実施例1−1では、ポリアミド樹脂としてナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を、有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジフェニルアミンを用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:CuI+KI:4,4’−ジオクチルジフェニルアミン=64.0:35.0:0.5:0.5となるように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例では、熱安定剤として銅系安定剤と有機系安定剤の両方を用いた。
【0026】
実施例1−2では、ポリアミド樹脂としてナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラス繊維を、有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジフェニルアミンを用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:4,4’−ジオクチルジフェニルアミン=64.5:35.0:0.5となるように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例では、熱安定剤として銅系安定剤を使用せず有機系安定剤のみを用いた。
【0027】
実施例1−3では、ポリアミド樹脂としてナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラス繊維を、有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジフェニルアミンを用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:4,4’−ジオクチルジフェニルアミン=64.0:35.0:1.0となるように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例では、熱安定剤として銅系安定剤を使用せず有機系安定剤のみを用いた。
【0028】
実施例1−4では、ポリアミド樹脂としてナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:CuI+KI=64.5:35.0:0.5となるように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例では、熱安定剤として有機系安定剤を使用せず銅系安定剤のみを用いた。
【0029】
実施例1−5では、ポリアミド樹脂としてナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:CuI+KI=64.0:35.0:1.0となるように混合して、樹脂組成物を得た。すなわち、この実施例では、熱安定剤として有機系安定剤を使用せず銅系安定剤のみを用いた。
【0030】
比較例1−1では、熱安定剤を添加せずに、ナイロン66と繊維径10μmのガラス繊維を、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維=65.0:35.0となるように混合して、樹脂組成物を得た。
この試験結果を、樹脂組成物の熱安定剤含有率とともに下記の表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0004389428
【0032】
表1の結果から分かるように、熱安定剤を使用していない比較例1−1は熱安定剤を使用した実施例1−1〜1−5と比較して、150℃のグリース中で長時間(1000時間、2000時間)保持することにより、引張り強度が大きく低下している。実施例1−1〜1−5では、引張り強度の低下量が2000時間後でも初期の3割程度であるのに対して、比較例1−1では、引張り強度が1000時間後に初期の半分以下に、2000時間後には初期の1/4以下になっている。
【0033】
このことから、熱安定剤を使用した本発明は、高温の潤滑油に対する耐性に優れていることが分かる。さらに、銅系安定剤または有機系安定剤を単独で使用するよりも両方を併用した方が好ましいことが分かる。
[実施例2]
JIS呼び番号「6203」の玉軸受(内径16mm、外径40mm、幅12mm)用のシールを、実施例1−1〜1−5および比較例1−1と同じ組成の各樹脂組成物を用い、射出成形を行うことにより作製した。このシール6は、図1に示すように、リップ部10が内輪3に接触する形状である。
【0034】
先ず、前記玉軸受を組み立ててグリ−スを封入し、各樹脂組成物からなるシールを取り付けて、外輪の嵌合溝とシールとの固定力(初期値)を調べた。次に、この玉軸受を150℃の雰囲気中に置き、2000時間放置した後に、外輪の嵌合溝とシールとの固定力を調べた。その試験結果を、樹脂組成物の熱安定剤含有率とともに下記の表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0004389428
【0036】
表2の結果から分かるように、熱安定剤を使用した実施例2−1〜2−5は、150℃で2000時間放置後でも外輪の嵌合溝との固定力に変化がなかった。これに対して、熱安定剤を使用していない比較例2−1では、シールと外輪の嵌合溝との間に隙間ができて、ガタガタの状態であった。
[実施例3]
実施例1と同じ形状の試験片を、以下に示す各組成の樹脂組成物を用いて作製し、各試験片を用いて耐候性試験を行った。耐候性試験は、サンシャインカーボンアーク灯が照射光源として設置された耐候性試験機を用い、機内温度を63℃に保持し、60分毎に12分間降雨させる条件で、2000時間行った。所定時間毎に試験機から試験片を取り出して乾燥させた後に、その試験片を用いて引張り試験を行った。
【0037】
実施例3−1では、ポリアミド樹脂としてナイロン66を、強化繊維として繊維径10μmのガラス繊維を、銅系安定剤としてCuIとKIの混合物を、有機系安定剤として4,4’−ジオクチルジフェニルアミンを、カーボンブラックとして顔料用のカーボンブラックを用意した。これらを、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:CuI+KI:4,4’−ジオクチルジフェニルアミン:カーボンブラック=61.0:35.0:0.5:0.5:3.0となるように混合して、樹脂組成物を得た。
【0038】
実施例3−2では、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:CuI+KI:カーボンブラック=61.0:35.0:1.0:3.0となるように混合して、樹脂組成物を得た。
比較例3−1では、カーボンブラックを使用せず、質量比で、ナイロン66:ガラス繊維:CuI+KI:4,4’−ジオクチルジフェニルアミン=64.0:35.0:0.5:0.5となるように混合して、樹脂組成物を得た。
【0039】
耐候性試験の結果を図2にグラフで示す。このグラフは、試験時間と引張り強度との関係を示す。
この結果から分かるように、カーボンブラックを配合していない樹脂組成物からなる比較例3−1の試験片では、100時間経過後から引張り強度の低下がみられ、その低下量は2000時間経過後で、カーボンブラックを配合した樹脂組成物からなる実施例3−1,3−2の試験片の6倍以上であった。また、実施例3−1,3−2の試験片では、1000時間経過以降にほとんど強度低下が進んでいない。なお、実施例3−1,3−2の試験片は黒色に着色されていた。
【0040】
実施例3−1,3−2の試験片は、ポリアミド樹脂に熱安定剤とガラス繊維とカーボンブラックとからなる樹脂組成物を射出成形して得られ、黒色に着色された試験片である。したがって、この結果から、前記樹脂組成物を使用することによって、耐熱性および耐候性に優れたプラスチックシールが得られることが分かる。
【0041】
なお、本発明のプラスチックシールの形状は図1に示す形状に限定されず、例えば、リップ部が内輪に接触しない非接触形のシールであってもよい。また、本発明のプラスチックシールは玉軸受以外の各種転がり軸受にも適用可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高温酸性雰囲気での耐性に優れたプラスチックシールおよび耐候性に優れたプラスチックシールが提供される。
したがって、本発明のプラスチックシールを使用することにより、長期に渡って軸受の密封性能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シールを備えた転がり軸受の一例を示す部分断面図である。
【図2】耐候性試験の結果を、試験時間と引張り強度との関係で示すグラフである。
【図3】シールを備えた転がり軸受の一例を示す部分断面図である。
【図4】シールを備えた転がり軸受の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 玉軸受(転がり軸受)
2 外輪
3 内輪
4 ボール
5 保持器
6 シール
61 金属製シール
62 複合型シール
62a 金属製リング
62b ゴム部材
7 嵌合溝
8 取付嵌合部
9 シール溝
10 リップ部
11 連結部

Claims (2)

  1. ポリアミド樹脂と、CuIとKIの混合物である銅系安定剤と芳香族アミン類であるアミン系安定剤からなる熱安定剤と、平均繊維径が0.2〜30μmであるガラス繊維からなる強化繊維と、カーボンブラックと、を含有する樹脂組成物を射出成形することで形成され、前記熱安定剤は、銅系安定剤:アミン系安定剤=1:2〜2:1の比率で、合計含有率が0.5〜2.0質量%となるように含有し、カーボンブラックの含有率は1.0〜5.0質量%であり、前記カーボンブラックにより黒色に着色されていることを特徴とするプラスチックシール。
  2. リップ部が内輪に接触する形状を有する請求項1記載のプラスチックシール。
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