JP2001000765A - ミシン - Google Patents

ミシン

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JP2001000765A
JP2001000765A JP11179711A JP17971199A JP2001000765A JP 2001000765 A JP2001000765 A JP 2001000765A JP 11179711 A JP11179711 A JP 11179711A JP 17971199 A JP17971199 A JP 17971199A JP 2001000765 A JP2001000765 A JP 2001000765A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押え腕を側方へ揺動させて押え金を退避させ
る操作を片手で容易に行うことができるミシンを提供す
る。 【解決手段】 2位置安定手段70は手揚げリンク7
1、手揚げ72、上送り揚げ軸レバー22および上送り
台ガイド腕12を有し、押し上げ解除位置にあるときに
は押え棒50が押え腕2に嵌まり込み、押え腕2を下方
にばね付勢するとともに上送り台ガイド腕12が下方に
ばね付勢されている。手揚げリンク71と手揚げ72と
の連結部の軸線L6が手揚げリンク71の一端部の軸線
L5と手揚げ72の下端部の軸線L7とを結ぶ基準直線
Sより下方になるまで手揚げ72を下げると、上送り押
えばね61のばね力によって、手揚げ72は押し下げら
れた位置に保持される。このとき、手揚げ72の突部8
7が嵌合片88を介して押え棒50を上方に押し上げて
ロック状態が解除されるとともに、上送り台ガイド腕1
2が矢符C方向に角変位し、上送り歯5が上方に変位す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は押え金が、左右に揺
動可能な押え腕に取付けられ、メンテナンス時などに押
え腕を側方に揺動させて押え金を退避させることができ
るミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】オーバーロックミシンでは、上送り機構
を備え、針板上の上送り歯と針板の下の下送り歯とで生
地を挟み、協働して布送りを行う。生地は針板上で押え
金によって押さえられており、上送り歯は、押え金に形
成された透孔に挿入され、この透孔内で布送り動作を行
う。
【0003】針交換などのメンテナンス時には、邪魔に
ならないように押え金を退避させる必要があり、そのた
めに押え腕は左右に揺動可能に支持されている。
【0004】縫製時には、押え腕の前記左右の揺動を阻
止し、かつ押え金を下方にばね付勢して押え金を針板に
押し付ける必要がある。そのために、押え腕の上方から
嵌まり込み、押え腕の左右の揺動をロックするととも
に、押え腕を下方にばね付勢する押え棒がミシンに設け
られる。また上送り歯は生地を挟持するために、押え金
の透孔に挿入された状態で下方にばね付勢されている。
【0005】したがって、押え腕を側方に揺動させるた
めには、上送り歯をばね力に抗して上方に押し上げ、か
つ前記押え棒をばね力に抗して上方に押し上げて押え腕
のロック状態を解除し、この状態を保持して、押え腕を
側方に揺動させなければならない。このように押え腕を
揺動させるには複数の操作を必要とし、操作が煩雑とな
るといった問題を有する。
【0006】このような問題を解決する方法として、特
開平5−3981号公報には、手動レバー操作によっ
て、押え棒および上送り歯の両方を上方に押し上げる機
構を備えたミシンが開示されている。この機構では、た
とえば一方の手でレバーを押し下げて、ばね力に抗して
押え棒と上送り歯との両方を押し上げ、この間にもう一
方の手で押え腕を側方に揺動させる。そして前記一方の
手をレバーから外して針交換などのメンテナンスを行
う。
【0007】退避した押え金を元に戻すには、一方の手
で再びレバーを押し下げ、その間にもう一方の手で押え
腕を揺動させて押え金を元の位置に戻す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した機構では、片
方の手でレバーを操作している間にもう一方の手で押え
腕を揺動操作し、その後、両手で針交換などのメンテナ
ンスを行う。このように、押え金の退避操作をするとき
に両手が塞がれるため、作業効率が悪くなるといった問
題を有する。
【0009】本発明は、メンテナンス時などに片手で容
易に押え腕を側方に揺動させ、押え金を退避させること
ができるミシンを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、針板と、基端部が針板の後方で変位自在に支持さ
れ、先端部が針板まで延び、上下および左右方向に揺動
可能に設けられる押え腕と、押え腕の上方に配置され、
押え腕の左右の揺動を阻止するロック位置と、ロック位
置の上方のロック解除位置とにわたって上下に変位自在
に支持され、ロック位置にあるとき押え腕を下方にばね
付勢するロック部材と、透孔を有し、押え腕の先端部に
取り付けられ、ロック位置にあるロック部材によって針
板に弾発的に押え付けられる押え金と、押え金の上から
前記透孔に挿通される上送り歯と、先端部に上送り歯が
取り付けられ、上下に揺動自在に支持される送り歯支持
部材と、送り歯支持部材を下方にばね付勢するばね部材
とを備えるミシンにおいて、予め定める基準位置を超え
て一方側から他方側に操作部材を変位させると、他方側
に操作部材が保持され、前記基準位置を超えて他方側か
ら一方側に操作部材を変位させると一方側に操作部材が
保持される2位置安定手段を有し、前記基準位置を超え
て操作部材を一方側に変位させると、2位置安定手段か
らロック部材および送り歯支持材に押し上げ力が作用
し、ロック部材がばね力に抗してロック解除位置まで変
位するとともに、送り歯支持部材がばね力に抗して上方
に押し上げられ、前記基準位置を超えて操作部材を他方
側に変位させると、2位置安定手段からロック部材およ
び送り歯支持部材に作用する押し上げ力が解除されるこ
とを特徴とするミシンである。
【0011】本発明に従えば、2位置安定手段の操作部
材を基準位置を越えて一方側に変位させると、ロック部
材がばね力に抗して上方のロック解除位置まで押し上げ
られるとともに、送り歯支持部材もばね力に抗して上方
に押し上げられ、それぞれ2位置安定手段によって押し
上げられた位置に保持される。したがって、操作部材か
ら手を離してもロック部材はロック解除位置に保持さ
れ、上送り歯を上方に押し上げられた位置に保持される
ので、操作者は操作部材を操作した手で押え腕を側方に
揺動させて押え金を退避させることができる。このよう
にして操作者は片手で容易に押え金の退避操作を行うこ
とでき、メンテナンス時の作業効率が向上する。
【0012】また元に戻す場合にも同様に、押え腕を揺
動させて押え金を元の位置に戻し、次に2位置安定手段
の操作部材を基準位置を越えて一方側から他方側へ変位
させる。するとロック部材および送り歯支持部材に作用
する押し上げ力が解除され、再び押え腕をロックすると
ともに、上送り歯が押え金の透孔に嵌まり込む。このよ
うに押え金を元の位置に戻す場合にも片手で容易に行う
ことができる。
【0013】請求項2記載の前記2位置安定手段は、第
1リンクと、第1リンクの一端部に一端部がピン結合さ
れる第2リンクとを有し、前記操作部材は第1リンクま
たは第2リンクに固定され、操作部材が基準位置を超え
るとは、第1リンクの他端部と第2リンクの他端部とを
結ぶ基準直線を第1リンクと第2リンクとの結合部が超
えて移動することであり、少なくとも前記結合部が前記
基準直線近傍にあるときには、第1リンクの他端部と第
2リンクの他端部とは相互に近接する向きにばね付勢さ
れることを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、2位置安定手段の第1リ
ンクと第2リンクとは一端部同士がピン結合され、第1
リンクの他端部と第2リンクの他端部とが互いに近接す
る向きにばね付勢されているので、第1リンクの他端部
と第2リンクの他端部とを結ぶ基準直線に関し、結合部
が一方側にある場合には、前記各リンクの他端部を近接
させるばね力によって結合部は前記基準直線から離反す
る向きに力が作用する。これによって結合部は一方側に
安定して保持される。
【0015】この結合部が前記基準曲線を越えて他方側
へ移動すると、前記ばね力によって結合部には基準直線
から離反する側にばね力が作用し、これによって結合部
は他方側へ安定して保持される。したがって、第1リン
クまたは第2リンクに固定される操作部材を用いて、結
合部を基準曲線に関して一方側から他方側へ、もしくは
他方側から一方側へ変位させることによって操作部材は
いずれか一方に安定して保持される。したがって、操作
部材を一方側に保持することによってロック部材および
上送り歯を上方に押し上げて保持することができ、また
操作部材を他方側に変位することによって、前記押し上
げ力を解除し、ロック部材で押え腕をロックし、上送り
歯を下方にばね付勢することができる。
【0016】請求項3記載の本発明は、前記第1リンク
の他端部と第2リンクの他端部とを近接する向きにばね
付勢するばね力は、送り歯支持部材を下方にばね付勢す
るばね部材から与えられることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、各リンクを近接させるば
ね力は上送り歯を下方にばね付勢するばね力から与えら
れるので、2位置安定手段用に強力なばね部材を別途に
設ける必要がなく、簡単な構成で2位置安定手段を構成
することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるミシンの押え腕2近傍の構成を示す斜視図である。
なお図1において斜め左上に向う方向を布送り方向Aと
し、水平面上でこの布送り方向Aに垂直な方向を左右方
向Bとする。
【0019】本実施形態のミシンはオーバロックミシン
であり、押え金1は針板3上に配置され、押え腕2の前
端部に取付けられる。押え腕2は布送り方向Aに延び、
後方(布送り方向A下流側)の基端部が、上下方向に延
びる揺動軸線L1および左右方向Bに延びる揺動軸線L
2まわりに角変位自在に支持され、これによって押え腕
2は上下および左右方向Bに揺動可能となる。
【0020】押え金1には、布送り方向Aに延びる透孔
4が形成され、この透孔4には上送り歯5が挿入され
る。針板3にも同様に布送り方向Aに延びる透孔である
送り溝(図示せず)が形成され、この送り溝には針板3
の下から下送り歯(図示せず)が挿入される。上送り歯
5および下送り歯はそれぞれ同期して布送り方向Aに楕
円運動を行い、縫製時には、針板3上で押え金1によっ
て押さえられる生地を挟持して布送り方向Aに送り出
す。
【0021】次に図2を参照して押え腕2および上送り
機構の構成について説明する。上送り歯5は、送り歯支
持部材15に支持され、送り歯支持部材15は、上送り
台10、上送り台ガイド11および上送り台ガイド腕1
2とから構成される。上送り台10は、布送り方向Aに
延び前端部に上送り歯5が取付けられる。上送り台10
は上送り台ガイド腕12の前端部に、上送り台ガイド1
1によって前後方向(布送り方向A)に変位自在に取付
けられる。上送り台ガイド腕12は円筒状の挿通部1
3、レバー部16およびアーム部17とから一体に構成
される。挿通部13は前記軸線L2を中心とする挿通孔
を有し、この挿通部13の上方に突出してレバー部16
が形成され、挿通部13から前方に突出してアーム部1
7が形成され、このアーム部17の前端部に前記上送り
台ガイド11が取付けられる。
【0022】上送り台ガイド11は左右方向Bに延びる
軸線L3まわりにピン18によって角変位自在に連結さ
れ、これによって上送り台ガイド11および上送り台ガ
イド腕12の先端部に支持される上送り台10は軸線L
3を中心として上下に揺動可能に設けられる。
【0023】上送り台ガイド腕12の挿通孔にはミシン
のフレームに支持されるブッシュ14の先端部が嵌まり
込み、これによって上送り台ガイド腕12は軸線L2を
中心として角変位自在に支持される。
【0024】上送り台ガイド腕12の上方に配置される
上送り揚げ軸21は左右B方向に延び、軸線L4まわり
に回転自在に軸受け90に軸支される。この軸受け90
はミシンフレーム80(図4参照)に固定される。上送
り揚げ軸21の一端部には上送り揚げ軸レバー22の下
端が、軸線L4まわりの角変位が阻止された状態で固定
され、他端部には回動片20の下端部が一体に固定され
る。
【0025】上送り台ガイド腕12のレバー部16の上
端部は左方に屈曲して屈曲部91が形成され、この屈曲
部91に回動片20の上端部が対向配置される。したが
って、上送り揚げ軸レバー22が矢符C方向(図1,2
の左から見て反時計まわり)に回動すると、これにとも
なって回動片20も矢符C方向に回動し、上端部が上送
り台ガイド腕12の前記屈曲部91を押圧し、これによ
って上送りガイド腕12も矢符C方向に回動する。
【0026】押え腕2の基端部には左右方向Bに延びる
押え軸10の一端部が固定される。押え軸10は前記軸
線L2に沿って延び、左リフトレバー25を介して前記
ブッシュ14に挿通され、これによって押え腕2は軸線
L2を中心として上下に揺動可能に支持される。左リフ
トレバー25は、押え軸10まわりの回転が阻止された
状態で押え軸10に固定され、上部に形成される係合部
26が上送り台ガイド腕12のレバー部16の手前側に
係合し、これによって押え腕10の矢符C方向の角変位
が上送り台ガイド12に伝達される。
【0027】ブッシュ14から突出する押え軸10の他
端部側にはねじりばね30、押え軸レバー31を介して
右リフトレバー32が固定される。右リフトレバー32
は押え軸10まわりの回転が阻止された状態で押え軸1
0に固定され、押え軸レバー31は上部に設けられる係
合部33が右リフトレバー32に係合し、これによって
押え軸レバー31の前記矢符C方向の回転が押え軸10
に伝達される。ねじりばね30は押え軸レバー31を前
記矢符Cと反対方向に回転させる向きにばね力を与え
る。
【0028】上送り台10の後端部には上送り前後リン
ク35を介して上送り前後軸36が連結される。上送り
前後リンク35の一端部はピン37を介して上送り台1
0の後端部にピン結合され、上送り前後リンク35の他
端部は上送り前後軸36の一端部に設けられるクランク
39にピン結合される。上送り前後軸36の他端部には
スライダレバー38が上送り前後軸36の軸線まわりの
回転が阻止された状態で固定される。したがって、図1
で矢符Dで示すようにスライダレバー38を前後に揺動
することによって上送り台10が前後(布送り方向A)
に変位する。
【0029】上送り台ガイド11は、上送り上下リンク
40を介して上送り上下軸41に連結される。上送り上
下リンク40の一端部は上送り台ガイド11にピン結合
され、他端部は上送り上下軸41の一端部に設けられる
クランク42にピン結合される。上送り上下軸41の他
端部には上送り上下レバー43が上送り上下軸41の軸
線まわりの回転が阻止された状態で固定される。この上
送り上下レバー43に形成される長孔46には上下レバ
ーピン45が嵌まり込み、この上下レバーピン45は、
上下レバーリンク44の一端部に結合される。したがっ
て、図1で矢符Eで示すように上下レバーリンク44を
上下変位することによって上送り台ガイド11は軸線L
3を中心として上下に揺動し、これに伴って上送り台1
0および上送り歯5が上下に往復動する。
【0030】したがって、前述した上送り前後軸36に
よって上送り歯5は前後方向に往復動し、上送り上下軸
41によって上送り歯5は上下方向に往復動するので、
これらの動きが合成されて上送り歯5は押え金1の透孔
4内で楕円運動を行うことになる。このように上送り歯
5が楕円運動することによって、前述した下送り歯と協
働して布送り動作を行うことができる。
【0031】押え腕2の前端部には上方から押え棒50
が嵌まり込む。押え棒50は下端部に嵌合凹所54が形
成され、この嵌合凹所54に押え腕2が嵌まり込む。こ
れによって、押え腕2の左右方向Bへの揺動がロックさ
れる。また押え腕50は上方に設けられる押えばね51
から下方にばね力が与えられ、これによって押え金1は
針板3に押付けられる。押えばね51の上部にはロック
ナット52を介して押えばね調整ねじ53が設けられ、
この押えばね調整ねじ53によって押えばね51のばね
力を調整することができる。
【0032】上送り台ガイド11は上方から上送り台押
え棒60によって押えられる。上送り台押え棒60の上
方には上送り押えばね61が設けられ、このばね力によ
って上送り歯5は下方にばね付勢され、下送り歯との間
で生地を弾発的に挟持する。上送り台押え棒60の上に
はロックナット62および調整ねじ63が介在され、こ
の調整ねじ63によって上送り押えばね61のばね力を
調整することができる。
【0033】このように、押え金1は押えばね51から
のばね力によって下方にばね付勢されており、上送り歯
5は上送り押えばね61のばね力によって下方にばね付
勢されてされている。したがって、たとえば縫製開始時
など押え金1と針板3との間に生地を挟む場合には、押
え金1および上送り歯5を上方に押し上げる必要があ
る。そのために図1に示すように、押え揚げレバー装置
64が設けられる。
【0034】押え揚げレバー装置64は前述した押え軸
レバー31に連結され、チェーンなどを介してペダル操
作で押え軸レバー31を下方に押し下げることができ
る。押え軸レバー31を下方に押し下げると右リフトレ
バー32を介して押え軸10が矢符C方向に回動し、こ
れによって押え腕2が押えばね51のばね力に抗して上
方に変位し、押え金1が上方に持ち上がる。また押え軸
10に固定される左リフトレバー25を介して上送り台
ガイド腕12も矢符C方向に回動し、これによって上送
り歯5もばね力に抗して上方に持ち上がる。
【0035】しかし、針交換などのメンテナンス時には
押え金1および上送り歯5を上方に変位するだけでな
く、押え腕2を軸線L1まわりに左方に揺動させて押え
金1を退避させる必要がある。押え金1の透孔4には上
送り歯5が挿入され、押え腕2は押え棒50でロックさ
れているので、押え腕2を揺動させるには、上送り歯5
とともに押え棒50を上方に押し上げ、押え棒50によ
るロック状態を解除する必要がある。
【0036】したがって本発明のミシンでは押え棒50
および送り歯支持部材15を上方に押し上げて保持する
押し上げ位置と、押え棒50および送り歯支持部材15
への押し上げ力を解除する押し上げ解除位置の2位置に
安定して保持する2位置安定手段70が設けられる。
【0037】図3はミシンの左方から見た押し上げ解除
位置にある2位置安定手段70を示す正面図であり、図
4はこのときの2位置安定手段70の一部を切欠いて示
す正面図であり、図5は押し上げ位置にあるときの2位
置安定手段70を示す正面図であり、図6はこのときの
2位置安定手段70の一部を切欠いて示す正面図であ
る。
【0038】2位置安定手段70は上送り揚げ軸レバー
22、手揚げリンク71および手揚げ72を有し、手揚
げリンク71は第1リンクとして機能し、手揚げリンク
71の一端部が手揚げ72の中間部にねじ74によって
軸線L6まわりに角変位自在にピン結合される。この手
揚げ72の結合部から手揚げ72の先端部(図3の上端
部)が操作部材として機能し、ピン結合部よりも図3に
おける下方が第2リンクとして機能する。この手揚げ7
2の下端部72aは手揚げ止ねじ75によって軸線L7
まわりに角変位自在にフレーム80にピン結合される。
また手揚げリンク71の他端部71aと上送り揚げ軸レ
バー22の上端部とがねじ73によって軸線L5まわり
に角変位自在にピン結合される。また、上送り揚げ軸レ
バー22の下端部は前述したように上送り揚げ軸21に
固定され、この上送り揚げ軸21はミシンフレーム80
に固定される軸受け90に回転自在に軸支される。これ
らの軸線L4〜L7はそれぞれ左右方向Bに延び互いに
平行である。また、上送り揚げ軸21には前述したよう
に、回動片20の下端部が固定され、上送り台ガイド腕
12のレバー部16の屈曲部91に回動片20の上端部
が対向配置される。
【0039】図4に示すように、レバー部16の上端部
には上送り歯調整ねじ82がロックナット81に螺合し
て固定される。この上送り歯調整ねじ82の頭部に対向
する位置には当接部材77がミシンのフレーム80に固
定されている。前述したように、上送り台押え棒60お
よび上送り押えばね61によって送り歯支持部材15は
下方にばね付勢され、上送り台ガイド腕12は軸線L2
を中心として矢符F方向(図4〜7において時計回り)
にばね力が与えられる。2位置安定手段70の押し上げ
解除位置においては図4に示すように上送り歯調整ねじ
82の頭部がフレーム80の当接部材77に当接し、送
り歯支持部材15の矢符F方向の角変位が阻止され、こ
れによって上送り歯5の下限位置が規定される。すなわ
ち、上送り歯調整ねじ82の頭部を図4において左方に
変位させることによって上送り歯5の下限位置を下げる
ことができ、逆に上送り歯調整ねじ82の頭部を図4に
おいて右方に変位させることによって上送り歯5の下限
位置を上げることができる。このようにして、上送り歯
5と下送り歯との間隙を調整することができ、生地の厚
みなどに応じて上送り歯と下送り歯との挟持力を適宜調
整することができる。
【0040】上送り歯5と下送り歯との間に生地が介在
される状態では生地の厚みによっては上送り歯5が上方
に持ち上がり、これによって上送り歯調整ねじ82の頭
部と当接部材77との間に隙間が形成されることにな
る。したがって図4に示すように、2位置安定手段70
が押し上げ解除位置にあり、上送り歯5と下送り歯との
間に生地が介在されない場合には上送り歯調整ねじ82
の頭部がフレーム80の当接部材77に当接し、上送り
揚げ軸21は定位置に保持され、上送り押えばね61か
らのばね力は2位置安定手段70の上送り揚げ軸レバー
22、手揚げリンク71および手揚げ72には伝達され
ない。
【0041】手揚げ72の下端部の手揚げ止ねじ75に
は捩りばねから成る手揚げ戻しばね76が介在され、こ
の手揚げ戻しばね76によって手揚げ72には軸線L7
を中心として時計まわりにばね力が与えられ、図4に示
すようにフレーム80に取付けられるストッパ85に手
揚げ72が係止されて位置決めされている。このように
して、2位置安定手段70が押し上げ解除位置にあると
きには、手揚げ72が立ち上がった状態に保持される。
【0042】手揚げ72の下端部72aには軸線L7を
中心として前方(図4〜6の左方)に突出する突部87
が形成され、この突部87の上方には押え棒50に対し
て上下方向への変位が阻止されて押え棒50に嵌まり込
む嵌合片88が設けられる。
【0043】2位置安定手段70を押し上げ位置に変位
させるには、手揚げ72の上端部を手揚げ戻しばね76
のばね力に抗して下方に下げる。すると、前記突部87
が嵌合片88に当接し、さらに手揚げ72を押し下げる
と嵌合片88を介して押え棒50が押えばね51のばね
力に抗して上方に押し上げられる。これによって押え腕
2のロック状態が解除される。
【0044】一方この時、手揚げ72にねじ74によっ
てピン結合される手揚げリンク71は後方(図4〜6に
おいて左方)に押され、これに連動して上送り揚げ軸レ
バー22が上送り揚げ軸21を角変位中心として矢符G
(図4において反時計回り)に角変位する。上送り揚げ
軸レバー22が矢符G方向に角変位すると、上送り揚げ
軸レバー22に固定される上送り揚げ軸21および回動
片20も矢符G方向に回動し、回動片20の上端部が上
送り台ガイド腕12のレバー部16の屈曲部91に当接
する。すると上送り台ガイド腕12が矢符C方向に角変
位し始め、上送り歯調整ねじ82が当接部材77から離
反し始める。
【0045】上送り歯調整ねじ82が当接部材77から
離反するとき、上送り台ガイド腕12、上送り揚げ軸レ
バー22を介して手揚げリンク71には、手揚げリンク
71の一端部71aと手揚げ72の下端部72aとが相
互に近接する向きに上送り押えばね61からばね力が作
用する。したがって、手揚げ72と手揚げリンク71と
の結合部の軸線L6が、前記軸線L5と軸線L7とを結
ぶ基準直線Sに関して上方にあるときには前記ばね力に
よって軸線L6はさらに上方、すなわち手揚げ72を上
方に戻す方向にばね力が作用する。
【0046】このばね力に抗して手揚げ72をさらに押
し下げ、軸線L6が前記基準直線Sの下方に達すると、
手揚げリンク71の一端部71aと手揚げ72の下端部
72aとを相互に近接させるばね力は、手揚げ72と手
揚げリンク71との結合部を基準直線Sから離反する向
き、すなわち手揚げ72を下方へ押し下げる力が作用す
る。図4〜図6に示すように、基準直線Sの下方にはス
トッパ86がフレームに80に取り付けられ、手揚げ7
2はこのストッパ86に係止されて2位置安定手段は図
5,6に示す押し上げ位置に保持される。このようにし
て2位置安定手段は、上送り押えばね61のばね力を利
用して押し上げ位置に安定して保持される。
【0047】このとき図5,6に示すように手揚げ72
の下端部の突部87が嵌合片88を介して押え棒50を
上方に持ち上げ、押え棒50の下端部の嵌合凹所54が
押え腕2から離反したロック解除位置に保持される。ま
た前述したように上送りガイド腕12が上送り押えばね
61のばね力に抗して矢符D方向に角変位することによ
って上送り歯5が押え金1の透孔4から上方に持ち上が
る。したがって、押え腕2を左方に揺動させて押え金1
を退避させることができる。
【0048】このように本発明の2位置安定手段70で
は手揚げ72をストッパ86に当接するまで下方に押し
下げることによって、上送り押えばね61のばね力を利
用して押え棒50および上送り歯5を上方に押し上げた
状態に保持することができるので、片手で手揚げ72を
押し下げ、この片手で押え腕2を左方に揺動させて押え
金1を退避させるといったことができ、メンテナンスな
どを容易に行うことができる。
【0049】メンテナンス終了後、押え金1を元に戻す
場合には、操作者は押え腕2を右方に揺動させて押え金
1を所定の位置に片手で戻し、その後、手揚げ72を上
送り押えばね61のばね力に抗して上方に持ち上げるこ
とによって、手揚げ72の突部87が下方に変位して押
え棒50に作用していた押し上げ力が解除され、押え棒
50が下方のロック位置まで変位して嵌合凹所54が押
え腕2に嵌まり込み、押え腕2をロックする。これとと
もに上送り台ガイド腕12は上送り歯調整ねじ82が当
接部材77に当接するまで矢符F方向に角変位し、上送
り歯5が押え金1の透孔4に挿入される。
【0050】上送り歯調整ねじ82が当接部材77に当
接した状態では上送り押えばね61のばね力は手揚げ7
2には作用しないが、手揚げ戻しばね76は常に手揚げ
72を上方に変位させる方向にばね力を付与しているの
で、これによって手揚げ72はストッパ85に当接して
支持される。このようにして、2位置安定手段70は押
し上げ解除位置に保持される。
【0051】図7は、2位置安定手段70のスケルトン
図である。本実施形態での寸法の一例を示すと、軸線L
7−L6間は22mmであり、軸線L6−L5間が64
mmであり、軸線L5−L4間が31mmであり、軸線
L4−L7間が64mmであり、回動片20の長さは
9.7mmであり、レバー部16の上端部と軸線L2と
の距離は38.5mmであり、軸線L2から上送り歯5
の先端までの距離は130〜145mmである。また、
上送り歯5の上下変位量は、前述した上送り前後軸36
および上送り上下軸41の作用および上送り押えばね6
1の負荷によって決まり、たとえば5〜9mmとなる。
【0052】また、2位置安定手段70は手揚げ72が
下方となる押し上げ位置では軸線L6は基準直線S近傍
にあるが、通常時の押し上げ解除位置では軸線L6が基
準直線Sから大きく離反する位置まで手揚げ72は手揚
げ戻しばね76によって持ち上げられている。すなわ
ち、押え腕2のロック状態を解除するには大きく手揚げ
72を回動させなければならず、誤ってロック解除状態
になるといったことが確実に防がれる。
【0053】本発明は上送り揚げ軸レバー22と上送り
台ガイド腕12のレバー部16とを上送り揚げ軸21で
角変位自在に連結する構成に限らず、図8の他の実施形
態に示すように、上送り揚げ軸レバー22と上送り台ガ
イド腕12のレバー部16とが一体と成るように構成し
てもよい。これによって2位置安定手段の構成が簡単と
なる。
【0054】なおこのときの2位置安定手段の寸法の一
例を述べると、軸線L7−L6間が19.5mmであ
り、軸線L6−L5間が80mmであり、軸線L5−L
2間が84.5mmであり、軸線L2と上送り歯の先端
部との間の距離が130〜145mmであり、上送り歯
の上下移動量は前述と同様に5〜9mm程度となる。
【0055】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、2位置
安定手段によってロック部材をロック解除位置に保持す
るとともに、上送り歯を上方に上げた状態に保持するこ
とができるので、操作者は片手で容易に押え腕を揺動さ
せて押え金を退避させることができ、メンテナンスなど
を容易に行うことができる。
【0056】請求項2記載の本発明によれば、簡単な構
成で確実に操作部材を2つの位置に安定に保持すること
ができる2位置安定手段を構成することができる。
【0057】請求項3記載の本発明によれば、2位置安
定手段に与えるばね力は送り歯支持部材を下方にばね付
勢するばね部材から与えられるので、別途に大きなばね
力を有するばねを設ける必要がなく、構成が簡略化され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるミシンの押え腕2
および上送り機構の構成を示す斜視図である。
【図2】押え腕2および上送り機構の構成を示す分解斜
視図である。
【図3】2位置安定手段70の押し上げ解除位置を示す
正面図である。
【図4】押し上げ解除位置にある2位置安定手段70の
一部を切欠いて示す示す正面図である。
【図5】押し上げ位置にある2位置安定手段70を示す
正面図である。
【図6】押し上げ位置にある2位置安定手段70の一部
を切欠いて示すを示す正面図である。
【図7】2位置安定手段70のスケルトン図である。
【図8】本発明の他の実施形態の2位置安定手段のスケ
ルトン図である。
【符号の説明】
1 押え金 2 押え腕 4 透孔 5 上送り歯 15 送り歯支持部材 50 押え棒 61 上送り押えばね 70 2位置安定手段 71 手揚げリンク 72 手揚げ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針板と、 基端部が針板の後方で変位自在に支持され、先端部が針
    板まで延び、上下および左右方向に揺動可能に設けられ
    る押え腕と、 押え腕の上方に配置され、押え腕の左右の揺動を阻止す
    るロック位置と、ロック位置の上方のロック解除位置と
    にわたって上下に変位自在に支持され、ロック位置にあ
    るとき押え腕を下方にばね付勢するロック部材と、 透孔を有し、押え腕の先端部に取り付けられ、ロック位
    置にあるロック部材によって針板に弾発的に押え付けら
    れる押え金と、 押え金の上から前記透孔に挿通される上送り歯と、 先端部に上送り歯が取り付けられ、上下に揺動自在に支
    持される送り歯支持部材と、 送り歯支持部材を下方にばね付勢するばね部材とを備え
    るミシンにおいて、 予め定める基準位置を超えて一方側から他方側に操作部
    材を変位させると、他方側に操作部材が保持され、前記
    基準位置を超えて他方側から一方側に操作部材を変位さ
    せると一方側に操作部材が保持される2位置安定手段を
    有し、 前記基準位置を超えて操作部材を一方側に変位させる
    と、2位置安定手段からロック部材および送り歯支持材
    に押し上げ力が作用し、ロック部材がばね力に抗してロ
    ック解除位置まで変位するとともに、送り歯支持部材が
    ばね力に抗して上方に押し上げられ、前記基準位置を超
    えて操作部材を他方側に変位させると、2位置安定手段
    からロック部材および送り歯支持部材に作用する押し上
    げ力が解除されることを特徴とするミシン。
  2. 【請求項2】 前記2位置安定手段は、 第1リンクと、 第1リンクの一端部に一端部がピン結合される第2リン
    クとを有し、 前記操作部材は第1リンクまたは第2リンクに固定さ
    れ、 操作部材が基準位置を超えるとは、第1リンクの他端部
    と第2リンクの他端部とを結ぶ基準直線を第1リンクと
    第2リンクとの結合部が超えて移動することであり、少
    なくとも前記結合部が前記基準直線近傍にあるときに
    は、第1リンクの他端部と第2リンクの他端部とは相互
    に近接する向きにばね付勢されることを特徴とする請求
    項1記載のミシン。
  3. 【請求項3】 前記第1リンクの他端部と第2リンクの
    他端部とを近接する向きにばね付勢するばね力は、送り
    歯支持部材を下方にばね付勢するばね部材から与えられ
    ることを特徴とする請求項2記載のミシン。
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