JP2001003820A - 蒸発燃料量測定方法及び装置、空燃比制御方法及び装置、並びにキャニスタ - Google Patents

蒸発燃料量測定方法及び装置、空燃比制御方法及び装置、並びにキャニスタ

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JP2001003820A
JP2001003820A JP11173034A JP17303499A JP2001003820A JP 2001003820 A JP2001003820 A JP 2001003820A JP 11173034 A JP11173034 A JP 11173034A JP 17303499 A JP17303499 A JP 17303499A JP 2001003820 A JP2001003820 A JP 2001003820A
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fuel
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canister
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Yoshikuni Sato
美邦 佐藤
Hideki Ishikawa
秀樹 石川
Keigo Tomono
圭吾 伴野
Noboru Ishida
昇 石田
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NGK Spark Plug Co Ltd
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャニスタ内から吸気管内に供給される蒸発
燃料の供給量を、超音波センサを用いず、高精度に測定
し、この蒸発燃料の供給量の測定結果を用いて、内燃機
関に供給される燃料混合気の空燃比を好適に制御するこ
と。 【解決手段】 まず、各種センサの信号から、基本燃料
噴射時間T0及び空燃比補正係数KFを算出し(S10
0〜S120)、パージバルブ15が開かれている場合
には、キャニスタ20内に流入する空気の流量Yと、吸
気管2内に流入する混合気の流量Xとを測定する(S1
40、S150)。次に、混合気の流量Xと空気の流量
Yとの差に基づいて、吸気管2内への蒸発燃料の供給量
に相当するインジェクタ6の開弁時間である、補正時間
Tpを算出する(S160)。そして、基本燃料噴射時
間T0を空燃比補正係数KF及び補正時間Tpにて補正
することにより、インジェクタ6の適切な開弁時間Tを
算出する(S180)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンク内で発
生する蒸発燃料を一時的に内部で吸着するキャニスタ内
から内燃機関の吸気管内に供給される蒸発燃料の量を検
出する蒸発燃料量測定方法及び装置、この蒸発燃料量測
定方法及び装置を用いて空燃比を制御する空燃比制御方
法及び装置、並びに、これらの方法及び装置を実現する
のに好適なキャニスタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、燃料タンクから内燃機関(以
下、エンジンとも記す)への燃料の供給系としては、燃
料タンクから燃料ポンプにより汲み上げた燃料を、燃料
配管を介してインジェクタへ送り、インジェクタから吸
気管内に噴射する第1の供給系がある。
【0003】また、これとは別に、燃料タンク内に発生
する蒸発燃料をキャニスタ内で一時的に吸着し、このキ
ャニスタ内に溜まった燃料(蒸発燃料に相当する燃料)
を、キャニスタ内に流入させた空気によって脱離させ、
この空気と脱離された蒸発燃料との混合気を、パージ通
路を介して吸気管内に供給する第2の供給系がある。
【0004】従って、エンジンでは、インジェクタから
の噴射燃料に加えて、キャニスタからの混合気に含まれ
る蒸発燃料を、シリンダ内で燃焼させるようになってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様に、噴射燃料と
は別に蒸発燃料をエンジンに供給することにより、燃焼
制御において空燃比が理論空燃比からズレてしまうと、
触媒のCO、HC、NOxの浄化能力が激減することに
なり、その結果、排出ガス中のCO、HC、NOx等が
増加してしまう。
【0006】従って、燃焼用主燃料系として蒸発燃料を
使用するためには、混合気中の蒸発燃料の濃度等を高精
度に測定し、エンジンに供給する燃料(噴射燃料及び蒸
発燃料)の量を最適に制御することが極めて重要であ
る。蒸発燃料の濃度測定用センサとしては、例えば超音
波センサがある。
【0007】この種の超音波センサは、例えば上記パー
ジ通路に取り付けられる。そして、この場合、超音波セ
ンサでは、混合気中に超音波を送信し、混合気中の蒸発
燃料濃度に応じて変化する、この超音波の伝播時間を計
測することにより、混合気中の蒸発燃料濃度を測定する
ことができる。
【0008】従って、この測定結果を用いれば、エンジ
ンへの燃料供給量(換言すれば、噴射燃料、蒸発燃料、
及び空気からなる燃料混合気の空燃比)を最適に制御す
ることができる。しかし、超音波センサは一般に高価で
あり、しかも、燃料供給量を制御する際に必要な蒸発燃
料のエンジンへの実際の供給量を知るためには、上記蒸
発燃料濃度とは別に、キャニスタから吸気管内に流入す
る混合気の流量も測定する必要があった。
【0009】つまり、蒸発燃料の実際の供給量は、混合
気中の蒸発燃料濃度と吸気管内に流入する混合気の量と
を乗算することによって得られるため、超音波センサに
て蒸発燃料の濃度を測定し、且つ、他の手法(例えば、
周知の流量センサ等)にて、吸気管内に流入する混合気
の量に対応する混合気の流量も測定する必要があった。
【0010】また、上記のように超音波センサを用いて
蒸発燃料濃度を測定する場合は、超音波センサが混合気
中の蒸発燃料に直接触れることとなり、超音波センサに
おける超音波送受信面に、時間経過と共にコンタミ等の
付着物が堆積し、超音波の伝播時間を正確に測定できな
くなることから、蒸発燃料濃度の測定精度が下がり、蒸
発燃料の供給量を正確に測定することができなくなると
いう問題もあった。
【0011】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、その第1の目的は、キャニスタ内から
吸気管内に供給される蒸発燃料の供給量を、超音波セン
サを用いず、高精度に測定することができる蒸発燃料量
測定方法及び装置を提供することである。
【0012】また、本発明の第2の目的は、上記蒸発燃
料量測定方法及び装置にて測定される蒸発燃料の供給量
の測定結果を用いて、内燃機関(エンジン)に蒸発燃料
を供給する場合においても、内燃機関(エンジン)に供
給される燃料混合気の空燃比を好適に制御することがで
きる空燃比制御方法及び装置を提供することである。
【0013】また、本発明の第3の目的は、上記蒸発燃
料量測定方法及び装置、空燃比制御方法及び装置を実現
するのに好適なキャニスタを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】かかる目
的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、
燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内部で吸着するキャ
ニスタと、該キャニスタ内部と内燃機関用エンジンの吸
気管内とを連結するパージ通路と、該パージ通路に設け
られ、該パージ通路を開閉するパージバルブと、を備え
た内燃機関で、前記キャニスタから前記パージ通路を介
して前記吸気管内に供給される前記蒸発燃料の量を測定
する蒸発燃料量測定方法であって、前記パージバルブが
開かれた際に、空気吸入用通路を介して前記キャニスタ
内に流入する空気の流量、及び前記パージ通路を介して
前記吸気管内に流入する前記空気と前記蒸発燃料との混
合気の流量を夫々測定し、該測定した前記混合気の流量
と前記空気の流量との差に基づいて、前記混合気中の蒸
発燃料量を算出することを特徴とする。
【0015】このように、本発明方法(請求項1)で
は、まず、パージバルブが開かれた際(つまり、パージ
通路が開かれた際)に、空気吸入用通路を介してキャニ
スタ内に流入する空気(蒸発燃料を含まない空気)の流
量、及びキャニスタ内からパージ通路を介して吸気管内
に流入する空気と、この空気によってキャニスタ内にて
脱離された蒸発燃料との混合気の流量を夫々測定する。
【0016】そして、混合気の流量と空気の流量との差
に基づいて、混合気中の蒸発燃料量(換言すれば、吸気
管内への蒸発燃料の供給量)を算出するのである。つま
り、混合気の流量は、キャニスタ内に流入する空気の流
量と、この空気によってキャニスタ内で脱離された蒸発
燃料の流量との総和であるので、上記のように空気の流
量と混合気の流量とを夫々測定し、混合気の流量から空
気の流量を差し引けば、混合気に含まれる蒸発燃料の流
量を高精度に算出することができ、その結果、吸気管内
への蒸発燃料の供給量を高精度に算出することができ
る。
【0017】従って、本発明方法(請求項1)によれ
ば、超音波センサを用いず、吸気管内に供給される蒸発
燃料の供給量を高精度に測定することができる。なお、
混合気の流量と空気の流量との差に基づいて蒸発燃料の
供給量を算出する具体的態様としては、例えば、混合気
の流量から空気の流量を差し引くことにより、混合気に
含まれる蒸発燃料の流量を算出し、この蒸発燃料の流量
に対応するものとして、蒸発燃料の供給量を求めるもの
であっても良い。この場合、上述のように高精度に算出
された蒸発燃料の流量に対応するものとして、蒸発燃料
の供給量を高精度に求めることができる。
【0018】また、混合気の流量と空気の流量との差に
基づいて蒸発燃料の供給量を算出する他の具体的態様と
しては、混合気の流量から空気の流量を差し引いて得ら
れる値(蒸発燃料の流量)を混合気の流量で除算するこ
とにより、混合気中の蒸発燃料濃度を算出し、この蒸発
燃料濃度と混合気の流量との乗算値に対応するものとし
て、蒸発燃料の供給量を求めるものであっても良く、こ
の場合も上記と同様に蒸発燃料の供給量を高精度に求め
ることができる。
【0019】そして、空気の流量と混合気の流量との測
定については、例えば、空気が流れる空気吸入用通路
と、混合気が流れるパージ通路との夫々に周知の流量セ
ンサを設け、これらの流量センサにて測定するようにし
ても良い。しかし、混合気の流量を、上記のようにパー
ジ通路に取り付けられた流量センサにて測定するように
した場合は、この流量センサが混合気中の蒸発燃料に直
接触れることとなり、時間経過と共にコンタミ等の付着
物がこの流量センサに堆積して、混合気の流量を正確に
測定できなくなる場合がある。
【0020】そこで、このような場合は、請求項2に記
載の態様を採れば良い。即ち、請求項2の発明は、請求
項1に記載の蒸発燃料量測定方法において、前記混合気
の流量を、前記内燃機関の運転状態に基づいて算出する
ことを特徴とする。
【0021】ここで、混合気の流量を、内燃機関の運転
状態に基づいて算出することができる理由は下記の通り
である。まず、混合気の流量は、吸気管内圧力及びパー
ジバルブの開度(換言すれば、パージバルブ開口部にお
けるパージ通路内断面積)に依存して変化するので、こ
れらが判れば、混合気の流量を容易に算出することがで
きる。そして、吸気管内圧力が、内燃機関の運転状態に
より決定され、パージバルブの開度が、通常、内燃機関
の運転状態に基づいて制御されるため、結局、内燃機関
の運転状態に基づいて、混合気の流量を算出することが
できることとなる。
【0022】そして、このように、本発明方法(請求項
2)では、混合気の流量を、流量センサ等にて直接測定
するのではなく、内燃機関の運転状態に基づいて算出す
るので、パージ通路に流量センサを取り付けて混合気の
流量を直接測定する場合に比べ、時間経過と共に混合気
の流量の測定精度が下がるようなことはなく、長期間に
渡って、混合気の流量を高精度に測定することができ
る。つまり、その結果、吸気管内への蒸発燃料の供給量
を、長期間に渡って、高精度に測定することが可能とな
る。
【0023】また、この場合、パージ通路に流量センサ
を設ける必要がなくなるので、パージ通路に流量センサ
を設ける場合に比べ、安価な構成にて蒸発燃料の供給量
の測定をすることが可能となる。なお、内燃機関の運転
状態は、例えば、内燃機関に通常取り付けられる各種セ
ンサ(エンジン回転数センサ、スロットルバルブ開度セ
ンサ、エアフロメータ、吸気管内圧力センサ、酸素セン
サ等)からの信号を読み込むことにより検出される。ま
た、混合気の流量は、例えば、上記各種センサからの信
号を用いて電子制御装置(ECU)等で所定の計算を行
うことにより、算出される。
【0024】そして、例えば、吸気管内に混合気を供給
する際のパージバルブの開度が一定の場合は、混合気の
流量は吸気管内圧力のみに依存して変化するので、上記
各種センサの信号から、例えば、吸気管内圧力に対応す
る値を算出すれば、この値に対応する混合気の流量を算
出することができる。
【0025】具体的には、例えば、エンジン回転数セン
サ及びスロットルバルブ開度センサからの信号を用いて
吸気管内圧力に対応した値を算出し、この値を用いて混
合気の流量を算出しても良い。また、エンジン回転数セ
ンサ及びエアフロメータからの信号を用いて吸気管内圧
力に対応した値を算出し、この値を用いて混合気の流量
を算出しても良い。なお、吸気管内圧力センサにて検出
される吸気管内圧力から、この吸気管内圧力に対応する
混合気の流量を直接算出しても良い。
【0026】なお、吸気管内に混合気を供給する際のパ
ージバルブの開度を内燃機関の運転状態に基づいて制御
する場合は、上記のように各種センサの信号から算出さ
れる混合気の流量をパージバルブの開度に応じて補正す
れば良い。このようにすれば、パージバルブの開度に応
じた正確な混合気の流量を算出することができる。
【0027】一方、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の発明方法を実現するための構成を備えた蒸発燃
料量測定装置の発明であり、燃料タンク内で発生する蒸
発燃料を内部で吸着するキャニスタと、該キャニスタ内
部と内燃機関用エンジンの吸気管内とを連結するパージ
通路と、該パージ通路に設けられ、該パージ通路を開閉
するパージバルブと、を備えた内燃機関に設けられ、前
記キャニスタから前記パージ通路を介して前記吸気管内
に供給される前記蒸発燃料の量を測定する蒸発燃料量測
定装置であって、前記パージバルブが開かれた際に空気
吸入用通路を介して前記キャニスタ内に流入する空気の
流量を測定する空気流量測定手段と、前記パージバルブ
が開かれた際に前記パージ通路を介して前記吸気管内に
流入する前記空気と前記蒸発燃料との混合気の流量を測
定する混合気流量測定手段と、前記混合気の流量と前記
空気の流量との差に基づいて、前記混合気中の蒸発燃料
量を算出する蒸発燃料量算出手段と、を備えたことを特
徴とする。
【0028】即ち、本発明(請求項3)では、まず、パ
ージバルブが開かれた際に空気吸入用通路を介してキャ
ニスタ内に流入する空気の流量を、空気流量測定手段に
て測定し、パージバルブが開かれた際にキャニスタ内か
らパージ通路を介して吸気管内に流入する混合気の流量
を、混合気流量測定手段にて測定する。
【0029】そして、混合気流量測定手段にて測定した
混合気の流量と空気流量測定手段にて測定した空気の流
量との差に基づいて、蒸発燃料量算出手段にて、混合気
中の蒸発燃料量(換言すれば、吸気管内への蒸発燃料の
供給量)を算出する。つまり、混合気流量測定手段にて
測定した混合気の流量から空気流量測定手段にて測定し
た空気の流量を差し引けば、混合気に含まれる蒸発燃料
の流量を高精度に算出することができるので、蒸発燃料
量算出手段にて、混合気の流量と空気の流量との差に基
づいた処理を行うことにより、吸気管内への蒸発燃料の
供給量を高精度に測定することができる。
【0030】従って、本発明(請求項3)によれば、超
音波センサを用いず、吸気管内に供給される蒸発燃料の
供給量を高精度に測定することができる。また、請求項
4に記載の発明は、請求項2に記載の発明方法を実現す
るための構成を備えた蒸発燃料量測定装置の発明であ
り、前記混合気流量測定手段は、前記内燃機関の運転状
態を検出する運転状態検出手段からの信号を用いて、前
記混合気の流量を算出するものであることを特徴とす
る。
【0031】つまり、混合気の流量が、内燃機関の運転
状態により決定される吸気管内圧力、及び内燃機関の運
転状態に基づいて、通常、制御されるパージバルブの開
度に依存して変化するので、結局、内燃機関の運転状態
を検出する運転状態検出手段からの信号を用いれば、混
合気の流量を算出することができる。
【0032】そして、このように、本発明(請求項4)
では、混合気流量測定手段を、運転状態検出手段からの
信号を用いて混合気の流量を算出するものとするので、
混合気流量測定手段をパージ通路に設けられた流量セン
サとした場合に比べ、時間経過と共に混合気の流量の測
定精度が下がるようなことはなく、長期間に渡って、混
合気の流量を高精度に測定することができる。つまり、
その結果、吸気管内への蒸発燃料の供給量を、長期間に
渡って、高精度に測定することが可能となる。
【0033】また、この場合、パージ通路に混合気流量
測定手段として流量センサを設ける必要がなくなるの
で、パージ通路に混合気流量測定手段として流量センサ
を設ける場合に比べ、安価な構成にて蒸発燃料の供給量
の測定をすることが可能となる。
【0034】次に、請求項5に記載の発明は、請求項3
または請求項4に記載の蒸発燃料量測定装置において、
前記空気流量測定手段は、前記空気吸入用通路に設けら
れた、熱線式流量センサ、フラップ式流量センサ、及び
差圧式流量センサのうちのいずれかであることを特徴と
する。
【0035】本発明(請求項5)は、蒸発燃料量測定装
置における空気流量測定手段の具体的態様を示したもの
であり、ここでは、空気流量測定手段を、空気吸入用通
路に設けられた、熱線式流量センサ、フラップ式流量セ
ンサ、及び差圧式流量センサのうちのいずれかとしてい
る。
【0036】この場合、パージバルブが開かれた際に空
気吸入用通路からキャニスタ内に流入する空気の流量
を、空気流量測定手段としての流量センサ(熱線式流量
センサ、フラップ式流量センサ、及び差圧式流量センサ
のうちのいずれか)にて正確に測定することができ、そ
の結果、吸気管内への蒸発燃料の供給量を高精度に測定
することが可能となる。
【0037】次に、請求項6に記載の発明は、燃料タン
ク内で発生する蒸発燃料を内部で吸着するキャニスタ
と、該キャニスタ内部と内燃機関の吸気管内とを連結す
るパージ通路と、該パージ通路に設けられ、該パージ通
路を開閉するパージバルブと、を備えた内燃機関で、排
気成分に基づいて前記内燃機関に供給された燃料混合気
の空燃比を検出し、該空燃比が目標空燃比となるよう前
記内燃機関への燃料供給量を制御する内燃機関の空燃比
制御方法であって、前記パージバルブが開かれた際に、
前記キャニスタから前記パージ通路を介して前記吸気管
内に供給される前記蒸発燃料の量を前記請求項1または
請求項2に記載の蒸発燃料量測定方法にて測定し、該蒸
発燃料の量に基づき、前記燃料供給量を補正することを
特徴とする。
【0038】このように、本発明方法(請求項6)で
は、パージバルブが開かれた際に、まず、請求項1また
は請求項2に記載の蒸発燃料量測定方法にて、キャニス
タから吸気管内に供給される蒸発燃料の量を測定する。
そして、測定された蒸発燃料の量に基づき、内燃機関へ
の燃料供給量を補正する。
【0039】つまり、本発明方法(請求項6)では、内
燃機関に蒸発燃料を供給する場合に、燃料混合気が内燃
機関にて燃焼する前の段階で、蒸発燃料の供給量を測定
し、その測定結果も用いて、内燃機関への燃料供給量、
即ち、燃料混合気の空燃比を補正するのである。
【0040】従って、内燃機関に蒸発燃料を供給する場
合に排気成分だけに基づいて燃料混合気の空燃比制御を
行う場合と異なり、制御遅れが生じることはない。即
ち、本発明方法(請求項6)によれば、内燃機関に蒸発
燃料を供給する場合においても、燃料混合気の空燃比制
御を好適に行うことができる。
【0041】一方、請求項7に記載の発明は、請求項6
に記載の発明方法を実現するための構成を備えた空燃比
制御装置の発明であり、燃料タンク内で発生する蒸発燃
料を内部で吸着するキャニスタと、該キャニスタ内部と
内燃機関の吸気管内とを連結するパージ通路と、該パー
ジ通路に設けられ、該パージ通路を開閉するパージバル
ブと、を備えた内燃機関に設けられ、排気成分に基づい
て前記内燃機関に供給された燃料混合気の空燃比を検出
し、該空燃比が目標空燃比となるよう前記内燃機関への
燃料供給量を制御する内燃機関の空燃比制御装置であっ
て、前記パージバルブが開かれた際に、前記キャニスタ
から前記パージ通路を介して前記吸気管内に供給される
前記蒸発燃料の量を測定する前記請求項3〜請求項5い
ずれか記載の蒸発燃料量測定装置と、該蒸発燃料量測定
装置にて測定された前記蒸発燃料の量に基づき、前記燃
料供給量を補正するパージ時補正手段と、を備えたこと
を特徴とする。
【0042】このように、本発明(請求項7)によれ
ば、パージバルブが開かれた際に、まず、請求項3〜請
求項5いずれか記載の蒸発燃料量測定装置にて、キャニ
スタから吸気管内に供給される蒸発燃料の量を測定す
る。そして、測定された蒸発燃料の量に基づき、パージ
時補正手段にて、内燃機関への燃料供給量を補正する。
【0043】つまり、本発明(請求項7)では、内燃機
関に蒸発燃料を供給する場合に、燃料混合気が内燃機関
にて燃焼する前の段階で、請求項3〜請求項5いずれか
記載の蒸発燃料量測定装置にて蒸発燃料の供給量を測定
し、その測定結果も用いて、内燃機関への燃料供給量、
即ち、燃料混合気の空燃比を補正するのである。
【0044】従って、内燃機関に蒸発燃料を供給する場
合に排気成分だけに基づいて燃料混合気の空燃比制御を
行う場合と異なり、制御遅れが生じることはない。即
ち、本発明(請求項7)によれば、内燃機関に蒸発燃料
を供給する場合においても、燃料混合気の空燃比制御を
好適に行うことができる。
【0045】次に、請求項8に記載の発明は、蒸発燃料
量測定方法(請求項1、請求項2)、蒸発燃料量測定装
置(請求項3〜請求項5)、空燃比制御方法(請求項
6)、及び空燃比制御装置(請求項7)を実現する際に
使用されるキャニスタの発明であり、燃料タンク内で発
生する蒸発燃料を内部で吸着するキャニスタであって、
空気を当該キャニスタ内に流入させる空気吸入用通路を
備え、該空気吸入用通路に前記空気の流量を測定する空
気流量測定手段を備えたことを特徴とする。
【0046】即ち、例えば、本発明(請求項8)のキャ
ニスタの内部と内燃機関の吸気管内とをパージ通路で連
結し、パージ通路をパージバルブにて開閉できるよう構
成すれば、例えば、パージバルブが開かれた際に空気吸
入用通路を介してキャニスタ内に流入する空気の流量
を、空気流量測定手段にて正確に測定することができ
る。
【0047】そして、例えば、空気の流量とは別に、パ
ージバルブが開かれた際にパージ通路を介して吸気管内
に流入する空気と蒸発燃料との混合気の流量を他の手法
にて測定すれば、混合気の流量と空気の流量との差に基
づいた処理を行うことにより、吸気管内への蒸発燃料の
供給量を高精度に測定することができる。そして、さら
に、例えば、測定された上記蒸発燃料の供給量に基づ
き、内燃機関への燃料供給量を補正すれば、内燃機関に
供給される燃料混合気の空燃比制御を好適に行うことが
できる。
【0048】次に、請求項9に記載の発明は、請求項8
に記載のキャニスタにおいて、前記空気流量測定手段
は、熱線式流量センサ、フラップ式流量センサ、及び差
圧式流量センサのうちのいずれかであることを特徴とす
る。本発明(請求項9)は、キャニスタにおける空気流
量測定手段の具体的態様を示したものであり、ここで
は、空気流量測定手段を、空気吸入用通路に設けられ
た、熱線式流量センサ、フラップ式流量センサ、及び差
圧式流量センサのうちのいずれかとしている。
【0049】そして、本発明(請求項9)のキャニスタ
では、請求項8のキャニスタと同様の効果が得られる。
即ち、本発明(請求項9)のキャニスタの内部と内燃機
関の吸気管内とをパージ通路で連結し、パージ通路をパ
ージバルブにて開閉できるよう構成すれば、例えば、パ
ージバルブが開かれた際に空気吸入用通路を介してキャ
ニスタ内に流入する空気の流量を、空気流量測定手段と
しての流量センサ(熱線式流量センサ、フラップ式流量
センサ、及び差圧式流量センサのうちのいずれか)にて
正確に測定することができる。
【0050】そして、例えば、パージバルブが開かれた
際にパージ通路を介して吸気管内に流入する空気と蒸発
燃料とからなる混合気の流量をさらに他の手法にて測定
し、混合気の流量と空気の流量との差に基づいた処理を
行えば、吸気管内への蒸発燃料の供給量を高精度に測定
することができ、さらに、例えば、測定された上記蒸発
燃料の供給量に基づき、内燃機関への燃料供給量を補正
すれば、内燃機関に供給される燃料混合気の空燃比制御
を好適に行うことができる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。図1は、本発明が適用された実施例の空
燃比制御装置の全体的構成を表すシステム構成図であ
る。
【0052】図1に示すように、本実施例では、エンジ
ン1(内燃機関)の吸気管2には、その上流側より、吸
入空気流量を検出するエアフロメータ3、吸入空気流量
を調節するスロットルバルブ4、吸入空気の吸気管2内
での圧力(吸気管内圧力)を検出する吸気管内圧力セン
サ5、燃料を噴射するインジェクタ6が配置されてお
り、スロットルバルブ4には、スロットルバルブ4の開
度を検出するスロットルバルブ開度センサ(図示はしな
い)が連結されている。
【0053】一方、エンジン1の排気管7には、上流側
より、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ(全
領域空燃比センサ)8、排気ガスを浄化する3元触媒9
が配置されている。そして、エンジン1のカム軸(図示
はしない)周囲、またはクランク軸(図示はしない)周
囲には、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数
センサ(図示はしない)が配置されている。
【0054】また、エンジン1に燃料を供給する経路と
して、液体の燃料を供給する第1の供給系と、気体の燃
料を供給する第2の供給系を備えている。前記第1の供
給系として、ガソリンタンク10(燃料タンク)は、燃
料ポンプ11が設けられた噴射通路12にて、インジェ
クタ6に接続されている。従って、燃料は、ガソリンタ
ンク10内から、燃料ポンプ11により、噴射通路12
を流れてインジェクタ6に供給され、インジェクタ6か
ら吸気管2内に噴射燃料として噴射供給される。
【0055】一方、第2の供給系として、ガソリンタン
ク10は、タンクバルブ13が設けられたタンク通路1
4にて、キャニスタ20に接続され、キャニスタ20
は、パージバルブ15が設けられたパージ通路16に
て、スロットルバルブ4と吸気管内圧力センサ5との間
の吸気管2に接続されている。
【0056】キャニスタ20には、タンク通路14とパ
ージ通路16とは別に、空気吸入用通路21が接続され
ており、この空気吸入用通路21にてキャニスタ20内
に空気(燃料を含まない空気、即ち、外気であり、図1
等ではキャニスタ吸入空気とも記す)を吸入できるよう
構成されている。
【0057】そして、空気吸入用通路21には、本発明
の空気流量測定手段としての熱線式流量センサ22が設
けられている。熱線式流量センサ22は、原理図である
図2に示すように、電流が流されて加熱された金属熱線
(ホットワイヤ)22aと、金属熱線22aより上流に
配置された、検出値補償用の温度センサ(サーミスタ
等)22bとを有している。金属熱線22a及び温度セ
ンサ22bは共に空気吸入用通路21内にさらされてお
り、金属熱線22aにおける電気抵抗値を検出し、空気
吸入用通路21を流れる空気の温度を温度センサ22b
にて検出することにより、空気吸入用通路21を流れる
空気の流量Y(l/min)を測定する。つまり、空気
吸入用通路21を流れる空気の流量Y(l/min)に
応じて金属熱線22aが冷却され、金属熱線22aにお
ける電気抵抗値が変化するので、金属熱線22aにおけ
る電気抵抗値を検出し、この電気抵抗値を温度センサ2
2bにて検出される空気吸入用通路21を流れる空気の
温度を用いて補償すれば、空気吸入用通路21を流れる
空気の流量Y(l/min)を正確に測定することがで
きる。
【0058】そして、図1、及び図1におけるキャニス
タ20部分の断面図である図3に示すように、ガソリン
タンク10内で発生した蒸発燃料は、タンクバルブ13
が開かれ、パージバルブ15が閉じられた際(つまり、
タンク通路14が開かれ、パージ通路16が閉じられた
際)に、タンク通路14を介してキャニスタ20内に流
入し、一旦、キャニスタ20内の吸着材(活性炭等)2
0aにて吸着される。
【0059】次いで、例えば、エンジン1が運転状態に
ある際に、タンクバルブ13が閉じられ、パージバルブ
15が開かれると(つまり、タンク通路14が閉じら
れ、パージ通路16が開かれると)、吸気管2内が負圧
となっていることから、空気吸入用通路21を介してキ
ャニスタ20内に空気(外気)が流入し、この空気がキ
ャニスタ20内を通過するときに吸着材20aに吸着さ
れた蒸発燃料を脱離させ、この空気と、脱離された蒸発
燃料との混合気が、パージ通路16を介して吸気管2内
に流入する。
【0060】つまり、このシステムは、第1の供給系に
て吸気管2内に供給される噴射燃料、及び第2の供給系
にて吸気管2内に供給される混合気中の蒸発燃料をエン
ジン1におけるシリンダ(図示はしない)内で燃焼させ
るよう構成されている。なお、このシステムでは、電子
制御装置(ECU)17にて、エアフロメータ3、吸気
管内圧力センサ5、スロットルバルブ開度センサ、酸素
センサ8、エンジン回転数センサ、熱線式流量センサ2
2等のエンジン1の運転状態を検出する各種センサから
の信号を読み込むと共に、スロットルバルブ4、インジ
ェクタ6、タンクバルブ13、パージバルブ15等の各
種アクチュエータに制御信号を出力する。
【0061】次に、ECU17にて実行される処理のう
ち、燃料噴射時間算出処理について、図4のフローチャ
ートに基づいて説明する。なお、この処理は、エンジン
1に供給される、噴射燃料、蒸発燃料、及び空気からな
る燃料混合気の空燃比が目標空燃比となるよう、エンジ
ン1の回転に同期して開弁されるインジェクタ6の適切
な開弁時間、即ち、インジェクタ6からの適切な燃料供
給量を算出するための処理であり、エンジン1が運転状
態にあるときにECU17にて繰り返し実行される。
【0062】図4に示す如く、燃料噴射時間算出処理が
開始されると、まず、S100(Sはステップを表す)
にて、上記各種センサからの信号を読み込むことによ
り、エンジン1の運転状態を検出する。そして、続くS
110では、この検出したエンジン1の運転状態に基づ
き、基本燃料噴射時間T0を算出する。基本燃料噴射時
間T0は、例えば、エアフロメータ3にて検出された吸
入空気流量Q(l/min)を、エンジン回転数センサ
にて検出されたエンジン1の回転数NE(cycle/
min)で除算することにより、インジェクタ6の1回
の開弁(噴射)当りの空気量を算出し、この空気量に対
して理論空燃比となるようなインジェクタ6からの燃料
供給量に相当する、インジェクタ6の開弁時間として求
められるもので、下記式(1)で表される。
【0063】 T0=K0(定数)×Q/NE …(1) 次に、このように基本燃料噴射時間T0が算出される
と、S120にて、酸素センサ8から読み込んだ信号を
基に、基本燃料噴射時間T0に対する補正係数である空
燃比補正係数KFを算出する。具体的には、酸素センサ
8にて排気ガス中の酸素(排気成分)の濃度を検出し
て、エンジン1に供給された燃料混合気の空燃比を薄い
(リーン)と判定した場合には、前回算出されたKFで
あるKF’に所定値△Kを足して、KF=KF’+△K
とし、逆に、エンジン1に供給された燃料混合気の空燃
比を濃い(リッチ)と判断した場合には、KF’から△
Kを引いて、KF=KF’−△Kとする。
【0064】そして、続くS130では、パージバルブ
15が開かれているか否かを判断する。つまり、本実施
例では、この燃料噴射時間算出処理とは別に、上記各種
センサからECU17に読み込まれる信号等に対応した
制御信号をECU17からタンクバルブ13とパージバ
ルブ15とに出力し、キャニスタ20から混合気(蒸発
燃料と空気との混合気)を吸気管2内に供給するときに
は、タンクバルブ13を閉じて、パージバルブ15を開
き、混合気を吸気管2内に供給しないときには、タンク
バルブ13を開いて、パージバルブ15を閉じるという
混合気供給処理を、エンジン1が運転状態にあるときに
繰り返し行っている。従って、S130では、この混合
気供給処理によってパージバルブ15が開かれているか
否か(詳しくは、タンクバルブ13が閉じられ、パージ
バルブ15が開かれているか否か)を判断する。なお、
本実施例では、混合気を吸気管2内に供給する際のパー
ジバルブ15の開度(換言すれば、パージバルブ15開
口部におけるパージ通路16内断面積)を常に一定とし
ている。
【0065】そして、S130にて、パージバルブ15
が開かれていると判断された場合には、S140に移行
し、空気吸入用通路21を介してキャニスタ20内に流
入する空気の流量Y(l/min)を、熱線式流量セン
サ22からの信号として読み込む。
【0066】次に、続くS150では、キャニスタ20
内からパージ通路16を介して吸気管2内に流入する混
合気の流量X(l/min)を、吸気管内圧力センサ5
から読み込んだ信号を基に算出する。つまり、吸気管2
内に流入する混合気の流量X(l/min)は、パージ
バルブ15の開度が一定の場合、吸気管内圧力のみに依
存して変化し、吸気管内圧力が判れば混合気の流量X
(l/min)を1つの値として決定できるので、EC
U17では、この吸気管内圧力と混合気の流量X(l/
min)との関係をマップとして用いて、混合気の流量
X(l/min)を算出する。
【0067】そして、S160に移行すると、S150
にて算出された混合気の流量X(l/min)とS14
0にて読み込まれた空気の流量Y(l/min)との差
に基づいて、吸気管2内への蒸発燃料の供給量(換言す
れば、混合気中の蒸発燃料量)に相当するインジェクタ
6の開弁時間である、補正時間Tpを算出する。
【0068】具体的には、図5に示すように、タンクバ
ルブ13が閉じられ、パージバルブ15が開かれている
際にキャニスタ20内から吸気管2内に流入する混合気
の流量X(l/min)が、キャニスタ20内に流入す
る蒸発燃料を含まない空気の流量Y(l/min)と、
キャニスタ20内でこの空気によって脱離された蒸発燃
料の流量との総和であり、混合気の流量X(l/mi
n)から空気の流量Y(l/min)を差し引くことに
より、混合気に含まれる蒸発燃料の流量X−Y(l/m
in)を算出することができるので、まず、この蒸発燃
料の流量X−Y(l/min)を混合気の流量X(l/
min)で除算することにより、混合気中の蒸発燃料濃
度Z(vol%)を算出する。蒸発燃料濃度Z(vol
%)を算出する式を下記式(2)として表す。
【0069】 Z(vol%)=(X−Y)/X×100 …(2) そして、吸気管2内への蒸発燃料の供給量VQ(詳しく
は、インジェクタ6の1回の開弁(噴射)当りの蒸発燃
料の供給量VQ(l/cycle))に相当するインジ
ェクタ6の開弁時間である、補正時間Tpを、蒸発燃料
濃度Z(vol%)と混合気の流量X(l/min)と
の乗算値に対応した関数、即ち、f(X−Y)として算
出する。
【0070】一方、S130(図4参照)にて、パージ
バルブ15が開かれていない、即ち、タンクバルブ13
が開かれ、パージバルブ15が閉じられていると判断さ
れた場合には、吸気管2内に蒸発燃料が供給されない状
態であるので、S170に移行し、上記補正時間Tpを
0とする。
【0071】以上のようにして、S140〜S160、
或いはS170にて、補正時間Tpが算出されると、今
度は、S180に移行する。S180では、下記式
(3)を用いて基本燃料噴射時間T0を空燃比補正係数
KF及び補正時間Tpにて補正し、インジェクタ6の適
切な開弁時間である燃料噴射時間Tを、1回の開弁(噴
射)当りのインジェクタ6からの適切な燃料供給量に相
当するものとして算出し、当該燃料噴射時間算出処理を
終了する。そして、その後、下記式(3)にて算出され
た燃料噴射時間Tに対応した制御信号がECU17から
出力され、エンジン1の回転に同期してインジェクタ6
がこの燃料噴射時間Tだけ開弁される。
【0072】T=T0×KF−Tp …(3) なお、S150の処理は、請求項4の混合気流量測定手
段に相当し、S160の処理は、請求項3の蒸発燃料量
算出手段に相当し、S180の処理は、請求項7のパー
ジ時補正手段に相当し、S150にて混合気の流量X
(l/min)を算出する際に用いられる吸気管内圧力
センサ5は、請求項4の運転状態検出手段に相当する。
このように、本実施例では、パージバルブ15が開かれ
た際(S130にて肯定判断された際)に、空気吸入用
通路21を介してキャニスタ20内に流入する空気の流
量Y(l/min)、及びキャニスタ20内からパージ
通路16を介して吸気管2内に流入する、空気と、この
空気によってキャニスタ20内にて脱離される蒸発燃料
との混合気の流量X(l/min)を測定する(S14
0、S150)。
【0073】そして、混合気の流量X(l/min)と
空気の流量Y(l/min)との差に基づいた処理を行
う(S160)ことにより、混合気中の蒸発燃料濃度Z
(vol%)を高精度に算出することができ、吸気管2
内への蒸発燃料の供給量VQに相当する補正時間Tp
を、超音波センサを用いず、蒸発燃料濃度Z(vol
%)と混合気の流量X(l/min)との乗算値に対応
するものとして高精度に算出することができる。
【0074】また、本実施例では、エンジン1の運転状
態を検出する吸気管内圧力センサ5からの信号に基づい
て混合気の流量X(l/min)を算出する(S15
0)ので、長期間に渡って、混合気の流量X(l/mi
n)を高精度に測定(算出)することができる。
【0075】つまり、混合気の流量X(l/min)を
測定する他の態様としては、例えば、混合気が流れるパ
ージ通路16(パージ通路16上であれば良く、例え
ば、パージ通路16のキャニスタ20側の端部、つま
り、キャニスタ20内におけるパージ通路16への入口
近傍の箇所であっても良い)に流量センサ(例えば、熱
線式流量センサ)を取り付け、この流量センサにて測定
するようにしても良いが、この場合は、この流量センサ
が混合気中の蒸発燃料に直接触れることとなり、時間経
過と共にコンタミ等の付着物がこの流量センサに堆積し
て、混合気の流量X(l/min)を正確に測定できな
い場合がある。
【0076】そこで、本実施例では、混合気の流量X
(l/min)を、流量センサ等にて直接測定するので
はなく、エンジン1の運転状態を検出する吸気管内圧力
センサ5からの信号に基づいて算出するようにしてい
る。従って、パージ通路16に流量センサを取り付けて
混合気の流量X(l/min)を直接測定する場合に比
べ、時間経過と共に混合気の流量X(l/min)の測
定精度が下がるようなことはなく、長期間に渡って、混
合気の流量X(l/min)を高精度に測定(算出)す
ることができる。つまり、その結果、吸気管2内への蒸
発燃料の供給量VQに相当する補正時間Tpを、長期間
に渡って、高精度に測定(算出)することができる。
【0077】そして、このように、本実施例では、パー
ジ通路16に流量センサを設けていないため、上記のよ
うにパージ通路16に流量センサを設ける態様に比べ、
安価な構成にて蒸発燃料の供給量VQに相当する補正時
間Tpの測定(算出)をすることが可能である。
【0078】そして、本実施例では、パージバルブ15
が開かれた際に、吸気管2内への蒸発燃料の供給量VQ
に相当する補正時間Tpを測定(算出)した(S140
〜S160)後、空燃比補正係数KFだけでなく、この
補正時間Tpも用いて基本燃料噴射時間T0を補正する
(S180)。
【0079】つまり、本実施例では、エンジン1に蒸発
燃料を供給する場合に、燃料混合気がエンジン1におけ
るシリンダ内で燃焼する前の段階で、蒸発燃料の供給量
VQに相当する補正時間Tpを測定(算出)し、その測
定結果及び空燃比補正係数KFを用いて、エンジン1に
供給される燃料(噴射燃料及び蒸発燃料)の量、即ち、
燃料混合気の空燃比を補正するのである。
【0080】従って、エンジン1に蒸発燃料を供給する
場合に排気ガスの酸素濃度だけに基づいて燃料混合気の
空燃比制御を行う場合と異なり、制御遅れが生じること
はない。即ち、本実施例によれば、エンジン1に蒸発燃
料を供給する場合においても、燃料混合気の空燃比制御
を好適に行うことができる。
【0081】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、
種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例で
は、空気吸入用通路21を介してキャニスタ20内に流
入する空気の流量Y(l/min)を、空気吸入用通路
21に設けられた熱線式流量センサ22にて測定した
が、熱線式流量センサ22に限らず、例えば、フラップ
式流量センサや、差圧式流量センサ等の他の流量センサ
を本発明の空気流量測定手段として空気吸入用通路21
に設け、この流量センサにてキャニスタ20内に流入す
る空気の流量Y(l/min)を測定しても良い。
【0082】そして、この空気の流量Y(l/min)
測定用の流量センサ(熱線式流量センサ、フラップ式流
量センサ、及び差圧式流量センサのうちのいずれか)の
取り付け箇所は、空気吸入用通路21上であれば良く、
例えば、空気吸入用通路21のキャニスタ20側の端
部、つまり、キャニスタ20内における空気吸入用通路
21の出口近傍の箇所であっても良い。
【0083】なお、フラップ式流量センサは、原理図で
ある図6(a)に示すように、流路内(ここでは、空気
吸入用通路21内)に、流路を塞ぐよう配置されるフラ
ッププレート31を有している。そして、フラップ式流
量センサでは、このフラッププレート31が、流路内を
流れる空気の流量に応じて、流路を開くよう動かされる
ことから、フラッププレート31の開き量を流路内を流
れる空気の流量に対応した電圧に変換することにより、
流路内を流れる空気の流量を正確に測定することができ
る。
【0084】また、差圧式流量センサは、原理図である
図6(b)に示すように、流路内(ここでは、空気吸入
用通路21内)に、流路断面積が小さくなった絞り部3
2を有している。そして、差圧式流量センサでは、この
絞り部32より上流側の流路内を流れる空気の圧力A
と、絞り部32を流れる空気の圧力Bとの差(差圧)
が、流路内を流れる空気の流量に応じて変化することか
ら、圧力Aと圧力Bとの間の差(差圧)を流路内を流れ
る空気の流量に対応した電圧に変換することにより、流
路内を流れる空気の流量を正確に測定することができ
る。
【0085】また、一方、上記実施例では、キャニスタ
20内から吸気管2内に流入する混合気の流量X(l/
min)を、吸気管内圧力センサ5から読み込んだ信号
を基に算出した(S150)が、吸気管内圧力センサ5
に限らず、エンジン1の運転状態を検出する他のセンサ
を請求項4の運転状態検出手段として機能させ、この運
転状態検出手段としてのセンサからの信号を用いて混合
気の流量X(l/min)を算出しても良い。
【0086】例えば、エンジン回転数センサ及びスロッ
トルバルブ開度センサを請求項4の運転状態検出手段と
して機能させ、このエンジン回転数センサ及びスロット
ルバルブ開度センサからの信号を用いて吸気管内圧力に
対応した値を算出し、この値と混合気の流量X(l/m
in)との関係をマップとして用いて、混合気の流量X
(l/min)を算出しても良い。また、エンジン回転
数センサ及びエアフロメータ3を請求項4の運転状態検
出手段として機能させ、このエンジン回転数センサ及び
エアフロメータ3からの信号を用いて吸気管内圧力に対
応した値を算出し、この値と混合気の流量X(l/mi
n)との関係をマップとして用いて、混合気の流量X
(l/min)を算出しても良い。
【0087】また、上記実施例では、パージバルブ15
が開かれた際の吸気管2内への蒸発燃料の供給量VQに
相当する補正時間Tpを、蒸発燃料濃度Z(vol%)
と混合気の流量X(l/min)との乗算値に対応した
関数として算出した(S160)が、混合気の流量X
(l/min)から空気の流量Y(l/min)を差し
引くことにより、混合気に含まれる蒸発燃料の流量X−
Y(l/min)を算出し、この蒸発燃料の流量X−Y
(l/min)に対応した関数として上記補正時間Tp
を算出しても良い。
【0088】また、上記実施例のように、パージバルブ
15が開かれた際に、混合気の流量X(l/min)と
空気の流量Y(l/min)との差に基づいて、吸気管
2内への蒸発燃料の供給量VQに相当する補正時間Tp
を算出し、この補正時間Tpも用いて、エンジン1に供
給される燃料量(燃料混合気の空燃比)を補正するシス
テムでは、キャニスタ20の外壁等に内部に通じるリー
ク孔が発生した場合に、このリーク孔の存在を検出する
ことができる。
【0089】ここで、キャニスタ20の外壁にキャニス
タ20の内部に通じるリーク孔が発生した場合に、この
リーク孔の存在を検出する方法の具体例について図7を
用いて説明する。まず、図7に示すように、キャニスタ
20の外壁にキャニスタ20の内部に通じるリーク孔2
0bが発生した状態では、パージバルブ15が開かれた
際(詳しくは、タンクバルブ13が閉じられ、パージバ
ルブ15が開かれた際)に、空気吸入用通路21に加え
て、リーク孔20bからもキャニスタ20内に空気が流
入することになる。
【0090】そして、このとき、リーク孔20bを介し
てキャニスタ20内に流入する空気の流量がα(l/m
in)であったとすると、吸気管2内に供給される蒸発
燃料の実際の流量は、X−Y−α(l/min)とな
る。しかし、この場合にECU17にて検出される蒸発
燃料の流量はX−Y(l/min)であるので、蒸発燃
料の流量が実際より大きめに検出されることになり、そ
の結果、吸気管2内への蒸発燃料の供給量VQに相当す
る補正時間Tpが、実際よりも大きめに算出される。
【0091】従って、インジェクタ6の開弁時間である
燃料噴射時間Tが、エンジン1に供給される燃料混合気
の空燃比を目標空燃比とするには短い時間として算出さ
れ、酸素センサ8にて検出される酸素濃度の信号から、
この燃料混合気の空燃比が薄い(リーン)と判定される
こととなる。
【0092】そこで、パージバルブ15が開かれた際
に、燃料混合気の空燃比が薄い状態(リーン)に変化し
た場合、或いは、パージバルブ15が開かれた際に、燃
料混合気の空燃比が薄い状態(リーン)に変化し、この
燃料混合気の空燃比の回復(例えば、ストイキとなるこ
と)が極端に遅い場合、リーク孔20bが存在している
ものとして、ECU17にて検出することができる。
【0093】また、一方、上記実施例では、キャニスタ
20内から吸気管2内に混合気を流入させる場合、タン
クバルブ13が閉じられ、パージバルブ15が開かれた
が、このようにパージバルブ15が開かれているとき
に、タンクバルブ13を開閉させれば、ガソリンタンク
10の外壁等に内部に通じるリーク孔が発生した場合
に、このリーク孔の存在を検出することができる。
【0094】ここで、ガソリンタンク10の外壁にガソ
リンタンク10の内部に通じるリーク孔が発生した場合
に、このリーク孔の存在を検出する方法の具体例につい
て図8を用いて説明する。ガソリンタンク10の外壁に
ガソリンタンク10の内部に通じるリーク孔10aが発
生した場合に、まず、図8(a)に示すように、パージ
バルブ15が開かれている状態で、タンクバルブ13を
開くと、空気吸入用通路21を介してキャニスタ20内
に空気が流入すると共に、ガソリンタンク10における
リーク孔10aからもタンク通路14を介してキャニス
タ20内に空気が流入することになる。なお、この場合
に、空気吸入用通路21から流入する空気の流量をY’
(l/min)とし、リーク孔10aから流入する空気
の流量をβ(l/min)とすると、この場合に、キャ
ニスタ20内に流入する空気の流量はY’+β(l/m
in)となる。
【0095】次に、図8(b)に示すように、パージバ
ルブ15が開かれている状態で、タンクバルブ13を閉
じると、タンク通路14がタンクバルブ13によって塞
がれることから、キャニスタ20内には、空気吸入用通
路21のみから空気が流入することになる。
【0096】そして、この場合(図8(b)の場合)に
空気吸入用通路21から流入する空気の流量をY(l/
min)とすれば、この空気の流量Y(l/min)
は、図8(a)の場合の空気吸入用通路21からの空気
の流量Y’(l/min)に比べ、リーク孔10aから
の空気の流入がない分、大きな値となる。
【0097】そこで、図8(b)の場合の空気吸入用通
路21からの空気の流量Y(l/min)と図8(a)
の場合の空気吸入用通路21からの空気の流量Y’(l
/min)との差Y−Y’(l/min)が極端に大き
い場合、つまり、例えば、この差Y−Y’(l/mi
n)が所定値γ(l/min)より大きい場合に、リー
ク孔10aが存在しているものとして、ECU17にて
検出することができる。
【0098】次に、上述した上記実施例の有する効果を
裏付ける各種実験例について説明する。 [実験例1]この実験では、上記実施例と同様のシステ
ム(図1等参照)を有し、且つ、図9に示すように、混
合気(蒸発燃料と空気との混合気)中の蒸発燃料濃度Z
(vol%)測定用の超音波センサ40がパージ通路1
6に取り付けられた、実験車両(直列6気筒2.0Lの
エンジン搭載車)を用いて、タンクバルブ13が閉じら
れ、パージバルブ15が開かれた際の、空気吸入用通路
21を介してキャニスタ20内に流入する空気の流量Y
(l/min)、キャニスタ20内からパージ通路16
を介して吸気管2内に流入する混合気の流量X(l/m
in)、及び混合気中の蒸発燃料濃度Z(vol%)を
測定した。
【0099】具体的には、上記実験車両を、シャシダイ
ナモメータ上に置き、車速が異なる各運転条件おいて、
一定アクセル、一定速度で走行させた(所謂ロードロー
ド走行させた)上、前記空気の流量Y(l/min)及
び混合気の流量X(l/min)を上記実施例と同様の
手法で測定し、上記蒸発燃料濃度Z(vol%)を超音
波センサ40を用いて測定した。なお、パージバルブ1
5が開かれたときのパージバルブ15の開度は、上記実
施例と同様、常に一定となる。
【0100】この実験の結果について図10及び図11
を用いて説明する。まず、図10は、車速が異なる各運
転条件において得られた、上記混合気の流量X(l/m
in)(図10中、及び以下の説明では、パージ混合気
流量X(l/min)とも記す)と、吸気管内圧力(吸
気管内圧力センサ5にて検出されたもの、図10中、及
び以下の説明では、ブーストとも記す)との関係を表し
たものである。
【0101】そして、図10から、パージ混合気流量X
(l/min)が、車速に応じて異なるブーストに依存
して変化し、ブーストが判ればパージ混合気流量X(l
/min)が1つの値として決定されることが判った。
また、図11は、車速が異なる各運転条件(図11で
は、車速が10km/h、30km/h、及び50km
/hである場合についてのみ示す)において得られた、
上記空気の流量Y(l/min)(図11中、及び以下
の説明では、キャニスタ吸入空気流量Y(l/min)
とも記す)と、蒸発燃料濃度Z(vol%)との関係を
表したものである。
【0102】そして、図11から、各車速において、蒸
発燃料濃度Z(vol%)が低下するに従い、キャニス
タ吸入空気流量Y(l/min)が増加することが判っ
た。これは、各車速において異なる値で一定値となるブ
ーストに対して、パージ混合気流量X(l/min)
が、夫々のブーストに対応して一定値となる(図10参
照)ため、この一定値であるパージ混合気流量X(l/
min)に対して、キャニスタ吸入空気流量Y(l/m
in)が増加すると、吸気管2内に流入する混合気中の
蒸発燃料の流量X−Y(l/min)が低下し、上記実
施例では式(2)にて算出される蒸発燃料濃度Z(vo
l%)が低下することに対応している。
【0103】また、図11から、蒸発燃料濃度Z(vo
l%)が一定の場合、車速が速くなる程、キャニスタ吸
入空気流量Y(l/min)が少なくなることが判っ
た。これは、この実験において車速が速くなる程少なく
なったパージ混合気流量X(l/min)(図10参
照)に対して、キャニスタ吸入空気流量Y(l/mi
n)が、車速が速くなる程少なくならなければ、混合気
中の蒸発燃料の流量X−Y(l/min)が一定値とな
らず、上記実施例では式(2)にて算出される蒸発燃料
濃度Z(vol%)が一定値とならないことに対応して
いる。
【0104】従って、この実験例1の測定結果から、パ
ージバルブ15が開かれたときのパージバルブ15の開
度が一定の場合、パージ混合気流量X(l/min)を
ブースト(吸気管内圧力)のみに対応する値として算出
可能であり、蒸発燃料濃度Z(vol%)を、超音波セ
ンサを用いず、パージ混合気流量X(l/min)とキ
ャニスタ吸入空気流量Y(l/min)とを測定し、こ
のパージ混合気流量X(l/min)とキャニスタ吸入
空気流量Y(l/min)との差に基づいた式(2)に
て算出可能であることが確認できた。 [実験例2]次に、図12は、実験例1と同様の実験車
両を、蒸発燃料濃度Z(vol%)が一定(図12では
D(vol%))の混合気をパージ通路16に流した状
態で、2000時間運転させ、この実験車両において上
記実施例と同様の手法で蒸発燃料濃度を測定すると共
に、超音波センサ40によっても蒸発燃料濃度を測定し
て、この2つの蒸発燃料濃度がどのように変化するかを
比べたものである。
【0105】そして、図12から、超音波センサ40に
て測定された蒸発燃料濃度値(図12中、超音波方式と
記したもの)が、時間経過と共に、実際の濃度値D(v
ol%)に対して低下していくことが判った。これは、
超音波センサ40にて蒸発燃料濃度を測定する場合は、
超音波センサ40が混合気中の蒸発燃料に直接触れるこ
ととなり、超音波センサ40における超音波送受信面
(図示はしない)に、時間経過と共にコンタミ等の付着
物が堆積し、超音波の伝播時間を正確に測定できなくな
ることから、蒸発燃料濃度の測定精度が下がるためであ
る。
【0106】一方、図12から、上記実施例と同様の手
法にて測定された蒸発燃料濃度値(図12中、本実施例
と記したもの)は、超音波センサ40にて測定された蒸
発燃料濃度値と異なり、時間経過に関わらず、実際の濃
度値D(vol%)に対して略正確な値となることが判
った。
【0107】これは、上記実施例では、混合気の流量X
(l/min)(パージ混合気流量X(l/min))
を、流量センサを用いず、吸気管内圧力センサ5からの
信号に基づいて算出するため、例えば、パージ通路16
に流量センサ(例えば、熱線式流量センサ)を取り付け
て、この流量センサにて直接混合気の流量X(l/mi
n)を測定するような場合と異なり、流量センサにコン
タミ等の付着物が堆積して、混合気の流量X(l/mi
n)の測定精度が低下する等の問題が発生しないため、
長期間に渡って、混合気の流量X(l/min)を高精
度に測定(算出)することができるためである。つま
り、その結果、混合気の流量X(l/min)(パージ
混合気流量X(l/min))と空気の流量Y(l/m
in)(キャニスタ吸入空気流量Y(l/min))と
の差に基づいた式(2)にて蒸発燃料濃度を高精度に算
出することができるからである。
【0108】従って、この実験例2の測定結果から、上
記実施例の手法によれば、長期間に渡って、混合気中の
蒸発燃料濃度Z(vol%)を高精度に測定(算出)す
ることができることが確認できた。 [実験例3]図13は、上記実施例と同様のシステム
(図1等参照)を有する実験車両(直列6気筒2.0L
のエンジン搭載車)を運転させ、エンジン1に蒸発燃料
を供給した場合に、排気ガスの酸素濃度だけに基づいて
(酸素センサ8からの信号だけを用いて)インジェクタ
6からの燃料供給量を制御した場合(つまり、図4のS
180において、常にTp=0とした場合に相当、図1
3中、及び以下の説明では、単に「補正無し」の場合と
も記す)と、上記実施例のように排気ガスの酸素濃度及
び蒸発燃料の供給量に応じてインジェクタ6からの燃料
供給量を制御した場合(図13中、及び以下の説明で
は、単に「補正有り」の場合とも記す)とで、エンジン
1に供給される燃料混合気の空燃比λ(空気過剰率)の
時間応答性がどのように変化するかを比べたものであ
る。なお、図13中の空燃比λ(空気過剰率)の値は、
酸素センサ8にて検出されたものである。
【0109】この実験では、図13に示すように、ある
決められた時間(図13中、「パージON」と示された
時間)に、一度パージバルブ15を人為的に開いた(詳
しくは、タンクバルブ13を閉じ、パージバルブ15を
開いた)。そして、その後の空燃比λ(空気過剰率)
を、上記2つの手法にて夫々制御した。
【0110】そして、図13から、補正無しの場合で
は、パージバルブ15が開かれた後に、空燃比λ(空気
過剰率)がリッチ側(λ<1)に大きくオーバーシュー
トする上、空燃比λ(空気過剰率)が制御ポイント(λ
=1±0.03となる状態)に収束するまでの時間が長
くなっており、好ましくないことが判る。
【0111】一方、補正有りの場合では、補正無しの場
合に比べ、空燃比λ(空気過剰率)における上記オーバ
ーシュートが小さく、制御ポイントに収束するまでの時
間が短くなっており、好適であることが判る。これは、
補正有りの場合(上記実施例の場合)では、エンジン1
に蒸発燃料を供給する場合に、燃料混合気がエンジン1
におけるシリンダ内で燃焼する前の段階で、蒸発燃料の
供給量VQに相当する補正時間Tpを測定(算出)し、
その測定結果及び空燃比補正係数KFを用いて、燃料混
合気の空燃比λ(空気過剰率)を補正するため、補正無
しの場合と異なり、制御遅れが生じないからである。
【0112】従って、この実験例3の測定結果から、上
記実施例の手法によれば、エンジン1に蒸発燃料を供給
する場合においても、燃料混合気の空燃比制御を好適に
行うことができることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の空燃比制御装置の全体的構成を表す
システム構成図である。
【図2】 熱線式流量センサの基本原理を示す説明図で
ある。
【図3】 実施例のキャニスタの断面構造を示す説明図
である。
【図4】 電子制御装置(ECU)において実行される
燃料噴射時間算出処理を表すフローチャートである。
【図5】 混合気に含まれる蒸発燃料の流量を算出する
基本概念を説明する説明図である。
【図6】 フラップ式流量センサ及び差圧式流量センサ
の基本原理を示す説明図である。
【図7】 キャニスタの外壁にリーク孔が発生した場合
に、このリーク孔の存在を検出する方法について説明す
る説明図である。
【図8】 ガソリンタンク(燃料タンク)の外壁にリー
ク孔が発生した場合に、このリーク孔の存在を検出する
方法について説明する説明図である。
【図9】 実験例1及び実験例2で用いた実験車両の部
分的構成を説明する説明図である。
【図10】 実験例1による測定結果を表すグラフであ
る。
【図11】 実験例1による測定結果を表すグラフであ
る。
【図12】 実験例2による測定結果を表すグラフであ
る。
【図13】 実験例3による測定結果を表すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、2…吸気管、3…エアフロ
メータ(運転状態検出手段)、5…吸気管内圧力センサ
(運転状態検出手段)、10…ガソリンタンク(燃料タ
ンク)、15…パージバルブ、16…パージ通路、20
…キャニスタ、21…空気吸入用通路、22…熱線式流
量センサ(空気流量測定手段)。
フロントページの続き (72)発明者 伴野 圭吾 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 石田 昇 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 3G084 BA13 BA27 DA04 DA12 EB12 EC03 FA00 FA07 FA08 FA10 FA11 FA29 FA33 3G301 HA01 HA06 HA14 JA03 JA20 MA01 MA11 ND02 ND05 PA01Z PA03Z PA04Z PA07Z PA11Z PB09Z PB10Z PD02Z PE01Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内部
    で吸着するキャニスタと、該キャニスタ内部と内燃機関
    の吸気管内とを連結するパージ通路と、該パージ通路に
    設けられ、該パージ通路を開閉するパージバルブと、を
    備えた内燃機関で、前記キャニスタから前記パージ通路
    を介して前記吸気管内に供給される前記蒸発燃料の量を
    測定する蒸発燃料量測定方法であって、 前記パージバルブが開かれた際に、空気吸入用通路を介
    して前記キャニスタ内に流入する空気の流量、及び前記
    パージ通路を介して前記吸気管内に流入する前記空気と
    前記蒸発燃料との混合気の流量を夫々測定し、 該測定した前記混合気の流量と前記空気の流量との差に
    基づいて、前記混合気中の蒸発燃料量を算出することを
    特徴とする蒸発燃料量測定方法。
  2. 【請求項2】 前記混合気の流量を、 前記内燃機関の運転状態に基づいて算出することを特徴
    とする請求項1に記載の蒸発燃料量測定方法。
  3. 【請求項3】 燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内部
    で吸着するキャニスタと、該キャニスタ内部と内燃機関
    の吸気管内とを連結するパージ通路と、該パージ通路に
    設けられ、該パージ通路を開閉するパージバルブと、を
    備えた内燃機関に設けられ、前記キャニスタから前記パ
    ージ通路を介して前記吸気管内に供給される前記蒸発燃
    料の量を測定する蒸発燃料量測定装置であって、 前記パージバルブが開かれた際に空気吸入用通路を介し
    て前記キャニスタ内に流入する空気の流量を測定する空
    気流量測定手段と、 前記パージバルブが開かれた際に前記パージ通路を介し
    て前記吸気管内に流入する前記空気と前記蒸発燃料との
    混合気の流量を測定する混合気流量測定手段と、 前記混合気の流量と前記空気の流量との差に基づいて、
    前記混合気中の蒸発燃料量を算出する蒸発燃料量算出手
    段と、を備えたことを特徴とする蒸発燃料量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記混合気流量測定手段は、 前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段か
    らの信号を用いて、前記混合気の流量を算出するもので
    あることを特徴とする請求項3に記載の蒸発燃料量測定
    装置。
  5. 【請求項5】 前記空気流量測定手段は、前記空気吸入
    用通路に設けられた、熱線式流量センサ、フラップ式流
    量センサ、及び差圧式流量センサのうちのいずれかであ
    ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の蒸
    発燃料量測定装置。
  6. 【請求項6】 燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内部
    で吸着するキャニスタと、該キャニスタ内部と内燃機関
    の吸気管内とを連結するパージ通路と、該パージ通路に
    設けられ、該パージ通路を開閉するパージバルブと、を
    備えた内燃機関で、排気成分に基づいて前記内燃機関に
    供給された燃料混合気の空燃比を検出し、該空燃比が目
    標空燃比となるよう前記内燃機関への燃料供給量を制御
    する内燃機関の空燃比制御方法であって、 前記パージバルブが開かれた際に、前記キャニスタから
    前記パージ通路を介して前記吸気管内に供給される前記
    蒸発燃料の量を前記請求項1または請求項2に記載の蒸
    発燃料量測定方法にて測定し、 該蒸発燃料の量に基づき、前記燃料供給量を補正するこ
    とを特徴とする空燃比制御方法。
  7. 【請求項7】 燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内部
    で吸着するキャニスタと、該キャニスタ内部と内燃機関
    の吸気管内とを連結するパージ通路と、該パージ通路に
    設けられ、該パージ通路を開閉するパージバルブと、を
    備えた内燃機関に設けられ、排気成分に基づいて前記内
    燃機関に供給された燃料混合気の空燃比を検出し、該空
    燃比が目標空燃比となるよう前記内燃機関への燃料供給
    量を制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、 前記パージバルブが開かれた際に、前記キャニスタから
    前記パージ通路を介して前記吸気管内に供給される前記
    蒸発燃料の量を測定する前記請求項3〜請求項5いずれ
    か記載の蒸発燃料量測定装置と、 該蒸発燃料量測定装置にて測定された前記蒸発燃料の量
    に基づき、前記燃料供給量を補正するパージ時補正手段
    と、 を備えたことを特徴とする空燃比制御装置。
  8. 【請求項8】 燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内部
    で吸着するキャニスタであって、空気を当該キャニスタ
    内に流入させる空気吸入用通路を備え、該空気吸入用通
    路に前記空気の流量を測定する空気流量測定手段を備え
    たことを特徴とするキャニスタ。
  9. 【請求項9】 前記空気流量測定手段は、熱線式流量セ
    ンサ、フラップ式流量センサ、及び差圧式流量センサの
    うちのいずれかであることを特徴とする請求項8に記載
    のキャニスタ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101576030A (zh) * 2008-05-07 2009-11-11 现代自动车株式会社 气体蒸汽控制系统及其方法
JP2016211474A (ja) * 2015-05-12 2016-12-15 株式会社デンソー 燃料蒸気漏れ検出装置
JP2021032204A (ja) * 2019-08-28 2021-03-01 株式会社デンソー 蒸発燃料処理装置

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