JP4299118B2 - 樹脂製シールリングの製造方法 - Google Patents

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本発明は、オートマチックトランスミッション(AT)、無段変速機(CVT)などの油圧機構部に使用される樹脂製シールリングおよびその製造方法に関し、特に射出成形による樹脂製シールリングおよびその製造方法に関する。
現在、AT、CVTなどでは作動油を密封するためのオイルシールリングとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂などに、炭素繊維などの補強材や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの固体潤滑材を配合した材料をリング状に射出成形したものが多用されている。このようなリングは一部分でカットされており、回転軸などへの組み込み時には該カット箇所を拡張して装着される。その際、カット箇所のリング上での対向部周辺に歪みが発生し応力集中が起こるため、該対向部に射出成形用ゲート部やウエルド部が存在する場合、この部分の強度が弱く組み込み時にリングが折損するという問題がある。最近では機構の小型化などに伴いリング内径が小径化する傾向にあり、特にシールリング内径が20mm以下の場合、比較的柔軟な素材でも折損しやすくなっている。
この問題を解決する手段として、従来、樹脂をカット箇所の一方の端部近傍から注入するもの(特許文献1参照)、また、ゲート位置をカット箇所のリング上での対向位置からずらした位置に設け折損しにくくする方法(特許文献2参照)などが開示されている。
しかしながら、これらの方法では、ゲート痕からリング両端のカット部までの流動長およびその体積が同一でないため、流動長の短い側での過充填によるバリの発生や流動長の長い側での充填不足によるショートショットが発生しやすいという問題がある。また、特許文献2の方法において、リング状の成形品を得た後にゲートが対向位置となる箇所をさけてカットし、シールリングにする方法も提案されているが、この場合ではシールリングの1箇所に極端に強度の低いウエルド部が生じてしまい、その部分で折損しやすいという問題がある。
また、この充填不均衡の問題に対し、本出願人は、カット部の対向位置からずらした位置にゲート痕を有し、該ゲート痕から各カット部までの略差分となる体積の樹脂だまりを設けた金型により製造する樹脂製シールリングを出願している(特願2002−377069)。
特開平8−233110号公報 (特許請求の範囲) 特許第3299419号公報 (特許請求の範囲)
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、組み込み時の拡張による折損がなく、また、後加工なしでバリなどの形状上の不具合を有しないシールリングおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の樹脂製シールリングは、シールリングの相互に対向するカット部と、該カット部の対向位置から離れた位置に射出成形時のゲート痕とを有する樹脂製シールリングであって、上記ゲート痕は、カット部を衝合させたときのカット部対向位置を 0 度とし、該対向位置からシールリング中心角度で 90 度以上、180 度未満離れた位置であることを特徴とする。
シールリング相手軸の組み込み性評価試験などの結果より、ゲート位置は、その位置における歪みの大きさから、どちらかのカット部側に近い位置、具体的にはカット部を 180 度、その対向位置を 0 度とすると特に 90 度以上ずらした位置とする必要があることが分かった。本発明はこのような知見に基づくものである。
上記樹脂製シールリングは、上記ゲート痕と、該ゲート痕にシールリングの円周距離で近い側のカット部との間に、樹脂だまり流入部を介して樹脂だまりが設けられた金型を用いて射出成形された成形体であり、上記樹脂だまり流入部の形状は、射出成形時において樹脂の上記樹脂だまりへの流入抵抗がシールリング部分への流入抵抗以上となる形状であり、上記樹脂だまりの大きさは、射出成形時においてシールリング部分と同時に完全充填される大きさ以上であることを特徴とする。
また、上記シールリングは、シールリング内径が 20 mm以下であることを特徴とする。
本発明の樹脂製シールリングの製造方法は、成形準備工程と、射出成形工程と、成形品取り出し工程とを備えた、相互に対向するカット部を有する樹脂製シールリングの製造方法であって、上記射出成形工程は、カット部の対向位置から離れた位置に射出成形用のゲート部と、該ゲート部にシールリングの円周距離で近い側のカット部との間に、樹脂だまり流入部を介して樹脂だまりが設けられた金型を用いて射出成形する工程であり、上記樹脂だまり流入部の形状は、上記射出成形工程時において樹脂の上記樹脂だまりへの流入抵抗がシールリング部分への流入抵抗以上となる形状であり、上記樹脂だまりの大きさは、上記射出成工程形時においてシールリング部分と同時に完全充填される大きさ以上であることを特徴とする。
ゲート位置をカット部の対向位置からずらし、樹脂流動長の短い側に樹脂だまりを設けることにより、射出成形時において樹脂だまりに余剰分の樹脂が流れ込み、短流動長側の過充填が解消される。また、樹脂だまり流入部の形状を、樹脂だまり部分への流入抵抗がシールリング部分への流入抵抗以上となる形状とすることにより、樹脂だまりへの樹脂の充填がシールリング部分への充填より遅れるため、樹脂だまりの大きさを流動長差分よりも小さくできる。この樹脂だまりの大きさを射出成形時においてシールリング部分と同時に完全充填される大きさ以上とすることにより、過充填によるバリや保圧不足によるヒケの発生を抑制できる。
本発明の樹脂製シールリングは、ゲート位置をカット部の対向位置から 90度以上離し、樹脂流動長の短い側に樹脂だまりを設け、該樹脂だまりの大きさおよび樹脂だまり流入部の形状を調整し、射出成形時においてシールリング部分と該樹脂だまり部分とが同時に完全充填となる、またはシールリング部分が完全充填時において樹脂だまり部分が不完全充填となるように成形されるので、過充填によるバリや保圧不足によるヒケの発生を抑制できるとともに、強度の劣るウェルド部なども有さず、機械的強度および寸法精度に優れたシールリングが得られる。よって、組み付け拡張時などにおける折損を防止できる。
本発明の樹脂製シールリングの製造方法は、その射出成形工程時においてシールリング部分と該樹脂だまり部分とが同時に完全充填となる、またはシールリング部分が完全充填時において樹脂だまり部分が不完全充填となるように成形されるので、機械的強度および寸法精度に優れたシールリングが得られる。また、樹脂だまり流入部の形状を調整することにより樹脂だまりの大きさを小型化できるので、後加工などが容易になるなど生産性に優れる。また、樹脂だまりの小型化により、内径 20 mm以下の小径シールリングの製造にも好適に利用できる。
本発明の樹脂製シールリングの一実施例を図1を参照して説明する。図1はシールリング本体と、射出成形時のゲート部および樹脂だまりの位置を併せて示したシールリングの平面図を示す。
シールリング1は、相互に対向するカット端部2a、2bとからなるカット部2と、射出成形時にゲート部3が接合していた箇所であるゲート痕3aとを有している。カット端部の形状は、ストレート、ステップカットなどを採用できるが、シール性に優れていることからステップカットが好ましい。
また、射出成形時には、その成形金型にカット部端2aとゲート痕3aとの間でシールリング内径面に樹脂だまり4が設けられている。また、樹脂だまり4は、樹脂だまりへの樹脂流入量を調節する樹脂だまり流入部5を介して設けられている。
なお、シールリング1の完成品は、ゲート部3および樹脂だまり4は取り除かれた形となる。
ゲート部3は、シールリングの折損を防止するため、カット部2の対向位置1aからシールリング中心角度でα(度)離した位置に設けることができる。ここで、図2に、内径拡張時にシールリングに発生するひずみの大きさを有限要素法により解析した結果を示す。図2の横軸は、図1において、合口2a、2bを衝合させたときのカット部2の角度を 180 度、そのカット部の対向位置1aを角度 0 度と設定した。計算は、シールリング(内径 11.8 mm)を、長さ 30 cm、小径側直径 11 mm、大径側直径 17.5 mmのテーパー状冶具に組み込んだ場合を想定して行ない、シールリングの内径拡張径が 15 mm 時における各角度位置に発生するひずみの大きさを求めた。
図2に示すように、ひずみの発生は角度 180 度でのひずみ 0 から徐々に増大し、約 60 度でピーク値を示し、角度 0 度に向かって減少する。該結果より、ゲート位置を 90 度以上、好ましくは 120 度以上の位置に設けることで、ゲート位置に発生する歪量を低減でき、相手軸への組み込み性を大幅に向上できることが分かった。また、90 度未満の位置ではゲート位置を対向位置1aからずらしても組み込み性はほとんど改善されない、もしくは逆に悪化(約 60 度の位置で最も悪化)することが分かった。
以上の知見および後述する実施例より、ゲート部3をカット部2の対向位置1aから離す角度αは 90 度 ≦ α < 180 度とする。特に好ましくは 120 度 ≦ α < 150 度とする。なお、上限を150度未満とすることが好ましいのは、該範囲以上となると、ゲートを挟んで樹脂の流動長差が大きくなりすぎるためである。
ゲート部3の形式はサイドゲートなどを適宜採用できるが、後加工が不用であることから、ピンゲート、サブマリンゲートなどが好ましい。また、ゲート部3はシールリング1の内径側、外径側いずれにも設けることができる。オイルシール性に優れる点や後加工が不要となることから内径側に設けることが好ましい。
樹脂だまり4は、ゲート部3からカット端部2a、2bまでの間において、流動長の違いによる樹脂充填量およびその充填タイミングの不均衡を解消するためのものである。よって、樹脂だまり4は、流動長が短く過充填になるカット部端2aとゲート痕3aとの間に設ける。また、その位置を規定するカット部2からのシールリング中心角度βは、樹脂だまり4が短流動長側となる範囲であればよい。
樹脂だまり4の大きさは、射出工程(一次射出工程)後の保圧工程(二次射出工程)時にシールリング1と同時に完全充填しうる大きさ以上とする。このような大きさとするのは、樹脂だまり4がシールリング1よりも早く完全充填されてしまうと、シールリング1の充填アンバランスを解消しきれず、流動長の短い側でバリが発生するおそれがあり、オイルシール性などに支障を生じる恐れがあるからである。
この条件を満たせば、樹脂だまり4の容積は、カット端部2aからゲート痕3aまでのリング体積と、カット端部2bからゲート痕3aまでのリング体積との差分より小さくてもよい。樹脂だまりの大きさはできるだけ小さい方がリサイクル性などの面で好ましい。特に、内径 20 mm以下程度の小径シールリングでは、内径側の金型スペースが非常に小さく、この内径側に樹脂だまりを設ける場合では、樹脂だまりの容積を小さくする必要がある。
また、樹脂だまり4の形状は円板、立方体、直方体、球など様々な形状とすることができる。また、樹脂だまり4は、ゲート部3と同様にシールリング1の内径側、外径側いずれにも設けることができ、オイルシール性に優れる点や後加工が不要となることから内径側に設けることが好ましい。
樹脂だまり流入部5の形状は、射出成形時において樹脂の樹脂だまり4への流入抵抗がシールリング部分への流入抵抗以上となる形状とする。また、上記樹脂だまり4に必要な容積は、樹脂だまり流入部5の流入抵抗により調整できる。すなわち、該樹脂だまり流入部5の流入抵抗を大きくすることで、樹脂だまり4に必要な容積を小さくできる。具体的には、図1に示す形状の場合、その樹脂だまり流入口径W1が小さい程、樹脂だまり流入部長さW2が大きいほど流入抵抗が大きく、樹脂だまり4の容積は小さくできる。なお、樹脂だまり流入部5は、成形後にシールリングから切除される部位であるので、ピンゲートまたはサブマリンゲート状に形成しておくことで、後加工が容易になる。
また、金型部分への流入抵抗が大きすぎる場合では製品にバリが発生することが知られており、樹脂だまり流入部5の流入抵抗がこの場合の流入抵抗よりも大きいと、樹脂だまりへの樹脂の流入が阻害され製品部に大きな流入抵抗がかかり、該製品部にバリが発生してしまうおそれがある。よって、上記の条件とあわせ樹脂だまり流入部5の形状は、その流入抵抗が以下の式(1)を満たすような形状とすることが好ましい。
Figure 0004299118
樹脂だまり4の最小容積および樹脂だまり流入部5の形状の具体的な決定方法は、ゲート部の位置を範囲の任意(α>90度)の位置に有し、所定形状の樹脂だまり流入部を介して樹脂だまりが設けられたシールリング金型を用いた射出成形により、以下の方法で決定する。
(1)保圧をかけない一次射出工程においてシールリング部分が 90 %程度以上充填される射出条件にて成形を行なう。または、射出条件を一定とし、樹脂だまり流入部5の形状を調整してシールリング部分が 90 %程度以上充填されるようにする。
(2)(1)の時点で樹脂だまりに充填された樹脂の容積を測定する。なお、樹脂だまりの充填容積の簡易的な測定法として、樹脂だまりの充填重量から用いた樹脂の材料密度を用いて容積に換算する方法が挙げられる。
(3)(2)で測定した樹脂だまり容積を、樹脂だまり最小容積の 90 %程度に相当するとして樹脂だまりの最小容積( 100 %)を算出する。
本発明の樹脂製シールリングの製造方法の工程図を図3に示す。本発明の樹脂製シールリングの製造方法は、成形準備工程6と、射出成形工程7と、成形品取り出し工程8とを備えている。成形準備工程6および成形品取り出し工程8は周知の工程を用いることができ、例えば成形準備工程6としては、金型の雄型、雌型とを射出注入時の圧力に耐え得るべく型締めする型締め工程などを、成形品取り出し工程8としては、型を所定速度で開く型開き工程、金型内に密着した成形品を油圧力などを利用して取り出す突き出し工程などを用いることができる。
射出成形工程7は、カット部の対向位置から離れた位置に射出成形用のゲート部と、該ゲート部にシールリングの円周距離で近い側のカット部との間に、樹脂だまり流入部を介して樹脂だまりが設けられた金型を用いて射出成形する工程である。ここで、樹脂だまりの大きさおよび樹脂だまり流入部の形状を調整し、本工程時において、シールリング部分と樹脂だまり部分とが同時に完全充填となる、またはシールリング部分が完全充填時において樹脂だまり部分が不完全充填となるように溶融樹脂を射出充填し成形する。
より詳しくは、射出成形工程7は、射出工程7aと、その後の保圧工程7bとからなり、この保圧工程7bにおいて、シールリング部分が完全充填されるよう保圧をかけながら冷却して成形する。なお、保圧工程7bでは、必要に応じて、冷却固化されるときに発生する成形収縮分の溶融樹脂を追加する。射出成形工程終了後、成形品取り出し工程8を経てシールリングの成形体が得られる。
樹脂だまりの大きさは上述のようにできる限り小さい方がよいため、保圧工程7bにおいてシールリング部分が完全充填された時点で、樹脂だまりが同時に完全充填されることが好ましい。
また、シールリング部分が完全充填された時点で樹脂だまりが不完全充填である場合においても、シールリング幅は通常2mm以下と小さく冷却速度が速く、特に樹脂だまり流入部はその比表面積が大きいため冷却速度が速く製品部よりも先に固化するため、保圧は製品部で均一に加わりヒケなどが発生しない。
射出成形工程終了後、成形品取り出し工程8を経てシールリングの成形体が得られる。
また、これらの工程に加え、得られた射出成形体について結晶化度、耐熱性、機械的強度を向上させるためアニール処理を施している。なお、射出成形条件およびアニール条件については、用いる樹脂材料などに応じて適宜決定することができる。該製造方法を用いることにより、過充填によるバリや保圧不足によるヒケの発生を抑制でき、機械的強度および寸法精度に優れたシールリングが得られる。
本発明の製造方法は、任意のサイズのシールリングに適用でき、特に内径が 20 mm以下のシールリングの製造に好適に用いることができる。これは、内径 20 mmをこえるシールリングでは、例えゲート部がカット部の対向位置にあっても、内径の組み込み時の拡張による歪みが比較的小さく支障なく組み込めるが、内径 20 mm以下、特に 18 mm 以下のシールリングではこの歪みが大きく拡張中に折損してしまうからである。
本発明に用いる樹脂材料は、使用温度において耐熱性と十分な機械的強度を有するものであればよく、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂などのポリイミド(PI)樹脂、全芳香族ポリエステル(OBP、LCP)樹脂などの芳香族系ポリエステル樹脂、46ナイロン(PA46)、9Tナイロン(PA9T)などのポリアミ(PA)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂などのポリシアノアリールエーテル樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂やPEEK樹脂などの芳香族ポリエーテルケトン系樹脂などが挙げられる。またこれらの混合物、例えばPPS樹脂とPAI樹脂のポリマーアロイやPEEK樹脂とポリベンゾイミダゾール(PBI)樹脂との複合樹脂なども用いることができる。
これらの中で最も好ましいものとしてはPEEK樹脂、PEK樹脂、TPI樹脂などが挙げられる。
また、必要に応じて上記樹脂材料に、炭素繊維(CF)やガラス繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合でき、また、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑材、さらにはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材も配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。
また、これらの樹脂材料によるシールリングは、射出成形後に熱処理などのアニール処理により結晶化度を高め、耐熱性や機械的強度を向上させてもよい。
実施例1〜4、比較例1〜3
実施例および比較例の樹脂材料は、Victrex製:PPEK150Pを 70 重量%に、東邦レーヨン製:炭素繊維HTA−CMF−0160−0Hを15重量%、喜多村製:PTFE KTL−610を15重量%配合したものを用いた。これらの原料をヘンシェルミキサーを用いて混合後、二軸混練により 360℃にてペレット化し、樹脂温度 380 ℃、金型温度 180 ℃にて射出成形を行なった。
用いたシールリング金型は図1に示す樹脂だまり付きシールリング金型であり、その外径は 15 mm 、ゲート位置は内径側の任意の位置に可変できるよう製作したものを用いた。また樹脂だまりはそれぞれ容積を変更できるよう入れ子方式で作成した。なお、樹脂だまり位置は β= 20 度の位置に固定し、ゲート位置α、樹脂だまり流入口径W1、樹脂だまり流入部長さW2、および樹脂だまり容積Vを様々に変え成形を行なった。
得られた樹脂だまり付きシールリングは樹脂だまり部の成形部分を加工により取り除き、所定条件でアニール処理を行なった。
評価は、成形性としてシールリング製品部のバリやヒケの発生の有無判定と、
相手軸組み込み性の評価として、長さ 30 cm、小径側直径 11 mm、大径側直径 17.5 mmのテーパー状冶具を用いた内径拡張量測定を行なった。
成形性の評価はシールリングにバリやヒケ、ショートショットが見られるものは×とし、成形上問題のないものは○とした。
内径拡張径測定は、シールリングをテーパー冶具の小径側から挿入し、シールリングが破断または亀裂発生した時点での内径寸法とした。
総合合否判定は、成形性に問題なく、かつ内径拡張径が 15 mm以上に達したものを○、それ以外のものを×とした。この内径拡張径の判定基準は、通常相手軸にシールリングを組み込む際、シールリング自身の外径よりも拡張されることから、今回評価したシールリング外径と同じ15 mmを採用した。
以上の評価試験の結果を表1に示す。
Figure 0004299118
実施例1〜4はゲート位置が十分にカット部の対向位置から遠く、また実施例1および2では最小容積の樹脂だまりを、実施例3および4ではそれ以上の容積の樹脂だまりを有する金型にて成形されたため、全てで成形性、内径拡張径共に優れた。また、これらは、比較例1の従来から使用されている金型形状で成形したシールリングの拡張径と比較しても十分拡張径の向上が認められた。
比較例1はカット部の対向位置にゲート位置を設置し、樹脂だまりを有さない従来から使用している形状のシールリング金型を用いたものである。成形性は特に問題なかったが、内径拡張径が 14.4 mmであり、総合判定で×であった。
比較例2はゲート位置αを 60 度とし、樹脂だまりの容積を最小化したものである。成形性は問題なかったが、内径拡張径に劣り総合判定で×であった。
比較例3はゲート位置αを 120 度とし、樹脂だまりの容積を最小値の3分の1にしたものである。このため樹脂だまり部は、射出工程(一次射出工程)時に既に完全充填されてしまっており、射出成形完了時では、波動長の短い側で金型へのハリツキやバリの発生が見られた。このため内径拡張径は問題なかったが、総合判定で×であった。
本発明は様々なサイズのシールリングに適用可能であり、特に回転軸への組み込み時に破損が発生しやすい内径 20 mm以下のシールリングに適用した場合に有効である。
本発明の樹脂製シールリングの一実施例の平面図である。 シールリングに発生するひずみの大きさを表す図である。 本発明の樹脂製シールリングの製造方法の工程図である。
符号の説明
1 シールリング
2 カット部
3 ゲート部
4 樹脂だまり
5 樹脂だまり流入部
6 成形準備工程
7 射出成形工程
8 成形品取り出し工程

Claims (1)

  1. 成形準備工程と、射出成形工程と、成形品取り出し工程とを備えた、相互に対向するカット部を有する樹脂製シールリングの製造方法であって、
    前記射出成形工程は、前記カット部の対向位置から離れた位置に射出成形用のゲート部と、該ゲート部シールリングの円周距離で近い側のカット部との間に、樹脂だまり流入部を介して樹脂だまりが設けられた金型を用いて射出成形する工程であり、
    前記樹脂だまり流入部の形状は、前記射出成形工程時において樹脂の前記樹脂だまりへの流入抵抗がシールリング部分への流入抵抗以上となる形状であり、
    前記樹脂だまりの大きさは、前記射出成形工程時においてシールリング部分と同時に完全充填される大きさ以上であることを特徴とする樹脂製シールリングの製造方法。
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